(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6750518
(24)【登録日】2020年8月17日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】映像記録制御装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/76 20060101AFI20200824BHJP
H04N 5/917 20060101ALI20200824BHJP
H04N 5/907 20060101ALI20200824BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20200824BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20200824BHJP
G06F 12/16 20060101ALI20200824BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20200824BHJP
H04N 7/18 20060101ALN20200824BHJP
【FI】
H04N5/76
H04N5/917
H04N5/907
G08B21/00 U
G08G1/00 D
G06F12/16
G07C5/00 Z
!H04N7/18 U
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-12937(P2017-12937)
(22)【出願日】2017年1月27日
(65)【公開番号】特開2018-121279(P2018-121279A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2018年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】唯岡 丈人
【審査官】
松元 伸次
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−41355(JP,A)
【文献】
特開2012−53506(JP,A)
【文献】
特開2013−156746(JP,A)
【文献】
特開2012−053506(JP,A)
【文献】
特開2013−130974(JP,A)
【文献】
特開2014−220803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F12/00−12/06
12/16
13/16−13/18
G07C1/00−15/00
G08B19/00−21/24
G08G1/00−99/00
H04N5/76−5/775
5/80−5/956
7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置により撮影された映像データを記録する第1の記録モードと、異常が検出された際に撮影された映像データを第1の記録モードと区別して記録する第2の記録モードとにより、記録装置に記録する記録処理部と、
前記記録装置に対するデータ書換え回数が前記記録装置のデータ書換え回数の制限値より小さい値である第1の閾値を超えた場合に、前記記録処理部に対して、前記第1の記録モードを制限し、前記第2の記録モードを制限しない記録制御部と、
を備える映像記録制御装置。
【請求項2】
前記記録処理部は、使用者の手動操作に応じて撮影された映像データを、前記第1の記録モードもしくは前記第2の記録モードまたは双方と区別して記録する第3の記録モードにより前記記録装置に記録し、
前記記録制御部は、前記データ書換え回数が前記第1の閾値と異なる第2の閾値を超えた場合に、前記第3の記録モードを制限する、
請求項1に記載の映像記録制御装置。
【請求項3】
前記記録装置に対する前記データ書換え回数が前記第1の閾値または前記第2の閾値を超えた場合に、外部に警告を出力する警告出力部をさらに備える、請求項1または2に記載の映像記録制御装置。
【請求項4】
撮像装置により撮影された映像データを記録する第1の記録モードと、異常が検出された際に撮影された映像データを第1の記録モードと区別して記録する第2の記録モードとにより、記録装置に記録する記録処理部と、
前記記録装置に対する寿命が近いと判断された場合に、前記記録処理部に対して、前記第1の記録モードを制限する記録制御部と、
を備える映像記録制御装置。
【請求項5】
撮像装置により撮影された映像データを記録する第1の記録モードと、異常が検出された際に撮影された映像データを第一の記録モードと区別して記録する第2の記録モードとにより、記録装置に記録する記録処理部と、
前記記録処理部に対する制御を行う記録制御部と、
を備える映像記録制御装置における映像記録制御方法であって、
前記記録装置に対するデータ書換え回数が前記記録装置のデータ書換え回数の制限値より小さい値である第1の閾値を超えたか否かを判定するステップと、
前記記録装置に対するデータ書換え回数が第1の閾値を超えたと判定された場合に、前記記録処理部に対して、前記第1の記録モードを制限し、前記第2の記録モードを制限しないステップと、
を含む映像記録制御方法。
【請求項6】
撮像装置により撮影された映像データを記録する第1の記録モードと、異常が検出された際に撮影された映像データを第一の記録モードと区別して記録する第2の記録モードとにより、記録装置に記録する記録処理部と、
前記記録処理部に対する制御を行う記録制御部と、
を備えるコンピュータに、
前記記録装置に対するデータ書換え回数が前記記録装置のデータ書換え回数の制限値より小さい値である第1の閾値を超えたか否かを判定するステップと、
前記記録装置に対するデータ書換え回数が第1の閾値を超えたと判定された場合に、前記記録処理部に対して、前記第1の記録モードを制限し、前記第2の記録モードを制限しないステップと、
を実行させる映像記録制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像記録制御装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載され、主に車両前方を撮像した映像を記録するドライブレコーダには、映像の記録モードとしてループ記録モードとイベント記録モードとがある。ループ記録モードは、運転中に撮影された映像を、常時記録するためのモードである。イベント記録モードは、事故や急ブレーキなどの異常を検出した際に撮影された映像の記録を行うためのモードである。ここで、イベント記録は、事故やヒヤリハットの情報として重要であるため、ループ記録とは別に上書き禁止のデータとして記録される。これらの記録には、記憶素子としてSDカードが使用されることが多い。
【0003】
特許文献1には、メモリカード9の書換回数が限界に達した場合に、動作ランプ28及びブザー29によってユーザに警告がなされ、メモリカード9の書換回数が限界に達したことをユーザに報知するドライブレコーダが記載されている。また、特許文献2に記載の画像処理装置は、NANDメモリが寿命を迎えたと判断した場合に書き込みを禁止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−53506号公報
【特許文献2】特開2015−219746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る技術は警告手段のみであり、使用者が警告に従ってSDカードを交換しない限り、書換え制限回数を超えても使用し続けることになってしまう。そして、SDカードの書換え制限回数を超えて使用し続けた場合、イベント記録のような重要な場面が録画されていなかったという問題が起こり得る。尚、特許文献2のように、メモリ寿命の際に、書き込みを禁止、つまり記録そのものを禁止してしまうとイベント記録も行えなくなり、ドライブレコーダとしての機能が果たせない。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、記録装置の書換え寿命が近付いた場合に記録モードを適切に制御するための映像記録制御装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、撮像装置により撮影された映像データを記録する第1の記録モードと、異常が検出された際に撮影された映像データを第一の記録モードと区別して記録する第2の記録モードとにより、記録装置に記録する記録処理部と、前記記録装置に対するデータ書換え回数が第1の閾値を超えた場合に、前記記録処理部に対して、前記第1の記録モードを制限する記録制御部と、を備える映像記録制御装置を提供する。
【0008】
本発明の第2の態様は、撮像装置により撮影された映像データを記録する第1の記録モードと、異常が検出された際に撮影された映像データを第一の記録モードと区別して記録する第2の記録モードとにより、記録装置に記録する記録処理部と、前記記録処理部に対する制御を行う記録制御部と、を備える映像記録制御装置における映像記録制御方法であって、前記記録装置に対するデータ書換え回数が第1の閾値を超えたか否かを判定するステップと、前記記録装置に対するデータ書換え回数が第1の閾値を超えたと判定された場合に、前記記録処理部に対して、前記第1の記録モードを制限するステップと、を含む映像記録制御方法を提供する。
【0009】
本発明の第3の態様は、撮像装置により撮影された映像データを記録する第1の記録モードと、異常が検出された際に撮影された映像データを第一の記録モードと区別して記録する第2の記録モードとにより、記録装置に記録する記録処理部と、前記記録処理部に対する制御を行う記録制御部と、を備えるコンピュータに、前記記録装置に対するデータ書換え回数が第1の閾値を超えたか否かを判定するステップと、前記記録装置に対するデータ書換え回数が第1の閾値を超えたと判定された場合に、前記記録処理部に対して、前記第1の記録モードを制限するステップと、を実行させる映像記録制御プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、記録装置の書換え寿命が近付いた場合に記録モードを適切に制御することにより、重要な記録は行われ、記録装置の寿命も維持できる映像記録制御装置、方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態1にかかる映像記録制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態1にかかる映像記録制御方法の流れを説明するためのフローチャートである。
【
図3】本発明の実施の形態1にかかる映像記録制御方法の流れを説明するためのフローチャートである。
【
図4】本発明の実施の形態1にかかる映像記録制御方法の流れを説明するためのフローチャートである。
【
図5】本発明の実施の形態2にかかる映像記録制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の実施の形態3にかかる映像記録制御方法の流れを説明するためのフローチャートである。
【
図7】本発明の実施の形態3にかかる映像記録制御方法の流れを説明するためのフローチャートである。
【
図8】本発明の実施の形態3にかかる映像記録制御方法の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本発明を車両に搭載した場合の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略する。
【0013】
<発明の実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1にかかる映像記録制御装置1の構成を示すブロック図である。映像記録制御装置1は、撮像装置2、記録装置3並びにモニタ及びスピーカ4と接続されている。映像記録制御装置1は、例えば、車両等の移動体に搭載されたドライブレコーダである。但し、本発明の実施の形態にかかる映像記録制御装置1は、車載のドライブレコーダに限定されない。撮像装置2は、例えば、車両の前方を撮像し、映像データを出力する車載カメラ等である。記録装置3は、外付けの記憶装置であり、例えば、SDカード、USBメモリ、ハードディスク、半導体メモリ等である。尚、記録装置3は、映像記録制御装置1に内蔵したものでも構わない。また、記録装置3は、データが書き換えられる度に、内部で保持するデータ書換え回数を更新するものとする。モニタ及びスピーカ4は、車両の運転者等に対して音声、ブザー、画面表示等により警報を出力する警報手段の一例である。
【0014】
映像記録制御装置1は、映像データ取得部11と、記録処理部12と、記録制御部13と、警告出力部14とを備える。映像データ取得部11は、撮像装置2から出力されるRAW画像(Raw image format)を映像データとして取り込み、記録処理部12へ出力する。
【0015】
記録処理部12は、複数の記録モードにより書き込み先デバイス、当該デバイス上の書き込みエリア、上書き制限フラグや各モードフラグなどにより区別して、映像データを内部メモリ123又は記録装置3に記録する。ここで、記録モードとしては、例えば、撮像装置2により撮影された映像データを上書きして記録し続ける第1の記録モードや、事故や急ブレーキ等の異常が検出された際に撮影された映像データを書き換え禁止で記録する第2の記録モード、使用者が手動で記録をスタートさせる第3の記録モード等が挙げられる。第1の記録モードの一例は、たとえば車両運転中に自動で映像を記録するループ記録モードであり、第2の記録モードの一例は、イベント記録モードであり、第3の記録モードの一例は、手動記録モードである。また、手動記録モードを第1の記録モードとし、イベント記録モードを第2の記録モードとしても良い。または、イベント記録モードを異常度合いにより複数のモードに分け、そのひとつを第1の記録モードとし、そのひとつを第2の記録モードとしてもよい。
【0016】
記録処理部12は、画像処理部121と、異常判定部122と、内部メモリ123と、映像記録処理部124とを備える。画像処理部121は、映像データ取得部11にて取り込んだ画像に、AGC(Auto Gain Control)やホワイトバランス調整などの画像処理を施し、記録用フォーマットとなるMPEG(Moving Picture Experts Group)エンコードなどの処理を行う。異常判定部122は、画像処理部121からの画像データから動き検出や動きベクトル検出、近接物体検出等の処理を行い、他車両や歩行者、電柱などの障害物との接近を検出し、接触や事故の可能性がある場合、異常と判定する。画像の異常な明るさの検出などで異常を判定してもよく、画像から判断できる異常を検出するものであれば、処理手段に依存しない。尚、画像データは、MPEGエンコード前のデータを用いてもよい。映像記録処理部124は、画像処理部121からの画像データを、内部メモリ123又は記録装置3に記録する処理を行う。ここで、映像記録処理部124は、上述した記録モード及び特定の記録を制限するフラグに応じた記録を行う。例えば、映像記録処理部124は、ループ記録禁止フラグがONの場合、ループ記録を行わない。あるいはループ記録抑制フラグがONの場合、たとえば映像のビットレートまたは解像度またはフレームレートまたはデータ圧縮率を制御し、記録するデータ量を減少させた記録とする。以降、ループ記録禁止フラグとループ記録抑制フラグを合わせ、ループ記録制限フラグとする。
【0017】
記録制御部13は、記録装置3からデータ書換え回数を取得し、記録装置3の寿命が近い場合、特定の記録を制限するフラグを出力する。すなわち、記録制御部13は、記録装置3に対するデータ書換え回数が第1の閾値αを超えた場合に、記録処理部12に対して、第1の記録モードを禁止またはデータの記録を抑制するように制御する。具体的には、記録制御部13は、映像記録処理部124に対して、ループ記録制限フラグをONにして出力する。ここで、第1の閾値αは、記録装置3のデータ書換え回数の制限値より小さい値であるものとする。併せて、記録制御部13は、記録装置3に対するデータ書換え回数が第1の閾値αを超えた場合に、警告出力部14に対して警告を出力させるように指示する。例えば、記録制御部13は、警告出力部14に対してもループ記録制限フラグをONにして出力してもよい。
【0018】
警告出力部14は、記録装置3に対するデータ書換え回数が第1の閾値αを超えた場合に、外部に警告を出力する。例えば、警告出力部14は、記録制御部13からの指示に応じて、モニタ及びスピーカ4に対して記録装置3の交換を促す警告や、記録が制限されている旨の警告を行う。尚、警告出力部14は、ループ記録制限フラグがONの場合に、所定の警告を行っても良い。また、警告出力は、音又は画面表示等のいずれか一方のみであってもよい。
【0019】
尚、映像記録制御装置1は、汎用的なコンピュータ装置で実現可能である。その場合、映像記録制御装置1は、図示しない構成としてCPU(Central Processing Unit)等の制御部を備えるものとする。さらに、図示しない構成として内蔵の記憶部は、図示しない構成として本実施の形態に係る処理が実装されたコンピュータプログラムである映像記録制御プログラム等を記憶するものとする。そして、制御部が記憶部に格納された映像記録制御プログラム等を読み込み、実行する。これにより、映像記録制御装置1は、映像データ取得部11、記録処理部12、記録制御部13及び警告出力部14等として動作する。
【0020】
図2、
図3及び
図4は、本発明の実施の形態1にかかる映像記録制御方法の流れを説明するためのフローチャートである。まず、映像記録制御装置1は、ループ記録制限フラグを初期化する(S101)。具体的には、映像記録制御装置1の記録制御部13は、ループ記録制限フラグをOFFにする。次に、記録制御部13は、記録装置3からデータ書換え回数の情報を取得する(S102)。
【0021】
続いて、記録制御部13は、データ書換え回数が第1の閾値α以上であるか否かを判定する(S103)。データ書換え回数が第1の閾値α未満である場合、ステップS106へ進む。また、データ書換え回数が第1の閾値α以上である場合、記録制御部13は、警告出力部14に対して警告出力を指示する。そして、警告出力部14は、指示に応じて記録装置3を交換すべき旨の警告をモニタ及びスピーカ4に出力させる(S104)。また、記録制御部13は、ループ記録制限フラグをONにする(S105)。尚、ステップS104とS105は順序が逆又は同時であってもよい。
【0022】
その後、映像データ取得部11は、撮像装置2の一例であるカメラが撮影した映像データを取得する(S106)。そして、記録処理部12の映像記録処理部124は、ループ記録制限フラグがONであるか否かを判定する(S107)。ループ記録制限フラグがONである場合、警告出力部14は、録画が制限されている旨をモニタ及びスピーカ4に出力させる(S109)。一方、ループ記録制限フラグがOFFである場合、映像記録処理部124は、記録装置3に対して映像データのループ記録を開始する(S108)。そして、映像記録処理部124は、内部メモリ123への記録を開始する(S110)。ここで、映像記録処理部124は、内部メモリ123に、車両の状態等を示す詳細な情報を併せて記録してもよい。尚、映像記録処理部124は、内部メモリ123に対してもループ記録を行うため、一定時間を経過すると記録装置3及び内部メモリ123に記録した内容は新たな記録情報に上書きされる。
【0023】
その後、異常判定部122は、異常が発生したか否かを判定する(S111)。異常が発生したと判定した場合、映像記録処理部124は、内部メモリ123に記録した内容を記録装置3にコピーする(S112)。具体的には、映像記録処理部124は、内部メモリ123の記録情報をイベント記録モードとしてループ記録と区別して記録装置3に記録する。また、内部メモリ123を搭載せず、映像データを直接記録装置3に記録することとしても良い。
【0024】
そして、映像記録制御装置1は、運転終了か否かを判定する(S113)。運転中、つまり、車両が走行中であれば、ステップS111へ戻り、運転終了であれば、当該処理を終了する。
【0025】
ここで、ドライブレコーダでは通常、ループ記録が行われており、運転中は動画を録画し続ける。そのため、記録装置3の一例であるSDカードの上書き回数、つまりデータ書換え回数が必然的に多くなり、他用途での使用と比較してSDカードの寿命までの期間が短くなる。よって、SDカードが寿命となったことを使用者が認識しない場合も多い。
【0026】
そこで、本実施の形態では、SDカード等の寿命が近いことを検出し、音声、画面表示又はブザーなどで使用者に警告を発する共に、ループ記録モードを制限する。ここで、ループ記録は、イベント記録と比べると相対的に重要度が低く、かつ、SDカードへの書込みデータ量及び書換え回数が多い。そのため、ループ記録モードを制限することにより、書き換えそのものを抑止し、より重要なイベント記録のみを許可する。これにより、警告を発してからSDカードの交換が行われるまでの期間、ドライブレコーダの機能を維持しながらSDカードの寿命を延命させることができる。なお、SDカード等の寿命が近いことの検出は、公知の技術によって行われればよいため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0027】
<発明の実施の形態2>
本実施の形態2は、上述した実施の形態1の改良例である。すなわち、本実施の形態2では、センサ類が車両の異常な振る舞いを検出した際に記録する異常時記録をイベント記録として記録するものである。
【0028】
図5は、本発明の実施の形態2にかかる映像記録制御装置1aの構成を示すブロック図である。映像記録制御装置1aは、映像記録制御装置1と比べてさらにセンサ類5が接続されたものである。センサ類5は、車両の異常な振る舞いを検出するものであり、例えば、加速度センサやレーダ等である。センサ類5は、例えば、障害物の接近や衝突等を検出する。または、集音マイクにより異常音を検出してもよい。また、車両速度やハンドル舵角などの車両情報を取得して検出に使用してもよく、角速度、照度、温度など車両挙動の異常を検出できるものであれば、センサの種類や処理手段に依存しない。そして、異常判定部122aは、センサ類5の検出結果に応じて異常と判定し、映像記録処理部124へその旨を通知する。異常判定部122aは映像記録制御装置1aとは別に映像記録制御装置1aと接続して設置され、異常判定部122aによる異常の判定結果を映像記録制御装置1aに入力する形態としてもよい。
【0029】
<発明の実施の形態3>
本実施の形態3は、上述した実施の形態1又は2の改良例である。すなわち、本実施の形態3にかかる記録処理部は、使用者の手動操作に応じて撮影された映像データを、前記第1の記録モードもしくは前記第2の記録モードまたは双方と区別して記録する第3の記録モードにより前記記録装置に記録する。そして、本実施の形態3にかかる記録制御部は、前記データ書換え回数が前記第1の閾値αと異なる第2の閾値βを超えた場合に、前記第3の記録モードである手動記録モードでの記録を制限する。
【0030】
例えば前記データ書換え回数の第2の閾値βは、前記第1の閾値αより高く設定される。データ書換え回数が第1の閾値αを超えない場合には、映像データのSDカード等への書き込みはなんら制限されないが、データ書換え回数が第1の閾値αを超え第2の閾値βを超えない場合には車両の運転中自動で録画されるループ記録のみが制限され、データ書換え回数が第2の閾値βを超えた場合には、ループ記録と使用者が手動で記録を行う手動記録も制限される。さらに第3の閾値を持ち、車両の異常を検出した際の録画モードとなるイベント記録においても、異常度合いが低いと判定された場合に書き込みを制限してもよい。データ書換え回数が第1の閾値を超えた場合に手動記録を制限するなどしてもよく、閾値の設定と制限する記録モードの設定は前記の記載に限定されず、前記データ書換え回数の第2の閾値βは、前記第1の閾値αと同じであってもよい。また、手動での記録が制限される場合、使用者が記録しようとした際に音声などで警報を発することが望ましい。また、記録用ボタンを押し続けるなど、なんらかの操作によって一時的に書き込み制限を解除するなどの制御変更があってもよい。手動記録の記録時間を短く制限してもよい。これにより、木目細かな記録及び警告の制御を行うことができる。
【0031】
図6、
図7及び
図8は、本発明の実施の形態3にかかる映像記録制御方法の流れを説明するためのフローチャートである。まず、映像記録制御装置1は、ループ記録制限フラグF1及び手動記録制限フラグF2を初期化する(S101a)。次に、記録制御部13は、記録装置3からデータ書換え回数の情報を取得する(S102)。
【0032】
続いて、記録制御部13は、データ書換え回数が第1の閾値α以上であるか否かを判定する(S103a)。データ書換え回数が第1の閾値α未満である場合、ステップS106へ進む。また、データ書換え回数が第1の閾値α以上である場合、記録制御部13は、警告出力部14に対して警告出力を指示する。そして、警告出力部14は、指示に応じて記録装置3を交換すべき旨の警告をモニタ及びスピーカ4に出力させる(S104)。また、記録制御部13は、ループ記録制限フラグF1をONにする(S105a)。尚、ステップS104とS105aは順序が逆又は同時であってもよい。
【0033】
ここで、記録制御部13は、データ書換え回数が第2の閾値β以上であるか否かを判定する(S105b)。データ書換え回数が第2の閾値β未満である場合、ステップS106へ進む。一方、データ書換え回数が第2の閾値β以上である場合、記録制御部13は、手動記録制限フラグF2をONにする(S105c)。
【0034】
その後、映像データ取得部11は、カメラが撮影した映像データを取得する(S106)。そして、記録処理部12の映像記録処理部124は、ループ記録制限フラグF1がONであるか否かを判定する(S107a)。ループ記録制限フラグF1がONである場合、警告出力部14は、録画が制限されている旨をモニタ及びスピーカ4に出力させる(S109)。一方、ループ記録制限フラグF1がOFFである場合、映像記録処理部124は、記録装置3に対して映像データのループ記録を開始する(S108)。そして、映像記録処理部124は、内部メモリ123への記録を開始する(S110)。
【0035】
その後、映像記録制御装置1は、手動記録のトリガを検出したか否かを判定する(S114)。例えば、映像記録制御装置1は、使用者が映像記録制御装置1の手動記録スイッチ(不図示)をONしたか否かを検出する。検出しない場合、ステップS111へ進む。一方、手動記録のトリガを検出した場合、映像記録処理部124は、手動記録禁止フラグF2がONであるか否かを判定する(S115)。手動記録制限フラグF2がOFFである場合、映像記録処理部124は、記録装置3に対して映像データの手動記録を開始する(S116)。すなわち、映像記録処理部124は、記録装置3に対して映像データを記録する。一方、手動記録制限フラグF2がONである場合、警告出力部14は、手動記録による録画が制限されている旨をモニタ及びスピーカ4に出力させる(S117)。
【0036】
その後、異常判定部122は、異常が発生したか否かを判定する(S111)。異常が発生したと判定した場合、映像記録処理部124は、内部メモリ123に記録した内容を記録装置3にコピーする(S112)。具体的には、映像記録処理部124は、内部メモリ123の記録情報を上書き禁止で記録装置3に記録する。
【0037】
そして、映像記録制御装置1は、運転終了か否かを判定する(S113)。運転中、つまり、車両が走行中であれば、ステップS114へ戻り、運転終了であれば、当該処理を終了する。
【0038】
<その他の発明の実施の形態>
以上、本発明を上記実施の形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【0039】
また、上述の映像記録制御装置の任意の処理は、CPUにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。この場合、コンピュータプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0040】
また、コンピュータが上述の実施の形態の機能を実現するプログラムを実行することにより、上述の実施の形態の機能が実現される場合だけでなく、このプログラムが、コンピュータ上で稼動しているOS(Operating System)もしくはアプリケーションソフトウェアと共同して、上述の実施の形態の機能を実現する場合も、本発明の実施の形態に含まれる。さらに、このプログラムの処理の全てもしくは一部がコンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットによって行われて、上述の実施の形態の機能が実現される場合も、本発明の実施の形態に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1 映像記録制御装置
1a 映像記録制御装置
11 映像データ取得部
12 記録処理部
121 画像処理部
122 異常判定部
122a 異常判定部
123 内部メモリ
124 映像記録処理部
13 記録制御部
14 警告出力部
2 撮像装置
3 記録装置
4 モニタ及びスピーカ
5 センサ類