【実施例】
【0016】
図1Aに示すのは、医学定義に基づき、上気道R100に関するものである。主に含まれるのは鼻腔(Nasal)R10、上咽頭(Velopharynx)R20、中咽頭(Oropharynx)R30、下咽頭(Hypopharynx)R40、気管(Trachea)R50である。本実施例において記述する上気道R100とは、上咽頭R20、中咽頭R30、下咽頭R40から気管R50までの間の部位を指す。
【0017】
図1Bに示す本実施例は一種の睡眠時気道の距離調整方法S100であり、パソコンシステムの中で行うことができる。睡眠時気道の距離調整方法S100には、第一次医療映像を読み取るステップS10、第一次気道模型を作るステップS20、第一次呼吸模擬を行うステップS30、第二次医療映像を読み取るステップS40、第二次気道模型を作るステップS50、第二次呼吸模擬を行うステップS60、及び調整距離を計算するステップS70
【0018】
図1Bに示す第一次医療映像を読み取るステップS10は、運算モジュールにより患者の第一次気道断面映像を読み取る。第一次気道断面映像は、コンピュータ断層撮影(CT)の映像、或いはコーンビームCT(CBCT)の映像とすることができる。
【0019】
運算モジュールが映像を読み取る方法は、直接有線或いは無線の方法を持って、医療用のCT装置或いはCBCT装置と接続し、第一次気道断面映像を読み取る。または、運算モジュールは、予め保存されているCT装置或いはCBCT装置に発生する映像データを読み取ることができ、その映像データを第一次気道断面映像として獲得する。
【0020】
使用する運算モジュールは、少なくとも一つの運算或いは応用ソフトウェアのコンピューターシステム、マイクロプロセッサシステム、パーソナルコンピュータ、ノートブックコンピュータ、或いはインテリジェントデバイスを含むことができる。
【0021】
図1B及び
図2に示す第一次気道模型を作るステップS20は、運算モジュールにより第一次気道断面映像を持って患者の気道と相対応する第一次気道模型を作る。この第一次気道模型は、患者の3D気道模型とすることができる。
【0022】
一つの実施例において、運算モジュールは、グレースケール比較方法或いは数値比較方法を使用することができる。第一次気道断面映像より、正確に気道の位置及びその形状を割り出し、それに基づき患者の気道の第一次気道模型を作ることができる。
【0023】
同様に
図1Bに示す第一次呼吸模擬を行うステップS30は、運算モジュールにより第一次気道模型を持って呼吸模擬を行う。第一次呼吸圧力の分布データ、第一次の圧力差データ及び第一次噴流拡張角度データなどを割り出し、及び患者の呼吸状態を得る。例えば、最も狭いエリアでの呼吸流量などの関連データ資料を割り出す。無呼吸低呼吸指数AHI(apnea hypopnea index)は、毎時の呼吸中止回数5以下が正常である。
【0024】
噴流拡張角度の定義とは、噴流拡張角度は気道の長い軸方向において、二つの噴流半幅線の間に形成する角度である。噴流半幅とは、気道が如何なる横軸方向の位置において、最大の噴流速度を中心点に、両サイドに1/2にまで延伸する最大の噴流速度の位置を指す。この時、最大の噴流速度の中心点から1/2の最大噴流速度の位置まで、両者の間の距離を噴流半幅と呼ぶ。
【0025】
また、
図3A及び
図3Bに示すように、図にある圧力のメモリー指標は、−200から+200であり、その圧力Pの単位はPa(N/m
2)である。気道模擬結果の正面図及び側面図で分かるように、被験者が矯正を行う前の状況では、上下顎の垂直第一参考距離はD1(
図2に示す通り)である。この時、上気道が拡張されておらず、圧迫した状態であるため、上気道内は濃い色の状態を表し、気道内の圧力の分布が不均等且つ非常に大きな圧力差を具有することを示す。
【0026】
図4に示すように、気道は第一次噴流拡張角度の模擬を行った後、気道が矯正を行う前の状態では、θ
1=8.3°の比較的大きな噴流拡張角度を表すことが分かった。同時に気道も幅が一致していない状態を示す。
【0027】
続いて
図1B及び
図5に示す第二次医療映像を読み取るステップS40は、運算モジュールにより患者が噛合構造を噛んだ際の第二次気道断面映像を読み取る。使用する噛合構造は、マウスピース、噛合プレート、調整型マウスピース或いは調整可能に使用できる調整型噛合プレート10である。
【0028】
図6に示すように、調整型噛合プレート10は、噛む部分11及び調整部12を含むことができる。噛む部分11は、患者が口で噛む。調整部12は、患者の口の中における噛む部分11の位置を調整するのに用いる。
【0029】
第二次気道断面映像は、同時にコンピュータ断層撮影(CT)の映像、或いはコーンビームCT(CBCT)の映像とすることができる。ただ、第二次気道断面映像は、第一次気道断面映像と同じCTの映像、或いは同じコーンビームCTの映像にする必要があり、それにより睡眠時気道の距離調整方法S100の結果が最も正確なものとなる。
【0030】
図1Bに示す第二次気道模型を作るステップS50は、運算モジュールにより読み取った第二次気道断面映像を持って、患者の気道と相対応する第二次気道模型を作る。この第二次気道模型は、患者の3D気道模型とすることができる。
【0031】
本実施例において、運算モジュール、は同様にグレースケール比較方法或いは数値比較方法を使用することができる。第二次気道断面映像より、正確に気道の位置及びその形状を割り出し、それに基づき患者の気道の第二次気道模型を作ることができる。
【0032】
図7に示すように、
図2及び
図5を重ねた後、第二次気道断面映像の気道が、第一次気道断面映像の気道より、かなりの程度の気道スペース体積を拡張することがはっきりと分かる。
【0033】
更に
図1Bに示す第二次呼吸模擬を行うステップS60は、運算モジュールにより第二次気道模型を持って呼吸模擬を行う。第二次呼吸圧力の分布データ、第二次の圧力差データ及び第二次噴流拡張角度データなどを割り出しと共に患者が口で噛合構造を噛む際の呼吸状態の関連データ資料を割り出す。
【0034】
また、
図8A及び
図8Bに示すように、図にある圧力のメモリー指標は、−200から+200であり、その圧力Pの単位はPa(N/m
2)である。しかし、気道模擬結果の正面図及び側面図で分かるように、被験者が調整型噛合プレート10を着けて矯正を行う状況において、上下顎の垂直第二参考距離はD2であり、且つ垂直の第二参考距離D2(
図5に示す通り)は、既に垂直の第一参考距離D1より大きい。この時、下顎が外向けに移動することで、上気道が拡張されるため、上気道内は浅い色の状態を表し、気道内の圧力の分布が均等及び圧力が下がって一致しつつあることを示す。
【0035】
図9に示すように、気道は第二次噴流拡張角度の模擬を行った後、気道が矯正を行った状況において、
θ2=4.2°の比較的小さな噴流拡張角度を表すことが分かった。同時に気道も幅が一致しつつある状態を示す。
【0036】
図1Bに示す調整距離を計算するステップS70は、運算モジュールにより第一次呼吸圧力の分布データ、第一次圧力差データ、第一次噴流拡張角度データ、第二次呼吸圧力分布データ、第二次圧力差データ及び第二次噴流拡張角度データを用いて割り出した矯正する拡張距離である。
【0037】
矯正する拡張距離は、運算モジュールの内挿法、外挿法、平均計算法或いはデータバンクと比較などの方法を持って、第一次呼吸圧力分布データ、第一次圧力差データ、第一次噴流拡張角度データ、第二次呼吸圧力分布データ、第二次圧力差データ及び第二次噴流拡張角度データに基づき計算して割り出すものである。
【0038】
更に
図1Bに示す睡眠時呼吸マウスピースを調整するステップS80は、運算モジュールに基づき計算し、矯正する拡張距離を割り出し、患者の睡眠時呼吸マウスピースに対して調整を行う。
【0039】
本実施例において、睡眠時気道の距離調整方法S100には更に睡眠時呼吸マウスピースを調整するステップS80を含むことができる。前記ステップSS80は、上述した矯正する拡張距離を使って、睡眠時呼吸マウスピースに対して調整を行う。睡眠時呼吸マウスピースの下顎部分を前方に移動或いは拡張を行うことができ、人工的に行う、或いは調整装置で行うことができる。
【0040】
更に、仮に患者の状態が、外科手術を用いて矯正を行うのに適合すると判断した場合、この時の矯正する拡張距離を外科医に提供される。外科医は、外科手術する際に、果たして患者の下顎をどれぐらいの距離、前方に移動或いは拡張するのかを判断することができる。このようにすれば、より正確であり、手術の成功率が上がる。
【0041】
このように、睡眠時気道の距離調整方法S100の実施を介し、患者は正確に調整した睡眠時呼吸マウスピースを着用することができ、或いは医者がより正確に下顎を前方に移動或いは拡張する距離を把握できる。このため、歯或いは舌の位置が不適切であることにより呼吸及び睡眠を妨げるのを避けることができるほか、更に有効的にイビキ或いは危険な睡眠時無呼吸を防止することができる。本実施例を実施する過程において、上述の睡眠時気道の距離調整方法S100は、特に睡眠時気道の距離調整方法S100を執行できるソフトウェアに形成することができる。
【0042】
この他、睡眠時気道の距離調整方法S100を執行するソフトウェアは、第一次医療映像を読み取るステップ、第一次気道模型を作るステップ、第一次呼吸模擬を行うステップ、記第二次医療映像を読み取るステップ、第二次気道模型を作るステップ、第二次呼吸模擬を行うステップ、及び調整距離を計算するステップを含んでいる。更に上述ソフトウェアのプログラムを設備システムに形成することができ、例えば上述のソフトウェアを執行できるパソコン設備に形成される。
【0043】
また、上述のプログラムソフトウェアは、更に一つのストアドプログラムのパソコンに形成することができ、記録媒体を読み取ることができる。記録媒体を読み取ることができる前記パソコンと、前記記録媒体に記録されたソフトウェアのプログラムを搭載した後、睡眠時気道の距離調整方法のソフトウェアを執行するパソコン設備と、によってシステム構成することができる。
【0044】
上述は本発明の最良実施例であり、本発明の範囲を制限するものではない。本技術に熟知する者は、固定構造の変更などの適当な変更および調整を行うことができ、これらの変更および調整を行っても本発明の重要な意義は失われず、本発明の範囲に含まれる。