(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0014】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る電子部品の一例であるローパスフィルタ1の回路図である。ローパスフィルタ1は、回路基板上に実装される電子部品であり、内部に
図1に示される回路に対応する回路パターンが形成されている。
図1に示されるように、ローパスフィルタ1は、入出力端子P1と、入出力端子P2と、LC並列共振器LC1と、LC直列共振器LC2とを備える。
【0015】
LC並列共振器LC1は、インダクタL1およびコンデンサC1を含む。インダクタL1は、入出力端子P1および入出力端子P2の間に接続されている。コンデンサC1は、入出力端子P1および入出力端子P2の間でインダクタL1に対して並列に接続されている。
【0016】
LC直列共振器LC2は、インダクタL2、コンデンサC2、およびコンデンサC3を含む。インダクタL2は、一方端が接地点GNDに接続されている。コンデンサC2は、入出力端子P1とインダクタL2の他方端との間に接続されている。コンデンサC3は、入出力端子P2とインダクタL2の他方端との間に接続されている。
【0017】
図2は、
図1のローパスフィルタ1の外観斜視図である。
図3は、
図1のローパスフィルタ1の外観透視図である。
図3においては、図面の複雑化を避けるために、ローパスフィルタ1の内部に形成されている回路パターンを示していない。ローパスフィルタ1は、後に
図4を用いて説明するように、複数の誘電体層Lyr1〜Lyr14をZ軸方向(積層方向)に積層した積層体である。
【0018】
図2および
図3に示されるように、ローパスフィルタ1は、たとえば直方体状である。積層方向に垂直なローパスフィルタ1の最外層の面を下面BFおよび上面UFとする。下面BFは、上面UFに対向している。積層方向に平行な面のうちZX平面と平行な面を側面SF1およびSF3とする。積層方向に平行な面のうちYZ平面と平行な面を側面SF2およびSF4とする。側面SF1〜SF4は、上面UFと下面BFとを連結している。
【0019】
下面BFには、入出力端子P1、P2、および接地電極GND1〜GND4が形成されている。入出力端子P1、P2、および接地電極GND1〜GND4は、たとえば下面BFに平面電極が規則的に配置されたLGA(Land Grid Array)端子である。ローパスフィルタ1は、下面BFが不図示の回路基板に対向する状態で回路基板上に実装される。
【0020】
上面UFには、方向識別マークDMが形成されている。方向識別マークDMは、ローパスフィルタ1の実装時の向きを識別するために配置されている。
【0021】
内部面DFは、最上位層の誘電体層Lyr14と上から2番目の誘電体層Lyr13とが接している面である。側面SF1〜SF4および内部面DFには、シールド電極として複数の帯状導体パターンBP11〜BP14,BP21,BP22,BP31〜BP34,BP41,BP42,BP131〜BP134が格子状に配置されている。側面SF1〜SF4および内部面DFは、本発明のシールド面に対応する。シールド電極は、下面BFを含む誘電体層Lyr1および上面UFを含む誘電体層Lyr14の側面には形成されていない。
【0022】
シールド電極によって、外部からのノイズがローパスフィルタ内に侵入することを抑制するとともに、回路パターンから放射される磁束が外部に漏洩することを抑制することができる。ローパスフィルタ1の内部に形成されているインダクタL1,L2から生じる磁束は、帯状導体パターンのいずれによっても覆われていない領域(非シールド領域)を通過することができる。
【0023】
実施の形態1において非シールド領域は、インダクタL1の巻回軸の方向(Z軸方向)から平面視したときに見えるシールド面である内部面DF、およびインダクタL1の巻回軸と直交する方向(X軸方向およびY軸方向)から平面視したときに見えるシールド面である側面SF1〜SF4のいずれにも形成されている。
【0024】
側面SF1には、帯状導体パターンBP11〜BP14が配置されている。帯状導体パターンBP11は、X軸方向に延びている。帯状導体パターンBP12〜BP14は、X軸方向に間隔をあけて配置されている。帯状導体パターンBP12〜BP14の各々は、Z軸方向に延びている。帯状導体パターンBP12〜BP14の各々は、Y軸方向から平面視したとき、帯状導体パターンBP11と十字形を形成している。帯状導体パターンBP12は、線路導体パターン21およびビア導体パターンV21を介して接地電極GND1に接続されている。
【0025】
側面SF2には、帯状導体パターンBP21,BP22が配置されている。帯状導体パターンBP21は、Y軸方向に延びており、帯状導体パターンBP11に接続されている。帯状導体パターンBP22は、Z軸方向に延びている。帯状導体パターンBP22は、X軸方向から平面視したとき、帯状導体パターンBP21と十字形を形成している。
【0026】
側面SF3には、帯状導体パターンBP31〜BP34が配置されている。帯状導体パターンBP31は、X軸方向に延びており、帯状導体パターンBP21に接続されている。帯状導体パターンBP32〜BP34は、X軸方向に間隔をあけて配置されている。帯状導体パターンBP32〜BP34の各々は、Z軸方向に延びておいる。帯状導体パターンBP32〜BP34の各々は、Y軸方向から平面視したとき、帯状導体パターンBP31と十字形を形成している。帯状導体パターンBP34は、線路導体パターン22およびビア導体パターンV22を介して接地電極GND4に接続されている。
【0027】
側面SF4には、帯状導体パターンBP41,BP42が配置されている。帯状導体パターンBP41は、Y軸方向に延びており、帯状導体パターンBP11およびBP31に接続されている。帯状導体パターンBP42は、Z軸方向に延びている。帯状導体パターンBP42は、帯状導体パターンBP41と十字形を形成している。
【0028】
内部面DFには、帯状導体パターンBP131〜BP134が配置されている。帯状導体パターンBP131は、X軸方向に延びており、帯状導体パターンBP22およびBP42に接続されている。帯状導体パターンBP132〜BP134の各々は、Y軸方向に延びている。帯状導体パターンBP132〜BP134の各々は、帯状導体パターンBP131と十字形を形成している。帯状導体パターンBP132は、帯状導体パターンBP12およびBP32に接続されている。帯状導体パターンBP133は、帯状導体パターンBP13およびBP33に接続されている。帯状導体パターンBP134は、帯状導体パターンBP14およびBP34に接続されている。
【0029】
図4は、
図1のローパスフィルタ1の積層構造を示す分解斜視図である。ローパスフィルタ1は、複数の誘電体層の積層体である。ローパスフィルタ1は、複数の誘電体層として誘電体層Lyr1〜Lyr14を備える。誘電体層Lyr1を下面BF側、Lyr14を上面UF側として、この順にZ軸方向に積層されている。誘電体層Lyr1〜Lyr14の各々の誘電率は、ローパスフィルタ1の設計および製造を容易とするために同一としている。
【0030】
誘電体層Lyr1の下面BFには、既に説明したように、入出力端子P1、P2、および接地電極GND1〜GND4が形成されている。
【0031】
誘電体層Lyr2には、線路導体パターン21および線路導体パターン22が形成されている。線路導体パターン21は、ビア導体パターンV21によって接地電極GND1に接続されている。線路導体パターン22は、ビア導体パターンV22によって接地電極GND4に接続されている。
【0032】
誘電体層Lyr3には、線路導体パターン31〜33が形成されている。線路導体パターン31はビア導体パターンV31によって入出力端子P1に接続されている。線路導体パターン32は、ビア導体パターンV32によって接地電極GND2に接続されている。線路導体パターン33は、ビア導体パターンV33によって入出力端子P2に接続されている。線路導体パターン32は、インダクタL2を形成している。インダクタL2は、積層方向に平行な巻回軸のまわりに巻回されている。
【0033】
誘電体層Lyr4には、キャパシタ導体パターン41が形成されている。キャパシタ導体パターン41は、ビア導体パターンV41によって線路導体パターン32に接続されている。
【0034】
誘電体層Lyr5には、キャパシタ導体パターン51および52が形成されている。キャパシタ導体パターン51は、ビア導体パターンV51によって線路導体パターン31に接続されている。キャパシタ導体パターン52は、ビア導体パターンV52によって線路導体パターン33に接続されている。
【0035】
積層方向から平面視したとき、キャパシタ導体パターン51,52の各々は、キャパシタ導体パターン41と重なっている。キャパシタ導体パターン41,51は、コンデンサC2を形成している。キャパシタ導体パターン41,52は、コンデンサC3を形成している。
【0036】
誘電体層Lyr6には、キャパシタ導体パターン61が形成されている。誘電体層Lyr7には、キャパシタ導体パターン71,72が形成されている。キャパシタ導体パターン71は、ビア導体パターンV51によってキャパシタ導体パターン51に接続されている。キャパシタ導体パターン72はビア導体パターンV52によってキャパシタ導体パターン52に接続されている。誘電体層Lyr8にはキャパシタ導体パターン81が形成されている。
【0037】
積層方向から平面視したとき、キャパシタ導体パターン71,72は、キャパシタ導体パターン61と重なっている。積層方向から平面視したとき、キャパシタ導体パターン81は、キャパシタ導体パターン71,72に重なっている。キャパシタ導体パターン61,71,72,81はコンデンサC1を形成している。
【0038】
誘電体層Lyr9には、線路導体パターン91が形成されている。線路導体パターン91は、ビア導体パターンV51によってキャパシタ導体パターン71に接続されている。誘電体層Lyr10には、線路導体パターン101が形成されている。線路導体パターン101は、ビア導体パターンV51,V61によって線路導体パターン91に接続されている。
【0039】
誘電体層Lyr11には、線路導体パターン111が形成されている。線路導体パターン111は、ビア導体パターンV61によって線路導体パターン101に接続されている。線路導体パターン111は、ビア導体パターンV52によってキャパシタ導体パターン72に接続されている。
【0040】
誘電体層Lyr12には、線路導体パターン121が形成されている。線路導体パターン121は、ビア導体パターンV52,V61によって線路導体パターン111に接続されている。線路導体パターン91,101,111,121はインダクタL1を形成している。インダクタL1は、積層方向に平行な巻回軸のまわりに巻回されている。
【0041】
誘電体層Lyr1〜Lyr12には、
図1に示される回路に対応する回路パターンが形成されている。
【0042】
誘電体層Lyr13の内部面DFには、既に説明したように帯状導体パターンBP131〜BP134が形成されている。内部面DFは、上面UFと回路パターンとの間に位置し、上面UFに平行である。
【0043】
誘電体層Lyr14の上面UFには、既に説明したように方向識別マークDMが形成されている。
【0044】
図5は、インダクタL1から発生する磁束を模式的に示した図である。
図5においては、インダクタL1から磁束が発生する様子をわかり易く示すために、シールド電極が示されておらず、回路パターンのうちインダクタL1を構成する線路導体パターン121のみが示されている。
図5(a)は、ローパスフィルタ1の外観斜視図である。
図5(b)は、ローパスフィルタ1をY軸方向から平面視した図である。
【0045】
電子部品の下面は、密着するように回路基板に接続される。そのため、電子部品内部からの磁束は、下面以外の面から外部に漏洩し易い。また、電子部品外部からのノイズについても、下面以外の面から内部に侵入し易い。
図5(a)および
図5(b)に示されるように、ローパスフィルタ1においては、インダクタL1の巻回軸に垂直な上面UF、および当該巻回軸に平行な側面SF1〜SF4から磁束が外部に漏洩し易い。そのため、上面UFまたは上面UFと回路パターンとの間の内部面、および側面SF1〜SF4にシールド電極を配置することにより、ローパスフィルタ1から外部への磁束の漏洩を抑制することができる。また、シールド電極により外部からローパスフィルタ1内部へのノイズの侵入を抑制することができる。
【0046】
外部からのノイズの電子部品への影響、および他の機
器の電子部品への影響を低減するには、シールド電極によってできるだけ多くの面積を覆うことが望ましい。しかし、インダクタL1からの磁束がシールド電極によって遮られると、シールド電極に渦電流が発生してローパスフィルタ1の挿入損失が増加するため、かえってローパスフィルタ1のQ値を悪化させることになり、ローパスフィルタ1の特性を損なうことになり得る。このように、シールド効果とQ値とはトレードオフの関係にあるので、両者を適切にバランスさせることが必要となる。
【0047】
そこで実施の形態1では、内部面DFおよび側面SF1〜SF4の各々にシールド電極として複数の帯状導体パターンを格子状に配置する。内部面DFおよび側面SF1〜SF4の各々には、シールド電極で覆われておらず、ローパスフィルタ1内部のインダクタからの磁束が通過可能な非シールド領域が形成されている。非シールド領域が形成されていることにより、シールド面全域がシールド電極で覆われている場合よりもシールド電極による磁束の遮りが抑制される。その結果、シールド効果とQ値とのバランスをとることができ、シールド効果を確保しつつ、Q値の低下を抑制することができる。
【0048】
図6は、ローパスフィルタの内部からの磁束が外部に漏洩する様子をシミュレーションした結果である。
図6においては、YZ平面に平行な1つの側面について磁束が外部に漏洩する様子を示している。
図6(a)は、比較例1に係る電子部品の一例であるローパスフィルタ10のシミュレーション結果である。ローパスフィルタ10においては、下面以外の面の全域がシールド電極によって覆われている。
図6(b)は、
図2のローパスフィルタ1のシミュレーション結果である。
図6(c)は、比較例2に係る電子部品の一例であるローパスフィルタ100のシミュレーション結果である。ローパスフィルタ100においては、各面にシールド電極が配置されていない。ローパスフィルタ10,100の内部には、ローパスフィルタ1と同様の
図4に示される回路パターンが配置されている。
【0049】
ローパスフィルタ1,ローパスフィルタ10,ローパスフィルタ100について、シールド電極で覆っている領域の大きさを比較すると、ローパスフィルタ10,ローパスフィルタ1,ローパスフィルタ100の順に小さくなる。シールド電極で覆っている領域が小さくなるほど、外部に漏洩する磁束は大きくなる。
【0050】
図6(a)〜(c)に示されるように、ローパスフィルタ10、ローパスフィルタ1、およびローパスフィルタ100からは、それぞれ磁束MF10、磁束MF1、および磁束MF100が外部に漏洩している。外部に漏洩する磁束は、ローパスフィルタ10,ローパスフィルタ1,ローパスフィルタ100の順に大きくなっている(磁束MF10<磁束MF1<磁束MF100)。
【0051】
一方で、シールド電極で覆っている領域が小さくなるほど、シールド電極で発生する渦電流は小さくなる。渦電流が小さくなると、挿入損失が小さくなり、その結果、Q値が高くなる。そのため、Q値について比較すると、ローパスフィルタ10,ローパスフィルタ1,ローパスフィルタ100の順に高くなる。
【0052】
ローパスフィルタ1においては、外部に漏洩する磁束およびQ値のいずれもが、ローパスフィルタ10およびローパスフィルタ100の中間の値となっている。ローパスフィルタ1は、シールド効果とQ値のバランスをとることができ、シールド効果を確保しつつ、Q値の低下を抑制することができる。
【0053】
インダクタからの磁束は、インダクタの空芯部に集中的に発生する。そのため、インダクタを巻回軸方向(実施の形態1においては積層方向)から平面視したとき、インダクタの空芯部がシールド電極によって塞がれていると、シールド電極における渦電流の発生が顕著となり、Q値が大幅に低下してしまう場合がある。そのため、インダクタの巻回軸方向への磁束の漏洩をある程度許容することができる場合、インダクタの空芯部に重なるシールド電極を減らして不要なシールド効果を減らすことにより、Q値の低下の抑制を効果的に行なうことができる。
【0054】
図7は、
図2に示されるローパスフィルタ1をインダクタL1の巻回軸方向(積層方向)から平面視したときの透視図を示す図である。
図7に示されるように、ローパスフィルタ1において、インダクタL1の空芯部AC1の一部は、帯状導体パターンBP131〜BP134によって覆われていない、非シールド領域と重なっている。実施の形態1においては、インダクタL1の巻回軸方向への磁束の漏洩をある程度許容することができる場合、Q値の低下の抑制を効果的に行なうことができる。
【0055】
電子部品の内部または外部からのノイズは、シールド電極を経由して接地電極に導かれる。複数の接地電極が配置されている場合、ある接地電極から他の接地電極までの経路の長さが、想定されるノイズ(たとえば周波数が6GHzのノイズ)の実効波長の2分の1に等しいと、当該経路がループアンテナとして作用してしまい、ノイズが取り込まれてしまう場合がある。ノイズの実効波長は、ノイズの波長(周波数が6GHzの場合、約5cm)を誘電体層の誘電率で割った値である。そこで、ローパスフィルタ1においては、接地電極GND1からGND4までの経路がループアンテナと
して作用しないようにするために、想定されるノイズの実効波長の2分の1よりも当該経路の長さが小さくなるようにローパスフィルタ1のサイズならびに複数の帯状導体パターンの配置および長さを設計する。
【0056】
図8は、ローパスフィルタ1において、接地電極GND1から接地電極GND4までの経路の一つを強調して示す図である。ローパスフィルタ1においては、接地電極GND1からGND4までの最長の経路の長さが、想定されるノイズの実効波長の2分の1よりも小さくなるように、ローパスフィルタ1のサイズならびに複数の帯状導体パターンの配置および長さが設計されている。そのため、接地電極GND1からGND4までの経路がループアンテナとして作用することが抑制される。その結果、接地電極GND1からGND4までの経路がアンテナとして作用することによってノイズが取り込まれることを防止することができる。
【0057】
以上、実施の形態1においては、シールド電極としての帯状導体パターンを格子状に配置することにより、シールド面に非シールド領域が形成される。帯状導体パターンの配置を適切に選択することで、シールド効果とQ値とのバランスをとることができ、シールド効果を確保しつつ、Q値の低下を抑制することができる。
【0058】
また、実施の形態1においては、インダクタの巻回軸方向から平面視したとき、複数の帯状導体パターンは、インダクタの空芯部の全域を覆っていない。空芯部の一部は、非シールド領域と重なっている。実施の形態1によれば、インダクタの巻回軸方向への磁束の漏洩をある程度許容することができるため、Q値の低下を抑制することができる。
【0059】
さらに、実施の形態1においては、ある接地電極から他の接地電極までの経路の長さは、想定されるノイズの実効波長の2分の1よりも小さくされる。これにより、当該経路がループアンテナとして作用しないようにする。その結果、当該経路によってノイズが取り込まれることを防止することができる。
【0060】
[実施の形態1の変形例1]
Q値の低下を抑制するという観点では、インダクタの空芯部の全域は、シールド電極と重なっておらず、非シールド領域と重なっていることが望ましい。
図9は、実施の形態1の変形例1に係る電子部品の一例であるローパスフィルタ1Aを、インダクタL1の巻回軸方向(積層方向)から平面視したときの透視図を示す図である。
図9に示されるように、インダクタL1の空芯部AC1は、内部面DFに配置されている帯状導体パターンBP131A〜BP136Aに重なっておらず、空芯部AC1の全域が非シールド領域に重なっている。実施の形態1の変形例1によれば、インダクタの巻回軸に平行な面に配置されたシールド電極によって磁束が遮られることによるQ値の低下をさらに抑制することができる。
【0061】
[実施の形態1の変形例2]
各帯状電極パターンが接続されている接地電極が1つである場合、接地電極から帯状導体パターンの開放端(オープンスタブ)までの経路が、想定されるノイズの実効波長の4分の1に等しいと、当該経路がダイポールアンテナとして作用してしまい、当該ノイズが取り込まれてしまう場合がある。そこで、接地電極から帯状導体パターンの開放端(オープンスタブ)までの最長の経路の長さは、想定されるノイズの実効波長の4分の1よりも小さいことが望ましい。
【0062】
図10は、実施の形態1の変形例2に係る電子部品の一例であるローパスフィルタ1Bにおいて、接地電極から帯状導体パターンの開放端までの経路の1つを強調して示す図である。ローパスフィルタ1Bにおいては、ローパスフィルタ1と異なり、帯状導体パターンBP14が接地電極GND1に接続されていない。ローパスフィルタ1Bにおいて、各帯状導体パターンの各々は、接地電極GND4に接続されている。
【0063】
図10においては、接地電極GND4から、帯状導体パターンBP41,BP21,BP11を経由して、帯状導体パターンBP12の開放端までの経路が示されている。ローパスフィルタ1Bにおいては、当該経路がダイポールアンテナとして作用しないように、当該経路の長さが想定されるノイズの実効波長の4分の1よりも小さくなるようにローパスフィルタ1Bのサイズならびに複数の帯状導体パターンの配置および長さが設計される。その結果、接地電極から帯状導体パターンの開放端までの経路によってノイズが取り込まれることを防止することができる。
【0064】
[実施の形態1の変形例3]
実施の形態1においては、上面UFと回路パターンとの間に位置している内部面DFに複数の帯状導体パターンが配置されている。複数の帯状導体パターンは、内部面DFではなく、上面UFに配置されてもよい。
【0065】
図11は、実施の形態1の変形例3に係る電子部品の一例であるローパスフィルタ1Cの外観斜視図である。
図11に示されるように、ローパスフィルタ1Cの上面UFには、帯状導体パターンBP141〜BP144、および方向識別マークDM1Cが形成されている。帯状導体パターンBP141は、X軸方向に延びている。帯状導体パターンBP142〜BP144は、X軸方向に間隔をあけて配置されている。帯状導体パターンBP142〜BP144の各々は、Y軸方向に延びている。帯状導体パターンBP142〜BP144の各々は、Z軸方向から平面視したとき、帯状導体パターンBP141と十字形を形成している。帯状導体パターンBP142は、ローパスフィルタ1C内部のビア導体パターンV131および線路導体パターン131を介して帯状導体パターンBP12に接続されている。帯状導体パターンBP144は、ローパスフィルタ1C内部のビア導体パターンV132および線路導体パターン132を介して帯状導体パターンBP34に接続されている。方向識別マークDM1Cは、帯状導体パターンBP141〜BP144と重ならないように配置されている。
【0066】
ローパスフィルタ1Cのように、複数の帯状導体パターンは、上面UFに配置されてもよい。複数の帯状導体パターンを上面UFに配置することにより、回路パターンが形成されている誘電体層と積層方向に垂直なシールド面との距離を、複数の帯状導体パターンが内部面DFに配置されている場合よりも大きくすることができる。その結果、電子部品のQ値の低下をより抑制することができる。
【0067】
[実施の形態1の変形例4および5]
実施の形態1においては、側面SF1〜SF4および内部面DFのいずれにおいても複数の帯状導体パターンが配置されるとともに、下面BF以外の各面に非シールド領域が形成されている。下面BF以外の各面に非シールド領域が形成されている必要はなく、下面BF以外のいずれかの面に複数の帯状導体パターンが配置されて、当該面に非シールド領域が形成されていればよい。
【0068】
たとえば、
図12に示されるローパスフィルタ1Dのように、側面SF1〜SF4には複数の帯状導体パターンが格子状に配置されて非シールド領域が形成されている一方で、上面UFの全域がシールド電極SEによって覆われて上面UFには非シールド領域が形成されていなくてもよい。ローパスフィルタ1Dは、たとえばZ軸方向に位置する他の電子部品に近接して配置されることが想定され、Z軸方向からのノイズの侵入、あるいは磁束の漏洩を必要な限り防止する必要があるため、上面UFの全域をシールド電極SEによって覆っている。
【0069】
また、
図13に示されるローパスフィルタ1Eのように、上面UFに複数の帯状導体パターンが格子状に配置されて非シールド領域が形成されている一方で、側面SF1〜SF4がシールド電極SE1〜SE4によってそれぞれ覆われていて、側面SF1〜SF4のいずれにも非シールド領域が形成されていなくてもよい。ローパスフィルタ1Eは、たとえばX軸方向およびY軸方向に位置する他の電子部品に近接して配置されることが想定され、X軸方向およびY軸方向からのノイズの侵入、あるいは磁束の漏洩を必要な限り防止する必要があるため、側面SF1〜SF4の全域をシールド電極SE1〜SE4によってそれぞれ覆っている。
【0070】
[実施の形態1の変形例6〜8]
実施の形態1において複数の帯状導体パターンは、格子状に配置されている。また、シールド面において、複数の帯状導体パターンは、電子部品の辺に平行に配置されている。さらに、シールド面において、帯状導体パターンの延びている方向は2つに分類され、当該2つの方向は直交している。複数の帯状導体パターンの配置は、実施の形態1に示された配置に限定されるものではない。複数の帯状導体パターンの配置は、下面以外の面に非シールド領域が形成される配置であればどのような配置でもよい。
【0071】
たとえば
図14に示されるローパスフィルタ1Fのように、複数の帯状導体パターンは、間隔を空けて平行(ストライプ状)に配置されてもよい。
【0072】
ローパスフィルタ1においては、複数の帯状導体パターンを格子状に配置することにより、帯状導体パターン同士が交差する。その結果、複数の帯状導体パターンがシールド面上で接続され、接地電極を共通化することができる。ローパスフィルタ1Fのように複数の帯状導体パターンをストライプ状に配置した場合、シールド面上で帯状導体パターン同士が交差しない。接地電極を共通化するという観点では、電子部品の内部において複数の帯状導体パターンを接続する導体パターンを形成することが望ましい。
【0073】
あるいは、
図15に示されるローパスフィルタ1Gのように、複数の帯状導体パターンは、シールド面においてローパスフィルタ1Gの辺に対して斜めに配置されてもよい。
【0074】
さらに、
図16に示されるローパスフィルタ1Hのように、シールド面において複数の帯状導体パターンが延びる方向は、3つに分類されてもよく、直交していなくとてもよい。シールド面において複数の帯状導体パターンが延びる方向は、4つ以上に分類されてもよい。
【0075】
[実施の形態1の変形例9]
実施の形態1においては、直方体状の電子部品について説明した。本発明に係る電子部品の形状は、直方体状に限定されない。本発明に係る電子部品の形状は、たとえば
図17に示されるローパスフィルタ1Jのように、円柱状であってもよい。
【0076】
[実施の形態1の変形例10]
実施の形態1においては、電子部品の設計および製造を容易とするために、複数の誘電体層の各々の誘電率は同一であるが、複数の誘電体層の各々の誘電率は同一でなくてもよい。
【0077】
実施の形態1において、インダクタL1からの磁束は、誘電体層Lyr13を通過した後、内部面DFに配置されている帯状導体パターンを通過して接地電極に導かれる。そのため、当該帯状導体パターンを通過する磁束の実効波長は、磁束の波長を誘電体層Lyr13の誘電率で割った値となる。そこで、誘電体層Lyr13の誘電率を実施の形態1における誘電体層Lyr1〜Lyr12の誘電率よりも小さくすることにより、内部面DFに配置されている帯状導体パターンを通過する磁束の実効波長を実施の形態1よりも大きくすることができる。そのため、ローパスフィルタのサイズを変更することなく、誘電体層Lyr13の誘電率を小さくすることにより、内部面DFに配置されている帯状導体パターンを含む経路の長さを、実効波長の2分の1あるいは4分の1よりも小さくすることができる。その結果、当該経路がアンテナとして作用することを防止することができる。
【0078】
以上の実施の形態1の変形例1〜10によっても、シールド効果を確保しつつ、Q値の低下を抑制することができる。
【0079】
[実施の形態2]
実施の形態1においては、電子部品内部に形成されているインダクタの巻回軸は、積層方向に平行である。実施の形態2では、電子部品内部のインダクタの巻回軸が、積層方向に垂直である場合について説明する。
【0080】
図18は、実施の形態2に係る電子部品の一例であるバンドパスフィルタ2の回路図である。バンドパスフィルタ2は、回路基板上に実装される電子部品であり、内部に
図18に示される回路に対応する回路パターンを含む。
【0081】
図18に示されるように、バンドパスフィルタ2は、入出力端子P21と、入出力端子P22と、LC並列共振器LC21と、LC並列共振器LC22と、LC並列共振器LC23と、コンデンサC33とを備える。
【0082】
LC並列共振器LC21は、インダクタL21と、コンデンサC21とを含む。インダクタL21とコンデンサC21とは、入出力端子P21と接地点GNDとの間で並列に接続されている。
【0083】
LC並列共振器LC23は、インダクタL23と、コンデンサC23とを含む。インダクタL23とコンデンサC23とは、入出力端子P22と接地点GNDとの間で並列に接続されている。
【0084】
LC並列共振器LC22は、インダクタL22と、コンデンサC22とを含む。インダクタL22は、コンデンサC22に接続されている。インダクタL22とコンデンサC22とは、接地点GNDに接続されている。
【0085】
コンデンサC33は、入出力端子P21とP22との間に接続されている。
隣接するLC並列共振器LC21とLC22との間には、誘導結合(磁気的結合)M1が生じる。隣接するLC並列共振器LC22とLC23との間には、誘導結合M2が生じる。
【0086】
図19は、実施の形態2に係る電子部品の一例であるバンドパスフィルタ2の外観斜視図である。
図20は、
図19のバンドパスフィルタ2の外観透視図である。
図20においては、図面の複雑化を避けるために、バンドパスフィルタ2の内部に形成されている回路パターンは示していない。バンドパスフィルタ2は、後に
図21を用いて説明するように、複数の誘電体層Lyr21〜Lyr29をZ軸方向(積層方向)に積層した積層体である。
【0087】
図19および
図20を参照して、バンドパスフィルタ2は、たとえば直方体状である。積層方向に垂直なバンドパスフィルタ2の面を下面BF2および上面UF2とする。積層方向に平行な面のうちZX平面と平行な面を側面SF21およびSF23とする。積層方向に平行な面のうちYZ平面と平行な面を側面SF22およびSF24とする。
【0088】
下面BF2には、入出力端子P21、P22、および接地電極GND21〜GND24が形成されている。入出力端子P21、P22、および接地電極GND21〜GND24は、たとえば下面BF2に平面電極が規則的に配置されたLGA端子である。下面BF2は、回路基板に接続される。
【0089】
上面UF2には、方向識別マークDM2が形成されている。方向識別マークDM2は、バンドパスフィルタ2の実装時の向きを識別するために用いられる。
【0090】
側面SF21にBP11B〜BP14Bが配置されている。側面SF22にBP21B〜BP24Bが配置されている。側面SF23にBP31B〜BP34Bが配置されている。側面SF24にBP41B〜BP44Bが配置されている。内部面DF2にBP281〜BP284が配置されている。内部面DF2は、誘電体層Lyr28が誘電体層Lyr29と接している面である。側面SF21〜SF24および内部面DF2は、本発明のシールド面に対応する。シールド電極は、下面BF2を含む誘電体層Lyr21および上面UF2を含む誘電体層Lyr29の側面には形成されていない。
【0091】
側面SF21には、帯状導体パターンBP11B〜BP14Bが配置されている。帯状導体パターンBP11Bは、X軸方向に延びている。帯状導体パターンBP12B〜BP14Bは、X軸方向に間隔をあけて配置されている。帯状導体パターンBP12B〜BP14Bの各々は、Z軸方向に延びている。帯状導体パターンBP12B〜BP14Bの各々は、Y軸方向から平面視したとき、帯状導体パターンBP11Bと十字形を形成している。
【0092】
側面SF22には、帯状導体パターンBP21B〜BP24Bが配置されている。帯状導体パターンBP21BおよびBP23Bは、Z軸方向に延びている。帯状導体パターンBP21Bは、帯状導体パターンBP11Bに接続されている。帯状導体パターンBP22BおよびBP24Bは、Y軸方向に延びている。
【0093】
帯状導体パターンBP21B〜BP24Bで囲まれた領域は、長方形状の非シールド領域となっている。帯状導体パターンBP21B〜BP24Bをこのように配置することにより、X軸方向(後述するインダクタL21〜L23の巻回軸方向)から平面視したとき、帯状導体パターンBP21B〜BP24Bは、バンドパスフィルタ2の内部に形成されているインダクタL21〜L23の各々の空芯部と重なっていない。
【0094】
側面SF23には、帯状導体パターンBP31B〜BP34Bが配置されている。帯状導体パターンBP31Bは、X軸方向に延びており、帯状導体パターンBP23Bに接続されている。帯状導体パターンBP32B〜BP34Bは、X軸方向に間隔をあけて配置されている。帯状導体パターンBP32B〜BP34Bの各々は、Z軸方向に延びている。帯状導体パターンBP32B〜BP34Bの各々は、帯状導体パターンBP31Bと十字形を形成している。帯状導体パターンBP34Bは、バンドパスフィルタ内部に形成されている線路導体パターン222およびビア導体パターンV222を介して接地電極GND24に接続されている。
【0095】
側面SF24には、帯状導体パターンBP41B〜BP44Bが配置されている。帯状導体パターンBP41BおよびBP43Bは、Z軸方向に延びている。帯状導体パターンBP41Bは、帯状導体パターンBP11Bに接続されている。帯状導体パターンBP43Bは、帯状導体パターンBP31Bに接続されている。帯状導体パターンBP42BおよびBP44Bは、Y軸方向に延びている。
【0096】
帯状導体パターンBP41B〜BP44Bで囲まれた領域は、長方形状の非シールド領域となっている。帯状導体パターンBP41B〜BP44Bをこのように配置することにより、X軸方向(後述するインダクタL21〜L23の巻回軸方向)から平面視したとき、帯状導体パターンBP41B〜BP44Bは、バンドパスフィルタ2の内部に形成されているインダクタL21〜L23の各々の空芯部と重なっていない。
【0097】
内部面DF2には、帯状導体パターンBP281〜BP284が配置されている。帯状導体パターンBP281は、X軸方向に延びており、帯状導体パターンBP24BおよびBP44Bに接続されている。帯状導体パターンBP282〜BP284の各々は、Y軸方向に延びている。帯状導体パターンBP282〜BP284の各々は、帯状導体パターンBP281と十字形を形成している。帯状導体パターンBP282は、帯状導体パターンBP12BおよびBP32Bに接続されている。帯状導体パターンBP283は、帯状導体パターンBP13BおよびBP33Bに接続されている。帯状導体パターンBP284は、帯状導体パターンBP14BおよびBP34Bに接続されている。
【0098】
図21は、
図19のバンドパスフィルタ2の積層構造を示す分解斜視図である。バンドパスフィルタ2は、複数の誘電体層として誘電体層Lyr21〜Lyr29を備える。誘電体層Lyr21を下面BF2側、Lyr29を上面UF2側として、この順にZ軸方向に積層されている。
【0099】
誘電体層Lyr21の下面BF2には、既に説明したように、入出力端子P21、P22、および接地電極GND21〜GND24が形成されている。
【0100】
誘電体層Lyr22には、線路導体パターン221および線路導体パターン222が形成されている。線路導体パターン221は、ビア導体パターンV221によって入出力端子P21に接続されている。線路導体パターン222は、ビア導体パターンV222によって接地電極GND24に接続されている。
【0101】
誘電体層Lyr23には、キャパシタ導体パターン231が形成されている。
誘電体層Lyr24には、キャパシタ導体パターン241および242が形成されている。キャパシタ導体パターン241は、ビア導体パターンV241によって線路導体パターン221に接続されている。キャパシタ導体パターン242は、ビア導体パターンV242によって入出力端子P22に接続されている。
【0102】
キャパシタ導体パターン241および242の各々は、積層方向から平面視した場合に、キャパシタ導体パターン231に重なっている。キャパシタ導体パターン231、241、および242は、コンデンサC33を形成している。
【0103】
誘電体層Lyr25には、キャパシタ導体パターン251が形成されている。キャパシタ導体パターン251は、積層方向から平面視したとき、キャパシタ導体パターン241および242に重なっている。キャパシタ導体パターン241および251は、コンデンサC21を形成している。キャパシタ導体パターン242および251は、コンデンサC23を形成している。
【0104】
誘電体層Lyr26には、キャパシタ導体パターン261が形成されている。キャパシタ導体パターン261は、積層方向から平面視したとき、キャパシタ導体パターン251に重なっている。キャパシタ導体パターン251および261は、コンデンサC22を形成している。
【0105】
誘電体層Lyr27には、線路導体パターン271〜273が形成されている。線路導体パターン271は、ビア導体パターンV241によってキャパシタ導体パターン241に接続されている。線路導体パターン271は、ビア導体パターンV271によってキャパシタ導体パターン251に接続されている。線路導体パターン271およびビア導体パターンV241,V271は、インダクタL21を形成している。インダクタL21は、積層方向に垂直な巻回軸のまわりに巻回されるように形成されている。
【0106】
線路導体パターン272は、ビア導体パターンV272によってキャパシタ導体パターン251に接続されている。線路導体パターン272は、ビア導体パターンV273によってキャパシタ導体パターン261に接続されている。線路導体パターン272およびビア導体パターンV272,V273は、インダクタL22を形成している。インダクタL22は、積層方向に垂直な巻回軸のまわりに巻回されるように形成されている。
【0107】
線路導体パターン273は、ビア導体パターンV242によってキャパシタ導体パターン242に接続されている。線路導体パターン273は、ビア導体パターンV274によってキャパシタ導体パターン251に接続されている。線路導体パターン273およびビア導体パターンV242,V274は、インダクタL23を形成している。インダクタL23は、積層方向に垂直な巻回軸のまわりに巻回されるように形成されている。
【0108】
Lyr28の内部面DF2には、既に説明したように帯状導体パターンBP281〜BP284が形成されている。内部面DF2は、上面UF2と回路パターンとの間に位置している。
【0109】
Lyr29には、既に説明したように方向識別マークDM2が形成されている。
インダクタL21〜L23の巻回軸の方向から平面視したとき、インダクタL21〜L23の各々の空芯部の全域は、非シールド領域に重なっている。
【0110】
以上、実施の形態2においては、シールド電極として複数の帯状導体パターンを配置して、シールド面に非シールド領域を形成する。このような構成により、シールド効果とQ値とのバランスをとることができ、シールド効果を確保しつつ、Q値の低下を抑制することができる。
【0111】
さらに実施の形態2においては、インダクタの巻回軸の方向から平面視したとき、インダクタの空芯部の全域が非シールド領域に重なっているため、インダクタの巻回軸に平行な面に配置されたシールド電極によって磁束が遮られることによるQ値の低下をさらに抑制することができる。
【0112】
[実施の形態3]
実施の形態1および実施の形態2においては、シールド面に複数の帯状導体パターンを配置することにより非シールド領域を形成する場合について説明した。非シールド領域は複数の帯状導体パターンを用いずに形成されてもよい。実施の形態3では、平板状のシールド電極に複数の孔を形成することにより、非シールド領域を形成する場合について説明する。
【0113】
実施の形態3と実施の形態1との違いは、平板状のシールド電極に複数の孔を形成することにより非シールド領域を形成している点である。それ以外の構成については同様であるため、説明を繰り返さない。
【0114】
図22は、実施の形態3に係る電子部品の一例であるローパスフィルタ3の外観斜視図である。
図22に示されるように、ローパスフィルタ3の側面SF1およびSF4には、それぞれシールド電極SE1およびSE4が配置されている。図示してはいないが、側面SF2およびSF3には、それぞれシールド電極SE2およびSE3が配置されている。側面SF1〜SF4の全域は、それぞれシールド電極SE1〜SE4によって覆われている。
【0115】
上面UFには、シールド電極PSEが配置されている。シールド電極PSEには、空孔H1〜H5が形成されている。上面UFにおいて空孔H1〜H5が形成された領域の各々が非シールド領域である。シールド電極PSEは、本発明の部分シールド部に対応する。
【0116】
図23は、
図22に示されるローパスフィルタ3をインダクタL1の巻回軸方向(積層方向)から平面視したときの透視図を示す図である。
図23に示されるように、ローパスフィルタ3において、インダクタL1の空芯部AC1は、空孔H3に囲まれている非シールド領域と重なっている。
【0117】
以上、実施の形態3においては、シールド電極に空孔を形成することにより、シールド面に当該空孔に囲まれた非シールド領域が形成される。その結果、シールド効果とQ値とのバランスをとることができ、シールド効果を確保しつつ、Q値の低下を抑制することができる。
【0118】
また、実施の形態3によれば、帯状導体パターンによって非シールド領域を形成する実施の形態1と比べて、空孔の位置および大きさを電子部品の回路パターンに合わせて柔軟に調整することができるため、回路パターンに合った非シールド領域を形成可能である。
【0119】
さらに、実施の形態3によれば、インダクタの巻回軸方向への磁束の漏洩をある程度許容することができるため、Q値の低下を抑制することができる。
【0120】
今回開示された実施の形態および変形例は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて実施することも予定されている。今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。