特許第6750833号(P6750833)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6750833睡眠時気道の距離調整方法、プログラム、システム及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6750833
(24)【登録日】2020年8月17日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】睡眠時気道の距離調整方法、プログラム、システム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/56 20060101AFI20200824BHJP
【FI】
   A61F5/56
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-557284(P2017-557284)
(86)(22)【出願日】2017年7月21日
(65)【公表番号】特表2019-526291(P2019-526291A)
(43)【公表日】2019年9月19日
(86)【国際出願番号】CN2017000463
(87)【国際公開番号】WO2018040453
(87)【国際公開日】20180308
【審査請求日】2019年5月15日
(31)【優先権主張番号】201610770717.3
(32)【優先日】2016年8月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517380330
【氏名又は名称】太暘科技國際股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】蕭 宏達
(72)【発明者】
【氏名】羅 應賢
【審査官】 國武 史帆
(56)【参考文献】
【文献】 特表2016−509906(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102007046597(DE,A1)
【文献】 国際公開第2016/006633(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0255161(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/56
A61B 5/08 − 5/097
34/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠時気道の距離調整方法は、第一次医療映像を読み取るステップ、第一次気道模型を作るステップ、第一次呼吸模擬を行うステップ、第二次医療映像を読み取るステップ、第二次気道模型を作るステップ、第二次呼吸模擬を行うステップ、及び調整距離を計算するステップを含み、
前記第一次医療映像を読み取るステップは、運算モジュールにより患者の第一次気道断面映像を読み取り、
前記第一次気道模型を作るステップは、前記運算モジュールにより前記第一次気道断面映像を持って第一次気道模型を作り、
前記第一次呼吸模擬を行うステップは、前記運算モジュールにより前記第一次気道模型を持って呼吸模擬を行い、且つ第一次呼吸圧力の分布データ、第一次の圧力差データ及び第一次噴流拡張角度データを割り出し、
前記第二次医療映像を読み取るステップは、前記運算モジュールにより前記患者の口で噛合構造を噛む際の第二次気道断面映像を読み取り、
前記第二次気道模型を作るステップは、前記運算モジュールにより前記第二次気道断面映像を持って第二次気道模型を作り、
前記第二次呼吸模擬を行うステップは、前記運算モジュールにより前記第二次気道模型を持って呼吸模擬を行い、且つ第二次呼吸圧力の分布データ、第二次の圧力差データ及び第二次噴流拡張角度データを割り出し、
前記調整距離を計算するステップは、前記運算モジュールにより前記第一次呼吸圧力の分布データ、前記第一次圧力差データ、前記第一次噴流拡張角度データ、前記第二次呼吸圧力分布データ、前記第二次圧力差データ及び前記第二次噴流拡張角度データを用いて割り出した矯正する拡張距離である
ことを特徴とする睡眠時気道の距離調整方法。
【請求項2】
前記第一次気道断面映像及び前記第二次気道断面映像は、コンピュータ断層撮影の映像であることを特徴とする請求項1記載の睡眠時気道の距離調整方法。
【請求項3】
前記第一次気道断面映像及び前記第二次気道断面映像は、コーンビームCTの映像であることを特徴とする請求項1記載の睡眠時気道の距離調整方法。
【請求項4】
前記第一次気道模型を作るステップは、前記患者の3D気道模型を作ることを特徴とする請求項1記載の睡眠時気道の距離調整方法。
【請求項5】
前記第二次気道模型を作るステップは、前記患者の3D気道模型を作ることを特徴とする請求項1記載の睡眠時気道の距離調整方法。
【請求項6】
前記矯正する拡張距離は、前記運算モジュールが内挿法、外挿法、平均計算法或いはデータバンクと比較などの方法を持って計算して割り出したものであることを特徴とする請求項1記載の睡眠時気道の距離調整方法。
【請求項7】
前記運算モジュールに含まれるのは少なくとも一つの運算或いは応用ソフトウェアのコンピューターシステム、マイクロプロセッサシステム、パーソナルコンピュータ、ノートブックコンピュータ或いは一つのインテリジェントデバイスであることを特徴とする請求項1記載の睡眠時気道の距離調整方法。
【請求項8】
さらに、睡眠時呼吸マウスピースを調整するステップを含み、該ステップは前記矯正する拡張距離に基づき、睡眠時呼吸マウスピースに対し、下顎部分の前方移動或いは拡張を行うことを特徴とする請求項1記載の睡眠時気道の距離調整方法。
【請求項9】
前記噛合構造は、マウスピース、噛合プレート、調整型マウスピース或いは調整型噛合プレートであることを特徴とする請求項1記載の睡眠時気道の距離調整方法。
【請求項10】
前記睡眠時呼吸マウスピースを調整するステップは、調整装置で行うことを特徴とする請求項8記載の睡眠時気道の距離調整方法。
【請求項11】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載された睡眠時気道の距離調整方法における各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項12】
前記請求項11に記載のプログラムを記録した記録媒体。
【請求項13】
前記請求項12に記載された記録媒体を読み取ることができる一種のストアドプログラムのパソコンと
前記記録媒体に記録されたプログラムを搭載した後、前記プログラムを実行するパソコン設備と、を備えたことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の睡眠時気道の距離調整方法、プログラム、システム及び記録媒体に関し、特に睡眠時無呼吸症候群の患者のために、矯正パラメーターの睡眠時気道の距離調整方法を模擬する、プログラム、システム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
テクノロジーが発展するのにつれ、既に多くの手段或いは方法を用いて睡眠時の呼吸問題の予防治療をしている。中でもイビキの治療は、睡眠時呼吸問題或いは睡眠時無呼吸を防止するのに最も根本的な方法と見なされている。
【0003】
多くの睡眠時無呼吸症候群の患者は、一晩の睡眠無呼吸指数(AHI)は50回以上にも達する。医者が薦める治療方法の多くは、イビキ治療手術、イビキ防止枕、呼吸器を装着、熱可塑性プラスチックのイビキ対策マウスピース或いはカスタマイズのイビキ防止マウスピースでの治療等である。メスを使わず、高額(8、9万)且つ不便な呼吸器を使用せず、且つ比較的安定のある効果を得たい場合、カスタマイズの下顎前方移動装置(Mandibular Advanced Device)が目下、製作及び使用が簡単、侵入性治療を必要とせず、値段も高価ではない解決方法である。
【0004】
一般的にカスタマイズのイビキ防止マウスピースによれば噛合が正確に吻合できるほか、下顎にて人工的に微調整を行うことで、下顎前方で固定し、口を「しゃくれた」状態にする。歯医者学会では、患者の歯顎と舌の落ち込み具合に基づき、定期的に下顎を前方に移動する距離を調整する。カスタマイズのイビキ防止マウスピースを安定して装着し、有効的に引っ張ることで、歯と舌を固定し、歯と舌が呼吸と睡眠を妨げない。
【0005】
しかしながら、カスタマイズのイビキ防止マウスピースの下顎部分に対する人工的に微調整する方法の多くは、試行錯誤の方法である。つまり、まず一つの有効値を仮定し、その使用結果に基づき更に調整を行う。それに伴う問題は、調整する回数が多く、且つ治療機能に到達するまでの使用段階の不快感を耐えることである。
【0006】
また、イビキ治療手術の通常のやり方は、外科医の場合、患者の下顎を前方に移動或いは拡張し、気道がつぶされるのを避けることでイビキを止める効果に達する。しかし、果たして手術の際に、下顎をどれぐらい前方に移動、或いは拡張すれば、有効的な治療ができるのだろうか。今までは医者本人の経験に基づくため、リスクと失敗の確率が高かった。
【0007】
以上を鑑みて、映像分析及び分析技術を模擬することで、睡眠時無呼吸症候群の患者がカスタマイズのイビキ防止マウスピースを作る前に、既に必要な下顎拡張距離を把握し、或いは医師が手術を行う前に、既に矯正する拡張距離を把握することができる。このように科学を利用し、精確な方法で行うことで、失敗を避けることは、睡眠時無呼吸症候群の患者にとって、最も良いニュースになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、二回に分けて患者の気道断面映像を読み取り、作った模型に基づき呼吸模擬を行う結果、正確な矯正する拡張距離を提供することができる睡眠時気道の距離調整方法、プログラム、システム及び記録媒体を提供することにある。また、睡眠時呼吸マウスピースの調整を行い、迅速且つ正確に患者に確実、また有効的な睡眠時呼吸マウスピースを提供、或いは矯正する拡張距離を医師に提供し、下顎矯正手術の参考にすることができる睡眠時気道の距離調整方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を解決するために、本発明の一態様の睡眠時気道の距離調整方法は、第一次医療映像を読み取るステップ、第一次気道模型を作るステップ、第一次呼吸模擬を行うステップ、第二次医療映像を読み取るステップ、第二次気道模型を作るステップ、第二次呼吸模擬を行うステップ、及び調整距離を計算するステップを含み、前記第一次医療映像を読み取るステップは、運算モジュールにより患者の第一次気道断面映像を読み取り、前記第一次気道模型を作るステップは、前記運算モジュールにより前記第一次気道断面映像を持って第一次気道模型を作り、前記第一次呼吸模擬を行うステップは、前記運算モジュールにより前記第一次気道模型を持って呼吸模擬を行い、且つ第一次呼吸圧力の分布データ、第一次の圧力差データ及び第一次噴流拡張角度データを割り出し、前記第二次医療映像を読み取るステップは、前記運算モジュールにより前記患者の口で噛合構造を噛む際の第二次気道断面映像を読み取り、前記第二次気道模型を作るステップは、前記運算モジュールにより前記第二次気道断面映像を持って第二次気道模型を作り、前記第二次呼吸模擬を行うステップは、前記運算モジュールにより前記第二次気道模型を持って呼吸模擬を行い、且つ第二次呼吸圧力の分布データ、第二次の圧力差データ及び第二次噴流拡張角度データを割り出し、前記調整距離を計算するステップは、前記運算モジュールにより前記第一次呼吸圧力の分布データ、前記第一次圧力差データ、前記第一次噴流拡張角度データ、前記第二次呼吸圧力分布データ、前記第二次圧力差データ及び前記第二次噴流拡張角度データを用いて割り出した矯正する拡張距離である。
【0010】
本発明の一態様のプログラムは、前記第一次医療映像を読み取るステップ、前記第一次気道模型を作るステップ、前記第一次呼吸模擬を行うステップ、前記第二次医療映像を読み取るステップ、前記第二次気道模型を作るステップ、前記第二次呼吸模擬を行うステップ、及び前記調整距離を計算するステップを含んでいる。
【0011】
本発明の一態様の記録媒体は、前記第一次医療映像を読み取るステップ、前記第一次気道模型を作るステップ、前記第一次呼吸模擬を行うステップ、前記第二次医療映像を読み取るステップ、前記第二次気道模型を作るステップ、前記第二次呼吸模擬を行うステップ、及び前記調整距離を計算するステップを含む睡眠時気道の距離調整方法のプログラムを記録する。
【0012】
本発明の一態様のシステムは、記録媒体を読み取ることができるストアドプログラムのパソコンと、前記記録媒体に記録された睡眠時気道の距離調整方法のプログラムを搭載した後、該プログラムを執行するパソコン設備とを備える。
【0013】
これら本発明の実施により、少なくとも下記に示すように製造過程がシンプルで、別途複雑な機器を必要とせず、設置及び使用コストを節約する効果を得ることができる。また、試行錯誤な実験をする必要がなく、直接正確な患者の気道模型を作る効果を得ることができる。また、検証或いは確認をしやすく、大幅に睡眠時呼吸マウスピースを調整するミスを下げ、コスト及び時間を節約する効果を得ることができる。また、正確な睡眠時呼吸マウスピースの矯正する拡張距離を割り出す効果を得ることができる。また、医師の下顎矯正手術の参考として提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、二回に分けて患者の気道断面映像を読み取り、作った模型に基づき呼吸模擬を行う結果、正確な矯正する拡張距離を提供することができる睡眠時気道の距離調整方法、プログラム、システム及び記録媒体を提供することにある。また、睡眠時呼吸マウスピースの調整を行い、迅速且つ正確に患者に確実、また有効的な睡眠時呼吸マウスピースを提供、或いは矯正する拡張距離を医師に提供し、下顎矯正手術の参考にすることができる睡眠時気道の距離調整方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】医学において、上気道の各部位に対して定義を行う略図である。
図1B】本発明実施例の一種の睡眠時気道の距離調整方法のフローチャート図である。
図2】本発明の一種の第一次気道模型実施例の側面図である。
図3A】本実施例の第一次呼吸圧力模擬実施例の正面図である。
図3B】本実施例の第一次呼吸圧力模擬実施例の側面図である。
図4】本実施例の一種の第一噴流拡張角度模擬実施例図である。
図5】本発明の一種の第二次気道模型実施例の側面図である。
図6】本発明の実施例の一種の調整型噛合プレートの立体略図である。
図7図2及び図5を重ねた後、気道矯正前後の差異の比較図である。
図8A】本実施例の一種の第二次呼吸圧力模擬実施例の正面図である。
図8B】本実施例の一種の第二次呼吸圧力模擬実施例の側面図である。
図9】本実施例の一種の第二噴流拡張角度模擬実施例図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0016】
図1Aに示すのは、医学定義に基づき、上気道R100に関するものである。主に含まれるのは鼻腔(Nasal)R10、上咽頭(Velopharynx)R20、中咽頭(Oropharynx)R30、下咽頭(Hypopharynx)R40、気管(Trachea)R50である。本実施例において記述する上気道R100とは、上咽頭R20、中咽頭R30、下咽頭R40から気管R50までの間の部位を指す。
【0017】
図1Bに示す本実施例は一種の睡眠時気道の距離調整方法S100であり、パソコンシステムの中で行うことができる。睡眠時気道の距離調整方法S100には、第一次医療映像を読み取るステップS10、第一次気道模型を作るステップS20、第一次呼吸模擬を行うステップS30、第二次医療映像を読み取るステップS40、第二次気道模型を作るステップS50、第二次呼吸模擬を行うステップS60、及び調整距離を計算するステップS70
【0018】
図1Bに示す第一次医療映像を読み取るステップS10は、運算モジュールにより患者の第一次気道断面映像を読み取る。第一次気道断面映像は、コンピュータ断層撮影(CT)の映像、或いはコーンビームCT(CBCT)の映像とすることができる。
【0019】
運算モジュールが映像を読み取る方法は、直接有線或いは無線の方法を持って、医療用のCT装置或いはCBCT装置と接続し、第一次気道断面映像を読み取る。または、運算モジュールは、予め保存されているCT装置或いはCBCT装置に発生する映像データを読み取ることができ、その映像データを第一次気道断面映像として獲得する。
【0020】
使用する運算モジュールは、少なくとも一つの運算或いは応用ソフトウェアのコンピューターシステム、マイクロプロセッサシステム、パーソナルコンピュータ、ノートブックコンピュータ、或いはインテリジェントデバイスを含むことができる。
【0021】
図1B及び図2に示す第一次気道模型を作るステップS20は、運算モジュールにより第一次気道断面映像を持って患者の気道と相対応する第一次気道模型を作る。この第一次気道模型は、患者の3D気道模型とすることができる。
【0022】
一つの実施例において、運算モジュールは、グレースケール比較方法或いは数値比較方法を使用することができる。第一次気道断面映像より、正確に気道の位置及びその形状を割り出し、それに基づき患者の気道の第一次気道模型を作ることができる。
【0023】
同様に図1Bに示す第一次呼吸模擬を行うステップS30は、運算モジュールにより第一次気道模型を持って呼吸模擬を行う。第一次呼吸圧力の分布データ、第一次の圧力差データ及び第一次噴流拡張角度データなどを割り出し、及び患者の呼吸状態を得る。例えば、最も狭いエリアでの呼吸流量などの関連データ資料を割り出す。無呼吸低呼吸指数AHI(apnea hypopnea index)は、毎時の呼吸中止回数5以下が正常である。
【0024】
噴流拡張角度の定義とは、噴流拡張角度は気道の長い軸方向において、二つの噴流半幅線の間に形成する角度である。噴流半幅とは、気道が如何なる横軸方向の位置において、最大の噴流速度を中心点に、両サイドに1/2にまで延伸する最大の噴流速度の位置を指す。この時、最大の噴流速度の中心点から1/2の最大噴流速度の位置まで、両者の間の距離を噴流半幅と呼ぶ。
【0025】
また、図3A及び図3Bに示すように、図にある圧力のメモリー指標は、−200から+200であり、その圧力Pの単位はPa(N/m2)である。気道模擬結果の正面図及び側面図で分かるように、被験者が矯正を行う前の状況では、上下顎の垂直第一参考距離はD1(図2に示す通り)である。この時、上気道が拡張されておらず、圧迫した状態であるため、上気道内は濃い色の状態を表し、気道内の圧力の分布が不均等且つ非常に大きな圧力差を具有することを示す。
【0026】
図4に示すように、気道は第一次噴流拡張角度の模擬を行った後、気道が矯正を行う前の状態では、θ=8.3°の比較的大きな噴流拡張角度を表すことが分かった。同時に気道も幅が一致していない状態を示す。
【0027】
続いて図1B及び図5に示す第二次医療映像を読み取るステップS40は、運算モジュールにより患者が噛合構造を噛んだ際の第二次気道断面映像を読み取る。使用する噛合構造は、マウスピース、噛合プレート、調整型マウスピース或いは調整可能に使用できる調整型噛合プレート10である。
【0028】
図6に示すように、調整型噛合プレート10は、噛む部分11及び調整部12を含むことができる。噛む部分11は、患者が口で噛む。調整部12は、患者の口の中における噛む部分11の位置を調整するのに用いる。
【0029】
第二次気道断面映像は、同時にコンピュータ断層撮影(CT)の映像、或いはコーンビームCT(CBCT)の映像とすることができる。ただ、第二次気道断面映像は、第一次気道断面映像と同じCTの映像、或いは同じコーンビームCTの映像にする必要があり、それにより睡眠時気道の距離調整方法S100の結果が最も正確なものとなる。
【0030】
図1Bに示す第二次気道模型を作るステップS50は、運算モジュールにより読み取った第二次気道断面映像を持って、患者の気道と相対応する第二次気道模型を作る。この第二次気道模型は、患者の3D気道模型とすることができる。
【0031】
本実施例において、運算モジュール、は同様にグレースケール比較方法或いは数値比較方法を使用することができる。第二次気道断面映像より、正確に気道の位置及びその形状を割り出し、それに基づき患者の気道の第二次気道模型を作ることができる。
【0032】
図7に示すように、図2及び図5を重ねた後、第二次気道断面映像の気道が、第一次気道断面映像の気道より、かなりの程度の気道スペース体積を拡張することがはっきりと分かる。
【0033】
更に図1Bに示す第二次呼吸模擬を行うステップS60は、運算モジュールにより第二次気道模型を持って呼吸模擬を行う。第二次呼吸圧力の分布データ、第二次の圧力差データ及び第二次噴流拡張角度データなどを割り出しと共に患者が口で噛合構造を噛む際の呼吸状態の関連データ資料を割り出す。
【0034】
また、図8A及び図8Bに示すように、図にある圧力のメモリー指標は、−200から+200であり、その圧力Pの単位はPa(N/m)である。しかし、気道模擬結果の正面図及び側面図で分かるように、被験者が調整型噛合プレート10を着けて矯正を行う状況において、上下顎の垂直第二参考距離はD2であり、且つ垂直の第二参考距離D2(図5に示す通り)は、既に垂直の第一参考距離D1より大きい。この時、下顎が外向けに移動することで、上気道が拡張されるため、上気道内は浅い色の状態を表し、気道内の圧力の分布が均等及び圧力が下がって一致しつつあることを示す。
【0035】
図9に示すように、気道は第二次噴流拡張角度の模擬を行った後、気道が矯正を行った状況において、θ=4.2°の比較的小さな噴流拡張角度を表すことが分かった。同時に気道も幅が一致しつつある状態を示す。
【0036】
図1Bに示す調整距離を計算するステップS70は、運算モジュールにより第一次呼吸圧力の分布データ、第一次圧力差データ、第一次噴流拡張角度データ、第二次呼吸圧力分布データ、第二次圧力差データ及び第二次噴流拡張角度データを用いて割り出した矯正する拡張距離である。
【0037】
矯正する拡張距離は、運算モジュールの内挿法、外挿法、平均計算法或いはデータバンクと比較などの方法を持って、第一次呼吸圧力分布データ、第一次圧力差データ、第一次噴流拡張角度データ、第二次呼吸圧力分布データ、第二次圧力差データ及び第二次噴流拡張角度データに基づき計算して割り出すものである。
【0038】
更に図1Bに示す睡眠時呼吸マウスピースを調整するステップS80は、運算モジュールに基づき計算し、矯正する拡張距離を割り出し、患者の睡眠時呼吸マウスピースに対して調整を行う。
【0039】
本実施例において、睡眠時気道の距離調整方法S100には更に睡眠時呼吸マウスピースを調整するステップS80を含むことができる。前記ステップSS80は、上述した矯正する拡張距離を使って、睡眠時呼吸マウスピースに対して調整を行う。睡眠時呼吸マウスピースの下顎部分を前方に移動或いは拡張を行うことができ、人工的に行う、或いは調整装置で行うことができる。
【0040】
更に、仮に患者の状態が、外科手術を用いて矯正を行うのに適合すると判断した場合、この時の矯正する拡張距離を外科医に提供される。外科医は、外科手術する際に、果たして患者の下顎をどれぐらいの距離、前方に移動或いは拡張するのかを判断することができる。このようにすれば、より正確であり、手術の成功率が上がる。
【0041】
このように、睡眠時気道の距離調整方法S100の実施を介し、患者は正確に調整した睡眠時呼吸マウスピースを着用することができ、或いは医者がより正確に下顎を前方に移動或いは拡張する距離を把握できる。このため、歯或いは舌の位置が不適切であることにより呼吸及び睡眠を妨げるのを避けることができるほか、更に有効的にイビキ或いは危険な睡眠時無呼吸を防止することができる。本実施例を実施する過程において、上述の睡眠時気道の距離調整方法S100は、特に睡眠時気道の距離調整方法S100を執行できるソフトウェアに形成することができる。
【0042】
この他、睡眠時気道の距離調整方法S100を執行するソフトウェアは、第一次医療映像を読み取るステップ、第一次気道模型を作るステップ、第一次呼吸模擬を行うステップ、記第二次医療映像を読み取るステップ、第二次気道模型を作るステップ、第二次呼吸模擬を行うステップ、及び調整距離を計算するステップを含んでいる。更に上述ソフトウェアのプログラムを設備システムに形成することができ、例えば上述のソフトウェアを執行できるパソコン設備に形成される。
【0043】
また、上述のプログラムソフトウェアは、更に一つのストアドプログラムのパソコンに形成することができ、記録媒体を読み取ることができる。記録媒体を読み取ることができる前記パソコンと、前記記録媒体に記録されたソフトウェアのプログラムを搭載した後、睡眠時気道の距離調整方法のソフトウェアを執行するパソコン設備と、によってシステム構成することができる。
【0044】
上述は本発明の最良実施例であり、本発明の範囲を制限するものではない。本技術に熟知する者は、固定構造の変更などの適当な変更および調整を行うことができ、これらの変更および調整を行っても本発明の重要な意義は失われず、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
R100…上気道
R10…鼻腔
R20…上咽頭
R30…中咽頭
R40…下咽頭
R50…気管
S100…睡眠時気道の距離調整方法
S10…第一次医療映像の読み取り
S20…第一次気道模型を作る
S30…第一次呼吸模擬を行う
S40…第二次医療映像の読み取り
S50…第二次気道模型を作る
S60…第二次呼吸模擬を行う
S70…調整距離を計算
S80…睡眠時呼吸マウスピースを調整
10…調整型噛合プレート
11…噛む部分
12…調整部
D1…第一参考距離
D2…第二参考距離
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9