(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コイル部を形成する段階は、基板の一面と他面にメッキによって第1及び第2のコイル導体を形成する、請求項7から10のいずれか一項に記載のコイル電子部品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0010】
コイル電子部品
以下、本発明の一実施形態によるコイル電子部品を説明するにあたり、特に、薄膜型インダクタを例に挙げて説明するが、これに制限されない。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態によるコイル電子部品のコイル部を示す斜視図である。
【0012】
図1を参照すると、コイル電子部品の一例として電源供給回路の電源ラインに用いられる薄膜型パワーインダクタが示されている。
【0013】
本発明の一実施形態によるコイル電子部品100は、コイル部40、上記コイル部を覆う絶縁膜30、上記絶縁膜30で覆われたコイル部40を取り囲む磁性体50、及び上記磁性体50の外側に配置されて上記コイル部40と電気的に連結された第1の外部電極81及び第2の外部電極82を含む。
【0014】
本発明の一実施形態によるコイル電子部品100において、「長さ」方向は
図1の「L」方向、「幅」方向は「W」方向、「厚さ」方向は「T」方向である。
【0015】
上記コイル部40は、基板20の一面に形成された第1のコイル導体41と、上記基板20の一面と対向する他面に形成された第2のコイル導体42とが連結されて形成される。
【0016】
上記第1及び第2のコイル導体41、42のそれぞれは上記基板20の同一平面上に形成される平面コイルの形でもよい。
【0017】
上記第1及び第2のコイル導体41、42は、螺旋(spiral)状に形成されることができる。
【0018】
上記第1及び第2のコイル導体41、42は、基板20上に電気メッキを施して形成されることができるが、これに制限されない。
【0019】
上記第1及び第2のコイル導体41、42は、電気伝導性に優れた金属を含んで形成され、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)又はこれらの合金などで形成されることができる。
【0020】
上記基板20は、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)基板、フェライト基板又は金属系軟磁性基板などで形成される。
【0021】
上記基板20の中央部が除去されて貫通孔が形成され、上記貫通孔に磁性材料が充填されてコイル部40の内側にコア部55が形成される。
【0022】
上記コア部55が磁性材料で充填されることにより、磁束が通過する磁性体の面積が増加してインダクタンス(L)を向上させることができる。
【0023】
但し、上記基板20が必ずしも含まれるわけではなく、基板を含むことなく金属ワイヤ(wire)でコイル部を形成してもよい。
【0024】
上記第1及び第2のコイル導体41、42が絶縁膜30で被覆されて磁性体50をなす磁性材料と直接接触しないため、ショート(short)不良を防止することができる。
【0025】
上記絶縁膜30は、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド(polyimid)樹脂などの高分子物質、フォトレジスト(Photo Resist、PR)、金属酸化物などを含むことができるが、これに制限されず、上記第1及び第2のコイル導体41、42を取り囲むことによりショート(short)を防止することができる絶縁物質であればいずれのものでもよい。
【0026】
上記コイル部40を取り囲む磁性体50は、磁気特性を示す磁性材料であれば特に制限されず、例えば、フェライト又は金属磁性粉末を含むことができる。
【0027】
本発明の一実施形態によるコイル電子部品100は、上記絶縁膜30と磁性体50の間に、磁性体のチッピング(chipping)を防止する粘着層(
図1には図示せず)が形成される。本発明の一実施形態による上記粘着層に関する具体的な説明は後述する。
【0028】
上記第1のコイル導体41の一端部が伸びて第1の引出部41'を形成し、上記第1の引出部41'は磁性体50の長さ(L)方向の一端面に露出し、上記第2のコイル導体42の一端部が伸びて第2の引出部42'を形成し、上記第2の引出部42'は磁性体50の長さ(L)方向の他端面に露出する。
【0029】
但し、これに制限されず、上記第1及び第2の引出部41'、42'は上記磁性体50の少なくとも一面に露出してもよい。
【0030】
上記磁性体50の端面に露出する上記第1及び第2の引出部41'、42'とそれぞれ接続するように、上記磁性体50の外側に第1及び第2の外部電極81、82が形成される。
【0031】
上記第1及び第2の外部電極81、82は、電気伝導性に優れた金属を含んで形成され、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)又はスズ(Sn)などの単独又はこれらの合金などで形成されることができる。
【0032】
図2は、
図1のI‐I'線に沿う断面図である。
【0033】
図2を参照すると、本発明の一実施形態によるコイル電子部品100の磁性体50は、金属磁性粉末58を含む。
【0034】
上記金属磁性粉末58は、鉄(Fe)、珪素(Si)、ホウ素(B)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニオビウム(Nb)及びニッケル(Ni)からなる群から選択されたいずれか一つ以上を含む結晶質又は非晶質金属であればよい。
【0035】
例えば、上記金属磁性粉末58はFe−Si−Cr系非晶質金属であればよいが、これに制限されない。
【0036】
上記金属磁性粉末58の粒径は0.1μm〜30μmであり、平均粒径の異なる2種以上の金属磁性粉末が混合されることができる。
【0037】
平均粒径の異なる2種以上の金属磁性粉末を混合することにより、充填率を向上させて高透磁率を確保し、高周波数及び高電流における磁性損失(Core Loss)による効率低下を防止することができる。
【0038】
上記金属磁性粉末58は、熱硬化性樹脂に分散された形で含まれる。
【0039】
上記熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ(epoxy)樹脂又はポリイミド(polyimide)などであればよい。
【0040】
上記磁性体50は、上記金属磁性粉末58の占める体積率が60%以上であればよい。
【0041】
上記金属磁性粉末58の充填率を向上させて体積率を60%以上にすることにより、高透磁率を確保することができる。
【0042】
一方、上記金属磁性粉末58の充填率が向上するにつれて、上記磁性体50をなす熱硬化性樹脂の含量が減少し、さらに、コイル電子部品の小型化に伴い、コイル部40を介して形成されるカバー部51、52の厚さが薄くなり、薄くなった部分にチッピング(chipping)が発生するという問題があった。
【0043】
コイル電子部品100を製造するにあたり、大量生産のために、複数のコイル部が形成された積層体を製造した後に切断及びグラインディング(grinding)して個別のコイル電子部品を形成するが、この際、カバー部51、52が薄く形成され且つ熱硬化性樹脂の含量が減少して密着力が足りなくなるため、切断及びグラインディング(grinding)工程でカバー部51、52が割れたり剥がれたりするなどのチッピング(chipping)不良が発生することがある。
【0044】
よって、本発明の一実施形態によるコイル電子部品100では、上記絶縁膜30と磁性体50の間に、磁性体のチッピング(chipping)を防止する粘着層60を形成した。これにより、切断及びグラインディング(grinding)の際にも、磁性体50、特に、薄いカバー部51、52のチッピング(chipping)が発生することを減少させることができる。
【0045】
本発明の一実施形態による上記粘着層60は、上記磁性体50より粘着力が大きい。
【0046】
したがって、本発明の一実施形態のように絶縁膜30と磁性体50の間に上記粘着層60を形成する場合は、コイル部40を覆う絶縁膜30上に磁性体50を直接形成する場合に比べ、コイル部40を覆う絶縁膜30と磁性体50との粘着力が向上し、チッピング(chipping)不良を改善することができる。
【0047】
上記粘着層60を形成する材料は、上記絶縁膜30と磁性体50との粘着力を向上させて磁性体50のチッピング(chipping)を防止し且つコイル電子部品100の特性を妨害しない材料であればいずれのものでもよい。
【0048】
なお、
図2には上記粘着層60で絶縁膜30を覆う形が示されているが、これに制限されず、絶縁膜30と磁性体50の間の一部に粘着層60が形成されてもよく、コア部55の一部に粘着層60が形成されてもよい。
【0049】
コイル電子部品の製造方法
図3は、本発明の一実施形態によるコイル部を形成する工程を示す図である。
【0050】
図3を参照すると、まず、複数のコイル部40を形成する。
【0051】
より詳細には、基板20にビアホール(図示せず)を形成し、上記基板20上に開口部を有するメッキレジストを形成した後、上記ビアホール及び開口部をメッキによって導電性金属で充填して、第1及び第2のコイル導体41、42、及びこれらを連結するビア(図示せず)を形成する。
【0052】
上記第1及び第2のコイル導体41、42とビアは、電気伝導性に優れた導電性金属、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)又はこれらの合金などで形成されることができる。
【0053】
但し、コイル部40の形成方法は、上記メッキ工程に制限されず、金属ワイヤ(wire)でコイル部を形成する方法でもよく、印加される電流によって磁束を発生させることができればいずれの方法でもよい。
【0054】
上記基板20は、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)基板、フェライト基板又は金属系軟磁性基板などで形成される。
【0055】
上記基板20には、第1及び第2のコイル導体41、42が形成されていない領域の中央部が除去されてコア部ホール55'が形成される。
【0056】
上記基板20の除去は、機械的なドリル、レーザードリル、サンドブラスト、パンチング加工などにより行われることができる。
【0057】
図4a及び
図4bは、本発明の一実施形態による粘着シート及び磁性シートを積層する工程を示す斜視図及び断面図である。
【0058】
図4a及び
図4bを参照すると、上記第1及び第2のコイル導体41、42上に第1及び第2のコイル導体41、42を覆う絶縁膜30を形成する。
【0059】
上記絶縁膜30は、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド(polyimid)樹脂などの高分子物質、フォトレジスト(Photo Resist、PR)、金属酸化物などを含むことができるが、これに制限されず、上記第1及び第2のコイル導体41、42を取り囲むことによりショート(short)を防止することができる絶縁物質であればいずれのものでもよい。
【0060】
上記絶縁膜30は、スクリーン印刷法、フォトレジスト(Photo Resist、PR)の露光及び現像工程、スプレー(spray)塗布工程、コイル導体の化学的エッチング(etching)などによる酸化などの方法で形成されることができる。
【0061】
また、上記絶縁膜30は、化学蒸着法(Chemical Vapor Depsition、CVD)又は低粘度の高分子コーティング液を用いるディッピング(dipping)法で形成されることもできる。このように形成された絶縁膜30は、第1及び第2のコイル導体41、42の表面の形状の通りに薄くコーティングされて形成されることができる。
【0062】
次に、上記絶縁膜30で覆われたコイル部40の上部及び下部に粘着シート60'を形成する。
【0063】
上記粘着シート60'は、その後に積層される磁性シート50'より粘着力が大きい。
【0064】
したがって、本発明の一実施形態のように絶縁膜30と磁性シート50'の間に上記粘着シート60'を形成する場合は、コイル部40を覆う絶縁膜30上に磁性シート50'を直接形成する場合に比べ、コイル部40を覆う絶縁膜30と磁性体50(磁性シート50'が積層、圧着及び硬化されて形成)との粘着力が向上し、チッピング(chipping)不良を改善することができる。
【0065】
上記粘着シート60'を形成する材料は、上記絶縁膜30と磁性体50との粘着力を向上させて磁性体50のチッピング(chipping)を防止し且つコイル電子部品100の特性を妨害しない材料であればいずれのものでもよい。
【0066】
次に、上記粘着シート60'上に磁性シート50'を積層し、圧着及び硬化して積層体を形成する。
【0067】
上記磁性シート50'は、金属磁性粉末58と、熱硬化性樹脂、バインダー及び溶剤などの有機物とを混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法を用いてキャリアフィルム(carrier film)上に数十μmの厚さで塗布した後に乾燥してシート(sheet)状に製造されることができる。
【0068】
上記磁性シート50'は、金属磁性粉末58がエポキシ(epoxy)樹脂又はポリイミド(polyimide)などの熱硬化性樹脂に分散された形で製造される。
【0069】
上記磁性シート50'を積層し、圧着及び硬化して積層体を形成する。この際、上記コア部ホール55'を磁性シート50'で充填してコア部55を形成する。
【0070】
図5は、本発明の一実施形態による積層体を切断する工程を示す図である。
【0071】
図5を参照すると、上記積層体を切断線(C1−C1、C2−C2)に沿って切断して、各コイル部40を取り囲む磁性体50からなる個別のコイル電子部品100を形成する。
【0072】
このように、本発明の一実施形態によれば、コイル電子部品100を製造するにあたり、大量生産のために、複数のコイル部が形成された積層体を製造した後に切断及びグラインディング(grinding)して個別のコイル電子部品100を形成する。
【0073】
この際、コイル電子部品の小型化に伴いコイル部40の上部及び下部にカバー部51、52が薄く形成され、且つ磁性体50の高透磁率の具現のために金属磁性粉末58の充填率を高くし熱硬化性樹脂の含量を減少させることにより密着力が足りなくなるため、切断及びグラインディング(grinding)工程で薄くなったカバー部51、52が割れたり剥がれたりするなどのチッピング(chipping)不良が発生することがある。
【0074】
よって、本発明の一実施形態では、上記絶縁膜30で覆われたコイル部40の上部及び下部に粘着シート60'を形成した後に磁性シート50'を積層することにより、絶縁膜30と磁性体50(磁性シート50'が積層、圧着及び硬化されて形成)との粘着力を向上させ、切断及びグラインディング(grinding)の際にも磁性体50、特に、薄いカバー部51、52のチッピング(chipping)不良を改善した。
【0075】
次に、切断された上記磁性体50の外側に、上記コイル部40と接続するように第1及び第2の外部電極81、82を形成して、コイル電子部品100を製造する。
【0076】
なお、上記の説明を除き、上述した本発明の一実施形態によるコイル電子部品の特徴と重複する説明は省略する。
【0077】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。