(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
物品支持棚の実施形態について、図面を参照して説明する。ここでは、本開示に係る物品支持棚を、物品支持棚に対する物品の出し入れを搬送装置によって行う物品保管設備に適用した場合を例として説明する。
【0011】
図1に示すように、物品保管設備100は、物品2を支持する棚部10を備えた物品支持棚1と、物品2を棚部10に又は棚部10から搬送する搬送装置40と、を備えている。棚部10は、水平面に沿う第1方向Xに沿って複数の物品2を並べて支持可能に構成されている。本実施形態では、棚部10は、更に、平面視(鉛直方向Z視)で第1方向Xに直交する方向(ここでは、水平面において第1方向Xに直交する方向)である第2方向Yに沿って複数の物品2(具体的には2つの物品2)を並べて支持可能に構成されている。搬送装置40は、物品支持棚1の前面に沿う移動経路Rを第1方向Xに移動して物品2を搬送する。移動経路Rは、物品支持棚1に対して第2方向Yの一方側である前面側Y1に隣接する位置に形成されている。言い換えれば、物品支持棚1は、移動経路Rに対して第2方向Yの他方側である背面側Y2に隣接する位置に設置されている。本実施形態では、物品支持棚1は、移動経路Rを間に挟んで第2方向Yに対向するように一対設置されており、搬送装置40に設けられて搬送装置40と棚部10との間で物品2を移載する移載装置41は、一対の物品支持棚1のいずれの棚部10に対しても物品2を移載可能に構成されている。
【0012】
図2及び
図3に示すように、物品支持棚1は、棚部10を鉛直方向Zに複数段備えている。すなわち、物品支持棚1は、鉛直方向Zに並ぶ複数の段(棚段)のそれぞれに物品2を支持可能に構成されている。本実施形態では、搬送装置40はスタッカークレーンである。具体的には、
図1に示すように、搬送装置40は、床部に設置されたレール45に案内されて第1方向Xに走行自在な走行台車44と、走行台車44に立設されたマストに案内されて鉛直方向Zに移動自在な(すなわち、昇降自在な)昇降体43と、を備えており、移載装置41は、昇降体43に支持されている。昇降体43が移載対象の棚部10に対応する高さに昇降した状態で、移載装置41によって搬送装置40と棚部10との間で物品2が移載される。本実施形態では、移載装置41は、物品2を下方から支持する支持体42を第2方向Yに出退移動自在に備えており、支持体42を棚部10側に突出させた状態で昇降体43を昇降させることで、搬送装置40(支持体42)と棚部10との間で物品2が移載される。
【0013】
搬送装置40は、物品保管設備100が備える制御装置(図示せず)による制御を受けて、物品2の搬送作動を行う。搬送装置40により行われる物品2の搬送作動には、物品2を物品支持棚1(棚部10)に搬送する入庫用搬送作動と、物品2を物品支持棚1(棚部10)から搬送する出庫用搬送作動とが含まれる。入庫用搬送作動によって物品支持棚1に搬入された物品2は、出庫用搬送作動によって物品支持棚1から搬出されるまでの間、棚部10に支持された状態で物品支持棚1に保管される。
【0014】
図2及び
図3に示すように、物品支持棚1は、各段の棚部10に設けられて物品2を下方から支持する棚体20と、棚体20を支持する棚体支持部材30と、を備えている。棚体20は、棚体支持部材30に固定される被固定部26を備えており、棚体20は、棚体支持部材30により背面側Y2から片持ち状態で支持されている。本実施形態では、棚体支持部材30は、鉛直方向Zに沿って延びるように床部に立設された支柱であり、
図1に示すように、棚体支持部材30は、第1方向Xに並ぶ状態で複数設けられている。各段の棚部10に設けられる棚体20は、第1方向Xに並ぶ複数の棚体支持部材30によって支持されている。
【0015】
棚体20は、水平面に沿う板状の本体部21を備えている。本体部21は、物品2を下方から接触支持する。すなわち、物品2は、本体部21によって下方から接触支持されることで、本体部21を備える棚体20によって下方から支持される。本実施形態では、上述したように、移載装置41の支持体42を棚部10側に突出させた状態で昇降体43を昇降させることで、搬送装置40(支持体42)と棚部10との間で物品2が移載されるため、本体部21には、支持体42を鉛直方向Zに通過させるための切り欠き(ここでは、矩形状の切り欠き)が形成されている。すなわち、本体部21は、鉛直方向Zに見て前面側Y1に開口するU字状(ここでは、角張ったU字状)に形成されている。本実施形態では、
図3及び
図4に示すように、1つの本体部21は、第2方向Yの同じ位置に1つの物品2のみを支持可能に構成されており、棚体20は、第1方向Xに並ぶ状態で複数の本体部21を備えている。よって、本実施形態では、各段の棚部10は、最大で、当該棚部10に設けられた棚体20が備える本体部21の数と同数の物品2を、第1方向Xに沿って並べて支持することができる。また、
図2及び
図4に示すように、本実施形態では、1つの本体部21は、2つの物品2を第2方向Yに沿って並べて支持可能に構成されている。
【0016】
棚体20は、本体部21とは別に、棚体支持部材30に取り付けられた状態で本体部21を下方から支持するブラケット部材22を備えている。
図3及び
図4に示すように、棚体20は、第1方向Xに並ぶ状態で複数のブラケット部材22を備えている。
図2に示すように、ブラケット部材22は、棚体支持部材30から前面側Y1に突出するように棚体支持部材30に取り付けられており、本体部21は、ブラケット部材22における棚体支持部材30から前面側Y1に突出する部分によって下方から支持されるように、ブラケット部材22に固定されている。棚体20を棚体支持部材30に固定するための上述した被固定部26は、ブラケット部材22(ここでは、ブラケット部材22の背面側Y2の端部)に設けられており、本体部21は、ブラケット部材22に固定されることで、棚体支持部材30により背面側Y2から片持ち状態で支持されている。
【0017】
ブラケット部材22は、リブ部23を備えている。
図2に示すように、リブ部23は、本体部21に対して下方に突出するように形成されていると共に、棚体支持部材30から前面側Y1に向かって延びるように形成されている。
図4に示すように、リブ部23は、棚体支持部材30から前面側Y1に向かって第2方向Yに平行に延びるように形成されている。また、リブ部23の第1方向Xの幅は、リブ部23の鉛直方向Zの幅よりも小さく形成されている。すなわち、リブ部23は、鉛直面(第1方向Xに直交する鉛直面)に沿う向きの板状に形成されている。このように、棚体20は、本体部21とリブ部23とを備えており、本実施形態では、棚体20が本体部21とは別に備えるブラケット部材22に、リブ部23が形成されている。
【0018】
ブラケット部材22は、水平面に沿う向きでリブ部23の上端に連結される上面板状部24を備えている。
図3及び
図6に示すように、上面板状部24は、リブ部23よりも第1方向Xの幅が大きく形成されており、上面板状部24の下面における第1方向Xの中間部(本実施形態では、中央部)にリブ部23の上端が連結されている。本実施形態では、上面板状部24の第1方向Xの幅は、第2方向Yに沿って均一に形成されている。本体部21は、上面板状部24に上方から当接した状態で、ブラケット部材22に固定されている。本体部21は、例えば、ビス又はリベット等の締結具を用いてブラケット部材22(上面板状部24)に固定され、或いは、溶接によりブラケット部材22(上面板状部24)に固定される。
【0019】
図3及び
図4に示すように、本体部21における第1方向Xの一方側(以下、「第1側」という。)の端部は、ブラケット部材22(以下、「第1ブラケット部材」という。)の上面板状部24における第1方向Xの中心よりも第1方向の他方側(以下、「第2側」という。)の部分に上方から当接した状態で、当該第1ブラケット部材に固定されている。また、本体部21における第2側の端部は、第1ブラケット部材に対して第2側に隣接して配置されたブラケット部材22(以下、「第2ブラケット部材」という。)の上面板状部24における第1方向Xの中心よりも第1側の部分に上方から当接した状態で、当該第2ブラケット部材に固定されている。すなわち、本体部21は、第1方向Xに隣接する一対のブラケット部材22(第1ブラケット部材及び第2ブラケット部材)によって第1方向Xの両側から支持されている。
【0020】
図2及び
図6に示すように、ブラケット部材22は、鉛直面(第2方向Yに直交する鉛直面)に沿う向きでリブ部23の背面側Y2の端部に連結される背面板状部25を備えている。
図3及び
図5に示すように、背面板状部25は、リブ部23よりも第1方向Xの幅が大きく形成されており、背面板状部25の前面側Y1の面における第1方向Xの中間部(本実施形態では、中央部)にリブ部23の背面側Y2の端部が連結されている。本実施形態では、背面板状部25の第1方向Xの幅は、鉛直方向Zに沿って均一に形成されている。背面板状部25は、棚体支持部材30に対して前面側Y1から当接した状態で、棚体支持部材30に固定されている。すなわち、本実施形態では、背面板状部25が、棚体20を棚体支持部材30に固定するための上述した被固定部26として用いられている。
【0021】
本実施形態では、背面板状部25は、締結ボルト90を用いて棚体支持部材30に固定されている。具体的には、
図5及び
図6に示すように、棚体支持部材30における前面側Y1の端部には、背面側Y2に窪む形状の溝部32(凹溝)が、鉛直方向Zに沿って延びるように形成されている。溝部32は、棚体支持部材30における背面板状部25が当接する外面(前面側Y1の端面)に開口するように形成されている。また、溝部32の鉛直方向Zに直交する断面形状は、鉛直方向Zに沿って均一に形成されている。本実施形態では、第1方向Xに並ぶ状態で2つの溝部32が棚体支持部材30に形成されている。溝部32の内部には、締結ボルト90における頭部を含む部分(具体的には、頭部の全体と軸部における頭部側の一部とを含む部分)を、軸部が頭部に対して前面側Y1となる向きで鉛直方向Zに挿入可能な空間が形成されている。溝部32における締結ボルト90の軸部が挿入される部分(溝部32における前面側Y1の開口部)の第1方向Xの幅は、溝部32に挿入された状態での締結ボルト90の頭部の第1方向Xの幅よりも狭く形成されている。よって、頭部を含む部分が溝部32に挿入された締結ボルト90は、溝部32から前面側Y1に頭部が抜けることを規制された状態で(すなわち、前面側Y1への締結ボルト90の移動が規制された状態で)、溝部32の延在方向である鉛直方向Zに沿って移動自在な状態となる。
【0022】
締結ボルト90における頭部を含む部分が溝部32に挿入された状態で、締結ボルト90の軸部における先端部(頭部とは反対側の端部)を含む部分は、溝部32の外側(溝部32に対して前面側Y1)に配置される。背面板状部25には、締結ボルト90の軸部が背面側Y2から挿通される挿通孔が、背面板状部25を第2方向Yに貫通するように形成されている。そして、この挿通孔に締結ボルト90の軸部が挿通されるように背面板状部25が棚体支持部材30に対して配置された状態で締結ボルト90の軸部にナット91を螺合させることで、背面板状部25が棚体支持部材30に締結固定されている。なお、本実施形態では、棚体支持部材30の外面(前面側Y1の端面)における背面板状部25が当接する当接部分と、棚体支持部材30の外面(前面側Y1の端面)における背面板状部25が当接しない非当接部分(当接部分に対して鉛直方向Zに隣接する部分)とが、第2方向Yの同じ位置に配置されている。
【0023】
本実施形態では、4つの締結ボルト90を用いて背面板状部25が棚体支持部材30に締結固定されている。また、本実施形態では、締結ボルト90として、当該締結ボルト90の中心軸に平行な方向視(軸部の延在方向視)での頭部の外形が長辺と短辺とを有する矩形状(長方形状)に形成されたTボルトを用いている。締結ボルト90の頭部は、当該矩形の短辺が第1方向Xに沿い当該矩形の長辺が鉛直方向Zに沿う向きで溝部32に挿入されている。そして、溝部32における締結ボルト90の頭部が挿入される部分の第1方向Xの幅は、当該矩形の短辺の長さよりも大きく(ここでは、僅かに大きく)、当該矩形の対角線の長さよりも小さく(ここでは、当該矩形の長辺の長さよりも小さく)形成されている。よって、締結ボルト90の頭部が溝部32に挿入された状態では、締結ボルト90の中心軸回りの締結ボルト90の回転が溝部32によって規制される(すなわち、締結ボルト90は回り止めされる)。これにより、ブラケット部材22を棚体支持部材30に取り付ける際に、締結ボルト90の軸部に対してナット91を螺合させることが容易となっている。
【0024】
以上のように、物品支持棚1の各段の棚部10に設けられる棚体20は、物品2を下方から支持(接触支持)する本体部21に加えて、リブ部23を備えている。このようなリブ部23を設けることで、棚体支持部材30により片持ち状態で支持される棚体20の曲げモーメントに対する強度を高めて、棚体20による物品2の支持強度を適切に確保することが可能となっている。なお、このようなリブ部23は、物品支持棚1における物品2の保管効率の低下を抑制できる形態で設けられることが望ましい。以下、物品2の保管効率の低下を抑制することを可能とするリブ部23の配置構成について説明する。
【0025】
図4に示すように、物品支持棚1に支持される物品2の外面は、幅方向Wの大きさが最大となる最大幅領域A1と、幅方向Wに直交する奥行方向Dに向かうに従って幅方向Wの大きさが小さくなる幅減少領域A2とを有している。ここで、幅方向W及び奥行方向Dは、いずれも水平面に沿う方向である。すなわち、ここでの物品2の外面は、平面視での物品2の外面を意味する。また、奥行方向Dはベクトルである。なお、“幅方向Wの大きさが最大”とは、幅方向Wの大きさが、最大値を上限とし最大値以下の所定値を下限とする範囲に含まれることを意味する。この所定値は、最大値と同じ値とすることも、最大値より小さな値(例えば、最大値の95%の値)とすることもできる。
【0026】
図4に示す例では、最大幅領域A1は、物品2における奥行方向Dの中心部を跨いで奥行方向Dの両側に亘って形成されている。また、幅減少領域A2は、最大幅領域A1の奥行方向D側の端部と物品2における奥行方向D側の端部との間に形成されている。そして、物品2は、奥行方向Dが背面側Y2を向く姿勢で棚体20(本体部21)に支持される。すなわち、搬送装置40は、奥行方向Dが背面側Y2を向く姿勢で物品2が棚体20(本体部21)に支持されるように、移載装置41による物品2の移載作動を制御する。
【0027】
本実施形態では、物品2は、半導体基板を収容する容器であり、具体的には、FOUP(Front Opening Unified Pod)である。詳細は省略するが、物品2は、奥行方向Dとは反対側の端部に、基板出し入れ用の開口部を開閉する蓋体を備えている。また、物品2の底面には、本体部21に形成された位置決め用のピン21aが係合する凹部が形成されており、物品2は、ピン21aと当該凹部との係合により本体部21に対して位置決めされた状態で、本体部21に支持される。また、物品2の上面には、天井搬送車等の搬送装置によって把持されるフランジ部2aが形成されている。フランジ部2aは、幅方向W及び奥行方向Dの双方で、物品2における半導体基板の収容空間を区画形成する部分(本体部)の両端部間に配置されており、上述した最大幅領域A1や幅減少領域A2は、物品2の本体部(すなわち、物品2における少なくともフランジ部2aを除く部分)の外面によって定まる領域である。なお、物品2の本体部に含まれない部材の例として、フランジ部2aの他に、物品2の側面に設けられる取っ手を挙げることができる。
【0028】
図2に示すように、リブ部23は、当該リブ部23が設けられた棚体20よりも1つ下の段の棚体20(以下、「下段棚体」という。)に支持される物品2(以下、「下段物品」という。)よりも上方に配置される第1部分23aと、第1部分23aよりも下方に配置される第2部分23bと、を備えている。ここでは、一例として、リブ部23の前面側Y1の端部における最下部の高さ(鉛直方向Zの位置)を基準高さとして、リブ部23における当該基準高さよりも上方に位置する部分を第1部分23aとし、リブ部23における当該基準高さよりも下方に位置する部分を第2部分23bとしている。
【0029】
図4に示すように、リブ部23は、平面視で、下段棚体において第1方向Xに隣接して支持される2つの物品2(2つの下段物品)の間に配置される。そして、
図2に示すように、第2部分23bは、下段物品における最大幅領域A1に対して第1方向X視で重複しないように配置される。なお、上述したように、最大幅領域A1は、物品2における少なくともフランジ部2aを除く部分の外面によって定まるため、第2部分23bは、下段物品のフランジ部2aに対して第1方向X視で重複するように配置されてもよい。本実施形態では、第2部分23bは、下段物品のフランジ部2aに対して第1方向X視で重複しないように配置されている。また、第2部分23bは、下段物品(本実施形態のように複数の物品2が第2方向Yに沿って並べて棚体20に支持される場合には、最も背面側Y2に配置される下段物品)における幅減少領域A2及び幅減少領域A2よりも背面側Y2の部分の少なくとも一方に対して第1方向X視で重複するように配置される。本実施形態では、幅減少領域A2の奥行方向D側の端部が物品2の奥行方向D側の端部と一致するため、第2部分23bは、下段物品における幅減少領域A2に対して第1方向X視で重複するように配置される。
【0030】
このようにリブ部23を配置することで、
図2及び
図5に示すように、第1方向Xに隣接して棚体20に支持される2つの物品2のそれぞれの最大幅領域A1同士が第1方向Xに対向する空間には、リブ部23の第1部分23aだけでなくリブ部23の第2部分23bも存在しない構成とすることができる。なお、
図5では、物品2を簡略化してその外形を表す線分のみを示している。この結果、
図5に示すように、第1方向Xに隣接して棚体20に支持される2つの物品2の最大幅領域A1での第1方向Xの離間距離(第1離間距離L1)を、上記対向する空間にリブ部23が配置される場合に比べて短くすることができ、その分、物品支持棚1における物品2の保管効率を高く確保することが可能となっている。なお、第1離間距離L1は、例えば、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格によって規定される、FOUPと他の物体(他のFOUP、支持柱、支持壁等)との間に最低限確保する必要がある離間距離(以下、「必要離間距離」という。)に応じた値とすることができる。この必要離間距離は、移載装置によるFOUPの移載精度等に応じて定められる。
【0031】
一方、
図2及び
図5に示すように、第1方向Xに隣接して棚体20に支持される2つの物品2(最も背面側Y2に配置される2つの物品2)のそれぞれの幅減少領域A2同士が第1方向Xに対向する空間には、リブ部23の第2部分23bが存在するが、幅減少領域A2では最大幅領域A1に比べてこれら2つの物品2の第1方向Xの離間距離が長くなる。そのため、これら2つの物品2のそれぞれの幅減少領域A2同士が第1方向Xに対向する空間に第2部分23bが配置される構成としても、物品2の外面と第2部分23bとの離間距離(第2離間距離L2)を規定値以上に確保しつつ、上述した第1離間距離L1を短く抑えることができる。このように、第2部分23bは、物品2の外面(幅減少領域A2)に対して規定値以上離間するように配置される。この規定値は、例えば、SEMI規格によって規定される上述した必要離間距離とすることができる。
【0032】
このように第1方向Xに隣接して棚体20に支持される2つの物品2のそれぞれの幅減少領域A2同士が第1方向Xに対向する空間に第2部分23bを配置することができる結果、
図2に示すように、リブ部23の背面側Y2の端部における鉛直方向Zの幅や、背面板状部25の鉛直方向Zの幅を、棚体20による物品2の支持強度を適切に確保することができる程度に大きく確保することが容易となっている。なお、
図2では、第2部分23bの鉛直方向Zの幅が、背面側Y2に向かうに従って連続的に大きくなる構成(言い換えれば、第2部分23bの下端部(リブ部23の下端部)が、背面側Y2に向かうに従って連続的に下方に向かう構成)を例として示しているが、第2部分23bの鉛直方向Zの幅が、背面側Y2に向かうに従って段階的に大きくなる構成とすることもできる。
【0033】
また、上述したように、リブ部23は、平面視で、下段棚体において第1方向Xに隣接して支持される2つの物品2(2つの下段物品)の間に配置されるため(
図4参照)、1つのリブ部23を、第1方向Xに隣接して配置される2つの本体部21で共用することが可能となっている。これにより、本体部21のそれぞれに対して専用の2つのリブ部23を設ける場合に比べて、棚体20が備えるリブ部23の総数を小さく抑えて、物品支持棚1の構成の簡素化を図ることも可能となっている。
【0034】
〔その他の実施形態〕
次に、物品支持棚のその他の実施形態について説明する。
【0035】
(1)上記の実施形態では、棚体支持部材30の外面(前面側Y1の端面)における背面板状部25が当接する当接部分と、棚体支持部材30の外面(前面側Y1の端面)における背面板状部25が当接しない非当接部分とが、第2方向Yの同じ位置に配置される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、棚体支持部材30の当接部分と非当接部分とが第2方向Yの互いに異なる位置に配置される構成とすることもできる。このような構成の例を
図7に示す。
【0036】
図7に示す例では、棚体支持部材30の当接部分が、棚体支持部材30の非当接部分よりも背面側Y2に配置されている。すなわち、この例では、棚体支持部材30の外面における背面板状部25が前面側Y1から当接する当接部分に、鉛直方向Zに隣接する非当接部分に対して背面側Y2に窪む凹部が被嵌合部31として形成され、背面板状部25は被嵌合部31に嵌合した状態で棚体支持部材30に固定されている。このように、棚体支持部材30が、被固定部26(この例では、背面板状部25)と嵌合する被嵌合部31を備える構成とすることができる。被固定部26と被嵌合部31とが嵌合する構成とすることで、棚体20(ここでは、ブラケット部材22)の棚体支持部材30に対する取り付け時の棚体20(ブラケット部材22)の位置決めが容易となる。
【0037】
被固定部26と被嵌合部31との嵌合は、少なくとも鉛直方向Zの相対移動が規制される嵌合であると好適であり、
図7に示す例では、背面板状部25と被嵌合部31とが、鉛直方向Zの相対移動が規制されるように嵌合する。被固定部26と被嵌合部31とが少なくとも鉛直方向Zの相対移動が規制されるように嵌合する構成とすることで、被固定部26と被嵌合部31との嵌合面によって棚体20に作用する曲げモーメントを支持し易くなる。なお、被固定部26と被嵌合部31との嵌合の形態は適宜変更可能であり、例えば、被固定部26が嵌合する凹部が棚体支持部材30(被嵌合部31)に形成される構成に代えて、棚体支持部材30(被嵌合部31)が嵌合する凹部が被固定部26に形成される構成とすることもできる。
【0038】
(2)上記の実施形態では、幅減少領域A2の奥行方向D側の端部が物品2の奥行方向D側の端部と一致し、第2部分23bが、下段物品における幅減少領域A2に対して第1方向X視で重複するように配置される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、物品2の外面が、幅減少領域A2よりも奥行方向D側に配置される領域(例えば、幅方向Wの大きさが一定となる領域)を有する構成とすることができる。この場合、第2部分23bは、下段物品における幅減少領域A2及び幅減少領域A2よりも背面側Y2の部分の少なくとも一方に対して第1方向X視で重複するように配置される。
【0039】
(3)上記の実施形態では、1つの本体部21が、第2方向Yの同じ位置に1つの物品2のみを支持可能な構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、1つの本体部21が、第2方向Yの同じ位置に複数の物品2を第1方向Xに並べて支持可能な構成とすることもできる。
【0040】
(4)上記の実施形態では、棚体20が本体部21とは別にブラケット部材22を備え、ブラケット部材22にリブ部23が形成される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、リブ部23が本体部21と一体的に形成される構成や、リブ部23及び背面板状部25が本体部21と一体的に形成される構成とすることもできる。
【0041】
(5)上記の実施形態では、背面板状部25が、棚体20を棚体支持部材30に固定するための被固定部26として用いられる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、リブ部23における背面側Y2の端部が被固定部26として用いられる構成や、本体部21における背面側Y2の端部が被固定部26として用いられる構成とすることもできる。
【0042】
(6)上記の実施形態では、棚体支持部材30が、床部に立設された支柱である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、棚体支持部材30が床部又は天井部に固定された支持枠である構成や、棚体支持部材30が床部に固定された壁部である構成とすることもできる。
【0043】
(7)上記の実施形態では、移載装置41が、物品2を下方から支持する支持体42を第2方向Yに出退移動自在に備え、支持体42を棚部10側に突出させた状態で昇降体43を昇降させることで、搬送装置40と棚部10との間で物品2が移載される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、移載装置41が、物品2のフランジ部2aを把持する把持部を第2方向Yに出退移動自在に備え、把持部を棚部10側に突出させた状態で昇降体43の昇降作動及び把持部の開閉作動を行うことで、搬送装置40と棚部10との間で物品2が移載される構成とすることもできる。
【0044】
(8)上記の実施形態では、棚部10が、第2方向Yに沿って2つの物品2を並べて支持可能な構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、棚部10が、第2方向Yに沿って3つ以上の物品2を並べて支持可能な構成や、各段の棚部10における第1方向Xの同じ位置に1つの物品2のみを支持可能な構成とすることもできる。
【0045】
(9)上記の実施形態では、物品支持棚1が移動経路Rを間に挟んで第2方向Yに対向するように一対設置される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、物品支持棚1が移動経路Rに対して第2方向Yの一方側にのみ設置される構成とすることもできる。
【0046】
(10)上記の実施形態では、物品2が半導体基板を収容するFOUPである構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、物品2を、レチクルを収容する容器等の半導体基板以外の収容物を収容する容器とすることもできる。また、物品2を、容器以外の物品とすることもできる。
【0047】
(11)上記の実施形態では、搬送装置40がスタッカークレーンである構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、搬送装置40を、自身の現在位置を認識しながら床部を自律走行する搬送装置、物品支持棚1の各段に対応して第1方向Xに沿って設けられた移動経路Rを走行する搬送装置、天井側に設けられたレールに支持された状態で当該レールに案内されて走行する搬送装置(天井搬送車)等の、スタッカークレーン以外の搬送装置とすることもできる。
【0048】
(12)上記の実施形態では、本開示に係る物品支持棚を、物品支持棚1に対する物品2の出し入れが搬送装置40によって行われる物品保管設備100に適用した場合を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、本開示に係る物品支持棚を、このような搬送装置が設けられない設備(例えば、物品支持棚1に対する物品2の出し入れが作業者によって行われる設備)に適用することも可能である。
【0049】
(13)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0050】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品支持棚の概要について説明する。
【0051】
水平面に沿う第1方向に沿って複数の物品を並べて支持可能な棚部を、鉛直方向に複数段備えた物品支持棚であって、各段の前記棚部に設けられて前記物品を下方から支持する棚体と、前記棚体を支持する棚体支持部材と、を備え、前記棚体は、水平面に沿う板状の本体部と、前記本体部に対して下方に突出するように形成されて、前記棚体支持部材から平面視で前記第1方向に直交する第2方向の一方側である前面側に向かって延びるリブ部と、を備え、前記棚体支持部材により前記第2方向の他方側である背面側から片持ち状態で支持され、
前記本体部は、前記物品と、前記物品とは別の別物品とを、前記別物品が前記物品に対して前記前面側に配置される状態で、前記第2方向に沿って並べて支持可能に構成され、前記リブ部は、前記第2方向における前記別物品の配置領域まで延在するように配置され、前記物品の外面は、幅方向の大きさが最大となる最大幅領域と、前記幅方向に直交する奥行方向に向かうに従って前記幅方向の大きさが小さくなる幅減少領域とを有し、前記物品は、前記奥行方向が前記背面側を向く姿勢で前記棚体に支持され、前記リブ部は、平面視で、当該リブ部が設けられた前記棚体よりも1つ下の段の前記棚体である下段棚体におい
て前記第1方向に隣接して支持される2つの前記物品の間に
、これら2つの前記物品と重複しないように配置され
ていると共に、
平面視で、前記下段棚体において前記第1方向に隣接して支持される2つの前記別物品の間に、これら2つの前記別物品と重複しないように配置され、前記リブ部は、前記下段棚体に支持される前記物品である下段物品よりも上方に配置される第1部分と、前記第1部分よりも下方に配置される第2部分と、を備え、前記第2部分は、前記下段物品における前記最大幅領域に対して前記第1方向視で重複せず、前記下段物品における前記幅減少領域及び前記幅減少領域よりも前記背面側の部分の少なくとも一方に対して前記第1方向視で重複するように配置されている。
【0052】
この構成によれば、棚体が本体部に加えてリブ部を備えるため、棚体支持部材により片持ち状態で支持される棚体の曲げモーメントに対する強度を高めて、棚体による物品の支持強度を適切に確保することが可能となる。
そして、上記の構成によれば、このように物品の支持強度を適切に確保するためのリブ部が、下段棚体に支持される下段物品よりも上方に配置される第1部分と、第1部分よりも下方に配置される第2部分とを備え、第2部分が、下段物品における最大幅領域に対して第1方向視で重複しないように配置される。これにより、第1方向に隣接して配置される2つの下段物品のそれぞれの最大幅領域同士が第1方向に対向する空間には、リブ部の第1部分だけでなくリブ部の第2部分も存在しない構成とすることができる。この結果、この対向する空間にリブ部が配置される場合に比べて、下段物品の周囲の他の物体との距離を確保しつつ、第1方向に隣接して配置される2つの下段物品の最大幅領域での第1方向の離間距離を短くすることができ、その分、物品支持棚における物品の保管効率を高く確保することができる。
更には、上記の構成によれば、リブ部の第2部分が、下段物品における幅減少領域及び幅減少領域よりも背面側の部分の少なくとも一方に対して第1方向視で重複するように配置される。これにより、第2部分の全体が下段物品に対して第1方向視で重複しないように配置される場合に比べて、リブ部の背面側の端部における鉛直方向の大きさを、棚体による物品の支持強度を適切に確保することができる程度に大きく確保することが容易となる。なお、第2部分における第1方向視で下段物品に対して重複する部分は、第1方向に隣接して配置される2つの下段物品のそれぞれの外面同士が第1方向に対向する空間に配置されるが、幅減少領域や幅減少領域よりも背面側の部分では、第1方向に隣接して配置される2つの下段物品の第1方向の離間距離は、最大幅領域に比べて長くなる。よって、このような空間に第2部分が配置される構成としても、下段物品の外面と第2部分との離間距離を適切に確保しつつ、第1方向に隣接して配置される2つの下段物品の最大幅領域での第1方向の離間距離を短く抑えることができる。
以上のように、上記の構成によれば、棚部における物品の支持強度を適切に確保しつつ、物品の保管効率の向上を図ることが可能な物品支持棚を実現することができる。
【0053】
ここで、前記棚体は、前記本体部とは別に、前記棚体支持部材に取り付けられた状態で前記本体部を下方から支持するブラケット部材を備え、前記ブラケット部材は、前記リブ部と、水平面に沿う向きで前記リブ部の上端に連結される上面板状部と、を備え、前記本体部は、前記上面板状部に上方から当接した状態で、前記ブラケット部材に固定されていると好適である。
【0054】
この構成によれば、リブ部が本体部と一体的に形成される場合に比べて、リブ部の形状や加工方法についての自由度を高めることができるため、棚体に要求される物品の支持強度を確保することが容易となる。
【0055】
上記のように前記棚体が前記ブラケット部材を備える構成において、前記ブラケット部材は、鉛直面に沿う向きで前記リブ部の前記背面側の端部に連結される背面板状部を更に備え、前記背面板状部が、前記棚体支持部材に対して前記前面側から当接した状態で、前記棚体支持部材に固定されていると好適である。
【0056】
この構成によれば、ブラケット部材と棚体支持部材との接合面の大きさを、背面板状部の面積に応じて大きく確保することができるため、ブラケット部材を棚体支持部材に対して強固に固定することが容易となる。
【0057】
上記の各構成の物品支持棚において、前記棚体は、前記棚体支持部材に固定される被固定部を備え、前記棚体支持部材は、前記被固定部と嵌合する被嵌合部を備えていると好適である。
【0058】
上記の構成によれば、被固定部と被嵌合部との嵌合面によって棚体に作用する曲げモーメントを支持することが容易となり、棚体による物品の支持強度を適切に確保しやすい。また、上記の構成によれば、棚体の棚体支持部材に対する取り付け時の棚体の位置決めが容易になる。
【0059】
また、前記第2部分は、前記物品の外面に対して規定値以上離間するように配置されていると好適である。
【0060】
この構成によれば、第2部分と物品の外面との離間距離を規定値以上に確保することができるため、規格等によって規定される物品と他の物体との必要離間距離の要求を満たしつつ、リブ部の第2部分を、下段物品における幅減少領域及び幅減少領域よりも背面側の部分の少なくとも一方に対して第1方向視で重複するように配置することができる。
【0061】
また、前記棚体支持部材は、前記物品における前記幅減少領域に対して前記第1方向視で重複するように配置され、前記棚体支持部材は、前記前面側に向かうに従って前記第1方向の幅が狭くなるように形成されていると好適である。
本開示に係る物品支持棚は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができれば良い。