(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本発明の実施形態の説明]
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る絶縁電線製造装置は、長手方向に走行する線状の導体に絶縁被膜を形成する絶縁電線製造装置であって、上記導体を複数列に配した状態で走行させる走行機構と、各列の導体に絶縁塗料の塗布を行う1又は複数の塗布部と、上記1又は複数の塗布部によって絶縁塗料が塗布された導体を加熱する1又は複数の加熱器と、上記1又は複数の複数の加熱器により加熱された導体の温度を測定する1又は複数の放射温度計と、上記1又は複数の放射温度計を、上記複数列の導体を横断する方向に移動させる移動機構とを備える。
【0012】
当該絶縁電線製造装置は、加熱器により加熱された導体の温度を測定する1又は複数の放射温度計を備え、移動機構がこの放射温度計を複数列の導体を横断する方向に移動させるので、この移動機構によって受光面が複数列の導体に対向するように放射温度計を移動させることで複数列の導体の温度を測定することができる。当該絶縁電線製造装置は、放射温度計が上記方向に移動するので、仮に導体に横ブレが生じたとしても、この横ブレに起因して測定値にばらつきが生じるおそれが低い。そのため、当該絶縁電線製造装置は、複数列の導体の温度を比較的正確に測定することができる。また、当該絶縁電線製造装置は、1つの放射温度計で複数列の導体の温度を測定することができるので、放射温度計の個数を少なくして効率化を図ることができる。
【0013】
移動中における上記1又は複数の放射温度計と複数列の導体との最短距離が等しいとよい。このように、移動中における上記1又は複数の放射温度計と複数列の導体との最短距離が等しいことによって、複数列の導体の温度をより正確に測定することができる。
【0014】
当該絶縁電線製造装置は、上記1又は複数の放射温度計の移動中における測定値の極大値を導体温度として抽出する演算装置を備えるとよい。このように、上記1又は複数の放射温度計の移動中における測定値の極大値を導体温度として抽出する演算装置を備えることによって、複数列の導体の温度を容易かつ確実に測定することができる。
【0015】
当該絶縁電線製造装置は、1つの放射温度計が全ての列の導体を横断するとよい。このように、1つの放射温度計が全ての列の導体を横断することによって、1つの放射温度計で全ての列の導体の温度を測定できるので、設備コストを抑えて効率化を促進することができる。
【0016】
また、上記課題を解決するためになされた別の発明は、長手方向に走行する線状の導体に絶縁被膜を形成する絶縁電線製造方法であって、上記導体を複数列に配した状態で走行させる走行工程と、各列の導体に絶縁塗料の塗布を行う塗布工程と、上記塗布工程によって絶縁塗料が塗布された導体を加熱する加熱工程と、上記加熱工程によって加熱された導体の温度を放射温度計によって測定する測定工程とを備え、上記測定工程で、上記放射温度計を上記複数列の導体を横断する方向に移動させる。
【0017】
当該絶縁電線製造方法は、加熱工程によって加熱された導体の温度を放射温度計によって測定する測定工程を備え、この測定工程が放射温度計を上記複数列の導体を横断する方向に移動させるので、この測定工程によって複数列の導体の温度を測定することができる。当該絶縁電線製造方法は、測定工程が放射温度計を上記方向に移動させるので、仮に導体に横ブレが生じたとしても、この横ブレに起因して測定値にばらつきが生じるおそれが低い。そのため、当該絶縁電線製造方法は、導体の温度を比較的正確に測定することができる。また、当該絶縁電線製造方法は、1つの放射温度計で複数列の導体の温度を測定することができるので、放射温度計の個数を少なくして効率化を図ることができる。
【0018】
なお、本発明において「放射温度計と複数列の導体との最短距離が等しい」とは、複数列における放射温度計と導体との最短距離の最大値と最小値との差が放射温度計の焦点範囲内であることをいい、例えば複数列における放射温度計と導体との最短距離の最大値と最小値との差が10mm以下、好ましくは1mm以下であることをいう。
【0019】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明に係る絶縁電線製造装置及び絶縁電線製造方法の一つの実施形態について図面を参照しつつ詳説する。
【0020】
[第一実施形態]
<絶縁電線製造装置>
図1及び
図2の絶縁電線製造装置は、長手方向に走行する線状の導体Xに絶縁被膜を形成する絶縁電線製造装置であって、導体Xを複数列に配した状態で走行させる走行機構1と、各列の導体Xに絶縁塗料の塗布を行う複数の塗布部2と、複数の塗布部2によって絶縁塗料が塗布された導体Xを加熱する複数の加熱器3と、複数の加熱器3により加熱された導体Xの温度を測定する1つの放射温度計4と、1つの放射温度計4を複数列の導体Xを横断する方向に移動させる移動機構5とを備える。また、当該絶縁電線製造装置は、放射温度計4の移動中における測定値の極大値を導体温度として抽出する演算装置6と、加熱器3による加熱後の導体Xを冷却する冷却器7とをさらに備える。なお、図示していないが、当該絶縁電線製造装置は、上記各構成要素が、例えば鋼材等によって形成されるフレームによって支持されることで相互の位置関係が担保されている。
【0021】
当該絶縁電線製造装置は、各列において導体Xに絶縁塗料の塗布及び焼付けを行うことによって絶縁被膜の厚さを徐々に増加させていくよう構成されている。当該絶縁電線製造装置は、絶縁被膜が所望の厚さになるまでこの塗布及び焼付けを繰り返し行うよう構成されている。当該絶縁電線製造装置によると、例えば前半の列と後半の列とで絶縁塗料の樹脂成分を変更することで、主成分の異なる複数の層からなる絶縁被膜を形成することも可能である。当該絶縁電線製造装置の列数としては、例えば2以上50以下とすることができる。
【0022】
当該絶縁電線製造装置は、加熱器3により加熱された導体Xの温度を測定する1つの放射温度計4を備え、移動機構5がこの放射温度計4を複数列の導体Xを横断する方向に移動させるので、この移動機構5によって受光面が複数列の導体Xに対向するように放射温度計4を移動させることで複数列の導体Xの温度を測定することができる。当該絶縁電線製造装置は、移動機構5によって放射温度計4が上記方向に移動するので、仮に導体Xに横ブレが生じたとしても、この横ブレに起因して測定値にばらつきが生じるおそれが低い。そのため、当該絶縁電線製造装置は、複数列の導体Xの温度を比較的正確に測定することができる。また、当該絶縁電線製造装置は、1つの放射温度計4で複数列の導体Xの温度を測定することができるので、放射温度計4の個数を少なくして効率化を図ることができる。
【0023】
(導体)
導体Xとしては、特に限定されないが、例えば銅線、銅合金線、錫めっき線、アルミニウム線、アルミニウム合金線、鋼心アルミニウム線、カッパーフライ線、ニッケルめっき銅線、銀めっき銅線、銅覆アルミニウム線等が挙げられる。導体Xの平均断面積としては、特に限定されないが、例えば0.01mm
2以上10mm
2以下とされる。また、導体Xの断面形状としては、典型的には円形状とされるが、特に限定されず、例えば長方形状であってもよい。
【0024】
(絶縁塗料)
絶縁塗料の主成分としては、絶縁性及び耐熱性が高い樹脂であればよく、例えばポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド等が挙げられる。また絶縁塗料は、例えばN−メチル−2−ピロリドン、クレゾール等の溶剤を含むことができる。
【0025】
(走行機構)
走行機構1は、導体Xが架け渡される複数対の下側搬送シーブ(プーリー)1a及び上側搬送シーブ1bを有する。走行機構1は、下側搬送シーブ1aから対をなす上側搬送シーブ1bに向けて導体Xを搬送し、かつこの上側搬送シート1bから次の対をなす下側搬送シート1aに向けて導体Xを搬送する。下側搬送シーブ1a及び上側搬送シーブ1b間において、導体Xは張力により直線的に張架される。好ましくは、走行機構1は、下側搬送シーブ1aから上側搬送シーブ1bまでの間の導体Xを略鉛直上向きに搬送する。走行機構1は、下側搬送シーブ1aから上側搬送シーブ1bに向けて搬送される導体Xを鉛直方向と平行な1つの仮想平面(第1の仮想平面A)に含まれるよう張架し、かつ上側搬送シート1bから下側搬送シーブ1aに向けて搬送される導体Xを鉛直方向と平行な他の仮想平面(第2の仮想平面B)に含まれるよう張架する。走行機構1は、各列において平行となるように複数列の導体Xを搬送することが好ましい。なお、後述する放射温度計4は、第1の仮想平面Aを基準として第2の仮想平面Bと反対側において複数列の導体Xを横断するよう配設される。
【0026】
走行機構1による導体Xの搬送速度(線速)の下限としては、2m/minが好ましく、5m/minがより好ましい。一方、走行機構1による導体Xの搬送速度の上限としては、150m/minが好ましく、80m/minがより好ましい。走行機構1による導体Xの搬送速度が上記下限に満たないと、絶縁電線の生産性が不十分となるおそれがある。逆に、走行機構1による導体Xの搬送速度が上記上限を超えると、絶縁塗料の乾燥及び焼付け時の昇温速度が高くなりすぎて発泡等により絶縁電線の外観が損なわれるおそれがある。
【0027】
(塗布部)
塗布部2は、絶縁塗料を貯留し、下方から上方へと導体Xが貫通することにより、導体Xの外周面に絶縁塗料を付着させる塗布槽2aと、導体Xの外周面に付着した絶縁塗料の厚さを略一定になるよう過剰な絶縁塗料を掻き落とすダイス2bとを有する。
【0028】
〈塗布槽〉
塗布槽2aは、上部が開放され、底部に、絶縁塗料を漏出させずに導体Xを貫通させるよう孔径及び開口形状が定められる貫通孔を有する。この貫通孔は、孔径及び開口形状を変えられるよう、交換可能なブッシングにより形成されてもよい。
【0029】
また、塗布槽2aの容量としては、導体Xを途切れることなく絶縁塗料に浸漬できるだけの絶縁塗料を貯留できればよく、絶縁塗料の供給機構の設計等によっても異なるが、例えば10cc以上3000cc以下とされる。
【0030】
〈ダイス〉
ダイス2bは、絶縁塗料が外周面に付着した導体Xが通過する孔を有し、この孔の大きさによって絶縁塗料の外径を定めることにより、導体Xに付着する絶縁塗料の平均厚さを調整する。つまり、ダイス2bは、導体Xの外周面から過剰な絶縁塗料を除去する。また、ダイス2bは、内面が円錐面状に形成され、楔膜効果により導体Xを自動的に調心することで周方向に膜厚を一定にする効果を有するものが好適に利用される。このような調心効果を有するダイス2bは、導体Xの芯ずれに合わせて少なくとも導体Xの走行方向と直交する方向に移動できるよう移動可能に配設されることが好ましい。
【0031】
(加熱器)
加熱器3は、塗布部2によって塗布された絶縁塗料に含まれる溶剤を気化させ、絶縁塗料を導体Xの外周面に焼付ける。加熱器3の具体的構成としては、特に限定されるものではなく、例えば熱風加熱、赤外線加熱、誘導加熱等により加熱する構成のものが挙げられる。
【0032】
加熱器3での加熱時の導体Xの温度の下限としては、絶縁塗料の成分にもよるが、50℃が好ましく、100℃がより好ましい。一方、上記加熱時の導体Xの温度の上限としては、550℃が好ましく、400℃がより好ましい。上記加熱時の導体Xの温度が上記下限に満たないと、絶縁塗料を十分に硬化できないおそれがある。逆に、上記加熱時の導体Xの温度が上記上限を超えると、導体Xに熱による損傷を与えるおそれがある。
【0033】
(放射温度計)
放射温度計4は、各列における加熱時又は加熱後の導体Xの温度を測定できるよう、後述の移動機構5によって移動された際に受光面が各列の導体Xと対向するよう配設される。つまり、放射温度計4は、移動状態における測定方向が上述の第1仮想平面と直交するよう配設される。放射温度計4は、常時温度を測定できるよう構成されている。
【0034】
(移動機構)
移動機構5は、各列の導体Xを横断するよう放射温度計4を往復移動させる。移動機構5は、上記第1仮想平面と平行な仮想平面に放射温度計を移動させるよう構成されている。具体的には、移動機構5は、
図1及び
図2におけるX方向に放射温度計4を往復移動させるよう構成されている。また、移動機構5は、移動中における放射温度計4と各列の導体Xとの最短距離が等しくなるよう(詳細には、放射温度計4の受光面と各列の導体Xとの最短距離が等しくなるよう)放射温度計4を移動可能に構成されている。当該絶縁電線製造装置は、移動中における放射温度計4と各列の導体Xとの最短距離が等しいことによって、各列の導体Xの温度をより正確に測定することができる。移動機構5による往復移動方向は、各列の導体Xを横断するよう放射温度計4を往復移動可能である限り特に限定されるものではない。但し、放射温度計4が各列における同位置で導体Xの温度を測定できるよう、移動機構5は各列における導体Xの走行方向と垂直な方向に放射温度計4を往復移動させることが好ましい。
【0035】
移動機構5は、1つの放射温度計4を全ての列の導体Xを横断するよう移動させる。当該絶縁電線製造装置は、1つの放射温度計4が全ての列の導体Xを横断することによって、1つの放射温度計4で全ての列の導体Xの温度を測定できるので、設備コストを抑えて効率化を促進することができる。
【0036】
移動機構5は、放射温度計4を複数列の導体Xを横断するよう移動させることができる限り、その具体的構成は特に限定されるものではない。移動機構5の具体的構成としては、例えばベルト及びこのベルトを駆動するモーターと、一対のシャフトが挿通する貫通孔を有すると共にベルトの回転に合わせてシャフトの軸方向に移動可能な放射温度計支持具とを有し、この放射温度計支持具に放射温度計4を取付可能に構成されたものを例示することができる。
【0037】
移動機構5による放射温度計4の移動速度は、変速であってもよいが、等速であることが好ましい。移動機構5による放射温度計4の移動速度としては、放射温度計4の応答速度が対応可能な範囲であり、この放射温度計4が各列における導体Xの温度の最大値を測定可能である限り速い方が好ましい。具体的には、上記移動速度としては、例えば10m/min以上50m/min以下程度とすることができる。
【0038】
(演算装置)
演算装置6は、例えばCPU等によって構成される。当該絶縁電線製造装置は、上述のように、放射温度計4が常時温度を測定しつつ、各列の導体Xを横断するように移動する。そのため、放射温度計4の測定値は、1つの列における導体Xとの距離が最小となった時点で極大値を取り、またこの列に隣接する列における導体Xとの距離が最小となった時点で極大値を取る。つまり、当該絶縁電線製造装置にあっては、各列における導体Xの温度は、放射温度計4の測定値における各列に対応する極大値として得られる。そのため、当該絶縁電線製造装置は、放射温度計4の移動中における測定値の極大値を導体温度として抽出する演算装置6を備えることによって、各列の導体Xの温度を容易かつ確実に測定することができる。
【0039】
(冷却器)
冷却器7は、加熱器3による加熱後の導体Xを冷却する。冷却器7の具体的構成としては、特に限定されるものではなく、例えば水冷、空冷等によって冷却する構成のものが挙げられる。
【0040】
冷却器7による冷却後の導体Xの温度の下限としては、50℃が好ましく、70℃がより好ましい。一方、上記冷却後の導体Xの温度の上限としては、絶縁塗料の成分にもよるが、200℃が好ましく、150℃がより好ましい。上記冷却後の導体Xの温度が上記下限に満たないと、エネルギー効率が低下するおそれや、冷却器7が必要以上に大きくなるおそれがある。逆に、上記冷却後の導体Xの温度が上記上限を超えると、さらなる絶縁塗料の塗布が困難となるおそれがある。
【0041】
<絶縁電線製造方法>
次に、本発明に係る絶縁電線製造方法について説明する。当該絶縁電線製造方法は、例えば
図1及び
図2の当該絶縁電線製造装置を用いて行うことができる。そのため、以下では、当該絶縁電線製造装置を用いた場合について説明する。
【0042】
当該絶縁電線製造方法は、長手方向に走行する線状の導体Xに絶縁被膜を形成する絶縁電線製造方法であって、導体Xを複数列に配した状態で走行させる走行工程と、各列の導体Xに絶縁塗料の塗布を行う塗布工程と、上記塗布工程によって絶縁塗料が塗布された導体Xを加熱する加熱工程と、上記加熱工程によって加熱された導体Xの温度を放射温度計4によって測定する測定工程とを備える。上記測定工程は、放射温度計4を複数列の導体Xを横断する方向に移動させる。また、当該絶縁電線製造方法は、上記測定工程による放射温度計4の測定値の極大値を導体温度として抽出する抽出工程と、上記加熱工程による加熱後の導体Xを冷却する冷却工程をさらに備える。
【0043】
当該絶縁電線製造方法は、上記加熱工程によって加熱された導体Xの温度を放射温度計4によって測定する測定工程を備え、この測定工程が放射温度計4を複数列の導体Xを横断する方向に移動させるので、この測定工程によって複数列の導体Xの温度を測定することができる。当該絶縁電線製造方法は、上記測定工程が放射温度計4を上記方向に移動させるので、仮に導体Xに横ブレが生じたとしても、この横ブレに起因して測定値にばらつきが生じるおそれが低い。そのため、当該絶縁電線製造方法は、複数列の導体Xの温度を比較的正確に測定することができる。また、当該絶縁電線製造方法は、1つの放射温度計4で複数列の導体Xの温度を測定することができるので、放射温度計4の個数を少なくして効率化を図ることができる。
【0044】
(走行工程)
上記走行工程は、走行機構1によって行われる。上記走行工程では、下側搬送シーブ1aから対をなす上側搬送シーブ1bに向けて導体Xを搬送させ、かつこの上側搬送シート1bから次の対をなす下側搬送シート1aに向けて導体Xを搬送させる。上記走行工程では、下側搬送シーブ1a及び上側搬送シーブ1b間において導体Xを張力により直線的に張架した状態、好ましくは略鉛直に張架した状態で搬送する。上記走行工程では、各列において平行となるように複数列の導体Xを搬送することが好ましい。
【0045】
(塗布工程)
上記塗布工程は、塗布部2によって行われる。上記塗布工程では、塗布槽2aの貫通孔に導体Xを貫通させ、導体Xの外周面に絶縁塗料を塗布した後に、この導体Xをダイス2bの孔を通過させることで絶縁塗料の外径を定め、導体Xに付着する絶縁塗料の平均厚さを調整する。
【0046】
(加熱工程)
上記加熱工程は、加熱器3によって行われる。上記加熱工程では、上記塗布工程後の導体Xを加熱することで、絶縁塗料に含まれる溶剤を気化させ、絶縁塗料を導体Xの外周面に焼付ける。
【0047】
(測定工程)
上記測定工程は、放射温度計4及び移動機構5によって行われる。上記測定工程では、移動機構5によって各列の導体Xを横断するよう放射温度計4を往復移動させつつ、放射温度計4によって常時温度を測定する。
【0048】
(抽出工程)
上記抽出工程は、演算装置6によって行われる。上記抽出工程では、上記測定工程で測定された温度の極大値を各列の導体Xの温度として抽出する。なお、上記抽出工程で抽出した導体Xの温度は、例えば加熱器3による加熱温度の制御等に用いられる。
【0049】
(冷却工程)
上記冷却工程は、冷却器7によって行われる。
【0050】
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0051】
例えば、当該絶縁電線製造装置は、効率化の点では1つの放射温度計のみを用いて全ての列の導体の温度を測定することが好ましいが、2以上の放射温度計によって全ての列の導体の温度を測定してもよい。また、当該絶縁電線製造装置は、必ずしも1又は複数の放射温度計によって全ての列の導体の温度を測定しなくてもよい。当該絶縁電線製造装置は、例えば一部の列では本発明の放射温度計とは異なる他の温度計を用いて導体温度を測定してもよく、また一部の列では導体温度を測定しなくてもよい。
【0052】
当該絶縁電線製造装置は、放射温度計によって必ずしも冷却前の導体温度を測定する必要はなく、冷却後の導体温度を測定してもよく、上側搬送シーブ通過後の導体温度を測定してもよい。さらに、当該絶縁電線製造装置は、例えば冷却前及び冷却後等、各列の複数箇所における導体温度を測定してもよい。この場合、各箇所の導体温度をそれぞれ移動機構によって移動する1又は複数の放射温度計によって測定することが好ましいが、少なくとも1箇所における導体温度を移動機構によって移動する1又は複数の放射温度計によって測定すればよい。
【0053】
当該絶縁電線製造装置は、上述のように移動中における放射温度計と各列の導体との最短距離が等しいことが好ましいが、放射温度計と各列の導体との最短距離が異なる場合でも、放射温度計が導体を横断する方向に移動するので導体の横ブレに起因する測定値のばらつきを抑えつつ複数列の導体温度を測定することができる。
【0054】
当該絶縁電線製造装置は、必ずしも上記演算装置を備える必要はない。また、当該絶縁電線製造装置は、必ずしも上記冷却器を備える必要はない。
【0055】
当該絶縁電線製造装置は、上記演算装置によって抽出した複数列における導体温度を基に複数列の加熱器による加熱温度を調整する制御部をさらに備えてもよい。また、当該絶縁電線製造装置は、上記抽出工程で抽出した複数列の導体温度を基に複数列の加熱器による加熱温度を調整する制御工程をさらに備えてもよい。
【0056】
上記第一実施形態では、絶縁電線製造装置が、各列の導体に絶縁塗料の塗布を行う複数の塗布部と、複数の塗布部によって絶縁塗料が塗布された導体を加熱する複数の加熱器とを有する構成について説明した。しかしながら、本発明に係る絶縁電線製造装置は、1つの塗布部が複数列の導体に絶縁塗料を塗布するように構成されてもよく、1つの加熱器が複数列の導体を加熱するように構成されてもよい。つまり、当該絶縁電線製造装置は、1つの塗布部を有する構成又は1つの加熱器を有する構成を採用することも可能である。