(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下で説明する実施形態に係る紫外線照射装置は、紫外線ランプと、光透過部材としてのガラス板と、第1の蛍光体としての蛍光体層と、第1の検出素子と、を具備する。紫外線ランプは、第1のピーク波長が200nm以下の第1の光を放射する。ガラス板は、紫外線ランプから第1の光が照射される。蛍光体層は、ガラス板に設けられている。蛍光体層は、第1の光によって励起され、波長が200nmを超える光を発する。第1の検出素子は、第1の蛍光体から発せられた光を検出する。
【0012】
また、以下で説明する実施形態に係る紫外線照射装置における紫外線ランプは、第2のピーク波長が200nmを超え、380nm以下の第2の光を放射する。第1の蛍光体としての第1の蛍光体層は、第2の光によって励起され、第2の光よりも波長が長い光を発する。第1の検出素子は、紫外線ランプから照射された第1の光及び第2の光によって第1の蛍光体層が発する光を検出する。この紫外線照射装置は、光学フィルタとしての波長カットフィルタと、第2の検出素子と、演算素子としての演算回路と、を更に具備する。波長カットフィルタは、紫外線ランプとガラス板との間に配置されている。波長カットフィルタは、紫外線ランプから照射された第2の光のみを透過する。第2の検出素子は、波長カットフィルタを透過した第2の光によって第1の蛍光体層が発する光を検出する。演算回路は、第1の検出素子と第2の検出素子とがそれぞれ検出した各検出値の差分を算出する。
【0013】
また、以下で説明する実施形態に係る紫外線照射装置は、第2の蛍光体としての第2の蛍光体層を更に具備する。第2の蛍光体層は、ガラス板に設けられている。第2の蛍光体層は、第1の蛍光体としての第1の蛍光体層が発する光によって励起され、第1の蛍光体層が発する光よりも波長が長い光を発する。第1の検出素子は、第2の蛍光体層が発した光を検出する。
【0014】
また、以下で説明する実施形態に係る紫外線検出方法は、紫外線ランプから放射されたピーク波長が200nm以下の光によって、ガラス板に設けられた蛍光体層を励起させ、蛍光体層が発する、波長が200nmを超える光を検出する。
【0015】
(第1の実施形態)
以下、実施形態に係る紫外線照射装置について、図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係る紫外線照射装置を模式的に示す断面図である。
図2は、第1の実施形態に係る紫外線照射装置が有する照度検出部を模式的に示す断面図である。
図2以降では、説明の便宜上、図面上での上下の向きを
図1と逆向きに示す。
【0016】
(紫外線照射装置の構成)
図1に示すように、第1の実施形態に係る紫外線照射装置1は、被照射体Wに真空紫外線を照射する紫外線ランプ10と、紫外線ランプ10が放射する真空紫外線を被照射体W側へ反射する反射面11aを有する反射板11と、紫外線ランプ10が放射する第1の光の照度を検出する照度検出部12と、を備える。
【0017】
本実施形態では、紫外線ランプ10として低圧水銀ランプを用いた構成について説明する。紫外線ランプ10は、低圧水銀ランプが用いられた場合、第1のピーク波長が200nm以下である例えば185nmの第1の光と、第2のピーク波長が200nmを超え、380nm以下である例えば254nmの第2の光とをそれぞれ放射する。なお、紫外線ランプ10としては、低圧水銀ランプに限定されるものではなく、例えば、第1のピーク波長が172nmの光を放射するキセノンエキシマランプが用いられてもよく、第1のピーク波長が200nm以下のLED(発光ダイオード)やLD(レーザ・ダイオード)などの半導体発光素子が用いられてもよい。また、第1のピーク波長、第2のピーク波長はそれぞれ単一波長に限定されず、例えば第1のピーク波長として200nm以下に複数のピークがあってもよい。
【0018】
照度検出部12は、紫外線ランプ10の表面である外周面から離間されて配置されており、反射板11の反射面11a側に固定されている。照度検出部12は、紫外線ランプ10の近傍に、紫外線ランプ10が放射する第1及び第2の光を受光するように配置されていればよく、反射板11と別体に配置されてもよい。
【0019】
被照射体Wは、例えば、液晶基板であり、例えば、ステージ14上に載置されて、紫外線ランプ10の紫外線が照射される。被照射体Wが載置されたステージ14は、搬送機構(図示せず)によって直線状の紫外線ランプ10の中心軸方向に直交する方向に搬送されることで、被照射体Wの被照射面全域にわたって、紫外線ランプ10の紫外線が照射される。
【0020】
(照度検出部の構成)
図2に示すように、照度検出部12は、紫外線ランプ10の第1の光及び第2の光が照射される光透過部材としてのガラス板15と、ガラス板15に設けられた第1の蛍光体としての蛍光体層16と、蛍光体層16が発する光の照度を検出する第1の検出素子17と、を有する。
【0021】
ガラス板15は、反射板11の反射面11aに支持されている。本実施形態では、光透過部材としてガラス板15が用いられるが、光透過性を有する樹脂板が用いられてもよい。
【0022】
蛍光体層16は、紫外線ランプ10が放射する第1の光(185nm)によって励起され、波長が200nmを超える光として、例えば、ピーク波長が452nmの光を発光する。蛍光体層16は、例えば、青色蛍光体として用いられているBaMgAl
10O
17:Euが、ガラス板15上に塗布されることにより形成されている。蛍光体層16は、ガラス板15の両面の少なくとも一方の面に設けられており、例えば、ガラス板15における紫外線ランプ10に対向する側の面に設けられている。
【0023】
第1の検出素子17は、
図1に示すように、ガラス板15の、紫外線ランプ10と対向する位置に配置された取付け部18内に設けられており、反射板11の反射面11aの外側に、孔を介して固定されている。第1の検出素子17は、ガラス板15を介して、蛍光体層16が発した光を受光する。第1の検出素子17としては、波長が200nm以上の光を検出する一般的なセンサが用いられている。本実施形態では、第1の検出素子として、蛍光体層16が発する光のピーク波長(452nm)を検出するのに適した、すなわち、照度を検出する光のピーク感度波長が450nm程度であるセンサを用いることが好ましい。また、第1の検出素子17は、例えば、紫外線ランプ10の点灯を制御する点灯回路部(図示せず)に含まれる制御回路に接続されている。なお、第1の検出素子17は、いわゆる照度計そのものであってもよいし、第1の検出素子17として例えば受光ヘッドの機能のみを有する形態として構成され、受光ヘッドから図示しない光ファイバにより導光して図示しない受光素子へ導光される構成としてもよい。要するに、第1の検出素子17によって検出する光のピーク感度波長が450nm程度であるセンサであればどのような形態を採ってもよい。
【0024】
紫外線ランプ10から放射される真空紫外線は空気中で減衰する。このため、第1の光の検出精度を高める観点では、
図1及び
図2に示すように、紫外線ランプ10の表面と第1の検出素子17との間の距離dを可能な限り小さく設定することが好ましい。
【0025】
(照度検出部による紫外線の検出)
図2に示すように、照度検出部12では、紫外線ランプ10から放射された第1の光(185nm)及び第2の光(254nm)のうち、第1の光(185nm)によって蛍光体層16が励起され、蛍光体層16が452nmの光を発する。蛍光体層16が発した452nmの光は、ガラス板15を透過し、第1の検出素子17によって照度が検出される。このように、照度検出部12の第1の検出素子17は、紫外線ランプ10が放射する第1の光(185nm)が、蛍光体層16によって200nmを超える波長に変換された光の照度を検出する。すなわち、第1の検出素子17は、紫外線ランプ10の第1の光(185nm)の照度を、蛍光体層16が発する光(452nm)の照度によって間接的に検出する。
【0026】
また、本実施形態において、紫外線ランプ10から放射された波長が254nmの第2の光は、ガラス板15を透過するが、第2の光は蛍光体層16を励起させず、また、第1の検出素子17によって検出されない。なお、必要に応じて、ガラス板15を透過した第2の光は、別の検出素子を用いて検出されてもよい。例えば、別の検出素子によって検出された第2の光の照度に基づいて、制御回路が、第1の検出素子17が検出した第1の光の照度を補正する演算を行ってもよい。これにより、第1の光の検出値の精度を高めることが可能になる。
【0027】
(紫外線検出方法)
以上のように構成された紫外線照射装置1を用いた紫外線検出方法は、紫外線ランプ10から放射された第1のピーク波長が200nm以下の第1の光(185nm)によって、ガラス板15に設けられた蛍光体層16を励起させ、蛍光体層16が発する、波長が200nmを超える光(452nm)を検出する。
【0028】
上述のように第1の実施形態の紫外線照射装置1は、第1のピーク波長が200nm以下の第1の光が紫外線ランプ10から照射されるガラス板15と、ガラス板15に設けられて第1の光によって励起され、波長が200nmを超える光を発する蛍光体層16と、ガラス板15から照射された光を検出する第1の検出素子17と、を備える。これにより、波長が200nmを超える光を検出する普及型の第1の検出素子17を用いて、第1の検出素子17を紫外線ランプ10の表面から離間して配置することが可能になると共に、紫外線ランプ10が放射する200nm以下である第1の光の照度を、ガラス板15及び蛍光体層16を介して検出することが可能になる。このため、オゾンによって第1の検出素子17が劣化することが抑えられ、波長が200nm以下の光を検出する信頼性を高めることができる。
【0029】
また、第1の実施形態によれば、波長が200nmを超える光を検出する一般的な第1の検出素子17を用いて、波長が200nm以下の光を検出することが可能になるので、紫外線照射装置1の照度検出部12の製造コストを抑えることができる。
【0030】
以下、他の実施形態の紫外線照射装置について図面を参照して説明する。なお、他の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成部材には、第1の実施形態と同一符号を付して説明を省略する。
【0031】
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態に係る紫外線照射装置が有する照度検出部を模式的に示す断面図である。第2の実施形態は、照度検出部の構成が第1の実施形態と異なる。
【0032】
(照度検出部の構成)
図3に示すように、第2の実施形態の紫外線照射装置2は、紫外線ランプ10が放射する第1の光の照度を検出する照度検出部22を備える。照度検出部22は、上述した照度検出部12と同様に、反射板11の反射面11aに配置されている。照度検出部22は、ガラス板15と、ガラス板15に設けられた第1の蛍光体としての第1の蛍光体層25と、ガラス板15に設けられた第2の蛍光体としての第2の蛍光体層26と、第2の蛍光体層26が発する光の照度を検出する第1の検出素子17と、を有する。
【0033】
第1の蛍光体層25は、紫外線ランプの第1の光(185nm)によって励起され、波長が200nmを超える光、例えばピーク波長が452nmの光を発する。第1の蛍光体層25は、例えば、青色蛍光体として用いられているBaMgAl
10O
17:Euが、ガラス板15における紫外線ランプ10側の面上に塗布されることにより形成されている。
【0034】
第2の蛍光体層26は、第1の蛍光体層25が発する光(452nm)によって励起され、この光よりも波長が長い光、例えばピーク波長が550nmの光を発する。第2の蛍光体層26は、ガラス板15における第1の検出素子17側の面上に塗布されることにより形成されている。第2の実施形態では、第1の検出素子17として、照度を検出する光のピーク感度波長が550nm程度である一般的なセンサ、例えばオムロン社製のF3UVが用いられている。
【0035】
なお、第2の実施形態では、ガラス板15の両面に第1の蛍光体25及び第2の蛍光体層26がそれぞれ設けられたが、ガラス板15の一方の面に、第1の蛍光体層25と第2の蛍光体層26が積層されて設けられてもよい。この場合、紫外線ランプ10側から第1の検出素子17側に向かって、第1の蛍光体層25、第2の蛍光体層26の順に配置される。
【0036】
(照度検出部による紫外線の検出)
図3に示すように、照度検出部22では、紫外線ランプ10から放射された第1の光(185nm)及び第2の光(254nm)のうち、第1の光(185nm)によって第1の蛍光体層25が励起され、第1の蛍光体層25が452nmの光を発する。第1の蛍光体層25が発した452nmの光は、ガラス板15を透過し、この425nmの光によって第2の蛍光体層26が励起され、第2の蛍光体層26が550nmの光を発する。第2の蛍光体層26が発した光は、第1の検出素子17によって照度が検出される。このように、第1の検出素子17は、紫外線ランプ10が放射する第1の光(185nm)が、第1の蛍光体層25及び第2の蛍光体層26によって、200nmを超える波長に2段階に変換された光の照度を検出する。すなわち、第1の検出素子17は、紫外線ランプ10の第1の光(185nm)の照度を、第2の蛍光体層26が発する光(550nm)の照度によって間接的に検出する。また、本実施形態においても、紫外線ランプ10から放射された波長が254nmの第2の光は、ガラス板15を透過するが、第2の光により第1の蛍光体層25及び第2の蛍光体層26が励起されず、また、第1の検出素子17によって検出されない。
【0037】
上述のように第2の実施形態の紫外線照射装置2は、第1の実施形態と同様に、波長が200nmを超える光を検出する一般的な第1の検出素子17を用いて、第1の検出素子17を紫外線ランプ10の表面から離間して配置することが可能になると共に、紫外線ランプ10が放射する200nm以下である第1の光の照度を、ガラス板15ならびに第1の蛍光体層25及び第2の蛍光体層26を介して検出することが可能になる。このため、オゾンによって第1の検出素子17が劣化することが抑えられ、波長が200nm以下の光を検出する信頼性を高めることができる。
【0038】
加えて、第2の実施形態によれば、第1の実施形態に比べて、第1の検出素子17によって検出する光の波長が550nmに変換される。550nmの光は人間の目の比視感度が高く、光を認識する能力が高いため、いわゆる光センサとしては550nmの受光感度を高めたものが一般的である。そのため、一般的な第1の検出素子17を用いることが可能になり、第1の検出素子17の選択の自由度が高められるので、特に多数の紫外線ランプ10を用いる場合等において製造コストの増大を抑制することができる。
【0039】
(第3の実施形態)
図4は、第3の実施形態に係る紫外線照射装置が有する照度検出部を模式的に示す断面図である。第3の実施形態は、上述の照度検出部12のガラス板15及び蛍光体層16が紫外線ランプ10に設けられた点が、第1の実施形態と異なる。
【0040】
(照度検出部の構成)
図4に示すように、第3の実施形態の紫外線照射装置3は、紫外線ランプ10が放射する第1の光の照度を検出する照度検出部32を備える。照度検出部32は、紫外線ランプ10に設けられたガラス板15と、ガラス板15に設けられた蛍光体層16と、蛍光体層16が発する光の照度を検出する第1の検出素子17と、を有する。
【0041】
図4では、紫外線ランプ10を構成するガラス製の放電容器の一部分がガラス板15を兼ね、放電容器の一部に蛍光体層16が設けられた構成として示したが、紫外線ランプ10にガラス板15が組み込まれた構成としてもよい。
【0042】
第1の検出素子17は、例えば、
図1に示す反射板11の反射面11aに固定されている。また、第1の検出素子17は、オゾンによる劣化を抑える観点で、図示しない別の光透過部材によって気密に封止された取付け部18に配置される構成が好ましい。
【0043】
(照度検出部による紫外線の検出)
照度検出部32は、
図2に示す照度検出部12と同様に、紫外線ランプ10が放射する第1の光(185nm)及び第2の光(254nm)のうち、第1の光(185nm)によって蛍光体層16が励起され、蛍光体層16が452nmの光を発する。蛍光体層16が発した452nmの光は、ガラス板15を透過し、第1の検出素子17によって照度が検出される。このように、照度検出部32の第1の検出素子17は、紫外線ランプ10が放射する第1の光(185nm)が、蛍光体層16によって200nmを超える波長に変換された光の照度を検出する。すなわち、第1の検出素子17は、紫外線ランプ10の第1の光(185nm)の照度を、蛍光体層16が発する光(452nm)の照度によって間接的に検出する。
【0044】
上述したように第3の実施形態の紫外線照射装置3は、第1の実施形態と同様に、波長が200nmを超える光を検出する一般的な第1の検出素子17を用いて、第1の検出素子17を紫外線ランプ10の表面から離間して配置することが可能になると共に、紫外線ランプ10が放射する200nm以下である第1の光の照度を、ガラス板15を介して検出することが可能になる。このため、オゾンによって第1の検出素子17が劣化することが抑えられ、波長が200nm以下の光を検出する信頼性を高めることができる。
【0045】
加えて、第3の実施形態によれば、第1の検出素子17のみを紫外線ランプ10の外部に配置すればよく、紫外線照射装置3全体を小型化することが可能になる。
【0046】
なお、第3の実施形態は、第1の実施形態における照度検出部12のガラス板15及び蛍光体層16が紫外線ランプ10に組み込まれて構成されたが、上述した第2の実施形態における照度検出部22のガラス板15、第1の蛍光体層25及び第2の蛍光体層26が、紫外線ランプ10に組み込まれてもよい。この構成の場合にも、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0047】
(第4の実施形態)
図5は、第4の実施形態に係る紫外線照射装置が有する照度検出部を模式的に示す断面図である。第4の実施形態は、照度検出部が第1及び第2の検出素子を有する点が、第1の実施形態と異なる。
【0048】
(照度検出部の構成)
図5に示すように、第4の実施形態の紫外線照射装置4は、紫外線ランプ10が放射する第1の光の照度を検出する照度検出部42を備える。照度検出部42は、上述した照度検出部12、22と同様に、反射板11の反射面11aに配置されている。照度検出部42は、ガラス板15と、ガラス板15に設けられた蛍光体層33と、紫外線ランプ10から照射された第2の光のみを透過する光学フィルタとしての波長カットフィルタ34と、を有する。また、照度検出部42は、紫外線ランプ10から照射された第1の光及び第2の光によって蛍光体層33が発する光を検出する第1の検出素子としての第1の検出素子35と、波長カットフィルタ34を透過した第2の光によって蛍光体層33が発する光を検出する第2の検出素子36と、第1の検出素子35が検出した検出値E1と第2の検出素子36が検出した検出値E2との差分△Eを算出する演算素子としての演算回路37と、を有する。
【0049】
波長カットフィルタ34は、紫外線ランプ10とガラス板15との間に配置されている。波長カットフィルタ34として、例えば、オゾンレス石英によって形成された平板が用いられる。波長カットフィルタ34は、ガラス板15と離間して配置されているが、ガラス板15上の一部の領域に設けられてもよい。
【0050】
第1の検出素子35は、ガラス板15の、波長カットフィルタ34に対向する領域以外の領域に対向して配置されている。第2の検出素子36は、ガラス板15を間に挟んで、波長カットフィルタ34に対向して配置されている。第1の検出素子35及び第2の検出素子36としては、波長が200nm以上の光を検出する一般的なセンサが用いられている。第4の実施形態では、第1の検出素子35及び2の検出素子36として、照度を検出する光のピーク感度波長が525nm程度であるセンサを用いることが好ましい。
【0051】
紫外線ランプ10から放射される真空紫外線が空気中で減衰するので、本実施形態においても、第1の光の検出精度を高める観点では、
図5に示すように、紫外線ランプ10の表面と第1の検出素子35及び第2の検出素子36との間の各距離dを可能な限り小さく設定することが好ましい。また、第1の検出素子35と第2の検出素子36は、紫外線ランプ10の表面と第1の検出素子35及び第2の検出素子36との間の距離dが等しくなる位置にそれぞれ配置されており、第1の光の検出精度が高められている。
【0052】
蛍光体層33は、第1の光(185nm)及び第2の光(254nm)によってそれぞれ励起され、第2の光よりも波長が長い光を発光する。蛍光体層33は、例えば、緑色蛍光体として用いられているZn
2SiO
4:Mnが、ガラス板15における第1の検出素子35及び第2の検出素子36側の面上に塗布されることにより形成されている。蛍光体層33は、波長が150nm程度から280nm程度の光によって励起され、ピーク波長が525nmの光を発光する。なお、蛍光体層33は、ガラス板15における紫外線ランプ10側の面上に設けられてもよい。
【0053】
演算回路37は、例えば、紫外線ランプ10の点灯を制御する点灯回路部(図示せず)に含まれる制御回路が用いられてもよい。第1の光及び第2の光によって蛍光体層33が発光する光の照度は、第2の光のみによって蛍光体層33が発光する光の照度よりも大きくなる。このため、第1の検出素子35が検出した照度の検出値E1と、第2の検出素子36が検出した照度の検出値E2は、E1>E2を満たす。したがって、演算回路37は、E1−E2=△Eを算出することで、第1の光の照度を検出する。
【0054】
(照度検出部による紫外線の検出)
図5に示すように、照度検出部42は、紫外線ランプ10から放射された第1の光(185nm)及び第2の光(254nm)の両方によって蛍光体層33が励起され、蛍光体層33が525nmの光を発する。ガラス板15を透過し、第1の光及び第2の光によって蛍光体層33が発した525nmの光は、第1の検出素子35によって照度である検出値E1が検出される。
【0055】
一方、照度検出部42において、波長カットフィルタ34が配置された箇所では、紫外線ランプ10から放射された第1の光(185nm)及び第2の光(254nm)のうち、第1の光が波長カットフィルタ34によって遮断され、第2の光(254nm)のみが波長カットフィルタ34を透過する。波長カットフィルタ34を透過した第2の光(254nm)は、蛍光体層33を励起させ、蛍光体層33が525nmの光を発する。ガラス板15を透過し、第2の光(254nm)のみによって蛍光体層33が発光した525nmの光は、第2の検出素子36によって照度である検出値E2が検出される。
【0056】
演算回路37は、第1の検出素子35及び第2の検出素子36の各検出値E1、E2の差分△Eを算出する。これにより、照度検出部42は、紫外線ランプ10の第1の光(185nm)の照度を、差分△Eによって間接的に検出する。
【0057】
上述のように第4の実施形態の紫外線照射装置4は、第1ないし第3の実施形態と同様に、波長が200nmを超える光を検出する一般的な第1の検出素子35及び第2の検出素子36を用いて、第1の検出素子35及び第2の検出素子36を紫外線ランプ10の表面から離間して配置することが可能になると共に、紫外線ランプ10が放射する200nm以下である第1の光の照度を検出することが可能になる。このため、オゾンによって第1の検出素子35及び第2の検出素子36が劣化することが抑えられ、波長が200nm以下の光を検出する信頼性を高めることができる。
【0058】
加えて、第4の実施形態によれば、第1の実施形態に比べて、第1の検出素子35及び第2の検出素子36によって検出する光の波長が更に長い波長(525nm)に変換される。525nmの光は、550nmの光ほどではないが、人間の目の比視感度が高く、光を認識する能力が高いため、いわゆる光センサとしては525nmの受光感度を高めたものも一般的である。そのため、一般的な第1の検出素子35及び第2の検出素子36を用いることが可能になり、第1の検出素子35及び第2の検出素子36の選択の自由度が高められるので、特に多数の紫外線ランプ10を用いる場合等において製造コストの増大を抑制することができる。
【0059】
なお、蛍光体層33は、単一の層として形成されたが、第1の光及び第2の光によって励起され、第2の光よりも波長が長い光を発する蛍光体層であれば、複数種類の蛍光体層が積層されてもよい。
【0060】
また、第4の実施形態において、第3の実施形態の構成が適用されてもよい。すなわち、
図6に示すように、照度検出部52は、紫外線ランプ10から放射された第1の光(185nm)及び第2の光(254nm)の両方によって蛍光体層33が励起され、蛍光体層33が発した525nmの光が第1の検出素子35によって検出され、波長カットフィルタ34を透過し、第2の光(254nm)のみによって蛍光体層33が発光した525nmの光が第2の検出素子36によって検出されるように構成されてもよい。
【0061】
なお、上述した第1ないし第4の実施形態では、真空紫外線の照度を検出する照度検出部12、22、32、42、52を備えて構成されたが、照度センサの代わりに光量センサを用いた光量検出部として構成されてもよく、本実施形態と同様の効果が得られる。
【0062】
本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することを意図していない。実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、本発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。