(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ボタン群が前記操作面上に異なる列に配置され、第1の列に位置する前記ボタンの下側に配列された前記球体群のうち下流端の球体と、前記第1の列の次の第2の列に位置する前記ボタンの下側に配列された前記球体群のうち上流端の球体との間に第2の回動レバーを設けたことを特徴とする請求項1に記載のリモコン装置。
前記ボタン群は、メインボタンと前記メインボタンよりも小さい複数のサブボタンとで構成され、前記メインボタンの大きさは、整数個の前記サブボタンを幅方向に沿って配設した大きさに対応していることを特徴とする請求項1に記載のリモコン装置。
前記回動レバーを介して、前記筐体の内部に前記球体群の下流端の球体に、前記球体の移動方向と逆方向の力を付勢するばねを設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のリモコン装置。
前記発電機は圧電素子を有し、前記圧電素子の一方の押圧面である前記入力部に伝達される力を電力に変換することで電力を発生させることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のリモコン装置。
前記発電機は磁石と前記磁石との相対移動時に誘起電力を生じるコイルと、を有し、前記入力部は、前記磁石を前記コイルに対して相対移動させる機構部を有し、前記伝達部より伝達される力により前記磁石を前記コイルの近傍で回転させ電磁誘導により電力を発生
させることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のリモコン装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、便座装置用リモコン装置を例にとると、一般住宅向け、集合住宅向け、または、公共施設向けの相違によりグレードが異なり複数のマイナーチェンジ品が存在する。一般的に、ローエンドモデルでは、ボタン数が少なく、ハイエンドモデルではボタン数が多い傾向となっており、ボタン数の少ないモデルを作ろうとした場合、ボタン数が多いモデルをベースとして押し込むことのできないダミーボタンを付けることで対応する必要がある。特許文献1に記載されたリモコン装置では、スライド部材における傾斜面の配置により、ボタンのレイアウトが規定されてしまい、ボタンのレイアウトの自由度がない。
【0008】
また、特許文献1に記載されたリモコン装置では、ボタンの押し込み方向に対して垂直方向にスライド部材がスライドするので、垂直方向に動作する発電機しか使用できないが、一般には押し込み方向と同じ方向で動作する発電機の方が多く、発電機選定の幅が狭かった。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、操作面における各ボタンのサイズ、個数および配置を任意に設定することができるリモコン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るリモコン装置は、上記目的を達成するため、機器を遠隔操作するためのリモコン装置であって、被取付面と反対側の操作面に開孔を有する筐体と、前記開孔に収容される複数のボタンからなるボタン群を有し、前記いずれかのボタンの押動作により前記機器の動作を選択する選択部と、前記選択部における押動作により入力される機械的エネルギーを伝達する伝達部と、前記筐体の内部に設けられ、前記機械的エネルギーを入力する入力部を有し、前記伝達部から伝達される前記機械的エネルギーにより電力を発生させる発電機と、前記発電機によって発生された電力により前
記機器に信号を送信する送信部と、を備え、前記伝達部は、前記筐体の内部の前記ボタン群の下側に互いに密着状態に一列状に配列され、所定方向に密着状態で移動可能である複数の球体からなる球体群と、一端が前記各ボタンの内面側に前記球体の移動方向に傾動するよう回転可能に支持され、他端が楔形状であって、楔形状の先端部が前記各ボタンの内方に対応する2つの前記球体同士の当接面に近接する押し子と、前記球体群の移動方向下流端の球体により押圧され回動する回動レバーを含み、前記筐体の内部に前記球体群の移動方向を規制するガイド部材を備え、前記ボタンの押動作に伴う前記押し子の前記球体同士の間への割り込みを介して前記入力部に前記操作面に対し垂直方向に前記機械的エネルギーを入力する構成である。
【0011】
この構成により、本発明に係るリモコン装置は、選択部におけるボタンの押動作によりボタンの内面側に設けられた押し子が球体同士の間に割り込み、ボタンの下側に一列状に配列された複数の球体からなる球体群が、ガイド部材に沿って所定方向に密着状態で移動することで機械的エネルギーを発電機に伝達するようになっている。したがって、ボタンの内面側の押し子の位置を変更することで操作面上での各ボタンのサイズ、個数および配置を任意に変更することができる。
【0012】
上述した構成のリモコン装置において、前記ボタン群が前記操作面上に異なる列に配置され、第1の列に位置する前記ボタンの下側に配列された前記球体群のうち下流端の球体と、前記第1の列の次の第2の列に位置する前記ボタンの下側に配列された前記球体群のうち上流端の球体との間に第2の回動レバーを設けるようにしてもよい。
【0013】
この構成により、リモコン装置は、第2の回動レバーを設けることで2つの球体列間で機械的エネルギーを伝達できるので、球体列を2つ設けることができる。したがって球体列が1つの場合と比べて、ボタンの個数、サイズおよび配置の自由度を向上させることができる。
【0014】
上述した構成のリモコン装置において、前記ボタン群は、メインボタンと前記メインボタンよりも小さい複数のサブボタンとで構成され、前記メインボタンの大きさは、整数個の前記サブボタンを幅方向に沿って配設した大きさに対応しているようにしてもよい。この構成により、リモコン装置は、使用頻度の高いメインボタン群と使用頻度の低いサブボタン群とに分けて構成することでユーザの利便性を向上させることができる。
【0015】
上述した構成のリモコン装置において、前記回動レバーを介して、前記筐体の内部に前記球体群の下流端の球体に、前記球体の移動方向と逆方向の力を付勢するばねを設けるようにしてもよい。この構成により、リモコン装置は、球体の移動方向と逆方向の力を付勢するばねを設けることで、ボタンの押圧をやめた後に素早くボタンを押圧前の位置に戻すことができる。
【0016】
上述した構成のリモコン装置において、前記球体群は樹脂で形成されるようにしてもよい。この構成により、リモコン装置は、球体群が重量の比較的小さい樹脂で構成されているので、万が一床に落下しても破損しにくい。
【0017】
上述した構成のリモコン装置において、前記球体群は磁性を有する金属で形成され、前記筐体の内部に前記球体群の移動方向と逆方向に働く磁力を発生させる誘導磁石を設けるようにしてもよい。この構成により、リモコン装置は、球体群が磁性を有する金属で形成され、筐体の内部に誘導磁石を設けているので、ボタンの押圧をやめた後に素早くボタンを押圧前の位置に戻すことができる。
【0018】
上述した構成のリモコン装置において、前記発電機は圧電素子を有し、前記圧電素子の一方の押圧面である前記入力部に伝達される力を電力に変換することで電力を発生させるようにしてもよい。
【0019】
上述した構成のリモコン装置において、前記発電機は磁石と前記磁石との相対移動時に誘起電力を生じるコイルと、を有し、前記入力部は、前記磁石を前記コイルに対して相対移動させる機構部を有し、前記伝達部より伝達される力により前記磁石を前記コイルの近傍で回転させ電磁誘導により電力を発生させるようにしてもよい。
【0020】
上述した構成のリモコン装置において、前記機器は人体局部に向けて吐水するノズルを有する便座装置であり、前記メインボタンとして、前記ノズルからの吐水を行わせるための吐水ボタンと、前記ノズルからの吐水を停止させるための止水ボタンと、を含み、前記サブボタン群として、前記ノズルからの吐水の状態を変更させる状態変更ボタンを含むようにしてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、リモコン装置の操作面における各ボタンのサイズ、個数および配置を任意に設定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本実施の形態に係るリモコン装置1について
図1〜
図16を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係るリモコン装置を便座装置に用いた例を示す斜視図である。本実施の形態ではリモコン装置の遠隔操作の対象を便座装置としているが他の機器装置を操作対象としてもよい。
【0024】
便座装置WAは、大便器CBのリムCBaに載置され、本体部WAaと、便座WAbと、カバーWAcを備えている。本体部WAaは、電装部品や給水機構等を内蔵しており、大便器CBのボウル部CBbに対し進退可能なノズルN2を有している。円柱形状のノズルN2は、その上面にノズル孔N2aが形成されおり、ボウル部CBb内に進出した状態で給水機構から水の供給を受けることで、ノズル孔N2aから使用者の人体局部に向けて噴流JWとして吐水する。使用者が用便時に着座する便座WAbは、本体部WAaに対し回動自在に枢支されている。便座WAbの不使用時は、同じく本体部WAaに対し回動自在に枢支されるカバーWAcによって上方から覆われる。
【0025】
リモコン装置1は、大便器CBおよび便座装置WAが設置されるトイレブースの壁面などに固定される。このリモコン装置1は、その操作面RCPを便座装置WA側に向けて設けられ、使用者はその操作面RCPにおいて便座装置WAに行わせる動作を選択し、便座装置WAを遠隔操作する。具体的には、リモコン装置1は、使用者が操作面RCPで選択した内容に基づいた高周波信号を生成し、便座装置WAに向けて無線で送信する。便座装置WAは、本体部WAaに内蔵する受信部においてこの高周波信号を受信し、その信号の内容に基づいて、ノズルN2からの吐水や止水、吐水の水勢の調整、ノズルN2の位置の変更等を行う。
【0026】
図2はリモコン装置1の上面図を、
図5はリモコン装置1のボタン群BGを含む操作面を取り外した状態の上面図を示している。
【0027】
リモコン装置1は、筐体1Mとボタン群BGと球体群SGと押し子11と発電レバー14とガイド部材12と発電機20と無線基板21とを備えている。筐体1Mは、
図2に示す側の操作面に開孔を有しており、開孔には複数のボタンBからなるボタン群BGが収容されている。筐体1Mの操作面の反対側の面は被取付面となっており、トイレブースの壁面などに取付けられる。ボタン群BGは本発明に係る選択部を構成し、発電レバー14は回動レバーを構成する。
【0028】
ボタン群BGは、いずれかのボタンBの押動作により便座装置WAの動作を選択するようになっている。ボタンBは操作面上の上列のメインボタンMBと下列のサブボタンSBとで構成されており、本実施の形態では4つのメインボタンMB1〜MB4と6つのサブボタンSB1〜SB6とで構成されている。上列は本発明に係る第1の列を、下列は本発明に係る第2の列を構成する。
【0029】
メインボタンMBは押動作される頻度が比較的高いボタンであり、例えばノズルN2からの吐水を行わせるための吐水ボタンとノズルN2からの吐水を停止させるための止水ボタンと、を含んでいる。また、サブボタンSBは例えば、ノズルN2からの吐水の状態を変更させる状態変更ボタンを含んでいる。メインボタンMB、サブボタンSBの表面にはこれらの機能を使用者が認識できるように「止」、「ビデ」、「乾燥」、「強」、「弱」等の文字または、これらを示すマークが記される(図示せず)。
【0030】
図3(a)に示すようにメインボタンMBは筐体1Mに取付けられる取付け部MBaと使用者が押圧する押部MBbとを有している。メインボタンMBは、押部MBbが押圧されると、取付け部MBaの回動軸を中心として回動するようになっている。押部MBbの内方は
図3(b)に示すように押し子11が設けられている。押し子11は、一端がメインボタンMBの内面側に取付けられ、後述する球体Sの移動方向に傾動するよう回転可能に支持されている。押し子11の他端は楔形状であって楔形状の先端部が、後述するメインボタンMBの内方に対応する2つの球体同士の当接面に近接するようになっている。
【0031】
サブボタンSBもメインボタンMBと同様に、
図4(a)、(b)に示すように取付部SBaと押部SBbを有し、サブボタンSBの内面側に押し子11を有している。メインボタンMBは、サブボタンSBより幅方向(
図2中の左右方向)の長さが大きくなっており、本実施の形態ではメインボタンMBの大きさは、2つのサブボタンSBを幅方向に沿って配設した大きさに対応している。
【0032】
メインボタンMBの個数とサブボタンSBの個数は必ずしも上記の例に限られず、用途に応じて異なる個数の組合せであってもよい。またメインボタンMBの幅方向の大きさを、例えばサブボタンSBの3つ分や4つ分等の整数個分の幅方向の大きさとしてもよい。
【0033】
メインボタンMBとサブボタンSBの各ボタンには、それぞれに対応する検知スイッチMS、SS(
図11参照)が接続されている。これらの検知スイッチMS、SSは、対応する各ボタンが使用者によって押されたことを検知するためのスイッチである。
【0034】
球体群SGと押し子11(
図2、3参照)と発電レバー14は、本発明に係る伝達部を構成し、ボタン群BGの押動作により入力される機械的エネルギーを発電機20に伝達する。
図7は
図5の状態のリモコン装置1から後述するガイド部材12を取り除いた状態を示し、球体群SGを可視化した図である。球体群SGは、複数の球体Sより構成され、筐体1Mの内部にボタンBの下側に互いに密着状態に一列状に配列され、所定方向に密着状態で移動可能となっている。球体群SGはボタンBを押圧すると移動するようになっているが、球体群SGの移動については後述する。
【0035】
球体Sの材質は例えば樹脂製、または磁性を有する金属製である。球体Sを樹脂製とした場合は金属製の場合と比較して、リモコン装置1を軽量化でき、リモコン装置1を誤って落下させてしまった場合等の破損のリスクを抑えることができる。
【0036】
球体群SGを構成する球体Sのサイズについては、ボタンBのサイズに応じて変更可能である。具体的には隣接するボタン群BGの押し子11間の間隔が小さい場合には球体Sのサイズも合わせて小さくする。
図8はボタンBのサイズ、個数およびレイアウトの変形例である。
図8(a)の例では上列にサイズが大きめのボタンBを4つ、下列にもサイズが大きめのボタンBを3つ設けており、
図8(b)の例では上列にサイズが大きめのボタンBを3つ、小さめのボタンを2つ、下列にサイズが大きめのボタンBを2つ、小さめのボタンを2つ設けている。
【0037】
上記の例のようにボタンBのサイズ、個数およびレイアウトを変更する際には、ボタンBに設けられた押し子11の位置を、ボタンBの直下の球体S同士の当接面に近接する位置とすればよいので、リモコン装置1はボタンBのサイズ、個数およびレイアウトの変更の自由度が高いというメリットがある。
【0038】
上列の球体群SGのうち、最も右側の下流端の球体Sの近傍には、ボタンBの押圧時の球体Sの移動方向(右方向)と逆方向の力を付勢する図示しないばねが球体Sに当接して設けられている。このばねは使用者がボタンBの押圧をやめたときに、球体群SGがボタンBの押圧前の初期位置に戻る力を与えボタンBの凹みを素早く押圧前の状態に戻すことができる。下列の球体群SGにも同様に、最も左側の下流端の球体Sの近傍にボタンBの押圧時の球体Sの移動方向(左方向)と逆方向の力を付勢するばねが球体Sに当接して設けられている。
【0039】
球体群SGを磁性を有する金属製とした場合は、上述のばねに代えて誘導磁石を用いてボタンBの押圧後に球体群SGを初期位置に戻す力を付与するようにしてもよい。即ち、上列の球体群SGのうち最も左側の上流端の球体Sの近傍に、誘導磁石を設け、球体群SGを左方向に誘導する磁力を付与する。下列の球体群SGに対しても同様に最も右側の上流端の球体Sの近傍に誘導磁石を設け、球体群SGを右方向に誘導する磁力を付与する。
【0040】
ガイド部材12は、筐体1Mの内部に設けられ球体Sの移動方向を規制するようになっている。本実施の形態では、上列の球体群SGの移動方向を規制するものと、下列の球体群SGの移動方向を規制するものと、2つのガイド部材12が用いられている。ガイド部材12は、
図6に示すように半円筒状で上部に複数の開口部12Aが設けられている。この開口部12Aは、ボタンBの押圧により押し子11が上方より隣り合う2つの球体S間に割り込むことを可能とするため設けられている。
【0041】
第2の回動レバー13は、上列の球体群SGのうち下流端の球体Sと下列の球体群SGの内上流端の球体との間に設けられており、ボタンBの押圧により上列の球体群SGに加えられた力を下列の球体群SGに伝達するようになっている。第2の回動レバー13は、第2の回動レバー本体13Mと球体接触部13Aと回動軸13Bとを有している。球体接触部13Aは上列の球体Sおよび下列の球体Sとそれぞれ当接しており、ボタンBの押圧により上列の球体群SGに右向きの力が加わると、当接する上側の球体接触部13Aは右方向に変位し、回動軸13Bを中心に回動する。これにより、下側の球体接触部13Aは左方向に変位し下列の球体群SGに対し左方向の力を伝達する。
【0042】
図10に示すように発電レバー14は、レバー本体14Mと球体接触部14Aと回動軸14Bとリンク接続部14Cを有しており、球体群SGの移動方向下流端の球体Sにより左方向に押圧され回動する。発電レバー14は、てこの原理により、球体Sから受ける左方向の力を回転リンク15を右方向へ引っ張る力へと変換する。
【0043】
球体接触部14Aは、下列の球体群SGのうち最も下流側の球体Sと当接しており、ボタンB押下により下列の球体群SGから受ける左方向の力により左方向に回動する。回動軸14Bは発電レバー14の回動中心であり、本実施の形態では、回動軸14Bから球体接触部14Aまでの距離と回動軸14Bからリンク接続部14Cまでの距離は略等しくなっているが、この距離を変えることで、球体Sからの力の入力を回転リンク15へのより大きな力の出力とする、或いは逆により小さな力の出力とするようにしてもよい。
【0044】
回転リンク15は後述するくさび部材17の被押圧部18を垂直方向に押圧し、機械的エネルギーを伝達する押圧ローラ16を有している。発電機20は発電レバーを介して伝達される機械的エネルギーを入力する被押圧部18を有している。回転リンク15は、レバー本体14Mが球体群SGより受ける力により右方向に引っ張られると押圧ローラ16が被押圧部18の傾斜面18aと接触するので、被押圧部18に対し垂直方向下向きの力が働く。この力を受けることでくさび部材17は垂直方向に撓み、発電機20が伝達された機械的エネルギーにより電力を発生させるようになっている。被押圧部18は本発明に係る入力部を構成する。
【0045】
このように被押圧部18に対し、ボタンBの押し込み方向と同じ垂直方向下向きの力を働かせるようにしたのは、一般にボタンBの押し込み方向と同じ方向で動作、発電する発電機の方が多く、リモコン装置1における発電機選定の幅が広がるためである。
【0046】
発電機20の内部には圧電素子が設けられており、くさび部材17の垂直方向の動きにより圧電素子に対し力が加えられることにより、発電機20は電力を発生させる。発電機20が発生させた電力はコンデンサ22に供給されて充電される。コンデンサ22の出力端子には無線基板21が接続されており、無線基板21における信号出力部より便座装置WAに信号を送信する。無線基板21は本発明に係る送信部を構成する。
【0047】
本実施の形態では発電機20として圧電素子を用いたが磁石とコイルによる電磁誘導を利用して電力を発生させるようにしてもよい。この場合、発電機20は磁石と、磁石との相対移動時に誘起電力を発生するコイルと、発電レバー14を介して磁石をコイルに対し回転移動させる機構部を有し、発電レバー14より伝達される力により磁石をコイルの近傍で回転させ電力を発生させる。
【0048】
図9は、リモコン装置1を側面からみた要部断面図である。押し子11は、一端が各ボタンBの内面側に球体Sの移動方向に傾動するよう回転可能に支持され、他端が楔形状であって、楔形状の先端部が各ボタンBの内方に対応する2つの球体S同士の当接面に近接するようになっている。なお、本実施の形態では上列の球体Sと下列の球体SのボタンBの押圧時の移動方向が逆であるので、上列と下列に対応する押し子11の楔形状の向きは逆向きとなる。
【0049】
次に、
図11を参照して本発明の実施形態に係るリモコン装置1の機械的構成および電気的構成について説明する。
図11は、本発明の実施形態に係るリモコン装置1を示すブロック図である。
【0050】
使用者によってメインボタンMB、サブボタンSBのいずれかのボタンが押された場合に、その力は押し子11を介して球体群SGに伝達されるよう構成されている。各検知スイッチMS、SSはいずれのボタンBが押されたかを検知し無線基板21に伝達する。球体群SGは第2の回動レバー13を経由して、発電レバー14を介して発電機20に力を伝達する。発電機20は、与えられた力により電力を発生させコンデンサ22に電力を充電し、無線基板21がコンデンサ22に蓄えられた電力により便座装置WAに信号を送信する。
【0051】
リモコン装置1の動作について
図12〜16を用いて説明する。
図12は、操作面上の上列左側から3番目のボタンB(メインボタンMB3)を押した状態を示している。ボタンBが押圧されることでボタンBの内方にある押し子11が球体Sを押して、移動させ、入力部である発電レバー14に機械的エネルギーを入力する。
【0052】
図13は、ボタンBを押した状態でのリモコン装置1のボタン群BGを含む操作面を取り外した状態の上面図を示している。
図13に示すように上列の球体Sは押し子11に押圧され、右方向へ密着状態で移動する。上列の球体Sのうち、最も下流側の球体Sが第2の回動レバー13を右方向に押圧する。第2の回動レバー13は回動軸13Bを中心に回動し、下列の球体Sのうち最も上流側の球体Sを左方向に押圧し、機械的エネルギーを伝達する。
【0053】
図14は、
図2におけるボタンBのうちメインボタンMB3を押した状態でのリモコン装置1からガイド部材12を取り除いた状態を示すことで球体群SGの動きを分かりやすくしたものである。
図14をボタンBの押し込み前の
図7と比較すると分かるように、メインボタンMB3に設けられた押し子11が直下の球体S間に割り込み、同図中の上列の右から6番目の球体Sを右方向にガイド部材12に沿って移動させ、下流側の球体Sも互いに密着状態で右方向に移動する。メインボタンMB3に設けられた押し子11が球体S間に割り込んだ状態の断面図を
図15に示す。
【0054】
上列の球体群SGのうち最も下流の球体Sが第2の回動レバー13の上端を押圧し、右方向に変位させる。このとき、第2の回動レバー13は回動軸13Bを中心に回動するので、第2の回動レバー13の下端は、左方向に変位して、下列の球体群SGのうち最も上流側の球体Sを左方向に押圧し移動させる。下列の球体群SGのうち最も上流側の球体Sが押圧されると、より下流側の球体Sは密着状態で左方向に移動し、最も下流側の球体Sが発電レバー14を押圧し左方向に変位させる。
【0055】
発電レバー14は回動軸14Bを中心に回動するので、リンク接続部14Cは右方向に変位して回転リンク15を右方向に変位させる。回転リンク15が右方向に変位すると、押圧ローラ16が被押圧部18の
図10に示す傾斜面18aに当接し、くさび部材17に対し、垂直方向下向きの力を加え、くさび部材17を垂直方向下向きに変位させる。垂直方向下向きに変位したくさび部材17は、発電機20の内部に設けられた圧電素子を押圧し電力を発生させる。
【0056】
発電機20が発生させた電力はコンデンサ22を経て無線基板21に供給され、無線基板21より便座装置WAに各種信号が送信され、便座装置WAが遠隔操作される。
【0057】
使用者がボタンBの押圧をやめると、上述した下流端の球体Sに対するばねの付勢力により球体群SGはボタンBの押圧前の位置に戻り、押圧されたボタンBの押し子11は球体群SGに押されて上昇し、ボタンBは押圧前の初期位置に戻る。
【0058】
図16はボタンBを押圧した際の押し子11と球体Sの動きを説明するための模式図である。
図16(a)はボタンBを押圧する前の状態であり、球体S1〜S6は初期位置に静止している。
図16(b)は、最も左に位置するボタンBを押圧した場合を示している。このときボタンBの傾斜面が近接していた球体S2を同図中右方向に押圧し移動させる。この球体S2の移動により右側に密接する球体S3〜S6も密接状態で右方向に移動する。球体S3〜S6の移動に伴い、押圧されてないボタンBの押し子11も球体S同士の当接面に近接した状態で球体Sの移動方向に傾動する。
【0059】
図16(c)は左から2番目のボタンBを押圧した場合を示している。このとき球体S1、S2と左から1番目のボタンは静止したままであるが、球体S3〜S6は
図16(b)の場合と同様に右方向に密着状態で移動し、押し子11も同様に傾動する。
図16(d)は、ボタンBの1つを幅の広いボタンBとし、このボタンBを押圧した例を示している。ボタンBのように左右方向の幅が広い(球体複数個分程度の幅)場合は、ボタンBの押圧前の状態で押し子11の楔形状の先端部が、いずれかの隣接する2つの球体Sの当接面に近接するように押し子11を配置すれば、
図16(b)、
図16(c)の場合と同様にボタンBを押圧することで押し子11の右側の球体Sを右方向に移動させることができる。
【0060】
以上のように、本実施の形態に係るリモコン装置1は、便座装置WAを遠隔操作するためのリモコン装置であって、被取付面と反対側の操作面に開孔を有する筐体1Mと、開孔に収容され、いずれかのボタンBの押動作により便座装置WAの動作を選択するボタン群BGと、ボタン群BGにおける押動作により入力される機械的エネルギーを伝達する押し子11と球体群SGと発電レバー14と、筐体1Mの内部に設けられ、機械的エネルギーを入力する被押圧部18を有し、発電レバー14から伝達される機械的エネルギーにより電力を発生させる発電機20と、発電機20によって発生された電力により便座装置WAに信号を送信する無線基板21と、を備え、伝達部は、前記筐体1Mの内部にボタンBの下側に互いに密着状態に一列状に配列され、所定方向に密着状態で移動可能である複数の球体Sからなる球体群SGと、一端が各ボタンBの内面側に球体Sの移動方向に傾動するよう回転可能に支持され、他端が楔形状であって、楔形状の先端部が各ボタンBの内方に対応する2つの球体S同士の当接面に近接する押し子11と、球体群SGの移動方向下流端の球体Sにより押圧され回動する発電レバー14を含み、筐体1Mの内部に球体群SGの移動方向を規制するガイド部材12を備え、ボタンBの押動作に伴う押し子11の球体S同士の間への割り込みを介して被押圧部18に操作面に対し垂直方向に機械的エネルギーを入力するようになっている。
【0061】
また、リモコン装置1は、ボタン群BGが操作面上に異なる列に配置され、上列に位置するボタンBの下側に配列された球体Sのうち下流端の球体Sと、上列の次の下列に位置するボタンBの下側に配列された球体Sのうち上流端の球体Sとの間に第2の回動レバー13を設けている。
【0062】
また、リモコン装置1は、ボタン群BGは、メインボタンMBとメインボタンMBよりも小さい複数のサブボタンSBとで構成され、メインボタンMBの大きさは、2個のサブボタンSBを幅方向に沿って配設した大きさに対応している。
【0063】
また、リモコン装置1は、発電レバー14を介して、筐体1Mの内部に球体群SGの下流端の球体Sに、球体Sの移動方向と逆方向の力を付勢するばねを設けている。
【0064】
また、リモコン装置1は、メインボタンMBとして、ノズルN2からの吐水を行わせるための吐水ボタンと、ノズルN2からの吐水を停止させるための止水ボタンと、を含み、サブボタンSBとして、ノズルN2からの吐水の状態を変更させる状態変更ボタンを含んでいる。
【0065】
以上の構成により、リモコン装置1はボタンBの押動作によりボタンBの内面側に設けられた押し子11が球体S同士の間に割り込み、ボタンBの下側に一列状に配列された複数の球体Sからなる球体群SGが、ガイド部材12に沿って所定方向に密着状態で移動することで機械的エネルギーを発電機20に伝達するようになっている。したがって、各球体S同士の当接面に押し子11を近接させることが可能な範囲内で操作面上での各ボタンBのサイズ、個数および配置を任意に変更することができる。
【0066】
また、リモコン装置1は、球体群SGの移動方向を規制するガイド部材12を備えているので、隣り合う球体S同士で確実に機械的エネルギーを伝達し電力を発生させることができる。
【0067】
また、リモコン装置1は、第2の回動レバー13を設けることで2つの球体列間で機械的エネルギーを伝達できるので、球体列を2つ設けることができる。したがって球体列が1つの場合と比べて、ボタンBの個数、サイズおよび配置の自由度を向上させることができる。
【0068】
また、リモコン装置1は、使用頻度の高いメインボタンMBと使用頻度の低いサブボタンSBとに分けて構成することで使用者の利便性を向上させることができる。
【0069】
また、リモコン装置1は、球体Sの移動方向と逆方向の力を付勢するばねを設けることで、ボタンBの押圧をやめた後に素早くボタンBを押圧前の位置に戻すことができる。
【0070】
また、リモコン装置1は、球体群SGを樹脂で形成するようにしてもよい。これにより
球体群SGが重量の比較的小さい樹脂で構成されているので、リモコン装置1は、万が一床に落下等しても破損しにくい。
【0071】
また、リモコン装置1は、球体群SGは磁性を有する金属で形成され、筐体1Mの内部に球体群SGの移動方向と逆方向に働く磁力を発生させる誘導磁石を設けるようにしてもよい。これにより、リモコン装置1は、球体群SGが磁性を有する金属で形成され、筐体1Mの内部に誘導磁石を設けているので、ボタンBの押圧をやめた後に素早くボタンBを押圧前の位置に戻すことができる。
【0072】
また、リモコン装置1の発電機20は圧電素子を有し、圧電素子の一方の押圧面である被押圧部18に伝達される力を電力に変換することで電力を発生させるようにしてもよい。
【0073】
また、リモコン装置1の発電機20は磁石と磁石との相対移動時に誘起電力を生じるコイルと、を有し、被押圧部18は、磁石をコイルに対して相対移動させる機構部を有し、発電レバー14より伝達される力により磁石をコイルの近傍で回転させ電磁誘導により電力を発生させるようにしてもよい。
【0074】
なお、本発明に係るリモコン装置の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した各構成要素の種々の変更を含むものである。
【0075】
以上説明したように、本発明に係るリモコン装置は、操作面における各ボタンのサイズ、個数および配置を任意に設定することができるという効果を有し、リモコン装置全般に有用である。