(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補助部材配置工程の前に、前記第二金属部材の前記内隅部に仮接合用回転ツールの攪拌ピンのみを挿入してスポットで前記第一金属部材と前記第二金属部材の摩擦攪拌接合を行う仮接合工程を、さらに含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の接合方法。
前記補助部材配置工程の前に、前記第二金属部材の前記内隅部側からスポットで溶接を行い前記第一金属部材と前記第二金属部材とを接合する仮接合工程を、さらに含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の接合方法。
前記補助部材配置工程の前に、前記第二金属部材の外隅部に対応する位置の前記第一金属部材の他方の表面に仮接合用回転ツールの攪拌ピンのみを挿入してスポットで前記第一金属部材と前記第二金属部材の摩擦攪拌接合を行う仮接合工程を、さらに含むことを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載の接合方法。
前記補助部材配置工程の前に、前記第二金属部材の外隅部に対応する位置の前記第一金属部材の他方の表面にスポットで溶接を行い前記第一金属部材と前記第二金属部材とを接合する仮接合工程を、さらに含むことを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載の接合方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の接合方法であると、塑性流動化した金属を回転ツールのショルダ部で押さえないため、塑性流動化した金属が外部に溢れ出し接合部が金属不足になるという問題がある。
【0005】
一方、平板形状の板材にて構成された第一金属部材と、断面L型形状の屈曲板材にて構成された第二金属部材とを摩擦攪拌接合する場合があるが、このような接合方法については、開示されていない。
【0006】
そこで、本発明は、平板形状の板材にて構成された第一金属部材と、断面L型形状の屈曲板材にて構成された第二金属部材とを摩擦攪拌接合する際に、接合部の金属不足を防ぐことができる接合方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための第一の本発明は、攪拌ピンを備えた本接合用回転ツールを用いて第一金属部材と第二金属部材とを摩擦攪拌で接合する接合方法であって、前記第一金属部材は、平板形状の板材にて構成されており、前記第二金属部材は、第一板部と、当該第一板部から折れ曲がる第二板部とを備え断面L型形状の屈曲板材にて構成されており、前記第一金属部材の一方の表面と、前記第二金属部材の外隅部とを重ね合せて重合部を形成する重ね合せ工程と、前記第二金属部材の内隅部に、当該内隅部を覆うように断面L字形状の補助部材の裏面を面接触させて、前記第二金属部材に前記補助部材を配置する補助部材配置工程と、前記攪拌ピンを前記補助部材の表面側から挿入し、前記攪拌ピンのみを前記補助部材、前記第一金属部材および前記第二金属部材、または前記補助部材および前記第二金属部材に接触させた状態で、前記重合部に沿って前記本接合用回転ツールを移動させて前記補助部材、前記第一金属部材および前記第二金属部材の摩擦攪拌接合を行う本接合工程と、バリが形成された前記補助部材を、前記第二金属部材から除去する除去工程と、を含むことを特徴とする接合方法である。
【0008】
前記課題を解決するための第二の本発明は、攪拌ピンを備えた本接合用回転ツールを用いて第一金属部材と第二金属部材とを摩擦攪拌で接合する接合方法であって、前記第一金属部材は、平板形状の板材にて構成されており、前記第二金属部材は、第一板部と、当該第一板部から折れ曲がる第二板部とを備え断面L字形状の屈曲板材にて構成されており、前記第一金属部材の一方の表面と、前記第二金属部材の外隅部とを重ね合せて重合部を形成する重ね合せ工程と、前記第二金属部材の内隅部における前記第一板部および前記第二板部のいずれか一方の表面に平板形状の補助部材の裏面を面接触させるとともに、前記第一板部および前記第二板部のいずれか他方の表面に前記補助部材の端面を突き合わせて、前記第二金属部材に前記補助部材を配置する補助部材配置工程と、前記攪拌ピンを前記補助部材の表面側から挿入し、前記攪拌ピンのみを前記補助部材、前記第一金属部材および前記第二金属部材、または前記補助部材および前記第二金属部材に接触させた状態で、前記重合部に沿って前記本接合用回転ツールを移動させて前記補助部材、前記第一金属部材および前記第二金属部材の摩擦攪拌接合を行う本接合工程と、バリが形成された前記補助部材を、前記第二金属部材から除去する除去工程と、を含むことを特徴とする接合方法である。
【0009】
第一および第二の本発明に係る接合方法によれば、平板形状の板材にて構成された第一金属部材と、断面L型形状の屈曲板材にて構成された第二金属部材とが接合されるとともに、第一金属部材及び第二金属部材に加え、補助部材も同時に摩擦攪拌接合することにより、接合部の金属不足を防ぐことができる。また、本接合工程において攪拌ピンのみを金属部材に接触させた状態で摩擦攪拌接合を行うことにより、摩擦攪拌装置に作用する負荷を軽減することができる。さらに、バリを補助部材ごと除去できるので除去工程が容易となる。
【0010】
また、前記発明では、前記補助部材配置工程の前に、前記第二金属部材の前記内隅部に仮接合用回転ツールの攪拌ピンのみを挿入してスポットで前記第一金属部材と前記第二金属部材の摩擦攪拌接合を行う仮接合工程を、さらに含むことが好ましい。このような接合方法によれば、攪拌ピンのみを金属部材に挿入してスポットで仮接合を行うことにより、摩擦攪拌装置に作用する負荷を軽減することができる。また、重合部の全長に対して仮接合を行う場合に比べて工程時間を短くすることができる。
【0011】
さらに、前記発明では、前記本接合用回転ツールと前記仮接合用回転ツールは、同一の回転ツールであることが好ましい。このような接合方法によれば、回転ツールの交換を行う必要が無いため作業効率を高めることができる。
【0012】
また、前記発明では、前記補助部材配置工程の前に、前記第二金属部材の前記内隅部側からスポットで溶接を行い前記第一金属部材と前記第二金属部材とを接合する仮接合工程を、さらに含むことが好ましい。このような接合方法によれば、スポットで溶接して仮接合を行うことにより、仮接合を摩擦攪拌にて行う場合より、摩擦攪拌装置に作用する負担を軽減できる。さらに、重合部の全長に対して仮接合を行う場合に比べて工程時間を短くすることができる。
【0013】
さらに、前記発明では、前記溶接は、MIG溶接、TIG溶接またはレーザー溶接であることが好ましい。
【0014】
前記課題を解決するための第三の本発明は、攪拌ピンを備えた本接合用回転ツールを用いて第一金属部材と第二金属部材とを摩擦攪拌で接合する接合方法であって、前記第一金属部材は、平板形状の板材にて構成されており、前記第二金属部材は、第一板部と、当該第一板部から折れ曲がる第二板部とを備え断面L型形状の屈曲板材にて構成されており、前記第一金属部材の一方の表面と、前記第二金属部材の外隅部とを重ね合せて重合部を形成する重ね合せ工程と、前記第二金属部材の外隅部に対応する位置の前記第一金属部材の他方の表面を覆うように平板形状の補助部材の裏面を面接触させて、前記第一金属部材に前記補助部材を配置する補助部材配置工程と、前記攪拌ピンを前記補助部材の表面側から挿入し、前記攪拌ピンのみを前記補助部材、前記第一金属部材および前記第二金属部材、または前記補助部材および前記第一金属部材に接触させた状態で、前記重合部に沿って前記本接合用回転ツールを移動させて前記補助部材、前記第一金属部材および前記第二金属部材の摩擦攪拌接合を行う本接合工程と、バリが形成された前記補助部材を、前記第一金属部材から除去する除去工程と、を含むことを特徴とする接合方法である。
【0015】
第三の本発明に係る接合方法によれば、平板形状の板材にて構成された第一金属部材と、断面L型形状の屈曲板材にて構成された第二金属部材とが接合されるとともに、第一金属部材及び第二金属部材に加え、補助部材も同時に摩擦攪拌接合することにより、接合部の金属不足を防ぐことができる。また、本接合工程において攪拌ピンのみを金属部材に接触させた状態で摩擦攪拌接合を行うことにより、摩擦攪拌装置に作用する負荷を軽減することができる。さらに、バリを補助部材ごと除去できるので除去工程が容易となる。
【0016】
また、前記発明は、前記補助部材配置工程では、前記補助部材が前記重合部を中心に両側に広がるように前記補助部材を配置し、前記本接合工程では、前記補助部材の中央部に前記攪拌ピンを挿入することが好ましい。このような接合方法によれば、撹拌ピンの両側に補助部材が位置するので、より多くの金属を補給することができる。
【0017】
さらに、前記発明は、前記補助部材の端面を通り前記第一金属部材に直交する線を基準線とした場合、前記補助部材配置工程では、前記基準線が前記第二金属部材の外隅部を通過するように前記補助部材を配置し、前記本接合工程では、前記本接合用回転ツールの回転中心軸と前記基準線とが重なるように前記攪拌ピンを移動させるとともに、バリが前記補助部材に形成されるように接合条件を設定することが好ましい。このような接合方法によれば、補助部材の材料ロスを小さくすることができる。
【0018】
また、前記発明は、前記補助部材の端面を通り前記第一金属部材に直交する線を基準線とした場合、前記補助部材配置工程では、前記第一金属部材の他方の表面において前記第二金属部材の外隅部に対応する位置を挟んだ第一板部側および第二板部側のいずれか一方に前記補助部材を載置しつつ、前記補助部材の端部が前記外隅部に対応する位置を挟んで前記第一板部側および前記第二板部側のいずれか他方側に突出するように前記補助部材を配置し、前記本接合工程では、前記本接合工程を行った後に前記本接合用回転ツールの片側のみに前記補助部材が残存する程度に前記本接合用回転ツールの回転中心軸を前記基準線よりも前記補助部材の中央側に偏移させて前記攪拌ピンを移動させるとともに、残存する前記補助部材にバリが形成されるように接合条件を設定することが好ましい。このような接合方法によれば、より多くの金属を補給しつつ、補助部材の材料ロスを小さくすることができる。
【0019】
また、前記発明は、前記補助部材配置工程の前に、前記第二金属部材の外隅部に対応する位置の前記第一金属部材の他方の表面に仮接合用回転ツールの攪拌ピンのみを挿入してスポットで前記第一金属部材と前記第二金属部材の摩擦攪拌接合を行う仮接合工程を、さらに含むことが好ましい。このような接合方法によれば、攪拌ピンのみを金属部材に挿入してスポットで仮接合を行うことにより、摩擦攪拌装置に作用する負荷を軽減することができる。また、重合部の全長に対して仮接合を行う場合に比べて工程時間を短くすることができる。
【0020】
さらに、前記発明は、前記本接合用回転ツールと前記仮接合用回転ツールは、同一の回転ツールであることが好ましい。このような接合方法によれば、回転ツールの交換を行う必要が無いため作業効率を高めることができる。
【0021】
また、前記発明では、前記補助部材配置工程の前に、前記第二金属部材の外隅部に対応する位置の前記第一金属部材の他方の表面にスポットで溶接を行い前記第一金属部材と前記第二金属部材とを接合する仮接合工程を、さらに含むことが好ましい。このような接合方法によれば、スポットで溶接して仮接合を行うことにより、仮接合を摩擦攪拌にて行う場合より、摩擦攪拌装置に作用する負担を軽減できる。さらに、重合部の全長に対して仮接合を行う場合に比べて工程時間を短くすることができる。
【0022】
さらに、前記発明では、前記溶接は、MIG溶接、TIG溶接またはレーザー溶接であることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る接合方法によれば、平板形状の板材にて構成された第一金属部材と、断面L型形状の屈曲板材にて構成された第二金属部材とを摩擦攪拌接合する際に、接合部の金属不足を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第一実施形態に係る接合方法の重ね合せ工程を示す斜視図である。
【
図2】第一実施形態に係る接合方法の仮接合工程を示す斜視図である。
【
図3】第一実施形態に係る接合方法の仮接合工程の変形例を示す斜視図である。
【
図4】第一実施形態に係る接合方法の補助部材配置工程を示す斜視図である。
【
図5】第一実施形態に係る接合方法の本接合工程を示す断面図である。
【
図6】第一実施形態に係る接合方法の除去工程前を示す断面図である。
【
図7】第一実施形態に係る接合方法の除去工程を示す断面図である。
【
図8】第一実施形態に係る接合方法の除去工程後を示す断面図である。
【
図9】第二実施形態に係る接合方法の補助部材配置工程を示す断面図である。
【
図10】第二実施形態に係る接合方法の本接合工程を示す断面図である。
【
図11】第二実施形態に係る接合方法の除去工程前を示す断面図である。
【
図12】第二実施形態に係る接合方法の除去工程を示す断面図である。
【
図13】第三実施形態に係る接合方法の重ね合せ工程を示す斜視図である。
【
図14】第三実施形態に係る接合方法の仮接合工程を示す斜視図である。
【
図15】第三実施形態に係る接合方法の補助部材配置工程を示す断面図である。
【
図16】第三実施形態に係る接合方法の本接合工程を示す断面図である。
【
図17】第三実施形態に係る接合方法の除去工程を示す断面図である。
【
図18】第三実施形態に係る接合方法の除去工程後を示す断面図である。
【
図19】第四実施形態に係る接合方法の補助部材配置工程を示す断面図である。
【
図20】第四実施形態に係る接合方法の本接合工程を示す断面図である。
【
図21】第四実施形態に係る接合方法の除去工程を示す断面図である。
【
図22】第五実施形態に係る接合方法の補助部材配置工程を示す断面図である。
【
図23】第五実施形態に係る接合方法の本接合工程後を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態に係る接合方法について、
図1〜
図8を参照して詳細に説明する。本発明は、平板形状の板材にて構成された第一金属部材と、断面L型形状の屈曲板材にて構成された第二金属部材とを接合する方法である。第一金属部材に、第二金属部材の外隅部を接合すると断面が略K字状となる。第一実施形態では、第二金属部材側から攪拌ピンを挿入して摩擦攪拌接合を行う場合を例に挙げて説明する。第一実施形態に係る接合方法は、重ね合せ工程と、仮接合工程と、補助部材配置工程と、本接合工程と、除去工程と、を行う。
【0026】
重ね合せ工程は、
図1に示すように、平板形状の第一金属部材10の一方の表面11と、と断面L字形状の第二金属部材20の外隅部24とを重ね合せて重合部Jを形成する工程である。第一金属部材10および第二金属部材20は、金属製の板状部材からなる。第一金属部材10および第二金属部材20の材料は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金等の摩擦攪拌可能な金属から適宜選択される。
【0027】
第一金属部材10は、長方形の平面形状に形成された板状形材である。第一金属部材10の一方の表面11には、第二金属部材20が接合される。
【0028】
第二金属部材20は、軸断面がL字形状に形成された屈曲板状形材である。第二金属部材20は、第一板部21と、当該第一板部21から折れ曲がる第二板部22とを備えている。第二板部22は、第一板部21の端部に連続して直交している。なお、第一板部21と第二板部22の屈曲角度は、直角に限定されものではなく、鈍角であってもよいし、鋭角であってもよい。第一板部21と第二板部22とで構成される角部23の外側である外隅部24は、円弧状に湾曲した曲面が形成されている。
【0029】
重ね合せ工程では、第一金属部材10を水平に配置し、第一金属部材10の一方(上側)の表面11に、第二金属部材20を配置する。第二金属部材20の外隅部24を下側にして、その外隅部24を第一金属部材10上に設置する。このとき、第一金属部材10と第二金属部材20の第一板部21とが成す角度と、第一金属部材10と第二金属部材20の第二板部22とが成す角度が、ともに45度となるようにする。このように重ね合せ工程では、第一金属部材10の表面11に、第二金属部材20の外隅部24が重ね合わせられると、重合部Jが形成される。このとき、第一金属部材10の表面11と第二金属部材20の外隅部24との間には、隙間S,Sが形成される。第一金属部材10と第二金属部材20は、ともに図示しない固定治具で仮固定する。
【0030】
仮接合工程は、
図2に示すように、回転ツールF(仮接合用回転ツール)を用いて第一金属部材10と第二金属部材20との重合部Jに対して仮接合を行う工程である。回転ツールFは、例えば工具鋼で形成されている。回転ツールFは、連結部F1と攪拌ピンF2とを備えている。連結部F1は、摩擦攪拌装置の回転軸に連結される部位である。連結部F1は円柱状を呈する。回転ツールFは、先端にスピンドルユニット等の回転駆動手段を備えたアームロボット(図示せず)に取り付けられることが好ましい。これにより、容易にスポットの仮接合を行うことができる。
【0031】
攪拌ピンF2は、連結部F1から延在しており、連結部F1と同軸になっている。攪拌ピンF2は連結部F1から離間するにつれて先細りになっている。攪拌ピンF2の外周面には螺旋溝が刻設されている。第一実施形態では、回転ツールFを右回転させるため、螺旋溝は、基端から先端に向かうにつれて左回りに形成されている。
なお、回転ツールFを左回転させる場合は、螺旋溝を基端から先端に向かうにつれて右回りに形成することが好ましい。
【0032】
螺旋溝をこのように設定することで、摩擦攪拌の際に塑性流動化した金属が螺旋溝によって攪拌ピンF2の先端側に導かれる。これにより、被接合金属部材(第一金属部材10、第二金属部材20および補助部材30)の外部に溢れ出る金属の量を少なくすることができる。なお、螺旋溝は省略してもよい。
【0033】
仮接合工程では、回転させた回転ツールFの攪拌ピンF2のみを第二金属部材20の内隅部25に挿入して、攪拌ピンF2の先端を重合部Jに接触させてスポットで仮接合を行う。仮接合工程では、所定の間隔をあけて攪拌ピンF2のみを重合部Jに浅く(攪拌ピンF2の先端が第一金属部材10の表面11に届く程度の深さ)押し込んでいく。攪拌ピンF2の押し込み跡には、塑性化領域W0が形成される。
【0034】
本実施形態の仮接合工程では、回転ツールF(仮接合用回転ツール)を用いて摩擦攪拌接合を行うことで、仮接合を行っているが、これに限定されるものではない。
図3に示すように、第二金属部材20の内隅部25側から溶接で仮接合を行うようにしてもよい。溶接の種類は特に制限されないが、例えば、MIG溶接、TIG溶接等のアーク溶接やレーザー溶接で行うことができる。
図3では、レーザー溶接を例示している。この場合、溶接トーチHを内隅部25に近接させつつ、所定の間隔をあけてスポットで溶接を行う。このとき、溶接トーチHの先端部が内隅部25に対向するように、溶接トーチHは、垂直に配置する。スポット溶接を行った部分には、溶接痕Wが形成される。
【0035】
補助部材配置工程は、
図4に示すように、第二金属部材20の内隅部25に、補助部材30を配置する工程である。補助部材30は、断面L字形状の溝型部材である。補助部材30は金属製の板状部材である。補助部材30は摩擦攪拌可能な金属であれば特に制限されないが、第一実施形態では、第一金属部材10および第二金属部材20と同じ材料になっている。補助部材30の板厚は、後記する本接合工程後に、塑性化領域W1が金属不足ならないように適宜設定する。第一実施形態では、補助部材30の板厚は第一金属部材10および第二金属部材20の板厚よりも薄く設定している。
【0036】
補助部材配置工程では、第二金属部材20の内隅部25を覆うように補助部材30の外隅側の面である裏面31を面接触させる。このとき、補助部材30は、第二金属部材20の内隅部25を中心にして、第一板部21と第二板部22の両方に跨っている。
【0037】
本接合工程は、
図5に示すように、回転ツールF(本接合用回転ツール)を用いて第一金属部材10と第二金属部材20の摩擦攪拌接合を行う工程である。本実施形態では、本接合用回転ツールと仮接合用回転ツールは、同一の回転ツールFを用いている。本接合工程では、右回転させた回転ツールFを補助部材30の表面32(裏面31の逆側の面)側から挿入し、重合部Jに達するように、攪拌ピンF2の挿入深さを設定する。
【0038】
本接合工程では、攪拌ピンF2のみを補助部材30、第二金属部材20および第一金属部材10に接触させ、攪拌ピンF2の基端側は露出させた状態で摩擦攪拌接合を行う。そして、重合部Jに沿って回転ツールFを移動させる。これにより、重合部Jにおいて、補助部材30、第一金属部材10および第二金属部材20が摩擦攪拌接合される。回転ツールFの移動軌跡には、塑性化領域W1が形成される。
【0039】
本接合工程後には、
図6に示すように、補助部材30は、塑性化領域W1によって第一板部21と第二板部22側とに分断される。また、分断された補助部材30,30の端部にはバリV,Vが形成されている。
【0040】
除去工程は、
図7に示すように、バリVを第二金属部材20から除去する工程である。除去工程では、例えば手作業により、補助部材30を第一板部21および第二板部22から離間する方向に折り曲げて、補助部材30を第二金属部材20から除去する。補助部材30にはバリVが一体化しているので、補助部材30を除去することでバリVも除去される。
【0041】
以上説明した第一実施形態に係る接合方法によれば、
図8に示すように、第一金属部材10と第二金属部材20とが接合されるとともに、第一金属部材10および第二金属部材20に加えて、補助部材30も同時に摩擦攪拌接合することにより、接合部(塑性化領域W1)の金属不足を防ぐことができる。
【0042】
また、回転ツールFの攪拌ピンF2のみを補助部材30、第一金属部材10および第二金属部材20に接触させた状態で摩擦攪拌接合を行うことにより、摩擦攪拌装置に作用する負荷を軽減することができる。
【0043】
また、第一実施形態に係る接合方法では、
図5に示すように、本接合工程および仮接合工程において、回転ツールFの攪拌ピンF2のみを金属部材に接触させて摩擦攪拌しているため、入熱量を少なくすることができ、第一金属部材10および第二金属部材20の熱歪みを小さくすることができる。
【0044】
また、第一実施形態に係る接合方法では、
図4に示すように、内隅部25に補助部材30を配置し、補助部材30、第一金属部材10および第二金属部材20を同時に摩擦攪拌接合しているため、内隅部25の金属不足を補うことができる。
【0045】
また、第一実施形態に係る接合方法では、
図6に示すように、本接合工程によって補助部材30にバリV,Vが形成されるが、
図7に示すように、除去工程において、バリVを補助部材30ごと取り除くことができる。これにより、バリVを除去する工程を容易に行うことができる。補助部材30は、除去装置等を用いて除去してもよいが、第一実施形態では、手作業で容易に補助部材30を取り除くことができる。
【0046】
また、第一実施形態に係る接合方法では、仮接合工程を行うため、本接合工程を行う際の重合部Jの目開きを防ぐことができる。
【0047】
また、第一実施形態に係る接合方法では、
図2に示すように、回転ツールFの攪拌ピンF2のみを金属部材に接触させた状態で重合部Jのスポット仮接合を行うことにより、摩擦攪拌装置に作用する負荷を軽減することができる。また、重合部の全長に対して仮接合を行う場合と比べて工程時間を短くすることができる。
【0048】
また、第一実施形態では、仮接合工程を行う回転ツールF(仮接合用回転ツール)と、本接合工程を行う回転ツールF(本接合用回転ツール)は同一のものを用いているので、各工程で回転ツールの交換を行う必要が無いため作業効率を高めることができる。
【0049】
以上本発明の第一実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において適宜設計変更が可能である。例えば、仮接合用回転ツールまたは本接合用回転ツールに、ショルダ部および攪拌ピンを備えた回転ツールを用いてもよい。また、仮接合工程と、本接合工程とで異なる回転ツールを用いてもよい。仮接合工程は、必ずしも行わなくてもよく、省略してもよい。
【0050】
また、第一実施形態の本接合工程では、回転ツールFの攪拌ピンF2の先端部を補助部材30から第二金属部材20、第一金属部材10まで到達させているが、これに限定されるものではない。塑性化領域が第一金属部材10に所定深さで形成されるならば、攪拌ピンF2の先端が第一金属部材10まで到達していなくてもよい。
【0051】
また、第一実施形態では、
図1に示すように、第一金属部材10の外隅部24が丸面取りされており、重合部Jに隙間S,Sを設ける構成としたが、これに限定されるものではない。たとえば、外隅部に平坦な傾斜部を形成する等して、隙間Sが無いように構成してもよい。
【0052】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る接合方法の補助部材配置工程、本接合工程および除去工程について、
図9〜
図12を参照して詳細に説明する。第二実施形態に係る接合方法は、
図9に示すように、補助部材35の形状と、補助部材配置工程において補助部材35を第二金属部材20に配置する位置が第一実施形態と相違する。第二実施形態に係る接合方法では、第一実施形態の接合方法と相違する点を中心に説明する。なお、第一金属部材10や第二金属部材20等は、第一実施形態と同一の構成であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
【0053】
第二実施形態の補助部材35は、平板形状を呈している。第二実施形態の補助部材配置工程では、
図9に示すように、補助部材35の裏面36を、第二金属部材20の内隅部25における第一板部21および第二板部22のいずれか一方(本実施形態では第二板部22)の表面に面接触させる。これとともに、補助部材35の端面37を、内隅部25における第一板部21および第二板部22のいずれか他方(本実施形態では第一板部21)の表面に突き合わせる。
【0054】
第二実施形態の本接合工程では、
図10に示すように、回転ツールF(本接合用回転ツール)を右回転させるため、螺旋溝は、基端から先端に向かうにつれて左回りに形成されている。また、本接合工程では、
図10の手前側から奥側に向けて回転ツールFを相対移動させる。
【0055】
第二実施形態の本接合工程では、攪拌ピンF2を補助部材35の表面(裏面36の逆の面)側から挿入する。右回転させた回転ツールFの攪拌ピンF2のみを補助部材35、第一金属部材10および第二金属部材20に接触させた状態で摩擦攪拌接合を行う。これにより、重合部Jにおいて、補助部材35、第一金属部材10および第二金属部材20が摩擦攪拌接合されて塑性化領域W1が形成される。
【0056】
第二実施形態では、回転ツールFを右回転させているため、第二板部22側は、回転ツールFの外周における接線速度の大きさから送り速度の大きさが減算される側(Re側(Retreating side))である。一方、第一板部21側は、回転ツールFの外周における接線速度の大きさから送り速度の大きさが加算される側(Ad側(Advancing side))である。
【0057】
回転ツールFの回転速度が遅い場合では、塑性化領域W1の第二板部22側(Re側)に比べて、第一板部21側(Ad側)の方が塑性流動材の温度が上昇し易くなるため、第一板部21側(Ad側)にバリが多く発生する傾向にある。一方、回転ツールFの回転速度が速い場合には、第一板部21側(Ad側)の方が塑性流動材の温度が上昇するものの、回転速度が速い分、第二板部22側(Re側)にバリが発生する傾向にある。
【0058】
上記したように、本接合工程の際に、回転ツールFの進行方向のどちら側にバリVが発生するかは接合条件によって異なる。接合条件とは、回転ツールFの回転速度、回転方向、移動速度(送り速度)、第一金属部材10、第二金属部材20および補助部材35の材料、各部材の厚さ等の各要素と、これらの要素の組み合わせで決定される。本接合工程では、バリVが補助部材35に形成されるように接合条件を設定する。
【0059】
第二実施形態の本接合工程では、回転ツールFの回転速度を速く設定しているため、第二板部22側(Re側)にバリVが形成される。バリVは、補助部材35の端部に繋がって形成される(
図11参照)。
【0060】
第二実施形態の除去工程では、
図12に示すように、補助部材35を第二金属部材20の第二板部22から除去することで、バリVを片側に残存する補助部材35ごと除去することができるため、バリVを除去する工程を容易に行うことができる。また、回転ツールFの回転速度を速く設定することにより、回転ツールFの移動速度(送り速度)を高めることができる。これにより、接合サイクルを短くすることができる。
【0061】
以上説明した第二実施形態に係る接合方法によれば、第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、第二実施形態では、補助部材35が第一実施形態より小さいので、補助部材35の材料ロスを軽減することができる。
【0062】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係る接合方法について、
図13〜
図18を参照して詳細に説明する。第三実施形態に係る接合方法は、
図16に示すように、補助部材40の形状と、第一金属部材側から攪拌ピンを挿入して摩擦攪拌接合を行う点が第一実施形態と相違する。第三実施形態に係る接合方法は、重ね合せ工程と、仮接合工程と、補助部材配置工程と、本接合工程と、除去工程と、を行う。なお、第一金属部材10と第二金属部材20の形状は、第一実施形態と同等であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
【0063】
第三実施形態の重ね合せ工程では、
図13に示すように、断面L字形状の第二金属部材20の外隅部24と、平板形状の第一金属部材10の一方の表面11(下側の表面)とを重ね合せて重合部Jを形成する。具体的には、第二金属部材20の外隅部24を上側にして、第二金属部材20を設置し、その上に第一金属部材10を設置する。このとき、第一金属部材10と第二金属部材20の第一板部21とが成す角度と、第一金属部材10と第二金属部材20の第二板部22とが成す角度が、ともに45度となるようにする。このように重ね合せ工程では、第一金属部材10の表面11(下側の表面)に、第二金属部材20の外隅部24が重ね合わせられると、重合部Jが形成される。第一金属部材10と第二金属部材20は、ともに図示しない固定治具で仮固定する。
【0064】
第三実施形態の仮接合工程では、
図14に示すように、回転ツールF(仮接合用回転ツール)を用いて第一金属部材10と第二金属部材20との重合部Jに対して仮接合を行う。仮接合工程では、回転させた回転ツールFの攪拌ピンF2のみを第一金属部材10の他方の表面12(上側の表面)に挿入して、攪拌ピンF2の先端を重合部Jに接触させてスポットで仮接合を行う。仮接合工程では、所定の間隔をあけて攪拌ピンF2のみを重合部Jに浅く(攪拌ピンF2の先端が第二金属部材20の外隅部24の表面に届く程度の深さ)押し込んでいく。攪拌ピンF2の押し込み跡には、塑性化領域W0が形成される。
【0065】
第三実施形態の仮接合工程では、回転ツールF(仮接合用回転ツール)を用いて摩擦攪拌接合を行うことで、仮接合を行っているが、これに限定されるものではない。第一金属部材10の他方の表面12側から溶接で仮接合を行うようにしてもよい。
【0066】
第三実施形態の補助部材40は、平板形状を呈している。第三実施形態の補助部材配置工程では、
図15に示すように、第二金属部材20の外隅部24に対応する位置の第一金属部材10の他方の表面12を覆うように補助部材40を配置する。第一金属部材10の他方の表面12には、補助部材40の裏面41を面接触させる。補助部材40は、重合部Jを中心に両側に広がるように配置する。つまり、補助部材40の中央部43が重合部Jに沿うように配置する。
【0067】
第三実施形態の本接合工程では、
図16に示すように、回転させた回転ツールFの攪拌ピンF2を、第一金属部材10の他方の表面12側(補助部材40の表面側)から補助部材40に挿入する。攪拌ピンF2は、補助部材40の中央部43に挿入する。攪拌ピンF2は、その先端部が重合部Jに達するところまで挿入する。このとき、攪拌ピンF2のみを補助部材40、第一金属部材10および第二金属部材20に接触させて、摩擦攪拌接合を行う。攪拌ピンF2の基端側は露出させた状態で、回転ツールFを重合部Jに沿って移動させる。これにより、重合部Jにおいて、補助部材40、第一金属部材10および第二金属部材20が摩擦攪拌接合される。回転ツールFの移動軌跡には、塑性化領域W1が形成される。
【0068】
本接合工程後には、補助部材40は、塑性化領域W1によって左右に分断される。分断された補助部材40,40の端部にはバリV,Vが形成されている。
【0069】
第三実施形態の除去工程では、
図17に示すように、バリVと一体化した補助部材40を第一金属部材10から除去する。除去工程では、例えば手作業により、補助部材40を第一金属部材10の他方の表面12から離間する方向に折り曲げて、補助部材40を第一金属部材10から除去する。
【0070】
以上説明した第三実施形態に係る接合方法によれば、第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、接合部(塑性化領域W1)の金属不足を防ぐことができることより、第三実施形態では、
図18に示すように、第一金属部材10の他方の表面12と塑性化領域W1の表面を略面一とすることができる。
【0071】
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態に係る接合方法の補助部材配置工程、本接合工程および除去工程について、
図19〜
図21を参照して詳細に説明する。第四実施形態に係る接合方法は、
図19に示すように、補助部材配置工程において補助部材45を第一金属部材10に配置する位置が第三実施形態と相違する。第四実施形態に係る接合方法では、第三実施形態の接合方法と相違する点を中心に説明する。なお、第一金属部材10や第二金属部材20等は、第三実施形態と同一の構成であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
【0072】
図19に示すように、第四実施形態の補助部材45は、平板形状を呈していて、第三実施形態の補助部材45の幅寸法の略半分の幅寸法を備えている。ここで、補助部材45の端面47を通り第一金属部材10の他方の表面12に直交する線を基準線Lとする。
【0073】
第四実施形態の補助部材配置工程では、第一金属部材10の他方の表面12において、第二金属部材20の外隅部24に対応する位置を挟んだ第一板部21側および第二板部22側のいずれか一方(本実施形態では第二板部22側)に、補助部材45を載置する。補助部材45の端部を通過する基準線Lが第二金属部材20の外隅部24の中央部を通過するように、補助部材45を配置する。
【0074】
第四実施形態の本接合工程では、
図20に示すように、回転させた回転ツールFの攪拌ピンF2を、第一金属部材10の他方の表面12側(補助部材45の表面側)から補助部材45に挿入する。回転ツールFの回転中心軸が基準線Lと重なる位置に、攪拌ピンF2を挿入し、回転中心軸と基準線Lとが重なった状態を保持しつつ重合部Jに沿って攪拌ピンF2を移動させる。これにより、重合部Jにおいて、補助部材45、第一金属部材10および第二金属部材20が摩擦攪拌接合されて塑性化領域W1が形成される。
図10に示すように、
【0075】
第四実施形態の本接合工程では、回転ツールF(本接合用回転ツール)を右回転させるため、螺旋溝は、基端から先端に向かうにつれて左回りに形成されている。また、本接合工程では、
図20の手前側から奥側に向けて回転ツールFを相対移動させる。右回転させた回転ツールFの攪拌ピンF2のみを補助部材45、第一金属部材10および第二金属部材20に接触させた状態で摩擦攪拌接合を行う。
【0076】
第四実施形態では、回転ツールFを右回転させているため、第二板部22側(
図20中、右側)は、回転ツールFの外周における接線速度の大きさから送り速度の大きさが減算される側(Re側)である。一方、第一板部21側(
図20中、左側)は、回転ツールFの外周における接線速度の大きさから送り速度の大きさが加算される側(Ad側)である。
【0077】
回転ツールFの回転速度が遅い場合では、塑性化領域W1の第二板部22側(Re側)に比べて、第一板部21側(Ad側)の方が塑性流動材の温度が上昇し易くなるため、第一板部21側(Ad側)にバリが多く発生する傾向にある。一方、回転ツールFの回転速度が速い場合には、第一板部21側(Ad側)の方が塑性流動材の温度が上昇するものの、回転速度が速い分、第二板部22側(Re側)にバリが発生する傾向にある。上記したように、本接合工程の際に、回転ツールFの進行方向のどちら側にバリVが発生するかは接合条件によって異なる。接合条件とは、回転ツールFの回転速度、回転方向、移動速度(送り速度)、移動方向、第一金属部材10、第二金属部材20および補助部材45の材料、各部材の厚さ等の各要素と、これらの要素の組み合わせで決定される。本接合工程では、バリVが補助部材45に形成されるように接合条件を設定する。
【0078】
第四実施形態の本接合工程では、回転ツールFの回転速度を速く設定しているため、補助部材45の第二板部22側(Re側)にバリVが形成される。バリVは、補助部材45の端部に繋がって形成される(
図11参照)。
【0079】
第四実施形態の除去工程では、
図21に示すように、補助部材45を第一金属部材10の他方の表面12から除去することで、残存する補助部材45ごとバリVを除去することができるため、バリVを除去する工程を容易に行うことができる。また、回転ツールFの回転速度を速く設定することにより、回転ツールFの移動速度(送り速度)を高めることができる。これにより、接合サイクルを短くすることができる。
【0080】
以上説明した第四実施形態に係る接合方法によれば、第三実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、第四実施形態では、補助部材45が第三実施形態より小さいので、補助部材45の材料ロスを軽減することができる。
【0081】
[第五実施形態]
次に、本発明の第五実施形態に係る接合方法の補助部材配置工程、本接合工程について、
図22および
図23を参照して説明する。第五実施形態に係る接合方法は、
図22に示すように、補助部材配置工程において、補助部材45を第一金属部材10に配置する位置が第四実施形態と相違する。
【0082】
第五実施形態の補助部材配置工程では、第一金属部材10の他方の表面12において、第二金属部材20の外隅部24に対応する位置を挟んだ第一板部21側および第二板部22側のいずれか一方(本実施形態では第二板部22側)に、補助部材45を載置する。これとともに、補助部材45の端部が外隅部24に対応する位置を挟んで第一板部側および前記第二板部側のいずれか他方側(本実施形態では第一板部21側)に突出するように補助部材45を配置する。具体的には、補助部材45の9割程度を、外隅部24に対応する位置よりも第二板部22側に配置し、補助部材45の残りの1割程度を外隅部24に対応する位置よりも第一板部21側に配置する。つまり、第二板部22側に配置された補助部材45の端部が僅かに第一板部21側に突出するように配置する。
【0083】
第五実施形態の本接合工程では、本接合工程を行った後に回転ツールの片側のみに補助部材45が残存する(
図23参照)程度に回転ツールの回転中心軸を基準線Lよりも補助部材45の中央側に偏移させて攪拌ピンを移動させる。つまり、本接合工程を行った後に回転ツールの片側のみに補助部材45が残存する程度に補助部材45の端部が外隅部24に対応する位置を挟んで第一板部側および前記第二板部側のいずれか他方側に突出するように補助部材45を配置する。本実施形態では、回転ツールの回転中心軸が第二金属部材20の外隅部24の中心部に位置するように攪拌ピンを偏移させる。つまり、第二板部22側に配置された補助部材45の端部が僅かに第一板部21側に突出するように配置する。
【0084】
本接合工程の際に、回転ツールFの進行方向のどちら側にバリVが発生するかは接合条件によって異なる。本接合工程では、バリVが残存する補助部材45に形成されるように接合条件を設定する。
【0085】
以上説明した第五実施形態に係る接合方法によれば、第三実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、第五実施形態では、補助部材45の材料ロスを軽減できるとともに、攪拌ピンの周囲に第四実施形態よりも多くの補助部材45が位置するので、接合部に多くの金属を供給することができる。