(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
トナー粒子と、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム及びチタン酸ストロンチウムからなる群より選択される少なくとも1種の化合物の粒子である研磨剤粒子と、
脂肪酸金属塩粒子と、を有する静電荷像現像用トナーと、
磁性粒子と前記磁性粒子の表面を被覆する樹脂被覆層とを含むキャリアと、
を有し、
前記脂肪酸金属塩粒子の個数平均粒径が1.0μm以上3.0μm以下であり、
前記脂肪酸金属塩粒子が表面に付着している前記トナー粒子の割合が、前記トナー粒子全体の30個数%以上であり、
前記トナー粒子の表面に付着している前記脂肪酸金属塩粒子のうち、前記トナー粒子の表面に強付着している前記脂肪酸金属塩粒子の割合が、50個数%以上であり、
前記磁性粒子の表面の凹凸平均間隔Smが1.0μm≦Sm≦3.5μmを満たし、前記磁性粒子の表面の算術表面粗さRaが0.2μm≦Ra≦0.7μmを満たす静電荷像現像剤。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明について、一例である実施形態を示し詳細に説明する。
【0024】
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態に係る静電荷像現像用トナー(単に「トナー」とも称す)は、トナー粒子、研磨剤粒子、及び脂肪酸金属塩粒子を有する。
脂肪酸金属塩粒子が表面に付着しているトナー粒子の割合(以下「脂肪酸金属塩付着トナー粒子の割合」とも称する)が、トナー粒子全体の30個数%以上であり、かつ、トナー粒子の表面に付着している脂肪酸金属塩粒子のうち、トナー粒子の表面に強付着している前記脂肪酸金属塩粒子の割合(以下「脂肪酸金属塩粒子の強付着割合」とも称する)」が、50個数%以上である。
【0025】
本実施形態に係るトナーは、上記構成により、低温低湿(例えば10℃、15%RH)環境下で高画像密度(例えば30%以上)の画像の出力を続けた後に、高温高湿(例えば28.5℃、85%RH)環境下で画像の出力を行ったときに生じる、カブリ(非画像部にトナーが付着する現象)の発生を抑制する。その理由は、次の通り推測される。
【0026】
従来、画像形成装置における像保持体の表面に、帯電手段から生じる放電生成物等の付着物が付着すると、像保持体の感度を低下させ、色点又は色筋等の画像欠陥が生じることがある。このため、トナー粒子と共に研磨剤粒子を含むトナーを用いて、像保持体の表面に付着した放電生成物等の付着物を除去し、色点又は色筋等の画像欠陥を抑制する技術が知られている。
【0027】
しかし、トナー粒子と共に研磨剤粒子を含むトナーと、磁性粒子の表面に樹脂被覆層を被覆したキャリアとを含む二成分現像剤を用いた場合、低温低湿環境下で高画像密度の画像の出力を続けると、現像手段内で、撹拌等の機械的負荷を受け続けるため、キャリア表面に多量の研磨剤粒子が移行し、キャリアの樹脂被覆層を研磨する現象が生じることがある。キャリアの樹脂被覆層が研磨されると、キャリアの帯電能が低下して、高温高湿環境下で現像剤の低帯電化を招き易くなる。このため、高温高湿環境下で画像の出力すると、カブリが発生し易くなる。
【0028】
そこで、トナーに、トナー粒子及び研磨剤粒子と共に、脂肪酸金属塩付着トナー粒子の割合、及び脂肪酸金属塩粒子の強付着割合を上記範囲とする条件で、脂肪酸金属塩粒子を含ませる。
【0029】
ここで、この条件で脂肪酸金属塩粒子がトナーに含まれている状態は、適切な量の脂肪酸金属塩粒子がトナー粒子の表面に付着しており、かつ機械的負荷を受けても、トナー粒子の表面に付着した脂肪酸金属塩粒子が遊離し難い状態を示している。
【0030】
つまり、現像手段内で、撹拌等の機械的負荷を受け続けても、脂肪酸金属塩粒子が、トナー粒子の表面から遊離せず、トナー粒子の表面に付着した状態で、キャリアと接触し易くなる。機械的負荷によって、脂肪酸金属塩粒子とキャリアとが接触すると、脂肪酸金属塩粒子は、トナー粒子とキャリアとによる圧力又は摺擦力によって、劈開を引き起こし、キャリアの表面(樹脂被覆層の表面)に脂肪酸金属塩の被膜を形成する。
【0031】
このため、低温低湿環境下で高画像密度の画像の出力を続け、現像手段内で、キャリア表面に多量の研磨剤粒子が移行しても、キャリアの樹脂被覆層の表面に形成された脂肪酸金属塩皮膜の潤滑性によって、研磨剤粒子がキャリアの樹脂被覆層を研磨することを抑制する。そして、これにより、キャリアの帯電能低下を抑え、高温高湿環境下での現像剤の低帯電化が抑制される。
【0032】
なお、通常、脂肪酸金属塩粒子を含む通常のトナーでは、脂肪酸金属塩粒子はトナー粒子から遊離し易く、現像手段において、現像部材(マグロール等)の遠心力及び現像電界により、像保持体へ供給され、キャリアの表面には移行され難い。このため、通常のトナーでは、脂肪酸金属塩粒子によって、キャリアの表面(樹脂被覆層の表面)に脂肪酸金属塩の被膜は形成がなされ難い。
【0033】
以上から、本実施形態に係るトナーは、低温低湿環境下で高画像密度の画像の出力を続けた後に、高温高湿環境下で画像の出力を行ったときに生じる、カブリ(非画像部にトナーが付着する現象)の発生を抑制すると推測される。
【0034】
ここで、脂肪酸金属塩付着トナー粒子の割合(脂肪酸金属塩粒子が表面に付着しているトナー粒子の割合)は、トナー粒子全体の30個数%以上であるが、カブリの発生抑制の観点から、40個数%以上が好ましく、50個数%以上がより好ましい。脂肪酸金属塩付着トナー粒子の割合は、製法上の制約の観点から90個数%以下が好ましい一方で、キャリアへの過剰な脂肪酸金属粒子の付着による高抵抗化の観点から、80個数%以下が好ましく、70個数%以下がより好ましい。
脂肪酸金属塩付着トナー粒子の割合を30個数%以上にすることで、脂肪酸金属塩粒子の劈開によるキャリアの表面(樹脂被覆層の表面)に形成される脂肪酸金属塩の被膜量が十分となり、キャリアの樹脂被覆層が研磨剤粒子よって研磨されることを抑制する。その結果、カブリの発生が抑制される。
【0035】
脂肪酸金属塩粒子の強付着割合(トナー粒子の表面に付着している脂肪酸金属塩粒子のうち、トナー粒子の表面に強付着している脂肪酸金属塩粒子の割合)は、50個数%であるが、カブリの発生抑制の観点から、55個数%以上が好ましく、60個数%以上がより好ましい。なお、脂肪酸金属塩粒子の強付着割合の上限値は特に制限はないが、キャリアへの付着性低下の観点からは、脂肪酸金属塩粒子の強付着割合は80個数以下とすることがよい。
脂肪酸金属塩粒子の強付着割合を50個数%以上にすると、現像手段において、攪拌等の機械的負荷により脂肪酸金属塩粒子がトナー粒子表面から遊離することが抑制され、また、現像部材(マグロール等)の遠心力、現像電界等により、遊離した脂肪酸金属塩粒子が過度に像保持体へ供給されることが抑制される。このため、脂肪酸金属塩粒子の劈開によるキャリアの表面(樹脂被覆層の表面)に形成される脂肪酸金属塩の被膜量が十分となり、キャリアの樹脂被覆層が研磨剤粒子よって研磨されることを抑制する。その結果、カブリの発生が抑制される。
【0036】
脂肪酸金属塩付着トナー粒子の割合、及び脂肪酸金属塩粒子の強付着割合を各々上記範囲とする方法としては、せん断力を利用して脂肪酸金属塩粒子をトナー粒子表面に付着させる方法が挙げられる。この方法は、トナー粒子への機械的負荷が少なく、脂肪酸金属塩粒子が強く付着されるため好ましい。当該方法に使用される装置として、ノビルター(例えば、ノビルタNOB130:ホソカワミクロン製など)が挙げられる。ノビルターは、粒子を入れる自由空間(クリアランス)を狭くすることで、粒子に高い圧力をかけながら攪拌する攪拌装置である。そして、ノビルターでは、クリアランス及び攪拌回転数により、脂肪酸金属塩付着トナー粒子の割合、及び脂肪酸金属塩粒子の強付着割合が調整される。
なお、脂肪酸金属塩付着トナー粒子の割合、及び脂肪酸金属塩粒子の強付着割合を各々上記範囲とする方法としては、その他、外添後のトナーに熱を掛けトナー粒子表面との外添剤の付着力を強くする方法等も挙げられる。
【0037】
脂肪酸金属塩付着トナー粒子の割合、及び脂肪酸金属塩粒子の強付着割合は、次に示す方法により測定される値である。
【0038】
まず、測定対象のトナーに、次の第一前処理を施す。
トナー10gを界面活性剤0.2質量%の水溶液40mlに分散させる。これをマグネチックスターラーと撹拌子を用いて500rpmで30秒間撹拌する。その後、50mLの沈殿管付き遠心分離機にかけて10000rpm×2分の条件でトナーを分離して上澄み液を除去した後、室温(25℃)で24時間乾燥して第一前処理したトナーを得る。
【0039】
次に、第一前処理したトナーを用いて、脂肪酸金属塩付着トナー粒子の割合を次に示す方法により測定する。なお、第一前処理したトナーの下記観察において、脂肪酸金属塩粒子と接触又は重なって観察されるトナー粒子は、脂肪酸金属塩粒子が付着しているトナー粒子と見なす。
測定対象となるトナーを100個、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察する。そして、トナー粒子表面に脂肪酸金属塩粒子が付着しているトナー粒子の割合を算出する。測定対象となるトナー粒子100個のSEM観察は、ERA−8900:エリオニクス社製)を用いて行う
【0040】
一方、第一前処理したトナーを用いて、脂肪酸金属塩粒子の強付着割合を次に示す方法により測定する。
第一前処理したトナーに対して、さらに、弱付着している脂肪酸金属塩粒子を除く、次の第二前処理を行う。トナー10gを界面活性剤0.2質量%の水溶液40mlに分散後に超音波ホモジナイザーUS300T(日本精機製作所製)を使用し、出力60W、周波数20kHzの超音波振動を1時間加えた。その後、50mLの沈殿管付き遠心分離機にかけて10000rpm×2分の条件でトナーを分離して上澄み液を除去した後、室温(25℃)で24時間乾燥して第二前処理したトナーを得る。
そして、第一前処理したトナーおよび第二前処理したトナーに対し蛍光X線測定を実施し、脂肪酸金属塩粒子に含まれる金属元素(亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、バリウムなど)のNet強度を測定する。第二前処理したトナーのNet強度を第一前処理したトナーのNet強度で割って、100をかけた値(第二前処理したトナー/のNet強度/第一前処理したトナーのNet強度×100)を脂肪酸金属塩粒子の強付着割合とする。蛍光X線測定は、蛍光X線装置により測定されるが、本実施形態においては、(株)島津製作所の蛍光X線測定装置であるXRF1500を用いて測定する。
【0041】
以下、本実施形態に係るトナーの詳細について説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子と、外添剤とをする。
【0042】
(トナー粒子)
トナー粒子は、結着樹脂を含む。トナー粒子は、必要に応じて、着色剤、離型剤、その他添加剤を含んでもよい。
【0043】
−結着樹脂−
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0044】
結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好適である。
ポリエステル樹脂としては、例えば、公知のポリエステル樹脂が挙げられる。
【0045】
ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。なお、ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
【0046】
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、例えば、芳香族ジオール、脂環式ジオールが好ましく、より好ましくは芳香族ジオールである。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0048】
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K 7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
【0049】
ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上1000000以下が好ましく、7000以上500000以下がより好ましい。
ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。
ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
【0050】
ポリエステル樹脂は、周知の製造方法により得られる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法により得られる。
なお、原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
【0051】
結着樹脂の含有量としては、例えば,トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下がさらに好ましい。
【0052】
−着色剤−
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、又は、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料等が挙げられる。
着色剤は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0053】
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
【0054】
着色剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0055】
−離型剤−
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
【0056】
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K 7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
【0057】
離型剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0058】
−その他の添加剤−
その他の添加剤としては、例えば、帯電制御剤、無機粉体等の周知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
【0059】
−トナー粒子の特性等−
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
ここで、コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
【0060】
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)としては、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
【0061】
なお、トナー粒子の各種平均粒径、及び各種粒度分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)
1/2、数粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)
1/2として算出される。
【0062】
トナー粒子の形状係数SF1としては、110以上150以下が好ましく、120以上140以下がより好ましい。
【0063】
なお、形状係数SF1は、下記式により求められる。
式:SF1=(ML
2/A)×(π/4)×100
上記式中、MLはトナーの絶対最大長、Aはトナーの投影面積を各々示す。
具体的には、形状係数SF1は、主に顕微鏡画像又は走査型電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、以下のようにして算出される。すなわち、スライドガラス表面に散布した粒子の光学顕微鏡像をビデオカメラによりルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個の粒子の最大長と投影面積を求め、上記式によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
【0064】
(外添剤)
外添剤は、研磨剤粒子、及び脂肪酸金属塩粒子を含む。外添剤は、他の外添剤を含んでもよい。つまり、トナー粒子は、研磨剤粒子、及び脂肪酸金属塩粒子のみ外添されていてもよいし、研磨剤粒子、及び脂肪酸金属塩粒子と他の外添剤とが外添されていてもよい。
【0065】
−研磨剤粒子−
研磨剤粒子としては、特に限定されないが、例えば、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、ジルコニア等の金属酸化物;炭化ケイ素等の炭化物;窒化ホウ素等の窒化物;ピロリン酸カルシウム粒子等のピロリン酸塩;炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩;チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム等のチタン酸金属塩粒子;などの無機粒子が挙げられる。研磨剤粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、研磨剤粒子は、チタン酸金属塩の粒子が好ましく、研磨剤としての機能、入手性、コストの点から、チタン酸ストロンチウム粒子がより好ましい。
【0066】
研磨剤粒子は、例えば、疎水化処理剤により表面に疎水化処理が施されていてもよい。疎水化処理剤としては、例えば、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)を有する公知の有機珪素化合物が挙げられ、具体例には、例えば、シラザン化合物(例えばメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシランなどのシラン化合物、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン等)等が挙げられる。疎水化処理剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0067】
研磨剤粒子の個数平均粒径は、像保持体の付着物に起因する色点及び色筋の発生抑制の点から、2μm以上10μm以下が好ましく、3μm以上7μm以下がより好ましい。4μm以上6μm以下が更に好ましい。
【0068】
なお、研磨剤粒子の個数平均粒径は、次の方法により測定された値である。
まず、測定対象となるトナーを走査型電子顕微鏡(SEM)により観察する。そして、画像解析によって、測定対象となる研磨剤粒子100個それぞれの円相当径を求め、その個数基準の分布における小径側から個数累積50%(50個目)の円相当径を数平均粒径とする。
測定対象となる研磨剤粒子100個の円相当径を求める画像解析は、解析装置(ERA−8900:エリオニクス社製)を用いて、倍率10,000倍の二次元画像を撮影し、画像解析ソフトWinROOF(三谷商事社製)を用いて、0.010000μm/pixel条件で投影面積を求め、式:円相当径=2√(投影面積/π)で円相当径を求める。
【0069】
なお、脂肪酸金属塩粒子と研磨剤粒子との区別は、次に示す方法により行う。ヨウ化カリウム等を溶解させることにより比重1.5以上2.0以下に調整した水に界面活性剤を添加した水溶液に、トナーを分散させる。その後、分散液を24時間放置することで水溶液よりも比重の軽いトナー粒子および脂肪酸金属塩粒子は、水溶液上部に分離し、水溶液よりも比重の重い研磨剤粒子は水溶液の下部に沈殿する。水溶液上部に分離したトナー粒子および脂肪酸金属塩粒子を採取し、室温(25℃)で採取液を乾燥させたサンプルをSEM観察し、トナー粒子を除く粒径0.1μm以上の粒子を脂肪酸金属塩粒子とする。また水溶液下部に沈澱した粒子を研磨剤粒子とする。研磨剤粒子を乾燥して取り出し、上記方法により研磨剤粒子の個数平均粒径を測定する。
また、別途、研磨剤粒子を入手、又はトナーから採取する場合は、入手又は採取した研磨剤粒子を測定対象とし、上記測定を行う。
【0070】
研磨剤粒子の含有量(外添量)としては、トナー粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.02質量%以上2質量%以下がより好ましく、0.05質量%以上1.5質量%以下が更に好ましく、0.1質量%以上1質量%以下が最も好ましい。
【0071】
−脂肪酸金属塩粒子−
脂肪酸金属塩粒子は、脂肪酸と金属とからなる塩の粒子である。
脂肪酸は、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸の何れでもよい。脂肪酸の炭素数は、10以上25以下(好ましくは、12以上22以下)の脂肪酸が挙げられる。なお、脂肪酸の炭素数は、カルボキシ基の炭素を含む。
脂肪酸としては、例えば、ベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等の不飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸、リシノール酸等の不飽和脂肪酸;が挙げられる。これらの脂肪酸の中でも、ステアリン酸、ラウリン酸が好ましく、ステアリン酸がより好ましい。
金属としては、2価の金属がよい。金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、バリウム、亜鉛が挙げられる。これらの中でも、金属は、亜鉛が好ましい。
【0072】
脂肪酸金属塩粒子としては、例えば、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸銅、ステアリン酸鉛、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸ナトリウム等のステアリン酸の金属塩;パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸コバルト、パルミチン酸銅、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸カルシウム等のパルミチン酸の金属塩;ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸マンガン、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸鉄、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸アルミニウム等のラウリン酸の金属塩;オレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸鉄、オレイン酸アルミニウム、オレイン酸銅、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸カルシウム等のオレイン酸の金属塩;リノール酸亜鉛、リノール酸コバルト、リノール酸カルシウム等のリノール酸の金属塩;リシノール酸亜鉛、リシノール酸アルミニウム等のリシノール酸の金属塩;などの各粒子が挙げられる。
【0073】
これらの中でも、脂肪酸金属塩粒子としては、ステアリン酸の金属塩、又はラウリン酸の金属塩の各粒子が好ましく、ステアリン酸亜鉛、又はラウリン酸亜鉛の各粒子がより好ましく、ステアリン酸亜鉛粒子がさらに好ましい。
【0074】
脂肪酸金属塩粒子の製造方法としては、特に限定されず、例えば、脂肪酸アルカリ金属塩をカチオン置換する方法;直接脂肪酸と水酸化金属とを反応させる方法;などが挙げられる。
脂肪酸金属塩粒子として、ステアリン酸亜鉛粒子の製造方法を例に挙げると、例えば、ステアリン酸ナトリウムをカチオン置換する方法;ステアリン酸と水酸化亜鉛とを反応させる方法;などが挙げられる。
【0075】
脂肪酸金属塩粒子の個数平均粒径は、カブリ発生抑制の点から、0.5μm以上3.0μm以下が好ましく、1.0μm以上2.5μm以下がより好ましい。特に、脂肪酸金属塩粒子の個数平均粒径が0.5μm以上3.0μm以下の範囲内であると、脂肪酸金属塩付着トナー粒子の割合、及び脂肪酸金属塩粒子の強付着割合を増加させ易く、カブリの発生が抑制され易くなる。
脂肪酸金属塩粒子の個数平均粒径は、研磨剤粒子の個数平均粒径と同じ方法により測定される値である。
【0076】
ここで、脂肪酸金属塩粒子の個数平均粒径D
fと前記トナー粒子の体積平均粒径D
tとの比(D
f/D
t)は、カブリ発生抑制の点から、0.05以上1.0以下が好ましく、0.1以上0.8以下がより好ましく、0.2以上0.7以下が更に好ましい。
比(D
f/D
t)が0.05以上1.0以下の範囲であると、脂肪酸金属塩付着トナー粒子の割合、及び脂肪酸金属塩粒子の強付着割合を増加させ易く、カブリの発生が抑制され易くなる。
【0077】
脂肪酸金属塩粒子の含有量(外添量)は、トナー粒子100質量部に対して、0.02質量部以上5質量部以下が好ましく、0.05質量部以上3.0質量部以下がより好ましく、0.08質量部以上1.0質量部以下が更に好ましい。
【0078】
−他の外添剤−
他の外添剤としては、例えば、個数平均粒径1μm以下(好ましくは500nm以下)の無機粒子(以下、「小径無機粒子」とも称する)が挙げられる。なお、小径無機粒子の個数平均粒径は、研磨剤粒子の個数平均粒径と同じ方法により測定される値である。
【0079】
小径無機粒子として、SiO
2、TiO
2、CuO、SnO
2、Fe
2O
3、BaO、CaO、K
2O、Na
2O、CaO・SiO
2、K
2O・(TiO
2)n、Al
2O
3・2SiO
2、MgCO
3、BaSO
4、MgSO
4等が挙げられる。
【0080】
他の外添剤としての小径無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、小径無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
【0081】
他の外添剤としては、樹脂粒子(ポリスレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
【0082】
他の外添剤の外添量としては、例えば、トナー粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
【0083】
(トナーのその他態様)
本実施形態に係るトナーにおいて、脂肪酸金属塩粒子が表面に付着しているトナー粒子のうち、体積平均粒径(体積基準で小径側から累積分布を描いて、累積50%となる粒径)以下の粒径を有するトナー粒子の割合が、全トナー粒子の40個数%以上70個数%以下であることが好ましい。これにより、低温低湿(例えば10℃、15%RH)環境下で高画像密度(例えば30%以下)の画像の出力を続けた後、低画像密度(例えば5%以下)の画像を出力したときに生じる、像保持体へのトナーの固着(トナーフィルミング)が抑制される。この理由は、次の通りと推測される。
【0084】
まず、近年、画像形成装置(複写機、プリンター等)Iの低エネルギー化を実現するため、低温で定着しうるトナーが要求されている。低温定着性を獲得する手段として低融点の結晶性樹脂が用いられている。結晶性樹脂は温度上昇に伴い粘性が増すためにトナーの保管性が低く、複数種の外添剤を使用する等の対策を取っているのが現状である、しかし、これにより、遊離外添剤量が増加し、像保持体の表面の汚染が進行するため、像保持体とクリーニングブレードとの接触部(以下、「クリーニング部」とも称する)の摩擦力が大きくなり、ブレード摩耗が生じることがある。
【0085】
そこで、トナー粒子と共に、脂肪酸亜鉛粒子をトナーに含ませる技術が知られている。脂肪酸金属塩粒子は、低表面エネルギー性を有するため、クリーニング部に到達すると、クリーニング部に滞留するトナーの滞留物(以下「トナーダム」とも称する)に、良好な結着性と潤滑性を付与する。これによりクリーニング性とブレード摩耗の抑制が実現される。
【0086】
しかし、トナー粒子と共に、脂肪酸亜鉛粒子を含むトナーを使用すると、低温低湿(例えば10℃、15%RH)環境下で高画像密度(例えば30%以下)の画像の出力を続けた後、低画像密度(例えば5%以下)の画像を出力した場合、筋状の画像欠陥を引き起こすことがある。この筋状の画像欠陥を引き起こす理由は次の通りと推測される。
トナー粒子の帯電量分布は、大径トナー粒子が帯電量の低い側に、小形トナー粒子が帯電量の高い側に存在しやすい。また、低温低湿環境下で画像を出力した場合、トナー粒子の帯電量が高くなる傾向がある。ゆえに、高画像密度で画像を出力するときの画像濃度の低下を抑制するために、低帯電のトナー粒子、すなわち大径トナー粒子が選択的に消費されやすい。ゆえに、高画像密度の画像を出力した後に、低画像密度の画像を出力すると、高帯電の小径トナー粒子が高い割合で存在する。小径トナー粒子はクリーニング部ですり抜けやすいため(特に、小径トナー粒子が凝集してすり抜けやすいため)、トナーフィルミングが発生しやすく、筋状の画像欠陥を引き起こすと考えられる。
【0087】
そこで、脂肪酸金属塩粒子が表面に付着しているトナー粒子のうち、体積平均粒径以下の粒径を有するトナー粒子の割合を、全トナー粒子の40個数%以上70個数%以下とする。これにより、クリーニング部に小径トナー粒子が高い割合で到達しても、トナーダに十分な供給量で遊離した脂肪酸金属塩粒子が供給され、トナーダムの強度の向上が図られる。
これにより、トナーフィルミングが生じ難くなる。その結果、筋状の画像欠陥の発生が抑制される。
【0088】
ここで、体積平均粒径以下の粒径を有するトナー粒子の割合を、全トナー粒子の40個数%以上70個数%以下とする方法は、次の通りである。
通常、脂肪酸金属塩粒子を外添する工程で、ヘンシェルミキサーを用いた場合は、小径トナー粒子と脂肪酸金属粒子との衝突エネルギーが小さいため、脂肪酸金属粒子が小径トナーに付着する量は大径トナーと比較して相対的に少ない。一方、例えば、高い機械的負荷を付与できるノビルター等の装置で、脂肪酸金属塩粒子を外添すると、衝突エネルギーが全体的に上がる。ゆえに、小径トナー粒子にも十分に付着する機械的負荷を加えられるため、トナー粒子の粒径によらず、脂肪酸金属塩粒子を均一近い状態で分散及び付着させるよう制御でき、体積平均粒径以下の粒径を有するトナー粒子の割合を、全トナー粒子の40個数%以上70個数%以下とすることができる。
【0089】
なお、脂肪酸亜鉛粒子の個数平均粒径を1.5μm以下にすると、このトナーフィルミングが抑制され易くなり、好ましい。脂肪酸亜鉛粒子の個数平均粒径1.5μm以下にすると、トナー粒子の表面の凸部に付着した脂肪酸亜鉛粒子が遊離し難くなり、脂肪酸金属塩粒子がクリーニング部に到達する前にトナー粒子が遊離してしまう確率が低下する。このため、トナーダムでの遊離した脂肪酸金属塩粒子が不足することが抑制される。つまり、脂肪酸金属塩粒子は、クリーニング部に到達するまではトナー粒子と連れまわり、クリーニングブレード部で応力がかかることで適度に遊離する。これにより、クリーニング部に小径トナー粒子が高い割合で到達しても、トナーダムの強度が向上され易くなる。小径トナー粒子のすり抜け(特に、凝集した小径トナー粒子のすり抜け)が抑制され、トナーフィルミングが生じ難くなる。その結果、筋状の画像欠陥の発生が抑制される。
【0090】
また、トナー粒子における長軸r1と短軸r2との比(r2/r1)を0.5以上0.9以下にすると、このトナーフィルミングが抑制され易くなり、好ましい。比(r2/r1)を0.9以下にすると、トナーダムでトナー粒子同士が細密充填されるように、ぶつくあり合うことを抑え、脂肪酸亜鉛粒子がトナー粒子に被膜されるように付着することが抑制され易くなる。これにより、脂肪酸亜鉛粒子の遊離性が悪化を抑制し、トナーダムでの遊離した脂肪酸亜鉛粒子が不足することを抑制する。一方、比(r2/r1)を0.5以上にすると、トナー粒子の扁平化により、トナーダムの強度低下を抑制する。このため、比(r2/r1)を0.5以上0.9以下にすると、クリーニング部に小径トナー粒子が高い割合で到達しても、トナーダムの強度が向上され易くなる。小径トナー粒子のすり抜け(特に、凝集した小径トナー粒子のすり抜け)が抑制され、トナーフィルミングが生じ難くなる。その結果、筋状の画像欠陥の発生が抑制される。
【0091】
(トナーの製造方法)
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、必要に応じて、外添剤を外添することで得られる。
【0092】
トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。トナー粒子の製法は、これらの製法に特に制限はなく、周知の製法が採用される。
これらの中でも、凝集合一法により、トナー粒子を得ることがよい。
【0093】
具体的には、例えば、トナー粒子を凝集合一法により製造する場合、
結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液を準備する工程(樹脂粒子分散液準備工程)と、樹脂粒子分散液中で(必要に応じて他の粒子分散液を混合した後の分散液中で)、樹脂粒子(必要に応じて他の粒子)を凝集させ、凝集粒子を形成する工程(凝集粒子形成工程)と、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して加熱し、凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と、を経て、トナー粒子を製造する。
【0094】
以下、各工程の詳細について説明する。
なお、以下の説明では、着色剤、及び離型剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤、離型剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤、離型剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
【0095】
−樹脂粒子分散液準備工程−
まず、結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と共に、例えば、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する。
【0096】
ここで、樹脂粒子分散液は、例えば、樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
【0097】
樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0098】
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0099】
樹脂粒子分散液において、樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的な分散方法が挙げられる。また、樹脂粒子の種類によっては、例えば転相乳化法を用いて樹脂粒子分散液中に樹脂粒子を分散させてもよい。
なお、転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を、水媒体中に粒子状に分散する方法である。
【0100】
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μm以下がさらに好ましい。
なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA−700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
【0101】
樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量としては、例えば、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
【0102】
なお、樹脂粒子分散液と同様にして、例えば、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液も調製される。つまり、樹脂粒子分散液における粒子の体積平均粒径、分散媒、分散方法、及び粒子の含有量に関しては、着色剤粒子分散液中に分散する着色剤粒子、及び離型剤粒子分散液中に分散する離型剤粒子についても同様である。
【0103】
−凝集粒子形成工程−
次に、樹脂粒子分散液と共に、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子を形成する。
【0104】
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、樹脂粒子のガラス転移温度(具体的には、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度−30℃以上ガラス転移温度−10℃以下)の温度に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で上記凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、上記加熱を行ってもよい。
【0105】
凝集剤としては、例えば、混合分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。特に、凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
【0106】
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体等が挙げられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸、イミノジ酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)等が挙げられる。
キレート剤の添加量としては、例えば、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
【0107】
−融合・合一工程−
次に、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば樹脂粒子のガラス転移温度より10から30℃高い温度以上)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
【0108】
以上の工程を経て、トナー粒子が得られる。
なお、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と、をさらに混合し、凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子を付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱をし、第2凝集粒子を融合・合一して、コア/シェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
【0109】
ここで、融合・合一工程終了後は、溶液中に形成されたトナー粒子を、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態のトナー粒子を得る。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことがよい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
【0110】
そして、本実施形態に係るトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レ−ディゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
【0111】
<静電荷像現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーと、キャリアとを有する
二成分現像剤である。
【0112】
(キャリア)
キャリアとしては、磁性粒子と前記磁性粒子の表面を被覆する樹脂被覆層とを含むキャリアが適用される。
【0113】
−磁性粒子−
磁性粒子としては、例えば、磁性金属粒子(例えば鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の粒子)、磁性酸化物粒子(例えばフェライト、マグネタイト等の粒子)、これら粒子を樹脂に分散した分散型樹脂粒子等が挙げられる。また、磁性粒子としては、多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた粒子も挙げられる。
【0114】
これらの中でも、磁性粒子としては、フェライト粒子が好ましい。フェライト粒子としては、例えば、下記式で表されるフェライト粒子であることがよい。
・式:(MO)
X(Fe
2O
3)
Y
式において、Yは2.1以上2.4以下を表し、Xは3−Yを表す。Mは金属元素を表し、該金属元素として少なくともMnを含むことがよい。
Mとしては、Mnを主体とするが、Li、Ca、Sr、Sn、Cu、Zn、Ba、Mg、及びTiからなる群(好ましくは環境面から、Li、Ca、Sr、Mg、及びTiからなる群)より選択される少なくとも一種を組み合わせてもよい。
【0115】
磁性粒子は、磁性造粒、焼結により得られるが、その前処理として、磁性材料を粉砕してもよい。粉砕方法は特に問わず、公知の粉砕方法が挙げられ、具体的には例えば、乳鉢、ボールミル、ジェットミル等が挙げられる。
【0116】
ここで、磁性粒子としての分散型樹脂粒子等に含まれる樹脂としては、特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。また、磁性粒子としての分散型樹脂粒子等には、目的に応じて、さらに、帯電制御剤やフッ素含有粒子等のその他の成分を含有させてもよい。
【0117】
磁性粒子は、カブリの発生抑制の観点から、表面の凹凸平均間隔Smが1.0μm≦Sm≦3.5μmを満たし、表面の算術表面粗さRaが0.2μm≦Ra≦0.7μmを満たすことが好ましい。磁性粒子は、カブリの発生抑制の観点から、表面の凹凸平均間隔Smが2.0μm≦Sm≦3.0μmを満たし、表面の算術表面粗さRaが0.4μm≦Ra≦0.5μmを満たすことが好ましい。
【0118】
磁性粒子の表面の凹凸平均間隔Smを1.0μm以上かつ算術表面粗さRaを2.0μm以上にすると、磁性粒子表面の突起部(凸部)が適度な大きさとなり、樹脂被覆層を形成したときに、樹脂被覆層の表面(磁性粒子の露出している場合、その吐出部分)が面状よりも点状に近くなり易くなる。一方、凹凸平均間隔Smを3.5μm以下かつ算術表面粗さRaを0.7μm以下にすると、樹脂被覆層の表面(磁性粒子の露出している場合、その吐出部分)の突起部(凸部)が過剰に大きくなることを抑えられる。このため、樹脂被覆層の表面(磁性粒子の露出している場合、その吐出部分)の適度な大きさの突起部(凸部)により、機械的負荷によって、脂肪酸金属塩粒子とキャリアとが接触したとき、脂肪酸金属塩粒子が劈開を引き起こし易くなる。その結果、キャリアの表面(樹脂被覆層の表面)に脂肪酸金属塩の被膜を形成し易くなり、カブリの発生が抑制され易くなる。
【0119】
磁性粒子の体積平均粒径は、例えば、10μm以上500μm以下がよく、好ましくは20μm以上100μm以下、より好ましくは25μm以上60μm以下である。
【0120】
なお、磁性粒子の表面の凹凸平均間隔Sm、表面の算術表面粗さRa、及び体積平均粒径D50vは、次に示す方法によって測定される値である。
【0121】
まず、測定対象となるキャリアの被覆樹脂を除去する。具体的には次の通りである。
キャリア20gをトルエン100mlに入れる。40kHzの条件で超音波を30秒あてる。粒径に合わせたろ紙を用いて磁性粒子と樹脂溶液を分離する。ろ紙に残った磁性粒子に20mlのトルエンを上から流し、洗浄する。次に、ろ紙に残った磁性粒子を回収する。回収した磁性粒子を同様にトルエン100mlに入れ、40kHzの条件で超音波を30秒あてる。同様にろ過し、20mlのトルエンで洗ったのち、回収する。これを合計10回行う。最後に回収した磁性粒子を乾燥させる。
【0122】
この回収した磁性粒子について、表面の凹凸平均間隔Sm、算術平均粗さRa、体積平均粒径D50vを測定する。なお、測定対象の磁性粒子が別途入手可能である場合、別途、入手した磁性粒子について測定してもよい。
【0123】
磁性粒子の表面の凹凸平均間隔Sm及び算術平均粗さRaの測定は、磁性粒子50個について、超深度カラー3D形状測定顕微鏡(VK−9500、キーエンス社製)を用い、倍率3000倍で表面を換算して求める方法を用いる。
凹凸平均間隔Smは、観察した磁性粒子表面の3次元形状から粗さ曲線を求め、該粗さ曲線が平均線と交差する交点から求めた山谷一周期の間隔の平均値を求める。Sm値を求める際の基準長さは10μmであり、カットオフ値は0.08mmである。
算術平均粗さRaは、粗さ曲線を求め、該粗さ曲線の測定値と平均値までの偏差の絶対値を合計し平均することでRa値を求める。Ra値を求める際の基準長さは10μmであり、カットオフ値は0.08mmである。
上記Sm値、Ra値の測定はJIS B0601(1994年度版)に準じて行う。
【0124】
磁性粒子の体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置「LA−700((株)堀場製作所製)」を用いて測定する。
なお、磁性粒子を製造する途中の粉砕粒子等の粒径についても同様にして測定する。
【0125】
磁性粒子を製造する方法は、特に限定されないが、例えば以下のようにして製造することができる。
【0126】
磁性粒子は、例えば、以下の(A)乃至(E)の組み合わせによって好適に製造することができる。
(A)焼成前に仮焼成を行う。
(B)更に粉砕し、粉砕粒径を調整したスラリーから造粒を行う。
(C)表面性調整剤としてSiO
2、SrCO
3等を用いる。
(D)焼成時の温度、酸素濃度を調整する
(E)焼成によって得られた磁性粒子を、流動させながら温度を与える。
【0127】
焼成前に仮焼成を行った後、粉砕して粒径を制御する。目的の粒度を有する粉砕物に造粒し、体積平均粒径を決める。仮焼成後の粉砕粒径によって磁性粒子の基本となる粒界の大きさを制御する。また、添加剤としてSiO
2、SrCO
3等を用いて、表面の凹凸を微調整しながらBET比表面積との両立を図る。SiO
2を加えると粒界の面積が広くなりSmが大きくなるように調整できる。SrCO
3はRaを大きくする作用がある。
【0128】
次に焼成を行い、温度と酸素濃度を調整し、磁化を合わせフェライトとする。焼成温度と酸素濃度によって粒界全体の大きさを調整する。焼成温度が高いとSmが大きく、酸素濃度が高いとRaが大きくなりやすい。また、焼成温度、酸素濃度は抵抗及び磁化に強く影響する。温度が高く酸素濃度が低い程、磁化が高く抵抗が低くなる。
【0129】
焼成を終了してフェライト化が行われた後に、フェライト化反応が生じない程度の温度で内部空隙を減らす。これにより、目的の磁性粒子が得られる。流動させながら温度を掛けると、粒界間の隙間が小さくなるためSm、Raにあまり変化なくBET比表面積を下げることができる。
【0130】
以下に、具体的な磁性粒子の製造方法の一例を説明するが、磁性粒子の製造方法は以下に記載する材料や数値に限定されるものではない。
【0131】
まず、原料となる金属酸化物又は金属塩の粉末を混合し、900℃の温度で事前焼成を行う。具体的には、原料として、Fe
2O
3、MnO
2、SrCO
3、Mg(OH)
2の粉末の混合物を、ロータリーキルンを用いて900℃の温度の下、焼成して、原料を金属酸化物とする。次に、得られた焼成物にポリビニルアルコール、水、界面活性剤、及び消泡剤を加えて、湿式ボールミルにより平均粒径が2.0μmとなるまで粉砕する。次に、粉砕物をスプレードライヤーにて液滴にし、乾燥させる。この乾燥粒子をロータリーキルンにて再び950℃の温度で焼成し、含有有機物を高温除去する。その後、含有有機物除去後の乾燥粒子にポリビニルアルコール、水、界面活性剤、及び消泡剤を加え、湿式ボールミルで平均粒径5.6μmに粉砕する。再び、粉砕物をスプレードライヤーにて液滴にし、乾燥させる。この時の乾燥粒子の平均粒径を40μmにする。この乾燥粒子をロータリーキルンで1300℃の温度の下、焼成する。そして、この焼成物に対して、引き続き、解砕工程、分級工程を実施し、平均粒径35μmのフェライト粒子を得る。
【0132】
(被覆樹脂)
被覆樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリビニルケトン樹脂、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体、スチレンーアクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合を有するストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0133】
被覆層には、帯電を制御する目的などで樹脂粒子、抵抗を制御する目的などで導電性粒子等を含んでいてもよい。被覆層には、その他添加剤を含んでいてもよい。
樹脂粒子としては、特に限定されるものではないが、帯電制御付与性のあるものが好ましく、例えば、メラミン樹脂粒子、尿素樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、アクリル樹脂粒子などが挙げられる。
導電性粒子としては、例えば、カーボンブラック、各種金属粉、金属酸化物(例えば酸化チタン、酸化すず、マグネタイト、フェライト等)が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、製造安定性、コスト、導電性等の良好な点で、カーボンブラック粒子が好ましい。カーボンブラックの種類としては、特に制限はないが、DBP吸油量が50ml/100g以上250ml/100g以下程度であるカーボンブラックが製造安定性に優れて好ましい。
【0134】
被覆樹脂層を磁性粒子の表面に被覆するには、例えば、被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、磁性粒子を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、磁性粒子を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの磁性粒子と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる
【0135】
ここで、被覆樹脂層の被覆量は、例えば、被覆樹脂層の磁性粒子に対して0.5質量%以上(好ましくは0.7質量%以上6質量%以下、より好ましくは1.0質量%以上5.0質量%以下)であることがよい。
【0136】
なお、被覆樹脂層の被覆量が磁性粒子に対して6質量%以下であれば、キャリアの表面形状は磁性粒子の表面形状(表面の凹凸平均間隔Sm、表面の算術表面粗さRa)が保たれ易い。
【0137】
ここで、被覆量は、次のようにして求められる。
溶剤可溶の被覆樹脂の場合は、精量したキャリアを可溶溶剤(例えば、トルエン)に溶解させ、磁性粒子を磁石で保持し、被覆樹脂が溶解した溶液を洗い流す。これを数度繰り返す事により、被覆樹脂が取り除かれた磁性粒子が残る。乾燥させ、磁性粒子の質量を測定し、差分をキャリア量で割ることにより被覆量が算出される。
具体的には、キャリア20.0gを計り取り、ビーカーに入れ、トルエン100gを加え攪拌翼で10分攪拌する。ビーカーの底に磁石をあて、磁性粒子が流れ出さないようにトルエンを流す。これを4回繰り返し、洗い流した後のビーカーを乾燥させる。乾燥後、磁性粒子量を測定し、式[(キャリア量−洗浄後の磁性粒子量)/キャリア量]で被覆量を算出する。
一方、溶剤不溶の被覆樹脂の場合は、Rigaku社製Thermo plus EVOII 差動型示差熱天秤 TG8120を用い、窒素雰囲気下で、室温(25℃)以上1000℃以下の範囲で加熱し、その質量減少から被覆量を算出する。
【0138】
なお、二成分現像剤における、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
【0139】
<画像形成装置/画像形成方法>
本実施形態に係る画像形成装置/画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える。そして、静電荷像現像剤として、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用される。
【0140】
本実施形態に係る画像形成装置では、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、本実施形態に係る静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法(本実施形態に係る画像形成方法)が実施される。
【0141】
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー画像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー画像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー画像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
【0142】
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容した現像手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
【0143】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0144】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に対して脱着するプロセスカートリッジであってもよい。
【0145】
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ロール22及び中間転写ベルト20内面に接する支持ロール24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。なお、支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ロール22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを含むトナーの供給がなされる。
【0146】
第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。なお、第1のユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
【0147】
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ロール(帯電手段の一例)2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段の一例)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段の一例)4Y、現像したトナー画像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール5Y(一次転写手段の一例)、及び一次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)6Yが順に配置されている。
なお、一次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各一次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各一次転写ロールに印加する転写バイアスを可変する。
【0148】
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。
まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が−600V乃至−800Vの電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(例えば20℃における体積抵抗率:1×10
−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー画像パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
【0149】
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによってトナー画像として可視像(現像像)化される。
【0150】
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体の一例)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー画像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー画像が予め定められた一次転写位置へ搬送される。
【0151】
感光体1Y上のイエロートナー画像が一次転写へ搬送されると、一次転写ロール5Yに一次転写バイアスが印加され、感光体1Yから一次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー画像に作用され、感光体1Y上のトナー画像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μAに制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーは感光体クリーニング装置6Yで除去されて回収される。
【0152】
また、第2のユニット10M以降の一次転写ロール5M、5C、5Kに印加される一次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー画像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
【0153】
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー画像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト内面に接する支持ロール24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された二次転写ロール(二次転写手段の一例)26とから構成された二次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体の一例)Pが供給機構を介して二次転写ロール26と中間転写ベルト20とが接触した隙間に予め定められたタイミングで給紙され、二次転写バイアスが支持ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー画像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー画像が記録紙P上に転写される。なお、この際の二次転写バイアスは二次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0154】
この後、記録紙Pは定着装置(定着手段の一例)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれトナー画像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。
【0155】
トナー画像を転写する記録紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙が挙げられる。記録媒体は記録紙P以外にも、OHPシート等も挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録紙Pの表面も平滑が好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
【0156】
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
【0157】
<プロセスカートリッジ/トナーカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
【0158】
なお、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、上記構成に限られず、現像装置と、その他、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、及び転写手段等のその他手段から選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
【0159】
以下、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0160】
図2は、本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
図2に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
なお、
図2中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
【0161】
次に、本実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るトナーカートリッジは、本実施形態に係るトナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。トナーカートリッジは、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための補給用のトナーを収容するものである。
【0162】
なお、
図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱される構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収容されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
【実施例】
【0163】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。また、「部」及び「%」は特に断りがない限り質量基準である。
【0164】
<トナー粒子の作製>
(トナー粒子(1))
−ポリエステル樹脂分散液の調製−
・エチレングリコール〔和光純薬工業(株)製〕 37部
・ネオペンチルグリコール〔和光純薬工業(株)製〕 65部
・1,9 ノナンジオール〔和光純薬工業(株)製〕 32部
・テレフタル酸〔和光純薬工業(株)製〕 96部
上記モノマーをフラスコに仕込み、1時間をかけて温度200℃まで上げ、反応系内が攪拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを1.2部投入した。更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間をかけて240℃まで温度を上げ、240℃で更に4時間脱水縮合反応を継続し、酸価が9.4mgKOH/g、重量平均分子量13,000、ガラス転移温度62℃であるポリエステル樹脂Aを得た。
【0165】
次いで、ポリエステル樹脂Aを溶融状態のまま、キャビトロンCD1010((株)ユーロテック製)に毎分100部の速度で移送した。別途準備した水性媒体タンクに試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した0.37%濃度の希アンモニア水を入れ、熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度で上記ポリエステル樹脂溶融体と同時に上記キャビトロンに移送した。回転子の回転速度が60Hz、圧力が5kg/cm
2の条件でキャビトロンを運転し、
体積平均粒径160nm、固形分30%、ガラス転移温度62℃、重量平均分子量Mwが13,000の樹脂粒子が分散された非晶性ポリエステル樹脂分散液を得た。
【0166】
−着色剤粒子分散液の調製−
・シアン顔料〔PigmentBlue15:3、大日精化工業(株)製〕 10部
・アニオン性界面活性剤〔ネオゲンSC、第一工業製薬(株)製〕 2部
・イオン交換水 80部
上記の成分を混合し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー〔HJP30006、(株)スギノマシン製〕により1時間分散し、体積平均粒径180nm、固形分20%の着色剤粒子分散液を得た。
【0167】
−離型剤粒子分散液の調製−
・パラフィンワックス〔HNP 9、日本精鑞社製〕 50部
・アニオン性界面活性剤〔ネオゲンSC、第一工業製薬製〕 2部
・イオン交換水 200部
上記成分を120℃に加熱して、IKA社製、ウルトラタラックスT50で十分に混合・分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径が200nm、固形分20%の離型剤粒子分散液を得た。
【0168】
−トナー粒子(1)の作製−
・ポリエステル樹脂粒子分散液 200部
・着色剤粒子水分散液 25部
・離型剤粒子分散液 30部
・ポリ塩化アルミニウム 0.4部
・イオン交換水 100部
上記の成分をステンレス製フラスコに投入し、IKA社製のウルトラタラックスを用い十分に混合、分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら48℃まで加熱した。48℃で30分保持した後、ここに上記と同じポリエステル樹脂分散液を緩やかに70部追加した。
【0169】
その後、濃度0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて系内のpHを8.0 に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、攪拌軸のシールを磁力シールして攪拌を継続しながら90℃まで加熱して3時間保持した。反応終了後、降温速度を2℃/分で冷却し、濾過、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を行った。これをさらに30℃のイオン交換水3Lを用いて再分散し、15分間300rpmで攪拌・洗浄した。この洗浄操作をさらに6回繰り返し、濾液のpHが7.54、電気伝導度6.5μS/cmとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo.5A ろ紙を用いて固液分離を行った。次いで真空乾燥を12時間継続してトナー粒子(1)を得た。
トナー粒子(1)の体積平均粒径D50vは5.8μmであり、SF1は130であった。
【0170】
<外添剤の作製>
(研磨剤粒子の作製)
−研磨剤粒子(Ab1)〜(Ab3)−
メタチタン酸スラリーに、酸化チタンと等モル量の塩化ストロンチウムを加えた後、炭酸ガスを1L/minの流量で酸化チタンの2倍のモル量吹き込むと同時にアンモニア水を添加した。この時のpH値は8であった。沈殿物を水洗した後、110℃で24時間乾燥後、800℃で焼結させて、機械粉砕し、分級することでチタン酸ストロンチウム粒子からなる研磨剤粒子(Ab1)を作製した。また、粉砕条件及び分級条件を調整することで、チタン酸ストロンチウム粒子からなる研磨剤粒子(Ab2)〜(Ab3)を作製した。得られた研磨剤粒子(Ab1)〜(Ab3)の個数平均粒径は以下のとおりである。
・研磨剤粒子(Ab1):チタン酸ストロンチウム粒子(個数平均粒径0.12μm)
・研磨剤粒子(Ab2):チタン酸ストロンチウム粒子(個数平均粒径4.6μm)
・研磨剤粒子(Ab3):チタン酸ストロンチウム粒子(個数平均粒径18.0μm)
【0171】
(脂肪酸金属塩粒子の作製)
(脂肪酸金属塩粒子(FM1)〜(FM3)の作製)
エタノール10000部にステアリン酸1422部を加え、液温75℃で混合した後、水酸化亜鉛507部を少しずつ加え、投入終了後から1時間攪拌混合した。その後、液温20℃まで冷却し、生成物を濾別してエタノール及び反応残渣を除いて、固形物を取り出した。加熱型真空乾燥器を用いて、取り出した固形物を150℃で3時間乾燥させた。乾燥器から固形物を取り出して放冷した後、ステアリン酸亜鉛の固形物を得た。
得られた固形物をジェットミルで粉砕した後、エルボージェット分級機(マツボー社製)で分級し、ステアリン酸亜鉛粒子からなる脂肪酸金属塩粒子(FM1)を得た。また、粉砕条件及び分級条件を調整することで、ステアリン酸亜鉛粒子からなる脂肪酸金属塩粒子(FM2)〜(FM3)を作製した。得られた脂肪酸金属塩粒子(FM1)〜(FM3)の個数平均粒径は以下のとおりである。
・脂肪酸金属塩粒子(FM1):ステアリン酸亜鉛粒子(個数平均粒径 0.6μm)
・脂肪酸金属塩粒子(FM2):ステアリン酸亜鉛粒子(個数平均粒径 2.0μm)
・脂肪酸金属塩粒子(FM3):ステアリン酸亜鉛粒子(個数平均粒径 4.2μm)
【0172】
(脂肪酸金属塩粒子(FM4)の作製の作製)
エタノール10000部にラウリン酸1001部を加え、液温75℃で混合した後、水酸化亜鉛507部を少しずつ加え、投入終了後から1時間攪拌混合した。その後、液温20℃まで冷却し、生成物を濾別してエタノール及び反応残渣を除き、取り出した生成固形物を加熱型真空乾燥器を用いて150℃で3時間乾燥させた。乾燥器から取り出し放冷後、ラウリン酸亜鉛の固形物を得た。
得られた固形物をジェットミルで粉砕した後、エルボージェット分級機(マツボー社製)で分級し、個数平均粒径1.5μmラウリン酸亜鉛粒子からなる脂肪酸金属塩粒子(FM4)を得た。
【0173】
<キャリアの作製>
(磁性粒子の作製)
−磁性粒子(1)−
Fe
2O
3を1318質量部、Mn(OH)
2を586質量部、Mg(OH)
2を96質量部、を混合し、分散剤、水とメディア径1mmのジルコニアビーズを加え、サンドミルで解砕混合した。ジルコニアビーズをろ過、乾燥後、更にロータリーキルンで20rpm、900℃の条件で混合酸化物とした。次に、分散剤、水を加え、更にポリビニルアルコールを6.6質量部加え、湿式ボールミルで5時間粉砕混合を行った。得られた粉砕品の体積平均粒径は1.4μmであった。次に、スプレードライヤーで乾燥粒径が40μmになるように造粒、乾燥させた。更に、電気炉で温度1100℃、酸素濃度1%の酸素窒素混合雰囲気のもとで5時間の焼成を行った。得られた粒子を解砕工程、分級工程を経た後、ロータリーキルンで15rpm、900℃の条件で2時間加熱し、同様に分級工程を経て磁性粒子(1)を得た。磁性粒子(1)の体積平均粒径D50v(以下「D50v」とも表記)は35μmで、表面の凹凸平均間隔Sm(以下「Sm」とも表記)は2.5、表面の算術表面粗さRa(以下「Ra」とも表記)は0.4であった。
【0174】
−磁性粒子(2)−
Fe
2O
3を1318質量部、Mn(OH)
2を586質量部、Mg(OH)
2を96質量部、を混合し、分散剤、水とメディア径1mmのジルコニアビーズを加え、サンドミルで解砕混合した。ジルコニアビーズをろ過、乾燥後、更にロータリーキルンで20rpm、900℃の条件で混合酸化物とした。次に、分散剤、水を加え、更にポリビニルアルコールを6.6質量部加え、湿式ボールミルで6時間粉砕混合を行った。得られた粉砕品の体積平均粒径は1.2μmであった。次に、スプレードライヤーで乾燥粒径が40μmになるように造粒、乾燥させた。更に、電気炉で温度1170℃、酸素濃度1.2%の酸素窒素混合雰囲気のもとで5時間の焼成を行った。得られた粒子を解砕工程、分級工程を経た後、ロータリーキルンで15rpm、900℃の条件で2時間加熱し、同様に分級工程を経て磁性粒子(2)を得た。磁性粒子(2)のD50vは35μmで、Smは1.0、Raは0.5であった。
【0175】
−磁性粒子(3)−
Fe
2O
3を1318質量部、Mn(OH)
2を586質量部、Mg(OH)
2を96質量部、を混合し、分散剤、水とメディア径1mmのジルコニアビーズを加え、サンドミルで解砕混合した。ジルコニアビーズをろ過、乾燥後、更にロータリーキルンで20rpm、900℃の条件で混合酸化物とした。次に、分散剤、水を加え、更にポリビニルアルコールを6.6質量部加え、湿式ボールミルで3時間粉砕混合を行った。得られた粉砕品の体積平均粒径は2.2μmであった。次に、スプレードライヤーで乾燥粒径が40μmになるように造粒、乾燥させた。更に、電気炉で温度1120℃、酸素濃度1.5%の酸素窒素混合雰囲気のもとで5時間の焼成を行った。得られた粒子を解砕工程、分級工程を経た後、ロータリーキルンで15rpm、920℃の条件で2時間加熱し、同様に分級工程を経て磁性粒子(3)を得た。磁性粒子(3)のD50vは35μmで、Smは3.5、Raは0.6であった。
【0176】
−磁性粒子(4)−
Fe
2O
3を1318質量部、Mn(OH)
2を586質量部、Mg(OH)
2を96質量部、を混合し、分散剤、水とメディア径1mmのジルコニアビーズを加え、サンドミルで解砕混合した。ジルコニアビーズをろ過、乾燥後、更にロータリーキルンで20rpm、900℃の条件で混合酸化物とした。次に、分散剤、水を加え、更にポリビニルアルコールを7質量部加え、湿式ボールミルで5時間粉砕混合を行った。得られた粉砕品の体積平均粒径は1.4μmであった。次に、スプレードライヤーで乾燥粒径が40μmになるように造粒、乾燥させた。更に、電気炉で温度1100℃、酸素濃度0.8%の酸素窒素混合雰囲気のもとで5時間の焼成を行った。得られた粒子を解砕工程、分級工程を経た後、ロータリーキルンで15rpm、890℃の条件で2時間加熱し、同様に分級工程を経て磁性粒子(4)を得た。磁性粒子(4)のD50vは35μmで、Smは2.5、Raは0.2であった。
【0177】
−磁性粒子(5)−
Fe
2O
3を1318質量部、Mn(OH)
2を586質量部、Mg(OH)
2を96質量部、を混合し、分散剤、水とメディア径1mmのジルコニアビーズを加え、サンドミルで解砕混合した。ジルコニアビーズをろ過、乾燥後、更にロータリーキルンで20rpm、900℃の条件で混合酸化物とした。次に、分散剤、水を加え、更にポリビニルアルコールを6質量部加え、湿式ボールミルで3.5時間粉砕混合を行った。得られた粉砕品の体積平均粒径は1.8μmであった。次に、スプレードライヤーで乾燥粒径が40μmになるように造粒、乾燥させた。更に、電気炉で温度1170℃、酸素濃度1.5%の酸素窒素混合雰囲気のもとで5時間の焼成を行った。得られた粒子を解砕工程、分級工程を経た後、ロータリーキルンで15rpm、900℃の条件で2時間加熱し、同様に分級工程を経て磁性粒子(5)を得た。磁性粒子(5)のD50vは35μmで、Smは2.5、Raは0.7であった。
【0178】
−磁性粒子(6)−
Fe
2O
3を1318質量部、Mn(OH)
2を586質量部、Mg(OH)
2を96質量部、を混合し、分散剤、水とメディア径1mmのジルコニアビーズを加え、サンドミルで解砕混合した。ジルコニアビーズをろ過、乾燥後、更にロータリーキルンで20rpm、900℃の条件で混合酸化物とした。次に、分散剤、水を加え、更にポリビニルアルコールを7.6質量部加え、湿式ボールミルで7時間粉砕混合を行った。得られた粉砕品の体積平均粒径は1.0μmであった。次に、スプレードライヤーで乾燥粒径が40μmになるように造粒、乾燥させた。更に、電気炉で温度1050℃、酸素濃度0.8%の酸素窒素混合雰囲気のもとで5時間の焼成を行った。得られた粒子を解砕工程、分級工程を経た後、ロータリーキルンで15rpm、920℃の条件で2時間加熱し、同様に分級工程を経て磁性粒子(6)を得た。磁性粒子(6)のD50vは35μmで、Smは0.8、Raは0.4であった。
【0179】
−磁性粒子(7)−
Fe
2O
3を1318質量部、Mn(OH)
2を586質量部、Mg(OH)
2を96質量部、を混合し、分散剤、水とメディア径1mmのジルコニアビーズを加え、サンドミルで解砕混合した。ジルコニアビーズをろ過、乾燥後、更にロータリーキルンで20rpm、900℃の条件で混合酸化物とした。次に、分散剤、水を加え、更にポリビニルアルコールを5.4質量部加え、湿式ボールミルで3時間粉砕混合を行った。得られた粉砕品の体積平均粒径は2.3μmであった。次に、スプレードライヤーで乾燥粒径が40μmになるように造粒、乾燥させた。更に、電気炉で温度1120℃、酸素濃度1.5%の酸素窒素混合雰囲気のもとで5時間の焼成を行った。得られた粒子を解砕工程、分級工程を経た後、ロータリーキルンで15rpm、900℃の条件で2時間加熱し、同様に分級工程を経て磁性粒子(7)を得た。磁性粒子(7)のD50vは35μmで、Smは3.8、Raは0.6であった。
【0180】
−磁性粒子(8)−
Fe
2O
3を1318質量部、Mn(OH)
2を586質量部、Mg(OH)
2を96質量部、を混合し、分散剤、水とメディア径1mmのジルコニアビーズを加え、サンドミルで解砕混合した。ジルコニアビーズをろ過、乾燥後、更にロータリーキルンで20rpm、900℃の条件で混合酸化物とした。次に、分散剤、水を加え、更にポリビニルアルコールを6.9質量部加え、湿式ボールミルで5時間粉砕混合を行った。得られた粉砕品の体積平均粒径は1.4μmであった。次に、スプレードライヤーで乾燥粒径が40μmになるように造粒、乾燥させた。更に、電気炉で温度1160℃、酸素濃度0.7%の酸素窒素混合雰囲気のもとで5時間の焼成を行った。得られた粒子を解砕工程、分級工程を経た後、ロータリーキルンで15rpm、920℃の条件で2時間加熱し、同様に分級工程を経て磁性粒子(8)を得た。磁性粒子(8)のD50vは35μmで、Smは2.3、Raは0.1であった。
【0181】
−磁性粒子(9)−
Fe
2O
3を1318質量部、Mn(OH)
2を586質量部、Mg(OH)
2を96質量部、を混合し、分散剤、水とメディア径1mmのジルコニアビーズを加え、サンドミルで解砕混合した。ジルコニアビーズをろ過、乾燥後、更にロータリーキルンで20rpm、900℃の条件で混合酸化物とした。次に、分散剤、水を加え、更にポリビニルアルコールを6質量部加え、湿式ボールミルで5.2時間粉砕混合を行った。得られた粉砕品の体積平均粒径は1.4μmであった。次に、スプレードライヤーで乾燥粒径が40μmになるように造粒、乾燥させた。更に、電気炉で温度1150℃、酸素濃度1.5%の酸素窒素混合雰囲気のもとで5時間の焼成を行った。得られた粒子を解砕工程、分級工程を経た後、ロータリーキルンで15rpm、890℃の条件で2時間加熱し、同様に分級工程を経て磁性粒子9を得た。磁性粒子9のD50vは35μmで、Smは2.7、Raは0.8であった。
【0182】
(コート液の作製)
−コート液(1)−
メチルメタクリレート−シクロヘキシルメタクリレート共重合体(95:5質量比/Mw6万): 36質量部
カーボンブラック VXC72(キャボット社製): 4質量部
トルエン (和光純薬工業社製): 500質量部
イソプロピルアルコール(和光純薬工業社製): 50質量部
上記成分とガラスビーズ(粒径:1mm、トルエンと同量)とを関西ペイント社製サンドミルに投入し、回転速度1200rpmで30分間攪拌し固形分11%のコート液(1)を調製した。
【0183】
(キャリア(1)〜(9))
真空脱気型5Lニーダーに磁性粒子(1)を2.0kg入れ、更にコート液1を340g入れ、攪拌しながら、60℃にて−200mmHgまで減圧し20分混合した後、昇温/減圧させ90℃/−720mHgで30分間攪拌乾燥させ、キャリア(1)を得た。
そして、磁性粒子(1)に代えて、各々、磁性粒子(2)〜(9)を使用した以外は、同様にして、キャリア(2)〜(9)を得た。
【0184】
<実施例1>
トナー粒子(1)100部に対して、脂肪酸金属塩粒子(FM1)を0.3部添加し、ノビルター(ノビルタNOB130、ホソカワミクロン社製)を用いて、クリアランス0.3、回転数2000rpm、攪拌時間5分の条件で攪拌して、トナー粒子(1)に脂肪酸金属塩粒子(FM1)を外添した。
次に、脂肪酸金属塩粒子(FM1)を外添したトナー粒子(1)に対して、研磨剤粒子(Ab1)0.3部、及びシリカ粒子(アエロジル社製A200)2.0部を添加し、ヘンシェルミキサーにて2000rpmで3分間混合し、トナーを得た。
【0185】
そして、得られたトナー(1)とキャリア(1)とを、トナー:キャリア=5:95(質量比)の割合でVブレンダーに入れ、20分間撹拌し、現像剤を得た。
【0186】
<実施例2〜14、比較例1〜6>
表1に従って、脂肪酸金属塩粒子の種類及び添加量、ノビルターによる攪拌条件、研磨剤粒子の種類及び添加量、並びに、キャリアの種類を変更した以外は、実施例1と同様にして、トナーと共に、現像剤を得た。
【0187】
<物性測定>
得られた現像剤のトナーについて、既述の方法に従って、脂肪酸金属塩付着トナー粒子の割合、及び脂肪酸金属塩粒子の強付着割合を測定した。
【0188】
<評価>
各例で得られた現像剤を用い、色筋、及びカブリについて評価を行った。結果を表1に示す。
【0189】
(色筋の評価)
色筋の評価は、次のようにして行った。
得られた現像剤を、低温低湿(10℃,15%RH)環境下で1日間放置した。
その後、現像剤を、画像形成装置「700 Digital Color Press(富士ゼロックス社製)」の現像装置に充填し、高温高湿(28.5℃、85%RH)環境下で、画像密度(エリアカバレッジ)1%の画像をA4紙に100,000枚を出力した。
出力された99,901枚から100,000枚までの100枚の画像について、色筋の発生の有無を目視にて観察し、色筋が発生した枚数を数えた。
評価基準は、以下の通りである。許容な評価結果はG1,G2である。
−評価基準−
G1:色筋発生無し
G2:色筋発生5枚以下
G3:色筋発生6枚以上10枚以下
G4:色筋発生11枚以上
【0190】
(カブリ)
カブリの評価は、次のようにして行った。
得られた現像剤を、700 Digital Color Press(富士ゼロックス社製)の現像装置に充填し、低温低湿(10℃,15%RH)環境下で1日放置した。その後、低温低湿(10℃,15%RH)環境下で、画像密度(エリアカバレッジ)40%の画像をA4紙に100,000枚を出力した。
次に、画像形成装置を、高温高湿(28.5℃、85%RH)環境下で1日放置した。その後、画像密度(エリアカバレッジ)40%の画像をA4紙に10,000枚を出力した。
そして、出力された10,000枚目の背景部(非画像部)について、画像濃度計X−Rite938(X−Rite社製)により、カブリ濃度の測定を行った。
評価基準は、以下の通りである。許容な評価結果はG1,G2である。
−評価基準−
G1:カブリ濃度が0.2未満で目視でも部分的なカブリが見られない。
G2:カブリ濃度が0.2未満だが目視で僅かなカブリが見られる。
G3:カブリ濃度が0.2未満だが目視で部分的なカブリが見られる。
G4:カブリ濃度が0.2以上。
【0191】
【表1】
【0192】
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、低温低湿環境下で高画像密度の画像の出力を続けた後に、高温高湿環境下で画像の出力を行ったときに生じる、カブリの発生が抑制されていることがわかる。
また、本実施例では、帯電手段から生じる放電生成物等の付着物に起因する色筋の発生も抑制されていることがわかる。