(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、配管室内の相対湿度が比較的高い場合等において、蒸気配管から蒸気が漏洩していないにも関わらず蒸気漏洩検知器が蒸気漏洩を検出することがあった。すなわち、蒸気漏洩検知器が誤動作することがあった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、誤動作を抑制することができる蒸気漏洩検知器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る蒸気漏洩検知器は、複数の第1フィンを有する第1電極と、隣接する前記第1フィンの間に配置される第2フィンを備える第2電極と、前記第2電極に接する第1面、及び前記第1面とは反対側の第2面を備えるペルチェ素子と、配管室内の気温を検出する温度センサと、前記配管室内の湿度を検出する湿度センサと、前記温度センサ及び前記湿度センサから得た情報により露点温度を演算でき、且つ前記第1面の温度が前記露点温度よりも高くなるように前記ペルチェ素子に流れる電流を制御するコントローラと、前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量を検出できる静電容量検出器と、を備える。
【0007】
これにより、第2電極の表面温度は露点温度よりも高くなりやすいので、通常時においては第2電極における結露が防止される。このため、第1電極と第2電極との間の静電容量は大きく変化しない。一方、蒸気配管で蒸気漏洩が生じたとき、配管室内の湿度が急激に上昇するので、第2電極に結露が生じる。隣接する第1フィンの間に第2フィンが配置されていることにより、第2フィンに生じた水滴が第1フィンに接しやすい。水滴が第1フィン及び第2フィンの両方に接すると、第1電極と第2電極との間の静電容量は大きく変化するので、静電容量検出器によって蒸気漏洩が検出される。すなわち、蒸気漏洩検知器は、通常時において静電容量検出器は作動しないが、蒸気漏洩時においては静電容量検出器が速やかに作動する。したがって、蒸気漏洩検知器は、誤動作を抑制することができる。
【0008】
本発明の望ましい態様として、前記第2電極は、前記第2フィンの先端に水受け部材を備えることが好ましい。
【0009】
これにより、第2フィンに生じた水滴が水受け部材の周辺に溜りやすくなる。このため、第2フィンに生じた水滴が大きくなりやすいので、水滴が第1フィン及び第2フィンの両方に接しやすくなる。したがって、蒸気漏洩検知器は、蒸気漏洩を検出する精度をより向上させることができる。
【0010】
本発明の望ましい態様として、前記第2電極は、前記第1電極に対して鉛直方向上方に配置されることが好ましい。
【0011】
これにより、水受け部材が第2フィンの下方先端に位置することになる。このため、重力によって水滴が水受け部材に向かって移動するので、水滴がより大きくなりやすい。したがって、蒸気漏洩検知器は、蒸気漏洩を検出する精度をより向上させることができる。
【0012】
本発明の望ましい態様として、前記第2面の放熱を促進するためのヒートシンクを備えることが好ましい。
【0013】
これにより、第1面が吸熱面(第2面が放熱面)となるようにペルチェ素子が制御されているとき、第2面の温度上昇が抑制される。このため、ペルチェ素子が第2電極を冷却するときの冷却効率が向上する。
【0014】
本発明の望ましい態様として、前記ヒートシンクを加熱できるヒートシンクヒータを備え、前記コントローラは、前記第2面が吸熱面であるときに前記ヒートシンクヒータを稼働させることが好ましい。
【0015】
ペルチェ素子の第2面が吸熱面であるときは、ヒートシンクが冷却されるので、ヒートシンクに結露が生じる可能性がある。これに対して、ヒートシンクヒータが設けられていることで、ヒートシンクの温度低下が抑制される。これにより、ヒートシンクにおける結露が抑制される。
【0016】
本発明の望ましい態様として、前記配管室内の空気を前記ヒートシンクに導く冷却空気供給路と、前記冷却空気供給路から前記ヒートシンクに導かれた空気を空調排気ダクトに導く冷却空気排出路と、を備えることが好ましい。
【0017】
これにより、蒸気漏洩検知器内の空気は、空調排気ダクトによって吸引される。このため、配管室の空気が冷却空気供給路を介してヒートシンクに流入する。したがって、ヒートシンクの放熱が促進されるので、ペルチェ素子が第2電極を冷却するときの冷却効率が向上する。
【0018】
本発明の望ましい態様として、前記冷却空気排出路を通過する空気の流量を検出する流量センサと、前記冷却空気供給路と前記冷却空気排出路との間に気流を発生させられるファンと、を備え、前記コントローラは、前記流量センサで検出された流量が所定流量以下であるときに、前記ファンを稼働させることが好ましい。
【0019】
これにより、空調排気ダクト内の空気の流動が停止した場合であっても、配管室の空気のヒートシンクへの流入が保持される。このため、空調排気ダクト内の空気の流動が停止した場合であっても、ヒートシンクの放熱効率の低下が抑制される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、誤動作を抑制することができる蒸気漏洩検知器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0023】
(実施形態)
図1は、本実施形態に係る蒸気漏洩検知器が設けられた配管室を示す模式図である。
図1に示す配管室100は、例えば火力発電所又は原子力発電所の建屋の中に設けられた部屋である。
【0024】
図1に示すように、配管室100には、例えば複数の蒸気配管101と、火災検知器102と、空調排気ダクト103と、複数の蒸気漏洩検知器1と、が配置されている。蒸気配管101は、例えばボイラで用いられる高圧蒸気又は低圧蒸気を搬送する配管である。火災検知器102は、配管室100における火災の発生を検出するための装置である。空調排気ダクト103は、配管室100の空調及び換気を行うためのダクトである。空調排気ダクト103は、例えば建屋内の排風機に繋がっている。蒸気漏洩検知器1は、蒸気配管101からの蒸気の漏洩を検出するための装置である。例えば、蒸気漏洩検知器1は、配管室100に3つ設けられている。3つの蒸気漏洩検知器1は、連結管104によって空調排気ダクト103に接続されている。
【0025】
図1に示すように、火災検知器102は、火災検知器用制御盤300に信号を送信することができる。火災検知器用制御盤300は、建屋内の複数箇所に設けられた火災検知器からの情報を集約する装置であり、中央制御室400に信号を送信することができる。例えば、火災検知器102は、配管室100に発生した煙又は熱を検知したときに火災検知器用制御盤300に信号を送信する。火災検知器用制御盤300は、火災検知器102から信号を受信すると、中央制御室400に信号を送信する。中央制御室400には警報装置が設けられており、中央制御室400が火災検知器用制御盤300から信号を受信すると、警報装置が作動する。これにより、現場運転員等が火災の発生を認知することができる。
【0026】
図1に示すように、蒸気漏洩検知器1は、蒸気漏洩検知器用制御盤200に信号を送信することができる。蒸気漏洩検知器用制御盤200は、複数の蒸気漏洩検知器1からの情報を集約する装置であり、中央制御室400に信号を送信することができる。例えば、蒸気漏洩検知器1は、配管室100に発生した蒸気漏洩を検知したときに、蒸気漏洩検知器用制御盤200に信号を送信する。蒸気漏洩検知器用制御盤200は、蒸気漏洩検知器1から信号を受信すると、中央制御室400に信号を送信する。中央制御室400が蒸気漏洩検知器用制御盤200から信号を受信すると、警報装置が作動する。具体的には、中央制御室400は、例えば、3つの蒸気漏洩検知器1のうち1つの蒸気漏洩検知器1から信号を受信した場合に予備警報を発令し、3つの蒸気漏洩検知器1のうち2つの蒸気漏洩検知器1から信号を受信した場合に本警報を発令する。これにより、現場運転員等が蒸気漏洩の発生を認知することができる。
【0027】
なお、1つの蒸気漏洩検知器1が故障している場合、中央制御室400は、残り2つの蒸気漏洩検知器1のうち1つの蒸気漏洩検知器1から信号を受信した場合に予備警報を発令し、2つの蒸気漏洩検知器1のうち2つの蒸気漏洩検知器1から信号を受信した場合に本警報を発令すればよい。2つの蒸気漏洩検知器1が故障している場合、中央制御室400は、1つの蒸気漏洩検知器1から信号を受信した場合に本警報を発令すればよい。
【0028】
また、火災検知器102は、蒸気漏洩検知器1とは検出方式が異なるものの蒸気漏洩を検知することも可能である。例えば、中央制御室400は、火災検知器102及び蒸気漏洩検知器1の両方が信号を発した場合、又は蒸気漏洩検知器1のみが信号を発した場合に、蒸気漏洩が生じた旨の警報を発する。一方、中央制御室400は、火災検知器102のみが信号を発した場合に、火災が生じた旨の警報を発する。
【0029】
図2は、本実施形態に係る蒸気漏洩検知器の正面図である。
図3は、本実施形態に係る蒸気漏洩検知器の底面図である。
図4は、
図2におけるA−A断面図である。
図5は、本実施形態に係るコントローラを示す模式図である。
図2に示すように、蒸気漏洩検知器1は、配管室100の天井110に取り付けられる。以下の説明においては、鉛直方向での上方は単に上方と記載され、鉛直方向での下方は単に下方と記載される。
【0030】
図2から
図4に示すように、蒸気漏洩検知器1は、コントローラ3と、温度センサ91と、湿度センサ92と、蒸気検知機構2と、を備える。コントローラ3は、コンピュータであって、例えばCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、内部記憶装置と、入力インターフェースと、出力インターフェースと、を備える。
【0031】
温度センサ91は、配管室100内の空気の温度(気温)を検出するためのセンサである。湿度センサ92は、配管室100内の空気の湿度を検出するためのセンサである。湿度センサ92は、例えば相対湿度を検出する。
図5に示すように、温度センサ91及び湿度センサ92は、それぞれコントローラ3と電気的に接続されている。
【0032】
図4に示すように、蒸気検知機構2は、ケース20と、冷却空気供給路81と、冷却空気排出路82と、第1電極4と、第2電極5と、ペルチェ素子6と、ヒートシンク72と、ヒートシンクヒータ71と、ファン73と、曲げセンサ25と、内部温度センサ26と、流量センサ28と、ペルチェ素子温度センサ29と、を備える。
図5に示すように、ペルチェ素子6、ヒートシンクヒータ71、ファン73、曲げセンサ25、内部温度センサ26、流量センサ28及びペルチェ素子温度センサ29は、コントローラ3と電気的に接続されている。第1電極4及び第2電極5は、コントローラ3に内蔵された静電容量検知器12と電気的に接続されている。
【0033】
ケース20は、蒸気検知機構2の各部材を支持するための部材である。
図4に示すように、ケース20の上面には固定金具11が取り付けられている。例えば、天井110に設けられたベース部材111に対して、ケース20が固定金具11を介して固定される。例えば、ベース部材111には電源供給用及び情報通信用のコネクタ112が設けられている。コネクタ112によって蒸気漏洩検知器1に電源が供給され、且つ蒸気漏洩検知器1と蒸気漏洩検知器用制御盤200との間の情報の送受信が可能となっている。
【0034】
また、ケース20の側面には、冷却空気供給路81及び冷却空気排出路82が接続されている。冷却空気供給路81は、配管室100の空気をヒートシンク72に導く。冷却空気供給路81には、フィルタ811が取り付けられている。フィルタ811は、例えば空気を通し活水を通さない防水フィルタであって、ヒートシンク72等への水分の流入を抑制する。冷却空気排出路82は、ケース20内の空気を空調排気ダクト103(
図1参照)に導く。具体的には、冷却空気排出路82は、蒸気漏洩検知器1と空調排気ダクト103を連結する連結管104(
図1参照)に接続されており、連結管104を介して空調排気ダクト103に排気する。また、冷却空気排出路82には、配管室100内に開口する排気用開口部822が開けられている。
【0035】
ケース20は、空気導入路27と、オリフィス21と、内部通路22と、内部通路23と、内部通路24と、を備える。空気導入路27は、ケース20の下面に設けられた開口部であって、配管室100の空気を第1電極4及び第2電極5に導く。空気導入路27にはフィルタ271が取り付けられている。フィルタ271は、例えば特殊帯電フィルタであって、ホコリ等の異物が空気導入路27を通過することを抑制する。オリフィス21は、第1電極4及び第2電極5を通過した空気を内部通路22に導く微小な穴である。オリフィス21の断面積は、空気導入路27の断面積、内部通路22の断面積、内部通路23の断面積及び内部通路24の断面積より小さい。
図3に示すように、複数のオリフィス21が、空気導入路27を中心とした円周上で等間隔に配置されている。内部通路22は、平面視で円筒状の通路であって、オリフィス21を通過した空気を冷却空気排出路82に導く。内部通路23は、内部通路22の空気をヒートシンク72に導く。内部通路24は、ヒートシンク72を通過した空気を、冷却空気排出路82に導く。
【0036】
図6は、本実施形態に係る第1電極、第2電極及びペルチェ素子を示す側面図である。
図7は、本実施形態に係る第1電極を示す平面図である。
図8は、本実施形態に係る第1電極を示す正面図である。
図9は、本実施形態に係る第2電極を示す底面図である。
図10は、本実施形態に係る第2電極を示す正面図である。
【0037】
第1電極4は、例えば金属で形成された電極である。第1電極4の表面には、例えば撥水加工が施されている。第1電極4は、
図4に示すように、空気導入路27とオリフィス21との間の位置に配置されている。第1電極4は、下側で空気導入路27のフィルタ271と対向しており、上側で第2電極5と対向している。
図6から
図8に示すように、第1電極4は、ベースプレート41と、複数の第1フィン42と、を備える。ベースプレート41は、板状部材であって、縦孔45を備える。縦孔45は、例えばベースプレート41を鉛直方向に沿って貫通する孔である。第1フィン42は、ベースプレート41から突出する板状部材であって、横孔46を備える。横孔46は、水平方向に沿って第1フィン42を貫通する孔である。複数の第1フィン42は、例えば互いに平行であって、水平方向で等間隔に配置されている。言い換えると、第1電極4は櫛状に形成された部材である。
【0038】
第2電極5は、例えば金属で形成された電極である。第2電極5の表面には、例えば撥水加工が施されている。第2電極5は、
図4に示すように、空気導入路27とオリフィス21との間の位置に配置されている。第2電極5は、下側で第1電極4と対向しており、上側でペルチェ素子6と対向している。
図6、
図9及び
図10に示すように、第2電極5は、ベースプレート51と、複数の第2フィン52と、複数の水受け部材53と、を備える。ベースプレート51は、ベースプレート41に対向する板状部材である。第2フィン52は、ベースプレート51から突出する板状部材であって、横孔56を備える。横孔56は、水平方向に沿って第2フィン52を貫通する孔である。複数の第2フィン52は、例えば互いに平行であって、水平方向で等間隔に配置されている。言い換えると、第2電極5は櫛状に形成された部材である。第2フィン52は、隣接する第1フィン42の間に配置されている。すなわち、第1フィン42及び第2フィン52は、水平方向に沿って交互に並べられている。水受け部材53は、例えば第2フィン52の先端に設けられた突起である。水受け部材53は、第2フィン52の両側にある第1フィン42のそれぞれに向かって突出している。
【0039】
上述したように、ケース20が空気導入路27を介して空調排気ダクト103に接続されていることで、配管室100内の空気は空気導入路27を介してケース20内に流入する。空気導入路27を通過した空気は、縦孔45を介してベースプレート41とベースプレート51との間の空間に流入する。ベースプレート41とベースプレート51との間の空間に流入した空気は、横孔46、横孔56及び第1フィン42と第2フィン52との間の隙間を介してオリフィス21へ向かって流動する。オリフィス21を通過する流量は小さいので、空気導入路27とオリフィス21との間の空間における流速は小さくなりやすい。このため、仮に第2電極5に結露が生じた場合でも、空気の流動によって水滴が吹き飛ばされることが抑制される。
【0040】
図5に示す静電容量検知器12は、第1電極4と第2電極5との間の静電容量のしきい値を記憶している。第2電極5の表面に結露が生じると、第1電極4と第2電極5との間の静電容量が増加し、しきい値を超える。
【0041】
ペルチェ素子6は、第2電極5を冷却又は加熱するための装置である。
図4に示すように、ペルチェ素子6は、ペルチェ素子ホルダ63を介してケース20に支持されている。例えば、ペルチェ素子ホルダ63は金属で形成されている。ペルチェ素子6は、流される電流に応じて、第1面61及び第2面62の一方から他方に向かって熱を移動させることができる。第1面61はベースプレート51に接しており、第2面62はペルチェ素子ホルダ63に接している。また、ペルチェ素子6の表面には防湿コーティングが施されている。これにより、ショート等によるペルチェ素子6の破損が防止される。
【0042】
ヒートシンク72は、ペルチェ素子6を冷却するための装置である。ヒートシンク72は、ペルチェ素子6の放熱を促進するための部材であって、例えば金属で形成されている。ヒートシンク72は、ペルチェ素子ホルダ63に接している。
【0043】
ヒートシンクヒータ71は、ヒートシンク72を加熱するための部材である。ペルチェ素子6の第2面62が吸熱面となった場合、ヒートシンク72が冷却されるのでヒートシンク72に結露が生じる可能性がある。ヒートシンクヒータ71は、ヒートシンク72を加熱することで、ヒートシンク72の結露を防止する。
【0044】
ファン73は、冷却空気供給路81と冷却空気排出路82との間に気流を発生させるための装置である。例えば、ファン73は、ケース20内の空気を冷却空気供給路81から冷却空気排出路82に向かう方向に流動させることができる。
図4に示すように、ファン73は、例えば内部通路23と内部通路24との間に配置されている。言い換えると、ファン73は、ヒートシンク72の下流に配置されている。
【0045】
曲げセンサ25は、フィルタ271の詰まりを検出するためのセンサである。曲げセンサ25は、例えば板状の部材であって、撓むと電流抵抗値を変化させる。曲げセンサ25は、ケース20の下面に取り付けられており、フィルタ271が詰まったときのフィルタ271の撓みを検出することができる。コントローラ3は、曲げセンサ25に流れる電流が所定値以下となったときに蒸気漏洩検知器用制御盤200に信号を発する。これにより、中央制御室400が警報を発するので、現場運転員等がフィルタ271の詰まりを認知できる。
【0046】
内部温度センサ26は、ケース20内の空気の温度を検出するためのセンサである。内部温度センサ26は、例えば内部通路23と内部通路24との間に配置されている。すなわち、内部温度センサ26は、ヒートシンク72の下流に配置されている。コントローラ3は、内部温度センサ26で検出される温度が所定値以上となったときファン73を稼働させる。これにより、ケース20内の換気が促進される。さらに、コントローラ3は、ファン73の稼働開始から所定時間経過しても内部温度センサ26で検出される温度が所定値以上であるとき、蒸気漏洩検知器用制御盤200に信号を発する。これにより、中央制御室400が警報を発するので、現場運転員等がケース20内の異常を認知できる。
【0047】
流量センサ28は、ケース20内を通過する空気の流量を検出するためのセンサである。流量センサ28は、例えば冷却空気排出路82に配置されている。流量センサ28は、例えば、検出する流量が所定流量以下のときに信号を発することができる装置であればよい。例えば、流量センサ28は、揺動電極及び固定電極を備えており、流量が所定流量以下になったときに揺動電極が固定電極に接する。コントローラ3は、流量センサ28での通電を検出するとファン73を稼働させる。すなわち、コントローラ3は、ケース20内を通過する空気の流量が所定値以下になったときにファン73を稼働させる。ファン73が稼働すると、
図4に示す冷却空気供給路81から排気用開口部822に向かってケース20内の空気が流動する。これにより、ヒートシンク72の放熱効率の低下が抑制される。
【0048】
ペルチェ素子温度センサ29は、ペルチェ素子6の温度を検出するためのセンサである。具体的には、ペルチェ素子温度センサ29は、第1面61の表面温度を測定する。コントローラ3は、ペルチェ素子温度センサ29で検出される温度が上限温度以上又は下限温度以下となったときに蒸気漏洩検知器用制御盤200に信号を発する。これにより、中央制御室400が警報を発するので、現場運転員等がペルチェ素子6の異常を認知できる。
【0049】
図11は、本実施形態に係るコントローラのブロック図である。
図12は、本実施形態に係るコントローラによるペルチェ素子の制御方法を示すフローチャートである。
図11においてブロックで示されるコントローラ3の各機能は、CPU、ROM、RAM、内部記憶装置、入力インターフェース及び出力インターフェースにより実現される。
【0050】
図12に示すように、
図11に示す露点温度演算部31が、配管室100内の空気の露点温度を演算する(ステップS1)。具体的には、露点温度演算部31は、温度センサ91から受信した気温と、湿度センサ92から受信した相対湿度と、飽和水蒸気圧記憶部301に記憶された飽和水蒸気圧データベースと、に基づいて露点温度を演算する。
【0051】
次に、
図11に示す制御温度設定部32が、ペルチェ素子6の制御温度を演算する(ステップS2)。ペルチェ素子6の制御温度は、第1面61の温度を意味する。具体的には、制御温度設定部32は、露点温度演算部31が演算した露点温度に基づいてペルチェ素子6の制御温度を演算する。制御温度設定部32は、露点温度より所定温度だけ高い温度を演算する。所定温度は、例えば2℃以上3℃以下程度である。
【0052】
ステップS2での演算結果が
図11に示す上限温度記憶部302に記憶された上限温度以上である場合(ステップS3、Yes)、制御温度設定部32は、上限温度をペルチェ素子6の制御温度として出力する(ステップS5)。上限温度は、例えばペルチェ素子6の設計上の耐熱温度である。これにより、ペルチェ素子6の故障が防止される。
【0053】
ステップS2での演算結果が上限温度記憶部302に記憶された上限温度より小さく(ステップS3、No)、且つステップS2での演算結果が
図11に示す下限温度記憶部303に記憶された下限温度以下である場合(ステップS4、Yes)、制御温度設定部32は、下限温度をペルチェ素子6の制御温度として出力する(ステップS6)。下限温度は、例えば氷点(水の凝固点)よりも5℃程度高い温度である。これにより、ペルチェ素子6の凍結が防止される。
【0054】
ステップS2での演算結果が上限温度より小さく(ステップS3、No)且つ下限温度よりも大きい場合(ステップS4、No)、制御温度設定部32は、ステップS2での演算結果をペルチェ素子6の制御温度として出力する(ステップS7)。このように、制御温度設定部32は、露点温度演算部31が演算した露点温度と、上限温度記憶部302に記憶された上限温度と、下限温度記憶部303に記憶された下限温度と、に基づいてペルチェ素子6の制御温度を設定する。
【0055】
次に、
図11に示す制御電圧設定部33が、制御温度設定部32から受信した制御温度を制御電圧に変換する(ステップS8)。具体的には、制御電圧設定部33は、ペルチェ素子温度センサ29から受信した第1面61の温度と制御温度との差に基づいて、制御電圧の大きさ及び極性を設定する。
【0056】
次に、
図11に示す制御電圧調整部34が、制御電圧を調整する(ステップS9)。具体的には、制御電圧調整部34は、制御電圧に対してゲイン記憶部304に記憶された係数を乗じた電圧を、調整後の制御電圧として出力する。ゲイン記憶部304に記憶される係数は、例えば空調排気ダクト103を流れる空気の温度、又は第2電極5の放熱のしやすさ等によるペルチェ素子6の温度への影響を考慮して適宜設定される。
【0057】
次に、
図11に示すペルチェ素子制御部35が、制御電圧調整部34から受信した調整後の制御電圧をペルチェ素子6に出力することで、ペルチェ素子6を制御する(ステップS10)。具体的には、ペルチェ素子制御部35は、パルス幅変調(PWM(Pulse Width Modulation))でペルチェ素子6に出力する電圧を変化させることができる。これにより、ペルチェ素子6の第1面61の温度が露点温度よりも所定温度だけ高い温度となるので、第1面61に接する第2電極5の温度も第1面61と略同等の温度となる。このため、第2電極5の表面において結露は生じない。したがって、第1電極4と第2電極5との間の静電容量は、大きく変化しないので、静電容量検知器12(
図5参照)に記憶されたしきい値を超えない。
【0058】
次に、
図11に示す気温変化率演算部36が、配管室100内の気温変化率を演算する(ステップS11)。具体的には、気温変化率演算部36は、温度センサ91から受信した気温に基づいて、一定時間毎の気温変化率を演算する。一定時間は例えば1秒である。例えば、蒸気配管101(
図1参照)から蒸気が漏洩すると、1秒毎の気温変化率が大きくなる。
【0059】
ステップS11での演算結果が
図11に示す所定変化率記憶部305に記憶された所定変化率より小さい場合(ステップS12、No)、ステップS1が繰り返される。ステップS11での演算結果が所定変化率記憶部305に記憶された所定変化率以上である場合(ステップS12、Yes)、ペルチェ素子制御部35は制御電圧を固定(ロック)する(ステップS13)。
【0060】
次に、ペルチェ素子制御部35は、固定された制御電圧でペルチェ素子6を制御する(ステップS14)。これにより、第2電極5の温度が一定に保たれる。一方、蒸気配管101から蒸気が漏洩すると、露点温度が上昇する。このため、第2電極5の温度が露点温度よりも低くなるので、第2電極5に結露が生じる。第2電極5には撥水加工が施されているので、第2フィン52の表面に生じる水滴が表面張力により大きくなりやすい。第2フィン52の表面に生じる水滴が大きくなると、水滴が第2フィン52及び第1フィン42の両方に接する。これにより、第1電極4と第2電極5との間の静電容量は、大きく変化するので、静電容量検知器12(
図5参照)に記憶されたしきい値を超える。上述した工程によって、蒸気漏洩検知器1は、蒸気配管101からの蒸気漏洩を検出し、蒸気漏洩検知器用制御盤200に信号を発する。これにより、中央制御室400が警報を発する。
【0061】
ところで、ステップS7で設定された制御温度が第1面61の現状温度(ペルチェ素子温度センサ29で検出される温度)よりも高い場合、第1面61が加熱される(第1面61が放熱面となる)。この時、第2面62は冷却される(第2面62が吸熱面となる)。これにより、ヒートシンク72が冷却されるので、ヒートシンク72に結露が生じる可能性がある。
【0062】
これに対して、
図11に示すヒータ制御部37は、制御電圧設定部33から受信した制御電圧の極性が第1面61を放熱面とする極性である場合、ヒートシンクヒータ71を稼働させる。これにより、ヒートシンク72が冷却されるときでもヒートシンク72の結露が抑制される。
【0063】
なお、蒸気漏洩検知器1が蒸気漏洩を検知した後に蒸気漏洩検知器1をリセットする際又は蒸気漏洩検知器1の誤動作確認テストを行う際には、コントローラ3にペルチェ素子6を加熱させる指令が入力される。これにより、第2電極5に付着した水滴が蒸発するので、第1電極4と第2電極5との間の静電容量が元に戻る。
【0064】
なお、配管室100に設けられる蒸気漏洩検知器1は、必ずしも3つでなくてもよく、少なくとも1つあればよい。また、蒸気漏洩検知器1は、必ずしも配管室100の天井110に取り付けられなくてもよい。例えば、蒸気漏洩検知器1は、配管室100の壁に取り付けられてもよい。このような場合、第1フィン42及び第2フィン52は、鉛直方向に沿って交互に配置されることになる。このような場合であっても、第2フィン52に生じる水滴が重力によって対向する第1フィン42に向かって変形するので、水滴が第1フィン42及び第2フィン52の両方に接しやすい。
【0065】
なお、コントローラ3は、必ずしも蒸気検知機構2に隣接して配置されていなくてもよく、別の場所に配置されていてもよい。また、静電容量検知器12は、必ずしもコントローラ3に内蔵されていなくてもよく、コントローラ3とは別の場所に配置されていてもよい。
【0066】
以上で説明したように、蒸気漏洩検知器1は、複数の第1フィン42を有する第1電極4と、隣接する第1フィン42の間に配置される第2フィン52を備える第2電極5と、第2電極5に接する第1面61及び第1面61とは反対側の第2面62を備えるペルチェ素子6と、配管室100内の気温を検出する温度センサ91と、配管室100内の湿度を検出する湿度センサ92と、温度センサ91及び湿度センサ92から得た情報により露点温度を演算でき且つ第1面61の温度が露点温度よりも高くなるようにペルチェ素子6に流れる電流を制御するコントローラ3と、第1電極4と第2電極5との間の静電容量を検出できる静電容量検出器12と、を備える。
【0067】
これにより、第2電極5の表面温度は露点温度よりも高くなりやすいので、通常時においては第2電極5における結露が防止される。このため、第1電極4と第2電極5との間の静電容量は大きく変化しない。一方、蒸気配管101で蒸気漏洩が生じたとき、配管室100内の湿度が急激に上昇するので、第2電極5に結露が生じる。隣接する第1フィン42の間に第2フィン52が配置されていることにより、第2フィン52に生じた水滴が第1フィン42に接しやすい。水滴が第1フィン42及び第2フィン52の両方に接すると、第1電極4と第2電極5との間の静電容量は大きく変化するので、静電容量検出器12によって蒸気漏洩が検出される。すなわち、蒸気漏洩検知器1は、通常時において静電容量検出器12は作動しないが、蒸気漏洩時においては静電容量検出器12が速やかに作動する。したがって、蒸気漏洩検知器1は、誤動作を抑制することができる。
【0068】
また、蒸気漏洩検知器1において、第2電極5は、第2フィン52の先端に水受け部材53を備える。
【0069】
これにより、第2フィン52に生じた水滴が水受け部材53の周辺に溜りやすくなる。このため、第2フィン52に生じた水滴が大きくなりやすいので、水滴が第1フィン42及び第2フィン52の両方に接しやすくなる。したがって、蒸気漏洩検知器1は、蒸気漏洩を検出する精度をより向上させることができる。
【0070】
また、蒸気漏洩検知器1において、第2電極5は、第1電極4に対して鉛直方向上方に配置される。
【0071】
これにより、水受け部材53が第2フィン52の下方先端に位置することになる。このため、重力によって水滴が水受け部材53に向かって移動するので、水滴がより大きくなりやすい。したがって、蒸気漏洩検知器1は、蒸気漏洩を検出する精度をより向上させることができる。
【0072】
また、蒸気漏洩検知器1は、第2面62の放熱を促進するためのヒートシンク72を備える。
【0073】
これにより、第1面61が吸熱面(第2面62が放熱面)となるようにペルチェ素子6が制御されているとき、第2面62の温度上昇が抑制される。このため、ペルチェ素子6が第2電極5を冷却するときの冷却効率が向上する。
【0074】
また、蒸気漏洩検知器1は、ヒートシンク72を加熱できるヒートシンクヒータ71を備える。コントローラ3は、第2面62が吸熱面であるときにヒートシンクヒータ71を稼働させる。
【0075】
ペルチェ素子6の第2面62が吸熱面であるときは、ヒートシンク72が冷却されるので、ヒートシンク72に結露が生じる可能性がある。これに対して、ヒートシンクヒータ71が設けられていることで、ヒートシンク72の温度低下が抑制される。これにより、ヒートシンク72における結露が抑制される。
【0076】
また、蒸気漏洩検知器1は、配管室100内の空気をヒートシンク72に導く冷却空気供給路81と、冷却空気供給路81からヒートシンク72に導かれた空気を空調排気ダクト103に導く冷却空気排出路82と、を備える。
【0077】
これにより、蒸気漏洩検知器1内の空気は、空調排気ダクト103によって吸引される。このため、配管室100の空気が冷却空気供給路81を介してヒートシンク72に流入する。したがって、ヒートシンク72の放熱が促進されるので、ペルチェ素子6が第2電極5を冷却するときの冷却効率が向上する。
【0078】
また、蒸気漏洩検知器1は、冷却空気排出路82を通過する空気の流量を検出する流量センサ28と、冷却空気供給路81と冷却空気排出路82との間に気流を発生させられるファン73と、を備える。コントローラ3は、流量センサ28で検出された流量が所定流量以下であるときにファン73を稼働させる。
【0079】
これにより、空調排気ダクト103内の空気の流動が停止した場合であっても、配管室100の空気のヒートシンク72への流入が保持される。このため、空調排気ダクト103内の空気の流動が停止した場合であっても、ヒートシンク72の放熱効率の低下が抑制される。