(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6750791
(24)【登録日】2020年8月17日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】容器にねじ込みキャップを取り付ける機械
(51)【国際特許分類】
B67B 3/20 20060101AFI20200824BHJP
【FI】
B67B3/20
【請求項の数】4
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-254975(P2013-254975)
(22)【出願日】2013年12月10日
(65)【公開番号】特開2015-27886(P2015-27886A)
(43)【公開日】2015年2月12日
【審査請求日】2016年10月3日
【審判番号】不服2019-4379(P2019-4379/J1)
【審判請求日】2019年4月3日
(31)【優先権主張番号】TO2013A000644
(32)【優先日】2013年7月30日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】513311631
【氏名又は名称】アロル エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シリオ セルジオ
【合議体】
【審判長】
高山 芳之
【審判官】
石井 孝明
【審判官】
中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−203689(JP,A)
【文献】
特開2011−195194(JP,A)
【文献】
特開2004−244062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67B1/00-6/00, B65D35/44-35/54, B65D39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対応する容器を保持する複数の把持手段が備えられたタレットと、
対応するキャップを保持する把持部材を有する少なくとも1つのねじ込みヘッドと、
前記少なくとも1つのねじ込みヘッドと対応付けられ、前記把持部材の縦軸周りの回転運動を制御する少なくとも1つの電気モータと、
前記容器の雄ねじの画像を撮像する第1視覚装置、及び、前記把持部材により保持される前記キャップの雌ねじの画像を撮像する第2視覚装置を有する少なくとも1つの視覚システムであって、前記第1視覚装置及び前記第2視覚装置は、前記タレットの外側に配置され、前記第1視覚装置及び前記第2視覚装置のそれぞれの視域を照射するように配置された対応する照明に関連付けられる、少なくとも1つの視覚システムと、
前記容器の前記雄ねじの前記画像及び前記キャップの前記雌ねじの前記画像を処理し、前記容器の前記雄ねじの出発点の角度位置及び前記キャップの前記雌ねじの出発点の角度位置を決定し、前記キャップの前記角度位置の調整を制御して、対応する前記容器の前記雄ねじ及び前記キャップの前記雌ねじが予め定められた相対位置に配置された状態で、対応する前記容器に前記キャップのねじ込みを実行する電子制御ユニットと
を備え、
前記把持部材は、動作中に前記把持部材がねじ込み経路に沿って移動するように、前記回転運動と同期し前記縦軸に沿った並進運動を与えられる、容器にねじ込みキャップを取り付ける機械。
【請求項2】
前記電子制御ユニットは、前記少なくとも1つの視覚システムによって検出された前記画像を処理して、前記容器の前記雄ねじの前記出発点の前記角度位置及び対応する前記キャップの前記雌ねじの前記出発点の前記角度位置を、共通の基準系に対して決定する請求項1に記載の機械。
【請求項3】
前記電子制御ユニットは、ねじ込みトルクの情報に従って、前記少なくとも1つのねじ込みヘッドの前記電気モータを制御する請求項1または2に記載の機械。
【請求項4】
前記第2視覚装置は、前記キャップの前記雌ねじの前記画像を撮像するために、傾いた姿勢で配置され、
前記第1視覚装置に対応する照明は、前記縦軸に対して前記第1視覚装置とは反対側に配置される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器にねじ込みキャップを取り付ける機械に関する。
【背景技術】
【0002】
ビン等の容器を閉める通常の技術として、容器の首に雄ねじを形成し、雌ねじを有するキャップを容器に取り付けることが考えられる。
【0003】
ねじ込みキャップを容器に取り付けるために通常使用される機械は、閉める対象のビンを持ち上げて円形状の経路に沿って進ませる回転式コンベア構造を備える。回転式コンベア構造は、それぞれがキャップ把持部材を備えた複数のキャッピングヘッドを支持する。キャップ把持部材は、それぞれの縦軸周りの回転運動及び並進運動により駆動される。把持部材の回転運動と並進運動とは互いに同期し、キャップに対するねじ込み運動を与える。
【0004】
より伝統的な解決法においては、予め定められたトルクに到達した時に、容器上でのキャップのねじ込み運動を停止させる。ねじ込みヘッドは、例えば磁気タイプのクラッチ又は電流制限された電気モータによって、キャップ取り付け部材に伝達される最大トルクを制限する。
【0005】
最大トルクに基づいてキャップをねじ込む場合には、ある程度の割合で閉める際に欠陥が生じるので、こうした解決法は完全に満足できるものではない。
【0006】
このような欠点を克服するために、ねじ込みキャップを取り付けるためのシステムとして、キャップのねじと容器のねじとの間の連結初期状態から始まる、予め定められた角度振幅のねじ込みストロークを与えるシステムが既に提唱されている。
【0007】
欧州特許出願公開第1491490号明細書は、容器にねじ込む間にキャップに加えられるねじ込みトルクを検出するトルクセンサを備えたねじ込みヘッドを記載している。キャップのねじと容器のねじとが互いに接触するようになる位置において、測定されるトルクが急激に増大する。このようにして、キャップのねじと容器のねじとの間の連結初期位置が通知される。連結初期位置を基準として、予め定められた角度分キャップを回転させる。
【0008】
米国特許出願公開第2011/0083405号明細書は、ねじ込みヘッドを駆動するモータが消費する電流を測定することにより、キャップと容器との間の連結初期状態を検出するねじ込みヘッドを記載している。
【0009】
これら既知の解決法においては、キャップを容器に当てた後に、ねじ同士の間の連結初期状態を検出している。ねじ込みヘッドの動作ストロークの一部は、キャップを実際にねじ込むためよりも、キャップと容器との間の連結初期位置を認識するために使用されている。その結果これらの既知の解決法においては、キャップを実際にねじ込むことに対しては、低減された分の角度ストロークが利用されている。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、従来技術の問題点を克服することのできる、容器にねじ込みキャップを取り付けるための機械を提供することを目的としている。
【0011】
本発明によれば、請求項1の主題を形成する特徴を有する機械により、この目的は達成される。
【0012】
特許請求の範囲は、発明に関して提供される開示内容の欠くことのできない部分を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
添付の図面を参照して本発明を以下に詳細に記載するが、これらの図面は純粋に非限定的な例として提供されるものである。
【
図1】容器にねじ込みキャップを取り付けるための機械の側面概略図である。
【
図2】
図1中の矢印IIで示される部分の詳細な図である。
【
図3】
図1中の矢印IIで示される部分の詳細な図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照すると、参照番号10は、ビン等の容器Cにねじ込みキャップを取り付けるための機械を示す。機械10は、垂直軸Aの周りに回転可能な中心柱12を備える。中心柱12は、容器Cを把持する複数の手段が備えられたタレット14を支持する。容器Cを把持する手段自体は既知であり、容器Cのタイプに応じて、様々なタイプのものでよい。一般的に言ってビンの把持手段は、ビンを半径方向及び軸方向に確実に保持しなくてはならず、また、ビンが自身の垂直軸周りに回転することを防止する回転防止機構も備える必要がある。
【0015】
図示した例においてタレット14は、外部ガイド20と、それぞれの容器Cの首を受け取るように構成され、それぞれが回転防止機構を備えたフォーク機構22とを備えている。図示したシステムは把持手段として考えられる一例にすぎず、容器Cを把持するその他任意のシステムにも本発明が適用可能なことが意図される。
【0016】
図2及び
図3により詳細に示されるように、容器Cには、ねじ込みキャップを受容するように構成された雄ねじ16が設けられている。容器Cのねじ16の根元には、半径方向に突き出たリム18が形成されている。
【0017】
図1を参照すると、機械10は複数のねじ込みヘッド24を備える。ねじ込みヘッド24のそれぞれは、対応する容器Cの把持手段上に位置する。ねじ込みヘッド24のそれぞれは、下端にキャップ把持部材28を支持する心棒26を有する。ねじ込みヘッド24のそれぞれは、心棒26に対してそれぞれの縦軸B周りの回転運動を与えるために、対応する電気モータ30を有する。キャップ把持部材28は、軸B周りの回転運動及び軸B方向の並進運動を与えられる。回転運動と並進運動とは互いに同期し、動作中に、把持部材28によって把持されたキャップにねじ込み運動を与える。キャップ把持部材28の軸B方向の直線運動は、機械式カム又は電子式カムを用いて得ることができる。ねじ込みヘッド24の構造及び動作自体は既知であり、本発明の範囲を逸脱するものなので、これ以上詳細に記載する必要は無い。キャップ把持部材28に加えられる最大トルクは、モータ30に供給される電流によって制限される。
【0018】
図2及び
図3を参照すると、それぞれのねじ込みヘッド24のキャップ把持部材28は、対応するキャップ34を受け取って保持するように構成された円錐台形状の台座32を有する。キャップ34は、対応する容器Cの雄ねじ16と連結するように設計された雌ねじ36をそれぞれ有する。
【0019】
本発明による機械10は、容器Cのねじ16の角度位置及びキャップ34のねじ36の角度位置を検出するために使用される視覚システム38を備える。より正確に言うと、視覚システム38は、ねじ16とねじ36の出発点の角度位置を検出するために使用される。
【0020】
視覚システム38は、容器Cの雄ねじ16の出発点の角度位置を検出するための第1視覚装置40(
図2)、及び、把持部材28によって保持されたキャップ34の雌ねじ36の出発点の角度位置を検出するための第2視覚装置42(
図3)を有する。視覚装置40及び42のそれぞれは、対応する視野を照射するように配置された対応する照明44、46と関連付けられる。
【0021】
図2及び
図3に示されるように、視覚装置40、42、及び対応する照明44、46は、タレット14の外側に配置されてもよい。あるいは、視覚装置40、42は、キャップ34及び容器Cと軸方向に整列されてもよい。
【0022】
視覚システム38は固定された位置にあり、時々視覚システム38の前を通過する容器C及びキャップ34のねじ16、36の画像を検出する。視覚システム38によって記録された画像は、
図1中の参照番号48によって模式的に示される電子制御ユニットに送られる。電子制御ユニット48は、視覚装置40、42によって検出された画像を解析し、容器Cの雄ねじ16の出発点、及び、対応するキャップ34の雌ねじ36の出発点の基準
系に対する角度位置を決定するアルゴリズムを有する。
【0023】
電子制御ユニット48は、ねじ16及び36に対して検出された角度位置に関する情報に従って、キャップ34の角度位置を調整するために、ねじ込みヘッド24の電気モータ30を制御するように構成されている。キャップ34の角度位置の調整は、把持部材28の軸B周りの回転による。キャップ34を対応する容器Cに取り付ける前に調整を実行することができる。
【0024】
あるいは、キャップ角度位置の調整は、キャップ34を対応する容器Cのねじ16に配置した後に実行することもできる。この場合、キャップのねじ込み角度と、キャップのねじと容器のねじとの間の変位角との合計に等しい角度ストロークを各キャップ34に与える。
【0025】
調整動作の目的は、容器Cに対してキャップ34を配置して、キャップ34のねじ36が、対応する容器Cのねじ16に対して予め定められた角度位置を取るようにするためである。
【0026】
モータ30は、ねじ36、16が予め定められた角度位置にある状態でキャップ34が容器Cと並列な位置からスタートする軸B周りの角回転を、予め定められた振幅で、対応する把持部材28に与える。このように、キャップ34のねじ込みストロークは、ねじ込みトルクの関数としてよりも、幾何学的な基準に基づいて決定される。これによって、より高いねじ込み精度が得られ、容器を閉める際にトルクが強すぎたり不十分であったりすることで生じる欠陥を避けることができる。
【0027】
予め定められたねじ込みストロークに基づいたモータ30の制御と並行して、電子制御ユニット48が、任意の既知のトルク検出法によって、キャップ34に加えられるねじ込みトルクの検出を実行することもできる。測定されたトルクが不十分又は過剰な場合に、予め確立された値に対してねじ込みストロークを変化させるように電子制御ユニット48をプログラムすることもできる。
【0028】
視覚システム38は、様々な大きさ、色、及び(1からnまで)様々なねじ機構の数を有するキャップのねじ36を認識することが可能である。視覚システム38はまた、ねじの途切れ及び傾斜角ゼロのねじセクタを認識することができる。視覚システム38はまた、透明なガラス製又はプラスチック製容器のねじを検出することもできる。
【0029】
勿論、発明の原理を損なわずに、以下に示す特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を逸脱することなく、ここに記載及び図示されたものに対して、構造及び実施例の詳細を幅広く変化させることができる。