特許第6750566号(P6750566)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6750566
(24)【登録日】2020年8月17日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】無線装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/14 20090101AFI20200824BHJP
   H04W 4/44 20180101ALI20200824BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20200824BHJP
【FI】
   H04W16/14
   H04W4/44
   H04W72/04 132
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-106411(P2017-106411)
(22)【出願日】2017年5月30日
(65)【公開番号】特開2018-207146(P2018-207146A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2019年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】後藤 亮介
【審査官】 米倉 明日香
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−82554(JP,A)
【文献】 特開2009−284376(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/067726(WO,A1)
【文献】 特開2011−4022(JP,A)
【文献】 特開2007−312114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1帯域を使用する第1通信システムにおける無線装置であって、
第1帯域を使用して通信を実行する通信部と、
前記通信部が使用する第1帯域とは異なった第2帯域であって、かつ第1帯域を使用する第1通信システムとは異なった第2通信システムに使用される第2帯域の使用状況を監視する第1監視部と、
前記通信部が使用する第1帯域とは異なった第3帯域であって、かつ第1帯域を使用する第1通信システムが使用可能な第3帯域あるいは第1帯域の使用状況を監視する第2監視部と、
前記第1監視部において監視される使用状況が未使用から使用に変化した場合、前記第2監視部において監視される第3帯域の使用状況をもとに、前記通信部に対して第1帯域の使用から第3帯域の使用に変更させる制御部と、
を備えることを特徴とする無線装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1監視部において監視される使用状況が使用から未使用に変化した場合、前記第2監視部において監視される第1帯域の使用状況をもとに、前記通信部に対して第3帯域の使用から第1帯域の使用に変更させることを特徴とする請求項1に記載の無線装置。
【請求項3】
第1帯域と第2帯域は隣接することを特徴とする請求項1または2に記載の無線装置。
【請求項4】
前記通信部とアンテナとの間に配置され、第1帯域の信号を通過させる第1フィルタと、
前記第1フィルタと前記アンテナとの間から分岐して配置されており、前記第1フィルタよりも狭い帯域幅を有するとともに、第1帯域における第2帯域寄りの部分の信号を通過させる第2フィルタとをさらに備え、
前記第1監視部は、前記第2フィルタからの出力をもとに、第2帯域の使用状況を監視することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の無線装置。
【請求項5】
前記監視部は、第2帯域の信号の漏洩した成分を利用して、第2帯域の使用状況を監視することを特徴とする請求項4に記載の無線装置。
【請求項6】
第2帯域を使用する第2通信システムの通信装置からの信号であって、第2帯域の使用を示す信号を入力する入力部をさらに備え、
前記第1監視部は、前記入力部に入力された信号をもとに、第2帯域の使用状況を監視することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の無線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術に関し、特に無線通信を実行する無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ETC(Electronic Toll Collection system)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、無線LAN(Local Area Network)のような通信システムが実用化されている。このような複数の無線通信方式を使用可能な車載無線端末では、自車両の状態に応じて無線通信方式を切り替える(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−80420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、ETCあるいはDSRCに対応した通信装置と、無線LANに対応した無線装置とは、別々に構成される。両者の通信帯域が隣接する場合に、無線LANの使用が、ETCあるいはDSRCに干渉を与えることもある。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、別の通信システムに与える影響を低減する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の無線装置は、第1帯域を使用する第1通信システムにおける無線装置であって、第1帯域を使用して通信を実行する通信部と、通信部が使用する第1帯域とは異なった第2帯域であって、かつ第1帯域を使用する第1通信システムとは異なった第2通信システムに使用される第2帯域の使用状況を監視する第1監視部と、通信部が使用する第1帯域とは異なった第3帯域であって、かつ第1帯域を使用する第1通信システムが使用可能な第3帯域の使用状況を監視する第2監視部と、第1監視部において監視される使用状況が未使用から使用に変化した場合、通信部に対して第1帯域の使用から第3帯域の使用に変更させる制御部とを備える。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、別の通信システムに与える影響を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1に係る車両の構成を示す図である。
図2図1の無線装置の構成を示す図である。
図3図3(a)−(d)は、図2の無線装置による処理の概要を示す図である。
図4図2の無線装置による処理手順を示すフローチャートである。
図5】実施例2に係る無線装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施例1)
本発明を具体的に説明する前に、実施例の基礎となった知見を説明する。本発明の実施例1は、車両等に搭載される無線装置に関する。無線装置は無線LANによる通信を実行可能である。無線LANは、日本において、屋外でも利用可能なW56(5470MHz〜5725MHz)の周波数帯(以下、「第1帯域」という)を使用する。車両に搭載された無線装置と、車両内に持ち込まれたスマートフォン等の端末装置とが接続される場合、第1帯域における通信がなされる。この通信を高スループットで安定させるために、例えば、無線LANにおける占有帯域が拡大される。一方、DSRC、ETCのような交通車両用狭域通信システムは、日本において、W58(5770MHz〜5850MHz)の周波数帯(以下、「第2帯域」という)を使用する。ここで、第2帯域は第1帯域に隣接する。なお、無線LANを第1通信システムと呼ぶ場合、交通車両用狭域通信システムは第2通信システムと呼ばれる。
【0011】
車内という狭い空間の中で、DSRC/ETCによる通信と、無線LANによる通信とがなされる場合、無線LANの信号(以下、「第1信号」という)によってDSRC/ETC側において電波干渉が発生することがある。これによって、DSRC/ETCによる通信が正しくなされない状態が発生しうる。なお、第1帯域の無線LANを屋外で利用する場合、気象レーダの信号あるいは船舶レーダの信号との干渉を避けるために、一定期間のレーダ検出を設け、レーダの信号を検出すると無線LANを一時的に停波するDFS(DynamicFrequencySelection)機能を有することが義務付けられている。しかしながら、DSRC/ETCと無線LANとの共用については規定がなされていない。
【0012】
車内におけるDSRC/ETCと無線LANとの間の電波干渉を発生させないために、通信装置と無線装置との距離を離すことが有効であるが、数百mレベル離す必要があり、車内であることを考慮するとこれは不可能である。一方、DSRC/ETCの通信中に無線LANの通信を停止することも有効であるが、安定した通信がなされない。つまり、DSRC/ETCにおいて電波干渉を伴わない安定した通信と、占有帯域拡大を伴う高スループットで安定した無線LANの通信と実現は相反する。これとは別に、DSRC/ETCの通信中に、2.4GHz帯のような別の周波数帯に移動して無線LANの通信を実行することも可能であるが、無線LAN内の同一または近隣チャネルとの電波干渉が生じるおそれがある。
【0013】
図1は、実施例1に係る車両500の構成を示す。車両500は、無線装置100、端末装置200、通信装置300を含み、車両500の外に路側機400が備えられる。無線装置100は、第1帯域を使用する無線LANにおける通信装置である。無線装置100は、例えば、車両500に搭載されたカーナビゲーションシステム装置(図示せず)に内蔵される。端末装置200は、車両500の乗員によって車内に持ち込まれたスマートフォン等の通信装置である。端末装置200は、無線LAN以外の通信システムにも対応するが、ここでは無線LANのみに着目する。端末装置200は、第1帯域において無線装置100と通信する。
【0014】
通信装置300は、第2帯域を使用するDSRC/ETCにおける通信装置である。通信装置300は、車両500において無線装置100から数mの範囲内に搭載される。路側機400は、車両500の外に設置され、第2帯域において通信装置300と通信する。なお、車両500は走行しており、車両500が路側機400に近づいた場合に通信装置300と路側機400との通信が発生し、車両500が路側機400から離れた場合に通信装置300と路側機400との通信が発生しない。つまり、車内において無線LANによる無線装置100と端末装置200との通信が定常的になされている状況下において、無線LANとDSRC/ETCとの間の干渉が発生したり、しなかったりする。
【0015】
図2は、無線装置100の構成を示す。無線装置100は、アンテナ10、第1フィルタ12、第2フィルタ14、制御部18、通信部20、第3フィルタ30、第1監視部32を含む。通信部20は第2監視部34を含む。アンテナ10は、少なくとも第1帯域の信号を送受信可能に構成される。アンテナ10は、例えばパッチアンテナであるが、これに限定されない。アンテナ10には公知の技術が使用されればよい。第1フィルタ12は、アンテナ10と後述の通信部20の間に配置され、第1帯域の信号を通過させる。第1帯域の信号が、通信部20からアンテナ10に向かう送信信号である場合、この第1帯域の信号は第1信号に相当する。一方、第1帯域の信号がアンテナ10から通信部20に向かう送信信号である場合、この第1帯域の信号は、第1信号あるいはDSRC/ETCの信号(以下、「第2信号」という)の一部に相当する。
【0016】
図3(a)−(d)は、無線装置100による処理の概要を示す。図3(a)において、横軸は周波数を示す。図示のごとく、第1帯域600と第2帯域602が隣接して配置される。ここでは、一例として、第1帯域600がW56の周波数帯であり、第2帯域602がW58の周波数帯であるとするので、第2帯域602は第1帯域600の高周波数側に配置される。第1帯域600には第1信号620が示される。また、第1フィルタ特性610は第1フィルタ12の特性を示す。説明を明瞭にするために、第1フィルタ特性610における通過帯域が第1帯域600に一致するように示されているが、第1帯域600において最も高周波数側のチャネルの第1信号620を通過可能であれば一致せずにずれていてもよい。さらに、第1帯域600の低周波数側には、通信部20が使用する第1帯域600とは異なった第3帯域604が配置される。第3帯域604も無線LANが使用可能な帯域であり、例えば、2.4GHzの周波数帯である。他の説明は後述し、図2に戻る。
【0017】
通信部20は、第1帯域600を使用して無線LANの通信を実行する。つまり、通信部20は、図1の端末装置200との間で、第1信号620を送信したり、第1信号620を受信したりする。なお、通信部20は、端末装置200以外の無線LANの装置からの第1信号620を受信することもあるが、説明を明瞭にするために、ここでは、端末装置200以外の無線LANの装置を省略する。無線LANにおいて第1信号620の帯域幅は、20MHz、40MHz、80MHz、160MHz等と可変であるが、ここでは、例えば、40MHzであるとする。また、通信部20から送信される第1信号620の送信電力も可変であるが、ここでは一定の値であるとする。
【0018】
また、通信部20は、第3帯域604を使用して無線LANの通信を実行することも可能である。特に、通信部20は、第1帯域600と第3帯域604のいずれかを選択して無線LANの通信を実行する。第3フィルタ30は、アンテナ10と後述の通信部20の間に配置され、第3帯域604の信号(以下、「第3信号」という)を通過させる。図3(a)において、第3フィルタ特性614は第3フィルタ30の特性を示す。説明を明瞭にするために、第3フィルタ特性614における通過帯域が第3帯域604に一致するように示されているが、第3帯域604を含むようであれば一致していなくてもよい。図3(c)の第3帯域604には第3信号624が示される。図2に戻る。
【0019】
このような構成において、DSRC/ETCの通信がなされていない基本的な状態において、通信部20は、第1帯域600を使用して、第1信号620を送信したり、受信したりする。これらの処理の間において、第2監視部34は第3帯域604の各チャネルにおいて、プローブ要求信号を定期的にブロードキャスト送信する。つまり、第2監視部34は、第1帯域600における無線LAN通信の間に、第3帯域604においてアクティブスキャンを実行する。また、通信部20は、ブロードキャスト送信したプローブ要求信号に対応したプローブ応答信号を受信する。プローブ応答信号を受信することによって、第3帯域604を使用している無線LANの装置、例えばアクセス・ポイントが存在することが確認されるので、これは、第3帯域604の使用状況を監視することに相当する。また、第2監視部34は、アクティブスキャンによって、再接続のためのSSID(Service Set Identifier)、接続チャネル、認証情報を随時更新し、これらを含めた使用状況の監視結果を制御部18に出力する。
【0020】
第2フィルタ14は、第1フィルタ12とアンテナ10との間から分岐して配置される。第2フィルタ14には、アンテナ10からの受信信号が入力される。第2フィルタ14は、第1フィルタ12よりも狭い帯域幅を有するとともに、第1帯域600における第2帯域602よりの部分の信号を通過させる。図3(a)において、第2フィルタ14の特性は第2フィルタ特性612と示される。ここで、第2フィルタ特性612の最も高周波数側は、第1帯域600および第1フィルタ特性610の最も高周波数側に一致するように示されているが、これらよりも高周波数側であってもよい。図2に戻る。
【0021】
第1監視部32は、第2フィルタ14に接続され、第2フィルタ14から出力された信号を受けつける。特に、第1監視部32は、通信部20が第1信号620あるいは第3信号624を送信していないタイミングにおいて信号を受けつける。つまり、第1監視部32は、アンテナ10において受信した信号を受けつける。第1監視部32は、第2フィルタ14から出力された信号をもとに、第2帯域602の使用状況を監視する。この処理を具体的に説明するために、ここでは、図3(a)−(b)を使用する。図3(a)では、第1帯域600に第1信号620が存在するが、第2帯域602には信号が存在しない。つまり、図3(a)は、DSRC/ETCの通信がなされていない基本的な状態を示す。この場合、第2フィルタ14から出力された信号、つまり第2フィルタ特性612に含まれる信号は雑音程度であるので、その信号レベルは一般的に低い。ここで、信号レベルは例えば信号の電力によって示される。
【0022】
一方、図3(b)では、第2帯域602に第2信号622が存在する。つまり、図3(b)は、DSRC/ETCの通信がなされており、干渉が発生しうる状態を示す。この場合、第2フィルタ14から出力された信号、つまり第2フィルタ特性612に含まれる信号は、第2信号622の漏洩した成分であるので、その信号レベルは漏洩電力程度になり、雑音レベルより大きくなる。図2に戻る。つまり、第1監視部32は、第2フィルタ14から出力された信号のレベルを算出し、信号レベルがしきい値よりも低ければ、第2帯域602が未使用であると判定する。一方、第1監視部32は、信号レベルがしきい値以上であれば、第2帯域602が使用されていると判定する。これは、第2帯域602の第2信号622の漏洩した成分を利用して、第2帯域602の使用状況を監視しているといえる。第1監視部32は、判定結果を制御部18に出力する。
【0023】
制御部18は、第1監視部32から判定結果を受けつけ、判定結果をもとに、通信部20における通信のための設定を制御する。通信部20における通信のための設定は、例えば、第1帯域600を使用するか、あるいは第3帯域604を使用するかである。第1監視部32における判定結果である使用状況が未使用である場合、制御部18は、前述のごとく、第1帯域600を設定する。
【0024】
一方、制御部18は、第1監視部32において監視される使用状況が未使用から使用に変化した場合、第2監視部34において監視される使用状況を確認する。制御部18は、第3帯域604の使用状況において使用されていないチャネル、つまりプローブ応答信号を受信していないチャネルを選択する。なお、すべてのチャネルが使用されている場合、制御部18はチャネルを選択しなくてもよく、あるいはプローブ応答信号を受信した数の少ないチャネルを選択してもよい。チャネルを選択した場合、制御部18は、通信部20に対して、第1帯域600の使用から、第3帯域604のうちの選択したチャネルの使用に変更させる。これは、第3帯域604のうちトラヒックの少ないチャネルに接続させることに相当する。このような制御の結果は図3(c)のように示される。第1帯域600における第1信号620の送信が停止され、その代わりに、第3帯域604において第3信号624が送信される。
【0025】
このように通信部20は、第3帯域604を使用して、第3信号624を送信したり、受信したりする。これらの処理の間において、第2監視部34は第1帯域600の各チャネルにおいて、プローブ要求信号を定期的にブロードキャスト送信する。つまり、第2監視部34は、第3帯域604における無線LAN通信の間に、第1帯域600においてアクティブスキャンを実行する。また、通信部20は、ブロードキャスト送信したプローブ要求信号に対応したプローブ応答信号を受信する。プローブ応答信号を受信することによって、第1帯域600を使用している無線LANの装置、例えばアクセス・ポイントが存在することが確認されるので、これは、第1帯域600の使用状況を監視することに相当する。また、第2監視部34は、アクティブスキャンによって、再接続のためのSSID、接続チャネル、認証情報を随時更新し、これらを含めた使用状況の監視結果を制御部18に出力する。
【0026】
通信部20が第3帯域604を使用している間も、第1監視部32は、第2フィルタ14から出力された信号をもとに、第2帯域602の使用状況を監視する。図3(d)は、第2帯域602の使用状況が不使用に変わった場合を示す。制御部18は、第1監視部32において監視される使用状況が使用から未使用に変化した場合、第2監視部34において監視される使用状況を確認する。制御部18は、第1帯域600の使用状況において使用されていないチャネル、つまりプローブ応答信号を受信していないチャネルを選択する。なお、すべてのチャネルが使用されている場合、制御部18はチャネルを選択しなくてもよく、プローブ応答信号を受信した数の少ないチャネルを選択してもよい。チャネルを選択した場合、制御部18は、通信部20に対して、第3帯域604の使用から、第1帯域600のうちの選択したチャネルの使用に変更させる。これは、第1帯域600のうちトラヒックの少ないチャネルに接続させることに相当する。
【0027】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0028】
以上の構成による無線装置100の動作を説明する。図4は、無線装置100による処理手順を示すフローチャートである。第1監視部32は、第2帯域602の使用状況を監視する(S10)。通信部20が第1帯域600を使用中である場合に(S12のY)、第2帯域602の使用状況が使用中であれば(S14のY)、制御部18は第3帯域604に移動させる(S16)。第2帯域602の使用状況が使用中でなければ(S14のN)、ステップ16をスキップする。通信部20が第1帯域600を使用中でない場合(S12のN)、つまり第3帯域604を使用中である場合に、第2帯域602の使用状況が使用中でなければ(S18のN)、制御部18は第1帯域600に移動させる(S20)。第2帯域602の使用状況が使用中であれば(S18のY)、ステップ20をスキップする。
【0029】
本実施例によれば、無線LANとは異なったDSRC/ETCに使用される第2帯域の使用状況を監視し、使用状況が未使用から使用に変化した場合、第3帯域の使用状況をもとに、第1帯域の使用から第3帯域の使用に変更させるので、DSRC/ETCに与える影響を低減できる。また、第2帯域の使用状況が使用から未使用に変化した場合、第1帯域の使用状況をもとに、第3帯域の使用から第1帯域の使用に変更させるので、DSRC/ETCに与える影響が少なければ、第1帯域を使用できる。また、第1フィルタよりも狭い帯域幅を有するとともに、第1帯域における第2帯域よりの部分の信号を通過させる第2フィルタからの出力をもとに、第2帯域の使用状況を監視するので、装置内で第2帯域の使用状況を推定できる。
【0030】
また、干渉の発生が抑制されるので、車内という狭空間でも無線装置と通信装置を離すことなく設置できる。また、無線LANにおける設定を変更するので、既にあるDSRC/ETCの交通車両用狭域通信システムインフラは変更することなく、安定したDSRC/ETCの交通車両用狭域通信システム動作を確保できる。また、走行中に、常に接続以外の周波数帯に対してプローブ要求信号によって、周囲環境を確認するので、走行により様々変化する電波環境下においてもDSRC/ETCを検出した場合にすぐに所望の周波数帯で無線LANを再接続できる。
【0031】
(実施例2)
次に、実施例2を説明する。実施例2は、実施例1と同様に無線LANの無線装置に関する。実施例1では、第2フィルタから出力された信号をもとに、第2帯域の使用状況を監視している。実施例2では、実施例1とは異なった構成によって、第2帯域の使用状況を監視する。実施例2における車両500は図1と同様のタイプである。ここでは、実施例1との差異を中心に説明する。
【0032】
図5は、実施例2に係る無線装置100の構成を示す。無線装置100は、アンテナ10、第1フィルタ12、制御部18、通信部20、入力部22、第3フィルタ30、第1監視部32含む。また、通信部20は第2監視部34を含む。入力部22は、有線または無線で通信装置300に接続される。通信装置300は、DSRC/ETCによる通信を実行する場合、それが示された信号を入力部22に出力する。この信号は、第2帯域602の使用を示す信号といえる。
【0033】
第1監視部32は、入力部22において受けつけた信号をもとに、第2帯域602の使用状況を監視する。つまり、第1監視部32は、入力部22において信号を受けつけていなければ、第2帯域602が未使用であると判定する。一方、第1監視部32は、入力部22において信号を受けつけていれば、第2帯域602が使用されていると判定する。なお、入力部22において受けつけた信号には、第2帯域602が使用されているか未使用であるかの情報が含まれており、第1監視部32は情報をもとに判定してもよい。第1監視部32は、判定結果を制御部18に出力する。
【0034】
本実施例によれば、通信装置からの信号をもとに、第2帯域の使用状況を監視するので、使用状況の認識精度を向上できる。
【0035】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0036】
実施例1、2において、無線装置100に制御部18、第1監視部32、第2監視部34が含まれている。しかしながらこれに限らず例えば、端末装置200も無線装置100と同様に、制御部18、第1監視部32、第2監視部34を含むように構成されて、無線装置100と同様の処理を実行してもよい。本変形例によれば、実施例1、2の適用範囲を拡大できる。
【0037】
実施例1、2において、第1帯域600が無線LANに使用され、第2帯域602がDSRC/ETCに使用されるとしている。しかしながらこれに限らず例えば、第1帯域600および第2帯域602は、無線LAN、DSRC/ETCとは別の通信システムに使用されてもよい。本変形例によれば、実施例1、2の適用範囲を拡大できる。
【符号の説明】
【0038】
10 アンテナ、 12 第1フィルタ、 14 第2フィルタ、 18 制御部、 20 通信部、 30 第3フィルタ、 32 第1監視部、 34 第2監視部、 100 無線装置。
図1
図2
図3
図4
図5