(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
隣り合う一対の前記第1の情報表示部と、前記ハブの軸心と直交する方向から見たときに前記一対の第1の情報表示部の間に位置する前記第2の情報表示部との組が、前記フランジの表面に複数組設けられることを特徴とする請求項2に記載のリール。
隣り合う一対の前記第2の情報表示部と、前記ハブの軸心と直交する方向から見たときに前記一対の第2の情報表示部の間に位置する第1の情報表示部との組が、前記フランジの表面に複数組設けられることを特徴とする請求項2に記載のリール。
前記第1の情報表示部は、前記フランジの表面から立設する壁面を有する壁状部材であり、前記壁面に孔を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のリール。
前記第2の情報表示部は、前記フランジの表面から立設する壁面を有する壁状部材であり、前記壁面に孔を有することを特徴とする請求項1から5及び11のいずれかに記載のリール。
前記第2の情報表示部は、前記フランジの表面から立設する壁状部材であり、上端縁に凹部と凸部を有することを特徴とする請求項1から5及び17のいずれかに記載のリール。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は一方のフランジ側から見たリールの外観斜視図であり、
図2は他方のフランジ側から見たリールの外観斜視図である。また、
図3はリールの断面斜視図である。各図に示したリール1は、ワイヤを巻いて収容するものであり、鉄筋結束機本体にワイヤを供給可能な可搬性のあるリールとして形成される。リール1は、ワイヤを巻き付け可能な巻き付け部2を有する筒状のハブ3と、ハブ3の軸方向に離間して設けられ(本実施形態では、ハブ3の軸方向両側に設けられ)、巻き付け部2を挟んで対向する対向面4a、5aを有する一対のフランジ(第1、第2のフランジ)4、5とを備える。
【0031】
ハブ3は、巻き付け部2を外周面に有する円筒状の軸部として形成されたものであり、リール1の回転中心(軸心)として機能する部位である。巻き付け部2の外周面には、ハブ3の内部まで連通する孔24が設けられている(
図6参照)。孔24は、巻き始めとなるワイヤの端部を差し込んで固定するために使用される。巻き付け部2の外径は、巻き付けたワイヤに局部的な屈曲が生じたり、過度に強い巻き癖が付かない程度に設定される。なお、巻き付け部2の形状は円筒状に限定されるものではなく、巻き付けられたワイヤに局部的な屈曲等を生じさせないかぎり、例えば円に近い多角形状としてもよい。
【0032】
ハブ3は二重筒構造となっており、内部にはハブ3と同心の筒状部15が形成される。筒状部15内部のフランジ5に近い部位には、鉄筋結束機本体に設けられるワイヤ巻き付け装置(図示せず)のスプライン軸と係合可能な複数の歯16が形成される。なお、筒状部15の形状は、必ずしも筒状に限るわけではなく筒状の軌跡上に等間隔又は不等間隔で設けられた凸部又は凹部形状のような他の形状に形成してもよい。
【0033】
フランジ4、5は、ハブ3の軸方向において離間した位置、すなわち、ハブ3の軸方向両側から径方向外側に放射状に広がる円板状の部材である。フランジ4,5は、径方向外方に延びており、巻き付け部2とともにワイヤの収容空間を形成する。フランジ4、5はハブ3に固定されており、ハブ3とともに回転する。ハブ3とフランジ4、5は、一例として樹脂素材であるポリプロピレンを射出成形することで一体成形物として形成されたものである。樹脂素材にはABS樹脂、ポリカーボネート等を利用しても差し支えがない。
【0034】
フランジ4、5は、
図1及び
図2に示すように、略平らで、かつ略一定な肉厚を有する。しかし、ハブ3に対するワイヤの巻き付け、収容、引き出し等が円滑に行えるのであれば、必ずしも一定の肉厚を有する必要はない。また、フランジ4、5の外周形状は必ずしも円形である必要はなく、鉄筋結束機本体に収容された状態で回転可能な形状であればよい。例えば、正円に近似した多角形状であったり、外周に歯形を設けた形状等であってもよい。フランジ4、5は、対向面4a、5aの反対側に位置する面、すなわち、外側に面した表面4b、5bに、強度の保持、ワイヤの種類の識別等の観点から種々の形状のリブや凹凸部を有している。
【0035】
対向するように配置されたフランジ4、5の一方である第1のフランジ4には、表面4bに、ワイヤの種類(又はリールの種類(どのワイヤを巻き付けたリールなのか、という意味)。以下この明細書において「ワイヤの種類」というときは「リールの種類」も含むものとする)を識別するための情報表示部9、12が形成される。情報表示部9、12は、ハブ3の軸心を中心とした(ハブ3の軸心から放射状に離間する)第1の円周C1上に配置される第1の情報表示部9(9A、9B、9C、9D)と、ハブ3の軸心を中心とした、第1の円周C1より直径の小さい(内周側に位置する)第2の円周C2上に配置される第2の情報表示部12(12A、12B、12C、12D)とを備える。第1及び/又は第2の情報表示部9,12によってもたらされる情報は、ワイヤのサイズや規格、ワイヤの材質やワイヤの構成(例えば、単線による撚り線、複数線による撚り線など)及び/又はリールそのものに関する情報、リールが使用可能かあるいは工具の特定の型と互換性が良いかなどに関する、一つ又は多くの情報を含むこともできる。
【0036】
第1の情報表示部9は、フランジ4の表面4bに対して略垂直方向に延びる(フランジ4の表面4bから突出する)複数の凸部(第1の突出部)9a(9a1、9a2、9a3、9a4)と、凸部9aと凸部9aの間に形成される凹部(スリット)9b(9b1、9b2、9b3)とを備える。本実施形態では、第1の円周C1上に壁状の部材からなる環状リブ25が立設され、この環状リブ25の上(上面)に第1の情報表示部9が形成される。具体的に第1の情報表示部9は、環状リブ25の上面(上端縁)から突出する(延びる)4個の凸部9a1、9a2、9a3、9a4と、これら凸部9a1、9a2、9a3、9a4の間(凸部9a1と凸部9a2の間、凸部9a2と凸部9a3の間及び凸部9a3と凸部9a4の間)に形成される3個の凹部9b1、9b2、9b3とによって構成される。凸部9aは光を透過しない遮光部であり、略矩形状の遮蔽体(板体)からなり、高さ(環状リブ25の上面から凸部9aの頂部までの高さ)及び肉厚とも数mm程度に設定される。一方、凹部9bは光を透過する透光部として機能し得る。4個の凸部9a1、9a2、9a3、9a4は略同一形状であるとともに、それぞれ等間隔に配置され、環状リブ25と一体的に設けられる。
【0037】
一つの第1の情報表示部9とこれと隣り合う第1の情報表示部9との間には、フランジ4を横方向(側方)から見たとき、すなわち、ハブ3の軸心と直交する方向から見たときに、開口として機能する間隔部10(10a、10b、10c、10d)が設けられている。間隔部10の深さは、凸部9aの高さと略一致するように形成される。なお、本実施形態では、各凸部9a及び凹部9bがそれぞれ同一の形状に形成されるが、凸部9a及び凹部9bとも、すべてが同一形状である必要はない。例えば、凸部9aや凹部9bの円周方向における幅をそれぞれ異なるようにしたり、凸部9aの高さや凹部9bの深さをそれぞれ異なるようにしてもよい。
【0038】
なお、環状リブ25の上面から凸部9aを突出させるのではなく、例えば環状リブ25を設けずに(環状リブ25を介さずに)フランジ4の表面から直接凸部9aを突出させるようにしてもよい。ただし、環状リブ25は連続する壁面で構成された環状の板体であり、フランジ4に一体形成されることから、環状リブ25を設けることによってフランジ4の強度を高め、フランジ4の変形等を防止又は低減することができるようになる。
【0039】
第2の情報表示部12は、フランジ4の表面4bに対して略垂直方向に延びる(フランジ4の表面4bから突出する)複数の凸部(第2の突出部)12a(12a1、12a2)と、凸部12aの両側に形成される複数の凹部(スリット)12b(12b1、12b2、12b3)とによって構成される。本実施形態では、第2の円周C2上に壁状の部材からなる環状リブ26が立設され、この環状リブ26の上面に第2の情報表示部12が一体形成される。具体的に第2の情報表示部12は、環状リブ26の上面(上端縁)に形成された3個の凹部12b1、12b2、12b3と、これら凹部12b1、12b2、12b3に挟まれた2個の凸部12a1、12a2とによって構成される。凸部12aは光を透過しない略矩形状の遮蔽体(板体)からなり、高さ(凹部12bの底面から頂部(環状リブ26の上面)までの高さ)及び肉厚とも数mm程度に設定される。2個の凸部12a1、12a2は略同一形状であるとともに、所定の間隔で配置される。環状リブ26の第2の情報表示部12A、12B、12C、12D以外の部分は、残存している環状リブ26の壁面によって光を透過しない遮蔽体13(13A、13B、13C、13D)である遮光部を構成する。
【0040】
第1の情報表示部9では、環状リブ25の上面から凸部9aが突出するように構成されるため、凸部9aの底面と連続する凹部9bの底面が環状リブ25の上面と略一致する。しかし、第2の情報表示部12では、環状リブ26の上面に凹部12bが形成されるため、凹部12bの底面は環状リブ26の上面よりも低い位置になる。従って、第2の情報表示部12では凸部12aの上面が環状リブ26の上面と略一致するように構成される。また、環状リブ25の上面に形成された凸部9aの上面と環状リブ26の上面は、フランジ4の表面4bに対して高さが略一致するように構成される。このため、凸部9aと凸部12aの高さは実質的に同一の高さとなる。なお、環状リブ25、26の形状は実施例の形状に限定されるものではない。
【0041】
環状リブ26も環状リブ25と同様、連続した壁面で構成される環状の板体であり、フランジ4と一体形成される。従って、環状リブ25に加えて環状リブ26を設けることでフランジ4の強度をさらに高めることができる。
【0042】
ところで、フランジ4の表面4bには、ハブ3と同心であってハブ3の外周部(断面)に相当する部位に環状凹部18が形成され、さらに環状凹部18を囲むようにして環状のボス部17が形成される。環状凹部18とボス部17は鉄筋結束機本体に回転可能に支持される部位であるが、フランジ4の補強材としても機能する。このため、環状凹部18とボス部17を設けることによって(環状リブ25、26と相まって)フランジ4の強度を一層高めることができる。
【0043】
図4はフランジ4の表面4bにおける第1の情報表示部9と第2の情報表示部12の配置について説明する説明図である。
図4では、第1の情報表示部9の凸部9aと凹部9b及び第2の情報表示部12の凸部12aと凹部12bの配置等を明確にするために、凸部9a、12a等をハッチングによって表している。
図4に示すように、第1の情報表示部9は、第1の円周C1上に等間隔に四つ配置される。また、第2の情報表示部12は、第2の円周C2上に等間隔に四つ配置される。ただし、第1、第2の情報表示部9、12は必ずしも等間隔で配置される必要はない。また、第1、第2の情報表示部9、12の配置は、概ね第1の円周C1及び第2の円周C2に沿って設けられていればよく、必ずしも各円周C1、C2と完全に一致している必要はない。
【0044】
第1の情報表示部9は、フランジ4の表面4bをハブ3の軸心を中心に4等分したときのそれぞれの領域(ハブ3の軸心を中心として90度の角度範囲内)に一つずつ配置される。換言すれば、第1の情報表示部9は、隣り合う二つの第2の情報表示部12のうちの一方の第2の情報表示部12の端部とハブ3の軸心とを結ぶ線分の延長線と、他方の第2の情報表示部12の端部とハブ3の軸心とを結ぶ線分の延長線とに挟まれた領域(例えば、領域A)内に配置される。従って、第1の情報表示部9は、第1の円周C1上に四つ配置されるとともに、第2の情報表示部12とはフランジ4の表面4bの径方向において完全に重なり合うことはない。換言すれば、第1の情報表示部9は、第2の情報表示部の最も近いものから円周方向にオフセットされている。
すなわち、第1の情報表示部9と第2の情報表示部12とは、フランジ4の表面4bの同一直径上(同一の放射線上)には配置されない。なお、「第2の情報表示部12の端部」とは、第2の情報表示部12の最も端に位置する凹部12b(12b1又は12b3)の外側側壁又は側面(側縁)をいう。
【0045】
一方、第2の情報表示部12は、上記4等分した領域内にそれぞれ一つずつ配置される(ただし、フランジ4の表面4bをどこで4等分するかによって第2の情報表示部12が4等分した領域の境界線上に位置することもある)。換言すれば、第2の情報表示部12は、隣り合う二つの第1の情報表示部9の内側両端(隣り合う第1の情報表示部9が向かい合う側の端)とハブ3の軸心とによって囲まれた領域(例えば、領域B)内に配置される。従って、第2の情報表示部12は、フランジ4の表面4bの径方向において第1の情報表示部9と完全には重ならないようにして第2の円周C2上に四つ配置される。なお、「隣り合う第1の情報表示部9の内側両端」とは、第1の情報表示部9の最も端に位置する凸部9aの外側側壁又は側面(側縁)のうち、隣り合う第1の情報表示部9が向かい合う側の凸部9aの外側側壁又は側面(側縁)をいう。本実施形態では、隣り合う第1の情報表示部9のうちの一方の第1の情報表示部9の端が例えば凸部9a1のとき、「隣り合う第1の情報表示部9の内側両端」は、この凸部9a1と他方の第1の情報表示部9の端の凸部9a4の外側側壁を意味し、一方の第1の情報表示部9の端が例えば凸部9a4のとき、「隣り合う第1の情報表示部9の内側両端」は、この凸部9a4と他方の第1の情報表示部9の端の凸部9a1の外側側壁を意味する。
【0046】
フランジ4の表面4bには、隣り合う一対の第1の情報表示部9と、フランジ4を横方向から見たときに一対の第1の情報表示部9の間、すなわち、間隔部10に位置する第2の情報表示部12との組(二つの第1の情報表示部9と一つの第2の情報表示部12の組)が、円周方向に複数組(実施例では、第1の情報表示部9A及び9Bと第2の情報表示部12Bの組、第1の情報表示部9B及び9Cと第2の情報表示部12Cの組、第1の情報表示部9C及び9Dと第2の情報表示部12Dの組、第1の情報表示部9D及び9Aと第2の情報表示部12Aの組の計4組)設けられる。換言すれば、フランジ4の表面4bには、隣り合う一対の第2の情報表示部12と、フランジ4を横方向から見たときに一対の第2の情報表示部12の間に位置する第1の情報表示部9との組(一つの第1の情報表示部9と二つの第2の情報表示部12の組)が、円周方向に複数組(実施例では、第2の情報表示部12A及び12Bと第1の情報表示部9Aの組、第2の情報表示部12B及び12Cと第1の情報表示部9Bの組、第2の情報表示部12C及び12Dと第1の情報表示部9Cの組、第2の情報表示部12D及び12Aと第1の情報表示部9Dの組の計4組)設けられる。従って、フランジ4の横方向のいかなる方向からでも、第1、第2の情報表示部9、12を見ることができる。
図4に関して別の表現をするならば、ハブ3の軸心を中心とした第1の円周C1によって定義づけられる円において、第1の情報表示部9は、当該円の中の異なる扇形部(第1の扇型部)にそれぞれ配置される。一方、第2の情報表示部12は、一部、好ましくは全部が、第1の情報表示部9で占める上記扇形部以外の扇形部(第2の扇形部)に位置するように配置される。すなわち、第1の情報表示部9で占める上記扇形部を第1の扇形部とした場合、第1の情報表示部9は第1の扇形部に位置し、第2の情報表示部12は、少なくとも一部が、第1の情報表示部9が占めない(第1の情報表示部9以外の)、第2の扇形部に位置する。
さらに、第1の円周C1において、開口部が設けられており(例えば、
図1に示されるように、隣り合う第1の情報表示部の間の間隔部10dとして、あるいは後述される
図34に示されるように、第1の情報表示部61に定義づけられる他の壁部あるいは壁部分第1の情報表示部の間の壁部あるいは壁部分の長孔62aとして)、当該開口部を通して、側面あるいは横方向から第2の情報表示部12を見ることができるようになっている。
【0047】
以上説明したように、本実施形態に係るリール1では、フランジ4の表面4bに情報表示部9、12を配置したので、例えば、面積の狭いハブ3の内部に情報表示部を配置する場合に比べてより多くの情報を搭載することができる。また、情報表示部9、12をフランジ4の表面4bの異なる円周C1、C2上に配置したので、フランジ4の表面4bを有効に使ってより多くの情報を搭載することができる。さらに、第1の情報表示部9と第2の情報表示部12をフランジ4の表面4bの径方向において重なり合わないように配置したので、例えば、フランジ4を横方向から見たとき、第1の情報表示部9と第2の情報表示部12を同時に視認することができる。さらにまた、情報表示部9、12をフランジ4の表面4bから突出するよう形成したので、例えば、リール1を取り扱う作業者等にとって情報表示部9、12が視認しやすくなり、さらに情報表示部9、12を凸部9a、12aと凹部9b、12bにより構成したことで、作業者等にとって情報表示部9、12の形状(例えば、凸部9a、12aや凹部9b、12bの数や位置)が視認しやすくなる。なお、具体的には、情報表示部9、12の形状、すなわち、凸部9a、12aや凹部9b、12bの数や位置がワイヤの種類を識別するための情報となるが、これについては後述する。
【0048】
本実施形態に係るリール1では、二つの円周C1、C2上に情報表示部9、12を配置しているが、このような情報表示部9、12等が配置される円周は二つ以上であっても差し支えがない。この場合、フランジ4の表面4bにはより多くの情報を搭載することができる。また、フランジ4の表面4bの径方向に情報表示部9、12等が増えれば、その分フランジ4全体の強度を高めることができるようになる。すなわち、増加した情報表示部(情報表示部9、12以外の情報表示部)もフランジ4の補強部材としての効果を有することになる。
【0049】
本実施形態に係るリール1では、第1の情報表示部9と第2の情報表示部12とを径方向において重ならないように異なる直径上に配置した。言換すると、第1及び第2の情報表示部9,12は円周方向において互いにオフセットされている。しかし、第1、第2の情報表示部9、12の凸部9a、12aや凹部9b、12bが同時に識別できるのであれば、第1の情報表示部9と第2の情報表示部12とが一部重なってもよい。従って、第1の情報表示部9がすべて領域A(
図4参照)内に配置されて第2の情報表示部12とまったく重ならない場合と、第1の情報表示部9の大半は領域Aに配置されるものの、一部が領域Aからはみ出るために第2の情報表示部12と一部重なる場合とがある。同様に、第2の情報表示部12がすべて領域B(
図4参照)内に配置されて第1の情報表示部9とまったく重ならない場合と、第2の情報表示部12の大半は領域Bに配置されるものの、一部が領域Bからはみ出るために第1の情報表示部9と一部重なる場合とがある。
【0050】
なお、第1の円周C1は、フランジ4の外周縁から数mm程度内側(軸心に向かって径方向内側)に位置するが、必ずしもこの位置に限定されず、例えばフランジ4の略外周上に位置させてもよい。この場合、第1の情報表示部9は、フランジ4の表面4bの略外周に沿って配置されることになる。ただし、本実施形態のように第1の情報表示部9をフランジ4の外周縁よりも内側に位置させることで、例えば運搬や落下等によってリール1が衝撃を受けた場合であっても、フランジ4の外周縁で第1の情報表示部9を保護することが可能となる。
【0051】
図2の説明に戻ると、対向するフランジ4、5の他方であるフランジ5には、表面5bにハブ3と同心であってハブ3の外周部(断面)に相当する部位に形成される環状凹部20と、環状凹部20を囲むようにして形成される環状の第1の凸状リブ21と、第1の凸状リブ21から径方向外側に放射状に延びる複数本の第2の凸状リブ22と、第2の凸状リブ22に接続し、フランジ5表面の外周縁に沿って形成される環状の第3の凸状リブ23とが設けられる。環状凹部20と第1の凸状リブ21は鉄筋結束機本体に回転可能に
支持される部位となる。第1、第2、第3の凸状リブ21、22、23を設けることで、フランジ5の強度を高めてフランジ5の変形等を防止することができるようになる。
なお、本実施例及び第2実施例以降の他の実施例では、上記の環状の凸状リブを2個設けた例を説明している。しかしながら、環状の凸状リブの個数は2個に限るわけではなく3個以上であってもよい。また、放射状の凸状リブを含め、同様の機能を発揮するのであれば他の形状に形成してもよい。
【0052】
さらに、フランジ5の表面5bには、ハブ3と同心の第3の円周C3上に、フランジ5を横方向から見たとき、略直角三角形状に形成された鋸刃状の小突起19(19a、19b、・・)が複数個設けられる。
図5はフランジ5の表面5bにおける小突起19の配置について説明する説明図である。
図5に示すように、小突起19は、ハブ3の軸心に対して角度θを隔てて配置された2個の小突起19a、19bを一対の組として、角度90度ごとに4組配置される。
【0053】
小突起19はリール1が逆回転するのを防止するために用いられる。具体的には、リール1が後述する鉄筋結束機本体の装着室(106)に収容されると、当該装着室に設けられている爪(ラチェット機構)が小突起19の対辺に相当する部位に係合するように構成される。小突起19は略直角三角形状に形成されているため、リール1は小突起19の斜辺と隣辺との間のなす角が示す方向には回転するが、爪と係合する小突起19の対辺に相当する方向への回転は規制される。
【0054】
また、本実施形態では、略直角三角形状に形成された小突起19の斜辺と隣辺との間のなす角によって示される方向が、リール1に巻回されたワイヤが引き出される方向(ワイヤの先端方向)、すなわち、リール1の回転方向と一致するように構成される。従って、小突起19を見れば、ワイヤが引き出される方向、すなわち、リール1の回転方向を確認することができる。
【0055】
前述したとおり、作業者等は、ワイヤの種類を識別するために第1、第2の情報表示部9、12を目視で確認することができる。一方、上記した従来技術に係るワイヤリールも第1、第2の情報表示部9、12に相当する透過孔を目視で確認することができる。しかしながら、従来技術に係るワイヤリールでは、透過孔がハブの内部にあるため、例えば複数のワイヤリールが積層された状態で置かれているような場合には、透過孔を目視で確認するのが非常に難しくなる(積層されたワイヤリールのうち、例えば真中に位置するワイヤリールの場合、目視で透過孔を確認することは略不可能であり、最も上に位置するワイヤリールであっても、真上からハブの内部を覗き込むようにして透過孔を確認しなければならない)。これに対して本発明では、リール1を積層した状態であっても第1、第2の情報表示部9、12を目視によって容易に確認することができる。以下この点ついて説明する。
【0056】
図7は複数個のリール1(1a、1b、1c)を方向を揃えて上方に向かって垂直方向に積み上げた状態を表した斜視図である。また、
図8は複数個のリールの方向を揃えて横に並べた状態を表した側面図である(換言すれば、水平保管)。
図7及び
図8は、例えば3個のリール1を整理棚に置いた状態又は収納箱に収納した状態を示したものである。なお、
図7及び
図8は、一例として3個のリール1を並べた状態を示しているが、当然ながら4個以上を並べた状態もある。
【0057】
図7及び
図8に示すように、複数のリール1は、積層状態で保管可能に構成される。保管時時にリール1を並べると、リール1aのフランジ5とリール1bのフランジ4及びリール1bのフランジ5とリール1cのフランジ4が近接する。このようにリール1を積層又は並べて近接させると、リール1bとリール1cのフランジ4の表面4bを見ることができなくなる。そのため、リール1bとリール1cのフランジ4の表面4b方向からは第2の情報表示部12を目視で確認することができなくなる。
【0058】
しかしながら、第2の情報表示部12を第1の情報表示部9の間に配置することで、複数のリール1を積層した保管状態であっても、フランジ4を横方向(リール1の軸に垂直な横方向)から見れば、第2の情報表示部12を見ることができる(視認可能となる)。すなわち、第1の情報表示部9の間(間隔部10)から第2の情報表示部12を目視によって識別することができる。もちろん、第1の情報表示部9は、フランジ4の表面4bの外周側に近い第1の円周C1上に配置されるので、リール1を積み重ねても隠蔽されることはない。従って、第2の情報表示部12を目視によって識別する場合には、第1の情報表示部9も同時に識別できる。なお、「第1の情報表示部9又は第2の情報表示部12を目視によって識別する」とは、第1の情報表示部9を構成する凸部9aや凹部9b又は第2の情報表示部12を構成する凸部12aや凹部12bの数や位置を目視によって識別することをいう。
【0059】
また、例えば複数の凸部9a、12aの形状及び/又は色彩をそれぞれ相違させることも可能であり、その場合、凸部9a、12aや凹部9b、12bの数や位置に加えて、又は代替として形状や色彩もワイヤの種類を識別するための情報になり得る。
【0060】
前述したように、リール1に巻き付け可能なワイヤには多くの種類があるが、リール1(フランジ4)に搭載した第1の情報表示部9と第2の情報表示部12からの情報を組み合わせて使うことで、多くのワイヤの種類に対応することができ、容易に識別できるようになる。すなわち、第1の情報表示部9が保持する情報と第2の情報表示部12が保持する情報との組み合わせによって複数通りの組み合わせを作ることができるため、これらの組み合わせをワイヤの種類に割り当てることで、ワイヤの多くの種類を識別できるようになる。
【0061】
本実施形態では、第1の情報表示部9を4個の凸部9aによって構成しているが、凸部9aの数は例えば4個から0個の範囲で増減させることができる。また、第2の情報表示部12を構成する凸部12aの数を例えば2個から0個の範囲で増減させることができる。もちろん、凸部9aを5個以上又は凸部12aを3個以上としても差し支えない。このように、凸部9a、12aの数を変えることで保持する情報を変えることができる。また、凸部9a、12aの数の上限値を変えることで保持する情報量を変えることができる。
【0062】
凸部9aを4個から0個の範囲で増減可能とし、凸部12aを2個から0個の範囲で増減可能とした場合、リール1は、5通りの情報を保持可能な第1の情報表示部9と3通りの情報を保持可能な第2の情報表示部12の組み合わせによって、視覚的に識別可能な15通りの情報を保持することができる。従って、第1の情報表示部9と第2の情報表示部12によって構成される15通りの情報にワイヤの種類を対応させることにより、第1の情報表示部9と第2の情報表示部12を見ただけでリール1に巻かれたワイヤの種類(最大15種類のワイヤのうちのいずれかのワイヤ)を識別できるようになる。さらに、第1の情報表示部9と第2の情報表示部12とをフランジ4の表面4bの径方向において重ならないように配置するとともに、隣り合う一対の第1の情報表示部9と、フランジ4を横方向から見たときに一対の第1の情報表示部9の間に位置する第2の情報表示部12との組を、フランジ4の表面4bの円周方向に複数組設けることで、フランジ4をどの方向から見ても第1、第2の情報表示部9、12のいずれも目視で確認できるようになる。
【0063】
本実施形態に係るリール1では、第1、第2の情報表示部9、12を、フランジ4の表面4bから突出した環状リブ25、26上に凹凸状に形成したので、作業者等は目視のみならず、リール1を手で触るだけで第1、第2の情報表示部9、12の形状を識別することができる。従って、例えば目視での判断が難しい暗い場所での作業や、本実施形態に係るリール1とは別の形状のリールが混在している中で特定のリール(リール1)を識別しなければならない環境等においても、リールを手で触ることによってリール1やリール1に搭載された情報の識別が可能となる。
【0064】
図9から
図17はワイヤが巻き付けられた状態のリール1(ワイヤ供給体100)を示したものであり、
図9はフランジ4側から見たワイヤ供給体100の外観斜視図、
図10はフランジ5側から見たワイヤ供給体100の外観斜視図、
図11はワイヤ供給体100をフランジ5側から見た状態の外観図、
図12は
図11を正面図とした場合における平面図、
図13は
図11を正面図とした場合における左側面図、
図14は
図11を正面図とした場合における右側面図、
図15は
図11を正面図とした場合における底面図を表している。また、
図16は複数個(図示した例では3個)のワイヤ供給体100(100a、100b、100c)を方向を揃えて上方に向かって積み上げた状態を表した斜視図、
図17は複数個(図示した例では3個)のワイヤ供給体100を方向を揃えて横に並べた状態を表した側面図である。なお、ワイヤ供給体100は鉄筋結束機本体に着脱可能に構成される可搬性のある交換品であり、前述したリール1にワイヤ101を巻き付けたものである。
【0065】
各図に示すように、リール1に巻かれたワイヤの情報は、フランジ4の表面4bに形成された第1、第2の情報表示部9、12に搭載される。従って、作業者等は、第1、第2の情報表示部9、12を確認することによって巻き付けられているワイヤの種類を識別することができる。
【0066】
図16及び
図17に示すように、ワイヤ供給体100を並べると、ワイヤ供給体100aのフランジ5とワイヤ供給体100bのフランジ4及びワイヤ供給体100bのフランジ5とワイヤ供給体100cのフランジ4が近接する。そして、ワイヤ供給体100同士が近接すると、
図7や
図8に示した例と同様に、ワイヤ供給体100bとワイヤ供給体100cについてはフランジ4の表面4bが隠れてしまい、フランジ4の表面4b方向から第1の情報表示部9や第2の情報表示部12を目視で確認できなくなる。しかしながら、環状リブ25には開口として機能する間隔部10が形成されているので、間隔部10を介して第2の円周C2上に配置された第2の情報表示部12を目視によって識別することができる。もちろん、フランジ4の外周側に近い円周C1上に設けた第1の情報表示部9は、ワイヤ供給体100を積み重ねても隠蔽されることはないため、第2の情報表示部12を目視によって識別する場合には、同時に第1の情報表示部9も目視によって識別することができる。ワイヤ供給体100には、種々のワイヤが巻き付け可能であるが、第1の情報表示部9が保持する情報と第2の情報表示部12が保持する情報(具体的には情報の組み合わせ)を確認することによって、巻き付けられたワイヤの種類を作業者等に認識させることができるものとなっている。
【0067】
図18から
図20は、ワイヤ供給体100を使用する鉄筋結束機の一例を表した説明図である。鉄筋結束機102は、トリガー103の操作によって上ガイド104の先端よりワイヤを送り出し、送り出されたワイヤを下ガイド105に誘い込んでループを形成し、当該ループを鉄筋の外周に巻き付けて鉄筋を結束するものである。鉄筋結束機102は、鉄筋結束機本体にワイヤ供給体100を収容し、装着するための装着室106を有している。鉄筋結束機102は、装着室106に収容したワイヤ供給体100からワイヤを引き出し、鉄筋結束機102の仕様又は動作モードによっては装着室106にワイヤを戻す動作を伴いながら結束動作を行うものである。
【0068】
装着室106は、ワイヤ供給体100を収容する収容空間107と収容空間107を塞ぐ蓋体108を有している。収容空間107の略中央と蓋体108の略中央には、リール1の軸部を回転可能に保持する保持部109、110が設けられている。鉄筋結束機本体には、収容空間107内にワイヤ供給体100の回転とともに回転する第1の情報表示部9が描く環状の軌跡を跨ぐように発光部と受光部を配置したフォトインターラプタ(図示せず)が設けられている。また、これと同様に第2の情報表示部12が描く環状の軌跡を跨ぐように発光部と受光部を配置したフォトインターラプタ(図示せず)が設けられている。上記フォトインターラプタは、赤外線の発光部と受光部を一体的に備えた光学センサの一種であるが、当該形式のセンサに限らず他の形式のセンサを用いても差し支えがないものである。
【0069】
本実施形態に係るリール1及びこれにワイヤを巻き付けたワイヤ供給体100の第1の情報表示部9、第2の情報表示部12は、前述したように、人間の視覚や触覚によって識別(検出)されるものであったが、それ以外に、鉄筋結束機本体に設けられる光学的なセンサによっても検出可能となる。鉄筋結束機102内においてワイヤ供給体100(リール1)が回転すると、回転に伴ってフォトインターラプタの発光部と受光部の間を第1の情報表示部9(凸部9a及び凹部9b)が通過する。この際、受光部に対する赤外線の入光が断続的に行われ、その断続的な入光が信号として鉄筋結束機102の制御部に出力される。また、ワイヤ供給体100の回転に伴って、第1の情報表示部9を検出するフォトインターラプタとは異なる他のフォトインターラプタの発光部と受光部の間を第2の情報表示部12(凸部12a及び凹部12b)が通過する。この際、受光部に対する赤外線の入光が断続的に行われ、その断続的な入光が信号として鉄筋結束機102の制御部に出力される。
【0070】
図21はフォトインターラプタ(光学センサ)で第1、第2の情報表示部9、12の凸部9a、12aを検出する場合を説明する説明図である。
図21に示すように、フォトインターラプタは凸部9a、12aを検出するが、誤検出防止のため、凸部9a、12aの高さが所定値(H0)以上でないと検出できないようになっている。従って、検出領域内に凸部9a、12aがあったとしても、その高さが所定値未満(例えばH1)の場合は検出されず、その高さが所定値以上である場合(例えばH2)に検出が行われる。本実施形態では、所定値(H0)は凸部9a、12aの高さの略1/2としており、凸部の高さが1/2未満の場合、当該凸部は検出されないようになっている。ただし、略1/2というのはあくまで一例であって、この値に限定されるものではない。
【0071】
上記二つのフォトインターラプタの出力信号を処理することで、例えば、第1の情報表示部9の出力信号と第2の情報表示部12の出力信号の組み合わせによって特定されるワイヤの種類を識別し、ワイヤの種類に応じた適切な駆動制御を行うことができるようになっている。
【0072】
本実施形態に係るリール1及びワイヤ供給体100では、第1、第2の情報表示部9、12の目視による識別を主たる目的としたが、前述したように、第1の情報表示部9と第2の情報表示部12を、鉄筋結束機102の制御に利用できるようにすることも一つの課題とするものである。このように、目視による識別情報である第1の情報表示部9と第2の情報表示部12を鉄筋結束機によって検出させることで、当該検出専用の情報を別個に設ける必要が無いという効果が得られる。
【0073】
(第2実施例)
図22から
図25は第2実施例に係るリール(リール30)を説明する説明図であり、
図22はフランジ4側から見たリール30の外観斜視図、
図23はフランジ4側から見たリール30の平面図、
図24はリール30の正面図である。また、
図25は第2実施例に係るワイヤ供給体(ワイヤ供給体130)の外観斜視図である。なお、
図22から
図25を用いた説明において、前述したリール1及びワイヤ供給体100と同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0074】
リール30は、リール1と同様にワイヤの巻き付け部2を外周面に有する円筒状の軸であるハブ3を有するとともに、ハブ3の巻き付け部2を挟んで対向する一対のフランジ4、5を有している。リール30とリール1の相違点は、フランジ4の表面4bに設けた第1の情報表示部と第2の情報表示部の数及び位置であり他の構造は略同一である。
【0075】
リール30は、4個の凸部(遮蔽体)31a(31a1、31a2、31a3、31a4) と3個の凹部(スリット)31b(31b1、31b2、31b3)によって構成される第1の情報表示部31(31A、31B)をフランジ4の表面4bの第1の円周C1上に二つ有している。第1の情報表示部31は、第1の円周C1上に、ハブ3の軸心を挟んで略対向するように配置される。換言すると、第1の情報表示部31は、ハブ3の軸心を中心として略180度の間隔で配置される。第1の円周C1上を占める第1の情報表示部31の角度範囲はハブ3の軸心を中心として40度から50度の範囲であり、第1の情報表示部31を設けていない第1の円周C1上の他の部分は凹部や凸部の無い間隔部32となっている。第1の情報表示部31は、フランジ4と一体を成す環状リブ25の上に構成され、第1の情報表示部31の無い環状リブ25のみの部分によって間隔部32が構成される。
【0076】
また、リール30は、2個の凸部(遮蔽体)33a(33a1、33a2)と3個の凹部(スリット)33b(33b1、33b2、33b3)によって構成される第2の情報表示部33(33A、33B)を第1の円周C1よりも直径の小さい第2の円周C2上に180度間隔で二つ有している。第2の円周C2上を占める第2の情報表示部33の角度範囲はハブ3の軸心を中心として20度から30度(図示した例は25度)の範囲であり、第2の情報表示部33を設けていない第2の円周C2上の他の部分は凹部や凸部の無い環状の壁面となっている。
【0077】
第1の情報表示部31と第2の情報表示部33は、中心位置をハブ3の軸心を中心として90度異ならせて配置しており、第1の情報表示部31に隣接する間隔部32を設けた角度範囲(一例として130度から140度)の中に、第2の情報表示部33を設けている。当該構成により、間隔部32を介して第2の情報表示部33を視認することができるようになっている。また、第1の情報表示部31と第2の情報表示部33の基礎となる部分に、フランジ4と一体の円環状に連続する環状リブ25、環状リブ26を形成している。これによりフランジ4の剛性を高めることができ、ワイヤの巻き付けに伴う変形や、落下等の衝撃に対する強度を高めている。
【0078】
(第3実施例)
図26から
図29は第3実施例に係るリール(リール40)を説明する説明図であり、
図26はフランジ4側から見たリール40の外観斜視図、
図27はフランジ4側から見たリール40の平面図、
図28はリール40の正面図である。また、
図29は第3実施例に係るワイヤ供給体(ワイヤ供給体140)の外観斜視図である。なお、
図26から
図29を用いた説明において、前述したリール1及びワイヤ供給体100と同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0079】
リール40は、リール1と同様にワイヤの巻き付け部2を外周面に有する円筒状の軸であるハブ3を有するとともに、ハブ3の巻き付け部2を挟んで対向する一対のフランジ4、5を有している。リール40とリール1の相違点は、フランジ4の表面4bに設けた第1の情報表示部と第2の情報表示部の数及び位置であり他の構造は略同一である。
【0080】
リール40は、4個の凸部(遮蔽体)41a(41a1、41a2、41a3、41a4)と3個の凹部(スリット)41b(41b1、41b2、41b3)によって構成される第1の情報表示部41(41A、41B、41C、41D、41E、41F)を第1の円周C1上に60度間隔で六つ有している。第1の円周C1上を占める第1の情報表示部41の角度範囲は円周を12等分した略30度程度であり、第1の円周C1上の他の部分は凹部や凸部の無い間隔部42となっている。第1の情報表示部41は、フランジ4と一体を成す環状リブ25の上に構成され、第1の情報表示部41の無い環状リブ25のみの部分によって間隔部42が構成されている。
【0081】
また、リール40は、2個の凸部(遮蔽体)43a(43a1、43a2)と3個の凹部(スリット)43b(43b1、43b2、43b3)によって構成される第2の情報表示部43(43A、43B、43C、43D、43E、43F)を第1の円周C1よりも直径の小さい第2の円周C2上に60度間隔で六つ有している。
第2の円周C2上を占める第2の情報表示部43の角度範囲はハブ3の軸心を中心として15度から25度(図示した例は20度)の範囲であり、第2の情報表示部43を設けていない第2の円周C2上の他の部分は凹部や凸部の無い環状の壁面となっている。
【0082】
第1の情報表示部41と第2の情報表示部43は、位相を30度異ならせて配置しており、第1の情報表示部41に隣接する間隔部42を設けた角度範囲(一例として30度)の中に、第2の情報表示部43を設けている。当該構成により、第1の情報表示部41と隣接する間隔部42によって第2の情報表示部43を視認することができるようになっている。また、第1の情報表示部41と第2の情報表示部43の基礎となる部分に、円環状に連続する環状リブ25、環状リブ26を形成している。これによりフランジ4の剛性を高めることができ、ワイヤの巻き付けに伴う変形や、落下等の衝撃に対する強度を高めている。
【0083】
(第4実施例)
図30から
図33は第4実施例に係るリール(リール50)を説明する説明図であり、
図30はフランジ4側から見たリール50の外観斜視図、
図31はフランジ4側から見たリール50の平面図、
図32はリール50の正面図である。また、
図33は第4実施例に係るワイヤ供給体(ワイヤ供給体150)の外観斜視図である。なお、
図30から
図33を用いた説明において、前述したリール1及びワイヤ供給体100と同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0084】
リール50は、リール1と同様にワイヤの巻き付け部2を外周面に有する円筒状の軸であるハブ3を有するとともに、ハブ3の巻き付け部2を挟んで対向する一対のフランジ4、5を有している。リール50とリール1の相違点は、フランジ4の側面に設けた第1の情報表示部と第2の情報表示部の形状であり他の構造は略同一である。
【0085】
リール50は、フランジ4の表面4bの第1の円周C1上に四つの第1の情報表示部51(51A、51B、51C、51D)を有しているが、これら四つの第1の情報表示部51(51A、51B、51C、51D)は、それぞれ形状が異なるように設定されている。具体的には、第1の情報表示部51ごとに、凸部(遮蔽体)51aや凹部(スリット)51bの個数や幅等が異なるように設定されている。本実施例では、例えば、第1の情報表示部51Aは5個の凸部51Aa(51Aa1から51Aa5)と凸部51Aaの間に設けた4個の凹部51Ab(51Ab1から51Ab4)によって構成され、第1の情報表示部51Bは2個の凸部51Baと凸部51Baの間に設けた1個の凹部51Bbによって構成され、第1の情報表示部51Cは4個の凸部51Caと凸部51Caの間に設けた3個の凹部51Cbによって構成され、第1の情報表示部51Dは3個の凸部51Daと凸部51Daの間に設けた2個の凹部51Dbによって構成される。
【0086】
各第1の情報表示部51は、フランジ4と一体を成す環状リブ25の上に一体的に構成され、第1の情報表示部51の無い環状リブ25のみの部分によって間隔部52が構成される。第1の円周C1上を占める間隔部52の角度範囲(ハブ3の軸心を中心とする開口角度)はリール1と同様に40度から50度である。間隔部52及び各第1の情報表示部51ともに均等の長さで配置する場合には、各部の長さが占有する角度はハブ3の軸心を中心として45度が最適である。
【0087】
また、リール50は、第1の円周C1よりも直径の小さい第2の円周C2上に沿って配置した凸部(遮蔽体)53aと凹部(スリット)53bによって構成した第2の情報表示部53(53A、53B、53C、53D)を有している。各第2の情報表示部53は、凸部53aと凹部53bの数が異なっており、第2の情報表示部53Aは3個の凸部53Aa(53Aa1、53Aa2、53Aa3)と各凸部53Aaの両側に設けた4個の凹部53Ab(53Ab1、53Ab2、53Ab3、53Ab4)を有している。そして、第2の情報表示部53Bは1個の凸部53Ba(53Ba1)と凸部53Baの両側に設けた2個の凹部53Bb(53Bb1、53Bb2)を有し、第2の情報表示部53Cは2個の凸部53Ca(53Ca1、53Ca2)と凸部53Caの両側に設けた3個の凹部53Cb(53Cb1、53Cb2、53Cb3)を有し、第2の情報表示部53Dは1個の凸部53Da(53Da1)と凸部53Daの両側に設けた2個の凹部53Db(53Db1、53Db2)を有している。各第2の情報表示部53を構成する凸部53aと凹部53bの幅は、各第2の情報表示部53の長さが概ね一定となるように凸部53aと凹部53bの数に応じて調整されている。第2の円周C2上を占める第2の情報表示部53のハブ3の軸心を中心とした角度範囲は、第2の円周C2を8等分した略45度よりも小さく形成される。第2の情報表示部53以外の部分は、他の遮蔽体と同じ高さの連続壁として環状リブ26と一体の連続遮蔽部となっている。
【0088】
第1の情報表示部51と第2の情報表示部53は、それぞれ位相を45度程度異ならせて配置しており、第1の情報表示部51と隣接する間隔部52と第2の情報表示部53を設けた角度範囲が略一致するようになっている。当該構成により、外側に配置された間隔部52を介して内側に配置された第2の情報表示部53を視認することができるようになっている。また、第1の情報表示部51と第2の情報表示部53の基礎となる部分に、フランジ4と一体の円環状に連続する環状リブ25と環状リブ26を形成している。これによりフランジ4の剛性を高めることができ、ワイヤの巻き付けに伴う変形や、落下等の衝撃に対する強度を高めている。
【0089】
(第5実施例)
図34から
図36は第5実施例に係るリール(リール60)を説明する説明図であり、
図34はフランジ4側から見たリール60の外観斜視図、
図35はリール60の正面図である。また、
図36は第5実施例に係るワイヤ供給体(ワイヤ供給体160)の外観斜視 図である。なお、
図34から
図36を用いた説明において、前述したリール1及びワイヤ供給体100と同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0090】
リール60は、リール1と同様にワイヤの巻き付け部2を外周面に有する円筒状の軸であるハブ3を有するとともに、ハブ3の巻き付け部2を挟んで対向する一対のフランジ4、5を有している。リール60とリール1の相違点は、フランジ4の表面4bに設けた第1の情報表示部と第2の情報表示部の形状であり他の構造は略同一である。
【0091】
リール60は、フランジ4の表面4bの第1の円周C1上に四つの第1の情報表示部61を有している。第1の情報表示部61は、第1の円周C1上に連続した壁状の部材として立設する環状壁62に設けられる。環状壁62には周方向に壁面を貫通する複数の円形孔(開口部)61bと長孔(開口部)62aが形成される。具体的には、環状壁62の壁面に、長孔62aが周方向に所定間隔で形成され、長孔62aと長孔62aの間に、3個の円形孔61b(61b1、61b2、61b3)が等間隔に配置される。そして、環状壁62のうち、隣り合う二つの長孔62aの間の領域(長孔62aと長孔62aとに挟まれた部分)が第1の情報表示部61となる。
【0092】
従って、第1の情報表示部61の一方の端を画定する一方の長孔62aと、この長孔62aに隣接する円形孔61b1との間の壁面部分61a1、円形孔61b1と円形孔61b2の間の壁面部分61a2、円形孔61b2と円形孔61b3の間の壁面部分61a3及び第1の情報表示部61の他方の端を画定する他方の長孔62aと、この長孔62aに隣接する円形孔61b3との間の壁面部分61a4が、それぞれリール1の第1の情報表示部9でいう凸部9a(9a1、9a2、9a3、9a4)に相当する。そして、第1の情報表示部61の3個の円形孔61b(61b1、61b2、61b3)が、リール1の第1の情報表示部9でいう凹部9b(9b1、9b2、9b3)に相当する。なお、円形孔61bは、必ずしも円形に限定されるものではなく、例えば楕円形状、多角形状等の孔であってもよい。
【0093】
リール60は、第1の円周C1よりも直径の小さい第2の円周C2上に四つの第2の情報表示部63を有している。第2の情報表示部63は、第2の円周C2上に連続した壁状の部材として立設する環状壁64に設けられる。環状壁64には周方向に壁面を貫通する12個の円形孔(孔)63bが形成される。具体的には、環状壁64の壁面に、3個の円形孔63b(63b1、63b2、63b3)の組が等間隔で4組形成される。そして、環状壁64のうち、3個の円形孔63bの組が位置する領域、すなわち、3個の円形孔63bのうちの両端の円形孔63bに挟まれた領域が第2の情報表示部63となる。
【0094】
従って、第2の情報表示部63の3個の円形孔63b(63b1、63b2、63b3)が、それぞれリール1の第2の情報表示部12でいう凹部12b(12b1、12b2、12b3)に相当し、円形孔63b(円形孔63b1と63b2及び63b2と63b3)に挟まれた環状壁64の壁面部分63a(63a1、63a2)が、リール1の第2の情報表示部12でいう凸部12a(12a1、12a2)に相当する。なお、円形孔63bは、必ずしも円形に限定されるものではなく、例えば楕円形状、多角形状等であってもよい。
【0095】
第1の情報表示部61は、隣り合う二つの第2の情報表示部63のうちの一方の第2の情報表示部63の端部とハブ3の軸心とを結ぶ線分の延長線と、他方の第2の情報表示部63の端部とハブ3の軸心とを結ぶ線分の延長線とに挟まれた領域内に配置される。従って、第1の情報表示部61は、第1の円周C1上に四つ配置されるとともに、第2の情報表示部63とはフランジ4の表面4bの径方向において完全に重なり合うことはない。すなわち、第1の情報表示部61と第2の情報表示部63とは、フランジ4の表面4bの同一直径上には配置されない。なお、「第2の情報表示部63の端部」とは、第2の情報表示部63の最も端に位置する円形孔63b(63b1又は63b3)の外側端部をいう。
【0096】
一方、第2の情報表示部63は、隣り合う二つの第1の情報表示部61の内側両端(隣り合う第1の情報表示部61が向かい合う側の端)とハブ3の軸心とによって囲まれた領域内に配置される。従って、第2の情報表示部63は、フランジ4の表面4bの径方向において第1の情報表示部61と完全には重ならないようにして第2の円周C2上に四つ配置される。なお、「隣り合う第1の情報表示部61の内側両端」とは、第1の情報表示部61を画定する隣り合う2個の長孔62aの、それぞれ内側端部をいう。
【0097】
環状壁62には、第1の情報表示部61と第1の情報表示部61との間に長孔62aが形成されるが、この長孔62aは、フランジ4を横方向から見たときに、第2の情報表示部63と重なるように配置(開口)される。すなわち、長孔62aは、リール1でいう環状リブ25の間隔部10に相当し、フランジ4を横方向から見ると、長孔62aから第2の情報表示部63を視認できるようになっている。また、長孔62aは、第2の情報表示部63と重なるようにして周方向に等間隔で形成されるため、フランジ4の横方向のいかなる方向からでも、第2の情報表示部63を視認することができる。また、第1、第2の情報表示部61、63は、第1、第2の情報表示部9、12と同様、鉄筋結束機本体に設けられた光学センサで検知可能であることは言うまでもない。
【0098】
(第6実施例)
次に、他の実施例であるリール70について説明する。
図37は一方のフランジ74側から見たリール70の外観斜視図であり、
図38は他方のフランジ75側から見たリールの外観斜視図である。また、
図39はリール70の断面斜視図であり、
図40はフランジ74に設けた情報表示部の配置に関する説明図である。
図37から
図40に示したリール70は、他の実施例と同様にワイヤを巻いて収容するものであり、鉄筋結束機本体にワイヤを供給可能な可搬性のあるリールとして形成される。リール70は、ワイヤを巻き付け可能な巻き付け部72を有する筒状のハブ73と、ハブ73の軸方向両側に設けられ、巻き付け部72を挟んで対向する対向面74a、75aを有する一対のフランジ74、75とを備える。
【0099】
ハブ73は、巻き付け部72を外周面に有する円筒状の軸部として形成されたものであり、リール70の回転中心(軸心)として機能する部位である。巻き付け部72の外周面には、ハブ73の内部まで連通する孔が設けられている(図示せず)。この孔は前述した孔24と同様に、巻き始めとなるワイヤの端部を差し込んで固定するために使用される部位である。巻き付け部72の外径は、巻き付けたワイヤに局部的な屈曲が生じたり、強い巻き癖が付かない程度に設定される。なお、巻き付け部72の形状は円筒状に限定されるものではなく、巻き付けられたワイヤに局部的な屈曲等を生じさせないかぎり、例えば円に近い多角形状としてもよい。
【0100】
ハブ73は二重筒構造となっており、内部にはハブ73と同心の筒状部85が形成される。筒状部85内部のフランジ75に近い部位には、一例として凸状形状の複数の歯86が形成されている。この歯86は、このリール70を使用する鉄筋結束機が歯86と係合可能な支軸を有している場合に使用するものである。なお、鉄筋結束機にはこのような支軸を有していない機種もあるので、この場合歯86は使用されない。また、この筒状部85として説明した部位の形状は必ずしも筒状に限るわけではなく、他の形状に形成しても差し支えない。
【0101】
フランジ74、75は、ハブ73の軸方向に離間して、ハブ73の軸方向両側から径方向外側に放射状に広がる円板状の部材である。フランジ74,75は、径方向外方に延びており、巻き付け部72とともにワイヤの収容空間を形成する。フランジ74、75はハブ73に固定されており、ハブ73とともに回転する。ハブ73とフランジ74、75は、一例として樹脂素材であるポリプロピレンを射出成形することで一体成形物として形成されたものである。樹脂素材にはABS樹脂、ポリカーボネート等を利用しても差し支えがない。
【0102】
フランジ74、75の円板状部分は、略平らであり、一定な肉厚を有する。しかし、ハブ73に対するワイヤの巻き付け、収容、引き出し等が円滑に行えるのであれば、必ずしも一定な肉厚を有する必要はない。また、フランジ74、75の外周形状は必ずしも円形である必要はなく、鉄筋結束機本体に収容された状態で回転可能な形状であればよい。例えば、正円に近似した多角形状であったり、外周に歯形を設けた形状等であってもよい。フランジ74、75は、対向面74a、75aの反対面である外側に面した表面74b、75bに、強度の保持、ワイヤの種類の識別等の観点から種々の形状のリブや凹凸部を有している。
【0103】
対向するように配置されたフランジ74、75の一方であるフランジ74には、表面74bに、ワイヤの種類を識別するための第1の情報表示部79と第2の情報表示部82が形成される。第1の情報表示部79は、ハブ73の軸心を中心とした第1の円周C1に沿って、図中の79A、79B、79C、79Dで示す4箇所に等間隔で配置されている。第2の情報表示部82は、第1の円周C1より直径の小さい(第1の円周C1の内周側に位置する)第2の円周C2に沿って、図中の82A、82B、82C、82Dで示す4箇所に等間隔で配置されている。
【0104】
第1の情報表示部79は、フランジ74の表面74bに対して略垂直方向に延びる複数の凸部79a(79a1、79a2)と、凸部79aと凸部79aの間に形成される凹部79bとによって構成される。本実施例では、第1の円周C1上に高さの低い壁状の部材からなる環状リブ95が立設され、この環状リブ95の上(上面)に第1の情報表示部79が形成される。凸部79aは光を透過しない略矩形状の遮蔽体(板体)からなり、高さ(環状リブ95の上面から凸部79aの頂部までの高さ)及び肉厚とも数mm程度に設定される。2個の凸部79a1、79a2は略同一形状に形成されている。
【0105】
一つの第1の情報表示部79とこれと隣り合う他の第1の情報表示部79との間には、フランジ74を横方向(側方)から見たとき、すなわち、ハブ73の軸心と直交する方向から見たときに、開口として機能する間隔部80(80a、80b、80c、80d)が設けられている。間隔部80の深さは、凸部79aの高さと略一致するように形成される。なお、本実施例では、各凸部79aと凹部79bはそれぞれ同一の形状に形成されているが、ワイヤを識別するための情報パターンを増加させる場合など、必要に応じて形状を異ならせてもよい。例えば、凸部79aや凹部79bの円周方向における幅をそれぞれ異なるようにしたり、凸部79aの高さや凹部79bの深さをそれぞれ異なるようにしてもよい。
【0106】
また、上記の例では高さの低い環状リブ95の上面から凸部79aを突出させている。環状リブ95は連続する壁面で構成された環状の板体であり、フランジ74の強度を高めてフランジ74の変形等を防止する作用を有するが、このような環状リブ95を設けずにフランジ74の表面74bから直接凸部79aを突出させるようにして差し支えない。
【0107】
第2の情報表示部82は、フランジ74の表面74bに対して略垂直方向に延びる複数の凸部82a(82a1、82a2)と、隣り合う凸部82aの間及び両側に形成される複数の凹部(スリット)82b(82b1、82b2、82b3)とによって構成される。本実施形態では、第2の円周C2に沿って壁状の部材からなる環状リブ96が立設され、この環状リブ96の上面に第2の情報表示部82が一体形成される。
凸部82aは光を透過しない略矩形状の遮蔽体(板体)からなり、高さ(凹部82bの底面から頂部までの高さ)及び肉厚とも数mm程度に設定される。2個の凸部82a1、82a2は略同一形状であるとともに、所定の間隔で配置される。環状リブ96の第2の情報表示部82A、82B、82C、82D以外の部分は、残存している凸部82aと同じ高さの環状リブ96が形成する壁面によって光を透過しない遮蔽体83(83A、83B、83C、83D)を構成する。
【0108】
第2の情報表示部82では、環状リブ96の上面からスリット状の切り込みを入れることで凹部82bが形成されるため、凸部82aの上面が環状リブ96の上面と略一致するように構成される。
また、環状リブ95の上面に形成された凸部79aの上面と環状リブ96の上面は、フランジ74の表面74bに対して高さが略一致するように構成される。このため、凸部79aと凸部82aの高さ(環状リブ96の高さ)は同一である。
なお、環状リブ95、96の形状は実施例の形状に限定されるものではない。
【0109】
環状リブ96も環状リブ95と同様、連続した壁面で構成される環状の隆起部(板体)であり、フランジ74と一体形成される。従って、環状リブ95に加えて環状リブ96を設けることでフランジ74の強度をさらに高めている。
【0110】
また、フランジ74の表面74bには、ハブ73と同心である中央部分に円形の窪みである環状凹部88が形成されている。さらに環状凹部88を囲むようにして環状のボス部87が形成される。環状凹部88とボス部87は鉄筋結束機本体によって回転可能に支持される部位であるが、フランジ74の補強材としても機能する部位であり、環状リブ95、96等とともにリール70の強度を高める作用を有している。
【0111】
図40はフランジ74の表面74bにおける第1の情報表示部79と第2の情報表示部82の配置に関する説明図である。
図40では、第1の情報表示部79の凸部79aと凹部79b及び第2の情報表示部82の凸部82aと凹部82bの配置等を明確にするために、凸部79a、82a等をハッチングによって表している。
図40に示すように、第1の情報表示部79は、第1の円周C1上に等間隔に四つ配置される。また、第2の情報表示部82は、第2の円周C2上に等間隔に四つ配置される。ただし、第1、第2の情報表示部79、82は必ずしも等間隔で配置される必要はない。また、第1、第2の情報表示部79、82の配置は、概ね第1の円周C1及び第2の円周C2に沿って設けられていればよく、必ずしも各円周C1、C2と完全に一致している必要はない。
【0112】
第1の情報表示部79は、フランジ74の表面74bをハブ73の軸心を中心に4等分したときのそれぞれの領域(ハブ73の軸心を中心として90度の角度範囲内)に一つずつ配置される。
また、第1の情報表示部79は、ハブ73の軸心を中心として隣り合う二つの第2の情報表示部82の間に配置されるようになっている。すなわち、第1の情報表示部79は、一方の第2の情報表示部82の端部とハブ73の軸心とを結ぶ線分の延長線と、他方の第2の情報表示部82の端部とハブ73の軸心とを結ぶ線分の延長線とに挟まれた角度範囲である領域A内に配置される。
従って、第1の情報表示部79は、第1の円周C1上に四つ配置されるとともに、第2の情報表示部82とはフランジ74の表面74bの径方向において完全に重なり合うことはない。
【0113】
第2の情報表示部82は、上記4等分した90度の領域内にそれぞれ一つずつ配置される。また、第2の情報表示部82は、隣り合う二つの第1の情報表示部79の内側両端(隣り合う第1の情報表示部79が向かい合う側の端)とハブ73の軸心とによって挟まれた角度範囲である領域B内に配置される。
領域Bは第1の情報表示部79を設けていない間隔部(間隔を開けた部分)80である。このため、第2の情報表示部82は、フランジ74の表面74bの径方向において第1の情報表示部79と完全には重ならないようにして第2の円周C2上に四つ配置される。換言すれば、第1、第2の情報表示部79,82は、少なくとも部分的に、円周方向においてオフセットされている。
【0114】
上記の通り、フランジ74の表面74bには、90度毎に第1の情報表示部79と、隣り合う第1の情報表示部79間の間隔部80に配置された第2の情報表示部82が設けられることになる。このためリール70には、側方から見ても第1の情報表示部79と第2の情報表示部82の双方を視認することができる情報のセットが90度毎に形成されることになる。具体的には、第1の情報表示部79A及び79Bと第2の情報表示部82Bの組、第1の情報表示部79B及び79Cと第2の情報表示部82Cの組、第1の情報表示部79C及び79Dと第2の情報表示部82Dの組、第1の情報表示部79D及び79Aと第2の情報表示部82Aの組の合計4組の情報のセットが設けられる。この各情報のセットは、概ねフランジ74の全周囲に亘って視認することができるものであり、リール70の識別をすることが可能になっている。
【0115】
図38は情報表示部を設けた上述のフランジ74と対向するフランジ75側から見たリール70の斜視図を表している。
フランジ75は円板状に形成されており、その表面75bの中央部には、ハブ73と同心であってハブ73の外周部に相当する位置に形成した円形の凹部である環状凹部90と、環状凹部90を囲むようにして形成した環状の第1の凸状リブ91が設けられている。また、第1の凸状リブ91から径方向外側に放射状に延びる複数本の第2の凸状リブ92と、第2の凸状リブ92に接続し、フランジ75表面の外周縁に沿って形成される環状の第3の凸状リブ93とが設けられている。
【0116】
環状凹部90と第1の凸状リブ91は、鉄筋結束機本体によって回転可能に支持される部位として機能するものである。上記第1、第2、第3の各凸状リブ91、92、93を設けることで、フランジ75の強度を高めて変形等を防止するようになっている。
なお、本実施例では、環状の凸状リブ(91、93)を2個設けた例を記しているが、環状の凸状リブの個数は2個に限るわけではなく3個以上であっても差し支えない。また、放射状の凸状リブ(92)を含め、同様の機能を発揮するのであれば他の形状のリブを形成しても差し支えが無いものである。
【0117】
フランジ75の表面75bには、ハブ73と同心の第3の円周C3に沿って、フランジ75を横方向から見たとき、略直角三角形状を成す鋸刃状の小突起89が複数個設けられる。本実施例では、8個の小突起89が等間隔で配置された8本の第2の凸状リブ92の中間に、それぞれ等間隔に設けられている。
【0118】
小突起89はリール70が逆回転するのを防止するために用いられる。具体的には、リール70が鉄筋結束機本体の装着室(106)に収容されると、当該装着室に設けられている爪(ラチェット機構)が小突起89の対辺に相当する部位に係合するように構成される。小突起89は略直角三角形状に形成されているため、リール70は小突起89の斜辺と隣辺との間のなす角が示す方向には回転するが、爪と係合する小突起89の対辺に相当する方向への回転は規制される。
【0119】
また、略直角三角形状に形成された小突起89の斜辺と隣辺との間のなす角によって示される方向が、リール70に巻回されたワイヤが引き出される方向(ワイヤの先端方向)となっている。すなわち、小突起89の向きとリール70の回転方向が一致するように構成される。これにより、小突起89を見ることで、ワイヤが引き出される方向、すなわちリール70の回転方向を確認することができるようになっている。
【0120】
以上リール70は、前述したリール1と同様の機能を有するものであり、その作用、効果もほぼ同一である。
例えば、フランジ74の表面74bに情報表示部79、82を配置したので、面積の狭いハブ73の内部に情報表示部を配置する場合に比べてより多くの情報を搭載することができる。また、情報表示部79、82をフランジ74の表面74bの異なる円周C1、C2上に配置したので、フランジ74の表面74bを有効に使ってより多くの情報を搭載することができる。
【0121】
凸部79a、82aや凹部79b、82bの数や位置は、ワイヤの種類を識別するための情報として利用可能なものである。
リール70は、第1の情報表示部79と第2の情報表示部82をフランジ74の表面74bの径方向において重なり合わないように配置し、第1の情報表示部79の端部と第2の情報表示部82端部との間の重なり合わない範囲(換言すれば、
図40において領域Aと領域Bの重なる範囲)が前述したリール1に比べて大きいので、リール1と第1の情報表示部及び第2の情報表示部が同様の情報量でありながら、フランジ74を横方向から見たとき、第1の情報表示部79と第2の情報表示部82を同時に視認したときにリール1よりも判別しやすい。また、情報表示部79、82をフランジ74の表面74bから突出するよう形成したので、ハブ73の内部に情報を設ける場合と比較して、作業者等にとって情報表示部79、82の形状(例えば、凸部79a、82aや凹部79b、82bの数や位置)が視認しやすくなっている。このように、見る者にとって、ワイヤの種類等の識別が行いやすいものとなっている。
【0122】
本実施形態に係るリール70では、二つの円周C1、C2上に情報表示部79、82を配置しているが、このような情報表示部79、82等が配置される円周を二つ以上設けても差し支えがない。この場合、フランジ74の表面74bにはより多くの情報を搭載することができる。また、フランジ74の表面74bの径方向に情報表示部79、82等が増えれば、その分フランジ74全体の強度を高めることができるようになる。すなわち、増加した情報表示部(情報表示部79、82以外の情報表示部)もフランジ74の補強部材としての効果を有することになる。
【0123】
本実施形態に係るリール70では、第1の情報表示部79と第2の情報表示部82とを径方向において重ならないように異なる直径上に配置したが、第1、第2の情報表示部79、82の凸部79a、82aや凹部79b、82bが同時に識別できるのであれば、第1の情報表示部79と第2の情報表示部82とが一部重なってもよい。
従って、第1の情報表示部79がすべて領域A(
図40参照)内に配置されて第2の情報表示部82とまったく重ならない場合と、第1の情報表示部79の大半は領域Aに配置されるものの、一部が領域Aからはみ出るために第2の情報表示部82と一部重なる場合とがある。
同様に、第2の情報表示部82がすべて領域B(
図40参照)内に配置されて第1の情報表示部79とまったく重ならない場合と、第2の情報表示部82の大半は領域Bに配置されるものの、一部が領域Bからはみ出るために第1の情報表示部79と一部重なる場合とがある。
【0124】
第1の円周C1は、フランジ74の外周縁から数mm程度内側(軸心に向かって径方向内側)に位置するが、必ずしもこの位置に限定されず、例えばフランジ74の略外周上に位置させてもよい。この場合、第1の情報表示部79は、フランジ74の表面74bの略外周に沿って配置されることになる。ただし、本実施形態のように第1の情報表示部79をフランジ74の外周縁よりも内側に位置させることで、例えば運搬や落下等によってリール70が衝撃を受けた場合であっても、フランジ74の外周縁で第1の情報表示部79を保護することが可能となる。
【0125】
以上説明したリール70は、ワイヤの種類を識別するために第1、第2の情報表示部79、82を目視で確認することができるようになっている。また、リール70は、積層した状態であっても横方向から第1、第2の情報表示部79、82を目視によって確認することができるものであるから、重ねていてもワイヤの種類等の識別が可能であるという特徴を有している。
以上説明した本実施例に係るリール70が有する主要な作用、効果及び特徴は、前述した各実施例と同様である。
【0126】
(第7実施例)
次に、他の実施例であるリール200について説明する。
図41は一方のフランジ201側から見た単線のワイヤW1を巻き付けたリール200の外観斜視図である。
図42は、他方のフランジ202側から見た単線のワイヤW1を巻き付けたリール200の外観斜視図である。
また、
図43は複線ワイヤW2を巻き付けたリール200aの一方のフランジ201側から見た外観斜視図である。この
図43に示したリール200aは、第2の情報表示部220’(220A’、220B’、220C’、220D’)を除き、リール200と同一の構造を有している。
【0127】
リール200は、
図45に示したワイヤを巻き付け可能な巻き付け部204を有する筒状のハブ205と、ハブ205の軸方向両側に巻き付け部204を挟んで対向する対向面201a、202aを有する一対のフランジ201、202とを備える。
この巻き付け部204となるハブ205に、単線のワイヤW1や、複数本の単線ワイヤを一緒に引き出せるようにした複線ワイヤW2を巻き付けるようになっている。
ハブ205は二重筒構造となっており、内部にはハブ205と同心の筒状の貫通部206が形成される。貫通部206には、リール200に対するワイヤの巻始めを固定する詳細には後述するコマを収容している。
リール200の基本的な構造、材質、変形例、改良例等は、前述した各実施例記載のものと同様である。
【0128】
対向するように配置されたフランジ201、202の一方であるフランジ201には、表面201bに、ワイヤの種類を識別するための第1の情報表示部210と第2の情報表示部220が形成される。
第1の情報表示部210は、前述した第6実施例と同一の形状である。改めて説明すると、第1の情報表示部210は、ハブ205の軸心を中心とした第1の円周C100に沿って、図中に示した210A、210B、210C、210Dで示す4箇所に等間隔で配置されている。
第2の情報表示部220は、前述した各実施例とは形状がやや異なっている。第2の情報表示部220は、第1の円周C100より直径の小さい(第1の円周C100の内周側に位置する)第2の円周C200に沿って、図中の220A、220B、220C、220Dで示す4箇所に等間隔で配置されている。
【0129】
4箇所に等間隔で配置した各第1の情報表示部210は、フランジ201の表面201bに対して略垂直方向に延びる2個の凸部210a(210a1、210a2)と、凸部210a1と凸部210a2の間に形成される凹部210bとによって構成される。
本実施例では、第1の円周C100上に高さの低い壁状の部材からなる環状リブ211が立設され、この環状リブ211の上(上面)に第1の情報表示部210が形成される。凸部210aは光を透過しない略矩形状の遮蔽体(板体)からなり、高さ(環状リブ211の上面から凸部210aの頂部までの高さ)及び肉厚とも数mm程度に設定される。2個の凸部210a1、210a2は略同一形状に形成されている。
【0130】
一つの第1の情報表示部210とこれと隣り合う他の第1の情報表示部210との間には、フランジ201を横方向(側方)から見たとき、すなわち、ハブ205の軸心と直交する方向から見たときに、開口として機能する間隔部212(212a、212b、212c、212d)が設けられている。
間隔部212の深さは、凸部210aの高さと略一致するように形成される。なお、本実施例では、各凸部210aと凹部210bはワイヤを識別するための情報パターンを増加させる場合など、必要に応じて数や形状を異ならせてもよい。例えば、凸部210aや凹部210bの円周方向における幅をそれぞれ異なるようにしたり、凸部210aの高さや凹部210bの深さをそれぞれ異なるようにしてもよい。
【0131】
また、上記の例では高さの低い環状リブ211の上面から凸部210aを突出させている。環状リブ211は連続する壁面で構成された環状の隆起部(板体)であり、フランジ201の強度を高めてフランジ201の変形等を防止する作用を有する。なお、このような環状リブ211を設けずにフランジ201の表面201bから直接凸部210aを突出させるようにして差し支えない。
【0132】
第2の情報表示部220は、フランジ201の表面201bに対して略垂直方向に延びる凸部220aの両側に形成した2個の凹部(スリット)220b1、220b2によって構成される。
なお、
図43に示したリール200aの場合には、間に2個の凸部を伴う3個の凹部によって第2の情報表示部220(220A’、220B’、220C’、220D’)が構成されている。
【0133】
本実施の形態では、第2の円周C200に沿って壁状の部材からなる環状リブ221が立設され、この環状リブ221の上面を切り欠くかたちで第2の情報表示部220を一体的に形成している。
凸部220aは光を透過しない略矩形状の遮蔽体(板体)からなり、高さ(凹部220b1、220b2の底面から頂部までの高さ)及び肉厚とも数mm程度に設定される。
環状リブ221の第2の情報表示部220A、220B、220C、220D以外の部分は、残存している環状リブ221が形成する壁面によって光を透過しない遮蔽体222A、222B、222C、222Dを構成する。
【0134】
第2の情報表示部220では、環状リブ221の上面からスリット状の切り込みを入れることで凹部220b1、220b2が形成されるため、凸部220aの上面が環状リブ221の上面と略一致するように構成される。
また、環状リブ211の上面に形成された凸部210aの上面と環状リブ221の上面は、フランジ201の表面201bに対して高さが略一致するように構成される。このため、凸部210aと凸部220aの高さ(環状リブ221の高さ)は同一である。
なお、環状リブ211、221の形状は実施例の形状に限定されるものではない。
【0135】
環状リブ221も環状リブ211と同様、連続した壁面で構成される環状の板体であり、フランジ201と一体形成される。従って、環状リブ211に加えて環状リブ221を設けることでフランジ201の強度をさらに高めている。
【0136】
また、フランジ201の表面201bには、ハブ205と同心である中央部分に円形の窪みである環状凹部230が形成されている。さらに環状凹部230を囲むようにして環状のボス部231が形成される。環状凹部230とボス部231は鉄筋結束機本体によって回転可能に支持される部位であるが、フランジ201の補強材としても機能する部位であり、環状リブ211、221等とともにリール200の強度を高める作用を有している。
【0137】
図42は情報表示部を設けた上述のフランジ201と対向するフランジ202側から見たリール200の斜視図を表している。
フランジ202は円板状に形成されており、その表面202bの中央部には、ハブ205と同心であってハブ205の外周部に相当する位置に形成した円形の凹部である環状凹部232と、環状凹部232を囲むようにして形成した環状の第1の凸状リブ233が設けられている。また、第1の凸状リブ233から径方向外側に放射状に延びる複数本の第2の凸状リブ234と、この第2の凸状リブ234に接続する環状の第3の凸状リブ235が設けられている。さらに、フランジ202表面の外周縁に沿って環状の第4の凸状リブ236が設けられている。
【0138】
環状凹部232と第1の凸状リブ233は、鉄筋結束機本体によって回転可能に支持される部位として機能するものである。上記第1〜第4の各凸状リブ233、234、235、236を設けることで、フランジ202の強度を高めて変形等を防止するようになっている。
なお、本実施例では、環状の凸状リブ(233、235、236)を設けた例を記しているが、環状の凸状リブの個数は当該例に限るわけではない。また、放射状の凸状リブ(234)を含め、同様の機能を発揮するのであれば他の形状のリブを設けてもよい。
【0139】
フランジ202の表面202bには、ハブ205と同心の第3の円周C300に沿って、フランジ202を横方向から見たとき、略直角三角形状を成す鋸刃状の小突起237が8個設けられている。
小突起237はリール200の逆回転防止に用いられる。具体的には、リール200が鉄筋結束機本体の装着室(106)に収容されると、当該装着室に設けられている爪(ラチェット機構)が小突起237の対辺に相当する部位に係合する。小突起237は略直角三角形状に形成されているため、リール200は小突起237の斜辺と隣辺との間のなす角が示す方向には回転するが、爪と係合する小突起237の対辺に相当する方向への回転は規制される。
【0140】
また、略直角三角形状に形成された小突起237の斜辺と隣辺との間のなす角によって示される方向が、リール200に巻回されたワイヤが引き出される方向(ワイヤの先端方向)となっている。すなわち、小突起237の向きとリール200の回転方向が一致するように構成される。これにより、小突起237を見ることで、ワイヤが引き出される方向、すなわちリール200の回転方向を確認することができるようになっている。
【0141】
以上リール200は、前述したリール1や他のリールと同様の機能を有するものであり、その作用、効果もほぼ同一である。
例えば、フランジ201の表面201bに情報表示部210、220を配置したので、面積の狭いハブ205の内部に情報表示部を配置する場合に比べてより多くの情報を搭載することができる。また、情報表示部210、220をフランジ201の表面201bの異なる円周C100、C200上に配置したので、フランジ201の表面201bを有効に使ってより多くの情報を搭載することができる。
【0142】
凸部210a、220aや凹部210b、220bの数や位置は、ワイヤの材質や線径の他に、例えば
図41に示すように第2の情報表示部220の2個の凹部による単線ワイヤW1を巻き付けたリール200や、
図43に示すように第2の情報表示部220’の3個の凹部による単線ワイヤW2を巻き付けたリール200aのようにワイヤの種類を識別するための情報として利用可能なものである。情報表示部210、220をフランジ201の表面201bから突出するよう形成したので、ハブ205の内部に情報を設ける場合と比較して、作業者等にとって情報表示部210、220の形状(例えば、凸部210a、220aや凹部210b、220bの数や位置)が視認しやすくなっている。このように、見る者にとって、ワイヤの種類等の識別が行いやすいものとなっている。
【0143】
本実施形態に係るリール200では、二つの円周C100、C200上に情報表示部210、220を配置しているが、このような情報表示部210、220等が配置される円周を二つ以上設けても差し支えがない。この場合、フランジ201の表面201bにはより多くの情報を搭載することができる。また、フランジ201の表面201bの径方向に情報表示部210、220等が増えれば、その分フランジ201全体の強度を高めることができるようになる。すなわち、増加した情報表示部(情報表示部210、220以外の情報表示部)もフランジ201の補強部材としての効果を有することになる。
【0144】
以上説明したリール200は、ワイヤの種類を識別するために第1、第2の情報表示部210、220を目視で確認することができるようになっている。また、リール200は、積層した状態であっても横方向から第1、第2の情報表示部210、220を目視によって確認することができるものであるから、重ねていてもワイヤの種類等の識別が可能であるという特徴を有している。
以上説明した本実施例に係るリール200が有する主要な作用、効果及び特徴は、前述した各1〜6の実施例と同一若しくは実質的に同一の構造部分については、それぞれ同一の作用効果を有するものである。
【0145】
図44は、単線のワイヤW1をフランジ202に形成したワイヤフック部203に係合させた状態を表した外観斜視図である。
ワイヤフック部203は、巻き付けたワイヤW1の末端部を固定するためにフランジ201の周縁部に形成した切り欠きによって形成している。
ワイヤフック部203は、フランジ201の周縁から中央に向かって形成した2箇所の窪み240a、240bと、この2箇所の窪み240a、240bの間に設けた突片241からなる。巻き付けたワイヤW1の固定は、末端部部分を深く凹んだ窪み240aに通し、突片241を跨いだ後に窪み240bに通すことで行われる。
【0146】
突片241の最初にワイヤW1を通過させる窪み240aに近い部位には、突片241中央から窪み240aの底部方向に向かって傾斜する傾斜面242を設けている。この傾斜面242は、ワイヤW1を引っ張りながら窪み240aに嵌める際に、ワイヤW1を窪み240aに対して誘導する作用を有している。この傾斜面242の誘導作用によって、ハブ205に巻いてあるワイヤを弛ませること無く、ワイヤW1を固定することができるようになっている。
【0147】
図45は、リール200を側面から見た説明図である。同図に示しているように、ハブ205にコマ245を設けている。コマ245は、ハブ205に対してワイヤW1を巻始める際にワイヤW1の端部を保持する部材である。
コマ245は、ハブ205を構成する筒状の壁部に設けた開口部246からハブ205の中心方向に亘る空間内に2箇所の連結部247a、247bを介して固定されている。コマ245は、中央にワイヤW1を挿通させる小孔248を有しており、ワイヤW1を挿通させた後に他の装置によってワイヤW1の端部をコイル状に巻くことで、ワイヤW1が抜け出ないように保持するようになっている。
図46はコマ245がハブ205に対して固定されている状態のリール200をフランジ202側から見た図であり、
図47は
図46に示したA部の拡大図を表している。
【0148】
ハブ205に対してワイヤW1を巻き付けた後、連結部247a、247bは他の装置によって切断されるようになっている。
図48は連結部247a、247bを切断した状態のリール200をフランジ202側から見た状態を表し、
図49は
図47に示したB部の拡大図を表している。連結部247a、247bは、切断部248a、248bによってハブ205から分離する。
連結部247a、247bが切断されたコマ245は、ハブ205に巻装されているワイヤW1によって保持される状態となり、巻装されたワイヤW1が全て消費されるまでハブ205内に留まるようになっている。
【0149】
結束機において巻装されたワイヤW1を使い切った場合、結束機によるワイヤW1の引き出しに伴ってコマ245もワイヤの引き出し方向に引っ張られる。この際、ワイヤW1に引っ張られてコマ245もリール200から離脱しようとするが、コマ245に形成した突片249が開口部246の内周縁に引っかかり、一時的にコマ245の離脱を阻害するようになっている。
一方、コマ245の姿勢を調節すると、
図50に示すように開口部246からコマ245を取り出すことができるようになっている。コマ245を取り外した後のリール200は、
図51のようにハブ205の側面にコマ245を取り外した開口部246が残存する。
【0150】
上記のようにコマ245を取り外せるように構成したのは、リール200、200aと金属であるワイヤW1、W2とを分離するためである。この分離によって、樹脂部材と金属を含む部材とに分けて廃棄することが可能になっている。
以上説明した本実施例に係るリール200、200aが有する主要な作用、効果及び特徴は、前述した各実施例と同様である。
【0151】
以上説明した第1から第7実施例では、各実施例における第1の情報表示部や第2の情報表示部9、12、79、82、210、220等を構成する凹部9b、12b、79b、82b、210b、210、220b等や円形孔等61b、63bを空間として形成しているが、当該空間を光を透過する素材によって形成した透光体(例えば透明部材や半透明部材)としてもよい。ここで、光を透過する素材はプラスチックやフイルム等であり、プラスチックの嵌め込み、又はインサ−ト成形、フイルムの貼り付けで形成してもよい。また、第1、第2の円周C1、C2、C100、C200上に立設した環状壁を光を透過可能な部材で構成し、前記凸部や遮蔽体9a、12a、79a、82a、210a等に相当する部位(壁面)を光が透過しない遮蔽体の貼り付けによって形成したり、遮蔽塗装をすることによって構成してもよい。また、環状リブ25、26、95、96、211、221や環状壁62、64に形成された凹部9b、12b、79b、82b、210b、220b1、220b2等や円形孔61b、63bを透明部材や半透明部材で満たした場合には、これらの環状リブ25、26、95、96、211、221や環状壁62、64の強度を高めることができるのでフランジ4の剛性を高めることができるようになっている。
【0152】
また、第1から第7実施例では、第1、第2の情報表示部9、12、79、82等を凸部9a、12a、79a、82a、210a、220a等や凹部9b、12b、79b、82b等又は壁61a、63aや円形孔等61b、63bで構成したが、ワイヤの種類を識別できるのであれば、第1、第2の情報表示部9、12、79、82等の形状はこれらの形状に限定されるものではない。
【0153】
各種の実施例は、種々組み合わせて実施することが出来るものである。また、この発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々設計変更できるものである。
【0154】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記の如く記載され得る。
(付記1)
ワイヤを巻き付け可能な巻き付け部を有する筒状のハブと、
前記ハブの軸方向に離間して設けられ、前記巻き付け部を間に入れる対向面を有する第1及び第2のフランジと、
前記第1のフランジの前記対向面の反対側に位置する表面に形成され、前記ハブの軸心から放射状に離間する第1の円周上に配置される複数の第1の情報表示部と、
前記第1のフランジの前記表面に形成され、前記ハブの軸心を中心とした、前記第1の円周より直径の小さい第2の円周上に配置される第2の情報表示部と
を備え、
前記第2の情報表示部の少なくとも一部を通過する前記ハブの軸心から放射方向(径方向)に延びる線が、前記複数の第1の情報表示部のいずれも通過しないように前記第2の情報表示部の少なくとも一部を位置させるとともに、前記第2の情報表示部は前記複数の第1の情報表示部のそれぞれから円周方向においてオフセットされるリール。
(付記2)
複数の第2の情報表示部は、前記第2の円周上に配置され、
前記複数の第2の情報表示部のそれぞれは、前記複数の第1の情報表示部のうちの最も近いものに対して前記円周方向においてオフセットされている
付記1に記載のリール。
(付記3)
前記複数の第1の情報表示部のそれぞれは、前記第1のフランジの前記表面から突出し、
前記複数の第2の情報表示部のそれぞれは、前記第1のフランジの前記表面から突出する
付記2に記載のリール。
(付記4)
前記複数の第1の情報表示部のそれぞれは、少なくとも一つの遮光部と少なくとも一つの透光部を備え、
前記複数の第2の情報表示部のそれぞれは、少なくとも一つの遮光部と少なくとも一つの透光部を備える
付記3に記載のリール。
(付記5)
前記第1の情報表示部及び前記第2の情報表示部それぞれの前記少なくとも一つの遮光部は、前記ハブの軸方向において前記表面から離れる方向に突出する少なくとも2つの突出部を備え、
前記第1の情報表示部及び前記第2の情報表示部それぞれの少なくとも一つの透光部は、前記少なくとも2つの突出部の間に凹部を備える
付記4に記載のリール。
(付記6)
前記第1の円周及び前記第2の円周の少なくとも一方に沿ってリブが延びており、
前記複数の第1の情報表示部又は前記複数の第2の情報表示部は、前記軸方向において前記リブから延びる
付記4に記載のリール。
(付記7)
前記複数の第1の情報表示部は複数の第1の壁部を備え、各壁部は、前記第1の壁部を貫通して延びる少なくとも一つの第1の開口部を有し、
前記複数の第2の情報表示部は複数の第2の壁部を備え、各壁部は、前記第2の壁部を貫通して延びる第2の開口部を有する
付記4に記載のリール。
(付記8)
前記第1の壁部は、前記第1の円周に沿って延びる壁の一部であり、複数の長孔状の開口部が円周方向に形成され、隣り合う第1の情報表示部の間に設けられ、
前記長孔状の開口部は、前記少なくとも一つの第1の開口部よりも大きいサイズを有し、前記第2の情報表示部は、前記長孔状の開口部を介して視認可能に構成される
付記7に記載のリール。
(付記9)
各第1の情報表示部は、少なくとも2つの第1の突出部と、隣り合う第1の突出部の間の第1の凹部を備え、
前記第2の情報表示部は、少なくとも2つの第2の突出部と、隣り合う第2の突出部の間の第2の凹部を備え、
前記リールは、更に前記巻き付け部に巻き付けられたワイヤを備え、
前記第1の突出部と前記第2の突出部は、前記第1のフランジの前記表面から軸方向に離れるように突出する
付記1に記載のリール。
(付記10)
付記9に記載の複数のリールであって、
各リールは、前記複数のリールのうちの他の複数のリールと保管可能に構成され、前記複数のリールの保管位置において、各リールの前記第2の情報表示部は、当該リールの軸に垂直な横方向から視認される。
(付記11)
ワイヤを巻き付け可能な巻き付け部を有する筒状のハブと、
前記ハブの軸方向に離間して設けられ、前記巻き付け部を間に入れる対向面を有する第1及び第2のフランジと、
前記第1のフランジの前記対向面の反対側に位置する表面から突出し、前記ハブの軸心から放射状に離間する第1の円周上に位置する第1の情報表示部と、
前記第1のフランジの前記表面から突出し、前記第1の円周より直径の小さい第2の円周上に配置される第2の情報表示部と
を備え、
前記ハブの軸心を中心とし、前記第1の円周により定義される円において、前記第1の情報表示部は前記円の第1の扇形部に位置し、前記第2の情報表示部の少なくとも一部は前記円の第2の扇形部に位置し、前記円の前記第2の扇形部は、前記円の前記第1の扇形部と隣り合い、かつ重なり合わないリール。
(付記12)
前記第2の情報表示部は、全体的に前記第2の扇形部に位置する
付記11に記載のリール。
(付記13)
複数の第1の情報表示部は、それぞれ複数の前記第1の扇形部内に位置し、
複数の第2の情報表示部は、複数の前記第2の扇形部内に少なくとも部分的に位置し、前記第1の扇形部及び前記第2の扇形部は、前記第1の円周周りに交互に配置される
付記11に記載のリール。
(付記14)
前記第1の情報表示部のそれぞれは、遮光部と透光部を備え、
前記第2の情報表示部のそれぞれは、遮光部と透光部を備える
付記13に記載のリール。
(付記15)
前記第1の円周に沿って壁が延び、
前記第1の情報表示部のそれぞれは、前記壁と、前記壁を貫通して延びる少なくとも一つの長孔状の開口部を含み、
長孔状の開口部は、前記第2の扇形部それぞれの前記壁を貫通して延びる
付記14に記載のリール。
(付記16)
前記第1の情報表示部のそれぞれは、少なくとも二つの突出部と、隣り合う突出部の間の凹部を備え、
前記突出部は、遮光部を備え、
前記凹部は、透光部を備える
付記14に記載のリール。
(付記17)
前記第1の情報表示部は、
前記第1の壁部を貫通して延びる少なくとも一つの第1の開口部を有する第1の壁部、又は
隣り合う第1の突出部の間に第1の凹部を有する、少なくとも二つの第1の突出部を備え、
前記第2の情報表示部は、
前記第2の壁部を貫通して延びる少なくとも一つの第2の開口部を有する第2の壁部、又は
隣り合う第2の突出部の間に第2の凹部を有する、少なくとも二つの第2の突出部を備える
付記11に記載のリール。
(付記18)
前記第1の情報表示部は、少なくとも二つの第1の突出部と、前記少なくとも二つの第1の突出部の間に第1の凹部とを備え、
前記第2の情報表示部は、少なくとも二つの第2の突出部と、前記少なくとも二つの第2の突出部の間に第2の凹部とを備え、
前記少なくとも二つの第2突出部は、前記第2の扇形部内に位置する
付記11に記載のリール。
(付記19)
前記巻き付け部に巻き付けられたワイヤを更に備える、
付記18に記載のリール。
(付記20)
各リールは、前記複数のリールのうちの他の複数のリールと保管可能に構成され、前記複数のリールの保管位置において、各リールの前記第2の情報表示部は、当該リールの軸に垂直な横方向から視認可能に構成される
付記19に記載のリール。