(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6750864
(24)【登録日】2020年8月17日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】文章表示装置、文章表示方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G09G 5/34 20060101AFI20200824BHJP
G09G 5/22 20060101ALI20200824BHJP
G09G 5/32 20060101ALI20200824BHJP
G06F 3/0485 20130101ALI20200824BHJP
【FI】
G09G5/34 A
G09G5/34 Z
G09G5/22 630G
G09G5/22 630Z
G09G5/32 670
G09G5/22 630D
G06F3/0485
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-140738(P2016-140738)
(22)【出願日】2016年7月15日
(65)【公開番号】特開2018-10256(P2018-10256A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2019年6月5日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年1月28日に、http://www.funifd.com/exhibition/postex/#topに発表 平成28年2月4日に、公立はこだて未来大学主催の「卒研最終セミナー」にて発表 平成28年2月11日に、公立はこだて未来大学主催の「公立はこだて未来大学 情報デザインコース 2016卒業研究展覧会」にて発表
(73)【特許権者】
【識別番号】508236240
【氏名又は名称】公立大学法人公立はこだて未来大学
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】安井 重哉
(72)【発明者】
【氏名】北町 駿
【審査官】
西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−032341(JP,A)
【文献】
特開2001−084075(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0125807(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00 − 5/42
G06F 3/0485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文章データに基づいて、先行してスクロールしている行の行末を次の行の行頭が1行ずれて追うように、文章の複数の行のそれぞれを順番に表示画面上で行方向にスクロールさせる表示制御部と、
前記文章データから各行の行末の位置を抽出する行末抽出部と、を備え、
前記表示制御部は、前記行末抽出部で抽出された行末の位置に基づいて前記次の行をスクロールさせることを特徴とする文章表示装置。
【請求項2】
文章データに基づいて、先行してスクロールしている行の行末を次の行の行頭が1行ずれて追うように、文章の複数の行のそれぞれを順番に表示画面上で行方向にスクロールさせる表示制御部を備え、
前記表示制御部は、スクロールの開始前に前記表示画面のスクロールの始点側の端部に前記複数の行の行頭を表示させることを特徴とする文章表示装置。
【請求項3】
文章データに基づいて、先行してスクロールしている行の行末を次の行の行頭が1行ずれて追うように、文章の複数の行のそれぞれを順番に表示画面上で行方向にスクロールさせる表示制御部と、
スクロールしている行の読書対象部分の表示形態を、前記読書対象部分以外の前記表示画面上の文字の表示形態とは異なるように変更する表示形態変更部と、
を備えることを特徴とする文章表示装置。
【請求項4】
文章データに基づいて、先行してスクロールしている行の行末を次の行の行頭が1行ずれて追うように、文章の複数の行のそれぞれを順番に表示画面上で行方向にスクロールさせる表示制御部を備え、
前記表示制御部は、前記先行してスクロールしている行の次の次の行をスクロールさせるまで、前記先行してスクロールしている行をスクロールさせ続け、前記先行してスクロールしている行の次の次の行をスクロールさせるときに、前記先行してスクロールしている行の全体を前記表示画面に表示させることを特徴とする文章表示装置。
【請求項5】
文章データに基づいて、先行してスクロールしている行の行末を次の行の行頭が1行ずれて追うように、文章の複数の行のそれぞれを順番に表示画面上で行方向にスクロールさせる表示制御部を備え、
前記表示制御部は、前記次の行のスクロール中に、前記先行してスクロールしている行をスクロールさせながら徐々に消去し、消去された行の次の次の行をスクロールさせるときに、前記消去された行の全体を前記表示画面に表示させることを特徴とする文章表示装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、スクロールの開始前に前記表示画面のスクロールの始点側の端部に前記複数の行の行頭を表示させることを特徴とする請求項1に記載の文章表示装置。
【請求項7】
スクロールしている行の読書対象部分の表示形態を、前記読書対象部分以外の前記表示画面上の文字の表示形態とは異なるように変更する表示形態変更部を備えることを特徴とする請求項1、2、4から6のいずれかに記載の文章表示装置。
【請求項8】
前記表示形態変更部は、前記読書対象部分の表示濃度を前記読書対象部分以外の前記表示画面上の文字の表示濃度より濃く変更することを特徴とする請求項3または7に記載の文章表示装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記先行してスクロールしている行の次の次の行をスクロールさせるまで、前記先行してスクロールしている行をスクロールさせ続け、前記先行してスクロールしている行の次の次の行をスクロールさせるときに、前記先行してスクロールしている行の全体を前記表示画面に表示させることを特徴とする請求項1から3、6から8のいずれかに記載の文章表示装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、ユーザの停止操作に従いスクロールを停止させ、前記停止操作時に前記先行してスクロールしている行が存在する場合には前記先行してスクロールしている行の全体を前記表示画面に表示させることを特徴とする請求項4または9に記載の文章表示装置。
【請求項11】
前記表示制御部は、前記次の行のスクロール中に、前記先行してスクロールしている行をスクロールさせながら徐々に消去し、消去された行の次の次の行をスクロールさせるときに、前記消去された行の全体を前記表示画面に表示させることを特徴とする請求項1から3、6から8のいずれかに記載の文章表示装置。
【請求項12】
前記表示制御部は、ユーザの停止操作に従いスクロールを停止させ、前記停止操作時に前記消去された行が存在する場合には前記消去された行の全体を前記表示画面に表示させ、前記停止操作時に前記先行してスクロールしている行が存在する場合には前記先行してスクロールしている行の全体を前記表示画面に表示させることを特徴とする請求項5または11に記載の文章表示装置。
【請求項13】
前記表示制御部は、スクロール停止時に、ユーザの再開操作に従いスクロールを再開させることを特徴とする請求項10または12に記載の文章表示装置。
【請求項14】
前記表示制御部は、1ページの文章の最後の行の行末がスクロールにより前記表示画面に現れた場合に、次ページの文章の最初の行を前記行方向にスクロールさせることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の文章表示装置。
【請求項15】
文章データに基づいて、先行してスクロールしている行の行末を次の行の行頭が1行ずれて追うように、文章の複数の行のそれぞれを順番に表示画面上で行方向にスクロールさせる表示制御部を備え、
前記表示制御部は、1ページの文章の最後の行の行末がスクロールにより前記表示画面に現れた場合に、次ページの文章の最初の行を前記行方向にスクロールさせることを特徴とする文章表示装置。
【請求項16】
文章データから各行の行末の位置を抽出する行末抽出ステップと、
前記文章データに基づいて、先行してスクロールしている行の行末を次の行の行頭が1行ずれて追うように、文章の複数の行のそれぞれを順番に表示画面上で行方向にスクロールさせ、前記行末抽出ステップで抽出された行末の位置に基づいて前記次の行をスクロールさせる表示制御ステップと、
を備えることを特徴とする文章表示方法。
【請求項17】
文章データから各行の行末の位置を抽出する行末抽出ステップと、
前記文章データに基づいて、先行してスクロールしている行の行末を次の行の行頭が1行ずれて追うように、文章の複数の行のそれぞれを順番に表示画面上で行方向にスクロールさせ、前記行末抽出ステップで抽出された行末の位置に基づいて前記次の行をスクロールさせる表示制御ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文章表示装置、文章表示方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な電子書籍端末では、紙の書籍の1ページの文章をそのままの形態で表示画面に表示している(例えば、特許文献1参照)。そのため、読者は、電子書籍端末に表示された文章を読むとき、紙の書籍を読むときと同様に、1行の文末まで読んだ後、次の行の文頭まで視線を移動させることを繰り返す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2014−514658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような電子書籍端末における文章の読みやすさには改善の余地がある。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、文章の読みやすさを向上できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の文章表示装置は、文章データに基づいて、先行してスクロールしている行の行末を次の行の行頭が1行ずれて追うように、文章の複数の行のそれぞれを順番に表示画面上で行方向にスクロールさせる表示制御部を備える。
【0007】
本発明の別の態様は、文章表示方法である。この方法は、文章データに基づいて、先行してスクロールしている行の行末を次の行の行頭が1行ずれて追うように、文章の複数の行のそれぞれを順番に表示画面上で行方向にスクロールさせるステップを備える。
【0008】
本発明の別の態様は、プログラムである。このプログラムは、文章データに基づいて、先行してスクロールしている行の行末を次の行の行頭が1行ずれて追うように、文章の複数の行のそれぞれを順番に表示画面上で行方向にスクロールさせるステップをコンピュータに実行させる。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、文章の読みやすさを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係る文章表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1の文章表示装置の読書開始時の表示画面の表示状態を示す図である。
【
図3】
図2に続く、表示画面の表示状態を示す図である。
【
図4】
図3に続く、表示画面の表示状態を示す図である。
【
図5】
図4に続く、表示画面の表示状態を示す図である。
【
図6】
図5に続く、スクロール停止時の表示画面の表示状態を示す図である。
【
図7】
図1の文章表示装置の文章表示処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、一実施形態に係る文章表示装置1の概略構成を示すブロック図である。文章表示装置1は、例えば、携帯電話機、スマートフォンまたはタブレット端末などの文章を表示可能な表示装置である。文章表示装置1は、表示部10と、入力部12と、通信部14と、記憶部16と、制御部18とを備える。
【0013】
表示部10は、液晶表示パネルなどの表示画面を含み、表示画面に文章を表示する。入力部12は、例えば、タッチセンサ、マウス、キーボードまたはマイクなどを含み、ユーザによる操作情報を入力する。以下では、入力部12は、ユーザによる表示画面へのタッチ操作を検出するタッチセンサであるとして説明する。
【0014】
通信部14は、サーバ(図示せず)との間で無線通信または有線通信を行い、電子書籍などの文章の文章データを受信する。文章データは、文字列で構成される文章を表現したデータであり、主として文字コードで定義される文字データ(テキストデータ)と、改行データなどの制御データとにより構成される。文章データは、画像、音声、動画等のデータを含んでもよい。
【0015】
記憶部16は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)および不揮発性メモリなどを含み、通信部14で受信された文章データおよび各種データを記憶する。
【0016】
制御部18は、文章表示装置1内の各部を制御して、表示部10の表示画面への文章表示機能を実行する。制御部18は、記憶部16に記憶された文章データに基づいて、文章の複数の行のそれぞれを順番にスクロールさせて表示する。制御部18はコンピュータを含み、制御部18の各種機能は、ハードウェア的には、回路ブロック、メモリ、その他のLSIで構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、制御部18の各種機能はハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0017】
制御部18は、行末抽出部20と、表示制御部22と、表示形態変更部24とを有する。制御部18の各部の機能と、表示画面への文章の表示形態について、
図2から
図6を参照して以下に説明する。以下では、縦書きの文章を表示する一例について説明する。
【0018】
図2は、
図1の文章表示装置1の読書開始時の表示画面30の表示状態を示す図である。表示制御部22は、読書開始時、即ちスクロールの開始前に、
図2に示すように、表示画面30のスクロールの始点側の端部に、文章の1ページに含まれる複数の行の行頭40を表示させる。そのため、1ページに表示されるべき各行は行頭40を除いて表示画面30の下端の外に隠れているように見える。表示される各行の行頭40の文字数は、例えば数文字であり、1文字のサイズやユーザの好みなどに応じて適宜変更可能であってもよい。
【0019】
この表示形態により、ユーザは、スクロールの開始前に、表示画面30に文章表示が行われようとしていることを把握でき、文章が縦書きであることや、どこから読み始めればよいかも容易に理解できる。
【0020】
図3は、
図2に続く、表示画面30の表示状態を示す図である。表示制御部22は、ユーザの開始操作に従い、
図3に示すように、文章の1ページの複数の行のうちの最初の行42を表示画面30上で行方向d1にスクロールさせる。本実施形態では、スクロールとはスクロールアップを意味する。開始操作は、例えば、ユーザが表示画面30の何れかの位置をタップする操作である。ユーザが表示画面30をタップしている間、スクロールが継続する。即ち、ここでの「タップ」とは、ロングタップまたはロングタッチとも称される操作である。行方向d1は、1つの行の行末から行頭に向かう方向であり、縦書きの文章の場合には上方向である。
【0021】
表示形態変更部24は、
図3に示すように、スクロールしている行42の読書対象部分46の表示形態を、他の部分の表示形態とは異なるように変更する。具体的には、表示形態変更部24は、読書対象部分46の表示濃度を、他の部分の表示濃度より濃く変更する。読書対象部分46は、ユーザが読むべき部分を表す。読書対象部分46の表示濃度は、ユーザが注視しやすい濃度であり、他の部分の表示濃度は、ユーザによる読書対象部分46への注視を妨げにくい濃度である。これらの表示濃度は、ユーザの好みなどに応じて適宜変更可能であってもよい。読書対象部分46に含まれる文字数は、例えば数文字であり、1文字のサイズやユーザの好みなどに応じて適宜変更可能であってもよい。
【0022】
表示形態変更部24は、ある1行がスクロールしている間、読書対象部分46の表示画面30上の位置をほぼ一定の位置に保つ。そのため、読書対象部分46は、1行がスクロールすることによってその行の行頭から行末まで移動したことになり、ユーザは殆ど視点を移動させることなく1行の行頭から行末までを読むことができる。
【0023】
行末抽出部20は、予め文章データから文章の各行の行末の位置を抽出する。行末の位置の抽出は、例えば、文章データに含まれる改行データを用いて行うことができる。表示制御部22は、行末抽出部20で抽出された行末の位置に基づいて、先行してスクロールしている行の次の行をスクロールさせる。
【0024】
図4は、
図3に続く、表示画面30の表示状態を示す図である。
図4に示すように、表示制御部22は、先行してスクロールしている行42の行末が表示画面30の下端から現れると、その行42の行末を次の行44の行頭が1行ずれて追うように当該次の行44を行方向d1にスクロールさせる。各行42,44のスクロールの速度は互いに等しい。このように、各行42,44は、
図2の読書開始時の横方向の位置、即ち行方向d1に直交する方向の位置を保ったままスクロールする。以降、表示制御部22は、このような処理を繰り返し、文章の複数の行のそれぞれを順番に行方向d1にスクロールさせる。
【0025】
図4に示すように、表示形態変更部24は、次の行44のスクロールが開始されるときに、読書対象部分46を、先行してスクロールしている行42の行末の部分から当該次の行44の行頭の部分に移動させる。従って、読書対象部分46は、1ページの各行のスクロールに伴って最初の行側から最後の行側まで横方向に表示画面30上を移動するようになる。ユーザは、読書対象部分46の文字を読み続けることにより、1ページの複数の行の文字を順番に読むことができる。
【0026】
このような表示形態により、紙の書籍の1ページの文章をそのままの形態で表示画面30に表示した場合と比較して、1つの行の行末と次の行の行頭との距離、
図4の例では行42の行末と次の行44の行頭との距離を短くできる。これにより、ユーザの改行運動時の視線の移動距離を短くできる。改行運動とは、ある行の行末から次の行の行頭へのサッカードを表す。従って、読書中のサッカードの距離を短くすることができるので、文章の読みやすさを向上できる。例えば、視線移動に困難性を伴うユーザであっても、文章を読みやすくなる。
【0027】
また、行末の位置を抽出しているので、先行してスクロールしている行が短い場合であっても、その行の行末と次の行の行頭が離れすぎないようにできる。また、読書対象部分46の表示濃度を濃くしているので、ユーザが現在読んでいる行に注視することを支援できる。これらも、文章の読みやすさの向上に寄与する。
【0028】
表示制御部22は、ユーザの速度変更操作に応じてスクロールの上昇速度を変更する。速度変更操作は、例えば、表示画面30をタップしたまま指を上下にスライド(ドラッグ)する操作である。例えば、上にスライドすると上昇速度が速くなり、下にスライドすると上昇速度が遅くなる。これにより、ユーザの読書速度に合わせてスクロールの速度を調整でき、読みやすさをより向上できる。
【0029】
また、表示制御部22は、先行してスクロールしている行42の次の次の行48をスクロールさせるまで、即ち当該次の次の行48に読書対象部分46が移動されるまで、先行してスクロールしている行42をスクロールさせ続ける。つまり、先行してスクロールしている行42の次の行44がある程度長い場合には、先行してスクロールしている行42は、その行末が表示画面30から消えるまでスクロールする。
【0030】
図4に示す読書対象部分46を含む行44がスクロールしているとき、ユーザが注視している行44の隣の先行してスクロールしている行42が突然停止してしまうと、ユーザは、このスクロールが停止した行42が下降するように錯覚する場合がある。これは、違和感につながる。本実施形態では、先行してスクロールしている行の次の次の行がスクロールを開始するまで、先行してスクロールしている行を停止させないので、このような違和感を抑制できる。
【0031】
表示制御部22は、
図4に示す先行してスクロールしている行42の次の次の行48をスクロールさせるときに、
図5に示すように、当該先行してスクロールしている行42の全体を表示画面30に表示させ、この行42のスクロールを停止させる。
【0032】
図5は、
図4に続く、表示画面30の表示状態を示す図である。
図5では、行42はスクロールしておらず、行44,48がスクロールしている。行42の全体を表示画面30に表示させるとき、表示制御部22は、行42の全体を、フェードインにより徐々に表示させてもよいし、瞬時に表示させてもよい。結果として、行42の全体は、紙の書籍の1ページの文章をそのままの形態で表示画面30に表示した場合に表示されるべき位置に、読書対象部分46の表示濃度より薄く表示される。
【0033】
ここで、前述のように、先行してスクロールしている行の行末を次の行の行頭が1行ずれて追うようにしているので、他の行のスクロールに影響を及ぼすことなく、スクロールを終えた既読の行42の全体を表示させ続けることができる。既読の行42の全体を表示させておくことで、次に説明する読み返しを行うことができる。
【0034】
図6は、
図5に続く、スクロール停止時の表示画面30の表示状態を示す図である。
図6は、
図5の状態からさらに複数行のスクロールが行われた後の状態を示す。表示制御部22は、ユーザの停止操作に従いスクロールを停止させ、停止操作時に、読書対象部分46を含む行に対して先行してスクロールしている行が存在する場合には当該先行してスクロールしている行の全体を表示画面30に表示させる。停止操作は、例えば、タップをやめて表示画面30から指を離す操作である。表示形態変更部24は、スクロール停止時に表示画面30に表示されている複数の行の表示濃度を、読書対象部分46の表示濃度に変更する。
【0035】
このように、タップをやめる操作でスクロールが停止し、既読部分62の複数の行が濃く表示されるので、以前読んだ箇所を容易に読み返すことができる。
【0036】
また、表示制御部22は、スクロール停止時に、ユーザの再開操作に従いスクロールを再開させる。再開操作は、例えば、表示画面30のいずれかの位置を再びタップする操作である。これにより、ユーザは続きを読み始めることができる。
【0037】
スクロール停止時には、
図6に示すように、未読部分60の行の行頭40が表示されており、未読部分60の行の大部分はページ下部に隠れているように見える。既読部分62は、行の全体または未読部分60の行より多くの部分が表示されている。このような表示形態のため、ユーザは、スクロール再開時に、既読部分62と未読部分60との境界を容易に見つけることができ、スクロールが停止した時点で読んでいた部分を容易に把握することができる。よって、読書を容易に再開できる。
【0038】
また、表示制御部22は、1ページの文章の最後の行の行末がスクロールにより表示画面30に現れた場合に、ページを切り替え、次ページの文章の最初の行を行方向d1にスクロールさせる。即ち、読書中の1ページの最後の行がスクロールしきった時にタップを続けていると、自動的に次のページに切り替わり、そのページの複数の行の行頭が表示画面30の下部に表示され、そのページの最初の行がスクロールを始める。よって、ページを切り替えるための追加の操作を行うことなく複数のページにおいて読みやすさを向上できる。
【0039】
図7は、
図1の文章表示装置1の文章表示処理を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、例えば文章表示装置1が、ユーザの操作に応じて文章表示処理を実現するためのプログラムを起動したときに開始する。まず、表示制御部22は、表示画面30のスクロールの始点側の端部に、文章の1ページに含まれる複数の行の行頭を表示させる(S10)。次に、表示制御部22は、ユーザの開始操作があるか判定し(S12)、開始操作がない場合(S12のN)、S12に戻る。表示制御部22は、開始操作がある場合(S12のY)、n=1に設定し(S14)、n番目の行をスクロールさせる(S16)。
【0040】
次に、表示制御部22は、ユーザの停止操作があるか判定し(S18)、停止操作がない場合(S18のN)、ユーザの文章表示処理の終了指示があるか判定する(S20)。終了指示がある場合(S20のY)、文章表示処理を終了する。終了指示がない場合(S20のN)、表示制御部22は、n番目の行の行末が表示画面30に現れたか判定し(S22)、n番目の行の行末が現れていない場合(S22のN)、S18に戻る。表示制御部22は、n番目の行の行末が表示画面30に現れた場合(S22のY)、n番目の行は1ページの最後の行であるか判定する(S24)。表示制御部22は、n番目の行が1ページの最後の行でない場合(S24のN)、nに1を加算し(S26)、S16に戻る。最後の行である場合(S24のY)、表示制御部22は、ページ切り替えを行い(S28)、S14に戻る。
【0041】
一方、表示制御部22は、S18で停止操作がある場合(S18のY)、スクロールを停止し(S30)、再開操作があるか判定する(S32)。再開操作がない場合(S32のN)、S32に戻る。表示制御部22は、再開操作がある場合(S32のY)、スクロールを再開させ(S34)、S22に移る。
【0042】
以上で説明したように、本実施形態によれば、表示画面30に表示された文章において1つの行の行末と次の行の行頭との距離を短くできるので、ユーザの改行運動時の視線の移動距離を短くできる。これにより、読書中のサッカードの距離を短くすることができる。従って、文章の読みやすさを向上できる。
【0043】
(文章表示装置1の応用例)
以上の文章表示装置1によれば、読書者が1ページのどこを読んでいるかを第三者が知ることができる。この効果を応用して、電子書籍の読書にとどまらず、例えば以下のような新たな読書体験を創出することもできる。
【0044】
(1)文章表示装置1の表示画面30に童話を表示させ、親が子供に童話を読み聞かせる時に、文字を読めないような幼い子供であっても、あたかも親と一緒に童話を読んでいるかのように体験できる。
【0045】
(2)英語教育の現場などで、文章表示装置1の表示画面30に表示された英文をスクリーンにプロジェクションする。スクリーンに表示された英文を誰かが朗読するのを、複数の受講者が一緒に読んでいるかのように体験できる。
【0046】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0047】
例えば以上の実施形態では、文章表示装置1はタブレット端末などである一例について説明したが、これに限らない。文章表示装置1は、文章表示機能を有する表示装置であればよく、例えば、電子書籍端末、電子辞書、パーソナルコンピュータなどであってもよい。電子辞書の場合、辞書データとしての文章データは記憶部16に予め記憶されていればよく、通信部14は設けられていなくてもよい。パーソナルコンピュータは据え置き型のものであってもよい。このように文章表示装置1は、必ずしも携帯可能な電子機器である必要はない。
【0048】
また以上の実施形態では、先行してスクロールしている行の次の次の行をスクロールさせるまで、先行してスクロールしている行をスクロールさせ続ける一例について説明したが、これに限らない。表示制御部22は、先行してスクロールしている行の次の行のスクロール中に、先行してスクロールしている行の行末が所定位置に達したとき、先行してスクロールしている行をスクロールさせながら徐々に消去してもよい。所定位置は、特に限定されず、表示画面30の行方向d1の中央付近であってもよい。そして、表示制御部22は、消去された行の次の次の行をスクロールさせるときに、当該消去された行の全体を表示画面30に表示させてもよい。この変形例でも、読書対象部分46を含む行に対して先行してスクロールしている行を停止させないので、読書中の違和感を抑制できる。この場合、表示制御部22は、ユーザの停止操作に従いスクロールを停止させ、停止操作時に消去された行が存在する場合には当該消去された行の全体を表示画面30に表示させてもよい。表示制御部22は、停止操作時に先行してスクロールしている行が存在する場合には当該先行してスクロールしている行の全体を表示画面30に表示させてもよい。これにより、以前読んだ箇所を容易に読み返すことができる。
【0049】
また以上の実施形態では、各行をスクロールアップさせる一例について説明したが、これに限らない。例えば、文章が横書きである場合には、表示制御部22は、表示画面30のスクロールの始点側の右端部に複数の行の行頭を表示させ、各行を左スクロールさせてもよい。この場合、行方向は表示画面30の右から左に向かう方向である。このように、様々な形式の文章に対して、以上の実施形態と同様の効果が得られる。
【0050】
さらに、以上の実施形態では、読書対象部分46の表示形態として表示濃度を用い、表示形態変更部24は、読書対象部分46の表示濃度を他の部分の表示濃度より濃く変更する一例について説明したが、これに限らない。例えば、表示形態として色を用い、表示形態変更部24は、読書対象部分46の色を他の部分の色より目立つ色に変更してもよい。また、表示形態として文字サイズまたは文字の太さを用い、表示形態変更部24は、読書対象部分46の文字サイズを他の部分の文字サイズより大きく変更してもよく、読書対象部分46の文字の太さを他の部分の文字の太さより太く変更してもよい。また、表示形態として文字のフォントを用い、表示形態変更部24は、読書対象部分46のフォントを他の部分のフォントとは異なるように変更してもよい。あるいは、表示形態として表示濃度、色、文字サイズ、文字の太さおよびフォントなどの少なくとも何れかを組み合わせてもよい。これにより、ユーザの好みに合わせて読書対象部分46への注視を支援できる。
【符号の説明】
【0051】
1…文章表示装置、10…表示部、12…入力部、14…通信部、16…記憶部、18…制御部、20…行末抽出部、22…表示制御部、24…表示形態変更部、30…表示画面。