特許第6750785号(P6750785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6750785
(24)【登録日】2020年8月17日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】安定なロスバスタチンカルシウム錠剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/505 20060101AFI20200824BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20200824BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20200824BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20200824BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20200824BHJP
【FI】
   A61K31/505
   A61K9/20
   A61K47/04
   A61K47/26
   A61K47/32
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-148091(P2019-148091)
(22)【出願日】2019年7月25日
(62)【分割の表示】特願2014-220770(P2014-220770)の分割
【原出願日】2014年10月14日
(65)【公開番号】特開2019-189662(P2019-189662A)
(43)【公開日】2019年10月31日
【審査請求日】2019年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】306020438
【氏名又は名称】日本ジェネリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】菅原 有希
(72)【発明者】
【氏名】財家 紳之介
(72)【発明者】
【氏名】覚張 剛史
【審査官】 小堀 麻子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−144564(JP,A)
【文献】 特開2012−036163(JP,A)
【文献】 特開2003−055217(JP,A)
【文献】 特開平05−264844(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/091346(WO,A1)
【文献】 特開2016−065028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00
A61K 9/00
A61K 47/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロスバスタチンカルシウム、D−マンニトール、安定化剤、及び崩壊剤を含有する錠剤であって、D−マンニトールを1錠剤あたり50重量%以上含み、安定化剤として含水二酸化ケイ素を1錠剤あたり10.4/3〜20/3重量%を含むことを特徴とする錠剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロスバスタチンカルシウムを含む高い貯蔵安定性を示す錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
(E)−7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン−5−イル]−(3R、5S)−3、5−ジヒドロキシヘプト−6−エン酸または薬学的に認容性のその塩、特にカルシウム塩であるビス[(E)−7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン−5−イル]−(3R、5S)−3、5−ジヒドロキシヘプト−6−エン酸]カルシウム塩(以下、ロスバスタチンカルシウム)は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ(以下、HMG CoAレダクターゼ)の阻害剤として、欧州特許出願第0521471号およびBioorganic and Medicinal Chemistry(1997)、5(2)、第437〜444頁に記載されており、現在、高コレステロール血症治療薬として、広く用いられている。
【0003】
ロスバスタチンカルシウムは、スタチン類に属する有機化合物であり、化学構造上、3、5−ジヒドロキシヘプト−6−エン酸(以下、ジヒドロキシカルボン酸骨格)を有している。
【0004】
上記ジヒドロキシカルボン酸骨格は分子内で環化し、HMG−CoAレダクターゼ阻害活性の低いラクトン体を生成することが知られている。医薬品製剤中でのラクトン体の生成は、医薬品の有効性の低下や医薬品間での有効性の不均一性の原因ともなり得る。そのため、従来スタチン類の医薬品製剤中での安定性を向上させる試みが種々なされているが、その多くは低pH環境下におけるジヒドロキシカルボン酸骨格の不安定性を考慮して炭酸カルシウムなどの塩基性物質を配合してスタチン類のpH環境を塩基性にするというものである。具体的には例えば、特許文献1には、一定の塩基性添加剤を用いることでその水性分散液をpH9以上にする方法が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、アルカリ土類金属塩などの特定の金属塩添加剤を配合する方法が記載されている。
【0006】
更に、特許文献3には、特定の塩基性添加物を使用し、直接打錠法で製造する方法が、特許文献4には、安定剤として塩基性アミノ酸を配合する方法が記載されている。
【0007】
しかしながら、これらのいずれの特許文献にも、安定化剤及びD−マンニトールがロスバスタチンカルシウムの不純物生成を抑制することについては、記載も示唆もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2935220号公報
【特許文献2】特表平8−505640号公報
【特許文献3】特開2000−229855号公報
【特許文献4】特開2003−55217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ロスバスタチンカルシウム錠剤の不純物生成を抑制する新たな手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、驚くべきことに、D−マンニトールと安定化剤が、ロスバスタチンカルシウム錠剤の不純物生成を抑制する作用を有することを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、ロスバスタチンカルシウム、D−マンニトール、安定化剤、及び崩壊剤を含有する錠剤を提供する。
【0012】
また、安定化剤のpHが9以上(5%水溶液あるいは懸濁液)であるロスバスタチンカルシウム、D−マンニトール、安定化剤、及び崩壊剤を含有する錠剤を提供する。
【0013】
また、安定化剤が含水二酸化ケイ素、L−アルギニン、炭酸ナトリウム、及びピロリン酸四ナトリウムから選ばれる少なくとも一つであるロスバスタチンカルシウム、D−マンニトール、安定化剤、及び崩壊剤を含有する錠剤を提供する。
【0014】
また、崩壊剤がクロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、及び部分α化デンプンから選ばれる少なくとも一つであるロスバスタチンカルシウム、D−マンニトール、安定化剤、及び崩壊剤を含有する錠剤を提供する。
【0015】
また、ロスバスタチンカルシウム、D−マンニトール、安定化剤、及び崩壊剤を含有する錠剤を提供する。
【0016】
また、D−マンニトールの含有量が1錠剤あたり50重量%以上であるロスバスタチンカルシウム、D−マンニトール、安定化剤、及び崩壊剤を含有する錠剤を提供する。
【0017】
また、酸化第二鉄を素錠部及びコーティング部の少なくともいずれかに含有するロスバスタチンカルシウム、D−マンニトール、安定化剤、及び崩壊剤を含有する錠剤を提供する。
【0018】
また、熱および湿度が高い環境において、高い貯蔵安定性を示すロスバスタチンカルシウム、D−マンニトール、安定化剤、及び崩壊剤を含有する錠剤を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の錠剤は、有効成分であるロスバスタチンカルシウムの不純物生成が抑制されているため、ロスバスタチンカルシウムの安定性が良好な医薬品として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ロスバスタチンカルシウム( Monocalcium bis((3R,5S,6E)−7−{4−(4−fluorophenyl)−6−isopropyl−2−[methanesulfonyl(methyl)amino]pyrimidin−5−yl}−3,5−dihydroxyhept−6−enoate))は、以下の化学式により表される化合物である。ロスバスタチンカルシウムは、例えば、米国特許第5260440号公報に記載の方法によって製造されうる。
【化1】
【0021】
本発明において、D−マンニトールは、当技術分野で用いられているものであれば何でもよい。D−マンニトールの含有量は、1錠剤あたり50重量%以上が好ましく、60重量%以上がより好ましい。ロスバスタチンとD−マンニトールの重量比は、1:10〜1:40の範囲であり、1:20〜1:30が好ましく、1:23〜1:27がより好ましい。
【0022】
本発明において、安定剤として、例えば炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、L−アルギニン、炭酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。本発明においては、ラクトン体等の不純物生成抑制の観点から含水二酸化ケイ素、L−アルギニン、炭酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウムが好ましい。
【0023】
安定化剤のpHは、5%水溶液あるいは懸濁液において、ラクトン体等の不純物生産抑制の観点からpH9以上が好ましい。また、安定化剤の含量は、1錠剤あたり0.1〜10重量%が好ましい。ロスパスタチンと安定化剤の重量比は、0.025:1〜3:1の範囲であり、0.25:1〜2:1が好ましく、0.25:1〜1.5:1がより好ましい。
【0024】
本発明において、崩壊剤として、例えばクロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、カルボキシプロピルスターチナトリウム、部分アルファ化デンプン、トウモロコシデンプンなどが挙げられる。本発明においては、ラクトン体等の不純物生成抑制の観点からクロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、部分α化デンプンが好ましい。
【0025】
本発明において、当技術分野で既知の任意の添加剤を含んでもよい。当該添加剤は、賦形剤、流動化剤、滑沢剤などの任意の製剤化成分でもよく、これらの製剤化成分以外に、当技術分野で用いられる着色剤、抗酸化剤、増粘剤、緩衝化剤、甘味付与剤、フレーバー付与剤、又はパフューム剤などを本発明の錠剤に配合してもよい。着色剤としては、例えば二酸化チタン、酸化第二鉄などが挙げられる。本発明においては、ロスバスタチンカルシウムの光分解生成物の形成速度を低下させる観点から、着色剤として酸化第二鉄が好ましい。
【0026】
本発明において、錠剤は、素錠でもコーティング錠でもよく、口腔内崩壊錠であってもよい。
【0027】
本発明の錠剤は、従来技術で一般に公知の標準的な技術および製造方法を使用して、例えば成分の乾式混合により製造してもよい。例えばロスバスタチンカルシウム、1種以上の安定化剤、1種以上の賦形剤、1種以上の結合剤、及び1種以上の崩壊剤、ならびに所望の場合にはその他の付加的な添加剤を一緒に混合する。混合前のブレンドの成分またはブレンド自体を、ふるい、例えば400〜700μmメッシュのふるいに通してもよい。次いでふるい分けされていてもよい滑沢剤を該ブレンドに添加し、均質な混合物が得られるまで混合を継続する。次いで該混合物を圧縮成形して錠剤にする。あるいは湿式造粒技術を使用することができる。例えばロスバスタチンカルシウム、1種以上の安定化剤、1種以上の賦形剤、1種以上の結合剤、及び一部の崩壊剤、ならびに所望の場合にはその他の付加的な添加剤を、例えば造粒機を使用して一緒に混合し、かつ粉末ブレンドを少量の精製水を用いて造粒する。該顆粒を乾燥させ、かつミルに通過させる。崩壊剤の残りおよび滑沢剤をミルで処理した顆粒に添加し、かつ混合後に、得られた均質な混合物を圧縮成形して錠剤にする。乾式混合および湿式造粒技術の変更は、成分の添加およびふるい分けおよび錠剤への圧縮成形に先立つ混合の順序を含めて、従来技術で周知の原理により実施してもよい。
【0028】
次いで、コーティングをする場合には、水性フィルムコーティング調製物を用いた噴霧被覆により施してもよい。コーティングは、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルポリエチレングリコールグラフトコポリマー、マクロゴール、タルク、二酸化チタン、酸化第二鉄を含んでもよい。コーティングの含量は、例えば錠剤組成物の0.5〜10重量%が好ましく、1〜6重量%がより好ましく、2〜3重量%が特に好ましい。酸化第二鉄を含有しているコーティングは、酸化第二鉄が有効成分の光分解生成物の形成速度を低下させるので特に好ましい。
【0029】
以下に、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例等に何ら限定されるものではない。
【0030】
(試験例1)配合試験
ロスバスタチンカルシウム20mgと同量の塩基性添加剤を乳鉢を用いて混合し、開放の状態で60℃75%RHの環境下に保管した。保管10日間後における分解物の量を測定した。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【実施例1】
【0033】
ロスバスタチンカルシウム2.6g、D−マンニトール64.55g、クロスポビドン3.75g、含水二酸化ケイ素(含水二酸化ケイ素B、富田製薬)2.6gを3分間混合し、さらにステアリン酸マグネシウム1.5gを1分間混合して混合末を得た。得られた混合末をロータリー打錠機にて圧縮成形し、素錠を得た。
【実施例2】
【0034】
ロスバスタチンカルシウム2.6g、D−マンニトール64.55g、クロスポビドン3.75g、L−アルギニン2.6gを3分間混合し、さらにステアリン酸マグネシウム1.5gを1分間混合して混合末を得た。得られた混合末をロータリー打錠機にて圧縮成形し、素錠を得た。
【実施例3】
【0035】
ロスバスタチンカルシウム2.6g、D−マンニトール64.55g、クロスポビドン3.75g、炭酸ナトリウム2.6gを3分間混合し、さらにステアリン酸マグネシウム1.5gを1分間混合して混合末を得た。得られた混合末をロータリー打錠機にて圧縮成形し、素錠を得た。
【実施例4】
【0036】
ロスバスタチンカルシウム2.6g、D−マンニトール64.55g、クロスポビドン3.75g、ピロリン酸四ナトリウム2.6gを3分間混合し、さらにステアリン酸マグネシウム1.5gを1分間混合して混合末を得た。得られた混合末をロータリー打錠機にて圧縮成形し、素錠を得た。
【0037】
【表3】
【実施例5】
【0038】
ロスバスタチンカルシウム2.6g、D−マンニトール67.05g、クロスポビドン3.75g、含水二酸化ケイ素(含水二酸化ケイ素B、富田製薬)0.1gを3分間混合し、さらにステアリン酸マグネシウム1.5gを1分間混合して混合末を得た。得られた混合末をロータリー打錠機にて圧縮成形し、素錠を得た。
【実施例6】
【0039】
ロスバスタチンカルシウム2.6g、D−マンニトール66.15g、クロスポビドン3.75g、含水二酸化ケイ素(含水二酸化ケイ素B、富田製薬)1gを3分間混合し、さらにステアリン酸マグネシウム1.5gを1分間混合して混合末を得た。得られた混合末をロータリー打錠機にて圧縮成形し、素錠を得た。
【実施例7】
【0040】
ロスバスタチンカルシウム2.6g、D−マンニトール64.15g、クロスポビドン3.75g、含水二酸化ケイ素(含水二酸化ケイ素B、富田製薬)3gを3分間混合し、さらにステアリン酸マグネシウム1.5gを1分間混合して混合末を得た。得られた混合末をロータリー打錠機にて圧縮成形し、素錠を得た。
【実施例8】
【0041】
ロスバスタチンカルシウム2.6g、D−マンニトール62.15g、クロスポビドン3.75g、含水二酸化ケイ素(含水二酸化ケイ素B、富田製薬)5gを3分間混合し、さらにステアリン酸マグネシウム1.5gを1分間混合して混合末を得た。得られた混合末をロータリー打錠機にて圧縮成形し、素錠を得た。
【0042】
【表4】
【0043】
(比較例1)
ロスバスタチンカルシウム2.6g、D−マンニトール67.15g、クロスポビドン3.75gを3分間混合し、さらにステアリン酸マグネシウム1.5gを1分間混合して混合末を得た。得られた混合末をロータリー打錠機にて圧縮成形し、素錠を得た。
【0044】
(比較例2)
ロスバスタチンカルシウム2.6g、乳糖水和物52.21g、結晶セルロース15.5g、クロスポビドン3.75gを3分間混合し、さらにステアリン酸マグネシウム0.94gを1分間混合して混合末を得た。得られた混合末をロータリー打錠機にて圧縮成形し、素錠を得た。
【0045】
(参考例1)
ロスバスタチンカルシウム2.6g、D−マンニトール64.55g、クロスポビドン3.75g、第三リン酸カルシウム2.6gを3分間混合し、さらにステアリン酸マグネシウム1.5gを1分間混合して混合末を得た。得られた混合末をロータリー打錠機にて圧縮成形し、素錠を得た。
【0046】
(参考例2)
ロスバスタチンカルシウム2.6g、D−マンニトール64.55g、クロスポビドン3.75g、含水二酸化ケイ素(アドソリダー101、フロイント産業(株))2.6gを3分間混合し、さらにステアリン酸マグネシウム1.5gを1分間混合して混合末を得た。得られた混合末をロータリー打錠機にて圧縮成形し、素錠を得た。
【0047】
(参考例3)
ロスバスタチンカルシウム2.6g、D−マンニトール64.55g、クロスポビドン3.75g、含水二酸化ケイ素(カープレックス#65、エボニック(株))2.6gを3分間混合し、さらにステアリン酸マグネシウム1.5gを1分間混合して混合末を得た。得られた混合末をロータリー打錠機にて圧縮成形し、素錠を得た。
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
【0050】
(試験例2)苛酷試験
実施例1〜8、比較例1〜2、参考例1〜3を、開放の状態(無包装)で60℃75%RHの環境下に保管した。保管10又は21日間後における分解物の量を測定した。
【0051】
評価方法
本品を粉末とし、表示量に従いロスバスタチン20mgに対応する量をとり、水/アセトニトリル混液(7:3)20mLを加え、10分間振り混ぜた後、遠心分離した。上澄液を孔径0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過した。初めのろ液5mLを除き、次のろ液を試料溶液とした。この液1mLを正確に量り、水/アセトニトリル混液(7:3)を加えて正確に100mLとし、標準溶液とした。試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり、次の条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行う。それぞれの液の各々のピーク面積を自動積分法により測定した。
【0052】
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:242nm)
カラム:内径3mm、長さ15cmのステンレス管に3μmの液体クロマトグラフィー 用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する。
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相A:水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸混液(700:300:1)
移動相B:アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸混液(750:250:1)
流量:毎分0.75mL
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を次のように変えて濃度勾配制御する。
【0053】
結果
表8、9に示すとおり、D−マンニトール及び安定化剤を含有する実施例1〜4は、D−マンニトールを含有するが安定化剤を含有しない比較例1ならびにD−マンニトール及び安定化剤を含有しない比較例2と比べて類縁物質の増加を大幅に抑えることが確認された。
【0054】
【表8】
【0055】
【表9】
また、表10に示すとおり、実施例5〜8で含水二酸化ケイ素(含水二酸化ケイ素B、富田製薬)の含有量を変えた結果、特に実施例7、8で良好な安定化効果が得られた。
【0056】
【表10】
【0057】
【表11】