(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、小動物防除性樹脂組成物及びこれを用いた小動物防除性樹脂成形体には、その基本的な性能として、有害な小動物に対する小動物防除剤の速効性が高いことが求められる。このような性能は、小動物防除性樹脂組成物又は小動物防除性樹脂成形体に接触した小動物の体表面に、小動物防除剤を効率よく移行させること、及び、体表面に移行した小動物防除剤を小動物の体内に効率よく取り込ませることにより発揮される。
【0007】
特に、近年においては、小動物防除剤に対する耐性を持った小動物が増えていることから、従来よりも大量の小動物防除剤を効率よく小動物の体表面に付着させること、及び、体表面に移行した小動物防除剤を小動物の体内に速やかに取り込ませることが、重要な技術的課題になっている。
【0008】
しかしながら、従来においては、大量の小動物防除剤を効率よく小動物の体表面に付着させる、体表面に移行した小動物防除剤を小動物の体内に速やかに取り込ませる、という発想自体が知られておらず、小動物防除性樹脂組成物又は小動物防除性樹脂成形体中の小動物防除剤の添加量を増加することにより対処しようとするものがほとんどである。このため、高性能の小動物防除性樹脂組成物及び小動物防除性樹脂成形体は、高コストになりやすいという問題がある。
【0009】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、有害な小動物に対する速効性が高い小動物防除性樹脂組成物及び小動物防除性樹脂成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記の技術的課題を解決するため、小動物防除性樹脂組成物に関しては、
エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリエチレン、常温硬化シリコーン系樹脂、及び加熱硬化シリコーン系樹脂のうちの少なくとも1つを含むベース樹脂と、小動物防除剤と、
分子量が330〜530の炭化水素系化合物と、を少なくとも含むことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、小動物防除性樹脂成形体に関して、
エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリエチレン、常温硬化シリコーン系樹脂、及び加熱硬化シリコーン系樹脂のうちの少なくとも1つを含むベース樹脂と、小動物防除剤と、
分子量が330〜530の炭化水素系化合物とを少なくとも含む小動物防除性樹脂組成物を成形材料として用い、これを所定の形状に成形して成ることを特徴とする。
【0012】
生物の体表面は、皮膚腺から放出される炭化水素を含む蝋で覆われている。従って、小動物防除性樹脂組成物又は小動物防除性樹脂成形体に添加剤として炭化水素系化合物を添加すると、小動物防除剤を含む炭化水素系化合物と生物の体表面との親和性が高められ、小動物防除性樹脂組成物又は小動物防除性樹脂成形体の表面に徐放された小動物防除剤を効率よく小動物の体表面に移行させることができる。よって、小動物防除剤の速効性を高めることができる。
【0014】
330〜530程度の小さな分子量の炭化水素系化合物は、小動物の体孔から体内に容易に侵入する。よって、炭化水素系化合物に含まれる小動物防除剤も小動物の体孔から体内に速やかに侵入し、小動物防除剤の速効性が高められる。
【0017】
また本発明は、前記構成の小動物防除性樹脂組成物及び小動物防除性樹脂成形体において、前記炭化水素系化合物は、パラフィンオイルであることを特徴とする。
【0018】
パラフィンオイルは安価にして入手が容易であるので、炭化水素化合物としてこれを添加することにより、高性能の小動物防除性樹脂組成物及び小動物防除性樹脂成形体を低コストに製造することができる。
【0019】
また本発明は、前記構成の小動物防除性樹脂組成物において、
塗料、シーリング剤、またはクッション材として用いられることを特徴とする。
【0020】
前記構成の小動物防除性樹脂組成物は、適宜のベース樹脂を選択し、かつ炭化水素系化合物の添加量及び充填剤の添加量を適宜調整することにより、流動性、半流動性又はゴム状弾性を有するものとして製造できる。流動性を有するものは、例えば塗料として利用でき、半流動性を有するものは、例えばシーリング剤として利用できる。更に、ゴム状弾性を有するものは、クッション材や詰め物として利用できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の小動物防除性樹脂組成物及び小動物防除性樹脂成形体は、ベース樹脂中に小動物防除剤と炭化水素系化合物とを含むので、小動物防除性樹脂組成物又は小動物防除性樹脂成形体の表面に徐放された小動物防除剤を、これに接触した小動物の体表面に効率よく移行させることができ、高い小動物防除性能を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施例1〜16に係る小動物防除性樹脂組成物の組成を示す表図である。
【
図2】実施例17〜32に係る小動物防除性樹脂組成物の組成を示す表図である。
【
図3】比較例1〜22に係る小動物防除性樹脂組成物の組成を示す表図である。
【
図4】実施例1〜16に係る小動物防除性樹脂組成物の薬剤表面量、殺虫速効性、害虫忌避率の試験データを示す表図である。
【
図5】実施例17〜32に係る小動物防除性樹脂組成物の薬剤表面量、殺虫速効性、害虫忌避率の試験データを示す表図である。
【
図6】比較例1〜22に係る小動物防除性樹脂組成物の薬剤表面量、殺虫速効性、害虫忌避率の試験データを示す表図である。
【
図7】実施例1〜8に係る小動物防除性樹脂組成物中に含まれる炭化水素化合物の分子量と害虫のノックダウンタイムとの関係を示すグラフ図である。
【
図8】実施例1〜8に係る小動物防除性樹脂組成物中に含まれる炭化水素化合物の動粘度と害虫のノックダウンタイムとの関係を示すグラフ図である。
【
図9】実施例9〜16に係る小動物防除性樹脂組成物中に含まれる炭化水素化合物の分子量と害虫のノックダウンタイムとの関係を示すグラフ図である。
【
図10】実施例9〜16に係る小動物防除性樹脂組成物中に含まれる炭化水素化合物の動粘度と害虫のノックダウンタイムとの関係を示すグラフ図である。
【
図11】実施例17〜24に係る小動物防除性樹脂組成物中に含まれる炭化水素化合物の分子量と害虫のノックダウンタイムとの関係を示すグラフ図である。
【
図12】実施例17〜24に係る小動物防除性樹脂組成物中に含まれる炭化水素化合物の動粘度と害虫のノックダウンタイムとの関係を示すグラフ図である。
【
図13】実施例25〜32に係る小動物防除性樹脂組成物中に含まれる炭化水素化合物の分子量と害虫のノックダウンタイムとの関係を示すグラフ図である。
【
図14】実施例25〜32に係る小動物防除性樹脂組成物中に含まれる炭化水素化合物の動粘度と害虫のノックダウンタイムとの関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施形態に係る小動物防除性樹脂組成物及び小動物防除性樹脂成形体は、ベース樹脂、小動物防除剤及び炭化水素系化合物を少なくとも含んで構成され、その他、製品の特性に合わせて他の添加剤が添加される。以下、実施形態に係る小動物防除性樹脂組成物及び小動物防除性樹脂成形体を素材毎に説明する。
【0024】
〈ベース樹脂〉
ベース樹脂には、特に制限がなく、公知に属する樹脂材料の中から製品の特性に合致するものを選択して使用することができる。また、複数の樹脂材料の混合体をベース樹脂として用いることもできる。
【0025】
一例として、実施形態に係る小動物防除性樹脂組成物及び小動物防除性樹脂成形体に適用可能な熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、EVA樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、液晶ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。
【0026】
また、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、ポリアミノビスマレイミド樹脂、カゼイン樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリウレア樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、キシレン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、エピスルフィド樹脂等を挙げることができる。
【0027】
〈炭化水素化合物〉
炭化水素系化合物としては、鎖式飽和炭化水素化合物(パラフィン類)、鎖式不飽和炭化水素化合物(オレフィン類)、脂環式炭化水素化合物(シクロアルカン、シクロアルケン、シクロアルキン等)、芳香族炭化水素化合物を挙げることができる。
【0028】
これらの炭化水素化合物の中でも、分子量が330〜530で、動粘度が10〜120cStのパラフィンオイルが特に好適に用いられる。分子量が330〜530の炭化水素化合物は、小動物の体孔から小動物の体内に容易に侵入するからである。また、動粘度が10〜120cStの炭化水素化合物は、小動物の体表面に付着しやすいからである。更に、パラフィンオイルを用いるのは、安価かつ容易に入手できるからである。
【0029】
〈小動物防除剤〉
小動物防除剤は、各種の農業害虫、衛生害虫その他の昆虫類、蜘蛛類、ダニ類、鼠等の小動物の防除活性を有する薬剤であり、小動物忌避活性を有する化合物、殺虫活性、殺ダニ活性、殺蜘蛛活性若しくは殺鼠活性等の殺小動物活性を有する化合物、小動物の摂食阻害活性を有する化合物、小動物の成長コントロール活性を有する化合物等を例示できる。
【0030】
小動物防除性を有する薬剤の具体例としては、イミダクロプリドの様なクロロニコチニル系殺虫剤、シラフルオフェンの様なケイ素原子を有するネオフィルラジカルからなる化合物、ベンフラカルブ、アラニカルブ、メトキシジアゾン、カルボスファン、フェノブカルブ、カルバリル、メソミル、プロポクサー、フェノキシカルブ等のカーバメート系化合物、ピレトリン、アレスリン、dl,d−T80−アレスリン、d−T80−レスメトリン、バイオアレスリン、d−T80−フタルスリン、フタルスリン、レスメトリン、フラメトリン、プロパスリン、ペルメトリン、アクリナトリン、エトフェンプロックス、トランスフルトリン、トラロメトリン、フェノトリン、d−フェノトリン、フェンバレレート、エンペントリン、プラレトリン、テフルスリン、イカリジン、ベンフルスリン等のピレスロイド系化合物、ジクロロボス、フェニトロチオン、ダイアジノン、マラソン、プロモフォス、フェンチオン、トリクロルホン、ナレド、テメホス、フェンクロホス、クロルピリホスメチル、シアホス、カルクロホス、アザメチホス、ピリダフェンチオン、プロペタンホス、クロルピリホス等の有機リン系化合物及びこれらの異性体、誘導体、類縁体等を例示できる。
【0031】
小動物の成長をコントロールする活性を有する化合物としては、メトプレン、ピリプロキシフェン、キノプレン、ハイドロプレン、デオヘノラン、NC−170、フルフェノロクスロン、ジフルベンズロン、ルフェヌロン、クロルアズロン等が挙げられる。
【0032】
殺ダニ剤としては、ケルセン、クロルフェナビル、デブフェンピラドピリダベン、ミルベメクチン、フェンピロキシメート等が挙げられる。
【0033】
殺鼠剤としては、シリロシド、ノルボマイド、隣化亜鉛、硫酸タリウム、貴隣、アンツー、ワルファリン、エンドサイド、クマリン、クマテトラリン、プロマジオロン、ディフェチアロン等が挙げられる。
【0034】
更に、タイワンヒノキ、アスナロ、ヒノキアスナロ(青森ヒバ)等に含まれるヒノキチオール、ハーブやヒノキに含まれるカジノール誘導体(α−カジノール、T−カジノール)、クローブ、ナツメグ、コリアンダー、クミン等の香油植物に多く含まれるゲラニオール、ピネン、カリオフィレン、ボルネオール、オイゲノール等、オギスギなど小動物防除性を有する公知の香油等の天然由来の薬剤も、本発明における小動物防除性を有する薬剤として使用することができる。
【0035】
小動物防除性樹脂組成物及びこれを用いた小動物防除性樹脂成形体の製造に際しては、上記の中から製品の使用目的に合致した適宜の小動物防除剤を選択して用いることができる。
【0036】
なお、実施形態に係る小動物防除性樹脂組成物においては、小動物防除性樹脂組成物の総量に対する小動物防除剤の含有率を、0.1重量%以上20重量%以下とすることが望ましい。含有率が0.1重量%未満であると、小動物の忌避効果が低くなり、かつその効果の継続性も低くなるからである。一方、含有率が20重量%を超えると、小動物防除性樹脂組成物の製造コストが高価になるからである。
【0037】
〈他の添加剤〉
実施形態に係る小動物防除性樹脂組成物を機械的な方法で成形して、所定形状の小動物防除性樹脂成形体を製造する場合には、所定量の無機充填材を添加することができる。無機充填材としては、粒子状無機充填材、繊維状無機充填材、或いは鱗片状無機充填材を使用することができる。ベース樹脂中にこれらの無機充填材を配合すると、小動物防除剤の徐放性が長期間に亘って持続され、かつ成形体の機械的物性が向上する。
【0038】
粒子状無機充填材としては、チタン酸カリウム粒子、チタニア粒子、単斜晶系チタニア粒子、シリカ粒子、リン酸カルシウム等を例示でき、これらを単独で又は混合して用いることができる。これらの粒子状無機充填材の中では、小動物防除剤の徐放性に優れることから、チタン酸カリウム粒子が特に好ましい。
【0039】
繊維状無機充填材としては、成形体の外観に悪影響を与えないことから、例えば、平均繊維径0.05〜10μm、平均繊維長3〜150μm、好ましくは、平均繊維径0.1〜7μm、平均繊維長5〜50μmの形状を有する繊維状無機充填材を好適に使用することができる。また、該繊維状無機充填材としては、例えば、4チタン酸カリウム繊維、6チタン酸カリウム繊維、8チタン酸カリウム繊維、チタニア繊維、単斜晶系チタニア繊維、シリカ繊維、ワラストナイト、ゾノトライト等を例示でき、これらを単独で又は混合して用いることができる。
【0040】
鱗片状無機充填材としては、チタン酸カリウム、チタン酸カリウムリチウム、チタン酸カリウムマグネシウム、タルク、合成マイカ、天然マイカ、セリサイト、板状アルミナ、窒化ホウ素等を例示でき、これらを単独で又は混合して用いることができる。
【0041】
なお、無機充填材はそのままでも使用し得るが、樹脂との界面接着性を向上させ機械的物性を一層向上させるために、アミノシラン、エポキシシラン、アクリルシラン等のシランカップリング剤又はチタネートカップリング剤等の表面処理剤で表面処理して用いても良い。
【0042】
実施形態に係る小動物防除性樹脂組成物は、所定形状を有する成形体に加工して利用するだけでなく、そのままの状態で、例えば塗料、シーリング剤、クッション材又は詰め物として利用することもできる。即ち、実施形態に係る小動物防除性樹脂組成物は、適宜のベース樹脂を選択し、かつ炭化水素系化合物の添加量及び充填剤の添加量を適宜調整することにより、流動性、半流動性又はゴム状弾性を有するものとして製造できる。従って、流動性を有するものは、例えば塗料として利用でき、半流動性を有するものは、例えばシーリング剤として利用できる。また、ゴム状弾性を有するものは、例えばクッション材や詰め物として利用できる。なお、実施形態に係る小動物防除性樹脂組成物を塗料、シーリング剤、クッション材又は詰め物として利用する場合には、必要に応じてベース樹脂中に着色剤や顔料等の色材を添加することができる。
【0043】
〈小動物防除性樹脂組成物の成形方法〉
小動物防除性樹脂組成物の成形に際しては、例えば射出成形、圧縮成形、トランスファー成形、押出成形、ブロー成形、カレンダー成形、FRP成形、積層成形、注型成形、溶液流延法、真空・圧空成形、押出複合成形、発泡成形、熱成形、インサート成形、溶融含浸法等の公知に属する適宜の成形法を適用することができる。また、製品である小動物防除性樹脂成形体の形状に関しては特に制限があるものではなく、平板状、棒状、円筒状、櫛形、球状等、あらゆる形状とすることができる。また、小動物防除性樹脂組成物を単体で成形するほか、金属等と組み合わせた二色乃至多色の成形を行うこともできる。
【0044】
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて、本発明に係る小動物防除性樹脂組成物及び小動物防除性樹脂成形体の効果を明らかにする。
【0045】
図1に実施例1〜16に係る小動物防除性樹脂組成物の組成を示し、
図2に実施例17〜32に係る小動物防除性樹脂組成物の組成を示す。また、
図3に比較例1〜22に係る小動物防除性樹脂組成物の組成を示す。
【0046】
〈実施例1〜8〉
実施例1〜8に係る小動物防除性樹脂組成物は、ベース樹脂として98重量部のポリアミド12(ダイセル・エポニック社製、ダイアミドL1901)と、小動物防除剤(薬剤)として1重量部のエトフェンプロックスと、添加剤として1重量部のパラフィンオイルとを含む。パラフィンオイルとしては、分子量が228〜648で、動粘度が4.3〜409cStのものを用いた。実施例1〜8に係る小動物防除性樹脂組成物は、190℃に設定したラボプラストミルを用いて混練した。
【0047】
また、実施例1〜8に係る小動物防除性樹脂組成物を、190℃に設定されたプレス機の型内に置き、これに10MPaの圧力をかけて、厚みが2.0mmで一辺の長さが100mmの四角形のプレート状小動物防除性樹脂成形体を実験試料として作成した。
【0048】
〈実施例9〜16〉
実施例9〜16に係る小動物防除性樹脂組成物は、ベース樹脂として98重量部のポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン社製、UBEポリエチレンJ2522)と、小動物防除剤(薬剤)として1重量部のエトフェンプロックスと、添加剤として1重量部のパラフィンオイルとを含む。パラフィンオイルとしては、分子量が228〜648で、動粘度が4.3〜409cStのものを用いた。実施例9〜16に係る小動物防除性樹脂組成物は、130℃に設定したラボプラストミルを用いて混練した。
【0049】
また、実施例9〜16に係る小動物防除性樹脂組成物を、130℃に設定されたプレス機の型内に置き、これに10MPaの圧力をかけて、厚みが2.0mmで一辺の長さが100mmの四角形のプレート状小動物防除性樹脂成形体を実験試料として作成した。
【0050】
〈実施例17〜24〉
実施例17〜24に係る小動物防除性樹脂組成物は、ベース樹脂として94重量部の常温硬化シリコーン系樹脂(信越シリコーン社製、シーラント45)と、小動物防除剤(薬剤)として1重量部のエトフェンプロックスと、添加剤として5重量部のパラフィンオイルとを含む。パラフィンオイルとしては、分子量が228〜648で、動粘度が4.3〜409cStのものを用いた。実施例17〜24に係る小動物防除性樹脂組成物は、プラスチックカップ内でガラス棒を用いて混合した。
【0051】
また、実施例17〜24に係る小動物防除性樹脂組成物を型内に流し込み、これを40℃環境下に1週間放置して、厚みが1.0mmで一辺の長さが100mmの四角形のプレート状小動物防除性樹脂成形体を実験試料として作成した。
【0052】
〈実施例25〜32〉
実施例25〜32に係る小動物防除性樹脂組成物は、ベース樹脂として94重量部の加熱硬化シリコーン系樹脂(信越シリコーン社製、KE−1825)と、小動物防除剤(薬剤)として1重量部のエトフェンプロックスと、添加剤として5重量部のパラフィンオイルとを含む。パラフィンオイルとしては、分子量が228〜648で、動粘度が4.3〜409cStのものを用いた。実施例25〜32に係る小動物防除性樹脂組成物は、プラスチックカップ内でガラス棒を用いて混合した。
【0053】
また、実施例25〜32に係る小動物防除性樹脂組成物を型内に流し込み、これを120℃環境下に1日放置して、厚みが1.0mmで一辺の長さが100mmの四角形のプレート状小動物防除性樹脂成形体を実験試料として作成した。
【0054】
〈比較例1〉
比較例1に係る小動物防除性樹脂組成物は、ベース樹脂として99重量部のポリアミド12(ダイセル・エポニック社製、ダイアミドL1901)と、小動物防除剤(薬剤)として1重量部のエトフェンプロックスとを含み、炭化水素系化合物は添加されていない。比較例1に係る小動物防除性樹脂組成物は、190℃に設定したラボプラストミルを用いて混練した。
【0055】
また、比較例1に係る小動物防除性樹脂組成物を、190℃に設定されたプレス機の型内に置き、これに10MPaの圧力をかけて、厚みが2.0mmで一辺の長さが100mmの四角形のプレート状小動物防除性樹脂成形体を実験試料として作成した。
【0056】
〈比較例2〉
比較例2に係る小動物防除性樹脂組成物は、ベース樹脂として99重量部のポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン社製、UBEポリエチレンJ2522)と、小動物防除剤(薬剤)として1重量部のエトフェンプロックスとを含み、炭化水素系化合物は添加されていない。比較例2に係る小動物防除性樹脂組成物は、130℃に設定したラボプラストミルを用いて混練した。
【0057】
また、比較例2に係る小動物防除性樹脂組成物を、130℃に設定されたプレス機の型内に置き、これに10MPaの圧力をかけて、厚みが2.0mmで一辺の長さが100mmの四角形のプレート状小動物防除性樹脂成形体を実験試料として作成した。
【0058】
〈比較例3〉
比較例3に係る小動物防除性樹脂組成物は、ベース樹脂として99重量部の常温硬化シリコーン系樹脂(信越シリコーン社製、シーラント45)と、小動物防除剤(薬剤)として1重量部のエトフェンプロックスとを含み、炭化水素系化合物は添加されていない。比較例3に係る小動物防除性樹脂組成物は、プラスチックカップ内でガラス棒を用いて混合した。
【0059】
また、比較例3に係る小動物防除性樹脂組成物を型内に流し込み、これを40℃環境下に1週間放置して、厚みが1.0mmで一辺の長さが100mmの四角形のプレート状小動物防除性樹脂成形体を実験試料として作成した。
【0060】
〈比較例4〜21〉
比較例4〜21に係る小動物防除性樹脂組成物は、ベース樹脂として94重量部の常温硬化シリコーン系樹脂(信越シリコーン社製、シーラント45)と、小動物防除剤(薬剤)として1重量部のエトフェンプロックスと、添加剤として5重量部の炭化水素系化合物以外の化合物とを含む。比較例4〜21に係る小動物防除性樹脂組成物は、プラスチックカップ内でガラス棒を用いて混合した。
【0061】
また、比較例4〜21に係る小動物防除性樹脂組成物を型内に流し込み、これを40℃環境下に1週間放置して、厚みが1.0mmで一辺の長さが100mmの四角形のプレート状小動物防除性樹脂成形体を実験試料として作成した。
【0062】
〈比較例22〉
比較例22に係る小動物防除性樹脂組成物は、ベース樹脂として99重量部の加熱硬化シリコーン系樹脂(信越シリコーン社製、KE−1825)と、小動物防除剤として1重量部のエトフェンプロックスとを含み、炭化水素系化合物は添加されていない。比較例22に係る小動物防除性樹脂組成物は、プラスチックカップ内でガラス棒を用いて混合した。
【0063】
また、比較例22に係る小動物防除性樹脂組成物を型内に流し込み、これを120℃環境下に1日放置して、厚みが1.0mmで一辺の長さが100mmの四角形のプレート状小動物防除性樹脂成形体を実験試料として作成した。
【0064】
図4〜
図6に、実施例1〜32及び比較例1〜22に係る小動物防除性樹脂成形体について行った薬剤表面量測定、殺虫速効性試験及び害虫忌避率試験の結果を示す。
【0065】
〈薬剤表面量測定〉
薬剤表面量測定は、実施例1〜32に係る試料及び比較例1〜22に係る試料から、試料表面を溶剤で洗浄し、洗浄した溶液を液体クロマトグラフィで測定することにより行った。
【0066】
図4の実施例1〜8及び
図6の比較例1から明らかなように、ベース樹脂としてポリアミド12を用いた実験試料の薬剤表面量測定は、2.2〜2.5μg/cm
2の範囲内にある。また、
図4の実施例9〜16及び
図6の比較例2から明らかなように、ベース樹脂としてポリエチレンを用いた実験試料の薬剤表面量測定は、3.0〜3.3μg/cm
2の範囲内にある。また、
図5の実施例17〜24及び
図6の比較例3〜21から明らかなように、ベース樹脂として常温硬化シリコーン系樹脂を用いた実験試料の薬剤表面量測定は、27〜38μg/cm
2の範囲内にある。また、
図5の実施例25〜32及び
図6の比較例22から明らかなように、ベース樹脂として加熱硬化シリコーン系樹脂を用いた実験試料の薬剤表面量測定は、29〜33μg/cm
2の範囲内にある。
【0067】
これらの測定結果から、各実験試料の薬剤表面量は、ベース樹脂の種類によって差が生じるものの、添加剤の有無や添加剤の種類によってはほとんど差が生じないことが明らかになった。このことから、以下に説明する殺虫速効性試験及び害虫忌避率試験の結果は、各実験試料の薬剤表面量の差によるものではなく、添加剤であるパラフィンオイルの分子量及び動粘度の差によるものであると言える。
【0068】
〈殺虫速効性試験〉
殺虫速効性試験は、チャバネゴキブリを実施例1〜32及び比較例1〜22の実験試料に継続的に接触させ、50%のチャバネゴキブリがノックダウンするまでにかかった時間(KT−50)を測定することにより行った。より具体的には、実施例1〜32及び比較例1〜22に係る実験試料から、一辺が50mmの四角形のピースを切り取り、これを縦が55mm、横が55mm、高さが55mmの有底の試験容器の内側底面に設置し、この試験容器内に10匹のチャバネゴキブリを投入し、5匹のチャバネゴキブリがノックダウンするまでにかかった時間を測定した。なお、試験容器の内側壁面には、炭酸カルシウムの粉末を塗布してチャバネゴキブリが逃げ出さないようにし、チャバネゴキブリを継続的に実験試料に接触させた。その結果、
図4〜
図6のデータを得た。
【0069】
また、
図4〜
図6のデータから、実施例1〜8、実施例9〜16、実施例17〜24、実施例25〜32のそれぞれについて、パラフィンオイルの分子量に対するKT−50のデータ及びパラフィンオイルの動粘度に対するKT−50のデータをプロットして、
図7〜
図14のデータを得た。また、
図7〜
図14には、実施例1〜8に対応する比較例1のデータ、実施例9〜16に対応する比較例2のデータ、実施例17〜24に対応する比較例3〜21のデータ、実施例25〜32に対応する比較例22のデータを併せて示した。
【0070】
図7、
図9、
図11、
図13から明らかなように、ベース樹脂の種類によらず、パラフィンオイルの分子量に対するKT−50の変化の傾向はほぼ同一であり、分子量が330〜530の範囲で、比較例に係る小動物防除性樹脂組成物及び小動物防除性樹脂成形体よりも、KT−50が改善されている。これは、分子量が330〜530程度の低分子量のパラフィンオイルは、害虫の体孔から体内に入り込みやすいためであると考察される。
【0071】
図8、
図10、
図12、
図14から明らかなように、ベース樹脂の種類によらず、パラフィンオイルの動粘度に対するKT−50の変化の傾向はほぼ同一であり、動粘度が10〜120cStの範囲で、比較例に係る小動物防除性樹脂組成物及び小動物防除性樹脂成形体よりも、KT−50が改善されている。これは、動粘度が10〜120cSt程度の低粘度のパラフィンオイルは、害虫の体表面に移行されやすいためであると考察される。
【0072】
〈害虫忌避率試験〉
害虫忌避率の評価は、シェルター試験により行った。具体的には、上部が開放された有底の試験容器(縦300mm、横230mm、高さ250mm)内に、餌及び水と、害虫が隠れることのできる2つのシェルター(縦60mm、横60mm、高さ10mm)A、Bを置いた。シェルターAは、内部に実施例1〜32及び比較例1〜22に係る実験試料(一辺の長さが50mmの正方形)をそれぞれ設置したものとし、シェルターBは、内部に前記実験試料を設置しないものとした。前記試験容器内にチャバネゴキブリ10匹を投入して放置し、10時間放置した後に、前記試験容器からシェルターA,Bを取り出して、それぞれのシェルター内にいるチャバネゴキブリの数を数え、忌避率[%]={(シェルターBの虫の数−シェルターAの虫の数)/シェルターBの虫の数}×100の式により、忌避率を算出した。
【0073】
図4〜
図6に示すように、実施例1〜32及び比較例1〜22に係る実験試料は、いずれも害虫忌避率が100%であった。このことから、実施例1〜32に係る小動物防除性樹脂組成物及び小動物防除性樹脂成形体は、高い害虫忌避率を発揮するだけでなく、殺虫速効性についても高い性能を発揮することが分かる。