特許第6750859号(P6750859)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6750859
(24)【登録日】2020年8月17日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】排水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/22 20060101AFI20200824BHJP
   E03C 1/23 20060101ALI20200824BHJP
   A47K 1/14 20060101ALI20200824BHJP
【FI】
   E03C1/22 C
   E03C1/23 Z
   A47K1/14 B
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-128741(P2016-128741)
(22)【出願日】2016年6月29日
(65)【公開番号】特開2018-3348(P2018-3348A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】392028767
【氏名又は名称】株式会社日本アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】太田 慎一
(72)【発明者】
【氏名】北川 浩平
【審査官】 舟木 淳
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0060274(US,A1)
【文献】 特開2012−036558(JP,A)
【文献】 特開2008−025331(JP,A)
【文献】 特開2008−291624(JP,A)
【文献】 特開2005−290710(JP,A)
【文献】 特開2013−204264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12、1/18−1/184、1/20−1/298
A47K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽体の排水口を開閉するための上下動可能な栓蓋と、
排水用の配管内において前記配管の内周面に沿って配置される被支持部を有し、前記栓蓋を直接又は間接的に支持する通水部材と、
前記配管内に突出し、少なくとも前記排水口が開状態であるときに前記被支持部と接触することで、前記通水部材を支持する支持部とを備え、
前記支持部のうち少なくとも前記被支持部と接触する部位が上下動することで、前記栓蓋が上下動するように構成された排水栓装置であって、
前記被支持部は、前記支持部を挿通可能な被挿通部を有し、
前記被挿通部に対し前記支持部を挿通しない状態とすることで、前記配管から前記通水部材を引抜可能とする引抜可能状態と、前記被挿通部に対し前記支持部を挿通した状態とすることで、前記引抜可能状態よりも前記配管からの前記通水部材の引抜を容易でないものとする引抜規制状態とを選択可能に構成し
前記被支持部は、
前記引抜可能状態において、少なくとも前記排水口が開状態であるときに前記支持部と接触する引抜可能時接触部と、
前記引抜可能時接触部と隣接するとともに、前記引抜可能時接触部よりも下方に向けて延び、かつ、前記被挿通部が形成されてなる突起部とを備え、
前記突起部は、下方に向けて徐々に幅の狭くなる幅縮小部を有することを特徴とする排水栓装置。
【請求項2】
前記引抜可能状態において前記排水口を開状態としたときの前記被支持部のうち前記支持部に載置される部位と、前記引抜規制状態において前記排水口を開状態としたときの前記被支持部のうち前記支持部に載置される部位とが、前記配管の軸方向に沿ってほぼ同一の位置に設けられるように構成されていることを特徴とする請求項1の排水栓装置。
【請求項3】
前記引抜規制状態において、前記通水部材を上方へと引いたとしても、前記配管から前記通水部材が引抜不能又は引抜困難となるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の排水栓装置。
【請求項4】
前記引抜規制状態において前記被挿通部から前記支持部を抜くための抜取用手段と、
前記引抜規制状態ではない状態において前記被挿通部に対し前記支持部を配置するための挿通用手段とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の排水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体の排水口を開閉するための栓蓋を備えた排水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排水栓装置は、槽体(例えば、浴槽や洗面器など)の排水口に設けられた栓蓋を備えており、栓蓋を上下動させることで排水口を開閉させるものである。
【0003】
排水栓装置としては、排水用の配管の中心において前記栓蓋を上下動可能な状態で支持する棒状の支持軸と、往復移動や回動等により変位可能な操作部材と、操作部材の変位による駆動力を前記支持軸側へと伝達する伝達部材とを備えたものが一般に知られている。このような排水栓装置においては、操作部材の変位(操作)に伴い伝達部材が移動することで支持軸が上下動し、ひいては排水口が開閉されるようになっている。
【0004】
また近年では、配管内において配管の内周面に沿って配置される環状の被支持部(外周壁)を有する通水部材と、配管内に若干突出するとともに、被支持部を支持する支持部(支持突起)を有してなる排水栓装置が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。この排水栓装置においては、被支持部の下端面が支持部に対し載置された状態とされており、その結果、配管から通水部材を引抜可能(取外可能)となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許5677782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、使用環境などの状況によっては、配管から通水部材が容易に引抜けない状態であることが好ましいことがある。このような場合には、例えば、上記のような通水部材に代えて、支持部に対し被支持部が上下方向に沿って引っ掛かるように構成した通水部材を用いるといった手法が考えられる。
【0007】
しかしながら、この手法では、配管から通水部材を引抜可能とする場合、及び、配管から通水部材を容易に引抜けないものとする場合の双方に対応するために、通水部材を少なくとも2種類用意しておく必要がある。そのため、コストの増大を招いてしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、配管から通水部材を引抜可能とする場合、及び、配管から通水部材を容易に引抜けないものとする場合の双方に対応することを可能としつつ、コストの増大を効果的に抑制することができる排水栓装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0010】
手段1.槽体の排水口を開閉するための上下動可能な栓蓋と、
排水用の配管内において前記配管の内周面に沿って配置される被支持部を有し、前記栓蓋を直接又は間接的に支持する通水部材と、
前記配管内に突出し、少なくとも前記排水口が開状態であるときに前記被支持部と接触することで、前記通水部材を支持する支持部とを備え、
前記支持部のうち少なくとも前記被支持部と接触する部位が上下動することで、前記栓蓋が上下動するように構成された排水栓装置であって、
前記被支持部は、前記支持部を挿通可能な被挿通部を有し、
前記被挿通部に対し前記支持部を挿通しない状態とすることで、前記配管から前記通水部材を引抜可能とする引抜可能状態と、前記被挿通部に対し前記支持部を挿通した状態とすることで、前記引抜可能状態よりも前記配管からの前記通水部材の引抜を容易でないものとする引抜規制状態とを選択可能に構成し
前記被支持部は、
前記引抜可能状態において、少なくとも前記排水口が開状態であるときに前記支持部と接触する引抜可能時接触部と、
前記引抜可能時接触部と隣接するとともに、前記引抜可能時接触部よりも下方に向けて延び、かつ、前記被挿通部が形成されてなる突起部とを備え、
前記突起部は、下方に向けて徐々に幅の狭くなる幅縮小部を有することを特徴とする排水栓装置。
【0011】
尚、「引抜規制状態」とは、例えば、配管から通水部材を引抜く際に、引抜可能状態において通水部材を引抜く際に必要な力よりも大きな力が必要となる状態や、通水部材を上方へと引いたとしても、通常(通水部材や支持部などを破壊しない限り)、配管から通水部材が引抜けない状態をいう。
【0012】
上記手段1によれば、通水部材の被支持部には被挿通部が設けられており、被挿通部に対し支持部を挿通しないことで、配管から通水部材を引抜可能な状態(引抜可能状態)とすることができ、一方、被挿通部に対し支持部を挿通することで、配管から通水部材を容易に引抜けない状態(引抜規制状態)とすることができる。従って、複数種類の通水部材を用意せずとも、その場の状況に応じて、選択的に引抜可能状態及び引抜規制状態のうちの一方とすることができる。これにより、配管から通水部材を引抜可能な状態とする場合、及び、配管から通水部材を容易に引抜けない状態とする場合の双方に対応可能としつつ、コストの増大を効果的に抑制することができる。
【0013】
さらに、上記手段1によれば、突起部は幅縮小部を有している。従って、仮に支持部の鉛直上方に突起部が位置した状態で配管内に通水部材を挿入した(落下させた)場合であっても、支持部に対し突起部が接触した際に、通水部材が回転し、支持部から突起部が滑り落ちやすくなる。そのため、支持部に対し突起部が載った状態で維持されてしまうといった事態が生じにくくなり、支持部によって引抜可能時接触部を支持すること、すなわち、通水部材を引抜可能状態における正常位置に配置することを極めて容易に行うことができる。その結果、優れた利便性を得ることができる。
【0014】
手段2.前記引抜可能状態において前記排水口を開状態としたときの前記被支持部のうち前記支持部に載置される部位と、前記引抜規制状態において前記排水口を開状態としたときの前記被支持部のうち前記支持部に載置される部位とが、前記配管の軸方向に沿ってほぼ同一の位置に設けられるように構成されていることを特徴とする手段1の排水栓装置。
【0015】
尚、「ほぼ同一」とあるのは、厳密に同一である場合のみならず、若干のずれが存在する場合も含むという趣旨である。
【0016】
上記手段2によれば、引抜可能状態及び引抜規制状態の双方において、栓蓋の上下移動量(リフト量)を同じものとすることができる。これにより、状態によって排水能力が変動してしまうといった事態をより確実に防止することができる。
【0017】
手段.前記引抜規制状態において、前記通水部材を上方へと引いたとしても、前記配管から前記通水部材が引抜不能又は引抜困難となるように構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の排水栓装置。
【0018】
上記手段によれば、通水部材を上方に引いたときであっても、配管から通水部材が容易に引抜けないこととなり、通水部材の抜けを強固に防ぐことができる。これにより、通水部材やこれに支持される栓蓋の盗難防止などをより効果的に図ることができる。
【0019】
尚、上記手段は、通水部材(特に被挿通部を構成する部位)や支持部が容易に変形しないようにこれらの強度を十分に確保し、かつ、支持部のうち被挿通部を通過して被挿通部よりも配管の中心側に位置する部位の長さを十分に大きなものとする(すなわち、支持部や通水部材が多少変形しても、被挿通部から支持部が抜けない状態とする)ことで実現可能である。尚、上記手段3に係る装置は、例えば、配管内の所定位置に通水部材をセットした上で、この通水部材の被挿通部へと支持部を挿通するといった手法で設置することができる。
【0020】
手段.前記引抜規制状態において前記被挿通部から前記支持部を抜くための抜取用手段と、
前記引抜規制状態ではない状態において前記被挿通部に対し前記支持部を配置するための挿通用手段とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の排水栓装置。
【0021】
上記手段によれば、引抜規制状態であっても、抜取用手段によって被挿通部から支持部を抜くことができ、ひいては引抜規制状態であっても配管から通水部材を引抜くことができる。従って、通水部材、栓蓋及び配管の内周面等の清掃やメンテナンスなどを容易に行うことができる。
【0022】
また、引抜規制状態ではない状態においては、挿通用手段によって被挿通部へと支持部を配置することができ、引抜規制状態とすることができる。従って、比較的容易に引抜規制状態とすることができ、装置の設置やメンテナンス時、清掃時などにおける作業性を向上させることができる。
【0023】
尚、抜取用手段及び挿通用手段は、例えば、被支持部のうち支持部と接触可能な部位に設けられ、通水部材への力の付与に伴い支持部へと接触することにより、少なくとも被支持部における被挿通部の存在する部分(例えば、上記手段における突起部)を配管の径方向に沿って弾性変形させることが可能な傾斜部によって構成することができる。また、例えば、抜取用手段及び挿通用手段は、通水部材から支持部へと力が加わることで、支持部の配管内への突出量を通常使用に際しての突出量よりも減少可能とするものによっても構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態において、引抜可能状態における排水栓装置等を示す断面図である。
図2】第1実施形態における通水部材等の斜視図である。
図3】第1実施形態において、引抜規制状態における排水栓装置等を示す断面図である。
図4】第1実施形態において、引抜規制状態とする際における排水栓装置の設置手法について説明するための断面図である。
図5】第2実施形態において、引抜規制状態における排水栓装置等を示す断面図である。
図6】第2実施形態における通水部材等の構成を示す断面模式図である。
図7】第2実施形態において、通水部材等を配管から取外す際の一過程を説明するための排水栓装置等の断面図である。
図8】第2実施形態において、通水部材等を配管から取外す際の一過程を説明するための排水栓装置等の断面図である。
図9】別の実施形態における抜取用手段及び挿通用手段としてのスリット部を示すための通水部材等の斜視図である。
図10】別の実施形態における抜取用手段及び挿通用手段としてのスリット部を示すための通水部材等の斜視図である。
図11】別の実施形態における支持部の構成を説明するための排水栓装置等の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、排水栓装置1は、槽体としての洗面器100に取付けられており、配管2と、栓蓋側機構部4と、支持軸5と、栓蓋6と、通水部材7とを備えている。尚、洗面器100は、その底部分を構成する底壁部101を備えており、当該底壁部101には、鉛直方向に延びる筒状の立設部102と、当該立設部102の下端から径方向内側に向けて突出する環状の張出部103とが形成されている。そして、張出部103の内周に、排水口104が形成されている。
【0026】
配管2は、洗面器100からの排水が流れる管体であり、直列的に接続された排水口部材21と排水管3とを備えている。
【0027】
排水口部材21は、円筒状に形成されており、自身の中心軸と前記排水口104の中心軸とがほぼ一致するように排水口104に挿設されている。また、排水口部材21は、その上端部において径方向外側に突出形成された鍔部22と、当該鍔部22よりも下方側の外周に形成された雄ねじ部23とを備えている。
【0028】
排水管3は、鉛直方向に沿って延びる円筒状をなし、その一端部(上端部)内周に前記雄ねじ部23を螺合可能な雌ねじ部31を備えている。そして、鍔部22を前記張出部103上に配置した状態で、前記雄ねじ部23を雌ねじ部31に螺合し、鍔部22及び排水管3の上端面により張出部103を挟み込むことで、排水管3は排水口部材21に接続されるとともに、洗面器100に取付けられた状態となっている。尚、本実施形態においては、排水管3の上端面と洗面器100との間に、弾性変形可能な材料により形成された環状のシール部材8が介在されており、当該シール部材8によって、排水口部材21及び排水管3(配管2)と洗面器100との間からの漏水防止が図られている。
【0029】
加えて、排水管3からは、円筒状の取付管9が枝分かれした状態で外側に突出している。取付管9は、排水管3の外周から水平方向に突出形成され、自身の内部空間が排水管3の内部空間に連通している。また、取付管9のうち排水管3とは反対側に位置する端部には、取付管9の中心軸に対し回転対称な形状をなす一対の取付用孔部(図示せず)が形成されている。
【0030】
栓蓋側機構部4は、取付管9に対し挿通された状態で取付けられており、回動部41と、運動方向変換部42と、ケース部材43とを備えている。
【0031】
回動部41は、ケース部材43の内部からその外部へと突出しており、この突出部分が取付管9に挿通されている。また、回動部41は、取付管9の中心軸と同軸の回動軸にて回動可能とされている。さらに、回動部41は、その軸方向端面における外周側(排水管3の内部空間側に位置する端面の外周側)に、排水管3内に突出する棒状の支持部44を有している。
【0032】
支持部44は、円柱状をなし、その先端が排水管3の中心軸に到達しないように比較的短いものとされている。また、支持部44は、回動部41が回動することで回動しつつ上下動するようになっている。
【0033】
運動方向変換部42は、所定の操作部材(例えば、操作ボタンや操作ハンドル)の変位に伴い往復運動する、例えばワイヤー等からなる伝達部材(図示せず)と接続されており、前記伝達部材の往復運動を回動部41の回動運動に変換するものである。運動方向変換部42は、例えば、前記伝達部材が接続されるともに複数の歯が形成された往復移動可能なラックと、当該ラックに噛合されるとともに、回動部41に対しこれと同軸な状態で固定された回動可能な歯車(ピニオン)とによって構成されている。このような運動方向変換部42においては、前記伝達部材の往復運動に伴い前記ラックが往復運動して前記歯車が回動するとともに、前記歯車の回動により回動部41が回動することで、支持部44が回動しつつ上下動する。尚、本実施形態における運動方向変換部42の構成は例示であって、運動方向変換部42の構成は適宜変更可能である。
【0034】
ケース部材43は、運動方向変換部42が内部に収容されるとともに、取付管9に対し栓蓋側機構部4を取付けるために用いられるものである。本実施形態において、ケース部材43は、回動部41の回動軸と平行に延びる複数の爪部(図示せず)を備えており、当該爪部は、取付管9の前記取付用孔部に対し挿通された上で、取付管9に対し係止された状態となっている。これにより、栓蓋側機構部4は取付管9に取付けられた状態となっている。尚、取付管9に対する栓蓋側機構部4の取付手法は適宜変更可能であり、例えば、クイックファスナーやねじなどにより栓蓋側機構部4を取付けることとしてもよい。
【0035】
支持軸5は、配管2のほぼ中心に配置されており、鉛直方向に延びる棒状をなしている。また、支持軸5は、その上端部が栓蓋6の背面中央部に取付けられることで、栓蓋6を支持している。さらに、支持軸5は、軸方向に沿って伸縮変形可能なショックアブソーバスプリング51を内部に備えており、支持軸5が上方から押圧されたときに、支持軸5がその軸方向に沿って圧縮変形するようになっている。これにより、排水口104を開状態としたときにおいて栓蓋6に重量物を載置した場合など、支持軸5に対し下方に向けた力が加わった場合に、支持軸5や通水部材7、支持部44などの破損防止を図ることができるようになっている。
【0036】
栓蓋6は、樹脂等からなる円板状の栓蓋本体部61と、当該栓蓋本体部61に取付けられたパッキン部62とを備えている。パッキン部62は、弾性変形可能な材料(例えば、ゴムや樹脂等)によって環状に形成されており、栓蓋本体部61の背面の外周側に設けられた被取付部63の外周に対し嵌め込まれた状態とされている。
【0037】
通水部材7は、配管2内において上下動可能な状態で配置されており、図2図2では、支持軸5を一部のみ図示)に示すように、被支持部71と、複数のアーム部72(図1等では不図示)とを備えている。このアーム部72によって、被支持部71(次述する外周壁部711の内周)と支持軸5の外周とが連結されており、その結果、通水部材7によって栓蓋6が支持軸5を介して間接的に支持された状態となっている。尚、通水部材7によって栓蓋6を直接支持することとしてもよい。
【0038】
被支持部71は、配管2の内周面に沿うようにして配管2内に配置されており、前記支持部44に載置される部位である。被支持部71が支持部44に載置された状態となることで、通水部材7は、支持部44により配管2内で支持されている。そして、支持部44が下動した際に、通水部材7及び支持軸5とともに栓蓋6が下動し、パッキン部62の外周部分全域が底壁部101に接触することで、排水口104が閉鎖されるようになっている。一方で、支持部44が上動した際には、通水部材7及び支持軸5とともに栓蓋6が上動し、パッキン部62が底壁部101から離間することで、排水口104が開放されるようになっている。
【0039】
但し、本実施形態において、支持部44が最も下方に配置された状態(排水口104を閉鎖した状態)では、支持部44に対し被支持部71が載置されていない状態となるように構成されている。これにより、排水口104の閉鎖時において、パッキン部62をより確実に底壁部101へと接触させることができ、良好な水密性を得ることができるようになっている。
【0040】
さらに、被支持部71は、外周壁部711と突起部712とを備えている。
【0041】
外周壁部711は、円筒状をなしており、軸方向に沿って比較的長尺な(例えば、配管2の最小内径以上の長さを有する)ものとされている。従って、支持部44の上動に伴い通水部材7が配管2に対し傾いたとしても、その傾きが小さい時点で、外周壁部711(特に配管2の中心軸を挟んで支持部44とは反対側に位置する部位)を配管2に対しより確実に接触させることができ、通水部材7のそれ以上の傾きを効果的に抑制できる。その結果、配管2に対する支持軸5や栓蓋6の傾き抑制を図ることができ、底壁部101のうち排水口104を閉状態としたときに栓蓋6(パッキン部62)によりシールされる部位(被シール部位)の中心に対し、栓蓋6の中心軸が大きくずれてしまうことを抑制でき、ひいては良好な水密性を得ることができる。また、排水口104を開放したときにおける良好な美観を確保することが可能となる。
【0042】
突起部712は、外周壁部711から下方に向けて突出する部位であり、外周壁部711に連なる基端部から最下方に位置する先端部にかけてその幅が徐々に狭くなる形状(正面視逆三角形状)をなしている。すなわち、突起部712は、下方に向けて徐々に幅の狭くなる幅縮小部712Aを備えている。
【0043】
さらに、突起部712には、外周から内周に貫通する正面視逆三角形状の被挿通部712Bが形成されている。そして、本実施形態では、被挿通部712Bに対し支持部44を挿通しない状態とすることで、配管2から通水部材7を引抜可能とする引抜可能状態することが可能である。引抜可能状態では、少なくとも排水口104が開状態であるときにおいて、支持部44に対し外周壁部711の下端面が載置される(接触する)ようになっている。本実施形態では、外周壁部711の下端面によって引抜可能時接触部711Aが構成されており、突起部712は、引抜可能時接触部711Aと隣接した状態となっている。
【0044】
尚、本実施形態では、洗面器100の表側から栓蓋6や支持軸5を引き上げることで、通水部材7、支持軸5及び栓蓋6からなるユニット10(図1参照)を配管2から一度に取外すことができるようになっている。そして、前記ユニット10を配管2から取外した状態では、配管2内は、支持部44のみが僅かに突出した状態となるため、メンテナンス性や清掃性の向上を図ることができるようになっている。
【0045】
また、引抜可能状態は、配管2内に対し通水部材7を位置決めなどを行うことなく単に挿入する(落下させる)ことで実現することができる。仮に支持部44の鉛直上方に突起部712が位置した状態で配管2内に通水部材7を挿入した(落下させた)としても、上記の通り、突起部712は幅縮小部712Aを有するため、支持部44に対し突起部712が接触した際に、通水部材7が回転し、支持部44から突起部712が滑り落ちやすくなる。そのため、支持部44に対し突起部712が載った状態で維持されてしまうといった事態はほとんど生じない。
【0046】
一方、図3に示すように、被挿通部712Bに対し支持部44を挿通した状態とすることで、前記引抜可能状態よりも配管2からの通水部材7の引抜が容易でない引抜規制状態とすることが可能である。すなわち、引抜可能状態及び引抜規制状態を選択することができるようになっている。
【0047】
また、本実施形態では、引抜規制状態において、栓蓋6などを上方へ引くことで通水部材7を上方へと引いたとしても、配管2から通水部材7が引抜不能又は引抜困難となるように構成されている。本実施形態では、これを実現すべく、通水部材7(特に突起部712)や支持部44が容易に変形しないようにこれらの強度を十分に確保するとともに、支持部44のうち被挿通部712Bを通過して被挿通部712Bよりも配管2の中心側に位置する部位の長さLを十分に大きなものとしている。尚、長さLは、例えば、配管2と通水部材7とを同軸に配置した状態において、配管2の径方向に沿って通水部材7を配管2に対し相対移動させたときの移動可能量よりも十分に大きなものとされている。
【0048】
さらに、引抜規制状態では、少なくとも排水口104が開状態であるときにおいて、支持部44に対し、被支持部71における被挿通部712Bを形成する部位のうち上側に位置する直線部71A(図2参照)が載置される(接触する)ようになっている。ここで、本実施形態では、配管2内に通水部材7を配置した状態において、直線部71Aと引抜可能時接触部711Aとは、配管2の軸方向に沿ってほぼ同じ位置(同じ高さ)に設けられている。すなわち、引抜可能状態において排水口104を開状態としたときの被支持部71のうち支持部44に載置される部位(引抜可能時接触部711A)と、引抜規制状態において排水口104を開状態としたときの被支持部71のうち支持部44に載置される部位(直線部71A)とが、配管2の軸方向に沿ってほぼ同一の位置に設けられている。
【0049】
尚、引抜規制状態は、例えば、図4に示すように、配管2内の所定位置に通水部材7をセットした上で、取付管9に対し回動部41等を挿通し、前記通水部材7の被挿通部712Bへと支持部44を挿通するといった手法により実現することができる。
【0050】
以上詳述したように、本実施形態によれば、複数種類の通水部材を用意せずとも、その場の状況に応じて、選択的に引抜可能状態及び引抜規制状態のうちの一方とすることができる。これにより、配管2から通水部材7を引抜可能な状態とする場合、及び、配管2から通水部材7を容易に引抜けない状態とする場合の双方に対応可能としつつ、コストの増大を効果的に抑制することができる。
【0051】
また、直線部71Aと引抜可能時接触部711Aとが、配管2の軸方向に沿ってほぼ同じ位置に設けられているため、引抜可能状態及び引抜規制状態の双方において、栓蓋6の上下移動量(リフト量)を同じものとすることができる。これにより、状態によって排水能力が変動してしまうといった事態をより確実に防止することができる。
【0052】
さらに、突起部712は幅縮小部712Aを有するため、配管2内に通水部材7を挿入した(落下させた)ときに、支持部44によって引抜可能時接触部711Aを支持すること、すなわち、通水部材7を引抜可能状態における正常位置に配置することを極めて容易に行うことができる。その結果、優れた利便性を得ることができる。
【0053】
加えて、本実施形態によれば、通水部材7を上方に引いたときであっても、配管2から通水部材7が容易に引抜けないこととなり、通水部材7の抜けを強固に防ぐことができる。これにより、通水部材7やこれに間接的に支持される栓蓋6の盗難防止などをより効果的に図ることができる。
〔第2実施形態〕
次いで、第2実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。上記第1実施形態では、引抜規制状態において、通水部材7を上方へと引いたとしても、配管2から通水部材7が引抜不能又は引抜困難となるように構成されている。これに対し、本第2実施形態では、引抜規制状態において、通水部材7を上方へと引くことにより、被挿通部712Bから支持部44が抜けて、配管2から通水部材7を引抜くことができるようになっている。
【0054】
この点に関し、より詳細に説明すると、図5及び図6に示すように、本第2実施形態において、突起部712は、被支持部71における被挿通部712Bを形成する部位のうち下側に位置する部位、つまり、通水部材7を上方へと引いたときに支持部44へと接触する部位に、通水部材7の外周に向けて徐々に低くなる抜取用手段としての内側傾斜部712Cを備えている。尚、通水部材7が樹脂等により形成されることで、突起部712は、外周壁部711への連接部分を基点として通水部材7の径方向に沿って弾性変形可能とされている。また、上記第1実施形態と比べて、支持部44が若干短くされることにより、支持部44のうち被挿通部712Bを通過して被挿通部712Bよりも配管2の中心側に位置する部位の長さは、上記第1実施形態における長さLと比べて、若干小さなものとされている。
【0055】
そして、例えば栓蓋6を引き上げることにより通水部材7を上方へと引いたときには、図7に示すように、支持部44に対し内側傾斜部712Cが接触し、この状態で通水部材7をさらに上方へと引くと、突起部712は徐々に径方向内側へと弾性変形していく。そして、突起部712が十分に弾性変形し、支持部44に対する内側傾斜部712Cの係止が解除されると、図8に示すように、被挿通部712Bから支持部44が抜けて、配管2から通水部材7が引抜かれることとなる。つまり、内側傾斜部712Cにより、引抜規制状態において被挿通部712Bから支持部44を抜くことが可能となっている。
【0056】
また、本第2実施形態では、配管2から引抜かれた通水部材7を、当該通水部材7の被挿通部712Bが支持部44の上方に位置した状態で、配管2内へと押し込むことにより、被挿通部712Bに対し支持部44が挿通され、引抜規制状態とすることができるようになっている。
【0057】
この点に関し、より詳細に説明すると、突起部712のうち被挿通部712Bの下方に位置する先端面には、通水部材7の外周に向けて徐々に高くなる挿通用手段としての外側傾斜部712D(図5等参照)が設けられている。
【0058】
そして、被挿通部712Bが支持部44の上方に位置した状態で、通水部材7を配管2内へと押し込むことにより、支持部44に対し外側傾斜部712Dが接触し、この状態で通水部材7をさらに下方へと押し込むことで、突起部712は徐々に径方向内側へと弾性変形していく。そして、突起部712が十分に弾性変形すると、支持部44に対する外側傾斜部712Dの係止が解除されて、外側傾斜部712Dが支持部44よりも下方に移動しつつ、被挿通部712Bへと支持部44が挿通される。これにより、引抜規制状態となる。つまり、外側傾斜部712Dにより、引抜規制状態ではない状態において被挿通部712Bに対し支持部44を配置することが可能となっている。
【0059】
以上、本第2実施形態によれば、基本的には上記第1実施形態と同様の作用効果が奏されることとなる。すなわち、配管2から通水部材7を引抜可能な状態とする場合、及び、配管2から通水部材7を容易に引抜けない状態とする場合の双方に対応可能としつつ、コストの増大抑制等を図ることができる。
【0060】
加えて、本第2実施形態によれば、意図的に通水部材7を上方へと引くことで、引抜規制状態であっても、内側傾斜部712Cによって被挿通部712Bから支持部44を抜くことができ、ひいては配管2から通水部材7を引抜くことができる。従って、通水部材7、栓蓋6及び配管2の内周面等の清掃やメンテナンスなどを容易に行うことができる。
【0061】
また、引抜規制状態ではない状態においては、外側傾斜部712Dによって被挿通部712Bへと支持部44を配置することができ、引抜規制状態とすることができる。従って、比較的容易に引抜規制状態とすることができ、装置の設置やメンテナンス時、清掃時などにおける作業性を向上させることができる。
【0062】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0063】
(a)上記第2実施形態では、内側傾斜部712Cによって抜取用手段が構成され、外側傾斜部712Dによって挿通用手段が構成されているが、抜取用手段及び挿通用手段をその他の構成により実現してもよい。従って、例えば、抜取用手段及び挿通用手段を、上下方向又は配管2に対する相対回転方向に移動する通水部材7から支持部44へと力が加わることで、支持部44の配管2内への突出量を通常使用に際しての突出量よりも減少可能とするもの(例えば、支持部44をその軸方向に沿って変位可能な状態で支持するばね部材など)によって構成してもよい。この場合には、通水部材7を上方へと引いたり、配管2内へと通水部材7を押し込んだりしたときに、通水部材7から支持部44へと力が加わることで、配管2内への支持部44の突出量が減少し、その結果、被挿通部712Bから支持部44を抜いたり、被挿通部712Bへと支持部44を配置したりすることができる。
【0064】
また、図9及び図10に示すように、抜取用手段及び挿通用手段を、例えば、突起部712に設けられ、被挿通部712Bに連通するとともに支持部44の外径よりも幅の小さいスリット部73,74によって構成してもよい。この場合には、配管2に対し通水部材7を相対回転させたり、通水部材7に上下方向の力を加えたりすることにより、支持部44から通水部材7におけるスリット部73,74を形成する部位へと力が加わることで、前記スリット73,74の幅が増大し、その結果、被挿通部712Bから支持部44を抜いたり、被挿通部712Bへと支持部44を配置したりすることが可能となる。
【0065】
(b)上記実施形態において、被支持部71は環状をなしているが、被支持部71を非環状としてもよい。尚、被支持部71を非環状とした場合には、引抜可能状態としたときにおいて配管2に対し通水部材7が相対回転することで、支持部44から被支持部71が落下してしまうことが懸念されるが、少なくとも引抜可能状態において配管2に対する通水部材7の相対回転が規制されるように構成することで、このような懸念を払拭することができる。
【0066】
(c)上記実施形態において、支持部44は、回動部41の軸方向端面から突出し、回動部41の回動に伴い回動しつつ上下動するように構成されているが、支持部の構成はこれに限定されるものではない。従って、例えば、図11に示すように、水平方向に延びる回動軸にて回動可能な回動部46の外周から支持部45が突出し、回動部46の回動に伴い支持部45及びこれに支持された通水部材7が上下動するように構成してもよい。
【0067】
(d)上記実施形態において、配管2は、排水口部材21及び排水管3を備えているが、排水口部材21を用いることなく、洗面器100に対し排水管3を直接固定するような場合には、排水管3のみによって配管2を構成してもよい。
【0068】
(e)上記実施形態では、栓蓋6(パッキン部62)が底壁部101に接触することで排水口104が閉鎖されるように構成されているが、栓蓋6(パッキン部62)が排水口部材21に接触することで排水口104が閉鎖されるように構成してもよい。
【0069】
(f)上記実施形態では、槽体として洗面器100を例示しているが、本発明の技術思想を適用可能な槽体は洗面器に限定されるものではない。従って、例えば、浴槽やキッチンの流し台などに対して本発明の技術思想を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…排水栓装置、2…配管、6…栓蓋、44…支持部、7…通水部材、71…被支持部、100…洗面器(槽体)、104…排水口、711A…引抜可能時接触部、712…突起部、712A…幅縮小部、712B…被挿通部、712C…内側傾斜部(抜取用手段)、712D…外側傾斜部(挿通用手段)。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
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図11