特許第6750228号(P6750228)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6750228バンプ形成用フィルム、半導体装置及びその製造方法、並びに接続構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6750228
(24)【登録日】2020年8月17日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】バンプ形成用フィルム、半導体装置及びその製造方法、並びに接続構造体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20200824BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20200824BHJP
【FI】
   H01L21/92 604F
   H01L21/60 311S
   H05K3/34 505E
【請求項の数】31
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-4215(P2016-4215)
(22)【出願日】2016年1月13日
(65)【公開番号】特開2016-131242(P2016-131242A)
(43)【公開日】2016年7月21日
【審査請求日】2019年1月9日
(31)【優先権主張番号】特願2015-4591(P2015-4591)
(32)【優先日】2015年1月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000224
【氏名又は名称】特許業務法人田治米国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 恭志
(72)【発明者】
【氏名】石松 朋之
【審査官】 加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−330160(JP,A)
【文献】 特開2012−190871(JP,A)
【文献】 特開2004−080024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着性を有する絶縁性接着樹脂層内にバンプ用導電フィラーが平面視で規則配列され且つバンプ用導電フィラーの複数個がユニットを構成しているバンプ形成用フィルムであって、該規則配列がフィルムの長手方向に周期的繰り返し単位を有し、フィルムの厚み方向におけるバンプ用導電フィラーの一方の端部を結ぶ直線が、フィルムの表面に略平行となっているバンプ形成用フィルム。
【請求項2】
ニット内の該バンプ用導電フィラー間の最短距離、該バンプ用導電フィラーの平均粒子径の50%未満である請求項1記載のバンプ形成用フィルム。
【請求項3】
ユニット内のバンプ用導電フィラー同士が互いに離間している請求項2記載のバンプ形成用フィルム。
【請求項4】
フィルムの厚み方向におけるバンプ用導電フィラーの一方の端部を結ぶ直線と、フィルムの表面とがなす角度が±5°である請求項1記載のバンプ形性用フィルム。
【請求項5】
フィルムの厚み方向におけるバンプ用導電フィラーの一方の端部を結ぶ直線と、フィルムの表面とがなす角度が±5°である請求項2又は3記載のバンプ形性用フィルム。
【請求項6】
バンプ用導電フィラーの平均粒子径が、略同一である請求項1〜5のいずれかに記載のバンプ形成用フィルム。
【請求項7】
バンプ導電フィラーが、金属被覆樹脂粒子である請求項1〜のいずれかに記載のバンプ形成用フィルム。
【請求項8】
バンプ用導電フィラーが、半田粒子である請求項1〜のいずれかに記載のバンプ形成用フィルム。
【請求項9】
バンプ用導電フィラーの平均粒子径が3〜60μmであり、絶縁性接着樹脂層の厚さが、その平均粒子径の0.5〜20倍である請求項1〜のいずれかに記載のバンプ形成用フィルム。
【請求項10】
バンプ用導電フィラーの一部が、絶縁性接着樹脂層から露出している請求項1〜のいずれかに記載のバンプ形成用フィルム
【請求項11】
絶縁性接着樹脂層が、光硬化性もしくは熱硬化性である請求項1〜10のいずれかに記載のバンプ形成用フィルム。
【請求項12】
請求項1記載のバンプ形成用フィルムの製造方法であって、以下の工程(イ)〜(ハ):
<工程(イ)>
規則配列された凹部が表面に形成された転写体を用意する工程;
<工程(ロ)>
転写体の凹部にバンプ用導電フィラーを充填する工程;及び
<工程(ハ)>
該転写体のバンプ用導電フィラーが充填された側の表面に絶縁性接着樹脂層を重ねて押圧することにより、絶縁性接着樹脂層にバンプ用導電フィラーを転着させる工程
を有する製造方法。
【請求項13】
更に、以下の工程(ニ)
<工程(ニ)>
バンプ用導電フィラーが転着した絶縁性接着樹脂層に対し、バンプ用導電フィラー転着面側から絶縁性接着カバー層を積層する工程
を有する請求項12記載の製造方法。
【請求項14】
バンプ用導電フィラーが、金属被覆樹脂粒子又は半田粒子である請求項12又は13記載の製造方法。
【請求項15】
表面のバンプ用のベース電極にバンプが配置された電子部品であって、請求項1〜11のいずれかに記載のバンプ形成用フィルムのバンプ用導電フィラーが該ベース電極のバンプとなるように、該バンプ形成用フィルムが該電子部品のベース電極形成表面に配置されている電子部品。
【請求項16】
バンプ形成用フィルムのバンプ用導電フィラーの複数個が構成するユニットがベース電極よりも大きい請求項15記載の電子部品。
【請求項17】
表面のバンプ用のベース電極にバンプが配置された電子部品の製造方法であって、
表面にバンプ用のベース電極を有するバンプレス電子部品の当該ベース電極に対し、請求項1〜11のいずれかに記載のバンプ形成用フィルムのバンプ用導電フィラーが、該ベース電極に対向するように、該バンプ形成用フィルムを該電子部品のベース電極形成表面に配置した後、バンプ形成用フィルムを構成する絶縁性接着樹脂で、バンプ用導電フィラーをベース電極に固定する製造方法。
【請求項18】
バンプ形成用フィルムのバンプ用導電フィラーの複数個が構成するユニットがベース電極よりも大きい請求項17記載の電子部品の製造方法。
【請求項19】
表面のバンプ用のベース電極にバンプが配置された半導体装置であって、請求項1〜11のいずれかに記載のバンプ形成用フィルムのバンプ用導電フィラーが該ベース電極のバンプとなるように、該バンプ形成用フィルムが該半導体装置のベース電極形成表面に配置されている半導体装置。
【請求項20】
バンプ形成用フィルムを構成する絶縁性接着樹脂層を硬化させることにより、バンプ用導電フィラーがベース電極に固定されている請求項19記載の半導体装置。
【請求項21】
バンプ形成用フィラーをベース電極に加熱により金属結合させることにより、バンプ用導電フィラーがベース電極に固定されている請求項19記載の半導体装置。
【請求項22】
金属結合形成後に、バンプ形成用フィルムを構成する絶縁性接着樹脂層が、硬化した後に剥離されている請求項21記載の半導体装置。
【請求項23】
バンプ形成用フィルムのバンプ用導電フィラーの複数個が構成するユニットがベース電極よりも大きい請求項19〜22のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項24】
表面のバンプ用のベース電極にバンプが配置された半導体装置の製造方法であって、
表面にバンプ用のベース電極を有するバンプレス半導体装置の当該ベース電極に対し、請求項1〜11のいずれかに記載のバンプ形成用フィルムのバンプ用導電フィラーが、該ベース電極に対向するように、該バンプ形成用フィルムを該半導体装置のベース電極形成表面に配置した後、バンプ形成用フィルムを構成する絶縁性接着樹脂層を硬化させることにより、バンプ用導電フィラーをベース電極に固定する製造方法。
【請求項25】
表面のバンプ用のベース電極にバンプが配置された半導体装置の製造方法であって、
表面にバンプ用のベース電極を有するバンプレス半導体装置の当該ベース電極に対し、請求項1〜11のいずれかに記載のバンプ形成用フィルムのバンプ用導電フィラーが、該ベース電極に対向するように、該バンプ形成用フィルムを該半導体装置のベース電極形成表面に配置した後、バンプ用導電フィラーを加熱することによりベース電極に金属結合させて固定する製造方法。
【請求項26】
バンプ形成用フィルムのバンプ用導電フィラーの複数個が構成するユニットがベース電極よりも大きい請求項24又は25記載の半導体装置の製造方法。
【請求項27】
請求項15又は16記載の電子部品の表面のベース電極に配置されたバンプ用導電フィラーと他の電子部品の対応する端子とが、硬化性若しくは非硬化性の導電接着剤又は絶縁性接着剤を介して接続されているか、または両者の間に金属結合形成することにより接続されている接続構造体。
【請求項28】
バンプ用導電フィラーが、金属被覆樹脂粒子又は半田粒子である請求項27記載の接続構造体。
【請求項29】
請求項15又は16記載の電子部品の表面のベース電極に配置されたバンプ用導電フィラーと他の電子部品の対応する端子とを、硬化性若しくは非硬化性の導電接着剤又は絶縁性接着剤を介して接続するか、または両者の間に金属結合形成することにより接続する、接続構造体の製造方法。
【請求項30】
請求項19〜23のいずれかに記載の半導体装置の表面のベース電極に配置されたバンプ用導電フィラーと他の電気部品の対応する端子とが、硬化性若しくは非硬化性の導電接着剤又は絶縁性接着剤を介して接続されているか、または両者の間に金属結合形成することにより接続されている接続構造体。
【請求項31】
請求項19〜23のいずれかに記載の半導体装置の表面のベース電極に配置されたバンプ用導電フィラーと他の電子部品の対応する端子とを、硬化性若しくは非硬化性の導電接着剤又は絶縁性接着剤を介して接続するか、または両者の間に金属結合形成することにより接続する、接続構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップなどの電極パッドにバンプを形成するためのバンプ形成用フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
バンプレスICチップを配線基板にフリップチップ実装する場合、低い導通抵抗と安定した導通信頼性とを実現するために、パッシベーション膜で被覆されていないバンプレスICチップの電極パッドに、予めスタッドバンプ法により金バンプを設けたり、バンプとして機能することが期待される金属メッキ被覆樹脂粒子を超音波加熱により金属結合させることが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−286349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、バンプレスICチップの電極パッドにスタッドバンプ法により金バンプを設けることは、ICチップの製造コストを大きく増大させるため、商業的に採用し難いという問題がある。また、バンプレスICチップの電極パッドに金属被覆樹脂粒子の表面金属を超音波加熱により金属接合させた場合には、表面金属の剥離が発生して導通信頼性が大きく低下することが懸念されるばかりでなく、製造工程が煩雑になるという問題もあった。
【0005】
本発明の目的は、以上の従来の技術の問題点を解決することであり、バンプレスICチップ等の半導体装置に、低コストで、しかも安定した導通信頼性を実現できるバンプを形成できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、半導体装置のバンプとして機能することが期待できる導電フィラーをバンプ形成用フィルムで簡便に半導体装置の電極に供給できるようにすれば、上述の問題が解決できるという仮定の下、絶縁性接着樹脂層内にバンプ用導電フィラーを、平面視でフィルムの長手方向に周期的繰り返し単位で規則配列させ、且つフィルム厚み方向のバンプ用導電フィラーの一方の端部を結ぶ直線を、フィルムの表面に略平行とすることにより、本願の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明は、「絶縁性接着樹脂層内にバンプ用導電フィラーが平面視で規則配列されているバンプ形成用フィルムであって、該規則配列がフィルムの長手方向に周期的繰り返し単位を有し、フィルムの厚み方向におけるバンプ用導電フィラーの一方の端部を結ぶ直線が、フィルムの表面に略平行となっているバンプ形成用フィルム」を提供する。
【0008】
また、本発明は、上述の本発明のバンプ形成用フィルムの製造方法であって、以下の工程(イ)〜(ハ):
<工程(イ)>
規則配列された凹部が表面に形成された転写体を用意する工程;
<工程(ロ)>
転写体の凹部にバンプ用導電フィラーを充填する工程;及び
<工程(ハ)>
該転写体のバンプ用導電フィラーが充填された側の表面に絶縁性接着樹脂層を重ねて押圧することにより、絶縁性接着樹脂層にバンプ用導電フィラーを転着させる工程
を有する製造方法を提供する。
【0009】
この製造方法は、更に、以下の工程(ニ)
<工程(ニ)>
バンプ用導電フィラーが転着した絶縁性接着樹脂層に対し、バンプ用導電フィラー転着面側から絶縁性接着カバー層を積層する工程
を有することが好ましい。
【0010】
また、本発明は、「表面のバンプ用のベース電極にバンプが配置された電子部品であって、上述のバンプ形成用フィルムのバンプ用導電フィラーが該ベース電極のバンプとなるように、該バンプ形成用フィルムが該電子部品のベース電極形成表面に配置されている電子部品」を提供する。具体的には、「表面のバンプ用のベース電極にバンプが配置された半導体装置であって、上述のバンプ形成用フィルムのバンプ用導電フィラーが該ベース電極のバンプとなるように、該バンプ形成用フィルムが該半導体装置のベース電極形成表面に配置されている半導体装置」を提供する。
【0011】
更に、本発明は、「表面のバンプ用のベース電極にバンプが配置された電子部品の製造方法であって、
表面にバンプ用のベース電極を有するバンプレス電子部品の当該ベース電極に対し、本発明のバンプ形成用フィルムのバンプ用導電フィラーが、該ベース電極に対向するように、該バンプ形成用フィルムを該電子部品のベース電極形成表面に配置した後、バンプ形成用フィルムを構成する絶縁性接着樹脂で、バンプ用導電フィラーをベース電極に固定する製造方法」を提供する。具体的には、「表面のバンプ用のベース電極にバンプが配置された半導体装置の製造方法であって、
表面にバンプ用のベース電極を有するバンプレス半導体装置の当該ベース電極に対し、本発明のバンプ形成用フィルムのバンプ用導電フィラーが、該ベース電極に対向するように、該バンプ形成用フィルムを該半導体装置のベース電極形成表面に配置した後、バンプ形成用フィルムを構成する絶縁性接着樹脂層を硬化させることにより、バンプ用導電フィラーをベース電極に固定する製造方法」を提供する。
【0012】
同様に、本発明は、「表面のバンプ用のベース電極にバンプが配置された半導体装置の製造方法であって、
表面にバンプ用のベース電極を有するバンプレス半導体装置の当該ベース電極に対し、本発明のバンプ形成用フィルムのバンプ用導電フィラーが、該ベース電極に対向するように、該バンプ形成用フィルムを該半導体装置のベース電極形成表面に配置した後、バンプ用導電フィラーを加熱することによりベース電極に金属結合させて固定する製造方法」を提供する。
【0013】
加えて、本発明は、「上述の電子部品の表面のベース電極に配置されたバンプ用導電フィラーと他の電子部品の対応する端子とが、硬化性若しくは非硬化性の導電接着剤又は絶縁性接着剤を介して接続されているか、または両者の間に金属結合形成することにより接続されている接続構造体」を提供する。具体的には、「上述の半導体装置の表面のベース電極に配置されたバンプ用導電フィラーと他の電気部品の対応する端子とが、硬化性若しくは非硬化性の導電接着剤又は絶縁性接着剤を介して接続されているか、または両者の間に金属結合形成することにより接続されている接続構造体」を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のバンプ形成用フィルムは、絶縁性接着樹脂層内に平面視で、フィルムの長手方向に周期的繰り返し単位を有するように規則配列されているバンプ用導電フィラーを有する。このため、ICチップ等の半導体装置の個々の電極にバンプ用導電フィラーを配置させることが可能となる。しかも本発明のバンプ形成用フィルムにおいては、フィルムの厚み方向のバンプ用導電フィラーの一方の端部を結ぶ直線が、フィルムの表面に略平行となっている。このため、半導体装置のバンプを形成すべき電極に多少の高さムラがあったとしても、それらに安定的にバンプ用導電フィラーを配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明のバンプ形成用フィルムの断面図である。
図2図2は、本発明のバンプ形成用フィルムの製造方法の工程説明図である。
図3図3は、本発明のバンプ形成用フィルムの製造方法の工程説明図である。
図4図4は、本発明のバンプ形成用フィルムの製造方法の工程説明図である。
図5図5は、本発明のバンプ形成用フィルムの製造方法の工程説明図である。
図6図6は、本発明の半導体装置の断面図である。
図7図7は、導電粒子が1:5配列された実施例3のバンプ形成用フィルムにおける導電粒子と電極パッドとの関係図である。
図8図8は、導電粒子が1:4配列された実施例10のバンプ形成用フィルムにおける導電粒子と電極パッドとの関係図である。
図9図9、導電粒子が1:16配列された実施例11のバンプ形成用フィルムにおける導電粒子と電極パッドとの関係図である。
図10図10は、導電粒子が1:3配列された実施例12のバンプ形成用フィルムにおける導電粒子と電極パッドとの関係図である。
図11図11は、導電粒子が1:9配列された実施例13のバンプ形成用フィルムにおける導電粒子と電極パッドとの関係図である。
図12図12は、導電粒子が1:6配列された実施例14のバンプ形成用フィルムにおける導電粒子と電極パッドとの関係図である。
図13図13は、導電粒子が1:20配列された実施例15のバンプ形成用フィルムにおける導電粒子と電極パッドとの関係図である。
図14図14は、導電粒子が1:2配列された実施例16のバンプ形成用フィルムにおける導電粒子と電極パッドとの関係図である。
図15図15は、導電粒子が1:8配列された実施例17のバンプ形成用フィルムにおける導電粒子と電極パッドとの関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を、図面を参照しながら説明する。
【0017】
<バンプ形成用フィルム>
図1に示すように、本発明のバンプ形成用フィルム10は、絶縁性接着樹脂層1内にバンプ用導電フィラー2が平面視で規則配列されているバンプ形成用フィルムである。このバンプ用導電フィラー2の規則配列は、フィルムの長手方向に周期的繰り返し単位を有している。この周期的繰り返し単位は、バンプを形成すべき半導体装置の電極パターンに対応して適宜選択することができる。また、バンプを形成すべき半導体装置の電極一つに配置されるバンプ用導電フィラー2の個数は一つでもよく、二つ以上であってもよい。なお、発明の効果を損なわない範囲で、バンプ用導電フィラー2同士が近接して配置されてもよく、連結して配置されていてもよい。バンプ用導電フィラー2同士が近接配置もしくは連結配置している場合には、配置ズレの影響を緩和でき、アライメント操作が容易となる。
【0018】
本発明のバンプ形成用フィルム10においては、フィルムの厚み方向におけるバンプ用導電フィラー2の一方の端部を結ぶ直線が、フィルムの表面に略平行となっている。図1は、フィルム表面側と裏面側におけるその直線がバンプ形成用フィルム10の表面側と裏面側とでそれぞれ平行となっている例である。これにより、バンプを形成すべき半導体装置の電極に、バンプ用導電フィラーを確実に安定して配置させることができる。なお略平行の程度は、フィルムの厚み方向におけるバンプ用導電フィラー2の一方の端部を結ぶ直線と、フィルムの表面とがなす角度が±5°以内であることである。
【0019】
バンプ用導電フィラー2としては、半田粒子、ニッケル粒子、金属被覆樹脂粒子などを挙げることができる。中でも、比較的低温で銅などの端子材料と金属結合を形成可能な半田粒子、半田メッキ樹脂粒子を好ましく挙げることができる。特に、半田粒子が好ましい。また、バンプ用電極とそれに対応した他の電子部品の端子との間の接続の導通信頼性を得られ易くするという観点からは、金属被覆樹脂粒子を好ましく使用することができる。ここで、金属被覆樹脂粒子の金属被覆は、無電解メッキ法やスパッタリング法等の公知の金属膜形成方法を利用して形成することができる。また、金属被覆樹脂粒子を構成するコア樹脂粒子には、導通信頼性の向上のために、導電微粒子を含有させておくことができる。
【0020】
バンプ用導電フィラー2の画像型粒度分布測定装置で測定した平均粒子径は、好ましくは3〜60μm、より好ましくは8〜50μmである。この範囲であれば、一般的な半導体装置の端子サイズにマッチさせることが容易となる。また、バンプ用導電フィラー2の大きさ(平均粒子径)は、各端子における押圧状態を一致させる点から略同一であることが好ましい。ここで、略同一とは、平均粒子径に対する粒子径の標準偏差の割合であるCV値が20%以下、好ましくは10%以下であることを意味する。
【0021】
なお、バンプ用導電フィラー2の形状は、真球形状が好ましいが、それに類した略球形状や楕円球形状等であってもよい。また、表面に微細凹凸があってもよい。微細凹凸があれば、表面積の増大効果や押圧時のアンカー効果を期待でき、導通時の低抵抗化や安定化を期待することができる。
【0022】
他方、絶縁性接着樹脂層1の厚さは、バンプ用導電フィラー2の平均粒子径の好ましくは0.5〜20倍、より好ましくは0.8〜15倍である。この範囲であれば、バンプ位置に対して安定した固定化を実現することができる。また、この範囲の中で、絶縁性接着樹脂層1の厚さを、バンプ用導電フィラー2の一部が絶縁性接着樹脂層1から露出するようにすることが好ましい。後述する絶縁性接着樹脂層1の除去や、別の絶縁性接着樹脂層との積層化など、操作性が高まるからである。
【0023】
このような絶縁性接着樹脂層1は、バンプ用導電フィラー2を半導体装置の電極に固定するために、粘着性を有していることが好ましいが、密着性を高めるために光硬化性もしくは熱硬化性であってもよい。絶縁性接着樹脂層1を硬化させることにより、バンプ用導電フィラー2が半導体装置の電極と金属結合を形成していれば、金属結合したバンプ用導電フィラー2を残して絶縁性接着樹脂層1を取り除くことが可能となる。
【0024】
また、バンプ用導電フィラー2を金属結合させずに絶縁性接着樹脂層1で固定化する場合、別の絶縁性接着樹脂層と併せて他の電子部品を接合してもよい。この場合、別の絶縁性接着樹脂層は他の電子部品に予め設けられていてもよく、バンプ用導電フィラー2を有する絶縁性接着樹脂層に予め積層されていてもよい。この場合、バンプ用導電フィラー2が金属メッキ被覆樹脂粒子であれば、その粒子径は絶縁性接着樹脂層の合計した厚みよりも大きくてもよい。接合により追随して変形(扁平)した後に、樹脂粒子の反発により導通接続が保持され易くなるからである。バンプ用導電フィラー2が扁平し易い材質である場合、扁平化を阻害させないために、バンプ用導電フィラー2同士を互いにわずかに離間させることが好ましい。扁平化によってバンプ用導電フィラー2の位置ずれが生じることが懸念されるためである。一例として、バンプ用導電フィラー2の大きさ(平均粒子径)の好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上離間させる。他方、50%以上離間すると捕捉効率が低下することが懸念されるため、50%未満が好ましい。このようにすればバンプ用伝導フィラーは必要な場所で密に存在することができ、製造時の品質を保つ上で好ましい(導通抵抗値を安定化させる上でも好ましい)。
【0025】
このようなレベルでバンプ用導電フィラー2同士を離間させた場合、バンプ用導電フィラー2の複数個でユニットを構成させてもよい。ユニットを構成させることにより導通抵抗値を安定化させることが可能となり、好ましい。
【0026】
また、このようなユニットの外形は矩形もしくは円形であることが好ましい。バンプ形状そのものがこのような形状であることが一般的だからである。
【0027】
ユニットが矩形である場合、バンプに求められる高さと幅(即ちアスペクト比率)によるが、バンプ用導電フィラー2の大きさ(平均粒子径)はバンプに求められる高さに相当する。幅はバンプ用導電フィラー2をその方向に列に形成してユニット化させればよい。この場合も上述の距離間隔を保つことが好ましい。また、この列はバンプ用導電フィラー2の平均粒子径の半分の大きさまでずれていてもよい。
【0028】
また、ユニットが円形である場合、一つのバンプ用導電フィラー2を中心に、その周辺に円形に準じて他のバンプ用導電フィラー2を配置させる形状であってもよい。この場合も上述の距離間隔を保つことが好ましい。この形状は正三角形や正方形などの正多角形の各角と中心に導電粒子を配置する形状であってもよい。尚、この正多角形の形状は歪ませてもよい。例えば同一面内にバンプ形成部が複数ある場合に、ツールによる押圧を均一化させるためである。
【0029】
絶縁性接着樹脂層1を光硬化性あるいは熱硬化性とするには、絶縁性接着樹脂層1を構成する樹脂組成物に、公知の光又は熱硬化性オリゴマーもしくはモノマーとに加えて光又は熱重合開始剤とを配合すればよい。このような絶縁性接着樹脂層としては、熱可塑性アクリル系あるいはエポキシ系樹脂フィルム、熱硬化あるいは光硬化アクリル系あるいはエポキシ系樹脂フィルムなどを適用することができる。このような絶縁性接着樹脂層1の厚みは、通常10〜40μm厚である。
【0030】
<バンプ形成用フィルムの製造方法>
本発明のバンプ形成用フィルムは、以下の工程(イ)〜(ハ)、好ましくは(ニ)を有する製造方法により製造することができる。図面を参照しながら、工程毎に詳細に説明する。
【0031】
(工程(イ))
まず、図2に示すように、規則配列した凹部50(例えば平面格子パターンの格子点に相当する柱状の凹部)が表面に形成されている転写体100を用意する。凹部50の深さは、バンプを形成すべきICチップ等の半導体装置の電極(電極パッド、スルーホール、バイアホールなど)の電極ピッチ、電極巾、電極間スペース巾、バンプ用導電フィラーの平均粒子径等に応じて決定することができる。
【0032】
*転写体の具体例
この工程(イ)で用意すべき転写体は、公知の手法を利用して作成することができ、例えば、金属プレートを加工して原盤を作成し、それに硬化性樹脂を塗布し、硬化させて作成することができる。具体的には、平坦な金属板を切削加工して、凹部に対応した凸部を形成した転写体原盤も作成し、この原盤の凸部形成面に転写体を構成する樹脂組成物を塗布し、硬化させた後、原盤から引き離すことにより転写体が得られる。
【0033】
(工程(ロ))
次に、図3に示すように、転写体100の凹部50にバンプ用導電フィラー2を充填する。具体的には、転写体100の凹部50の上方からバンプ用導電フィラー2を散布し、充填されなかったフィラーをブラシやブレード、あるいはエアブローで取り除けばよい。
【0034】
(工程(ハ))
次に、図4に示すように、転写体100のバンプ用導電フィラー2が充填した側の表面に、絶縁性接着樹脂層1を重ねて押圧することにより、絶縁性接着樹脂層1の片面にバンプ用導電フィラー2を転着する。この場合、バンプ用導電フィラー2を絶縁性接着樹脂層1に埋没するようにすることができる。これにより、図1に示すようなバンプ形成用フィルム10が得られる。
【0035】
なお、以上の工程(イ)〜(ハ)により本発明のバンプ形成用フィルムが得られるが、以下の工程(ニ)を更に実施してもよい。
【0036】
(工程(ニ))
図5に示すように、バンプ用導電フィラー2が転着した絶縁性接着樹脂層1に対し、バンプ用導電フィラー転着面側から絶縁性接着カバー層6を積層することができる。これにより、2層構造の絶縁性接着樹脂層を有するバンプ形成用フィルム20が得られる。絶縁性接着カバー層6は、絶縁性接着樹脂層1と同じ素材から形成したものを使用してもよく、一般的に粘着樹脂フィルム、熱硬化性樹脂フィルムおよび光硬化性樹脂フィルムを使用することもできる。
【0037】
(半導体装置等の電子部品)
本発明のバンプ形成用フィルムは、電子部品の電極にバンプを形成する場合に適用することができる。即ち、電子部品は、表面のバンプ用のベース電極にバンプが配置された構造を有し、バンプ形成用フィルムのバンプ用導電フィラーが該ベース電極のバンプとなるように、該バンプ形成用フィルムが該電子部品のベース電極形成表面に配置されているものである。具体的には、本発明のバンプ形成用フィルムは、ICチップ、半導体ウエハ等の半導体装置の電極(パッド、スルーホール、バイアホール等)にバンプを形成する場合に好ましく適用することができる。スルーホールやバイアホールに適用した場合、バンプがホール中にはめ込まれてもよい。電極パッドに適用した場合には、例えば、図6に示すように、半導体装置200は、表面にパッシベーション膜30で囲まれたバンプ用のベース電極60にバンプが配置された構造を有し、本発明のバンプ形成用フィルム10のバンプ形成用フィラー2が該ベース電極60のバンプとなるように、該バンプ形成用フィルム10が該半導体装置200のベース電極形成表面に配置されているものである。この半導体装置も本発明の一態様である。
【0038】
一般に、バンプ用導電フィラーがバンプ形成用フィルムを構成する硬化性若しくは非硬化性の絶縁性接着樹脂でベース電極に固定されているが、図6の態様では、バンプ形成用フィルム10を構成する絶縁性接着樹脂層1を硬化させることにより、バンプ用導電フィラー2がベース電極60に固定されていることが好ましい。
【0039】
なお、バンプ形成用フィラー2をベース電極60に抵抗加熱や超音波加熱などにより加熱して金属結合させることにより、バンプ用導電フィラー2をベース電極60に固定してもよい。この場合、金属結合形成後に、バンプ形成用フィルム10を構成する絶縁性接着樹脂層1を、硬化させた後に剥離してもよい。
【0040】
(半導体装置等の電子部品の製造方法)
表面のバンプ用のベース電極にバンプが配置された電子部品は、表面にバンプ用のベース電極を有するバンプレス電子部品の当該ベース電極に対し、本発明のバンプ形成用フィルムのバンプ用導電フィラーが、該ベース電極に対向するように、該バンプ形成用フィルムを該電子部品のベース電極形成表面に配置した後、バンプ形成用フィルムを構成する絶縁性接着樹脂で、バンプ用導電フィラーをベース電極に固定する製造方法により製造することができる。具体的には、表面のバンプ用のベース電極にバンプが配置された本発明の半導体装置は、表面にバンプ用のベース電極を有するバンプレス半導体装置の当該ベース電極に対し、本発明のバンプ形成用フィルムのバンプ形成用フィラーが、該ベース電極に対向するように、該バンプ形成用フィルムを該半導体装置のベース電極形成表面に配置した後、バンプ形成用フィルムを構成する絶縁性接着樹脂層を加熱によりあるいは光照射により硬化させ、それによりバンプ用導電フィラーをベース電極に固定する製造方法により製造することができる。
【0041】
また、表面のバンプ用のベース電極にバンプが配置された本発明の半導体装置は、表面にバンプ用のベース電極を有するバンプレス半導体装置の当該ベース電極に対し、本発明のバンプ形成用フィルムのバンプ形成用フィラーが、該ベース電極に対向するように、該バンプ形成用フィルムを該半導体装置のベース電極形成表面に配置した後、バンプ形成用フィラーを加熱することによりベース電極に金属結合させて固定する製造方法によっても製造することができる。これらの製造方法も本発明の一態様である。
【0042】
(接続構造体)
本発明の電子部品の表面のベース電極に配置されたバンプ用導電フィラーと他の電子部品の対応する端子とを、硬化性若しくは非硬化性の導電接着剤又は絶縁性接着剤を介して接続するか、または両者の間に金属結合形成することにより接続することにより接続構造体が得られる。具体的には、本発明の半導体装置の表面のベース電極に配置されたバンプ用導電フィラーと、他の電子部品の対応する端子とを、硬化性若しくは非硬化性の導電接着剤又は絶縁性接着剤を介して接続するか、または両者の間に金属結合を形成して接続することにより接続構造体が得られる。これらの接続構造体も本発明の一態様である。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0044】
実施例1
厚さ2mmのニッケルプレートを用意し、円柱状の凸部(外径35μm、高さ30μm)を形成し、転写体原盤とした。凸部の配置は、7mm角の200μm内側に280箇所ペリフェラル配置であり、また、凸部の密度は5.7個/mmであった。
【0045】
得られた転写体原盤に、フェノキシ樹脂(YP−50、新日鉄住金化学(株))60質量部、アクリレート樹脂(M208、東亞合成(株))29質量部、光重合開始剤(IRGCUR184、BASFジャパン(株))2質量部を含有する光重合性樹脂組成物を、乾燥厚みが30μmとなるように塗布し、80℃で5分間乾燥後、高圧水銀ランプにて1000mJ光照射することにより転写体を作成した。
【0046】
転写体原盤から引き剥がした転写体の表面にバンプ用導電フィラーとして平均粒子径30μmの半田粒子(微粉半田粉、三井金属鉱業(株))を散布した後、エアブローすることにより凹部に半田粒子を充填した。
【0047】
転写体の半田粒子充填面に対し、PETフィルム上に成膜された厚さ20μmの絶縁性接着樹脂フィルムを載せ、温度50℃、圧力0.5MPaで押圧することにより、絶縁性接着樹脂フィルムに半田粒子を埋め込みながら転写させた。導電粒子の配列パターンは、1:1配列(一つの電極パッドに一つの導電粒子が配置されている態様)であった。これにより、全厚が30μmのバンプ形成用フィルムを得た。なお、このバンプ形成用フィルムにおいては導電粒子の一方の端部とフィルム界面とが略一致していた。
【0048】
なお、実施例1で使用した絶縁性接着樹脂フィルムは、フェノキシ樹脂(YP−50、新日鉄住金化学(株))60質量部、エポキシ樹脂(jER828、三菱化学(株))40質量部、及びカチオン系硬化剤(SI−60L、三新化学工業(株))2質量部を含む混合溶液を調製し、それをフィルム厚さ50μmのPETフィルム上に塗布し、80℃のオーブンにて5分間乾燥させて得たフィルムである。
【0049】
実施例2
凸部の外径を25μm、高さを20μmに変更した転写体原盤を使用する以外、実施例1と同様の操作を繰り返すことにより転写体を用意し、この転写体に対し、平均粒子径20μmの半田粒子(微粉半田粉、三井金属鉱業(株))を散布した後、エアブローすることにより凹部に半田粒子を充填した。
【0050】
半田粒子が充填された転写体の両面に対し、実施例1と同様に絶縁性接着樹脂フィルムを適用することにより、全厚が30μmのバンプ形成用フィルムを得た。なお、このバンプ形成用フィルムにおいても実施例1と同様に導電粒子の一方の端部とフィルム界面とが略一致していた。
【0051】
実施例3
転写体原盤の凸部の密度を平均して28.5個/mmとし、更に導電粒子の配列パターンを、図7に示すように1:5配列とする以外、実施例2と同様の操作を繰り返すことによりバンプ形成用フィルムを得た。本実施例では、1:5配列として、フィルムを平面視した場合に、転写すべき電極パッドPとそれに近接して導電粒子2を計5個配置した。
【0052】
比較例1
凸部をランダムに配した転写体原盤(凸部の密度は60個/mm)を使用すること以外、実施例1と同様の操作を繰り返すことによりバンプ形成用フィルムを得た。
【0053】
実施例4〜6及び比較例2
転写体の半田粒子充填面に適用する絶縁性接着樹脂フィルムとして、PETフィルム上に成膜された厚さ30μmの絶縁性接着樹脂フィルムを載せ、温度50℃、圧力0.5MPaで押圧することにより、絶縁性接着樹脂フィルムに半田粒子を埋め込みながら転写させたこと以外、実施例1〜3及び比較例1と同様の操作を繰り返すことにより、それぞれ全厚が30μmのバンプ形成用フィルムを得た。なお、これらのバンプ形成用フィルムにおいても実施例1と同様に導電粒子の一方の端部とフィルム界面とが略一致していた。
【0054】
なお、実施例4〜6及び比較例2で使用した絶縁性接着樹脂フィルムは、フェノキシ樹脂(YP−50、新日鉄住金化学(株))30質量部、アクリルモノマー(ライトアクリレート3EGA、共栄社化学(株))60質量部、及び光ラジカル重合開始剤(IRGACURE 184、BASFジャパン(株))3質量部を含む混合溶液を調製し、それをフィルム厚さ50μmのPETフィルム上に塗布し、80℃のオーブンにて5分間乾燥させて得たフィルムである。
【0055】
実施例7〜9及び比較例3
転写体の半田粒子充填面に適用する絶縁性接着樹脂フィルムとして、PETフィルム上に成膜された厚さ30μmの絶縁性接着樹脂フィルムを載せ、温度50℃、圧力0.5MPaで押圧することにより、絶縁性接着樹脂フィルムに半田粒子を埋め込みながら転写させたこと以外、実施例1〜3及び比較例1と同様の操作を繰り返すことにより、それぞれ全厚が30μmのバンプ形成用フィルムを得た。なお、これらのバンプ形成用フィルムにおいても実施例1と同様に導電粒子の一方の端部とフィルム界面とが略一致していた。
【0056】
なお、実施例7〜9及び比較例3で使用した絶縁性接着樹脂フィルムは、フェノキシ樹脂(YP−50、新日鉄住金化学(株))30質量部、アクリルモノマー(ライトアクリレート3EGA、共栄社化学(株))60質量部、離型剤(BYK3500、ビックケミー・ジャパン(株))3質量部及び光ラジカル重合開始剤(IRGACURE 184、BASFジャパン(株))3質量部を含む混合溶液を調製し、それをフィルム厚さ50μmのPETフィルム上に塗布し、80℃のオーブンにて5分間乾燥させて得たフィルムである。
【0057】
(評価)
実施例1〜9及び比較例1〜3のバンプ形成用フィルムを使用して以下に説明するように接続構造体を作成し、バンプ形成時の導通抵抗値(初期導通抵抗値)と、温度85℃、湿度85%の環境下で電圧50V印可時の導通抵抗値(高温高湿バイアス試験後抵抗値)とを測定し評価した。導抵抗値は、デジタルマルチメータ(34401A、アジレント・テクノロジー(株))を用いて4端子法で1mAの通電条件下で測定した。
【0058】
初期導通抵抗値については、5Ω以下を良好(G)とし、それを超える場合を不良(NG)とした。また、高温高湿バイアス試験後導通抵抗値については、20Ω以下を良好(G)とし、それを超える場合を不良(NG)とした。得られた結果を表1に示す。
【0059】
(実施例1〜3、比較例1のバンプ形成用フィルムを用いた接続構造体の作成)
ペリフェラル配置のアルミ電極パッド(直径30μm、85μmピッチ、280ピン)を有するバンプレスICチップ(サイズ:7mm縦×7mm横×200μm厚)の当該電極パッドにバンプ形成用フィルムを配置し、温度50℃、圧力0.5MPaで押圧することにより貼り付け固定した。実施例1〜2の場合には一つの電極パッドに一つのバンプ用導電フィラー(半田粒子)が対応するようにした。このバンプ形成用フィルムが貼り付けられたICチップを、IC実装用ガラスエポキシ基板(材質:FR4)に、温度180℃、圧力40MPa、加熱加圧時間10秒という条件で接続した。これにより接続構造体を得た。
【0060】
(実施例4〜6、比較例2のバンプ形成用フィルムを用いた接続構造体の作成)
バンプ形成用フィルムを、実施例1と同様にICチップに貼り付けた後、波長365nmの紫外線を照射(照射強度100mW、照射量2000mW/cm)し、光ラジカル重合させることにより固定した。実施例3〜4の場合には一つの電極パッドに一つのバンプ用導電フィラー(半田粒子)が対応するようにした。このバンプ形成用フィルムが貼り付けられたICチップを、カチオン重合性絶縁性接着樹脂フィルム(フェノキシ樹脂(YP−50、新日鉄住金化学(株))60質量部、エポキシ樹脂(jER828、三菱化学(株))40質量部、及びカチオン系硬化剤(SI−60L、三新化学工業(株))2質量部からなるフィルム)を介して、IC実装用ガラスエポキシ基板(材質:FR4)に、温度180℃、圧力40MPa、加熱加圧時間20秒という条件で接続した。これにより接続構造体を得た。
【0061】
(実施例7〜9、比較例3のバンプ形成用フィルムを用いた接続構造体の作成)
バンプ形成用フィルムを、実施例1と同様にICチップに貼り付けた後、波長365nmの紫外線を照射(照射強度100mW、照射量2000mW/cm)し、光ラジカル重合させることにより固定した。実施例5〜6の場合には一つの電極パッドに一つのバンプ用導電フィラー(半田粒子)が対応するようにした。このバンプ形成用フィルムをICチップから引きはがしたところ、ICチップの電極パッドにバンプ形成用導電フィラーが接合されていた。次に、この状態のICチップを、IC実装用ガラスエポキシ基板(材質:FR4)に、温度180℃、圧力40MPa、加熱加圧時間20秒という条件で接続した。これにより接続構造体を得た。
【0062】
【表1】
【0063】
表1からわかるように、実施例1〜9のバンプ形成用フィルムは、バンプレスICチップの電極パッドに、バンプとして機能する導電フィラーを配置することができ、「初期導通抵抗」及び「高温高湿バイアス試験後導通抵抗」の評価が良好であった。また、ショートの発生もなかった。特に、実施例3、6及び9のバンプ形成フィルムの場合には、バンプレスICチップの一つの電極パッド及びその近傍に存在する導電フィラーの個数が5個となっている。このため、接続構造体の製造時に、バンプ形成フィルムとバンプレスICチップの電極パッドとの間の位置合わせ精度を向上させることができる。それに対し、比較例1〜3のバンプ形成用フィルムは、「初期導通抵抗」及び「高温高湿バイアス試験後導通抵抗」の評価がいずれも不良であった。ショートも発生した。
【0064】
実施例10
実施例1から、転写体原盤の凸部を外径12μm、高さ10μmに変更し、導電粒子の配列を図8に示すように1:4配列に変更し、更にバンプ用導電フィラーを平均粒子径10μmの金/ニッケル被覆樹脂粒子(ミクロパール、積水化学工業(株))に変更し、絶縁性接着樹脂フィルムの厚みを8μmにすること以外は実施例1と同様の操作を繰り返すことにより、全厚が10μmのバンプ形成用フィルムを得た。なお、転写体原盤における凸部の密度は22.9個/mmであった。また、凸部の最近接距離は4.9μmであった。
【0065】
実施例11
実施例1から、転写体原盤の凸部を外径12μm、高さ10μmに変更し、導電粒子の配列を図9に示すように1:16配列に変更し、更にバンプ用導電フィラーを平均粒子径10μmの金/ニッケル被覆樹脂粒子(ミクロパール、積水化学工業(株))に変更すること以外は実施例1と同様の操作を繰り返すことにより、全厚が10μmのバンプ形成用フィルムを得た。このようにバンプの外周部にもバンプ用導電フィラーを存在させることで、フィルムの貼り合せ工程のズレの許容範囲を広くすることができる。なお、転写体原盤における凸部の密度は91.4個/mmであった。また、凸部の最近接距離は4.9μmであった。
【0066】
実施例12
実施例1から、転写体原盤の凸部を外径12μm、高さ10μmに変更し、導電粒子の配列を図10に示すように1:3配列に変更し、更にバンプ用導電フィラーを平均粒子径10μmの金/ニッケル被覆樹脂粒子(ミクロパール、積水化学工業(株))に変更すること以外は実施例1と同様の操作を繰り返すことにより、全厚が10μmのバンプ形成用フィルムを得た。なお、転写体原盤における凸部の密度は17.1個/mmであった。また、凸部の最近接距離は4.9μmであった。
【0067】
実施例13
実施例1から、転写体原盤の凸部を外径12μm、高さ10μmに変更し、導電粒子の配列を図11に示すように1:9配列に変更し、更にバンプ用導電フィラーを平均粒子径10μmの金/ニッケル被覆樹脂粒子(ミクロパール、積水化学工業(株))に変更すること以外は実施例1と同様の操作を繰り返すことにより、全厚が10μmのバンプ形成用フィルムを得た。このようにバンプの外周部にもバンプ用導電フィラーを存在させることで、フィルムの貼り合せ工程のズレの許容範囲を広くすることができる。なお、転写体原盤における凸部の密度は51.4個/mmであった。また、凸部の最近接距離は4.9μmであった。
【0068】
実施例14
実施例1から、転写体原盤の凸部を外径12μm、高さ10μmに変更し、導電粒子の配列を図12に示すように1:6配列に変更し、更にバンプ用導電フィラーを平均粒子径10μmの金/ニッケル被覆樹脂粒子(ミクロパール、積水化学工業(株))に変更すること以外は実施例1と同様の操作を繰り返すことにより、全厚が30μmのバンプ形成用フィルムを得た。なお、転写体原盤における凸部の密度は34.3個/mmであった。また、凸部の最近接距離は4.9μmであった。
【0069】
実施例15
実施例1から、転写体原盤の凸部を外径12μm、高さ10μmに変更し、導電粒子の配列を図13に示すように1:20配列に変更し、更にバンプ用導電フィラーを平均粒子径10μmの金/ニッケル被覆樹脂粒子(ミクロパール、積水化学工業(株))に変更すること以外は実施例1と同様の操作を繰り返すことにより、全厚が10μmのバンプ形成用フィルムを得た。このようにバンプの外周部にもバンプ用導電フィラーを存在させることで、フィルムの貼り合せ工程のズレの許容範囲を広くすることができる。なお、転写体原盤における凸部の密度は114.3個/mmであった。また、凸部の最近接距離は4.9μmであった。
【0070】
実施例16
実施例1から、転写体原盤の凸部を外径24μm、高さ20μmに変更し、導電粒子の配列を図14に示すように1:2配列に変更し、更にバンプ用導電フィラーを平均粒子径20μmの金/ニッケル被覆樹脂粒子(ミクロパール、積水化学工業(株))に変更し、絶縁性接着樹脂フィルムの厚みを16μmにすること以外は実施例1と同様の操作を繰り返すことにより、全厚が20μmのバンプ形成用フィルムを得た。なお、転写体原盤における凸部の密度は11.4個/mmであった。また、凸部の最近接距離は9.9μmであった。
【0071】
実施例17
実施例1から、転写体原盤の凸部を外径24μm、高さ20μmに変更し、導電粒子の配列を図15に示すように1:8配列に変更し、更にバンプ用導電フィラーを平均粒子径20μmの金/ニッケル被覆樹脂粒子(ミクロパール、積水化学工業(株))に変更すること以外は実施例1と同様の操作を繰り返すことにより、全厚が20μmのバンプ形成用フィルムを得た。このようにバンプの外周部にもバンプ用導電フィラーを存在させることで、フィルムの貼り合せ工程のズレの許容範囲を広くすることができる。なお、転写体原盤における凸部の密度は45.71個/mmであった。また、凸部の最近接距離は9.9μmであった。
【0072】
(実施例10〜17のバンプ形成用フィルムを用いた接続構造体の作成)
実施例10〜15のバンプ形成用フィルムを用いる以外、実施例1の場合と同様に接続構造体を作成した。また、実施例16及び17のバンプ形成用フィルムの場合には、評価対象となるペリフェラル配置のアルミ電極パッドを、縦30μm×横85μm、85μmピッチ(パッド間スペース55μm)、280ピンのものに変更する以外は実施例1の場合と同様に接続構造体を作成した。
【0073】
実施例10〜17で作成した接続構造体の初期導通抵抗の評価を、実施例1の場合と同様に行ったところ、すべて5Ω以下であり、実用上問題ないことが確認できた。また、85℃/85%環境試験500時間後の導通信頼性試験を行ったところ、高温高湿バイアス試験後導通抵抗値は全て20Ω以下の結果を示し、実用性に問題ないことを確認した。また、全てにおいてショートは発生しなかった。
【0074】
また、実施例10〜15の樹脂フィルムについては、それぞれ厚みを20μmに変更し、及び実施例16および17の樹脂フィルムについては、それぞれ厚みを25μmに変更し、且つ導電粒子をフィルムの一方の面に押し込み埋没させた以外は、それぞれ実施例10〜17と同様の操作を繰り返すことにより、バンプ形成用フィルムと接続構造体とを作成した。これらについてそれぞれ実施例10〜17と同様に評価したところ、実施例10〜17の場合と同様に良好な結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明のバンプ形成用フィルムは、バンプレスICチップ等を配線基板に実装する際に有用である。
【符号の説明】
【0076】
1 絶縁性接着樹脂層
2 バンプ用導電フィラー
6 絶縁性接着カバー層
10、20 バンプ形成用フィルム
30 パッシベーション膜
50 転写体の凹部
60 ベース電極
100 転写体
200 半導体装置
P 電極パッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15