特許第6750506号(P6750506)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6750506非水系二次電池用セパレータおよびその製造方法、並びに、非水系二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6750506
(24)【登録日】2020年8月17日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】非水系二次電池用セパレータおよびその製造方法、並びに、非水系二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/16 20060101AFI20200824BHJP
【FI】
   H01M2/16 L
   H01M2/16 P
【請求項の数】4
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2016-568172(P2016-568172)
(86)(22)【出願日】2015年12月4日
(86)【国際出願番号】JP2015006032
(87)【国際公開番号】WO2016110894
(87)【国際公開日】20160714
【審査請求日】2018年10月1日
(31)【優先権主張番号】特願2015-3646(P2015-3646)
(32)【優先日】2015年1月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(72)【発明者】
【氏名】秋池 純之介
(72)【発明者】
【氏名】大浦 慶
(72)【発明者】
【氏名】浅井 一輝
【審査官】 森 透
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/080946(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/001848(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/017651(WO,A1)
【文献】 特開2007−311151(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/051079(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/098519(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M2/14−2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータ基材と、前記セパレータ基材の少なくとも一方の表面上に形成された機能層とを備える非水系二次電池用セパレータであって、
前記機能層は、コア部および前記コア部の外表面を部分的に覆うシェル部を備えるコアシェル構造を有する有機粒子の相が一定の繰り返しパターン形状ではなく存在する構成を有し、
前記コア部は、電解液膨潤度が5倍以上30倍以下の重合体からなり、
前記シェル部は、電解液膨潤度が1倍超4倍以下の重合体からなり、
前記セパレータ基材の機能層形成面の面積に対する前記有機粒子の相が存在する部分の面積の割合が20%以上80%以下である、非水系二次電池用セパレータ。
【請求項2】
前記コア部の重合体のガラス転移温度が、−50℃以上150℃以下であり、
前記シェル部の重合体のガラス転移温度が、50℃以上200℃以下である、請求項1に記載の非水系二次電池用セパレータ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の非水系二次電池用セパレータの製造方法であって、
少なくとも一方の表面の水滴接触角が80°以上130°以下であるセパレータ基材を準備する工程と、
前記有機粒子と分散媒とを含有し、且つ、表面張力が33mN/m以上39mN/m以下である非水系二次電池機能層用組成物を準備する工程と、
前記非水系二次電池機能層用組成物を前記セパレータ基材の前記表面上に塗布し、塗布した非水系二次電池機能層用組成物を乾燥させてセパレータ基材上に機能層を形成する工程と、
を含む、非水系二次電池用セパレータの製造方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の非水系二次電池用セパレータを備える、非水系二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水系二次電池用セパレータ、非水系二次電池用セパレータの製造方法および非水系二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池などの非水系二次電池(以下、単に「二次電池」と略記する場合がある。)は、小型で軽量、且つエネルギー密度が高く、更に繰り返し充放電が可能という特性があり、幅広い用途に使用されている。そして、非水系二次電池は、一般に、正極、負極、および、正極と負極とを隔離して正極と負極との間の短絡を防ぐセパレータなどの電池部材を備えている。
【0003】
ここで、近年、二次電池においては、耐熱性および強度を向上させるための多孔膜層や、電池部材同士を接着するための接着層など(以下、これらを総称して「機能層」と称する場合がある)を備える電池部材が使用されている。具体的には、例えば、セパレータ基材上に機能層を形成してなるセパレータが、電池部材として使用されている。
【0004】
そして、二次電池の更なる高性能化を目的として、機能層を有するセパレータの改良が盛んに行われている(例えば、特許文献1参照)。
具体的には、例えば特許文献1では、ポリオレフィン微多孔膜よりなるセパレータ基材上に熱可塑性ポリマー被覆層よりなる接着層を形成してなるセパレータについて、所定のガラス転移温度を有する熱可塑性ポリマーを含む部分と熱可塑性ポリマーを含まない部分とが海島状に存在する構成を有する熱可塑性ポリマー被覆層を採用することにより、接着性およびイオン伝導性を向上させる技術が提案されている。この特許文献1に記載のセパレータによれば、所定のガラス転移温度を有する熱可塑性ポリマーを使用することにより電極との接着性を向上させることができると共に、熱可塑性ポリマーを含む部分と熱可塑性ポリマーを含まない部分とを海島状に存在させることによりイオン伝導性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2014/017651号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来のセパレータは、電解液中における接着層(機能層)の接着性が十分ではなかった。そのため、上記従来のセパレータには、イオン伝導性を確保しつつ電解液中における機能層の接着性を更に向上させ、セパレータを備える非水系二次電池の電池特性(高温サイクル特性および低温出力特性)を更に向上させるという点において改善の余地があった。
【0007】
そこで、本発明は、電解液中での接着性およびイオン伝導性に優れるセパレータを提供することを目的とする。
また、本発明は、高温サイクル特性および低温出力特性に優れる非水系二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者は、セパレータ基材上に機能層を形成してなるセパレータについて、機能層の構成を、それぞれ特定の電解液膨潤度を有するコア部とシェル部とを備える特定のコアシェル構造を有する有機粒子からなる相が不規則な形状で存在し、且つ、有機粒子の相が占める面積の割合が特定の範囲内となる構成とすることにより、イオン伝導性を確保しつつ電解液中における接着性を更に向上させ得ることを見出した。また、本発明者は、上記有機粒子を含む機能層用組成物をセパレータ基材上に塗布し、塗布した機能層用組成物を乾燥させてセパレータ基材上に機能層を形成する際に、機能層が形成されるセパレータ基材の表面の水滴接触角と、機能層用組成物の表面張力とを特定の範囲内とすることにより、上述した特定の構成を有する機能層を容易に形成し得ることを見出した。そして、本発明者は、上述した新たな知見に基づき、本発明を完成させた。
【0009】
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の非水系二次電池用セパレータは、セパレータ基材と、前記セパレータ基材の少なくとも一方の表面上に形成された機能層とを備え、前記機能層は、コア部および前記コア部の外表面を部分的に覆うシェル部を備えるコアシェル構造を有する有機粒子の相が不規則な形状で存在する構成を有し、前記コア部は、電解液膨潤度が5倍以上30倍以下の重合体からなり、前記シェル部は、電解液膨潤度が1倍超4倍以下の重合体からなり、前記セパレータ基材の機能層形成面の面積に対する前記有機粒子の相が存在する部分の面積の割合が20%以上80%以下であることを特徴とする。このように、上述した所定のコアシェル構造および性状を有する有機粒子の相を含む機能層を設け、且つ、機能層形成面中で有機粒子の相が存在する部分の面積の割合を20%以上とすれば、電解液中での機能層の接着性を高め、接着性に優れるセパレータを提供することができる。また、上述した所定のコアシェル構造および性状を有する有機粒子の相を不規則な形状で存在させ、且つ、機能層形成面中で有機粒子の相が存在する部分の面積の割合を80%以下とすれば、電解液中での機能層の接着性を高めつつ、イオン伝導性に優れるセパレータを提供することができる。
なお、本発明において、有機粒子のコア部を構成する重合体およびシェル部を構成する重合体の「電解液膨潤度」は、本明細書の実施例に記載の測定方法を用いて測定することができる。また、本発明において、「有機粒子の相が存在する部分の面積の割合」は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてセパレータの機能層を観察し、画像解析ソフトを使用して観察視野中において有機粒子の相が存在している部分の面積の割合を算出することにより求めることができる。
【0010】
なお、本発明の非水系二次電池用セパレータは、前記コア部の重合体のガラス転移温度が、−50℃以上150℃以下であり、前記シェル部の重合体のガラス転移温度が、50℃以上200℃以下であることが好ましい。有機粒子のコア部を構成する重合体およびシェル部を構成する重合体のガラス転移温度を、それぞれ上述の範囲内とすれば、電解液中における有機粒子の強度および機能層の接着性を高めつつ、セパレータのハンドリング性を高めることができるからである。
なお、本発明において、有機粒子のコア部を構成する重合体およびシェル部を構成する重合体の「ガラス転移温度」は、本明細書の実施例に記載の測定方法を用いて測定することができる。
【0011】
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の非水系二次電池用セパレータの製造方法は、上述した非水系二次電池用セパレータの製造方法であって、少なくとも一方の表面の水滴接触角が80°以上130°以下であるセパレータ基材を準備する工程と、前記有機粒子と分散媒とを含有し、且つ、表面張力が33mN/m以上39mN/m以下である非水系二次電池機能層用組成物を準備する工程と、前記非水系二次電池機能層用組成物を前記セパレータ基材の前記表面上に塗布し、塗布した非水系二次電池機能層用組成物を乾燥させてセパレータ基材上に機能層を形成する工程とを含むことを特徴とする。このように、所定の水滴接触角を有するセパレータ基材の表面上に所定の表面張力を有する非水系二次電池機能層用組成物を塗布すれば、有機粒子を含有する非水系二次電池機能層用組成物がセパレータ基材の表面上で適度にはじかれるので、有機粒子の相が不規則な形状で存在する構成を有する機能層を容易に形成することができる。従って、電解液中での接着性およびイオン伝導性に優れる上述したセパレータを容易に製造することができる。
なお、本発明において、「水滴接触角」は、セパレータ基材上に1μLのイオン交換水を滴下し、着滴から60秒後の接触角を測定することにより求めることができる。また、本発明において、非水系二次電池機能層用組成物の「表面張力」は、プレート法を用いて測定することができる。
【0012】
そして、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の非水系二次電池は、上述した非水系二次電池用セパレータの何れかを備えることを特徴とする。このように、電解液中での接着性およびイオン伝導性に優れる上述した非水系二次電池用セパレータを使用すれば、高温サイクル特性および低温出力特性に優れる非水系二次電池が得られる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電解液中での接着性およびイオン伝導性に優れるセパレータを提供することができる。
また、本発明によれば、高温サイクル特性および低温出力特性に優れる非水系二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の非水系二次電池用セパレータの機能層のSEM画像である。
図2】本発明の非水系二次電池用セパレータの機能層に含まれている有機粒子の一例の構造を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明の非水系二次電池用セパレータは、リチウムイオン二次電池などの非水系二次電池のセパレータとして用いられ、例えば本発明の非水系二次電池用セパレータの製造方法を用いて製造することができる。そして、本発明の非水系二次電池は、本発明の非水系二次電池用セパレータを備えるものである。
【0016】
(非水系二次電池用セパレータ)
本発明の非水系二次電池用セパレータは、セパレータ基材と、セパレータ基材の少なくとも一方の表面(機能層形成面)上に形成された機能層とを備えている。そして、本発明の非水系二次電池用セパレータの機能層は、特定の電解液膨潤度を有するコア部とシェル部とを備える特定のコアシェル構造を有する有機粒子を含んでいる。また、当該有機粒子は、機能層中において、単独で、または、複数集合して有機粒子の相を形成している。更に、有機粒子の相は、例えば図1に機能層の一例のSEM画像を示すように不規則な形状で存在しており、且つ、機能層形成面中に特定の面積割合で存在している。なお、図1に示すようなSEM画像において、有機粒子は、直径約0.3〜0.7μm程度の球状のドットとして観察される。
【0017】
そして、本発明の非水系二次電池用セパレータでは、特定の有機粒子を含む機能層を設けているので、電解液中での機能層の接着性を高めることができる。従って、本発明の非水系二次電池用セパレータは、電解液中において優れた接着性を発揮することができる。また、本発明の非水系二次電池用セパレータでは、有機粒子の相を不規則な形状で存在させ、且つ、機能層形成面中で有機粒子の相が存在する部分の面積の割合を特定の範囲内としているので、電解液中での機能層の接着性を十分に高めつつ、良好なイオン伝導性を確保することができる。
【0018】
<セパレータ基材>
ここで、少なくとも一方の表面(機能層形成面)に機能層を形成するセパレータ基材としては、特に限定されることなく、例えば特開2012−204303号公報に記載の微多孔膜などの既知のセパレータ基材を用いることができる。これらの中でも、セパレータ全体の膜厚を薄くすることができ、これにより、二次電池内の電極活物質の比率を高くして体積あたりの容量を高くすることができるという点より、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル)の樹脂からなる微多孔膜(有機セパレータ基材)が好ましい。そして、セパレータ基材の厚さは、任意の厚さとすることができ、通常0.5μm以上、好ましくは5μm以上であり、通常40μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下である。
なお、セパレータ基材は、機能層以外の、所期の機能を発揮し得る任意の層をその一部に含んでいてもよい。
【0019】
また、後に詳細に説明する本発明の非水系二次電池用セパレータの製造方法を用いてセパレータを製造する場合には、セパレータ基材としては、機能層を形成する側の表面(機能層形成面)の水滴接触角が、好ましくは80°以上、より好ましくは85°以上、更に好ましくは90°以上であり、また、好ましくは130°以下、より好ましくは120°以下、更に好ましくは110°以下である微多孔膜を用いることが好ましい。水滴接触角が80°以上130°以下の表面を有するセパレータ基材を用いれば、不規則な形状および特定の面積割合を有する有機粒子の相を容易に形成することができるからである。
【0020】
ここで、セパレータ基材の表面の水滴接触角は、例えば、微多孔膜の形成に用いる樹脂の組成の変更や、微多孔膜の表面処理等の既知の手法を用いて調整することができる。中でも、耐熱性、強度およびイオン伝導性などの性能を確保し得る樹脂(例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等)を使用しつつ水滴接触角の大きさを容易に調整する観点からは、セパレータ基材の水滴接触角は、微多孔膜の表面処理により調整することが好ましい。更に、微多孔膜の多孔性を確保しつつ水滴接触角の大きさを容易に調整する観点からは、微多孔膜は、プラズマ処理、コロナ放電処理、UV処理等の乾式処理を用いて表面処理することが好ましく、コロナ放電処理を用いて表面処理することがより好ましい。
【0021】
なお、コロナ放電処理を用いる場合、処理強度は、好ましくは20W・min/m以上、より好ましくは30W・min/m以上、更に好ましくは40W・min/m以上とすることができ、また、好ましくは80W・min/m以下、より好ましくは70W・min/m以下、更に好ましくは60W・min/m以下とすることができる。処理強度が大き過ぎる場合、水滴接触角が低下し過ぎる虞があるからである。また、処理強度が小さ過ぎる場合、水滴接触角が所望の大きさまで低下しない虞があるからである。
【0022】
<機能層>
本発明の非水系二次電池用セパレータにおいて、セパレータ基材に形成される機能層は、セパレータの耐熱性および強度を向上させるための多孔膜層であってもよいし、セパレータと電極とを接着させるための接着層であってもよいし、多孔膜層と接着層との双方の機能を発揮する層であってもよい。
【0023】
ここで、本発明の非水系二次電池用セパレータの機能層は、電解液膨潤度が5倍以上30倍以下の重合体からなるコア部と、電解液膨潤度が1倍超4倍以下の重合体からなり、且つ、コア部の外表面を部分的に覆うシェル部とを備えるコアシェル構造を有する有機粒子の相が不規則な形状で存在する構成を有している。また、機能層において、有機粒子の相が存在する部分の面積の割合は、機能層形成面の面積に対して20%以上80%以下である。そして、この機能層は、電解液中で優れた接着性を発揮すると共に、良好なイオン伝導性を有している。
なお、機能層は、セパレータ基材の一方の表面のみに形成されていてもよいし、両方の表面に形成されていてもよい。また、本発明の非水系二次電池用セパレータは、一方の表面に上述した構成の機能層を備え、他方の表面には上述した構成を有さない機能層(例えば、有機粒子を含有しない機能層や、有機粒子の相の面積割合が上記範囲を満たさない機能層など)を有していてもよい。
【0024】
また、機能層は、有機粒子以外に、任意に、機能層用結着材、非導電性粒子(有機粒子および機能層用結着材に該当するものを除く)、その他の成分を含有していてもよい。
なお、機能層中の有機粒子の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。
【0025】
[有機粒子]
機能層中に含まれている有機粒子は、電解液中において機能層に優れた接着性を発揮させる機能を担う。
そして、有機粒子は、コア部と、コア部の外表面を部分的に覆うシェル部とを備えるコアシェル構造を有しており、前記コア部は、電解液膨潤度が5倍以上30倍以下の重合体からなり、前記シェル部は、電解液膨潤度が1倍超4倍以下の重合体からなることを特徴とする。
【0026】
ここで、上記構造および性状を有する有機粒子は、電解液中において優れた接着性を発揮し、しかも電解液への成分の溶出が少なく、優れた接着性を長期に亘り保持することができる。そして、有機粒子を含む機能層は、二次電池の電池特性を良好に向上させることができる。また、この有機粒子は、電解液への浸漬前には大きな接着力を発揮しないので、有機粒子を含む機能層を備えるセパレータは、ブロッキング(機能層を介したセパレータ同士の膠着など)を生じ難く、ハンドリング性にも優れている。
【0027】
なお、上記有機粒子を使用することで上述したような優れた効果が得られる理由は、明らかではないが、以下の通りであると推察される。
即ち、上記有機粒子のシェル部を構成する重合体は、電解液に対してある程度膨潤する。このとき、例えば膨潤したシェル部の重合体が有する官能基が活性化して、機能層が形成されるセパレータ基材の表面、或いは、機能層を有するセパレータと接着される電極等の表面にある官能基と化学的または電気的な相互作用を生じるなどの要因により、シェル部はセパレータ基材や電極等と強固に接着できる。一方、シェル部は、電解液に膨潤する前には大きな接着力を発揮しない。そのため、当該有機粒子を含む機能層では、ブロッキングの発生を抑制しつつ、セパレータと電極とを電解液中において強力に接着することが可能となっているものと推察される。
また、シェル部の重合体およびコア部の重合体はいずれも電解液膨潤度が所定の値以下に設定されており、電解液に対して過度に膨潤することもない。そのため、例えば二次電池の長時間稼働後にも上述した優れた接着性を十分に発揮することができると推察される。
そして、上記有機粒子を含む機能層を使用した場合、上述したように電解液中において機能層が強力な接着力を発揮することができるので、当該機能層を備える二次電池では、機能層を介して接着されたセパレータと電極との間に空隙を生じ難い。そのため、当該有機粒子を含む機能層を有するセパレータを使用した二次電池では、二次電池内において正極と負極との距離が大きくなり難く、二次電池の内部抵抗を小さくできると共に、電極における電気化学反応の反応場が不均一になり難い。さらに、当該二次電池では、充放電を繰り返してもセパレータと電極との間に空隙ができ難く、電池容量が低下しにくい。これにより、高温サイクル特性などに優れる二次電池を提供できるものと推察される。
さらに、上記有機粒子のコア部を構成する重合体は、電解液に対して大きく膨潤する。そして、重合体は、電解液に大きく膨潤した状態では、重合体の分子間の隙間が大きくなり、その分子間をイオンが通り易くなる。また、有機粒子のコア部の重合体は、シェル部によって完全に覆われてはいない。そのため、電解液中においてイオンがコア部を通りやすくなるので、有機粒子は高いイオン拡散性を発現できる。従って、上記有機粒子を使用すれば、機能層による抵抗の上昇を抑制し、低温出力特性などの電池特性の低下を抑制することも可能である。
なお、上述した通り、有機粒子は電解液に膨潤することで優れた接着性を発揮し、電解液への浸漬前には大きな接着力を発揮しない。しかし、有機粒子は、電解液に膨潤しない限りは接着性を全く発揮しないというものではなく、電解液に膨潤していない状態であっても、例えば一定温度以上(例えば50℃以上)に加熱されることにより、接着性を発現し得る。
【0028】
[[有機粒子の構造]]
ここで、有機粒子は、コア部と、コア部の外表面を覆うシェル部とを備えるコアシェル構造を有している。また、シェル部は、コア部の外表面を部分的に覆っている。即ち、有機粒子のシェル部は、コア部の外表面を覆っているが、コア部の外表面の全体を覆ってはいない。外観上、コア部の外表面がシェル部によって完全に覆われているように見える場合であっても、シェル部の内外を連通する孔が形成されていれば、そのシェル部はコア部の外表面を部分的に覆うシェル部である。従って、例えば、シェル部の外表面(即ち、有機粒子の周面)からコア部の外表面まで連通する細孔を有するシェル部を備える有機粒子は、上記有機粒子に含まれる。
【0029】
具体的には、有機粒子の一例の断面構造を図2に示すように、有機粒子100は、コア部110およびシェル部120を備えるコアシェル構造を有する。ここで、コア部110は、この有機粒子100においてシェル部120よりも内側にある部分である。また、シェル部120は、コア部110の外表面110Sを覆う部分であり、通常は有機粒子100において最も外側にある部分である。そして、シェル部120は、コア部110の外表面110Sの全体を覆っているのではなく、コア部110の外表面110Sを部分的に覆っている。
【0030】
−被覆率−
ここで、有機粒子では、コア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合(被覆率)は、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上であり、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下、さらに好ましくは80%以下である。被覆率を前記範囲の下限値以上にすることにより、ブロッキングの発生を抑制するとともに、電解液中での接着性を高め、二次電池の高温サイクル特性を向上させることができる。また、被覆率を前記範囲の上限値以下にすることにより、機能層に高いイオン拡散性を発現させて二次電池の低温出力特性を向上させることができる。
なお、本発明において、「コア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合(被覆率)」は、本明細書の実施例に記載の測定方法を用いて測定することができる。
【0031】
−体積平均粒子径D50−
また、有機粒子の体積平均粒子径D50は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.2μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。有機粒子の体積平均粒子径D50を前記範囲の下限値以上にすることにより、機能層の内部抵抗の上昇を抑制し、二次電池の低温出力特性を向上させることができる。また、有機粒子の体積平均粒子径D50を前記範囲の上限値以下にすることにより、電解液中での接着性を高め、二次電池の高温サイクル特性を向上させることができる。
なお、本発明において、有機粒子の「体積平均粒子径D50」は、本明細書の実施例に記載の測定方法を用いて測定することができる。
【0032】
−コアシェル比率−
さらに、シェル部は、有機粒子の体積平均粒子径D50に対して、所定の範囲に収まる平均厚みを有することが好ましい。具体的には、有機粒子の体積平均粒子径D50に対するシェル部の平均厚み(コアシェル比率)は、好ましくは1.5%以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは5%以上であり、好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下である。コアシェル比率を前記範囲の下限値以上にすることにより、電解液中での機能層の接着性をさらに高め、二次電池の高温サイクル特性を向上させることができる。また、コアシェル比率を前記範囲の上限値以下にすることにより、二次電池の低温出力特性をさらに高めることができる。
なお、本発明において、「コアシェル比率」は、本明細書の実施例に記載の測定方法を用いて測定することができる。
【0033】
なお、有機粒子は、所期の効果を著しく損なわない限り、上述したコア部およびシェル部以外に任意の構成要素を備えていてもよい。具体的には、例えば、有機粒子は、コア部の内部に、コア部とは別の重合体で形成された部分を有していてもよい。具体例を挙げると、有機粒子をシード重合法で製造する場合に用いたシード粒子が、コア部の内部に残留していてもよい。ただし、所期の効果を顕著に発揮する観点からは、有機粒子はコア部およびシェル部のみを備えることが好ましい。
【0034】
[[コア部]]
−コア部の重合体の電解液膨潤度−
有機粒子のコア部は、電解液に対して所定の膨潤度を有する重合体からなる。具体的には、コア部の重合体の電解液膨潤度は、5倍以上であることが必要であり、7倍以上であることが好ましく、8倍以上であることがより好ましく、また、30倍以下であることが必要であり、28倍以下であることが好ましく、25倍以下であることがより好ましい。コア部の重合体の電解液膨潤度を前記範囲の下限値以上にすることにより、機能層に高いイオン拡散性を発現させて二次電池の低温出力特性を向上させることができる。また、コア部の重合体の電解液膨潤度を前記範囲の上限値以下にすることにより、電解液中における機能層の接着性を高め、二次電池の高温サイクル特性を向上させることができる。
なお、本発明において、コア部の重合体の「電解液膨潤度」は、本明細書の実施例に記載の測定方法を用いて測定することができる。
【0035】
なお、コア部の重合体の電解液膨潤度を調整する方法としては、例えば、電解液のSP値を考慮して、当該コア部の重合体を調製するために用いる単量体の種類および量を適切に選択することが挙げられる。一般に、重合体のSP値が電解液のSP値に近い場合、その重合体はその電解液に膨潤しやすい傾向がある。他方、重合体のSP値が電解液のSP値から離れていると、その重合体はその電解液に膨潤し難い傾向がある。
【0036】
ここでSP値とは、溶解度パラメーターのことを意味する。
そして、SP値は、Hansen Solubility Parameters A User’s Handbook,2ndEd(CRCPress)で紹介される方法を用いて算出することができる。
また、有機化合物のSP値は、その有機化合物の分子構造から推算することも可能である。具体的には、SMILEの式からSP値を計算できるシミュレーションソフトウェア(例えば「HSPiP」(http=//www.hansen−solubility.com))を用いて計算しうる。このシミュレーションソフトウェアでは、Hansen SOLUBILITY PARAMETERS A User’s Handbook SecondEdition、Charles M.Hansenに記載の理論に基づき、SP値が求められている。
【0037】
−コア部の重合体のガラス転移温度−
また、有機粒子のコア部を構成する重合体のガラス転移温度は、−50℃以上であることが好ましく、0℃以上であることがより好ましく、20℃以上であることがさらに好ましく、また、150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることがより好ましい。コア部の重合体のガラス転移温度を前記範囲の下限値以上にすることにより、機能層の強度や耐ブロッキング性を一層向上させることができる。また、コア部の重合体のガラス転移温度を上記範囲の上限値以下にすることにより、機能層の電解液中での接着性および二次電池の高温サイクル特性を向上させることができる。
【0038】
なお、コア部の重合体のガラス転移温度を調整する方法としては、例えば、コア部の重合体を調製するために用いる単量体の種類および量を、当該単量体の単独重合体のガラス転移温度を考慮して、適切に選択することが挙げられる。例えば、コア部の重合体の調製に(メタ)アクリル酸エステル単量体を使用する場合、(メタ)アクリル酸エステル単量体のアルコールに由来する部分の炭素数が多いほど、得られる重合体のガラス転移温度が低くなる傾向がある。
ここで、本発明において、(メタ)アクリルとは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
【0039】
−コア部の重合体の組成−
コア部の重合体を調製するために用いる単量体としては、その重合体の電解液膨潤度が上記範囲となるものを適宜選択して用いうる。そのような単量体としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩化ビニル系単量体;酢酸ビニル等の酢酸ビニル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸、ブトキシスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体;ビニルアミン等のビニルアミン系単量体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のビニルアミド系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の(メタ)アクリロニトリル単量体;2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート等のフッ素含有(メタ)アクリレート単量体;マレイミド;フェニルマレイミド等のマレイミド誘導体;1,3−ブタジエン、イソプレン等のジエン系単量体;などが挙げられる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロニトリルとは、アクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリルを意味する。
【0040】
これらの単量体の中でも、コア部の重合体の調製に用いられる単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体を用いることが好ましく、メタクリル酸メチルおよび/またはアクリル酸ブチルを用いることがより好ましい。即ち、コア部の重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含むことが好ましく、メタクリル酸メチルおよび/またはアクリル酸ブチルに由来する単量体単位を含むことが更に好ましい。上述した単量体を使用することにより、コア部の重合体の電解液膨潤度の制御やコア部の重合体のガラス転移温度の制御が容易になると共に、有機粒子を用いた機能層のイオン拡散性を一層高めることができる。
【0041】
また、コア部の重合体は、酸基含有単量体単位を含みうる。ここで、酸基含有単量体としては、酸基を有する単量体、例えば、カルボン酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、リン酸基を有する単量体、および、水酸基を有する単量体が挙げられる。
【0042】
そして、カルボン酸基を有する単量体としては、例えば、モノカルボン酸、ジカルボン酸などが挙げられる。モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などが挙げられる。ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。
また、スルホン酸基を有する単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などが挙げられる。
さらに、リン酸基を有する単量体としては、例えば、リン酸−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸メチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸エチル−(メタ)アクリロイルオキシエチルなどが挙げられる。
また、水酸基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。
なお、本発明において、(メタ)アリルとは、アリルおよび/またはメタリルを意味し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイルおよび/またはメタクリロイルを意味する。
【0043】
これらの中でも、酸基含有単量体としては、カルボン酸基を有する単量体が好ましく、中でもモノカルボン酸が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましい。
また、酸基含有単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0044】
また、コア部の重合体における酸基含有量体単位の割合は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下である。酸基含有量体単位の割合を前記範囲に収めることにより、有機粒子の調製時に、コア部の重合体の分散性を高め、コア部の重合体の外表面に対し、コア部の外表面を部分的に覆うシェル部を形成し易くすることができる。
【0045】
また、コア部の重合体は、上記単量体単位に加え、架橋性単量体単位を含んでいることが好ましい。架橋性単量体とは、加熱またはエネルギー線の照射により、重合中または重合後に架橋構造を形成しうる単量体である。架橋性単量体単位を含むことにより、重合体の電解液膨潤度を、前記の範囲に容易に収めることができる。
【0046】
架橋性単量体としては、例えば、当該単量体に2個以上の重合反応性基を有する多官能単量体が挙げられる。このような多官能単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン等のジビニル化合物;エチレンジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート等のジ(メタ)アクリル酸エステル化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等のトリ(メタ)アクリル酸エステル化合物;アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体;などが挙げられる。これらの中でも、コア部の重合体の電解液膨潤度を容易に制御する観点から、ジメタクリル酸エステル化合物およびエポキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体が好ましく、ジメタクリル酸エステル化合物がより好ましい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0047】
ここで、一般に、重合体において架橋性単量体単位の割合が増えると、その重合体の電解液に対する膨潤度は小さくなる傾向がある。従って、架橋性単量体単位の割合は、使用する単量体の種類および量を考慮して決定することが好ましい。コア部の重合体における架橋性単量体単位の具体的な割合は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下である。架橋性単量体単位の割合を前記範囲の下限値以上にすることにより、機能層の接着性を高めることができる。また、架橋性単量体単位の割合を前記範囲の上限値以下にすることにより、非水系二次電池のサイクル特性を向上させることができる。
【0048】
[[シェル部]]
−シェル部の重合体の電解液膨潤度−
有機粒子のシェル部は、コア部の電解液膨潤度よりも小さい所定の電解液膨潤度を有する重合体からなる。具体的には、シェル部の重合体の電解液膨潤度は、1倍超であることが必要であり、1.1倍以上であることが好ましく、1.2倍以上であることがより好ましく、また、4倍以下であることが必要であり、3.5倍以下であることが好ましく、3倍以下であることがより好ましい。シェル部の重合体の電解液膨潤度を前記範囲の下限値超にすることにより、機能層に高いイオン拡散性を発現させて二次電池の低温出力特性を向上させることができる。また、シェル部の重合体の電解液膨潤度を前記範囲の上限値以下にすることにより、電解液中での機能層の接着性を高め、二次電池の高温サイクル特性を向上させることができる。
ここで、本発明において、シェル部の重合体の「電解液膨潤度」は、本明細書の実施例に記載の測定方法を用いて測定することができる。
【0049】
なお、シェル部の重合体の電解液膨潤度を調整する方法としては、例えば、電解液のSP値を考慮して、当該シェル部の重合体を製造するための単量体の種類および量を適切に選択することが挙げられる。
【0050】
−シェル部の重合体のガラス転移温度−
また、有機粒子のシェル部を構成する重合体のガラス転移温度は、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることがさらに好ましく、また、200℃以下であることが好ましく、180℃以下であることがより好ましく、150℃以下であることがさらに好ましい。シェル部の重合体のガラス転移温度を50℃以上とすることにより、ブロッキングの発生を抑制できることに加え、二次電池の低温出力特性を向上させることができる。また、シェル部の重合体のガラス転移温度を200℃以下とすることにより、機能層の接着性を更に向上させることができる。
【0051】
なお、シェル部の重合体のガラス転移温度を調整する方法としては、例えば、シェル部の重合体を調製するために用いる単量体の種類および量を、当該単量体の単独重合体のガラス転移温度を考慮して、適切に選択することが挙げられる。
【0052】
−シェル部の重合体の組成−
シェル部の重合体を調製するために用いる単量体としては、その重合体の電解液膨潤度が前記範囲となるものを適宜選択して用いうる。そのような単量体としては、例えば、コア部の重合体を製造するために用いうる単量体として例示した単量体と同様の単量体が挙げられる。また、このような単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0053】
これらの単量体の中でも、シェル部の重合体の調製に用いられる単量体としては、芳香族ビニル単量体を用いることが好ましい。即ち、シェル部の重合体は、芳香族ビニル単量体単位を含むことが好ましい。また、芳香族ビニル単量体の中でも、スチレンおよびスチレンスルホン酸等のスチレン誘導体がより好ましい。芳香族ビニル単量体を用いれば、重合体の電解液膨潤度を制御し易い。また、機能層の接着性を一層高めることができる。
【0054】
そして、シェル部の重合体における芳香族ビニル単量体単位の割合は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、より一層好ましくは60質量%以上、特に好ましくは80質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは99.5質量%以下、さらに好ましくは99質量%以下である。芳香族ビニル単量体単位の割合を前記範囲に収めることにより、シェル部の重合体の電解液膨潤度およびガラス転移温度を所望の範囲に制御しやすい。また、電解液中における機能層の接着性をより高めることができる。
【0055】
また、シェル部の重合体は、芳香族ビニル単量体単位以外に、酸基含有単量体単位を含みうる。ここで、酸基含有単量体としては、酸基を有する単量体、例えば、カルボン酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、リン酸基を有する単量体、および、水酸基を有する単量体が挙げられる。具体的には、酸基含有単量体としては、コア部に含み得る酸基含有単量体と同様の単量体が挙げられる。
【0056】
これらの中でも、酸基含有単量体としては、カルボン酸基を有する単量体が好ましく、中でもモノカルボン酸がより好ましく、(メタ)アクリル酸がさらに好ましい。
また、酸基含有単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0057】
シェル部の重合体中の酸基含有単量体単位の割合は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下である。酸基含有単量体単位の割合を前記範囲に収めることにより、機能層中での有機粒子の分散性を向上させることができる。
【0058】
また、シェル部の重合体は、架橋性単量体単位を含みうる。架橋性単量体としては、例えば、コア部の重合体に用いうる架橋性単量体として例示したものと同様の単量体が挙げられる。また、架橋性単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0059】
そして、シェル部の重合体における架橋性単量体単位の割合は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
【0060】
−シェル部の形態−
また、シェル部の形態は特に制限されないが、シェル部は、重合体の粒子によって構成されていることが好ましい。シェル部が重合体の粒子によって構成されている場合、有機粒子の径方向にシェル部を構成する粒子が複数重なり合っていてもよい。ただし、有機粒子の径方向では、シェル部を構成する粒子同士が重なり合わず、それらの重合体の粒子が単層でシェル部を構成していることが好ましい。
【0061】
[[有機粒子の調製方法]]
そして、上述したコアシェル構造を有する有機粒子は、例えば、コア部の重合体の単量体と、シェル部の重合体の単量体とを用い、経時的にそれらの単量体の比率を変えて段階的に重合することにより、調製することができる。具体的には、有機粒子は、先の段階の重合体を後の段階の重合体が順次に被覆するような連続した多段階乳化重合法および多段階懸濁重合法によって調製することができる。
【0062】
そこで、以下に、多段階乳化重合法により上記コアシェル構造を有する有機粒子を得る場合の一例を示す。
【0063】
重合に際しては、常法に従って、乳化剤として、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ソルビタンモノラウレート等のノニオン性界面活性剤、またはオクタデシルアミン酢酸塩等のカチオン性界面活性剤を用いることができる。また、重合開始剤として、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、過硫酸カリウム、キュメンパーオキサイド等の過酸化物、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩等のアゾ化合物を用いることができる。
【0064】
そして、重合手順としては、まず、コア部を形成する単量体および乳化剤を混合し、一括で乳化重合することによってコア部を構成する粒子状の重合体を得る。さらに、このコア部を構成する粒子状の重合体の存在下にシェル部を形成する単量体の重合を行うことによって、上述したコアシェル構造を有する有機粒子を得ることができる。
【0065】
この際、コア部の外表面をシェル部によって部分的に覆う観点から、シェル部の重合体を形成する単量体は、複数回に分割して、もしくは、連続して重合系に供給することが好ましい。シェル部の重合体を形成する単量体を重合系に分割して、もしくは、連続で供給することにより、シェル部を構成する重合体が粒子状に形成され、この粒子がコア部と結合することで、コア部を部分的に覆うシェル部を形成することができる。
【0066】
なお、シェル部の重合体を形成する単量体を複数回に分割して供給する場合には、単量体を分割する割合に応じてシェル部の平均厚みを制御することが可能である。また、シェル部の重合体を形成する単量体を連続で供給する場合には、単位時間あたりの単量体の供給量を調整することで、シェル部の平均厚みを制御することが可能である。
【0067】
また、シェル部を形成した後の有機粒子の体積平均粒子径D50は、例えば、乳化剤の量、単量体の量などを調整することで、所望の範囲にすることができる。さらに、コア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合(被覆率)は、例えば、乳化剤の量、および、シェル部の重合体を形成する単量体の量を調整することで、所望の範囲にすることができる。
【0068】
[機能層用結着材]
ここで、上述した通り、有機粒子は、電解液に膨潤しておらず、且つ、加熱されていない状態では、通常、大きな接着性を発現しない。そのため、機能層の形成直後(加熱前または電解液への浸漬前)に有機粒子が機能層から脱落するのを抑制する観点からは、機能層は、電解液に膨潤しておらず、且つ、加熱されていない状態においても接着性を発揮する機能層用結着材を含むことが好ましい。機能層用結着材を用いることにより、電解液に膨潤しておらず、且つ、加熱されていない状態においても、有機粒子等の成分が機能層から脱落するのを抑制することができる。
【0069】
そして、上記有機粒子と併用し得る機能層用結着材としては、既知の結着材、例えば、熱可塑性エラストマーが挙げられる。そして、熱可塑性エラストマーとしては、共役ジエン系重合体およびアクリル系重合体が好ましく、アクリル系重合体がより好ましい。
ここで、共役ジエン系重合体とは、共役ジエン単量体単位を含む重合体を指し、共役ジエン系重合体の具体例としては、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)などの、芳香族ビニル単量体単位および脂肪族共役ジエン単量体単位を含む重合体や、アクリルゴム(NBR)(アクリロニトリル単位およびブタジエン単位を含む重合体)などが挙げられる。また、アクリル系重合体とは、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む重合体を指す。ここで、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を形成し得る(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、有機粒子のコア部の重合体を調製するために用いる単量体と同様のものを用いることができる。
なお、これらの機能層用結着材は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。ただし、2種類以上の重合体を組み合わせた機能層用結着材を用いる場合、かかる機能層用結着材としての重合体は、上述した所定の重合体からなるコアシェル構造を有する有機粒子とは異なるものとする。
【0070】
さらに、機能層用結着材としてのアクリル系重合体は、(メタ)アクリロニトリル単量体単位を含むことがさらに好ましい。これにより、機能層の強度を高めることができる。
【0071】
ここで、機能層用結着材としてのアクリル系重合体において、(メタ)アクリロニトリル単量体単位および(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の合計量に対する(メタ)アクリロニトリル単量体単位の量の割合は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。前記割合を前記範囲の下限値以上にすることにより、機能層用結着材としてのアクリル系重合体の強度を高め、当該アクリル系重合体を用いた機能層の強度をより高くすることができる。また、前記割合を前記範囲の上限値以下にすることにより、機能層用結着材としてのアクリル系重合体が電解液に対して適度に膨潤するため、機能層のイオン伝導性の低下および二次電池の低温出力特性の低下を抑制することができる。
【0072】
また、機能層用結着材のガラス転移温度は、通常は有機粒子のコア部の重合体のガラス転移温度およびシェル部の重合体のガラス転移温度よりも低く、好ましくは−100℃以上であり、より好ましくは−90℃以上であり、さらに好ましくは−80℃以上であり、また、好ましくは0℃以下であり、より好ましくは−5℃以下であり、さらに好ましくは−10℃以下である。機能層用結着材のガラス転移温度を前記範囲の下限値以上にすることにより、機能層用結着材の接着性および強度を高めることができる。また、機能層用結着材のガラス転移温度を前記範囲の上限値以下にすることにより、機能層の柔軟性を高めることができる。
【0073】
なお、ガラス転移温度の低い機能層用結着材は、通常、機能層の形成時の加熱などによって流動化するため、例えばSEM等では形状を把握するのが困難になるほど機能層内に広く分散する。
【0074】
そして、機能層中の機能層用結着材の含有量は、前述した有機粒子100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることが更に好ましく、また、30質量部以下であることが好ましく、25質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることが更に好ましい。機能層用結着材の含有量を前記範囲の下限値以上にすることにより、機能層の結着性を向上させ、加熱前または電解液への浸漬前に有機粒子が機能層から脱落するのを十分に防止することができる。また、機能層用結着材の含有量を前記範囲の上限値以下にすることにより、機能層のイオン伝導性の低下および二次電池の低温出力特性の低下を抑制することができる。
【0075】
機能層用結着材の製造方法としては、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などが挙げられる。中でも、水中で重合をすることができ、粒子状の機能層用結着材を含む水分散液をそのまま機能層の形成に好適に使用できるので、乳化重合法および懸濁重合法が好ましい。また、機能層用結着材としての重合体を製造する際、その反応系は分散剤を含むことが好ましい。機能層用結着材は、通常、実質的にそれを構成する重合体により形成されるが、重合に際して用いた添加剤等の任意の成分を同伴していてもよい。
【0076】
[非導電性粒子]
さらに、機能層が多孔膜層としても機能する場合には、機能層は、非導電性粒子を含んでいてもよい。機能層に配合される非導電性粒子としては、特に限定されることなく、非水系二次電池に用いられる既知の非導電性粒子を挙げることができる。
具体的には、非導電性粒子としては、無機微粒子と、上述した有機粒子および機能層用結着材以外の有機微粒子との双方を用いることができるが、通常は無機微粒子が用いられる。なかでも、非導電性粒子の材料としては、非水系二次電池の使用環境下で安定に存在し、電気化学的に安定である材料が好ましい。このような観点から非導電性粒子の材料の好ましい例を挙げると、酸化アルミニウム(アルミナ)、水和アルミニウム酸化物(ベーマイト)、酸化ケイ素、酸化マグネシウム(マグネシア)、酸化カルシウム、酸化チタン(チタニア)、BaTiO3、ZrO、アルミナ−シリカ複合酸化物等の酸化物粒子;窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の窒化物粒子;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶粒子;硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム等の難溶性イオン結晶粒子;タルク、モンモリロナイト等の粘土微粒子;などが挙げられる。また、これらの粒子は必要に応じて元素置換、表面処理、固溶体化等が施されていてもよい。
なお、上述した非導電性粒子は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0077】
[その他の成分]
そして、機能層は、上述した成分以外にも、任意のその他の成分を含んでいてもよい。前記その他の成分は、電池反応に影響を及ぼさないものであれば特に限られず、公知のものを使用することができる。また、これらのその他の成分は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
前記その他の成分としては、例えば、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などの濡れ剤、粘度調整剤、電解液添加剤などの、機能層の形成時に使用される既知の添加剤が挙げられる。
【0078】
[機能層の構成]
そして、セパレータ基材の機能層形成面に形成された機能層には、例えば図1に機能層の一例の表面のSEM画像を示すように、単独の有機粒子または集合した複数の有機粒子よりなる有機粒子の相(即ち、有機粒子が存在する部分)と、有機粒子が存在しない部分(例えば、機能層用結着材などの有機粒子以外の成分のみが存在する部分など)とが混在している。なお、セパレータ基材の機能層形成面には、有機粒子や機能層用結着材などの機能層を構成する成分が存在しない部分が存在していてもよい。
【0079】
[[有機粒子の相]]
ここで、有機粒子の相は、機能層形成面の全体を覆うことなく、機能層形成面の面積に対して20%以上80%以下の割合で存在している必要がある。機能層形成面の面積に対する、当該機能層形成面上に存在する有機粒子の相の面積の割合(=(有機粒子の相が存在する部分の面積/機能層形成面の面積)×100%)が20%未満の場合には、電解液中において優れた接着力を発揮する有機粒子の量が少なくなり過ぎて電解液中での機能層の接着性が低下し、セパレータを用いた二次電池の高温サイクル特性が低下するからである。また、有機粒子はある程度高いイオン伝導性を発揮するものの、有機粒子が存在する部分は有機粒子が存在しない部分と比較すればイオン伝導性が低下する。そのため、機能層の電解液中でのイオン伝導性を向上させ、セパレータを用いた二次電池の低温出力特性を高める観点からは、機能層形成面の面積に対する、当該機能層形成面上に存在する有機粒子の相の面積の割合は、80%以下とする必要がある。
そして、電解液中での機能層の接着性を十分に確保して二次電池の高温サイクル特性を向上させる観点からは、機能層形成面の面積に対する有機粒子の相が存在する部分の面積の割合は、25%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、35%以上であることが更に好ましい。また、機能層の電解液中でのイオン伝導性を更に向上させ、セパレータを用いた二次電池の低温出力特性を更に高める観点からは、機能層形成面の面積に対する有機粒子の相が存在する部分の面積の割合は、70%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましく、45%以下であることが更に好ましい。
【0080】
また、有機粒子の相は、不規則な形状で存在している。具体的には、機能層には、単独の有機粒子または集合した有機粒子よりなる複数の相が、一定の繰り返しパターン形状(例えば、縞状、格子状など)ではなく、不規則な形状で存在している。そして、機能層では、有機粒子の相が不規則な形状で存在していることにより、電解液中での接着性を高めることができる。
ここで、有機粒子の相が不規則な形状で存在している構成としては、特に限定されることなく、例えば、単独の有機粒子または10個以下の有機粒子の集合体よりなる島状相と、11個以上の有機粒子の集合体よりなる大陸状相とが、有機粒子が存在しない部分を隔てて混在している構成などが挙げられる。
【0081】
なお、有機粒子の相が存在する部分の面積および有機粒子の相の形状は、例えば、セパレータ基材および機能層の形成に用いる材料(非水系二次電池機能層用組成物)の種類、並びに、機能層の形成方法を変更することにより調整することができる。
【0082】
(非水系二次電池用セパレータの製造方法)
そして、上述した構成の機能層を有する本発明の非水系二次電池用セパレータは、例えば本発明の非水系二次電池用セパレータの製造方法を用いて容易に作製することができる。
【0083】
ここで、本発明の非水系二次電池用セパレータの製造方法は、機能層形成面の水滴接触角が80°以上130°以下であるセパレータ基材を準備する工程(基材準備工程)と、機能層を構成する成分と水などの分散媒とを含有し、且つ、表面張力が33mN/m以上39mN/m以下である非水系二次電池機能層用組成物を準備する工程(組成物準備工程)と、非水系二次電池機能層用組成物をセパレータ基材の機能層形成面上に塗布し、塗布した非水系二次電池機能層用組成物を乾燥させてセパレータ基材上に機能層を形成する工程(機能層形成工程)とを含むことを特徴とする。そして、本発明の非水系二次電池用セパレータの製造方法では、非水系二次電池機能層用組成物をセパレータ基材の機能層形成面上に塗布し、塗布した非水系二次電池機能層用組成物を乾燥させてセパレータ基材上に機能層を形成する際に、機能層形成面の水滴接触角が80°以上130°以下であるセパレータ基材を使用すると共に、表面張力が33mN/m以上39mN/m以下である非水系二次電池機能層用組成物を使用することにより、上述した構成の機能層を容易に形成することができる。
【0084】
<基材準備工程>
基材準備工程では、少なくとも一方の表面(機能層形成面)の水滴接触角が80°以上130°以下のセパレータ基材を準備する。
ここで、機能層形成面の水滴接触角が80°未満の場合には、形成された機能層において有機粒子の相が存在する部分の面積の割合が大きくなり過ぎてしまう。また、機能層形成面の水滴接触角が130°超の場合には、形成された機能層において有機粒子の相が存在する部分の面積の割合が小さくなり過ぎてしまう。そして、有機粒子の相が存在する部分の面積の割合を適度な大きさとする観点からは、機能層形成面の水滴接触角は、85°以上であることが好ましく、90°以上であることがより好ましく、また、120°以下であることが好ましく、110°以下であることがより好ましい。
【0085】
なお、水滴接触角が80°以上130°以下のセパレータ基材は、特に限定されることなく、水滴接触角が上記範囲内の表面を有する市販のセパレータ基材を購入することにより準備してもよいし、前記<セパレータ基材>の項に記載したようなコロナ放電処理等の表面処理を使用し、セパレータ基材として使用し得る微多孔膜の表面の水滴接触角の大きさを調整することにより準備してもよい。
【0086】
<組成物準備工程>
組成物準備工程では、上述した有機粒子を少なくとも含有し、任意に、機能層用結着材、非導電性粒子、その他の成分を含有する、水などを分散媒としたスラリー組成物であり、且つ、表面張力が33mN/m以上39mN/m以下である非水系二次電池機能層用組成物を準備する。
ここで、機能層用組成物の表面張力が33mN/m未満の場合には、形成された機能層において有機粒子の相が存在する部分の面積の割合が大きくなり過ぎてしまう。また、機能層用組成物の表面張力が39mN/m超の場合には、形成された機能層において有機粒子の相が存在する部分の面積の割合が小さくなり過ぎてしまう。そして、有機粒子の相が存在する部分の面積の割合を適度な大きさとする観点からは、機能層用組成物の表面張力は、34mN/m以上であることが好ましく、35mN/m以上であることがより好ましく、また、38mN/m以下であることが好ましく、37mN/m以下であることがより好ましい。
【0087】
なお、機能層用組成物の調製方法は、特に限定はされないが、通常は、有機粒子と、分散媒としての水と、必要に応じて用いられる機能層用結着材、非導電性粒子およびその他の成分とを混合して機能層用組成物を調製する。混合方法は特に制限されないが、各成分を効率よく分散させるため、通常は混合装置として分散機を用いて混合を行う。
分散機としては、上記成分を均一に分散および混合できる装置を用いることが好ましい。分散機の例としては、ボールミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサーなどが挙げられる。また、高い分散シェアを加えることができるという観点から、ビーズミル、ロールミル、フィルミックス等の高分散装置を用いることも好ましい。
【0088】
また、機能層用組成物の表面張力の大きさは、特に限定されることなく、機能層用組成物に濡れ剤を添加して調整することができ、例えば濡れ剤の添加量を増加することにより、機能層用組成物の表面張力を小さくすることができる。
ここで、濡れ剤としては、特に限定されることなく、ノニオン性界面活性剤やイオン性界面活性剤などの既知の界面活性剤を用いことができる。中でも、濡れ剤としては、ノニオン性界面活性剤を用いることが好ましく、ポリエーテル系共重合体を用いることがより好ましく、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体を用いることが更に好ましい。そして、濡れ剤の配合量は、機能層用組成物の表面張力を前述した範囲にすることができれば特に限定されることなく、例えば、有機粒子100質量部当たり、0.1質量部以上とすることが好ましく、0.5質量部以上とすることがより好ましく、1.0質量部以上とすることが更に好ましく、1.5質量部以上とすることが特に好ましく、5.0質量部以下とすることが好ましく、3.0質量部以下とすることがより好ましく、2.5質量部以下とすることが更に好ましく、2.2質量部以下とすることが特に好ましい。濡れ剤の配合量が少な過ぎる場合、機能層用組成物の表面張力を十分に小さくすることができない虞がある。一方、濡れ剤の配合量が多過ぎる場合、機能層用組成物の表面張力が小さくなり過ぎる虞がある。また、濡れ剤の配合量が多過ぎる場合、機能層の接着性が低下したり、二次電池の高温サイクル特性が低下したりする虞がある。
【0089】
<機能層形成工程>
機能層形成工程は、機能層用組成物をセパレータ基材の機能層形成面に塗布する工程(塗布工程)と、セパレータ基材上に塗布された機能層用組成物を乾燥させて機能層を形成する工程(乾燥工程)を含んでいる。そして、機能層形成工程では、上述した水滴接触角を有する機能層形成面上に上述した表面張力を有する機能層用組成物を塗布した際に、機能層用組成物が適度にはじかれ、機能層形成面の全面を覆うことなく不均一に分散する。その結果、機能層用組成物を乾燥して形成した機能層は、前述した特定の形状および特定の面積割合の有機粒子の相を備えることとなる。
【0090】
ここで、塗布工程において、機能層用組成物をセパレータ基材上に塗布する方法は、特に制限は無く、例えば、スプレーコート法、ドクターブレード法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗り法などの方法が挙げられる。なかでも、より薄い機能層を形成する点から、グラビア法やスプレーコート法が好ましい。
また乾燥工程において、セパレータ基材上の機能層用組成物を乾燥する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができ、例えば温風、熱風、低湿風による乾燥法、真空乾燥法、赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。乾燥条件は特に限定されないが、乾燥温度は好ましくは30〜80℃で、乾燥時間は好ましくは30秒〜10分である。
なお、機能層用組成物の乾燥後、金型プレスまたはロールプレスなどを用い、機能層に加圧処理を施してもよい。加圧処理により、機能層と基材との密着性を向上させることができる。
【0091】
そして、セパレータ基材上に形成する機能層の厚みは、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上であり、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。機能層の厚みが、前記範囲の下限値以上であることで、機能層の強度を十分に確保することができる。また、機能層の厚みが、前記範囲の上限値以下であることで、機能層のイオン拡散性を確保し二次電池の低温出力特性をさらに向上させることができる。
【0092】
(非水系二次電池)
本発明の非水系二次電池は、正極と、負極と、セパレータと、電解液とを備え、セパレータとして上述した機能層を備える非水系二次電池用セパレータを用いることを特徴とする。そして、本発明の非水系二次電池では、上記機能層が接着層として機能する場合には、正極とセパレータ、および/または、負極とセパレータが機能層を介して良好に接着される。なお、本発明の非水系二次電池は、電解液中での接着性とイオン伝導性との双方に優れる機能層を有する本発明のセパレータを備えているので、高温サイクル特性および低温出力特性などの電池特性に優れている。
【0093】
なお、非水系二次電池において、正極および負極としては、非水系二次電池において用いられている既知の正極および負極を使用することができる。また、電解液としては、非水系二次電池において用いられている既知の電解液を使用することができる。
【0094】
具体的には、電極(正極および負極)としては、特に限定されることなく、集電体上に電極合材層が形成された電極を用いることができる。ここで、集電体、電極合材層中の成分(例えば、電極活物質(正極活物質、負極活物質)および電極合材層用結着材(正極合材層用結着材、負極合材層用結着材)など)、並びに、集電体上への電極合材層の形成方法は、既知のものを用いることができる。具体的には、例えば特開2013−145763号公報に記載のものを用いることができる。
【0095】
また、電解液としては、通常、有機溶媒に支持電解質を溶解した有機電解液が用いられる。例えば、非水系二次電池がリチウムイオン二次電池である場合には、支持電解質としては、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAlCl4、LiClO4、CF3SO3Li、C49SO3Li、CF3COOLi、(CF3CO)2NLi、(CF3SO22NLi、(C25SO2)NLiなどが挙げられる。なかでも、溶媒に溶けやすく高い解離度を示すので、LiPF6、LiClO4、CF3SO3Liが好ましく、LiPF6が特に好ましい。なお、電解質は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。通常は、解離度の高い支持電解質を用いるほどリチウムイオン伝導度が高くなる傾向があるので、支持電解質の種類によりリチウムイオン伝導度を調節することができる。
【0096】
さらに、電解液に使用する有機溶媒としては、支持電解質を溶解できるものであれば特に限定されないが、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン、ギ酸メチル等のエステル類;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;スルホラン、ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物類;などが好適に用いられる。またこれらの溶媒の混合液を用いてもよい。中でも、誘電率が高く、安定な電位領域が広いのでカーボネート類を用いることが好ましく、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物を用いることがさらに好ましい。
なお、電解液中の電解質の濃度は適宜調整することができ、例えば0.5〜15質量%とすることが好ましく、2〜13質量%とすることがより好ましく、5〜10質量%とすることがさらに好ましい。また、電解液には、既知の添加剤、例えばフルオロエチレンカーボネートやエチルメチルスルホンなどを添加してもよい。
【0097】
<非水系二次電池の製造方法>
非水系二次電池は、例えば、正極と負極とをセパレータを介して重ね合わせたものを、必要に応じて電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口することにより製造することができる。非水系二次電池の内部の圧力上昇、過充放電等の発生を防止するために、必要に応じて、ヒューズ、PTC素子等の過電流防止素子、エキスパンドメタル、リード板などを設けてもよい。非水系二次電池の形状は、例えば、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型など、いずれであってもよい。
【実施例】
【0098】
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
また、複数種類の単量体を共重合して製造される重合体において、ある単量体を重合して形成される構造単位の前記重合体における割合は、別に断らない限り、通常は、その重合体の重合に用いる全単量体に占める当該ある単量体の比率(仕込み比)と一致する。
実施例および比較例において、コア部の重合体およびシェル部の重合体の電解液膨潤度およびガラス転移温度、機能層用結着材のガラス転移温度、有機粒子の体積平均粒子径D50、有機粒子のコアシェル比率および被覆率、非水系二次電池機能層用組成物の表面張力、セパレータ基材の水滴接触角、有機粒子の相が存在する部分の面積の割合、電解液浸漬後の電極とセパレータとの接着性、並びに、二次電池の高温サイクル特性および低温出力特性は、下記の方法で測定および評価した。
【0099】
<コア部の重合体およびシェル部の重合体の電解液膨潤度>
有機粒子のコア部およびシェル部の形成に用いた単量体および各種添加剤等を使用し、当該コア部およびシェル部の重合条件と同様の重合条件で、コア部の重合体およびシェル部の重合体を含む水分散液をそれぞれ調製した。この水分散液を、ポリテトラフルオロエチレン製のシャーレに入れ、110℃、10時間の条件で乾燥して、厚み0.5mmのフィルムを得た。そして、得られたフィルムを1cm角に裁断し、試験片を得た。この試験片の質量W0を測定した。また、前記試験片を、電解液に60℃で72時間浸漬した。その後、試験片を電解液から取り出し、試験片の表面の電解液を拭き取り、浸漬試験後の試験片の質量W1を測定した。そして、これらの質量W0およびW1を用いて、電解液膨潤度S(倍)を、S=W1/W0にて求めた。
なお、電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とビニレンカーボネート(VC)との混合溶媒(体積混合比:EC/DEC/VC=68.5/30/1.5、SP値:12.7(cal/cm1/2)に、支持電解質としてLiPF6を溶媒に対して1mol/Lの濃度で溶かしたものを用いた。
<コア部の重合体、シェル部の重合体および機能層用結着材のガラス転移温度>
有機粒子のコア部およびシェル部の形成に用いた単量体および各種添加剤等を使用し、当該コア部およびシェル部の重合条件と同様の重合条件で、測定試料となる重合体(コア部の重合体およびシェル部の重合体)を含む水分散液をそれぞれ調製した。そして、調製した水分散液を測定試料とした。また、機能層用結着材を含む水分散液を準備し、測定試料とした。
次に、示差熱分析測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「EXSTAR DSC6220」)を用い、乾燥させた測定試料10mgをアルミパンに計量し、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲−100℃〜500℃の間で、昇温速度10℃/分、常温常湿下で、DSC曲線を測定した。この昇温過程で、微分信号(DDSC)が0.05mW/分/mg以上となるDSC曲線の吸熱ピークが出る直前のベースラインと、吸熱ピーク後に最初に現れる変曲点でのDSC曲線の接線との交点から、ガラス転移温度を求めた。
<有機粒子の体積平均粒子径D50>
有機粒子の体積平均粒子径D50は、レーザー回折式粒子径分布測定装置(島津製作所社製「SALD−3100」)により測定された粒子径分布において、小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径とした。
<有機粒子のコアシェル比率>
有機粒子のコアシェル比率を、以下の手順で測定した。
調製した有機粒子を、可視光硬化性樹脂(日本電子株式会社製「D−800」)に十分分散させた後、包埋し、有機粒子を含有するブロック片を得た。次に、得られたブロック片を、ダイヤモンド刃を備えたミクロトームで厚さ100nmの薄片状に切り出して、測定用試料を作製した。その後、四酸化ルテニウムを用いて測定用試料に染色処理を施した。
次に、染色処理を施した測定用試料を、透過型電子顕微鏡(日本電子社製「JEM−3100F」)にセットして、加速電圧80kVにて、有機粒子の断面構造を写真撮影した。電子顕微鏡の倍率は、視野に有機粒子1個の断面が入るように倍率を設定した。その後、撮影された有機粒子の断面構造を観察し、観察されたシェル部の構成に応じて、以下の手順で有機粒子のシェル部の平均厚みを測定した。そして、測定されたシェル部の平均厚みを有機粒子の体積平均粒子径D50で割ることにより、コアシェル比率を求めた。
<<シェル部が重合体の粒子により構成されている場合>>
有機粒子の断面構造から、シェル部を構成する重合体の粒子の最長径を測定した。シェル部を構成する重合体の粒子の最長径を、任意に選択した20個の有機粒子について測定し、その最長径の平均値をシェル部の平均厚みとした。
<<シェル部が粒子以外の形状を有している場合>>
有機粒子の断面構造から、シェル部の最大厚みを測定した。シェル部の最大厚みを、任意に選択した20個の有機粒子について測定し、その最大厚みの平均値をシェル部の平均厚みとした。
<有機粒子の被覆率>
有機粒子の被覆率を、以下の手順で測定した。
上記有機粒子のコアシェル比率の測定方法と同様にして、有機粒子の断面構造を写真撮影し、撮影された有機粒子の断面構造において、コア部の周の長さD1、および、コア部の外表面とシェル部とが当接する部分の長さD2を計測し、その有機粒子のコア部の外表面がシェル部によって覆われる割合(被覆割合)Rc(%)=(D2/D1)×100を算出した。被覆割合Rcの算出には、画像解析ソフトである「AnalySIS Pro」(オリンパス株式会社製)を使用した。
前記の被覆割合Rcを、任意に選択した20個の有機粒子について測定し、その平均値を、有機粒子のコア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合(被覆率)とした。
<非水系二次電池機能層用組成物の表面張力>
調製した非水系二次電池機能層用組成物をガラスシャーレ上に注いだ。そして、白金プレートを用い、プレート法により表面張力を測定した。測定は、協和界面科学製の全自動表面張力計「CBVP−Z」を使用して2回行い、測定値から表面張力の平均値を求めて、当該平均値を非水系二次電池機能層用組成物の表面張力とした。
<セパレータ基材の水滴接触角>
セパレータ基材を平板上に固定した。そして、1μLのイオン交換水(表面張力72mN/m)をセパレータ基材上に滴下し、着滴から60秒後の接触角を測定した。なお、測定は、協和界面科学製の接触角計「DM−901」を使用して2回行い、測定値から水滴接触角の平均値を求めて、当該平均値をセパレータ基材の水滴接触角とした。
<有機粒子の相が存在する部分の面積の割合>
セパレータの機能層の表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)「日立S−4700」を用いて倍率5000倍で観察し、SEM画像を10枚取得した。得られた画像について、画像解析ソフト(オリンパス社製「analysis PRO」)を使用して以下の計算式により有機粒子の相が存在している部分の面積の割合を算出した。そして、算出値の平均値を、機能層形成面の面積に対する有機粒子の相が存在する部分の面積の割合とした。但し、比較例5のセパレータの機能層については、機能層の幅と、機能層の形成間隔とから機能層形成面の面積に対する有機粒子の相が存在する部分の面積の割合を算出した。
有機粒子の相が存在している部分の面積の割合(%)=(有機粒子の相が存在する部分の面積/視野面積)×100
<電解液浸漬後のセパレータと電極との接着性>
調製した正極およびセパレータを備える積層体、並びに、負極およびセパレータを備える積層体を、それぞれ10mm幅に切り出して試験片を得た。この試験片を電解液中に温度60℃で3日間浸漬した。ここで、電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とビニレンカーボネート(VC)との混合溶媒(体積混合比:EC/DEC/VC=68.5/30/1.5、SP値:12.7(cal/cm1/2)に、支持電解質としてLiPF6を溶媒に対して1mol/Lの濃度で溶かしたものを用いた。
その後、試験片を取り出し、表面に付着した電解液を拭き取った。その後、この試験片を、電極(正極または負極)の集電体側の面を下にして、電極の表面にセロハンテープを貼り付けた。この際、セロハンテープとしてはJIS Z1522に規定されるものを用いた。また、セロハンテープは水平な試験台に固定しておいた。そして、セパレータ基材の一端を鉛直上方に引張り速度50mm/分で引っ張って剥がしたときの応力を測定した。この測定を、正極およびセパレータを備える積層体、並びに、負極およびセパレータを備える積層体でそれぞれ3回、合計6回行い、応力の平均値をピール強度として求めて、電解液浸漬後の電極とセパレータとの接着性を下記の基準で評価した。ピール強度が大きいほど、接着性が高いことを示す。
A:ピール強度が6.0N/m以上
B:ピール強度が4.0N/m以上6.0N/m未満
C:ピール強度が1.0N/m以上4.0N/m未満
D:ピール強度が1.0N/m未満
<高温サイクル特性>
製造した放電容量800mAhの捲回型セルのリチウムイオン二次電池を、25℃の環境下で24時間静置した。その後、25℃の環境下で、0.1Cで4.35Vまで充電し0.1Cで2.75Vまで放電する充放電の操作を行い、初期容量C0を測定した。その後、さらに、60℃の環境下で、前記と同様の条件で充放電を繰り返し、1000サイクル後の容量C1を測定した。そして、サイクル前後での容量維持率ΔC(%)=(C1/C0)×100を算出し、高温サイクル特性を下記の基準で評価した。この容量維持率ΔCの値が大きいほど、高温サイクル特性に優れ、電池が長寿命であることを示す。
A:容量維持率ΔCが88%以上
B:容量維持率ΔCが84%以上88%未満
C:容量維持率ΔCが80%以上84%未満
D:容量維持率ΔCが80%未満
<低温出力特性>
製造した放電容量800mAhの捲回型セルのリチウムイオン二次電池を、25℃の環境下で24時間静置した。その後、25℃の環境下で、0.1Cの充電レートで5時間の充電の操作を行い、その時の電圧V0を測定した。その後、−10℃環境下で、1Cの放電レートにて放電の操作を行い、放電開始15秒後の電圧V1を測定した。そして、電圧変化ΔV=V0−V1を算出し、低温出力特性を下記の基準で評価した。この電圧変化ΔVの値が小さいほど、低温出力特性に優れることを示す。
A:電圧変化ΔVが300mV未満
B:電圧変化ΔVが300mV以上350mV未満
C:電圧変化ΔVが350mV以上
【0100】
(実施例1)
<コアシェル構造を有する有機粒子の調製>
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、コア部形成用として、(メタ)アクリル酸エステル単量体としてのメタクリル酸メチル75部、酸基含有単量体としてのメタクリル酸4部、架橋性単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート1部;乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部;イオン交換水150部、並びに、重合開始剤としての過硫酸カリウム0.5部を入れ、十分に攪拌した。その後、60℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になるまで重合を継続させて、コア部を構成する粒子状の重合体を含む水分散液を得た。
この水分散液に、シェル部形成用として、芳香族ビニル単量体としてのスチレン19部および酸基含有単量体としてのメタクリル酸1部の混合物を連続添加し、70℃に加温して重合を継続した。重合転化率が96%になった時点で、冷却して反応を停止して、コア部の外表面が部分的にシェル部で覆われたコアシェル構造を有する有機粒子を含む水分散液を調製した。
なお、得られた有機粒子の体積平均粒子径D50は、0.45μmであった。
そして、得られた有機粒子のコアシェル比率および被覆率を評価した。結果を表1に示す。
<機能層用結着材の調製>
撹拌機を備えた反応器に、イオン交換水70部、乳化剤としてのラウリル硫酸ナトリウム(花王ケミカル社製、製品名「エマール2F」)0.15部、および過流酸アンモニウム0.5部を、それぞれ供給し、気相部を窒素ガスで置換し、60℃に昇温した。
一方、別の容器で、イオン交換水50部、分散剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、および、(メタ)アクリル酸エステル単量体としてのアクリル酸ブチル94部、アクリロニトリル2部、メタクリル酸2部、N−メチロールアクリルアミド1部、アクリルアミド1部を混合して単量体混合物を得た。この単量体混合物を4時間かけて前記反応器に連続的に添加して重合を行った。添加中は、60℃で反応を行った。添加終了後、さらに70℃で3時間撹拌して反応を終了し、粒子状の機能層用結着材(アクリル重合体)を含む水分散液を調製した。
なお、得られた機能層用結着材のガラス転移温度は−40℃であった。
<非水系二次電池機能層用組成物の調製>
前記のコアシェル構造を有する有機粒子を含む水分散液を固形分相当で100部に対し、前記の機能層用結着材を含む水分散液を固形分相当で15部、濡れ剤としてのエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体(固形分濃度70質量%、重合比:5/5(質量比))を固形分相当で1.9部混合し、さらにイオン交換水を固形分濃度が15質量%になるように混合し、スラリー状の非水系二次電池機能層用組成物を調製した(組成物準備工程)。そして、得られた非水系二次電池機能層用組成物の表面張力を測定した。結果を表1に示す。
<セパレータ基材の準備>
ポリエチレン製の微多孔膜(厚み16μm、ガーレー値210s/100cc)を用意した。用意した微多孔膜を、春日電機製の「エアプラズマAPW−602f」を使用して50W・min/mの処理強度でコロナ放電処理し、セパレータ基材とした(基材準備工程)。そして、セパレータ基材の水滴接触角を測定した。結果を表1に示す。
<セパレータの調製>
セパレータ基材の両面に、スラリー状の非水系二次電池機能層用組成物をグラビアコート法(線数300)により塗布し、50℃で1分間乾燥させた(機能層形成工程)。これにより、1層当たりの厚みが0.8μmの機能層をセパレータ基材上に形成して、セパレータ基材の両面に機能層を形成してなるセパレータを得た。このセパレータは、機能層、セパレータ基材および機能層を、この順に備えている。そして、セパレータの機能層をSEMで観察し、有機粒子の相が存在する部分の面積の割合を求めた。得られたSEM画像を図1に示し、結果を表1に示す。なお、機能層には、有機粒子の相が不規則な形状で存在していた。また、粒子としては有機粒子のみが観察され、機能層用結着材はSEMでは粒子として観察されなかった。
<負極用の粒子状バインダーの製造>
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、1,3−ブタジエン33.5部、イタコン酸3.5部、スチレン62部、2−ヒドロキシエチルアクリレート1部、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部、イオン交換水150部および重合開始剤としての過硫酸カリウム0.5部を入れ、十分に攪拌した後、50℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になった時点で冷却し反応を停止して、粒子状バインダー(SBR)を含む混合物を得た。上記粒子状バインダーを含む混合物に、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pH8に調整した。その後、加熱減圧蒸留によって前記の混合物から未反応単量体の除去を行い、30℃以下まで冷却して、所望の粒子状バインダー(負極合材層用結着材)を含む水分散液を得た。
<負極用スラリー組成物の製造>
負極活物質として人造黒鉛(体積平均粒子径:15.6μm)100部、および、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(日本製紙社製「MAC350HC」)の2%水溶液を固形分相当で1部混合し、さらにイオン交換水を加えて固形分濃度を68%に調製し、25℃で60分間混合した。こうして得られた混合液に、イオン交換水を加えて固形分濃度を62%に調製した後、さらに25℃で15分間混合した。この混合液に、上記の粒子状バインダーを含む水分散液を固形分相当で1.5部入れ、さらにイオン交換水を加えて最終固形分濃度が52%となるように調整し、さらに10分間混合した。これを減圧下で脱泡処理して、流動性の良い負極用スラリー組成物を得た。
<負極の製造>
前記負極用スラリー組成物を、コンマコーターで、集電体である厚さ20μmの銅箔上に、乾燥後の膜厚が150μm程度になるように塗布し、乾燥させた。この乾燥は、銅箔を0.5m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより行った。その後、120℃にて2分間加熱処理して、プレス前の負極原反を得た。このプレス前の負極原反をロールプレスで圧延して、負極合材層の厚みが80μmのプレス後の負極を得た。
<正極用スラリー組成物の製造>
正極活物質として体積平均粒子径12μmのLiCoO2を100部、導電材としてアセチレンブラック(電気化学工業社製、製品名「HS−100」)を2部、および、正極用バインダー(正極合材層用結着材)としてポリフッ化ビニリデン(クレハ社製、製品名「#7208」)を固形分相当で2部混合し、これにN−メチルピロリドンを加えて全固形分濃度を70%にした。これらをプラネタリーミキサーにより混合し、正極用スラリー組成物を得た。
<正極の製造>
前記正極用スラリー組成物を、コンマコーターで、集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔上に、乾燥後の膜厚が150μm程度になるように塗布し、乾燥させた。この乾燥は、アルミニウム箔を0.5m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより行った。その後、120℃にて2分間加熱処理して、プレス前の正極原反を得た。このプレス前の正極原反をロールプレスで圧延して、正極を得た。
<負極または正極とセパレータとの積層体の製造>
プレス後の正極を直径13mmの円形に切り抜いて、円形の正極を得た。また、プレス後の負極を直径14mmの円形に切り抜いて、円形の負極を得た。さらに、上記セパレータを直径18mmの円形に切り抜いて、円形のセパレータを得た。
そして、円形のセパレータの片面に、負極または正極のみを、電極合材層側の面でセパレータに接触する向きにして沿わせた。その後、温度80℃、圧力0.5MPaで10秒間、加熱プレス処理を施し、正極または負極をセパレータに圧着して、正極およびセパレータを備える積層体、並びに、負極およびセパレータを備える積層体を得た。そして、作製した積層体を用いて電解液浸漬後のセパレータと電極との接着性を評価した。結果を表1に示す。
<リチウムイオン二次電池の製造>
プレス後の正極を49cm×5cmに切り出した。切り出された正極の正極合材層上に、55cm×5.5cmに切り出したセパレータを配置した。さらに、プレス後の負極を50cm×5.2cmに切り出し、この切り出された負極を前記セパレータの正極とは反対側に、負極合材層側の表面がセパレータに向かい合うよう配置した。更に、負極上に、55cm×5.5cmに切り出したセパレータを配置した。これを捲回機によって捲回し、捲回体を得た。この捲回体を60℃、0.5MPaでプレスし、扁平体とした。この扁平体を、電池の外装としてのアルミニウム包材外装で包み、電解液(溶媒:エチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)/ビニレンカーボネート(VC)=68.5/30/1.5(体積比)、電解質:濃度1MのLiPF6)を空気が残らないように注入した。さらに、アルミニウム包材外装の開口を密封するために、150℃のヒートシールをしてアルミニウム包材外装を閉口した。これにより、800mAhの捲回型リチウムイオン二次電池を製造した。
そして、得られたリチウムイオン二次電池について、高温サイクル特性および低温出力特性を評価した。結果を表1に示す。
【0101】
(実施例2〜4)
有機粒子の調製時に、コア部の製造に用いるメタクリル酸メチル、メタクリル酸およびエチレングリコールジメタクリレートの量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、有機粒子、機能層用結着材、非水系二次電池機能層用組成物、セパレータ基材、セパレータ、負極、正極、積層体およびリチウムイオン二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
なお、SEMでの観察の結果、機能層には、有機粒子の相が不規則な形状で存在していた。また、粒子としては有機粒子のみが観察され、機能層用結着材はSEMでは粒子として観察されなかった。
【0102】
(実施例5)
有機粒子の調製時に、コア部の製造に用いる単量体組成物について、メタクリル酸メチルの量を43部に、メタクリル酸の量を1部にそれぞれ変更し、さらに(メタ)アクリル酸エステル単量体としてのアクリル酸ブチル35部を加えた以外は実施例1と同様にして、有機粒子、機能層用結着材、非水系二次電池機能層用組成物、セパレータ基材、セパレータ、負極、正極、積層体およびリチウムイオン二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
なお、SEMでの観察の結果、機能層には、有機粒子の相が不規則な形状で存在していた。また、粒子としては有機粒子のみが観察され、機能層用結着材はSEMでは粒子として観察されなかった。
【0103】
(実施例6)
有機粒子の調製時に、シェル部の製造に用いる単量体組成物について、スチレンの量を18部に変更し、新たに(メタ)アクリロニトリル単量体としてのアクリロニトリル1.7部と架橋性単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート0.3部とを追加し、メタクリル酸を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、有機粒子、機能層用結着材、非水系二次電池機能層用組成物、セパレータ基材、セパレータ、負極、正極、積層体およびリチウムイオン二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
なお、SEMでの観察の結果、機能層には、有機粒子の相が不規則な形状で存在していた。また、粒子としては有機粒子のみが観察され、機能層用結着材はSEMでは粒子として観察されなかった。
【0104】
(実施例7)
有機粒子の調製時に、シェル部の製造に用いる単量体組成物について、スチレンの量を15部に変更し、新たに(メタ)アクリロニトリル単量体としてのアクリロニトリル4.5部と架橋性単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート0.5部とを追加し、メタクリル酸を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、有機粒子、機能層用結着材、非水系二次電池機能層用組成物、セパレータ基材、セパレータ、負極、正極、積層体およびリチウムイオン二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
なお、SEMでの観察の結果、機能層には、有機粒子の相が不規則な形状で存在していた。また、粒子としては有機粒子のみが観察され、機能層用結着材はSEMでは粒子として観察されなかった。
【0105】
(実施例8〜9)
非水系二次電池機能層用組成物の調製時に、濡れ剤としてのエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体の配合量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、有機粒子、機能層用結着材、非水系二次電池機能層用組成物、セパレータ基材、セパレータ、負極、正極、積層体およびリチウムイオン二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
なお、SEMでの観察の結果、機能層には、有機粒子の相が不規則な形状で存在していた。また、粒子としては有機粒子のみが観察され、機能層用結着材はSEMでは粒子として観察されなかった。
【0106】
(実施例10〜11)
セパレータ基材を準備する際に、ポリエチレン製の微多孔膜に対するコロナ放電処理の処理強度を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、有機粒子、機能層用結着材、非水系二次電池機能層用組成物、セパレータ基材、セパレータ、負極、正極、積層体およびリチウムイオン二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
なお、SEMでの観察の結果、機能層には、有機粒子の相が不規則な形状で存在していた。また、粒子としては有機粒子のみが観察され、機能層用結着材はSEMでは粒子として観察されなかった。
【0107】
(比較例1)
非水系二次電池機能層用組成物の調製時に、濡れ剤としてのエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体を配合しなかった以外は実施例1と同様にして、有機粒子、機能層用結着材、非水系二次電池機能層用組成物、セパレータ基材、セパレータ、負極、正極、積層体およびリチウムイオン二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
なお、SEMでの観察の結果、機能層には、有機粒子の相が不規則な形状で存在していた。また、粒子としては有機粒子のみが観察され、機能層用結着材はSEMでは粒子として観察されなかった。
【0108】
(比較例2)
非水系二次電池機能層用組成物の調製時に、濡れ剤としてのエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体の配合量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、有機粒子、機能層用結着材、非水系二次電池機能層用組成物、セパレータ基材、セパレータ、負極、正極、積層体およびリチウムイオン二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
なお、SEMでの観察の結果、セパレータ基材上には有機粒子が略全面に亘って均一に存在していた。また、粒子としては有機粒子のみが観察され、機能層用結着材はSEMでは粒子として観察されなかった。
【0109】
(比較例3)
有機粒子の調製時に、コア部の製造に用いる単量体組成物について、メタクリル酸メチルの量を99部に、メタクリル酸の量を1部にそれぞれ変更し、エチレングリコールジメタクリレートを添加せず、かつ、シェル部を形成しなかった以外は実施例1と同様にして、コアシェル構造を有しない有機粒子、機能層用結着材、非水系二次電池機能層用組成物、セパレータ基材、セパレータ、負極、正極、積層体およびリチウムイオン二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
なお、SEMでの観察の結果、機能層には、コアシェル構造を有さない有機粒子の相が不規則な形状で存在していた。また、粒子としてはコアシェル構造を有さない有機粒子のみが観察され、機能層用結着材はSEMでは粒子として観察されなかった。
【0110】
(比較例4)
有機粒子の調製時に、シェル部の製造に用いる単量体組成物について、スチレンの量を1部に変更し、メタクリル酸を添加せず、新たに(メタ)アクリル酸エステル単量体としてのメタクリル酸メチル19部を追加した以外は実施例1と同様にして有機粒子、機能層用結着材、非水系二次電池機能層用組成物、セパレータ基材、セパレータ、負極、正極、積層体およびリチウムイオン二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
なお、SEMでの観察の結果、機能層には、有機粒子の相が不規則な形状で存在していた。また、粒子としては有機粒子のみが観察され、機能層用結着材はSEMでは粒子として観察されなかった。
【0111】
(比較例5)
非水系二次電池機能層用組成物の調製時に、濡れ剤としてのエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体の配合量を表1に示すように変更し、更に、セパレータの調製時に、グラビアコート法に替えてワイヤーバーコート法を用いて非水系二次電池機能層用組成物をセパレータ基材にパターン塗工した以外は実施例1と同様にして、有機粒子、機能層用結着材、非水系二次電池機能層用組成物、セパレータ基材、セパレータ、負極、正極、積層体およびリチウムイオン二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
なお、SEMでの観察の結果、セパレータ基材上には幅100μmの機能層が150μm間隔で規則的に形成されており、機能層中には有機粒子が均一に存在していた。また、粒子としては有機粒子のみが観察され、機能層用結着材はSEMでは粒子として観察されなかった。
【0112】
なお、以下に示す表1中、
「MMA」は、メタクリル酸メチルを示し、
「BA」は、アクリル酸ブチルを示し、
「MAA]は、メタクリル酸を示し、
「EDMA」は、エチレングリコールジメタクリレートを示し、
「ST」は、スチレンを示し、
「AN」は、アクリロニトリルを示し、
「NMA」は、N−メチロールアクリルアミドを示し、
「AAm」は、アクリルアミドを示す。
【0113】
【表1】
【0114】
表1より、所定のコアシェル構造および性状を有する有機粒子の相が不規則な形状で存在し、且つ、有機粒子の相が存在する部分の面積の割合が20%以上80%以下である機能層を有するセパレータを用いた実施例1〜11では、電解液浸漬後のセパレータと電極との接着性に優れ、さらに高温サイクル特性および低温出力特性などの電池特性が良好な二次電池を得ることができることが分かる。
また、表1より、有機粒子の相が存在する部分の面積の割合が20%未満であるセパレータを用いた比較例1では、電解液浸漬後のセパレータと電極との接着性および高温サイクル特性が低下してしまうことが分かる。
更に、表1より、有機粒子の相が存在する部分の面積の割合が80%超であるセパレータを用いた比較例2では、低温出力特性が低下してしまうことが分かる。また、表1より、濡れ剤の使用量が多い比較例2では、電解液浸漬後のセパレータと電極との接着性および高温サイクル特性が低下してしまうことも分かる。
また、表1より、所定のコアシェル構造および性状を有する有機粒子を含有しないセパレータを用いた比較例3および4では、電解液浸漬後のセパレータと電極との接着性および高温サイクル特性が低下してしまうことが分かる。
更に、表1より、有機粒子の相が不規則な形状で存在しないセパレータを用いた比較例5では、電解液浸漬後のセパレータと電極との接着性および高温サイクル特性が低下してしまうことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明によれば、電解液中での接着性およびイオン伝導性に優れるセパレータを提供することができる。
また、本発明によれば、高温サイクル特性および低温出力特性に優れる非水系二次電池を提供することができる。
【符号の説明】
【0116】
100 有機粒子
110 コア部
110S コア部の外表面
120 シェル部
図1
図2