(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6749903
(24)【登録日】2020年8月14日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】易服用性固形製剤の製造方法及び易服用性固形製剤
(51)【国際特許分類】
A61J 3/10 20060101AFI20200824BHJP
A61J 3/06 20060101ALI20200824BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20200824BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20200824BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20200824BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20200824BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20200824BHJP
A61K 9/28 20060101ALI20200824BHJP
【FI】
A61J3/10 A
A61J3/06 M
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/42
A61K47/12
A61K47/26
A61K9/28
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-526363(P2017-526363)
(86)(22)【出願日】2016年6月28日
(86)【国際出願番号】JP2016069112
(87)【国際公開番号】WO2017002796
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2019年4月15日
(31)【優先権主張番号】特願2015-129529(P2015-129529)
(32)【優先日】2015年6月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】100100181
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 正博
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼嵜 桃子
(72)【発明者】
【氏名】坂口 阿南
(72)【発明者】
【氏名】岡林 智仁
(72)【発明者】
【氏名】橋川 尚弘
(72)【発明者】
【氏名】平邑 隆弘
【審査官】
増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第01/026632(WO,A1)
【文献】
特開平09−104621(JP,A)
【文献】
特表2014−532704(JP,A)
【文献】
特開2013−132285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/10
A61J 3/06
A61K 9/28
A61K 47/12
A61K 47/26
A61K 47/36
A61K 47/38
A61K 47/42
B30B 11/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
臼内面、上杵下端面及び下杵上端面に、水に触れると滑り性を示すゲル化剤を含むコーティング剤から成る粉体のみを直接に適用した後、核用成形材料を充填して一体圧縮成形することを含む、圧縮成形された核を該コーティング剤で被覆して成る易服用性固形製剤の乾式製造方法であって、ゲル化剤が少なくとも1種の水溶性高分子を含む前記製造方法。
【請求項2】
水溶性高分子がカルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム及びゼラチンから成る群から選択される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
水溶性高分子がカルボキシメチルセルロースナトリウムである、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
コーティング剤がさらに滑沢剤を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
滑沢剤がステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム及びショ糖脂肪酸エステルから成る群から選択される、請求項4に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾式により易服用化コーティング処理を簡易に行うことを主な特徴とする、易服用性固形製剤の製造方法及び易服用性固形製剤等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、嚥下が困難な患者、嚥下機能の低い子供や老人等の為に、経口投与製剤の服用性の改善が試みられてきた。
【0003】
例えば、製剤を液剤やゼリー剤等の剤形とする例が数多くみられるが、主薬の含量が高い場合には味のマスキングが困難で、更に薬剤等の活性成分が水中で不安定である場合には、このような剤形にすることは困難である。
【0004】
従って、近年、固形剤の嚥下を容易にするための手段として、錠剤の表面をゲル化剤でコーティングし、口腔内で水分に触れるとすべり性を発現して粘膜の滑りが良くし、飲みやすくするような錠剤が開発されている。
【0005】
これらの技術に於いては、例えば、1)ゲルを凍結乾燥して錠剤化する;2)薬剤層をゲル化層で挟んだフィルムを円形に打ち抜く;3)錠剤をゲル化層フィルムで挟んで円形に打ち抜く;4)錠剤にゲル化用コーティング液を噴霧する等の工程が用いられている。
【0006】
又、特許文献1には、易服用性固形製剤に用いるコーティング用組成物として、金属架橋増粘剤である第1の増粘剤、多価金属化合物、及び、第2の増粘剤を含むコーティング用組成物、及び、該コーティング用組成物が分散されたアルコール溶液を、有効成分を含む薬物核にスプレーコーティングすることによる経口用組成物の製造方法、並びに、こうして製造された経口用組成物が記載されている。
【0007】
更に、特許文献2には、内核(核錠)の圧縮成形とコーティングを一時に行うための粉体圧縮成形機が開示され、該粉体圧縮成形機を用いて、第一の噴射装置により臼孔内、下杵の上端面及び上杵の下端面の滑沢剤を塗布した後に、更に、前記滑沢剤に重ねて第二の噴射装置によりコーティング剤を塗布し、その後、前記臼孔内に粉体を充填し、この充填された粉体を前記上杵及び下杵により圧縮することから成る製品の製造方法が記載されている。
【0008】
しかしながら、これらいずれの特許文献にも、乾式にて、ゲル化剤でコーティング処理された易服用性固形製剤の製造方法に関しては何ら開示ないし示唆されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第WO2011/125798号パンフレット
【特許文献2】特開2012−35289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の特許文献1に見られるような従来技術におけるゲル化剤処理ではゲル化剤溶液を調製する、圧縮成形後にコーティング装置に移動する等、煩雑であり、更に、この際の溶媒に対して安定の低い機能性成分・有効成分を用いることが出来ない等の問題点があった。
【0011】
又、特許文献2に記載された粉体圧縮成形機は噴射装置を複数備えた機構・操作が複雑なものである。
【0012】
本発明の目的は、このような従来技術に於ける問題点を解決し、湿潤状態を経由することなく、乾式にて、ゲル化剤による易服用化コーティング処理を簡易に行うことを主な特徴とする、易服用性固形製剤の製造方法及び易服用性固形製剤等を提供することである。尚、「易服用性」とは、一般に、固形製剤等の性質・特性として、飲み易い(嚥下が容易である)ことを意味する。
【0013】
上記のいずれの特許文献にも、このような技術的課題は記載ないし示唆されていない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意、研究の結果、以下に示す態様を有する本発明を完成するに至った。
【0015】
本発明は、より具体的には以下の態様を提供するものである。
【0016】
[態様1]
臼内面、上杵下端面及び下杵上端面に、水に触れると滑り性を示すゲル化剤を含むコーティング剤から成る粉体のみを直接に適用した後、核用成形材料を充填して一体圧縮成形することを含む、圧縮成形された核を該コーティング剤で被覆して成る易服用性固形製剤の乾式製造方法。
[態様2]
ゲル化剤が少なくとも1種の水溶性高分子を含む、態様1記載の製造方法。
[態様3]
水溶性高分子がカルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム及びゼラチンから成る群から選択される、態様2に記載の製造方法。
[態様4]
水溶性高分子がカルボキシメチルセルロースナトリウムである、態様3に記載の製造方法。
[態様5]
コーティング剤がさらに滑沢剤を含む態様1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
[態様6]
滑沢剤がステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム及びショ糖脂肪酸エステルから成る群から選択される、態様5に記載の製造方法。
[態様7]
請求項1〜6に記載の製造方法で製造される易服用性固形製剤。
[態様8]
カルボキシメチルセルロースナトリウムを含む、固形製剤被覆用粉体組成物。
【発明の効果】
【0017】
本発明によって、特別な装置・手段・操作を必要とせずに、一般的に使用されている連続打錠装置(例えば、噴射装置が一つしかないような簡単な装置)を用いて、飲み易い(優れた飲み易さを有する)易服用性固形製剤を容易に製造することが出来る。
【0018】
更に、本発明では、粉体の混合と乾式圧縮成形のみでコーティング処理による易服用化が行われ、湿潤状態を一切経由することなく易服用性固形製剤を製造することが出来るので、溶媒に対する安定性の低い機能性成分・有効成分を使用することも可能である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、臼内面、上杵下端面及び下杵上端面に、水に触れると滑り性を示すゲル化剤を含むコーティング剤から成る粉体のみを直接に適用した後、核用成形材料を充填して一体圧縮成形することを含む、圧縮成形された核を該コーティング剤で被覆して成る易服用性固形製剤の乾式製造方法に係る。
【0020】
このように、本発明の製造方法に於いては、特許文献2に記載されている方法のように、臼内面、上杵下端面及び下杵上端面に予め、滑沢剤を塗布する必要がない。
【0021】
尚、本発明の製造方法に於いて、「臼」、「上杵」及び「下杵」とは、コーティング剤及び核用成形材料を四方向から圧縮し、その結果、圧縮成形された核をコーティング剤で被覆して成る易服用性固形製剤を成形するための部材であり、実質的にこのような機能・特性を有する限り、各々の粉体圧縮成形機・装置において他の名称で呼ばれている部材も含まれる。
【0022】
本発明の製造方法はいずれも、特許文献2に記載されているような、複雑な粉体圧縮成形機又は装置を必要とせずに、例えば、本明細書に記載された実施例で使用されているような簡易錠剤成形機や、一般的に使用されている連続打錠装置(例えば、噴射装置が一つしかないような簡単な装置)を用いて実施することが出来る。
【0023】
臼内面、上杵下端面及び下杵上端面への、コーティング剤から成る粉体等の適用、及び、核用成形材料の充填等の各工程は、使用する製造装置等に応じて、当業者に公知の任意の手段・方法で実施することが出来る。例えば、コーティング剤から成る粉体の適用は、適当な手段を用いて、コーティング剤から成る粉体を臼内面、上杵下端面及び下杵上端面へ塗布、噴霧等をすることによって実施することが出来る。
【0024】
本発明に於いて、「水に触れると滑り性を示すゲル化剤」とは、本明細書の実施例に記載されているように、錠剤を水なしで服用した際に、口腔内の水分環境で固形錠剤の表面が滑りやすい膜を形成し、その結果、錠剤そのものの滑りやすさを促進させることが出来る物質を意味する。また、この滑りやすさの促進によって、水を用いて服用する場合であっても錠剤が飲み込みやすくなる。
【0025】
ゲル化剤の代表的な例として、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム及びゼラチンから成る群から選択されるような、水溶性高分子を挙げること挙げることが出来る。尚、水溶性高分子は、天然物又は合成物でも良い。
【0026】
コーティング剤は、このようなゲル化剤のみを含むものであっても良い。或いは、ゲル化剤の作用を阻害しない限り、その他の任意の成分を適宜含むことが出来る。例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム及びショ糖脂肪酸エステルから成る群から選択されるような、滑沢剤として当業者に公知の任意の物質をコーティング剤に含ませることによって、打錠障害を起こしにくい、という効果が得られる。ゲル化剤以外の任意の成分は、通常、コーティング剤全体の0.01〜10重量%含むことが出来る。
【0027】
本発明に於いて、「粉体」とは、微小固体の集合体を意味し、例えば、顆粒又は粒体より細かな大きさ・形状の粉末を含む。また、「被覆」とは、固形製剤の表面の全体もしくは一部分が覆われた状態のことを意味する。
【0028】
粉体状のコーティング剤及び核用成形材料は、それらに含まれる各成分をそのまま使用するか、又は、乾式造粒法、及び、湿式造粒法等の当業者に公知の任意の方法・手段で製造することが出来る。
【0029】
乾式造粒法には、破砕造粒法及びロール圧縮法等があり、例えば、粉末状態の各成分を圧縮して小塊とし、これを適当に粉砕して造粒する工程が含まれる。
【0030】
一方、湿式造粒法は水の存在下で各成分を分散させ乾燥することによって複合体を形成する方法であり、湿式造粒法の具体例としては、噴霧乾燥、転動造粒、撹拌造粒、及び流動層造粒などの噴霧法、凍結乾燥法、並びに、混練造粒等を挙げることができ、これらの当業者に公知の任意の方法で製造することができる。
【0031】
本発明の製造方法で得られる易服用性固形製剤は経口剤であって、例えば、補助食品、栄養機能食品及び健康食品等の各種食品としての用途、並びに、医薬品としての用途を有する。
【0032】
従って、本発明に於いて、核用成形材料には、上記の各用途に応じて、当業者に公知の様々な成分を含むことが出来る。
【0033】
例えば、食品用途の場合は、タンパク質、糖質、脂質及びミネラル等の各種の栄養成分;各種ビタミン類及びそれらの誘導体;微生物、植物又は動物由来の各種抽出物等の健康食品素材;並びに、酸味料、甘味料、賦形剤、界面活性剤、滑沢剤、補助剤、酸味料、甘味料、矯味剤、香料、着色剤、及び安定化剤などの、食品衛生法第10条に基づく各種の指定添加物または既存添加物、一般飲食物添加物リストに収載されている、食品成分(食品添加物)として許容されるその他の任意の成分を含むことが出来る
【0034】
又、医薬用途の場合には、薬効成分又は有効成分に加えて、更に、必要に応じて、賦形剤、界面活性剤、滑沢剤、補助剤、酸味料、甘味料、矯味剤、香料、着色剤、安定化剤など医薬上許容されるその他の任意の成分を含むことが出来る。これら任意成分として、例えば、医薬品添加物辞典(薬事日報社)、日本薬局方に記載の該当成分を用いることができる。尚、含まれる薬効成分及び助剤の用途・種類に特に制限はない。又、本発明の所望の効果が奏される限り、これら任意成分の配合割合に特に制限はなく、当業者が適宜決めることが出来る。
【0035】
尚、上記の薬効成分の用途・種類としては、例えば、中枢神経系用薬、末梢神経系用薬、感覚器官用薬、 循環器用薬、呼吸器官用薬、消化器官用薬、ホルモン剤、泌尿生殖器官薬、その他の個々の器官系用医薬品、ビタミン剤、滋養強壮薬、血液・体液用薬、その他の代謝性医薬品、細胞賦活用薬、腫瘍用薬、放射性医薬品、アレルギー用薬、その他の組織細胞機能用医薬品、 生薬、漢方製剤、その他の生薬及び漢方処方に基づく医薬品、抗生物質製剤、化学療法剤、生物学的製剤、寄生動物に対する薬、その他の病原生物に対する医薬品、 調剤用薬、診断用薬、公衆衛生用薬、体外診断用医薬品等を挙げることができる。
【0036】
例えば、核用成形材料に滑沢剤を含めることによって、圧縮成形時の打錠障害を低減させることができる。
【0037】
尚、本発明の製造方法に於いて、圧縮成形の際の圧力・時間、使用する核用成形材料及びコーティング剤の量等を含む、製造工程におけるその他の諸条件は、製造方法に用いる装置の規模・種類、目的とする易服用性固形製剤の大きさ・用途等に応じて、当業者が適宜、選択することが出来る。例えば、圧縮成形する際の打錠圧は、通常、2〜100kNの範囲である。
【0038】
本発明方法で製造される易服用性固形製剤の大きさ・形状等に特に制限はないが、通常、直径3〜20mm、重量15〜2000mgの範囲である。これらはいずれも隅角平錠及び真平錠等の当業者に公知の任意の形状を有する。又、コーティング剤から成る被覆(外層)の厚さは0.01〜0.1mm程度である。これらは、当業者に公知の任意の方法で測定することが出来る。
【0039】
更に、本発明は、以上の製造方法で製造される易服用性固形製剤、及び、例えば、以上の製造方法においてコーティング剤として使用される、水に触れると滑り性を示すゲル化剤、特に、水溶性高分子を含む、固形製剤被覆用粉体組成物に係る。係る組成物の好適例として、水溶性高分子がカルボキシメチルセルロースナトリウムである粉体組成物を挙げることが出来る。
【0040】
尚、本明細書において引用された全ての先行技術文献の記載内容は、参照として本明細書に組み入れられる。
【0041】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
【0042】
[硬度、滑りやすさの評価]
以下の実施例及び比較例で得た各錠剤について、以下の方法によって、硬度、滑りやすさを以下の条件・方法で測定した。
【0043】
硬度:デジタル木屋式硬度計(株式会社藤原製作所)を用いて、硬度(N)を測定した。尚、硬度はそれぞれ6回の測定を行い、それらの平均値を測定結果とした。
【0044】
滑りやすさ: 成人男女3名が錠剤を水なしで服用し、滑りやすさについて以下の3段階の評価基準に従って評価した。
3: 滑りやすく飲み込みやすい
2: わずかに滑りやすいが飲み込みにくい
1: 滑りづらく飲み込みにくい
【実施例1】
【0045】
乳糖 (FlowLac90、メグレジャパン株式会社) 18g、ヒドロキシプロピルセルロース (HPC-SSL-SFP、日本曹達株式会社) 2gを混合し、混合物を得た。得られた混合物を、予め臼および上下杵表面にカルボキシメチルセルロースナトリウム (CMCダイセル、ダイセルファインケム株式会社) をコーティング剤として塗布した簡易錠剤成形機(HANDTAB−100、市橋精機株式会社)を用いて打錠圧縮力10kNにおいて打錠し、直径8.0mm、隅角平錠、重量250mgの錠剤を得た。
【実施例2】
【0046】
乳糖 (FlowLac90、メグレジャパン株式会社) 17.9g、ヒドロキシプロピルセルロース (HPC-SSL-SFP、日本曹達株式会社) 2g、ステアリン酸カルシウム(太平化学産業株式会社)0.1gを混合し、混合物を得た。得られた混合物を打錠圧縮力12kNにおいて打錠した以外は実施例1と同様に打錠し、直径8.0mm、隅角平錠、重量250mgの錠剤を得た。
【実施例3】
【0047】
乳糖 (FlowLac90、メグレジャパン株式会社) 18g、ヒドロキシプロピルセルロース (HPC-SSL-SFP、日本曹達株式会社) 2gを混合し、混合物を得た。得られた混合物を、予め臼および上下杵表面にカルボキシメチルセルロースナトリウム (CMCダイセル、ダイセルファインケム株式会社) 4.975gとステアリン酸カルシウム(太平化学産業株式会社)0.025gを混合して得られた混合物をコーティング剤として塗布した以外は、実施例1と同様に打錠し、直径8.0mm、隅角平錠、重量250mgの錠剤を得た。
【0048】
[比較例1]
乳糖 (FlowLac90、メグレジャパン株式会社) 18g、ヒドロキシプロピルセルロース (HPC-SSL-SFP、日本曹達株式会社) 2gを混合し、混合物を得た。得られた混合物を、予め臼および上下杵表面にステアリン酸カルシウム(太平化学産業株式会社)を少量塗布し、打錠圧縮力8kNにおいて打錠した以外は、実施例1と同様に打錠し、直径8.0mm、隅角平錠、重量250mgの錠剤を得た。
【実施例4】
【0049】
乳糖 (FlowLac90、メグレジャパン株式会社) 18g、ヒドロキシプロピルセルロース (HPC-SSL-SFP、日本曹達株式会社) 1.8g、ステアリン酸カルシウム(太平化学産業株式会社)0.2gを混合し、混合物を得た。得られた混合物を、予め臼および上下杵表面にアルギン酸ナトリウム (キミカアルギン、株式会社キミカ)をコーティング剤として塗布し、打錠圧縮力8kNにおいて打錠した以外は実施例1と同様に打錠し、直径8.0mm、R6.5錠、重量200mgの錠剤を得た。
【実施例5】
【0050】
乳糖 (FlowLac90、メグレジャパン株式会社) 18g、ヒドロキシプロピルセルロース (HPC-SSL-SFP、日本曹達株式会社) 1.8g、ステアリン酸カルシウム(太平化学産業株式会社)0.2gを混合し、混合物を得た。得られた混合物を、予め臼および上下杵表面にキサンタンガム (キサンタンガム XG800、三菱化学フーズ株式会社)をコーティング剤として塗布し、打錠圧縮力8kNにおいて打錠した以外は実施例1と同様に打錠し、直径8.0mm、R6.5錠、重量200mgの錠剤を得た。
【0051】
[比較例2]
乳糖 (FlowLac90、メグレジャパン株式会社) 17.9g、ヒドロキシプロピルセルロース (HPC-SSL-SFP、日本曹達株式会社) 2.0g、ステアリン酸カルシウム(太平化学産業株式会社)0.1gを混合し、混合物を得た。得られた混合物を、打錠圧縮力6kNにおいて打錠した以外は、実施例1と同様に打錠し、直径8.0mm、R6.5錠、重量200mgの錠剤を得た。
【0052】
以上の実験で製造した各錠剤について、打錠圧縮力、硬度、及び、滑りやすさは以下の表1の通りである。
【0053】
【表1】
【0054】
表1に示された結果から、実施例1〜5において、カルボキシメチルセルロースナトリウム、もしくはアルギン酸ナトリウム、もしくはキサンタンガムを予め臼及び上下杵に塗布した後に打錠して得られた錠剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム等の水溶性高分子を塗布せず得られた錠剤(比較例1、2)と比較して、滑りやすく飲みやすい錠剤であることが実証された。又、実施例1〜5においては、特許文献2に記載されている方法のように、臼内面、上杵下端面及び下杵上端面に予め、滑沢剤を塗布する必要がなかった。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、易服用性固形製剤の製造方法及び易服用性固形製剤等に関する研究・開発に大いに資するものである。