(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6750476
(24)【登録日】2020年8月17日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】油圧制御装置
(51)【国際特許分類】
F01M 1/16 20060101AFI20200824BHJP
F01M 5/00 20060101ALI20200824BHJP
F01M 1/20 20060101ALI20200824BHJP
【FI】
F01M1/16 C
F01M5/00 K
F01M1/20 Z
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-229138(P2016-229138)
(22)【出願日】2016年11月25日
(65)【公開番号】特開2018-84217(P2018-84217A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 裕一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 憲
(72)【発明者】
【氏名】橋本 浩司
【審査官】
篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−007306(JP,A)
【文献】
特開2004−003480(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0151113(US,A1)
【文献】
特開2010−203263(JP,A)
【文献】
特開平10−288022(JP,A)
【文献】
特開2014−015898(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/073444(WO,A1)
【文献】
特開2010−216411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 1/16
F01M 1/20
F01M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの油圧回路を循環するエンジンオイルを冷却するオイルクーラと、
前記オイルクーラをバイパスするバイパス油路と、
前記エンジンオイルの流路を前記オイルクーラおよび前記バイパス油路の間で切り替える、オイルクーラバイパスバルブと、
前記エンジンオイルの油圧である第1の油圧を測定する油圧センサと、
前記第1の油圧と、前記エンジンのエンジン回転数および燃料噴射量から決定されるターゲット油圧である第2の油圧との差の大きさが小さくなるように、前記オイルクーラバイパスバルブの開閉を制御するバルブ制御部と、
を備え、
前記バルブ制御部は、前記差の大きさが前記第2の油圧の所定の割合以上である場合、前記オイルクーラバイパスバルブの開閉を制御する一方、前記差の大きさが前記第2の油圧の前記所定の割合未満である場合、前記オイルクーラバイパスバルブの開閉を制御しない、
油圧制御装置。
【請求項2】
前記油圧センサは、前記バイパス油路および前記オイルクーラの下流に設けられる、請求項1に記載の油圧制御装置。
【請求項3】
前記油圧センサは、前記エンジンのシリンダブロックオイルギャラリ内に設けられる、請求項2に記載の油圧制御装置。
【請求項4】
前記バルブ制御部は、前記エンジンを搭載した車両のECUから、前記エンジンのエンジン回転数および燃料噴射量を取得する、請求項1から3のいずれかに記載の油圧制御装置。
【請求項5】
前記バルブ制御部は、前記エンジンのエンジン回転数および燃料噴射量に対するターゲット油圧を規定したルックアップテーブルを用いて、前記第2の油圧を決定する、
請求項1から4のいずれかに記載の油圧制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、油圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン部材を冷却および潤滑するために、油圧回路が用いられる。油圧回路を循環するエンジンオイルは、ベアリング(例えば、コンロッドベアリング、メインベアリング)等のエンジン部材を冷却および潤滑する。エンジン部材が十分に冷却および潤滑されるためには、エンジンオイルの油圧が適正な油圧になるように制御する必要がある。油圧回路に異常が発生し、エンジンオイルの油圧が適正な油圧より低くなると、エンジン部材の耐久信頼性が低下する等の問題が発生する。
【0003】
そのような油圧回路の異常としては、例えば、オイルポンプに装着されるリリーフバルブの固着または故障が挙げられる。オイルポンプは、エンジンオイルを油圧回路内で循環させる。オイルポンプに流入するエンジンオイルの油圧がある閾値に達した状態において、リリーフバルブは、リリーフ穴を開放して余剰のエンジンオイルをリリーフ穴から排出することにより、油圧を低下させる。即ち、正常動作するリリーフバルブは、オイルポンプに流入する油圧の異常な上昇を抑制し、適正な油圧を維持するように機能する。しかしながら、何らかの原因によりリリーフバルブが固着または故障すると、エンジンオイルの油圧が適正な油圧より低くなってしまうことがある。
【0004】
エンジンオイルの油圧が適正な油圧より低い場合、例えば、油温を下げることにより油圧を高める必要がある。油温を下げることにより油圧を上げる構成として、オイルポンプとオイルギャラリとの間に、オイルクーラとバイパス通路とを設け、油温が高く油圧が低いときのみ閉となるサーモプレッシャバルブをバイパス通路に設ける構成が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭59−28613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、エンジンオイルの適正な油圧は、エンジン回転数、燃料噴射量等に依存する。したがって、エンジンオイルの油温を下げることにより常に適正な油圧になるように制御するためには、エンジン回転数および燃料噴射量に応じて、油温を下げるか否かを決定する必要がある。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の構成においては、油温が高く油圧が低い通常走行時においてのみ、エンジンオイルがオイルクーラを通り冷却される。即ち、例えば、油温が低い時は、エンジンオイルが冷却されず、油圧が上がらない。したがって、油温が低い時は、エンジンオイルの油圧を適正な油圧にすることができないという問題がある。
【0008】
本開示の目的は、油温が低い場合でも、エンジンオイルの適正な油圧を確保することが可能な油圧制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る油圧制御装置は、エンジンの油圧回路を循環するエンジンオイルを冷却するオイルクーラと、前記オイルクーラをバイパスするバイパス油路と、前記エンジンオイルの流路を前記オイルクーラおよび前記バイパス油路の間で切り替える、オイルクーラバイパスバルブと、前記エンジンオイルの油圧である第1の油圧を測定する油圧センサと、前記第1の油圧と、前記エンジンのエンジン回転数および燃料噴射量から決定されるターゲット油圧である第2の油圧との差の大きさが小さくなるように、前記オイルクーラバイパスバルブの開閉を制御するバルブ制御部と、を備え
、前記バルブ制御部は、前記差の大きさが前記第2の油圧の所定の割合以上である場合、前記オイルクーラバイパスバルブの開閉を制御する一方、前記差の大きさが前記第2の油圧の前記所定の割合未満である場合、前記オイルクーラバイパスバルブの開閉を制御しない構成を採る。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、油温が低い場合でも、エンジンオイルの適正な油圧を確保することが可能な油圧制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本開示の油圧制御装置の処理を説明するフローチャートである。
【
図3】本開示の油圧制御装置が用いるターゲット油圧のルックアップテーブルの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態)
図1は、本開示の油圧制御装置100の構成図である。
図1においては、油圧回路のエンジンオイルフローと油圧制御装置100の電気信号フローとが異なる種類の矢印で示されている。
【0014】
まず、
図1に示される油圧回路のエンジンオイルフローを説明する。
図1において、エンジンオイルは、オイルパン110から、オイルストレーナ(図示せず)を通って、オイルポンプ120に吸引される。
【0015】
オイルポンプ120を出たエンジンオイルは、電制オイルクーラバイパスバルブ130に圧送される。電制オイルクーラバイパスバルブ130が開いている場合、エンジンオイルはオイルクーラ140に圧送され、オイルクーラ140によって冷却された後、シリンダブロックオイルギャラリ170に圧送される。一方、電制オイルクーラバイパスバルブ130が閉じている場合、エンジンオイルはバイパス油路150に圧送され、オイルクーラ140を通ることなく、シリンダブロックオイルギャラリ170に圧送される。この場合、エンジンオイルは、オイルクーラ140によって冷却されない。
【0016】
シリンダブロックオイルギャラリ170に圧送されたエンジンオイルは、エンジンの部材であるピストン、カムヘッド、メインベアリング、およびコンロッドベアリング(いずれも図示せず)に供給され、各部材の潤滑に供される。エンジンオイルの一部は、オイルジェットとしてピストンに供給され、ピストンの冷却にも供される。その後、エンジンオイルはオイルパン110に戻される。
【0017】
次に、
図1に示される油圧制御装置100の電気制御(電制)に係る構成を説明する。油圧センサ160は、エンジンオイルの油圧を測定し、測定した結果から、エンジンオイルの油圧を示す情報を生成する。油圧制御装置100は、油圧センサ160の測定の結果に基づいて、エンジンオイルの油圧を制御するので、油圧センサ160は、油圧回路において油圧の確保が必要とされる箇所に設けられるのが好ましい。一例において、油圧センサ160は、オイルクーラ140およびバイパス油路150の下流に設けられる。例えば、油圧センサ160は、シリンダブロックオイルギャラリ170内に設けられる。
【0018】
バルブ制御部220は、油圧センサ160と電気的に接続され、油圧センサ160からエンジンオイルの油圧を示す情報を取得する。さらに、バルブ制御部220は、ECU210と電気的に接続され、ECU210からエンジンのエンジン回転数および燃料噴射量を示す情報を取得する。
【0019】
バルブ制御部220は、エンジンオイルの油圧に基づいて、電制オイルクーラバイパスバルブ130の開閉を決定する。一例において、バルブ制御部220は、エンジン回転数および燃料噴射量に基づいて、エンジンオイルのターゲット油圧を決定し、ターゲット油圧と測定された油圧との差分値に基づいて、電制オイルクーラバイパスバルブ130の開閉を決定する。
【0020】
一例において、バルブ制御部220は、ルックアップテーブル記憶部222を備える。ルックアップテーブル記憶部222は、エンジン回転数および燃料噴射量に対応するターゲット油圧を規定したルックアップテーブルを記憶する。例えば、バルブ制御部220は、ECU210から取得したエンジン回転数および燃料噴射量を示す情報と、ルックアップテーブル記憶部222から読み出したルックアップテーブルとを用いて、エンジン回転数および燃料噴射量に対応するエンジンオイルのターゲット油圧を決定する。一例において、ルックアップテーブルに存在しないエンジン回転数および燃料噴射量については、線形補間を用いてエンジンオイルのターゲット油圧を決定する。
【0021】
図2は、本開示の油圧制御装置100の処理を説明するフローチャートである。
図2に示されるフローチャートの処理は、例えば、車両のエンジンが起動されることに伴い、油圧制御装置100が備えるCPU(図示せず)がROM(図示せず)に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。一例において、
図2に示されるフローチャートは、定期的に(例えば1分に1回)実行される。
【0022】
まず、バルブ制御部220は、ECU210からエンジン回転数を示す情報を取得する(ステップS110)。次に、バルブ制御部220は、ECU210から燃料噴射量を示す情報を取得する(ステップS120)。
【0023】
次に、バルブ制御部220は、ターゲット油圧を決定する(ステップS130)。例えば、バルブ制御部220は、ECU210から取得したエンジン回転数および燃料噴射量を示す情報と、ルックアップテーブル記憶部222から読み出したルックアップテーブルとを用いて、エンジン回転数および燃料噴射量に対応するエンジンオイルのターゲット油圧を決定する。
【0024】
図3は、本開示の油圧制御装置100が用いるターゲット油圧のルックアップテーブルの一例である。
図3に示されるルックアップテーブルは、エンジン回転数およびターゲット油圧の各組み合わせに対して、エンジンのオイルフローが正常であり、油温が80℃である場合の油圧を、予め計測し、計測した油圧を記録することにより作成されたルックアップテーブルである。
【0025】
例えば、ECU210から取得したエンジン回転数が1000rpmであり、ECU210から取得した燃料噴射量が175mm
3/stであったとする。ルックアップテーブルにおいて、1000rpmのエンジン回転数および175mm
3/stの燃料噴射量に対応するターゲット油圧は、270kPaである。したがって、バルブ制御部220は、ターゲット油圧を270kPaに決定する。
【0026】
油圧センサ160は、エンジンオイルの油圧を測定し、測定された油圧を示す情報を生成する(ステップS140)。次いで、バルブ制御部220は、測定された油圧を示す情報を油圧センサ160から取得する。
【0027】
そして、バルブ制御部220は、ターゲット油圧から測定された油圧を減じて差分値を算出する(ステップS150)。例えば、測定された油圧が245kPaである場合、差分値は270kPa−245kP=25kPaである。また、例えば、測定された油圧が275kPaである場合、差分値は270kPa−275kP=−5kPaである。さらに、例えば、測定された油圧が290kPaである場合、差分値は270kPa−290kPa=−20kPaである。
【0028】
次に、バルブ制御部220は、差分値が許容誤差εより大きいか否かを判定する(ステップS160)。ここで、許容誤差εは、測定された油圧をターゲット油圧に調節する際の許容誤差である。一例において、許容誤差εは、ターゲット油圧の所定の割合(例えば5%)である。例えば、ターゲット油圧が270kPaである場合、許容誤差εは、270kPa×5%=13.5kPaである。
【0029】
判定の結果、差分値が許容誤差εより大きい場合(ステップS160:Yes)、処理はステップS170に進む。例えば、測定された油圧が245kPaである場合、差分値は25kPaであり、許容誤差ε=13.5kPaよりも大きい。したがって、この場合、処理はステップS170に進む。
【0030】
ステップS170では、バルブ制御部220は、電制オイルクーラバイパスバルブ130を開く。次いで、処理はステップS140に進む。一例において、電制オイルクーラバイパスバルブ130を開いた後に、オイルクーラ140によって冷却されたオイルが十分にエンジン内に行き渡るように、所定の時間だけ待機してからステップS140に進む。
【0031】
一方、差分値が許容誤差εより大きくない場合(ステップS160:No)、ステップS180に進む。例えば、測定された油圧が275kPaである場合、差分値は−5kPaであり、許容誤差ε=13.5kPaよりも大きくない。したがって、この場合、ステップS180に進む。
【0032】
ステップS180では、バルブ制御部220は、差分値が許容誤差εのマイナス値−εより小さいか否かを判定する。判定の結果、差分値が−εより小さい場合(ステップS180:Yes)、処理はステップS190に進む。例えば、測定された油圧が290kPaである場合、差分値は−20kPaであり、許容誤差εのマイナス値−13.5kPaよりも小さい。したがって、この場合、処理はステップS190に進む。
【0033】
ステップS190において、バルブ制御部220は、電制オイルクーラバイパスバルブ130を閉じる。電制オイルクーラバイパスバルブ130が閉じられると、エンジン内を循環するオイルは、オイルクーラ140をバイパスするバイパス油路150を通るので、オイルクーラ140によってオイルは冷却されない。次いで、処理はステップS140に進む。一例において、電制オイルクーラバイパスバルブ130を閉じた後に、オイルクーラ140をバイパスしたオイルが十分にエンジン内に行き渡るように、所定の時間だけ待機してからステップS140に進む。
【0034】
一方、差分値が−εより小さくない場合(ステップS180:No)、フローを終了する。例えば、測定された油圧が275kPaである場合、差分値は−5kPaであり、−ε=−13.5kPaよりも小さくない。したがって、この場合、フローを終了する。
【0035】
本開示の油圧制御装置100によれば、エンジン回転数および燃料噴射量に応じて、エンジンオイルの適正な油圧を確保することができる。これにより、油圧回路に異常がある場合であっても、エンジンの損傷を軽減することができ、耐久信頼性を高めることができる。
【0036】
特許文献1に記載の構成においては、油温が低い時は、エンジンオイルが冷却されず、油圧が上がらない。したがって、油温が低い時は、エンジンオイルの油圧を適正な油圧にすることができないという問題がある。これに対して、本開示においては、油温が低い時でも、エンジンオイルが冷却され、油圧が上がる。したがって、油温が低い時であっても、エンジンオイルの油圧を適正な油圧にすることができる。
【0037】
また、本開示の油圧制御装置100によれば、既に適正な油圧が確保されている場合、油温を下げない。したがって、必要以上に油温を低くすることによるエンジン部材間の摩擦の増大を回避することができるので、良好な燃費を確保することができる。
【0038】
さらに、特許文献1に記載の感温部および感圧部は、オイルクーラの上流の油路の圧力および温度を測定しており(第2図、第3図参照)、メインギャラリの圧力および温度を測定していない。これに対して、本開示の油圧制御装置100においては、油圧センサ160は、例えば、シリンダブロックオイルギャラリ170内に設けられる。これにより、本開示の油圧制御装置100においては、油圧の確保がより必要とされる箇所の油圧を測定することができ、その油圧が適正な油圧になるように制御することができる。
【0039】
(他の実施の形態)
第1の実施の形態においては、ルックアップテーブルを用いて、エンジン回転数および燃料噴射量に対応するエンジンオイルのターゲット油圧を決定する。これに代えて、エンジン回転数および燃料噴射量から計算式を用いてターゲット油圧を決定してもよい。
【0040】
第1の実施の形態においては、ECU210とバルブ制御部220が別体として設けられている。これに代えて、ECU210とバルブ制御部220とを一体化させた実施の形態も考えられる。
【0041】
第1の実施の形態においては、電制オイルクーラバイパスバルブ130が開かれると、エンジン内を循環するエンジンオイルがオイルクーラ140を通る。また、電制オイルクーラバイパスバルブ130が閉じられると、エンジン内を循環するオイルは、オイルクーラ140をバイパスするバイパス油路150を通る。これに代えて、電制オイルクーラバイパスバルブ130が閉じられると、エンジン内を循環するエンジンオイルがオイルクーラ140を通る実施の形態も考えられる。この場合、電制オイルクーラバイパスバルブ130が開かれると、エンジン内を循環するエンジンオイルがオイルクーラ140をバイパスするバイパス油路150を通る。
【0042】
第1の実施の形態においては、電制オイルクーラバイパスバルブ130の状態を、開または閉のいずれかの状態に変更する。これに代えて、ターゲット油圧から測定された油圧を減じて算出された差分値の大きさに応じて、電制オイルクーラバイパスバルブ130を開く度合いを調節する実施の形態も考えられる。この場合、エンジン内を循環するエンジンオイルの一部のみがオイルクーラ140によって冷却される。これにより、油温および油圧をより円滑に制御することができる。
【0043】
第1の実施の形態においては、許容誤差εは、ターゲット油圧の所定の割合(例えば5%)である。これに代えて、許容誤差εは、ターゲット油圧およびエンジン回転数に応じて決定される誤差とする実施の形態も考えられる。
【0044】
図2に示したフローチャートにおいては、本開示に記載の特徴を包括的に説明している。フローチャート内のステップを実行する順序を入れ替えてもよく、フローチャート内のいくつかのステップを省略してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る油圧制御装置は、エンジンを搭載した車両において使用するのに好適である。
【符号の説明】
【0046】
100 油圧制御装置
110 オイルパン
120 オイルポンプ
130 電制オイルクーラバイパスバルブ
140 オイルクーラ
150 バイパス油路
160 油圧センサ
170 シリンダブロックオイルギャラリ
210 ECU
220 バルブ制御部
222 ルックアップテーブル記憶部