(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基部のスピーカ外面に隣接する側壁と前記スピーカ外面とが前記筐体が閉じられたときに前記筐体の少なくとも一部を収納する空間を形成する請求項1に記載の車載視聴装置。
前記筐体の開閉状態、前記車載視聴装置に入力される視聴対象の映像の有無、および映像の種類の少なくとも一つに応じて、前記スピーカから出力される音が制御される請求項1から3のいずれか1項に記載の車載視聴装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して一実施形態に係る車載視聴装置10について説明する。
【0012】
<構成>
図2は、車載視聴装置10の取り付けイメージを例示する。
図2のように、車載視聴装置10は、例えば、車両の天井に取り付けられ、後部座席から視聴可能な映像および音を提供する。車載視聴装置10は、ベース部2とベース部2に対して開閉可能な筐体3を有する。
【0013】
ベース部2は、薄型平板状の樹脂製のハウジング24を有する。ハウジング24の車室方向の下面には、スピーカ21が埋め込まれている。ベース部2の一部は、車両の天井部材C1の裏面に配置される。天井部材C1の裏面において、ベース部2は車両の天井フレームに取り付けられている。
【0014】
一方、筐体3も樹脂製のハウジングを有する。筐体3のハウジングには、表示部31が埋め込まれている。表示部31は、例えば、液晶パネル、または、エレクトロルミネッセンス(EL)パネル等である。ELは有機ELであってもよい。
【0015】
図3に、車載視聴装置10の側面図を例示する。車載視聴装置10が車両の天井に取付けられた場合には、
図3の紙面右側が車両の前方となる。また、
図3の紙面左側が車両の後方となる。さらに、
図3の紙面上側が車両の上側となり、紙面下側が車両の下側となる。また、
図4に、車載視聴装置10の平面図を例示する。車載視聴装置10が車両の天井に取付けられた場合には、
図4は、車両天井方向を下から見た図となる。この場合、
図4の紙面右側が車両前方となる。また、
図4の紙面左側が車両の後方となる。さらに、
図4の紙面上側が車両の右側となり、紙面下側が車両の左側となる。
図3、
図4のように、車載視聴装置10は、ベース部2と、筐体3と、ベース部2に筐体3を回動可能に接続するヒンジ部4と、を有する。
図3、
図4は、筐体3がベース部2から略90度に開かれた状態を例示する。ただし、筐体3のベース部2に対する可動範囲が90度の角度に限定される訳ではない。ベース部2が基部の一例である。
図3、
図4のように、ベース部2にヒン
ジ部4を介して筐体3を取り付けることが、基部に対して開閉可能な筐体を用意することの一例である。
【0016】
上述のように、ベース部2は、樹脂製のハウジング24を有する。ハウジング24の上側には、天板24Aが設けられる。天板24Aは、例えば、金属製であり、車両の天井フレームに取り付けるための構造と強度を有する。一方、ハウジング24の下側面の大半の領域には、スピーカ21が露出する。ハウジング24の下側面でスピーカ21の周囲には、ハウジング24の下面24Bが目隠し部材として設けられる。
図3、
図4のように、ベース部2にスピーカ21を取り付けることが、車両の壁部に取り付けられる基部の取付け面の反対面に、前記反対面から音を出力するスピーカを埋め込むことの一例である。
【0017】
スピーカ21が露出するハウジング24の下側面で、スピーカ21に隣接した下面24B上に側壁部24Cが形成されている。側壁部24Cはスピーカ外面に隣接する側壁の一例である。
図2、
図3において、側壁部24Cは、面取りがされた略角柱状の構造である。したがって、側壁部24C、ハウジング24の下面24B、およびスピーカ21の露出部分は、筐体3が閉じられたときに筐体3を収納する収納空間を構成する。
【0018】
図3、
図4のように、側壁部24Cの下面(
図3の矢印「下」方向、
図4で紙面に垂直に読み手の視線と反対方向)には、筐体3がベース部2に閉じられた状態にあるときに、搭乗者が筐体3を開くためのオープンボタン25が設けられている。筐体3がベース部2に閉じられと、
図3の点線の矢印のように、筐体3が収納され、測壁部24Cと筐体3とがほぼ同一の高さとなり、平坦に近い面を形成する。筐体3がベース部2に閉じられた状態にあるとき、筐体3の側壁部24Cに面する側面(
図3で、筐体3の下側)の凹部に設けられたつめ状の係合片(不図示)に、側壁部24Cから筐体3方向にバネ等の弾性手段で付勢されたフック部(不図示)が係合している。搭乗者がオープンボタン25を押すと、弾性手段の弾性力に抗して、付勢方向と逆方向にフック部が後退し、フック部と係合片との係合が解除され、筐体3がベース2から多少離間し、点線矢印と逆方向に傾いた状態となる。この状態で、搭乗者が筐体3に指を掛けて下側に引いてヒンジで筐体3を回転させ、表示部31を搭乗者側に露出させることができる。このようにして、搭乗者は、筐体3をベース部2から下方向(点線矢印と逆方向)に開くことができる。
【0019】
また、筐体3の側壁(
図3で下側の縁)近傍に、磁石35が内蔵されている。そして、筐体3を閉じたときに磁石35に対向するベース部2の対向面近傍にホールセンサ36が内蔵されている。ホールセンサ36は、磁石35の接近および離間を検知し、車載視聴装置10の制御部(例えば、
図9のCPU11)に、車載視聴装置10におけるベース部2と筐体3との開閉状態を通知する。
【0020】
ただし、センサ26は、側壁部24Cの外壁から露出し、筐体3の開閉に伴ってオフ(開)、オン(閉)する機械式の接点スイッチであってもよい。
図3、
図4のように、ベース部2のハウジング24の下側面は、筐体3が閉じられたときに、表示部31に対面するため、表示部31に対応する比較的大きな面積を占める。したがって、ハウジング24の下側面にスピーカ21を露出させることで、従来よりも開口面積が大きなスピーカを採用することが可能となる。
図3、
図4のように、筐体3のハウジングには、表示部31が埋め込み、ベース部2にスピーカ21を取り付け、ベース部2にヒンジ部4を介して筐体3を取り付けることが、筐体が基部に閉じられたときに前記スピーカに対面し、前記筐体が基部から開かれたときに露出する表示部を前記筐体に取り付けることとの一例である。
【0021】
図5に、ベース部2を車両の天井に取り付けるための構造を例示する。
図5は、スピーカ21として比較的薄型のいわゆるフラットパネルスピーカを採用した場合の構造を例示する。
図5は、ベース部2が車両の天井に取り付けられた状態での断面図を例示する。図
5で紙面上側が車両天井側であり、紙面下側が車室下側である。
図5のように、スピーカ21が比較的薄型のフラットパネルスピーカである場合には、ハウジング24の下面24Bは車両の天井部材C1とほぼ段差のない同一面を形成する。すなわち、ベース部2は、天井部材C1の裏面側の空間に収納される。天井部材C1の車室側の壁面は天井内壁面の一例である。天井部材C1の車室側の壁面は壁部の一例でもある。
【0022】
ベース部2の取付け構造として、図示しない車両の天井フレームに固定される天井リンフォース22と、天井リンフォース22にグロメット231L、231R等で固定される取付けブラケット23L、23Rとが使用される。また、ハウジング24上側(車両の天井フレーム側)には、天板24Aと天板24Aから山折りに屈曲された側壁(以下、段差部24EL、24ER)と側壁24EL、24ERを谷折りに屈曲して形成される天板縁部24FL、24FRが設けられる。天板24A、側壁24EL、24ER、および天板縁部24FL、24FRは、例えば、一体の金属板である。そして、ブラケット23L、23Rにベース部2の天板縁部24FL、24FRがビス232L、233L、232R、233R等で固定されることで、ベース部2が車両の天井に取り付けられる。
【0023】
また、
図5に例示するように、スピーカ21と天板24Aの間には、車載視聴装置10を制御する基板1が挿入されている。また、天井リンフォース22と天井部材C1との空間には、天井部材C1のたるみを防止するためのスペーサとして、スポンジ27が挿入される。
【0024】
図6に、天井リンフォース22とブラケット23L、23Rの詳細構造を例示する。天井リンフォース22は、ブラケット23L、23Rを固定するための金属製板材であり、車両の天井フレームに固定される。天井リンフォース22の両側側部近傍に、ブラケット23L、23Rがグロメット231L、231R等で固定される。グロメット231L、231Rは端部が広がった管状の留め具である。
【0025】
図7に、ブラケット23L、23Rの詳細構造を例示する。ブラケット23Lは、2つの板部PL1、PL2を壁部RLで接続したものであり、断面が概ねクランク状の形状を有する。板部PL1は、天井リンフォース22に固定される部分であり、グロメット231Lを貫通させる開口を有している。また、板部PL2は、ベース部2の天板縁部24FLに固定される部分であり、ビス233Lが天板縁部24FLに対向する取付面に立設されている。ブラケット23Rもブラケット23Rと同様であり、2つの板部PR1、PR2を壁部WRで接続した構造である。板部PR1は、天井リンフォース22に固定される部分であり、グロメット231Rを貫通させる開口を有している。また、板部PR2は、ベース部2の天板縁部24FRに固定される部分であり、ビス233Rが天板縁部24FRに対向する取付面に立設されている。
【0026】
図8は、スピーカ21として比較的厚型のスピーカを採用した場合の構造を例示する。厚型のスピーカとしては、コーン型、ホーン型、あるいはドーム型と呼ばれるスピーカを例示できる。スピーカ21が厚型の場合には、天井部材C1と車両天井フレームの空間にベース部2およびその取付構造が収まらない場合が生じ得る。
図8の例では、ブラケット23L、23Rの下端部、天板縁部24FL、24FR、スピーカ21の下面、およびスピーカ21の下面を取り囲むハウジング24の下面24B等が、天井部材C1よりも車室下側に突き出している。そこで、スピーカ21が厚型の場合には、目隠しカバー28が設けられる。目隠しカバー28は、ハウジング24の下面24Bおよびスピーカ21の下面に対して概ね段差がない状態で、単一の平面を形成し、ブラケット23L、23Rの下端部、天板縁部24FL、24FR等の取付け構造が車室側から見えないようにする。
図8において、以上説明した構造以外の構造は、
図5の薄型スピーカの場合と同様である。
【0027】
図9に、基板1の制御回路を例示する。基板1は、車載視聴装置10において、スピーカ21および表示部31に接続され、スピーカ21および表示部31を駆動する。基板1は、CPU11、CPU11に筐体3の開閉を通知するディスプレイ開閉検知部20、CPU11とナビゲーションシステムとを接続するLocal Area Network(LAN)ドライバ12、基板1とナビゲーションシステムとを接続する内部インターフェース13、外部から映像、音との信号を入力する外部インターフェース14を有する。さらに、基板1は、内部インターフェース13および外部インターフェース14からの音の信号を処理するデジタルシグナルプロセッサ(DSP)15、デジタルアナログ変換器(DAC)16、アンプ17、スピーカ21に出力する音(音声)を選択する音声セレクタ18、および表示部31に出力する映像を選択する映像セレクタ19を有する。
【0028】
CPU11は、図示しないメモリに実行可能に展開されたコンピュータプログラムにしたがって、基板1の各構成要素を制御する。なお、メモリにはRead Only Memory(ROM)が含まれる。
【0029】
ディスプレイ開閉検知部20は、
図4に例示したハウジング24の側壁部24Cに設けられるセンサ26からの信号を処理し、表示部31を含む筐体3の開閉状態をCPU11に通知する。ディスプレイ開閉検知部20は、例えば、A/D変換器と、コンパレータとを有し、センサ26の検出値が所定値を超えた場合に閉状態を示す信号ビット1、センサ26の検出値が所定値を超えない場合には開状態を示す信号ビット0をCPU11に通知すればよい。
【0030】
LANドライバ12は、例えば、Network Interface Card(NIC)、ネットワークアダプタ等とも呼ばれる。LANドライバ12は、CPU11を基板1外部のLANに接続する。内部インターフェース13は、LANドライバ12の接続線につながる送受信端子(TX+、TX−)、ナビゲーションシステムからの映像信号が入力される映像端子、ナビゲーションシステムからの音信号が入力される音端子(L、R、S)等を有する。このうち、音端子L、Rは左右のチャンネルの音信号の端子である。また、音端子Sはサブウーファの信号が入力される端子である。外部インターフェース14には、ナビゲーションシステム以外、例えば、外付けのDigital Versatile Disc(DVD)駆動装置等の映像源あるいは音源からの信号が入力される。
【0031】
DSP15は、例えばROM上のコンピュータプログラム等にしたがい内部インターフェース13あるいは外部インターフェース14から入力される音の符号化信号を復号し、DAC16にデジタル音信号を出力する。符号化信号は、例えば、DVD等所定の媒体規格にしたがった符号フォーマットである。DAC16に出力されるデジタル音信号は、左右のチャンネル(L、R)およびサブウーファ(S)の3チェンネルに分かれている。
【0032】
なお、
図9では、省略されているが、例えば、DVD―AUDIO,Super Audio Compact Disc(SACD)等に準拠した符号化信号が入力される端子が内部インターフェース13、外部インターフェース14に設けられ、DSP15に入力されてもよい。そして、DSP15が、DVD―AUDIOまたはSACDからマルチチェンネルの音声信号フォーマット、例えば、5.1チャンネルに対応した前方左信号(L)、前方右信号(R)、前方中央信号C、サラウンド左信号(SL)、サラウンド右信号(SR)、および低音補強(Low Frequency Effect(LEF))信号を生成し、DAC16に供給するようにしてもよい。
【0033】
DAC16は3チャンネル(または5.1チャンネル等)のデジタル音信号をアナログ音信号に変換し、アンプ17は3チャンネル(または5.1チャンネル等)のアナログ音信号を増幅する。アンプから出力される3チェンネル(または5.1チャンネル)のアナ
ログ音信号は、CPU11からの制御信号に制御される音声セレクタ18によって切り替えてスピーカ21に出力される。すなわち、音声セレクタ18は、3チャンネル(または5.1チャンネル)の信号から選択される音信号をスピーカに21に出力する。ここで、音は、音声、すなわち、人の声の他に、楽器あるいはものが発する音も含む。
【0034】
映像セレクタ19は、CPU11からの制御信号に制御され、内部インターフェース13を通じて入力されるナビゲーションシステムからの映像と、外部インターフェース14を通じて入力される外付けのDVD駆動装置等からの映像とを切り替える。すなわち、映像セレクタ19は、2つの映像信号から選択される信号をスピーカに21に出力する。
【0035】
CPU11は、LANドライバ12を通じて、再生されるコンテンツの種類を取得可能であり、取得したコンテンツの種類を基に映像セレクタ19、音声セレクタ18を制御する。コンテンツの種類は、例えば、テレビジョン放送(TV)、Digital Versatile Disk(DVD)、ラジオ放送(ラジオ)、Compact Disc(CD)等である。CPU11は、搭乗者が例えばTV、DVDなど映像ソースを選択している時は映像と音声を出力する。また、CPU11は、搭乗者がラジオ、CDなど音声のみのソースを選択している時は映像を出力せず音声のみを出力する。すなわち、CPU11は、例えば、LANドライバ12を通じて受信するナビゲーションシステムからの設定にしたがい、映像セレクタ19からの映像出力の有無、および映像セレクタから出力映像の種類(内部インターフェース13からの映像と外部インターフェース14からの映像)を切り替える。したがって、CPU11は、映像セレクタ19からの映像の出力の有無および映像セレクタ19から出力される映像が内部インターフェース13および外部インターフェース14のいずれから入力されたものかを認識している。
【0036】
図3および
図4の構成の車両視聴装置10を作成し、
図9の基板1を設けることが用意することの一例である。また、
図5から
図8にしたがって、車両視聴装置10のベース部2を車両天井に取り付けることが、取り付けることの一例である。
【0037】
<処理例>
図10に、CPU11の処理をフローチャートで例示する。車両視聴装置10が起動中(電源ONの場合)、CPU11は、
図10の処理を繰り返し実行する。CPU11は、RSEすなわち、車載視聴装置10の開閉状態を検知する(S1)。そして、表示部31を含む筐体3上の画面がオープン状態か否かを判定する(S2)。画面がオープン状態の場合、CPU11は、アンプ17にMUTE解除信号を送り、スピーカ21から音を出力させる(S3)。次に、CPU11は、前席車載器、すなわち、ナビゲーションシステムのモードを取得する(S4)。
【0038】
そして、CPU11は、ナビゲーションシステムのソースが映像モードか否かを判定する(S5)。ソースが映像モードとは、ナビゲーションシステムが映像出力状態になっていることをいう。ソースが映像モードの場合には、CPU11は、車両ドアに設けた4つのスピーカ(R、L、SL、SR)、およびセンタースピーカ(C)に加えて、車載視聴装置10に内蔵されたスピーカ21を用いて5.1チャンネルのサラウンド効果を演出する(S6)。CPU11は、Low Frequency Effect(LFE)チャンネルの信号を音声セレクタ18で選択し、スピーカ21に出力すればよい。
【0039】
また、ナビゲーションシステムのソースが映像でない場合、CPU11は、外部入力映像があるか否かを判定する(S7)。外部インターエース14から映像信号が入力されている場合には、CPU11は、処理をS6に進め、LEFチャンネルの信号をスピーカ21から出力させ、5.1チャンネルのサラウンド効果を演出する。一方、外部インターエース14から映像信号が入力されていない場合には、CPU11は、車載視聴装置10に
内蔵されたスピーカ21をサブウーファとして用いる(S8)。すなわち、CPU11は、サブウーファの信号を音声セレクタ18で選択し、スピーカ21に出力させる。CPU11は、サブウーファの信号をスピーカ21から出力することにより、搭乗者が映像のない音信号を利用している場合に、低音補強効果を生じさせることができる。S1からS8の処理は、筐体の開閉状態、前記車載視聴装置に入力される視聴対象の映像の有無、および映像の種類の少なくとも一つに応じて、前記スピーカから出力される音が制御されることの一例である。一方、S2の判定で、画面がクローズ状態の場合、CPU11は、アンプ17にMUTE信号を送り、スピーカ21からの音の出力を遮断するように設定し(S9)、処理を終了する。
【0040】
以上述べたように、本実施の形態の車載視聴装置10の構成によれば、5.1チャンネルのLEF信号を出力可能な大口径のスピーカ、あるいはサブウーファとして使用可能な大口径のスピーカを表示装置である車載視聴装置10に組み込み、あるいは内蔵することが可能となる。すなわち、ベース部2は、ベース部2の車室方向に向かう面(天井部に取り付ける面の反対面)にスピーカ21を内蔵し、スピーカ21に隣接して側壁部24Cを有する。そして、スピーカ21の下面(音が再生される面)、スピーカ21を取り囲むハウジング24の下面部24Bおよび側壁部24Cで取り囲む空間が表示部31を取り付けた筐体3の収納空間となる。
【0041】
本実施の形態では、筐体3に表示部31が組み込まれ、ヒンジ部4によって筐体3がベース部2に対して回動可能に接続される。これによって、表示部21を含む筐体3が、ベース部2との間で開閉可能となる。したがって、筐体3をベース部2の収納空間に閉じた状態では、車載視聴装置10をコンパクトにすることができる。また、筐体3をベース部2から開いた状態で、後部座席の搭乗者は、表示部21の映像を視認可能になるとともに、ベース部2の下側面で大半の領域を占めるスピーカ21を露出させることができる。スピーカ21が比較的薄型のフラットパネルスピーカの場合には、ベース部2を天井部材C1の裏面に配置できる。また、スピーカ21が厚型のコーン型スピーカ等であっても、天井部材C1から多少車室側にベース部2の一部が突出することにはなっても、車載視聴装置10にスピーカ21を取り付け、車載視聴装置10を車両天井面に取り付けることができる。
【0042】
そして、スピーカ21を内蔵したベース部2の大半が天井部材C1の裏面に配置されることで、車載視聴装置10をコンパクトに、車両に搭載できる。また、ベース部2にスピーカを内蔵することで、車両の購入後に車載視聴装置10を増設する場合も簡易に取り付けることが可能となる。すなわち、従来、天井部材C1の中にスピーカを組み込む場合には、取付けに技量と工数を要していた。したがって、例えば、車両の購入後に、天井部材C1に埋め込むタイプのスピーカを増設することは困難を伴っている。しかしながら、本実施の形態に例示した車載視聴装置10は、ベース部2にスピーカ21が組み込まれているので、簡易にスピーカ21を車両に取り付けることができる。
【0043】
また、本実施の形態の車載視聴装置10のCPU11は、ナビゲーションシステムまたは外付けのDVD駆動装置等から供給される映像および音のソースのモードと、表示部31を内蔵した筐体3の開閉状態に応じて、スピーカ21から出力される音を制御できる。例えば、CPU11は、筐体3がベース部2に対して閉じている場合には、スピーカ21への音の出力をMUTE信号により遮断する。スピーカ21の音を遮断することで、筐体3がベース部2に対して閉じているときに発生する可能性のある悪影響を抑制できる。例えば、筐体3がベース部2に対して閉じているときに、スピーカ21からはノイズが出力される可能性がある。そこで、スピーカ21の出力をミュートに設定することで、音の出力を遮断することが望ましい。なお、筐体3がベース部2に対して閉じている状態で、スピーカ21からのノイズが搭乗者の気にならない程度のレベルであれば、ミュートの設定
(
図10のS3)と解除(同
図S9)は行わなくてもよい。すなわち、スピーカ21から音が出力されるままの状態とすればよい。
【0044】
また、筐体3がベース部2に対して開いている場合で、かつ、映像セレクタ19が映像を選択している場合には、スピーカ21に5.1チャンネルのLEFの音響を出力する。また、また、筐体3がベース部2に対して開いている場合で、かつ、映像セレクタ19が映像をしていない場合には、スピーカ2をサブウーファとして使用する。したがって、本実施の形態の車載視聴装置10は、表示部31を含む筐体3の開閉状態、すなわちスピーカ21の露出状態と、視聴対象の種類に応じて、適切な音を車載視聴装置1に備えたスピーカ21から出力できる。さらに、車載視聴装置10は、従来の表示装置に内蔵されるスピーカによって出力できなかった5.1チャンネルのLEFの音響、あるいは低音補強の音等を出力することが可能となる。
【0045】
<変形例>
上記実施の形態では、車載視聴装置10として、車両の天井に取り付ける、いわゆるフリップダウン型の装置を例示した。この場合、天井が壁部の一例である。しかし、車載視聴装置10は、車両の天井に取り付けるものに限定される訳ではない。例えば、車載視聴装置10がダッシュボードに取り付けられるものであっても、ベース部2に筐体3を収納する収納空間を形成し、収納空間底面にスピーカ21を埋め込むようにすればよい。この場合、ダッシュボード壁面が壁部の一例である。すなわち、
図2、
図3に例示した構成の車載視聴装置10は、車両の天井に限られず、車室内の様々な箇所、すなわち、車室内に設けられた物の壁部に搭載可能な構造に変形できる。