(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るカポタスト10の構成を示した概略図である。
図1に示すように、本実施形態のカポタスト10は、弦楽器のネック50を挟持可能な一対のアーム部材として、互いに対向配置された第1アーム部材12及び第2アーム部材14を備えている。第1アーム部材12は、ネック50の表面側(弦52が配置される側)に配置される。第2アーム部材14は、ネック50の裏面側(弦52が配置される側とは反対側)に配置される。
【0018】
本実施形態のカポタスト10はさらに、第1アーム部材12と第2アーム部材14との間隔を変化させる電動駆動機構16を備えている。この電動駆動機構16は、駆動源であるモータ18を含んでおり、モータ18が発生する駆動力を利用して、第1アーム部材12を第2アーム部材14に対して近接又は離間させる動作(開閉動作)を行わせることで、第1アーム部材12と第2アーム部材14との間隔を変化させる。
【0019】
モータ18は、非可動アーム部材である第2アーム部材14に固定されており、第2アーム部材14に対して第1アーム部材12を相対的に移動させるための駆動力を発生する。モータ18は、その出力軸(回転軸)を双方向へ回転可能な電動モータである。
【0020】
モータ18は、第2アーム部材14に設けられた電池20及び操作部22に電気的に接続されている。操作部22は後述するように複数のスイッチ28A〜28D(
図2参照)を備えており、これらのスイッチ28A〜28Dの操作状態(オン/オフ状態)に応じて、電池20からモータ18に対して電流が供給される。これにより、モータ18は電池20から供給された電流に応じた駆動力を発生する。
【0021】
さらに電動駆動機構16は、モータ18が発生した駆動力を第1アーム部材12に伝達するリードスクリュー24を有する。リードスクリュー24は、本発明の駆動力伝達部材の一例である。
【0022】
リードスクリュー24は、モータ18の出力軸と連結して、モータ18の出力軸と一体に回転する。リードスクリュー24の表面(外周面)にはネジ山(雄ネジ)が形成されている。
【0023】
第1アーム部材12は、リードスクリュー24に螺合するネジ孔(雌ネジ)が形成された螺合部(ナット部)26を有し、リードスクリュー24の回転によってリードスクリュー24の軸方向に移動可能に構成される。なお、リードスクリュー24の回転を第1アーム部材12の直進運動に変換させるため、カポタスト10には、リードスクリュー24を回転させる際に第1アーム部材12の回転を規制する回転規制部(不図示)が設けられている。
【0024】
かかる構成により、モータ18が発生した駆動力によってリードスクリュー24が回転すると、その回転方向に応じて、第1アーム部材12は、リードスクリュー24の軸方向、すなわち、第2アーム部材14に近接する方向(
図1の下方向)又は第2アーム部材14から離間する方向(
図1の上方向)に移動する開閉動作を行う。
【0025】
図2は、第1の実施形態に係るカポタスト10の電動駆動機構16の電気的構成を示した回路図である。
【0026】
図2に示すように、本実施形態に係るカポタスト10の電動駆動機構16は、上述した操作部22(
図1参照)の構成要素として、複数のスイッチ28A〜28Dを備えている。この電動駆動機構16は、複数のスイッチ28A〜28Dにより一般的なHブリッジ回路として構成されており、各スイッチ28A〜28Dのオン/オフの組み合わせにより、モータ18のコイルへ流す電流の増減が制御される。なお、各スイッチ28A〜28Dは、機械的な接点のスイッチでもよいし、半導体スイッチでもよい。
【0027】
モータ18のコイルへ流す電流の制御には3つのモードがある。すなわち、各スイッチ28A〜28Dのうち、第1スイッチ28Aと第4スイッチ28Dとをオンとすれば、モータ18が正転する正転モードとなる。また、第2スイッチ28Bと第3スイッチ28Cとをオンとすれば、モータ18が逆転する逆転モードとなる。また、第1スイッチ28Aと第2スイッチ28Bとをオン、または、第3スイッチ28Cと第4スイッチ28Dとをオンとすれば、モータ18の制動ブレーキを作動させた停止モードとなる。
【0028】
次に、本実施形態のカポタスト10をネック50に取り付ける際の動作について説明する。
【0029】
まず、第1アーム部材12と第2アーム部材14との間隔が狭くなっている場合には、操作部22の操作により第2スイッチ28Bと第3スイッチ28Cとをオンにして、モータ18を逆転モードで駆動して、第1アーム部材12と第2アーム部材14との間隔を広げて、カポタスト10をネック50に取り付け可能な開放状態にする。
【0030】
次に、ネック50にカポタスト10を取り付けた場合にカポタスト10が所望の音高の位置で固定されるように、第1アーム部材12と第2アーム部材14との間に弦52とともにネック50を配置した状態で、ネック50とカポタスト10との位置合わせを行う。
【0031】
次に、操作部22の操作により第1スイッチ28Aと第4スイッチ28Dとをオンにして、モータ18を正転モードで駆動して、第1アーム部材12と第2アーム部材14との間隔を徐々に狭くする。これにより、第1アーム部材12と第2アーム部材14との間に弦52とともにネック50が挟持された状態となり、カポタスト10がネック50から取り外し不能に固定された固定状態となる。
【0032】
このようにして、カポタスト10がネック50に取り付けられた状態のとき(すなわち、上記固定状態のとき)、操作部22の操作により第1スイッチ28Aと第2スイッチ28Bとをオン、または、第3スイッチ28Cと第4スイッチ28Dとをオンにして、モータ18を停止モードにして、モータ18の制動ブレーキを作動させた状態で第1アーム部材12と第2アーム部材14との間隔を保持することが好ましい。この態様によれば、弦楽器の演奏時にネック50に取り付けられたカポタスト10が弛むことを防ぐことができる。
【0033】
なお、本実施形態のカポタスト10をネック50から取り外す際には、操作部22の操作により第2スイッチ28Bと第3スイッチ28Cとをオンにして、モータ18を逆転モードで駆動して、第1アーム部材12と第2アーム部材14との間隔を広げることで、カポタスト10をネック50から簡単に取り外すことが可能となる。
【0034】
以上のとおり、第1の実施形態によれば、電動駆動機構16によって第1アーム部材12と第2アーム部材14との間隔を容易かつ簡単に調節可能であり、カポタスト10を、ネック50から取り外し不能に固定された固定状態と、ネック50に対する取り付け及び取り外し可能な開放状態との間で選択的に切り替えることが可能となる。したがって、非力な奏者でも簡単かつ確実に操作することができる。
【0035】
なお、第1の実施形態では、第1アーム部材12が可動アーム部材であり、第2アーム部材14が非可動アーム部材である構成としたが、これらは逆に構成されていてもよい。
【0036】
また、第1の実施形態では、電動操作によりカポタスト10を開閉可能に構成したものであるが、電動操作に加え、さらに手動操作によりカポタスト10を開閉可能に構成したものであってもよい。
【0037】
図3は、第1の実施形態に係るカポタスト10の構成の変形例を示した概略図である。
図3に示した変形例では、
図1に示した構成に加え、さらに、手動操作部材であるツマミ30を備えている。ツマミ30は、リードスクリュー24の先端に取り付けられている。ツマミ30は、リードスクリュー24に着脱自在に取り付け及び取り外しが行えるものであってもよい。これにより、電池切れの場合でも、リードスクリュー24の先端に取り付けたツマミ30を回転操作することで、リードスクリュー24を回転させることができ、第1アーム部材12と第2アーム部材14との間隔を変化させる開閉動作を行うことができる。したがって、弦楽器のネック50にカポタスト10を取り付けた状態で電池20を消耗してしまった場合でも、ネック50からカポタスト10を取り外し可能となる。また、ネック50に対するカポタスト10の締め付け力が不足する場合には、ツマミ30を用いた手動操作で、カポタスト10を締め付けることが可能となる。
【0038】
なお、ツマミ30を用いて手動操作する構成に限らず、ドライバーや六角レンチなど一般的な工具を用いて手動操作を行えるものであってもよい。
【0039】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。以下、第1の実施形態と共通する部分については説明を省略し、本実施形態の特徴的部分を中心に説明する。
【0040】
第2の実施形態は、カポタスト10の電気的な構成が異なる点を除いて、第1の実施形態と同様である。
【0041】
図4は、第2の実施形態に係るカポタスト10の電動駆動機構16の電気的構成を示した回路図である。なお、
図4中、
図2と共通又は類似する構成要素には同一の番号を付している。
【0042】
図4に示すように、第2の実施形態における電動駆動機構16は、第1の実施形態の構成に加え、さらに、電圧計32と、電流計34と、マイコン36とを備えている。
【0043】
電圧計32は、モータ18に印加される電圧(電源電圧)を測定する。電圧計32で測定された電圧はマイコン36に出力される。なお、正確には、電圧計32の出力は、A/Dコンバータ等でデジタル信号に変換されてマイコン36に出力される。
【0044】
電流計34は、モータ18に供給される電流(負荷電流)を測定する。電流計34で測定された電流はマイコン36に出力される。なお、正確には、電流計34の出力は、シャント抵抗等で電圧値に変換後にA/Dコンバータ等でデジタル変換されてマイコン36に出力される。
【0045】
マイコン36は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェース等の公知の構成を有している。マイコン36は、電圧計32、電流計34、及びモータ18と接続されており、ROMに格納されているコンピュータプログラムに従って、電圧計32で測定された電圧に応じてモータ18の動作を制御する第1モータ制御部38として機能するとともに、電流計34で測定された電流に応じてモータ18の動作を制御する第2モータ制御部40として機能する。
【0046】
第1モータ制御部38は、電圧計32で測定された電圧が予め設定した第1閾値以上であるか否かを判別する。第1閾値はRAM等の記憶手段等に保持されていればよい。第1閾値としては、電池20の最大電圧値に所定の係数(例えば0.1〜0.3)を乗じた値としてもよい。
【0047】
上記判別の結果、電圧計32で測定された電圧が第1閾値以上である場合には、第1モータ制御部38は、電池20の残量に余裕があると判断し、モータ18の正転モード及び逆転モードでの両方の動作を許容する。すなわち、モータ18の双方向の回転を許容し、カポタスト10の第1アーム部材12及び第2アーム部材14の開閉動作として、第1アーム部材12を第2アーム部材14に対して離間させる開動作と、第1アーム部材12を第2アーム部材14に対して近接させる閉動作との両方を可能とする。
【0048】
一方、電圧計32で測定された電圧が第1閾値未満である場合には、第1モータ制御部38は、電池20の残量が少ないと判断し、モータ18の逆転モードでの動作のみを許容する。すなわち、モータ18の一方向のみの回転を許容し、カポタスト10の第1アーム部材12及び第2アーム部材14の開閉動作のうち、第1アーム部材12を第2アーム部材14に対して離間させる開動作のみを行えるようにし、第1アーム部材12を第2アーム部材14に対して近接させる閉動作については行えないようにする。
【0049】
第2モータ制御部40は、電流計34で測定された電流が予め設定した第2閾値以上であるか否かを判別する。第2閾値はRAM等の記憶手段等に保持されていればよい。第2閾値は、モータ18の最大負荷電流値に所定の係数(例えば0.8〜0.9)を乗じた値としてもよい。
【0050】
上記判別の結果、電流計34で測定された電流が第2閾値未満である場合には、第2モータ制御部40は、モータ18に供給される電流が正常範囲であると判断し、モータ18の回転を許容する。一方、電流計34で測定された電流が第2閾値以上である場合には、第2モータ制御部40は、モータ18に供給される電流が正常範囲を超えて過大であると判断し、モータ18の回転を禁止して、モータ18の動作を停止するようにする。また、カポタスト10が開放方向(第1アーム部材12と第2アーム部材14とが離間する方向)に動くときには、開放限界でモータ18を自動的に停止させることも可能である。
【0051】
以上のとおり、第2の実施形態によれば、電池20の残量が少ない場合には、カポタスト10が開く方向にのみモータ18を動作させる制御が行われるので、弦楽器のネック50にカポタスト10を取り付けた状態で電池20を消耗することがなくなり、カポタスト10をネック50から取り外せなくなることを防ぐことができる。
【0052】
また、第2の実施形態によれば、モータ18の負荷電流が過大である場合には、モータ18の動作が停止されるので、カポタスト10をネック50に取り付ける際、第1アーム部材12と第2アーム部材14との間に挟持されるネック50を必要以上の力で締め付けることがないので、ネック50を傷つけたり、手などを挟み込んでしまうことを防止することができる。
【0053】
なお、第2の実施形態では、マイコン36を用いてモータ18の動作を制御する構成としたが、これに限らず、例えば、マイコン36に代えてコンパレータ等で構成することも可能である。
【0054】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。以下、上述した各実施形態と共通する部分については説明を省略し、本実施形態の特徴的部分を中心に説明する。
【0055】
第3の実施形態は、カポタスト10の機械的な構成が異なる点を除いて、第1の実施形態と同様である。
【0056】
図5は、第3の実施形態に係るカポタスト10の構成を示した概略図である。なお、
図5中、
図1と共通又は類似する構成要素には同一の番号を付している。
【0057】
図5に示すように、第3の実施形態に係るカポタスト10は、ウォーム42及びウォームホイール44からなるウォームギヤ(減速機構)を備えている。ウォームギヤは、本発明の駆動力伝達部材の一例である。
【0058】
ウォーム42は、外周面に螺旋溝が形成されたネジ状の歯車である。ウォーム42は、モータ18の出力軸に連結され、モータ18の出力軸と一体に回転する。
【0059】
ウォームホイール44は、ウォーム42に噛み合う半円状のウォームホイール(斜歯歯車)である。ウォームホイール44は、第2アーム部材14にホイール軸46を回転中心にして回転自在に支持されている。また、ウォームホイール44には第1アーム部材12が連結固定されている。
【0060】
かかる構成により、モータ18が発生した駆動力によってウォーム42が回転すると、その回転方向に応じて、第2アーム部材14に回転自在に支持されたウォームホイール44はホイール軸46を中心に回転するので、第1アーム部材12はウォームホイール44と一体となってホイール軸46を中心に回転する。これにより、第1アーム部材12は、第2アーム部材14に近接する方向又は第2アーム部材14から離間する方向に移動する開閉動作を行う。
【0061】
したがって、第3の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様に、電動駆動機構16によって第1アーム部材12と第2アーム部材14との間隔を容易かつ簡単に調節可能であり、カポタスト10を、ネック50から取り外し不能に固定された固定状態と、ネック50に対する取り付け及び取り外し可能な開放状態との間で選択的に切り替えることが可能となる。
【0062】
また、第3の実施形態によれば、ウォーム42及びウォームホイール44からなるウォームギヤのセルフロック(自動締り)機能により、モータ18の制動ブレーキを用いなくても、第1アーム部材12と第2アーム部材14との間隔を保持することが可能となる。
【0063】
なお、第3の実施形態では、駆動力伝達部材として、ウォーム42及びウォームホイール44からなるウォームギヤを備えた構成を示したが、これに限らず、種々の歯車を用いて構成することも可能である。
【0064】
また、第3の実施形態では、カポタスト10の電気的な構成としては、第1の実施形態又は第2の実施形態の同様の構成を適用可能であることはいうまでもない。
【0065】
また、第3の実施形態は、電動操作によりカポタスト10を開閉可能に構成したものであるが、第1の実施形態の変形例と同様に、電動操作に加え、さらに手動操作によりカポタスト10を開閉可能に構成したものであってもよい。
【0066】
図6は、第3の実施形態に係るカポタスト10の構成の変形例を示した概略図である。
図6に示した変形例では、
図5に示した構成に加え、さらに、手動操作部材であるツマミ48を備えている。ツマミ48は、ウォーム42の先端に取り付けられている。ツマミ48は、ウォーム42に着脱自在に取り付け及び取り外しが行えるものであってもよい。これにより、第1の実施形態の変形例と同様に、電池切れの場合でも、ウォーム42の先端に取り付けたツマミ48を回転操作することで、ウォーム42を回転させることができ、第1アーム部材12と第2アーム部材14との間隔を変化させる開閉動作を行うことができる。したがって、弦楽器のネック50にカポタスト10を取り付けた状態で電池20を消耗してしまった場合でも、ネック50からカポタスト10を取り外し可能となる。また、ネック50に対するカポタスト10の締め付け力が不足する場合には、ツマミ48を用いた手動操作で、カポタスト10を締め付けることが可能となる。
【0067】
なお、上述した各実施形態では、カタポスト10の電動駆動機構16として、モータ18を用いた構成を示したが、この構成に限らず、例えば、電圧の印加により伸縮するピエゾアクチュエータや人工筋肉アクチュエータなどを用いた構成としてもよい。
【0068】
図7は、カタポスト10の電動駆動機構16としてピエゾアクチュエータ64を用いた構成例を示した概略図である。なお、
図7中、
図1又は
図5と共通又は類似する構成要素には同一の番号を付している。
【0069】
図7に示した構成例では、弦楽器のネック50を挟持可能な一対のアーム部材である第1アーム部材12及び第2アーム部材14は、それぞれに設けられた軸孔にピン等の回転軸60を挿入することにより、相互に回転可能に連結されている。
【0070】
第1アーム部材12と第2アーム部材14との間には、バネ等の付勢部材62が設けられている。この付勢部材62は、その両端が第1アーム部材12及び2アーム部材14にそれぞれ固定されており、第1アーム部材12と第2アーム部材14とを近接させる方向の付勢力を発生するものである。これにより、後述するピエゾアクチュエータ64が駆動されない場合には、付勢部材62の付勢力により、常に第1アーム部材12と第2アーム部材14とが互いに近接した状態(すなわち、上記固定状態に相当する状態)となる。したがって、付勢部材62の付勢力を適宜調整することで、弦楽器のネック50に弦52を押さえつける力を調整することができる。そのため、弦楽器のネック50にカポタスト10を取り付けたときの音調を付勢部材62の付勢力により調節することができる。
【0071】
さらに
図7に示した構成例では、第1アーム部材12と第2アーム部材14との間、具体的には、付勢部材62よりも回転軸60に近い側の位置(好ましくは回転軸60の近傍位置)には、ピエゾアクチュエータ64が挟み込むように配置されている。このピエゾアクチュエータ64は、電圧の印加により伸張(
図7の上下方向に伸張)するアクチュエータである。したがって、図示しないアクチュエータ駆動部によりピエゾアクチュエータ64に電圧を印加すると、ピエゾアクチュエータ64は伸張し、付勢部材62の付勢力に抗して第1アーム部材12と第2アーム部材14とを離間させる開動作が行われる。
【0072】
図7に示した構成例によれば、第1アーム部材12と第2アーム部材14との間隔を変化させる開閉動作のうち、開動作時のピエゾアクチュエータ64を駆動すればよいので、電力の消費を抑えることができる。
【0073】
また、
図7に示した構成例によれば、ピエゾアクチュエータ64を付勢部材62よりも回転軸60側に配置したことにより、ピエゾアクチュエータ64の伸縮率が小さな場合であっても、梃子の原理で第1アーム部材12と第2アーム部材14の駆動範囲(開閉範囲)を広げることが可能となる。
【0074】
図8は、カタポスト10の電動駆動機構16として人工筋肉アクチュエータ66を用いた構成例を示した概略図である。なお、
図8中、
図7と共通又は類似する構成要素には同一の番号を付している。
【0075】
図8に示した構成例は、基本的な構成は
図7に示した構成例と同様であるが、ピエゾアクチュエータ64(
図7参照)に代えて、人工筋肉アクチュエータ66を備えている。なお、付勢部材62は、
図7に示した構成例と同様に、第1アーム部材12と第2アーム部材14とを近接させる方向の付勢力を発生するものである。
【0076】
人工筋肉アクチュエータ66は、電圧の印加により収縮(
図8の上下方向に収縮)するアクチュエータである。この人工筋肉アクチュエータ66は、
図7に示したピエゾアクチュエータ64と比較して、第1アーム部材12と第2アーム部材14との間に配置される点は共通しているが、回転軸60に対して付勢部材62と同一側の位置ではなく、その反対側の位置に配置される点が異なっている。
【0077】
したがって、
図8に示した構成例によれば、図示しないアクチュエータ駆動部により人工筋肉アクチュエータ66に電圧を印加すると、人工筋肉アクチュエータ66は収縮し、付勢部材62の付勢力に抗して第1アーム部材12と第2アーム部材14とを離間させる開動作が行われる。
【0078】
また、人工筋肉アクチュエータ66と回転軸60との距離は、付勢部材62と回転軸60との距離よりも短いことが好ましい。この構成によれば、
図7に示した構成例と同様に、人工筋肉アクチュエータ66の伸縮率が小さな場合であっても、梃子の原理で第1アーム部材12と第2アーム部材14の駆動範囲(開閉範囲)を広げることが可能となる。
【0079】
なお、
図7及び
図8に示した各構成例において、ピエゾアクチュエータ64と人工筋肉アクチュエータ66を入れ替えるとともに、付勢部材62の付勢方向を逆方向(すなわち、第1アーム部材12と第2アーム部材14とを離間させる方向)にした構成でも実現可能である。但し、この構成とした場合、アクチュエータ(ピエゾアクチュエータ64又は人工筋肉アクチュエータ66)でネック50を挟み込む力を与えるため電力消費の点では不利になるので、
図7や
図8に示した構成例のように、付勢部材62により第1アーム部材12と第2アーム部材14とを近接させる方向に付勢する構成が好ましい。
【0080】
また、
図7及び
図8に示した各構成例において、付勢部材62としてバネを用いた態様を示したが、これに限らず、例えば、ゴム等を用いてもよい。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。