(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6750235
(24)【登録日】2020年8月17日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】表示装置及び電子機器並びに導光ユニット
(51)【国際特許分類】
G09F 13/20 20060101AFI20200824BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20200824BHJP
G09F 13/00 20060101ALI20200824BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20200824BHJP
【FI】
G09F13/20 L
F21V8/00 310
G09F13/00 B
F21Y101:00
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-16723(P2016-16723)
(22)【出願日】2016年1月29日
(65)【公開番号】特開2017-134376(P2017-134376A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2018年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和
(72)【発明者】
【氏名】西澤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】永井 尚
(72)【発明者】
【氏名】郷木 理史
(72)【発明者】
【氏名】草場 則次
【審査官】
渡邉 勇
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−019524(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3091592(JP,U)
【文献】
特開平09−016096(JP,A)
【文献】
特開2005−197013(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0043196(US,A1)
【文献】
特開2015−076308(JP,A)
【文献】
特開2001−184003(JP,A)
【文献】
特開2001−071813(JP,A)
【文献】
特開平06−083275(JP,A)
【文献】
特許第5353128(JP,B2)
【文献】
米国特許第6876313(US,B2)
【文献】
中国実用新案第204498317(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 13/00 − 13/46
F21S 2/00
F21V 8/00
F21Y115/10
H01L 33/00 − 33/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルと、
前記パネルの背面に対して突き当たるように配置された基板と、
前記基板上に、該基板に平行に前記パネルに向けて光を発するように配置された発光素子と、
前記発光素子からの光が入り、該光を前記パネルの前面側に導いて出力する導光体とを備え、
前記導光体は、前記基板の端面と前記パネルの背面との間に挟まれて配置されており、
前記導光体には、該導光体を覆って光漏れを防止するカバー部材が取り付けられており、前記カバー部材に、前記基板の端部が嵌め込まれる凹部が設けられていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記導光体は、前記基板の上面から突出して設けられ前記発光素子の光が入る入光部と、該光を前記基板の前記端面から離れる方向に出す出光部とを有しており、
前記パネルには、前記導光体の前記出光部を該パネルの前面側に露出させる開口部が設けられており、
前記開口部と前記基板の前記端面とが対峙して設けられ、前記開口部と前記基板の前記端面との間に前記導光体が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記開口部は前記パネルの厚み方向に貫通する孔として形成されており、該開口部に前記出光部が嵌め込まれていることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記導光体が前記パネルに仮留めされていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記基板の端部に切欠き部が設けられており、前記切欠き部と前記凹部とが互いに嵌め合わされていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の前記表示装置と、前記パネルの前面に露出する端子部品とを備え、前記端子部品が前記基板に搭載されていることを特徴とする電子機器。
【請求項7】
背面に設けられた入光部を通して入る光を、前面に設けられた出光部へ導いて出力する導光体と、
前記導光体の上下左右の側部を囲って光漏れを防止するカバー部材とを備え、
前記カバー部材は、前面側にパネルとの取付面が設けられるとともに、背面側に基板の端部を嵌め込むための凹部が設けられており、
前記出光部が、前記凹部と略同じ高さに設けられていることを特徴とする導光ユニット。
【請求項8】
前記入光部は、前記凹部に前記基板を嵌め込んだ際に、前記基板上に配置された発光素子の光が入る位置に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の導光ユニット。
【請求項9】
前記出光部は、前記取付面よりも突出する凸形状に設けられるとともに、前記パネルに設けられた開口部に挿入可能に設けられていることを特徴とする請求項7又は8に記載の導光ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光の有無により動作状況等を表示する表示装置及びその表示装置を備える電子機器、並びに表示装置に用いられる導光ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
発光の有無により動作状況等を表示する表示装置として、例えば特許文献1には、基板(プリント基板)に実装され基板の上方に向けて光を発する発光素子と、基板の上方で発光素子に近接して配設され、発光素子からの光を反射する傾斜面及び反射した光が出ていく表示部とからなる透光部材(具体的には、プリズム等の導光部)とを備えた表示装置が開示されている。この表示装置では、発光素子が実装された基板は、前面パネルに直交して取り付けられている。また、透光部材は、その表示部を前面パネルの貫通穴に挿入して上部周壁を前面パネルに当接させて固定されている。
【0003】
また、特許文献2には、パネルと、パネルに対して突き当たるように基板固定部を介して取り付けられた基板と、基板上に搭載された発光素子と、パネルに固定された導光ユニットとを備えた表示装置が開示されている。この表示装置の導光ユニットは、基板の下面に配置されており、基板から下方に向けて光を発する発光素子の光をパネル側に向かって導く導光部と、導光部を覆って光漏れを防止するカバー部とから構成されている。導光ユニットは、カバー部に設けられたフランジ部をパネルの裏面に貼り付けることによりパネルに固定されている。また、発光素子が搭載された基板と導光部を備える導光ユニットとは、基板のパネル側の端部をフランジ部に当接するとともに、基板に設けた嵌合穴にカバー部のピンを挿入することにより、位置決めできるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−83275号公報
【特許文献2】特許第5353128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1及び特許文献2に開示される表示装置のように、基板の上面又は下面に向けて発光する発光素子の光を、基板の上方や下方に配置された導光ユニットで受ける構成では、表示装置全体が大型化し、ジャック等の端子部品の近傍に表示装置を配置できないという問題がある。そこで、表示装置の小型化が求められるが、表示装置を小型化すると、その取扱いや組立ても困難なものとなることから、表示装置の取立て作業性の向上も求められている。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、小型化を図ることができ、かつ、組立てが容易な表示装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の表示装置は、パネルと、前記パネルの背面に対して突き当たるように配置された基板と、前記基板上に、該基板に平行に前記パネルに向けて光を発するように配置された発光素子と、前記発光素子からの光が入り、該光を前記パネルの前面側に導いて出力する導光体とを備え、前記導光体は、前記基板の端面と前記パネルの背面との間に挟まれて配置されて
おり、前記導光体には、該導光体を覆って光漏れを防止するカバー部材が取り付けられており、前記カバー部材に、前記基板の端部が嵌め込まれる凹部が設けられている。
【0008】
この表示装置では、導光体の全体ないし主要部を、基板の上面側(上方)や下面側(下方)に配置するのではなく、基板の端面とパネルとの間に配置し、基板上のその端面の近傍に搭載された発光素子からの光を導光体で受ける構成としている。これにより、基板上に配置される他の端子部品等の間の僅かなスペースに発光素子を配置して、基板の部品密度を上げることができるとともに、表示装置全体としての小型化を図ることができる。また、導光体は、基板の端面とパネルの背面との間に挟むことで保持されることから、表示装置の組立を容易に行うことができる。
また、カバー部材に設けた凹部をガイドとして、導光ユニットの位置を正確に合わせて組み立てることができる。また、カバー部材の凹部に基板の端部を嵌め込むことで、発光素子の周辺がカバー部材で覆われ、発光装置を備える電子機器において、導光体からその電子機器の筐体内部への光漏れと、筐体内部の光の導光体へ光漏れを防止できる。
【0009】
本発明の表示装置において、前記導光体は、前記基板の上面から突出して設けられ前記発光素子の光が入る入光部と、該光を前記基板の前記端面から離れる方向に出す出光部とを有しており、前記パネルには、前記導光体の前記出光部を該パネルの前面側に露出させる開口部が設けられており、前記開口部と前記基板の前記端面とが対峙して設けられ、前記開口部と前記基板の前記端面との間に前記導光体が配置されているとよい。
【0010】
開口部と基板の端面とを対峙させて配置することで、導光体の大部分を基板の端面とパネルとの間で基板の厚みの範囲内に配置できるので、さらに表示装置の小型化を図ることができる。
【0011】
本発明の表示装置において、前記開口部は前記パネルの厚み方向に貫通する孔として形成されており、該開口部に前記出光部が嵌め込まれているとよい。
パネルの開口部に導光体の出光部を嵌め込んで、パネルと導光体とのおおよその位置決めを容易に行うことができ、組立て作業性が向上する。
【0012】
本発明の表示装置において、前記導光体が前記パネルに仮留めされているとよい。
基板の端面とパネルとの間に導光体を配置するより前に、予めパネルに導光体を仮留めしておくことで、パネルと導光体とを一体に取り扱うことができ、組立て作業性を向上できる。具体的には、両面テープ等を予めパネルの背面に貼り付けておき、この両面テープで導光体をパネルに仮留めすることができる。
【0014】
本発明の表示装置において、前記基板の端部に切欠き部が設けられており、前記切欠き部と前記凹部とが互いに嵌め合わされているとよい。
基板に設けた切欠き部とカバー部材の凹部とを互いに嵌め合わせることにより、導光ユニットの位置合わせをより強力に行うことができる。
【0015】
本発明の電子機器は、前記表示装置と、前記パネルの前面に露出する端子部品とを備え、前記端子部品が前記基板に搭載されている。
【0016】
本発明の導光ユニットは、背面に設けられた入光部を通して入る光を、前面に設けられた出光部へ導いて出力する導光体と、前記導光体の上下左右の側部を囲って光漏れを防止するカバー部材とを備え、前記カバー部材は、前面側にパネルとの取付面が設けられるとともに、背面側に基板の端部を嵌め込むための凹部が設けられており、前記出光部が、前記凹部と略同じ高さに設けられている。
【0017】
本発明の導光ユニットにおいて、前記入光部は、前記凹部に前記基板を嵌め込んだ際に、前記基板上に配置された発光素子の光が入る位置に設けられている。
【0018】
本発明の導光ユニットにおいて、前記出光部は、前記取付面よりも突出する凸形状に設けられるとともに、前記パネルに設けられた開口部に挿入可能に設けられている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、基板上に配置される他の端子部品等の間の僅かなスペースに発光素子を配置して基板の部品密度を上げ、表示装置の小型化を図るとともに、表示装置の組み立てを容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る表示装置を用いた電子機器全体を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す電子機器を正面から見た要部図である。
【
図3】
図2に示す電子機器においてパネルを外して筐体を開口させた状態を示す要部図である。
【
図4】
図2に示す電子機器のパネルを背面側から見た要部図である。
【
図6】
図2に示すA‐A線に沿う矢視断面における要部断面図であり、表示装置の組立手順を説明する図である。
【
図7】
図6と同位置における電子機器の要部断面図であり、表示装置の組立手順を説明する図である。
【
図8】
図6と同位置における電子部品の要部断面図であり、表示装置の組立手順を説明する図である。
【
図9】
図1に示す電子機器に設けられる基板の要部斜視図である。
【
図10】
図9に対応する基板の要部斜視図であり、端子部品を取り外した状態を示す。
【
図11】導光ユニットを構成する導光体とカバー部材とを説明する斜視図である。
【
図12】導光ユニットと基板との配置関係を説明する斜視図である。
【
図13】本発明のその他の実施形態を示す表示装置の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る表示装置を備える電子機器を示す図である。以下、この
図1に示す電子機器100を例に説明を行う。
電子機器100は、
図1に示すように、全体として矩形状とされる筐体9を有し、表示装置1は、この筐体9の前面側に配置されたパネル91に設けられている。なお、電子機器100には、筐体9内部に配設される基板2上に取り付けられた端子部品8(例えば、マイク等を接続するXLR型ジャック)や操作子等の部品が複数設けられているが、
図1では、これらの部品の一部のみを表示した。
【0022】
以降の説明では、パネル91側を電子機器100の前側(前面側、正面側)、パネル91と反対側を電子機器100の後側(後面側、背面側)とし、電子機器100の前側から後側を向いた左方向を電子機器100の左側、右方向を電子機器100の右側とする。また、電子機器100の左右方向をx方向、電子機器100の前後方向をy方向、電子機器100の上下方向をz方向とする。
【0023】
表示装置1は、
図8に示すように、パネル91と、基板2と、発光素子としてのLEDチップ3と、LEDチップ3からの光が入り、その光をパネル91の前面側に導いて出力する導光体4と、導光体4を覆って光漏れを防止するカバー部材5とを備えている。パネル91は、前述したように、電子機器100を構成する筐体9の正面に設けられている。そして、パネル91には、
図2に示すように、筐体9内部に配置された端子部品8を筐体9の外部、すなわちパネル91の前面側に露出させるための貫通孔92と、導光体4の出光部44をパネル91の前面側に露出させる開口部93とが設けられている。
【0024】
この場合、表示装置1は、各端子部品8に係る機能の状態(例えば、マイク用のファンタム電源のオン/オフ状態、入力信号の有/無、信号レベルの大/小等)を示すインジケータであり、電子機器100には、端子部品8と同数の表示装置1が設けられている。例えば、端子部品8のファンタム電源がオンの場合は、基板2上の制御部(図示せず)から対応するLEDチップ3に電気供給されて、そのLEDチップ3が発光する。一方、端子部品8のファンタム電源がオフの場合は、LEDチップ3に電気が供給されず、LEDチップ3は発光しない。
【0025】
なお、各表示装置1を構成するパネル91及び基板2は、表示装置1の数と同数設ける必要はなく、パネル91と基板2とはそれぞれ表示装置1の数よりも少ない数で構成できる。
図1に示す例では、端子部品8は、パネル91の左右方向(x方向)に複数(例えば8個)並べられて列を形成するとともに、これらの列を上下(z方向)に二列並べた配置とされている。このため、筐体9の前面側に配置される一枚のパネル91に、上下二列にわたり、端子部品8の数と同数(例えば8個×2列)の貫通孔92があけられている。また、LEDチップ3も端子部品8と同様に、上下に二列並べて配置されており、パネル91に、上下二列にわたり、LEDチップ3の数と同数の開口部93があけられている。
【0026】
また、筐体9の内部に配置される基板2は、上下に二枚あり、それぞれの基板2上に、
図9及び
図10に示すように、複数の端子部品8と同数のLEDチップ3とが一列に搭載されている。このように、電子機器100では、複数の表示装置1においてパネル91と基板2とが共有されている。また、電子機器100では、パネル91に設けられた開口部93は、パネル91の厚み方向に貫通する孔として形成されている。
また、基板2は、
図2及び
図8に示すように、パネル91の背面に対して突き当たるようにして配置されており、パネル91に交差(例えば、直交)する方向(y方向)に取り付けられている。なお、基板2は、筐体9の底部側にネジ等で固定されている。そして、この基板2上に、前述したように、端子部品8とLEDチップ3とが搭載されている。
【0027】
また、各LEDチップ3は、
図8に示すように、それぞれ対応する端子部品8の近傍の基板2上に、その基板2に平行に光を発するように配置されている。具体的には、
図3に示すように、端子部品8の外面は円柱状に形成されており、その軸方向を面方向(y方向)に沿って基板2上に配置すると、端子部品8の円柱外面と基板2との間に僅かなスペース85が形成される。各LEDチップ3は、この端子部品8と基板2との間に設けられる僅かなスペース85内に配置されている。また、基板2の端部には、カバー部材5が嵌め込まれる切欠き部21が設けられている。この切欠き部21は必ずしも設けなくてもよいが、切欠き抜21を設けることにより、後述する導光ユニット6の位置合わせがより強力になる。
【0028】
導光体4は、アクリル樹脂等の導光性のある部材から構成されており、
図8に示すように、基板2の端面とパネル91の背面との間に挟まれて配置されている。そして、この導光体4は、LEDチップ3からの光が入る入光部41と、その入った光の向きを変更する2つの反射部42,43と、向きが変更された光を基板2の端面から離れる方向に出す出光部44とを有している。
【0029】
入光部41は、
図8に示すように、導光体4の基板2側に、基板2の上方に、基板2上のLEDチップ3に対向して配置され、LEDチップ3からの光を受けるように設けられている。また、2つの反射部42,43うちの一方の反射部42は、入光部41とほぼ同じ高さ位置において入光部41と対向する位置に設けられており、入光部41から入る水平方向(y方向)の光L1を下方向に向けて反射する。そのため、反射部42は、下方に向かうにしたがって入光部41から離れる斜め下向きの面として形成されている。そして、他方の反射部43は、入光部41よりも下側の基板2の端面とほぼ同じ高さ位置において一方の反射部42と対向する位置に設けられており、一方の反射部42で反射された光L1を、基板2に平行に、パネル91側(出光部44)に向かって反射する。そのため、反射部43は、下方に向かうにしたがってパネル91に接近するような斜め上向きの面として形成されている。
【0030】
また、出光部44は、基板2(及び後述する凹部53)とほぼ同じ高さ位置において他方の反射部43と対向する位置に設けられており、他方の反射部43で反射された光L1は、出光部44から、基板2の端面から離れる方向(y方向)に出る。なお、この出光部44から出る光L2は、LEDチップ3から入光部41に入る光とほぼ平行になる。このように、LEDチップ3の光は、導光体4を通過する過程で進行方向が順次変更され、最終的に、基板2とほぼ同じ高さで、基板2の端面から離れる方向に出力される。また、導光体4の出光部44は、円柱凸状に形成されており、パネル91の開口部93に挿入可能である。そして、パネル91の開口部93と基板2の端面とは対峙して配置され、導光体4の出光部44を開口部93に嵌め込んだ状態で、開口部93と基板2の端面との間に導光体4が挟まれる。なお、出光部44は四角柱など円柱以外の形状としてもよく、それに合わせ、開口部93の形状を、出光部44が嵌められる形状に変更すればよい。
【0031】
カバー部材5は、合成樹脂等の遮光部材から構成されている。このカバー部材5は、導光体4を覆って、LEDチップ3や導光体4からの筐体9内部への光漏れを防止するように設けられており、
図11及び
図12に示すように、導光体4の上下左右の側部を囲うフレーム状に形成され、導光体4が嵌め込まれる挿入孔部51が設けられている。また、カバー部材5は、基板2の上面側に突出して設けられる上部よりも基板2の下面側に突出して設けられる下部の方が幅(x方向の幅)が広く形成されている。カバー部材5の上部と下部とは、幅が広く形成されている方が遮光性が良いので、その観点では、カバー部材5の下部も、上部と同じく幅を広く形成することが望ましいが、端子部品8との干渉を避けるため、上部の幅が下部より狭くなっている。また、カバー部材5の前面は、パネル91の背面と同様な平坦面で形成されており、パネル91との取付面52は、パネル91との接着面積を稼げるカバー部材5の前面下部の幅広の部分に設けられている。
【0032】
なお、導光体4の出光部44は、
図8等に示すように、カバー部材5の前面(パネル91への取付面52)よりもパネル91側に突出する凸形状(ここでは、円柱凸状)に設けられる。一方、カバー部材5の背面側には、基板2の端部を嵌め込むための凹部53が設けられており、カバー部材5は、基板2の端部を凹部53に嵌め込んだとき、基板2の上面側に突出する上側フランジ部54と、基板2の下面側に突出する下側フランジ部55とを有する。そして、これら凹部52の側壁、上側フランジ部54、及び下側フランジ部55により、導光体4の出光部44以外の部分が、上下方向(z方向)及び左右方向(x方向)に覆われている。また、上側フランジ部54は、基板2を凹部53に嵌めたとき、基板2上に搭載されたLEDチップ3、及びLEDチップ3から導光体4の入光部41までの空間を覆う。
【0033】
そして、このように構成される導光体4とカバー部材5とは、導光体4をカバー部材5の挿入孔部51に嵌め込むことによりユニット化され、導光ユニット6となる。なお、導光体4とカバー部材5とは、二色成形技術を用いて一体に成形することで、高精度にユニット化してもよい。その場合、導光体4を形成してからカバー部材5を形成してもよいし、カバー部材5を形成してから導光体4を形成してもよい。
【0034】
次に、電子機器の組み立てを行う組立工が、上述した表示装置1の部分を組み付ける際の手順について説明する。
組立工は、
図3に示すように、まずLEDチップ3が搭載された基板2を筐体9の底部等にねじ止めして固定する。この時、筐体9の前面側は開口している。また、組立工は、
図6及び
図7に示すように、両面テープ95等を使って、導光ユニット6の前面下部(取付面52)をパネル91の背面に貼り付けて、導光ユニット6をパネル91に仮留めする。この際、パネル91の開口部93に、各導光ユニット6の導光体4の出光部44が挿入される。これにより、導光ユニット6は、パネル91上のおおよその位置に位置決めされる。なお、
図2及び
図4に示すように、両面テープ95は長尺状であり、パネル91の複数の開口部93の直ぐ下に、その長手方向を水平方向(x方向)に沿わせて貼り付けられている。つまり、この1つの両面テープ95上に複数の導光ユニット6が貼り付けられるが、小片の両面テープを用いて、複数の導光ユニット6を、1つの両面テープで一つずつパネル91に貼り付けてもよい。また、両面テープに代えて接着剤を使用してもよい。
【0035】
次に、組立工は、筐体9の前面側の開口にパネル91を被せる。この際、筐体9の前面側の開口から覗く基板2の前側端部が、カバー部材5の凹部53に嵌るように配置して被せる。パネル91上の導光ユニット6の位置が多少ずれていても、パネル91を被せる際に、導光ユニット6の凹部53が基板2の端部に設けられた切り欠き部21により押されて、正しい位置に位置決めされる。この結果、
図8に示すように、基板2上のLEDチップ3と各導光体4の出光部41とが互いに対向して配置された状態で、基板2の端面とパネル91の背面との間に各導光ユニット6が挟まれて保持される。そして、組立工は、パネル91をネジ(図示略)によって、筐体9の開口部に固定し、表示装置1に関連する部分の組立てを完了する。この例では、筐体9に基板2を取り付けてから、パネル91を被せて固定するようにしていたが、この手順を逆にして、まず筐体9にパネル91を被せて固定してから、筐体9に基板2を固定するようにしてもよい。また、表示装置1の組み立ては、組立工の代わりにロボットが行うようにしてもよい。
【0036】
以上のように構成される表示装置1では、導光ユニット6(導光体4)を基板2の上面側(上方)や下面側(下方)に配置するのではなく、基板2の端面とパネル91との間に配置し、基板2上のその端面の近傍に搭載された小さなLEDチップ3(発光素子)からの光を受けるようにしている。これにより、基板2上に配置される他の端子部品8等の間の僅かなスペース85にLEDチップ3と導光ユニット6(導光体4)を配置して、基板2の部品密度を上げることができるとともに、表示装置1全体としての小型化を図ることができる。また、導光ユニット(導光体4)は、
図8に示すように、基板2の端面とパネル91の背面との間に挟むことで保持されることから、表示装置1の組み立てを容易に行うことができる。
【0037】
また、パネル91の開口部93と基板2の端面とを対峙させ、導光ユニット6(導光体4)を、基板2の端面とパネル91との間に挟むことで、正しい位置に安定して保持できる。また、本実施形態のように、開口部93をパネル91の厚み方向に貫通する孔とし、開口部93に導光体4の出光部44を嵌め込むことで、パネル91上の導光体4のおおよその位置決めを容易に行うことができる。さらに、基板2の端面にパネル91を対峙して配置する前に、予めパネル91に導光体4を仮留めしておくことで、パネル91と導光体4とを一体に取り扱うことができ、組み立て作業性を向上できる。
【0038】
また、カバー部材5に基板2の端部が嵌め込まれる凹部53を設けることで、この凹部53をガイドとして、導光ユニット6と基板2との位置決めを容易に行うことができる。すなわち、凹部53に沿って基板2を嵌めることで、導光ユニット6が開口部93から多少浮いていても、基板2の端部で押し込むことができ、基板2に対する導光ユニット6の方向が多少ずれていてもそれを修正できる。また、カバー部材5の凹部53に基板2の端部を嵌め込むことで、LEDチップ3の周辺がカバー部材5で覆われ、LEDチップ3及び導光体4から筐体9内部への光漏れと、筐体9内部の光の導光体4への光漏れを防止できる。
【0039】
さらに、電子機器100では、基板2の端部に切欠き部21を設けており、この切欠き部21と導光ユニット6の凹部53とを互いに嵌め合わせることにより、導光体4の光が、凹部53から横方向へ漏れつことをさらに防ぐとともに、導光ユニット6の位置合わせをより強力に行うことができる。また、基板2の切欠き部21内に導光ユニット6の一部、すなわち導光体4とカバー部材5の一部を収容するので、基板2の面積を、パネル91ぎりぎり近接するまで拡大できる。したがって、スペース効率に優れた電子機器100とすることができる。
【0040】
なお、上記実施形態の表示装置1では、LEDチップ3を基板2の上面(端子部品8のある側)上に搭載する構成としていたが、
図13に示す表示装置10のように、導光体4の上下を逆にした導光ユニット60を用意して、基板2の下面(端子部品8の無い側)上にLEDチップ30を搭載して、LEDチップ30からの光を導光体4で導く構成とすることもできる。その場合、導光ユニット60のカバー部材50は、表示装置1のカバー部材5と同様、基板2の上面側に突出する上部よりも基板2の下面側に突出する下部の方が幅(x方向の幅)が広くなるように形成して、その前面下部にパネル91との仮留めのための取付面56を設ければよい。
【0041】
また、上記実施形態の表示装置1では、導光体4の全体を、基板2の端面とパネル91との間に配置していたが、導光体4の主要部を基板2の端面とパネル91との間に配置し、導光体4の入光部41の全部ないし一部を、基板2の上面ないし下面に突き出して配置してもよい。
さらに、上記実施形態の表示装置1では、パネル91には厚み方向に貫通し、光を通す孔で形成された開口部93があったが、パネル91をアクリル等の透光素材にすれば、開口部93を無くすことができる。その場合、導光体4の出光部44を、フラットに形成し、パネル91との取付面52から突出しない形状にすればよい。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、表示装置1を筐体9の正面側のパネル91に設けていたが、筐体の正面、背面、上面、下面(底面)、右側面、左側面のいずれの面のパネルに設けてもよい。また、筐体を構成する複数のパネルに、それぞれ表示装置を設けてもよい。
【0043】
また、基板2上に搭載される端子部品は、XLR型ジャックに限らず、RJ45ジャック、スピーカジャック等、その軸方向を基板に平行にして基板に取り付けるタイプの端子部品であればよい。さらに、上記実施形態では、表示装置1を、各端子部品8に関連する機能の状態を示すインジケータとして設けていたが、本発明の表示装置は、端子部品とは関係なく、限られたスペース内に発光素子の光をパネルの背面側から前面側に導いて出力する表示装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0044】
1,10…表示装置、2…基板、3,30…LEDチップ(発光素子)、4…導光体、5,50…カバー部材、6,60…導光ユニット、8…端子部品、9…筐体、21…切欠き部、41…入光部、42,43…反射部、44…出光部、51…挿入孔部、52,56…取付面、53…凹部、54…上側フランジ部、55…下側フランジ部、85…スペース、91…パネル、92…貫通孔、93…開口部、95…両面テープ、100…電子機器