【実施例】
【0024】
最初に、配線継手1について、
図1,
図2に基づいて説明する。
配線継手1は、電気絶縁性の合成樹脂により形成され、左右1対の導通板2,3を備えた端子台4と、左右1対の導通板2,3及び端子台4に挿通されて導通板2,3に配線端子を接続するための1対の固定部材であるビス5a,5bと、左右1対の固定部材保持部6,7と、端子台4及び1対の固定部材保持部6,7を収容するケース部8を備えている。ケース部8は、底板部9とその外縁部に立設された周壁部10を有し、ケース部8一端側の前端部分に端子台4が配置され、ケース部8他端側の後端部分の底板部9に左右1対の固定部材保持部6,7が立設されている。
【0025】
左右1対の固定部材保持部6,7は、夫々円筒状に形成された円筒壁部を有しており、これらの円筒壁部にはその軸心方向と平行に夫々スリット6a,7a等が設けられている。例えば、右側の固定部材保持部6には、円筒壁部において前後に対向する位置である2箇所にスリット6a等が設けられ、
これらのスリット6aにより円筒壁部の先端側部分が左右に弾性変形可能であり、左側の固定部材保持部7においても同様である。この円筒壁部の弾性力を利用して固定部材保持部6,7
の内面で予備固定部材であるビス11a,11bを保持している。尚、円筒壁部に設けられるスリットは1つでもよく、3つ以上であってもよい。
【0026】
端子台4は、ケース部8の底板部9から前方に傾斜して且つ上方に延びるように設けられ、その前方上向きの先端部に左右1対の導通板2,3を有する。左右1対の導通板2,3は、その前方及び左右外方を周壁部10に設けられた前端側壁部10aにより外部から絶縁されている。導通板2,3の間には、これらを絶縁する仕切壁部4aが設けられ、この仕切壁部4aの前端部が前端側壁部10aから前方に突出している。
【0027】
導通板2,3は、夫々ビス挿通孔2a,3a等2つのビス挿通孔を有し、仕切壁部4a側の挿通孔には夫々ビス5a,5bが挿通されている。ビス5a,5bはタッピングビスであるが、他の締結用の部材により構成することもできる。尚、左右1対の導通板2,3は、図示を省略するが夫々の一端部にケース部8の底板部9に向かって延設された側板部を備え、この側板部に後述の内部配線30,31が接続される。
【0028】
周壁部10は、その左右側壁部から夫々上方且つ後方に向かって円弧状に延びる左右1対の円弧状アーム部10b,10cを有している。円弧状アーム部10b,10cは、先端部に夫々係合部10d,10eを備えている。周壁部10の後端部には、円弧状アーム部10b,10cの軸心と同心状に形成された支軸部10fと、配線保持部10gが設けられている。
【0029】
底板部9には、配線を挿通させると共に配線を保護するための配線管(図示略)を連結可能な下方に円筒状に延びる連結部9aが形成されている。配線管は螺合により連結部9aに着脱可能に連結される。
【0030】
また、周壁部10の前端側下部から前方に突出し且つ左右に延びる支持部12aが設けられ、この支持部12aの左右両端から上方に向かって延びる左右1対の弾性壁部12b,12cが設けられ、弾性壁部12b,12cの先端部分に夫々係合部12d,12eを有している。こうして配線継手は特許文献2と比べて前後に小さく形成されている。
【0031】
次に、外装ケース20について説明する。
図3に示すように、外装ケース20は箱状に形成され、夫々矩形状の背面板21、天面板22、右側面板23、左側面板24、底面板25、及び図示を省略するが矩形状の前面板を有する。底面板25には配管等を挿通するための複数の開口部が設けられ、そのうちの配線用の開口部26には、配線継手1が底面板25の下方から装着可能である。
【0032】
開口部26の後端部には、配線継手1の周壁部10後端部に設けられた支軸部10fに係合させる係合部26aが形成されている。開口部26の前端部には前記仕切壁部4aの前端部が係合可能な切欠部26bが形成されている。開口部26の左右周縁部には、左右1対の起立壁部26c,26dが上方に延びるように立設されている。また、外装ケース20には建物の壁面等に取り付けるための壁面取付金具20a等が設けられている。
【0033】
次に、本発明の作用、効果ついて説明する。
図4,
図5に示すように、配線継手1の支軸部10fと開口部26の係合部26aを係合させ、左右1対の弾性壁部12b,12c先端部分の係合部12d,12eを夫々底面板25に設けられた係合孔25a,25bに係合させて開口部26を閉じるように配線継手1が装着される。左右1対の円弧状アーム部10b,10cは開口部26から外装ケース20内側に突出する。この状態では、開口部26に設けられた左右1対の起立壁部26c,26dが周壁部10に近接または当接し、開口部前端部の切欠部26bと仕切壁部4aの前端部が係合し、開口部26の外縁部と円弧状アーム部10b、10cの基端部が当接する。
【0034】
図6,
図7に示すように、開口部26に装着された配線継手1は、左右1対の弾性壁部12b,12c先端部分の係合部12d,12eと係合孔25a,25bの係合を解いて、開口部26の係合部26aと配線継手1の支軸部10fを介して回動可能である。配線継手1が略90度回動すると、左右1対の円弧状アーム部10b,10c先端部の係合部10d,10eが開口部26の左右周縁部に係合して配線継手1の姿勢が維持される。
【0035】
図4〜
図7に示すように、外装ケース20に収容された給湯装置の制御手段(図示略)から延びる1対の内部配線30,31が、開口部26に装着された配線継手1の左右1対の導通板2,3の側板部に夫々接続される。1対の内部配線30,31は、周壁部10後端部分に設けられた配線保持部10g、及び周壁部10の後端側壁部と左右1対の固定部材保持部6,7との間に夫々保持されるので、その移動が規制されて断線等の不具合を抑えることができる。また、リモコンコード32,33等を接続するときのスペースを確保して作業性を向上させることができる。
【0036】
配線継手1が装着された外装ケース20を有する給湯装置は、建物の壁面等に壁面取付金具20a等を介して取り付けられる。その後、この給湯装置を操作するリモコン(図示略)のリモコンコード32,33を底板部9の連結部9aを挿通させて配線継手1の導通板2,3に夫々接続する。リモコンコード32,33の接続は、配線継手1を閉じた状態で外装ケース20の前面板を開けて行うことができ、作業環境に応じて配線継手1を回動させて開いた状態で行うこともできる。
【0037】
配線継手1を閉じた状態でリモコンコード32,33を接続する場合、配線継手1が前後に小さく形成され、端子台4が配線継手1のケース部8前端部分に配置されたので、内蔵機器の配置設計の自由度が向上し、外装ケース20の前端に近い位置で接続作業ができるように配置できるので、作業性が向上する。開いた状態でリモコンコード32,33を接続する場合でも、接続作業の作業性は良好である。尚、リモコンコード32,33の先端部はY形端子であるが、ビス5a,5bにより導通板2,3に固定できればよく、丸形端子等他の端子を使用することもできる。
【0038】
リモコンコード32,33が配線管(図示略)に挿通され、配線継手1を閉じた状態でこの配線管を配線継手1の連結部9aに螺合等により着脱可能に連結してもよい。このとき、配線継手1には捩じり荷重が作用するが、開口部26に設けられた左右1対の起立壁部26c,26dと周壁部10が当接し、開口部26前端部の切欠部26bと仕切壁部4aの前端部が係合し、開口部26と円弧状アーム部10b,10cの基端部が当接することにより、捩じり荷重をこれらの部位に分散させて受け止めることができるので、配線継手1の脱落や破損を防ぐことができる。
【0039】
リモコンを増設して配線継手1にリモコンコード(図示略)を追加接続する場合、固定部材保持部6,7に保持されている予備のビス11a,11bを引抜いて、左右1対の導通板2,3の空いているビス挿通孔2a,3aにビス11a,11bを挿通して接続する。尚、ビス11a,11bはタッピングビスであるが、他の締結用の部材で構成してもよい。
【0040】
配線継手1の左右1対の固定部材保持部6,7に円筒壁部の弾性力により1対の予備のビス11a,11bが保持されているので、ビス11a,11bの脱落を防ぐと共にドライバを使用せずにビス11a,11bを容易に引抜くことができる。従って、配線継手1にリモコンコードを追加接続するときに別途ビスを用意する必要がなく、配線継手1に備えられた予備のビス11a,11bを使用してこの配線継手1にリモコンコードを追加接続するときの作業性を向上させることができる。
【0041】
配線継手1のケース部8前端部分に端子台4が配置されたので、配線継手1を閉じた状態で外装ケース20の前面板を開けてリモコンコードを追加接続するときの作業性を向上させることができる。配線継手1を回動させて開いた状態で配線を追加接続する場合でも、作業性は良好である。また、左右1対の固定部材保持部6,7はケース部8後端部分の底板部9に立設されているので、固定部材保持部6,7が配線接続作業の妨げにならず、作業性を低下させる虞がない。
【0042】
左右1対の導通板2,3に接続された1対のリモコンコード32,33は、左右1対の固定部材保持部6,7と周壁部10の後端側壁部との間に夫々保持可能であり、リモコンコード32,33はその移動が規制されて断線等の不具合を抑えることができる。また、リモコンコード追加接続作業等の作業スペースを確保して作業性を向上させることができる。リモコンの増設により追加接続されたリモコンコードにおいても同様である。
【0043】
以上説明した配線継手1及びこれを備えた外装ケース20は、給湯装置とリモコンの接続に限定されるものではなく、他の装置にも適用可能である。その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。