特許第6750899号(P6750899)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6750899
(24)【登録日】2020年8月17日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】眼鏡レンズの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 11/00 20060101AFI20200824BHJP
   G02C 7/02 20060101ALI20200824BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20200824BHJP
【FI】
   B29D11/00
   G02C7/02
   G02B1/04
【請求項の数】4
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-229638(P2018-229638)
(22)【出願日】2018年12月7日
(62)【分割の表示】特願2016-550874(P2016-550874)の分割
【原出願日】2016年3月11日
(65)【公開番号】特開2019-48473(P2019-48473A)
(43)【公開日】2019年3月28日
【審査請求日】2018年12月7日
(31)【優先権主張番号】特願2015-49427(P2015-49427)
(32)【優先日】2015年3月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509333807
【氏名又は名称】ホヤ レンズ タイランド リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HOYA Lens Thailand Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100119666
【弁理士】
【氏名又は名称】平澤 賢一
(72)【発明者】
【氏名】上坂 昌久
(72)【発明者】
【氏名】田崎 奈津美
【審査官】 吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/032010(WO,A1)
【文献】 特開2002−348348(JP,A)
【文献】 特表2001−505232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 1/04
G02C 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子内に2個以上のイソ(チオ)シアネート基を有するイソ(チオ)シアネート化合物と、下記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物と、下記一般式(2)で表されるリン酸エステル化合物とを、前記リン酸エステル化合物の合計の含有量が、前記イソ(チオ)シアネート化合物の質量を基準として1〜25,000ppmで混合する工程1と、
工程1で得られた混合物と、活性水素基を2以上有する活性水素化合物と、重合触媒とを混合し、樹脂組成物を得る工程2と、
前記樹脂組成物をレンズ用成形型に注入し、重合する工程3と、
を備え
前記イソ(チオ)シアネート化合物が、1,3−ビス(イソシアナートメチル)ベンゼン、又は、ノルボルナンジイルビス(メチレン)ジイソシアナートを含み、
前記活性水素化合物が、ポリチオール化合物、又は、ポリオール化合物を含む、眼鏡レンズの製造方法。
【化1】

【化2】

(一般式(1)及び一般式(2)においてR及びRは、それぞれ独立にC〜C12のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立にC〜Cのアルキレン基であり、a及びbは、それぞれ独立に0〜2の整数を示す。)
【請求項2】
工程2において、活性水素基を2以上有する活性水素化合物及び重合触媒をあらかじめ混合し、その後、工程1で得られた混合物と混合する、請求項1に記載の眼鏡レンズの製造方法。
【請求項3】
工程1において、紫外線吸収剤、ブルーイング剤、及び離型剤からなる群から選択される少なくとも1種をさらに添加する、請求項1又は2に記載の眼鏡レンズの製造方法。
【請求項4】
イソ(チオ)シアネート化合物が、1,3−ビス(イソシアナートメチル)ベンゼンを含み、
活性水素化合物が、5,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、4,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、及び4,8−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオールを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の眼鏡レンズの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソ(チオ)シアネート組成物、そのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて得られた光学部材用樹脂組成物、その光学部材用樹脂組成物を用いて作製された光学部材及びその光学部材よりなる眼鏡レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物とを重合反応させることにより高屈折率を有するプラスチックレンズ用樹脂を得られることが知られている。例えば、特許文献1には、脂肪族ポリイソシアネート化合物と、ペンタエリスリトールテトラキス−(チオグリコレート)及びトリメチロールプロパントリス−(チオグリコレート)等の脂肪族ポリチオール化合物とを混合して得られた組成物を加熱硬化させて、高屈折率を有するポリウレタン系プラスチックレンズを製造する方法が開示されている。
【0003】
イソシアネート化合物は、イソシアネート基の示す高い反応性のため、不安定であり、活性水素化合物と比較的容易に反応する。特に問題となるのはイソシアネート化合物と大気中の水分との反応である。大気中の水分と反応したイソシアネート化合物は、白濁したり、着色したりする。このため、イソシアネート化合物を保存するためには、安定剤の添加が不可欠であった。例えば、特許文献2には、着色が少なく全光線透過率が高く、しかも光学歪みのない光学用ウレタン樹脂からなる無色透明均質性を要求されるプラスチックレンズとして、安定剤としてフェノール類を使用したプラスチックレンズが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−199016号公報
【特許文献2】特許第3222182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載されているようにフェノールを用いてイソシアネート化合物を安定化させる場合でも一定の効果は得られるが、イソシアネート化合物の種類(例えば、特に反応性の高い芳香環を有するイソシアネート化合物等)やイソシアネート化合物の保管状況によっては、一定期間保管した後のイソシアネート化合物やそれを重合して得られた重合体に白濁が生じる場合がある。
【0006】
そこで、本発明の一実施例は、優れた保存安定性を有するイソ(チオ)シアネート組成物、そのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて得られた光学部材用樹脂組成物、その光学部材用樹脂組成物を用いて作製された光学部材及びその光学部材よりなる眼鏡レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上述の課題を解決するために鋭意検討した結果、所定の2種類のリン酸エステル化合物の混合物を安定化剤として用いることにより、イソ(チオ)シアネート化合物を安定化させることを見出した。
すなわち、本発明の一実施例は、以下のとおりである。
[1]分子内に2個以上のイソ(チオ)シアネート基を有するイソ(チオ)シアネート化合物と、下記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物と、下記一般式(2)で表されるリン酸エステル化合物と、を含有し、リン酸エステル化合物の合計の含有量が、イソ(チオ)シアネート化合物の質量を基準として1〜25,000ppmである、光学部材用イソ(チオ)シアネート組成物。
【化1】

【化2】

(一般式(1)及び一般式(2)においてR及びRは、それぞれ独立にC〜C12のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立にC〜Cのアルキレン基であり、a及びbは、それぞれ独立に0〜2の整数を示す。)
[2]上記[1]に記載のイソ(チオ)シアネート組成物を用いて得られた光学部材用樹脂組成物。
[3]上記[2]に記載の光学部材用樹脂組成物を用いて作製された光学部材。
[4]上記[3]に記載の光学部材よりなる眼鏡レンズ。
[5]分子内に2個以上のイソ(チオ)シアネート基を有するイソ(チオ)シアネート化合物と、一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物と、一般式(2)で表されるリン酸エステル化合物とを、リン酸エステル化合物の合計の含有量が、イソ(チオ)シアネート化合物の質量を基準として1〜25,000ppmで混合する工程1と、
工程1で得られた混合物と、活性水素基を2以上有する活性水素化合物と、重合触媒とを混合し、樹脂組成物を得る工程2と
樹脂組成物をレンズ用成形型に注入し、重合する工程3と
を備える、眼鏡レンズの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施例によれば、優れた保存安定性を有するイソ(チオ)シアネート組成物、そのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて得られた光学部材用樹脂組成物、その光学部材用樹脂組成物を用いて作製された光学部材及びその光学部材よりなる眼鏡レンズを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[イソ(チオ)シアネート組成物]
本発明のイソ(チオ)シアネート組成物は、光学部材用イソ(チオ)シアネート組成物であり、分子内に2個以上のイソ(チオ)シアネート基を有するイソ(チオ)シアネート化合物と、下記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物と、下記一般式(2)で表されるリン酸エステル化合物と、を含有し、リン酸エステル化合物の合計の含有量が、イソ(チオ)シアネート化合物の質量を基準として1〜25,000ppmである。なお、本明細書においては、特に断りのない限り「ppm」は質量の比率を意味する。
【化3】

【化4】

(一般式(1)及び一般式(2)においてR及びRは、それぞれ独立にC〜C12のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立にC〜Cのアルキレン基であり、a及びbは、それぞれ独立に0〜2の整数を示す。)
【0010】
<イソ(チオ)シアネート化合物>
本発明のイソ(チオ)シアネート組成物に使用される、分子内に2個以上のイソ(チオ)シアネート基を有するイソ(チオ)シアネート化合物は、光学部材の作製に使用されるものであればとくに限定されない。
なお、イソ(チオ)シアネート基とは、イソシアネート基及びイソチオシアネート基からなる群から選択される少なくとも1種である。本発明の効果が特に現れるのは、イソシアネート基を有するイソシアネート化合物である。
また、上記イソ(チオ)シアネート化合物におけるイソ(チオ)シアネート基の数の上限値は、2以上の数であれば特に限定されないが、例えば3である。
【0011】
上記イソ(チオ)シアネート化合物としては、芳香環を有するイソ(チオ)シアネート化合物が好ましい。芳香環を有するイソ(チオ)シアネート化合物は、イソ(チオ)シアネート化合物の中でも特に反応性が高いため、大気中の水分等と反応して劣化しやすいが、安定剤として上記リン酸エステル化合物の混合物を特定量用いることにより、劣化を抑制することができる。
芳香環を有するイソ(チオ)シアネート化合物には、例えば、フェニレンジイソシアナート、メチルフェニレンジイソシアナート、ビス(イソシアナートメチル)ベンゼン、メシチレントリイソシアナート、ビス(イソシアナートプロピル)ベンゼン、ジフェニルメタンジイソシアナート、ジイソシアナートナフタレン、及び(ジメチルビフェニリレン)ジイソシアナート等が挙げられる。これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、ビス(イソシアナートメチル)ベンゼンが好ましい。
【0012】
また、上記イソ(チオ)シアネート化合物としては、環状構造を有するイソ(チオ)シアネート化合物も好ましい。環状構造を有するイソ(チオ)シアネート化合物には、例えば、ビス(イソシアナートメチル)ベンゼン、ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、ビス(4−イソシアナートシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイルビス(メチレン)ジイソシアナート及びビス(イソシアナートメチル)ジチアン等が挙げられる。これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらを用いて得られる樹脂は比較的高い強度と屈折率を有し、光学部材に好適に用いることができる。これらの中でも、ビス(イソシアナートメチル)ベンゼン及びノルボルナンジイルビス(メチレン)ジイソシアナートからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ノルボルナンジイルビス(メチレン)ジイソシアナートが好ましい。
【0013】
<リン酸エステル化合物>
本発明のイソ(チオ)シアネート組成物に使用されるリン酸エステル化合物は、下記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物及び下記一般式(2)で表されるリン酸エステル化合物を含む。
【化5】

【化6】

(一般式(1)及び一般式(2)においてR及びRは、それぞれ独立にC〜C12のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立に、C〜Cのアルキレン基であり、a及びbは、それぞれ独立に0〜2の整数、好ましくは1又は2の整数を示す。)
及びRは、それぞれ独立に、好ましくはC〜Cのアルキル基、より好ましくはC〜Cのアルキル基である。R及びRとしては、例えば、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。これらの中でもブチル基が好ましい。
及びRは、それぞれ独立に、好ましくはC〜Cのアルキレン基である。
及びRは、エタンジイル基、プロパンジイル基、ブタンジイル基等が挙げられる。
【0014】
本発明のイソ(チオ)シアネート組成物に使用されるリン酸エステル化合物は、保存安定性を向上させるため、好ましくは下記式(3)で表されるリン酸エステル化合物及び下記式(4)で表されるリン酸エステル化合物である。
【化7】

【化8】
【0015】
本発明のイソ(チオ)シアネート組成物が上記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物及び上記一般式(2)で表されるリン酸エステル化合物を含有することによって、本発明のイソ(チオ)シアネート組成物に含有されているイソ(チオ)シアネート化合物を安定化させることができる。
【0016】
本発明のイソ(チオ)シアネート組成物におけるリン酸エステル化合物の合計の含有量は、イソ(チオ)シアネート化合物の質量を基準として、1ppm以上であり、好ましくは5ppm以上であり、より好ましくは10ppm以上であり、より好ましくは50ppm以上であり、更に好ましくは100ppm以上であり、更に好ましくは100ppm超である。リン酸エステル化合物の合計の含有量が1ppm未満であると、リン酸エステル化合物の合計の含有量が小さすぎるために、リン酸エステル化合物のイソ(チオ)シアネート化合物を安定化させる効果が現れない場合がある。また、本発明のイソ(チオ)シアネート組成物におけるリン酸エステル化合物の合計の含有量は、イソ(チオ)シアネート化合物の質量を基準として、25,000ppm以下であり、好ましくは22,000ppm以下であり、より好ましくは20,000ppm以下であり、さらに好ましくは18,000ppm以下であり、さらに好ましくは10,000ppm以下であり、さらに好ましくは8,000ppm以下であり、さらに好ましくは5,000ppm以下であり、さらに好ましくは3,000ppm以下であり、さらに好ましくは2,500ppm以下である。リン酸エステル化合物の合計の含有量が25,000ppmよりも大きいと、リン酸エステル化合物に吸収された水分の影響で、イソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製された光学部材が白濁する場合がある。
【0017】
さらに、イソ(チオ)シアネート化合物の安定化の観点からでは、本発明のイソ(チオ)シアネート組成物におけるリン酸エステル化合物の合計の含有量は、イソ(チオ)シアネート化合物の質量を基準として、1ppm以上であり、好ましくは10ppm以上であり、より好ましくは50ppm以上であり、更に好ましくは100ppm以上であり、更に好ましくは100ppm超である。
本発明のイソ(チオ)シアネート組成物におけるリン酸エステル化合物の合計の含有量は、イソ(チオ)シアネート化合物の質量を基準として、好ましくは800ppm以下であり、より好ましくは500ppm以下であり、さらに好ましくは300ppm以下であり、さらに好ましくは200ppm以下である。
【0018】
光学部材の製造時の成形型からの離型性を良好にするという観点からでは、本発明のイソ(チオ)シアネート組成物におけるリン酸エステル化合物の合計の含有量は、イソ(チオ)シアネート化合物の質量を基準として、好ましくは800ppm以上であり、より好ましくは1,000ppm以上であり、更に好ましくは1,500ppm以上であり、さらに好ましくは10,0000ppm以上である。
本発明のイソ(チオ)シアネート組成物におけるリン酸エステル化合物の合計の含有量は、イソ(チオ)シアネート化合物の質量を基準として、25,000ppm以下であり、好ましくは20,000ppm以下であり、より好ましくは15,000ppm以下であり、さらに好ましくは10,000ppm以下であり、さらに好ましくは5,000ppm以下であり、さらに好ましくは2,500ppm以下である。
【0019】
一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物と、一般式(2)で表されるリン酸エステル化合物とのモル比は、好ましくは30/70〜70/30であり、より好ましくは35/65〜65/35であり、さらに好ましくは40/60〜60/40である。一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物と、一般式(2)で表されるリン酸エステル化合物とのモル比が30/70〜70/30であると、イソ(チオ)シアネート化合物の安定性がより良好になり、リン酸エステル化合物の添加による着色も抑えられる。
【0020】
<その他の成分>
本発明のイソ(チオ)シアネート組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、イソ(チオ)シアネート化合物及びリン酸エステル化合物以外の化合物を含んでもよい。このような化合物には、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0021】
[イソ(チオ)シアネート化合物の安定化方法]
本発明のイソ(チオ)シアネート化合物の安定化方法は、分子内に2個以上のイソ(チオ)シアネート基を有するイソ(チオ)シアネート化合物に、一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物及び一般式(2)で表されるリン酸エステル化合物を添加する工程を含み、リン酸エステル化合物の合計の添加量が、イソ(チオ)シアネート化合物の質量を基準として1〜25,000ppmである。本発明のイソ(チオ)シアネート化合物の安定化方法よれば、イソ(チオ)シアネート化合物を効果的に安定化させることができる。
【0022】
本発明のイソ(チオ)シアネート化合物の安定化方法におけるイソ(チオ)シアネート化合物、リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物の合計の添加量は、本発明のイソ(チオ)シアネート組成物で説明したイソ(チオ)シアネート化合物、リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物の合計の含有量と同様であるので、これらの説明は省略する。また、本発明のイソ(チオ)シアネート化合物の安定化方法における一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物と、一般式(2)で表されるリン酸エステル化合物とのモル比も本発明のイソ(チオ)シアネート組成物で説明したモル比と同様であるので、説明を省略する。
【0023】
[イソ(チオ)シアネート化合物の保存方法]
本発明のイソ(チオ)シアネート化合物の保存方法は、本発明のイソ(チオ)シアネート化合物の安定化方法により安定化されたイソ(チオ)シアネート化合物を24時間以上保存する。本発明のイソ(チオ)シアネート化合物の保存方法によれば、イソ(チオ)シアネート化合物を安定化した状態で、24時間以上保存することができ、さらに4週間以上保存することもできる。なお、本発明のイソ(チオ)シアネート化合物の保存方法によって、イソ(チオ)シアネート化合物を安定的に保存することができる期間の上限は特に限定されないが、例えば6ヶ月間である。
【0024】
[光学部材用樹脂組成物]
本発明の光学部材用樹脂組成物は、本発明のイソ(チオ)シアネート組成物を用いて得られる。これにより、イソ(チオ)シアネート基の反応により劣化したイソ(チオ)シアネート組成物を用いて光学部材用樹脂組成物を作製することを抑制することができる。なお、劣化したイソ(チオ)シアネート組成物を用いて光学部材用樹脂組成物を作製すると、その光学部材用樹脂組成物を用いて作製した光学部材が白濁する場合がある。
【0025】
<活性水素化合物>
本発明の光学部材用樹脂組成物は、好ましくは、本発明のイソ(チオ)シアネート組成物と、さらに、活性水素基を2以上有する活性水素化合物とを用いて得られる。これにより、白濁のない高屈折率の光学部材を作製することができる光学部材用樹脂組成物を得ることができる。活性水素基を2以上有する活性水素化合物には、例えば、ポリチオール化合物、ポリオール化合物及びポリアミン化合物等が挙げられる。
【0026】
(ポリチオール化合物)
ポリチオール化合物としては、例えば、エチレングリコールビス(メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(メルカプトアセテート)、プロパントリオールトリス(メルカプトアセテート)、プロパンジオールビス(メルカプトアセテート)、ブタンジオールジ(メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオナート)、エチレンビス(ヒドロキシエチルスルフィド)ビス(メルカプトアセテート)、ブタンジオールビス(メルカプトアセテート)、ブタンジオールビス(メルカプトプロピオナート)、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパンビス(メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトプロピオネート)等のポリオール化合物とチオグリコール酸とのエステル化反応で得られるポリチオール化合物;
【0027】
エタンジチオール、プロパンジチオール、ヘキサンジチオール、プロパントリチオール、シクロヘキサンジチオール、ジメチルプロパンジチオール、ジメトキシブタンジチオール、メチルシクロヘキサンジチオール、ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、ジメルカプトプロパノール、ジメルカプトプロピルメチルエーテル、ジメルカプトプロピルメチルエーテル、ビス(メルカプトメチル)プロパンジチオール、ビス(メルカプトエチル)エーテル、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトメチル)ジチアン、ビス[(メルカプトエチル)チオ]メルカプトプロパン、ビス(メルカプトメチル)トリチアウンデカンジチオール等の脂肪族ポリチオール化合物又は脂環構造を有するポリチオール化合物;及び
【0028】
ジメルカプトベンゼン、ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、トリメルカプトベンゼン、トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、ジメルカプトビフェニル、ジメルカプトビベンジル、トルエンジチオール、ナフタレンジチオール、ジメチルベンゼンジチオール、アントラセンジメタンチオール、ジ(p−メトキシフェニル)プロパンジチオール、ジフェニルプロパンジチオール、フェニルメタンジチオール、ジ(p−メルカプトフェニル)ペンタン等の芳香族ポリチオール化合物等が挙げられる。これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0029】
(ポリオール化合物)
ポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、メチルグルコサイド、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール、エリスリトール、スレイトール、リビトール、アラビニトール、キシリトール、アリトール、マニトール、ドルシトール、イディトール、グリコール、イノシトール、ヘキサントリオール、トリグリセロール、ジグリペロール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロデカン−ジメタノール、ビシクロノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロドデカンジオール、ビシクロノナンジメタノール、トリシクロドデカン−ジエタノール、ヒドロキシプロピルトリシクロドデカノール、スピロオクタンジオール、ブチルシクロヘキサンジオール、ビシクロヘキシリデンジオール、シクロヘキサントリオール、ビス(ヒドロキシエチル)ジチアン、マルチトール、ラクチトール等の脂肪族ポリオール;
【0030】
ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゼン、ベンゼントリオール、ビフェニルテトラオール、ピロガロール、(ヒドロキシナフチル)ピロガロール、トリヒドロキシフェナントレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、キシリレングリコール、テトラブロムビスフェノールA等の芳香族ポリオール;
【0031】
ジ(ヒドロキシエチル)スルフィド、ビス(ヒドロキシエチルメルカプト)エタン、ビス(ヒドロキシエチル)ジスルフィド、ジチアンジオール、ビス(ジヒドロキシプロピル)スルフィド、テトラキス(ヒドロキシチアブチル)メタン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン(商品名ビスフェノールS)、テトラブロモビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールS、チオビス(tert−ブチルメチルフェノール)、ビス(ヒドロキシエチルチオエチル)−シクロヘキサン等の硫黄原子を含有したポリオール;及び
【0032】
ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレントリメチロールプロピルエーテル、ポリオキシプロピレンペンタエリスリトールエーテル等のポリオールのポリアルキレンオキシドエーテル等が挙げられる。これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0033】
(ポリアミン化合物)
ポリアミン化合物としては、例えば、ジエチルジアミノトルエン等を挙げることができる。
【0034】
好ましくは、活性水素基を2以上有する活性水素化合物はポリチオール化合物である。好ましいポリチオール化合物の具体例としては、ビス(メルカプトメチル)トリチアウンデカンジチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ビス(メルカプトエチルチオ)メルカプトプロパン、トリメチロールプロパントリス(メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオナート)、ブタンジオールビス(メルカプトアセテート)、ブタンジオールビス(メルカプトプロピオナート)等が挙げられる。これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、ビス(メルカプトメチル)トリチアウンデカンジチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、及びビス(メルカプトエチルチオ)メルカプトプロパンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ビス(メルカプトメチル)トリチアウンデカンジチオール、並びに、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)及びビス(メルカプトエチルチオ)メルカプトプロパンの組合せ、からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
なお、イソ(チオ)シアネートと、活性水素化合物との好ましい組合せは、後述するとおりである。
【0035】
(その他の成分)
本発明の光学部材用樹脂組成物は、イソ(チオ)シアネート組成物及び活性水素化合物のみからなるものであってもよい。しかし、本発明の光学部材用樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、イソ(チオ)シアネート組成物及び活性水素化合物以外の化合物を含んでもよい。このような化合物には、例えば、エポキシ化合物、オレフィン化合物、カーボネート化合物、エステル化合物、金属、金属酸化物、有機金属化合物及び無機物等が挙げられる。これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0036】
また、目的に応じて、本発明の重合性組成物に、鎖延長剤、架橋剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、油溶染料、充填剤、離型剤、ブルーイング剤、蛍光増白剤等の種々の物質を添加してもよい。さらに、所望の反応速度に調整するために、ポリウレタンの製造において用いられる公知の反応触媒を本発明の重合性組成物に適宜添加することもできる。
【0037】
[光学部材]
本発明の光学部材は光学部材用樹脂組成物を用いて作製される。例えば、本発明の光学部材用樹脂組成物を注型重合することによって、本発明の光学部材を得ることができる。具体的には、まず、本発明のイソ(チオ)シアネート組成物と、活性水素基を2以上有する活性水素化合物とを混合して光学部材用樹脂組成物を作製する。そして、必要に応じて光学部材用樹脂組成物を脱泡し、その後、光学部材用樹脂組成物を成形型に注入し、成形型に注入した光学部材用樹脂組成物を重合させる。成形型には、例えばガラス又は金属製のモールド型が用いられる。成形型内で光学部材用樹脂組成物を重合させるときの重合時間は、例えば3〜96時間であり、重合温度は、例えば、0〜130℃である。光学部材用樹脂組成物を重合させて作製した光学部材の成形型からの離型性を良好にするために、成形型の離型面に離型剤を塗布してもよいし、光学部材用樹脂組成物に離型剤を添加してもよい。
【0038】
このようにして得られる光学部材には、白濁がほとんど観察されない。また、光学部材は、眼鏡レンズ及びカメラレンズ等の光学素子として好適に使用され、特に眼鏡レンズとして好適に使用される。
【0039】
本発明の眼鏡レンズは本発明の光学部材よりなる。これにより、本発明の眼鏡レンズには、白濁がほとんど観察されない。また、本発明の眼鏡レンズは、特に眼鏡用プラスチックレンズとして好適に使用される。
【0040】
また、必要に応じて、反射防止、高硬度付与、耐摩耗性向上、耐薬品性向上、防雲性付与又はファッション性付与等のために、表面研磨、帯電防止処理、ハードコート処理、無反射コート処理、染色処理、調光処理等の物理的又は化学的処理を本発明の眼鏡レンズに施してもよい。
【0041】
[眼鏡レンズの製造方法]
本発明の眼鏡レンズの製造方法は、好ましくは、
分子内に2個以上のイソ(チオ)シアネート基を有するイソ(チオ)シアネート化合物と、一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物と、一般式(2)で表されるリン酸エステル化合物とを、リン酸エステル化合物の合計の含有量が、イソ(チオ)シアネート化合物の質量を基準として1〜25,000ppmで混合する工程1と、
工程1で得られた混合物と、活性水素基を2以上有する活性水素化合物と、重合触媒とを混合し、樹脂組成物を得る工程2と、
樹脂組成物をレンズ用成形型に注入し、重合する工程3と、
を備える。
【0042】
〔工程1〕
工程1において、イソ(チオ)シアネート化合物と、リン酸エステル化合物とを混合した後、紫外線吸収剤、ブルーイング剤、離型剤、鎖延長剤、架橋剤、光安定剤、酸化防止剤、油溶染料、充填剤、蛍光増白剤等の種々の物質を添加してもよい。これらの中でも、紫外線吸収剤、ブルーイング剤、及び離型剤からなる群から選択される少なくとも1種を添加することが好ましい。
【0043】
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホニックアシッド、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール化合物;ジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシベンゾイルメタン等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。紫外線吸収剤の含有量は、イソ(チオ)シアネート化合物100質量部に対して、好ましくは0.03〜6質量%、より好ましくは0.06〜3質量%、より好ましくは0.1〜1.5質量%である。
【0044】
ブルーイング剤としては、青系と赤系の染料又は顔料が挙げられる。ブルーイング剤の添加量は、イソ(チオ)シアネート化合物に対して、好ましくは2〜20ppm、より好ましくは3〜35ppm、さらに好ましくは6〜30ppmである。
【0045】
離型剤としては、リン酸エステルが好適に用いられ、例えば、イソプロピルアシッドフォスフェート、ブチルアシッドフォスフェート、オクチルアシッドフォスフェート、ノニルアシッドフォスフェート、デシルアシッドフォスフェート、イソデシルアシッドフォスフェート、トリデシルアシッドフォスフェート、ステアリルアシッドフォスフェート、プロピルフェニルアシッドフォスフェート、ブチルフェニルアシッドフォスフェート、ブトキシエチルアシッドフォスフェート等のリン酸モノエステル;ジイソプロピルアシッドフォスフェート、ジブチルアシッドフォスフェート、ジオクチルアシッドフォスフェート、ジイソデシルアシッドフォスフェート、ビス(トリデシルアシッドフォスフェート)、ジステアリルアシッドフォスフェート、ジプロピルフェニルアシッドフォスフェート、ジブチルフェニルアシッドフォスフェート、ジブトキシエチルアシッドフォスフェート等のリン酸ジエステル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
離型剤の添加量は、イソ(チオ)シアネート化合物100質量部に対して、好ましくは0.01〜3質量部、より好ましくは0.05〜1質量部、さらに好ましくは0.1〜0.8質量部である。
【0046】
〔工程2〕
工程2において、工程1で得られた混合物と、活性水素基を2以上有する活性水素化合物と、重合触媒との混合順序は、特に限定されないが、白濁を防止するため、得られる眼鏡レンズの白濁の発生を抑制するため、活性水素基を2以上有する活性水素化合物及び重合触媒をあらかじめ混合し、その後、工程1で得られた混合物とを混合することが好ましい。
【0047】
活性水素化合物としては、上述の活性水素化合物が用いられる。
ポリイソ(チオ)シアネート化合物と活性水素化合物との配合割合は、イソ(チオ)シアネート基/活性水素基のモル比が、通常0.5〜2.0であり、好ましくは0.95〜1.05である。
【0048】
ここで、イソ(チオ)シアネートと、活性水素化合物との好ましい組み合わせは以下のとおりである。
(i)ビス(イソシアナートメチル)ベンゼンと、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオールとの組み合わせ
(i−1)1,3−ビス(イソシアナートメチル)ベンゼンと、5,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、4,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、及び4,8−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオールを含む混合物との組み合わせ
(i−2)1,4−ビス(イソシアナートメチル)ベンゼンと、5,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、4,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、及び4,8−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオールを含む混合物との組み合わせ
(ii)ビス(4−イソシアナートシクロヘキシル)メタンと、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオールとの組み合わせ
(ii−1)ビス(4−イソシアナートシクロヘキシル)メタンと、5,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、4,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、及び4,8−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオールを含む混合物との組み合わせ
(iii)ノルボルナンジイルビス(メチレン)ジイソシアナートと、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)と、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)―3−メルカプトプロパンとの組み合わせ
【0049】
重合触媒としては、有機金属化合物、アミン化合物等が挙げられる。
有機金属化合物としては、有機スズ、オレイン酸銅、アセチルアセトン銅、アセチルアセトン鉄、ナフテン酸鉄、乳酸鉄、クエン酸鉄、グルコン酸鉄、チタン酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
有機金属化合物の中でも、有機スズが好適である。有機スズとしては、例えば、ジメチルスズジクロライド、ジブチルスズジクロライド、ジジオクチルスズジクロライド、ジメチルスズジブロマイド、ジブチルスズジブロマイド、ジジオクチルスズジブロマイド、ジジオクチルスズジフルオライド等が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミン化合物としては、例えば、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン、4,4′−トリメチレンビス(1−メチルピペリジン)、1,8−ジアザビシクロ−(5,4,0)−7−ウンデセンが挙げられる。
これらの重合触媒の中でも、好ましくは、ジメチルスズジクロライド、ジブチルスズジクロライドが好ましい。
重合触媒の添加量は、工程2で得られる樹脂組成物全量に対して、好ましくは0.001〜2.0質量%であり、より好ましくは0.005〜1.5質量%であり、さらに好ましくは0.01〜1.0質量%である。
【0050】
〔工程3〕
工程3では、樹脂組成物をレンズ用成形型に注入し、重合する。
レンズ用成形型としては、例えば、ガラス又は金属製のモールドと、テープ又はガスケットとを組み合わせた成形型が挙げられ、好ましくはガラスモールドと、テープ又はガスケットとを組み合わせた成形型である。
【0051】
重合条件は、重合組成物に応じて、適宜設定することができる。
重合開始温度は、通常0〜50℃、好ましくは20〜40℃である。重合開始温度から昇温し、その後、加熱して硬化形成することが好ましい。例えば、昇温温度は、通常110〜130℃である。
重合終了後、眼鏡レンズを離型して、アニール処理を行ってもよい。アニール処理の温度は、好ましくは100〜150℃である。
【0052】
本発明は、上述の各成分の例、含有量、各種物性については、発明の詳細な説明に例示又は好ましい範囲として記載された事項を任意に組み合わせてもよい。
また、実施例に記載した組成に対し、発明の詳細な説明に記載した組成に調整を行えば、クレームした組成範囲全域にわたって実施例と同様に発明を実施することができる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0054】
実施例及び比較例のイソ(チオ)シアネート組成物の保管後の外観試験及び保存したイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材の外観試験を実施した。
【0055】
(イソ(チオ)シアネート組成物の保管後の外観試験)
実施例及び比較例のイソ(チオ)シアネート組成物を作製し、密閉できる容器に入れ、容器中の空気を窒素で置換した後、密栓し、室温で4週間保管した。そして、4週間保管後の実施例及び比較例のイソ(チオ)シアネート組成物の外観を観察し、実施例及び比較例のイソ(チオ)シアネート組成物の白濁の有無を調べた。
【0056】
(光学部材の外観試験)
4週間保管後の実施例及び比較例のイソ(チオ)シアネート組成物を用いて光学部材を作製し、光学部材の外観を観察し、光学部材の白濁の有無を調べた。
【0057】
次に実施例及び比較例のイソ(チオ)シアネート組成物及び光学部材を以下のようにして作製した。
【0058】
(実施例1)
ポリイソシアナート化合物である1,3−ビス(イソシアナートメチル)ベンゼンに、ブトキシエチルアシッドホスフェート(式(3)で表されるリン酸エステル化合物)とジブトキシエチルアシッドホスフェート(式(4)で表されるリン酸エステル化合物)との混合物(モル比 55/45)を10ppm添加し、10分間撹拌して実施例1のイソ(チオ)シアネート組成物を作製した。その後、実施例1のイソ(チオ)シアネート組成物を密閉できる容器に入れ、容器中の空気を窒素で置換した後、密栓し、室温で保管し、4週間保管した実施例1のイソ(チオ)シアネート組成物を作製した。
【0059】
50.60質量部の4週間保管した実施例1のイソ(チオ)シアネート組成物に、触媒としてジメチルチンジクロライド0.01質量部と、内部離型剤として城北化学工業(株)製、JP−506Hを0.14質量部と、紫外線吸収剤としてシプロ化成(株)製、SEESORB707を0.45質量部とを添加して撹拌し、これらの添加した化合物を実施例1のイソ(チオ)シアネート組成物に溶解させた後、ポリチオール化合物として5,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、4,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、及び4,8−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオールを含む混合物を49.40質量部添加し、約133Paの減圧下で30分間撹拌混合させ、光学部材用樹脂組成物を得た。この光学部材用樹脂組成物を予め準備したガラス製モールド型と樹脂製ガスケットとからなるレンズ用成形型に注入し、電気炉内で20℃から120℃までおよそ22時間かけて徐々に昇温させ120℃で3時間保温して光学部材用樹脂組成物の重合を行った。重合終了後、樹脂製ガスケットを取り除き、ガラス製モールド型から離型させ、4週間保管した実施例1のイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材(眼鏡レンズ)を得た。
【0060】
(実施例2)
ブトキシエチルアシッドホスフェートとジブトキシエチルアシッドホスフェートとの混合物の添加量を10ppmから120ppmに変更した点を除いて、実施例1と同様にして、4週間保管した実施例2のイソ(チオ)シアネート組成物及びそのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材を得た。
【0061】
(実施例3)
ブトキシエチルアシッドホスフェートとジブトキシエチルアシッドホスフェートとの混合物の添加量を10ppmから500ppmに変更した点を除いて、実施例1と同様にして、4週間保管した実施例3のイソ(チオ)シアネート組成物及びそのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材を得た。
【0062】
(実施例4)
ブトキシエチルアシッドホスフェートとジブトキシエチルアシッドホスフェートとの混合物の添加量を10ppmから2,000ppmに変更した点を除いて、実施例1と同様にして、4週間保管した実施例4のイソ(チオ)シアネート組成物及びそのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材を得た。
【0063】
(実施例5)
ブトキシエチルアシッドホスフェートとジブトキシエチルアシッドホスフェートとの混合物の添加量を10ppmから3,000ppmに変更した点を除いて、実施例1と同様にして、4週間保管した実施例5のイソ(チオ)シアネート組成物及びそのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材を得た。
【0064】
(実施例6)
ブトキシエチルアシッドホスフェートとジブトキシエチルアシッドホスフェートとの混合物の添加量を10ppmから20,000ppmに変更した点及び内部離型剤を添加しなかった点を除いて、実施例1と同様にして、4週間保管した実施例6のイソ(チオ)シアネート組成物及びそのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材を得た。
【0065】
(比較例1)
ブトキシエチルアシッドホスフェートとジブトキシエチルアシッドホスフェートとの混合物を添加しなかった点を除いて、実施例1と同様にして、4週間保管した比較例1のイソ(チオ)シアネート組成物及びそのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材を得た。
【0066】
(比較例2)
ブトキシエチルアシッドホスフェートとジブトキシエチルアシッドホスフェートとの混合物の添加量を10ppmから30,000ppmに変更した点及び内部離型剤を添加しなかった点を除いて、実施例1と同様にして、4週間保管した比較例2のイソ(チオ)シアネート組成物及びそのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材を得た。
【0067】
(比較例3)
ブトキシエチルアシッドホスフェートとジブトキシエチルアシッドホスフェートとの混合物を10ppm添加する代わりにジブチルホスフェートを500ppm添加した点を除いて、実施例1と同様にして、4週間保管した比較例3のイソ(チオ)シアネート組成物及びそのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材を得た。
【0068】
(比較例4)
ブトキシエチルアシッドホスフェートとジブトキシエチルアシッドホスフェートとの混合物を10ppm添加する代わりにフェノールを500ppm添加した点を除いて、実施例1と同様にして、4週間保管した比較例4のイソ(チオ)シアネート組成物及びそのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材を得た。
【0069】
(結果)
実施例及び比較例のイソ(チオ)シアネート組成物の評価結果を表1に示す。
【0070】
(実施例7)
ポリイソシアナート化合物であるノルボルナンジイルビス(メチレン)ジイソシアナート(別名:ビス(イソシアナートメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン)に、ブトキシエチルアシッドホスフェート(式(3)で表されるリン酸エステル化合物)とジブトキシエチルアシッドホスフェート(式(4)で表されるリン酸エステル化合物)との混合物(モル比 55/45)を10ppm添加し、10分間撹拌して実施例1のイソ(チオ)シアネート組成物を作製した。その後、実施例7のイソ(チオ)シアネート組成物を密閉できる容器に入れ、容器中の空気を窒素で置換した後、密栓し、室温で保管し、4週間保管した実施例7のイソ(チオ)シアネート組成物を作製した。
【0071】
50.60質量部の4週間保管した実施例7のイソ(チオ)シアネート組成物に、内部離型剤として城北化学工業(株)製、JP−506Hを0.14質量部と、紫外線吸収剤としてシプロ化成(株)製、SEESORB707を0.45質量部とを添加して撹拌し、これらの添加した化合物を実施例7のイソ(チオ)シアネート組成物に溶解させた。
ポリチオール化合物としてペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)25.50質量部と、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)―3−メルカプトプロパン24.22質量部と、触媒としてジメチルチンジクロライド0.01質量部とを混合し、約133Paの減圧下で30分間撹拌混合させた後、前述のイソ(チオ)シアネート組成物と混合し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を予め準備したガラス製モールド型と樹脂製ガスケットとからなるレンズ用成形型に注入し、電気炉内で20℃から120℃までおよそ22時間かけて徐々に昇温させ120℃で3時間保温して樹脂組成物の重合を行った。重合終了後、樹脂製ガスケットを取り除き、ガラス製モールド型から離型させ、4週間保管した実施例7のイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材(眼鏡レンズ)を得た。
【0072】
(実施例8)
ブトキシエチルアシッドホスフェートとジブトキシエチルアシッドホスフェートとの混合物の添加量を10ppmから120ppmに変更した点を除いて、実施例7と同様にして、4週間保管した実施例8のイソ(チオ)シアネート組成物及びそのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材を得た。
【0073】
(実施例9)
ブトキシエチルアシッドホスフェートとジブトキシエチルアシッドホスフェートとの混合物の添加量を10ppmから500ppmに変更した点を除いて、実施例7と同様にして、4週間保管した実施例9のイソ(チオ)シアネート組成物及びそのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材を得た。
【0074】
(実施例10)
ブトキシエチルアシッドホスフェートとジブトキシエチルアシッドホスフェートとの混合物の添加量を10ppmから2,000ppmに変更した点及び内部離型剤を添加しなかった点を除いて、実施例7と同様にして、4週間保管した実施例10のイソ(チオ)シアネート組成物及びそのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材を得た。
【0075】
(実施例11)
ブトキシエチルアシッドホスフェートとジブトキシエチルアシッドホスフェートとの混合物の添加量を10ppmから3,000ppmに変更した点及び内部離型剤を添加しなかった点を除いて、実施例7と同様にして、4週間保管した実施例11のイソ(チオ)シアネート組成物及びそのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材を得た。
【0076】
(実施例12)
ブトキシエチルアシッドホスフェートとジブトキシエチルアシッドホスフェートとの混合物の添加量を10ppmから20,000ppmに変更した点及び内部離型剤を添加しなかった点を除いて、実施例7と同様にして、4週間保管した実施例12のイソ(チオ)シアネート組成物及びそのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材を得た。
【0077】
(比較例5)
ブトキシエチルアシッドホスフェートとジブトキシエチルアシッドホスフェートとの混合物を添加しなかった点を除いて、実施例7と同様にして、4週間保管した比較例5のイソ(チオ)シアネート組成物及びそのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材を得た。
【0078】
(比較例6)
ブトキシエチルアシッドホスフェートとジブトキシエチルアシッドホスフェートとの混合物の添加量を10ppmから30,000ppmに変更した点及び内部離型剤を添加しなかった点を除いて、実施例7と同様にして、4週間保管した比較例6のイソ(チオ)シアネート組成物及びそのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材を得た。
【0079】
(比較例7)
ブトキシエチルアシッドホスフェートとジブトキシエチルアシッドホスフェートとの混合物を10ppm添加する代わりにジブチルホスフェートを500ppm添加した点を除いて、実施例7と同様にして、4週間保管した比較例7のイソ(チオ)シアネート組成物及びそのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材を得た。
【0080】
(比較例8)
ブトキシエチルアシッドホスフェートとジブトキシエチルアシッドホスフェートとの混合物を10ppm添加する代わりにフェノールを500ppm添加した点を除いて、実施例7と同様にして、4週間保管した比較例8のイソ(チオ)シアネート組成物及びそのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材を得た。
【0081】
(結果)
実施例及び比較例のイソ(チオ)シアネート組成物の評価結果を表2に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
表中、各種標記は以下のとおりである。
P−1:ブトキシエチルアシッドホスフェート及びジブトキシエチルアシッドホスフェートの混合物
P−2:ジブチルホスフェート
P−3:フェノール
I−1:1,3−ビス(イソシアナートメチル)ベンゼン
I−2:ノルボルナンジイルビス(メチレン)ジイソシアナート
T−1:5,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、4,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、及び4,8−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオールを含む混合物
T−2:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)
T−3:1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)―3−メルカプトプロパン
【0085】
(1)実施例1〜6と比較例1〜4とを比較することによって、イソ(チオ)シアネート化合物に、上記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物及び上記一般式(2)で表されるリン酸エステル化合物を特定の量、添加することによって、イソ(チオ)シアネート化合物を少なくとも4週間安定化させることができることがわかった。
(2)比較例1のイソ(チオ)シアネート組成物では、上記リン酸エステル化合物を添加しなかったために、4週間保管したイソ(チオ)シアネート組成物が白濁し、そのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材も白濁したものと考えられる。
(3)比較例2のイソ(チオ)シアネート組成物では、上記リン酸エステル化合物の添加量が25,000ppmに比べて多すぎたために、4週間保管したイソ(チオ)シアネート組成物に泡が発生し、そのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材は白濁したものと考えられる。
(4)比較例3及び4のイソ(チオ)シアネート組成物では、上記リン酸エステル化合物の代わりに、イソシアネート化合物の安定化剤として従来用いられたジブチルホスフェート及びフェノールを添加したが、4週間保管したイソ(チオ)シアネート組成物は白濁し、そのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材も白濁した。これより、上記リン酸エステル化合物は、イソ(チオ)シアネート化合物を安定化させる能力が、従来の安定化剤に比べて非常に優れていることがわかった。
【0086】
(5)実施例7〜12と比較例5〜8とを比較することによって、イソ(チオ)シアネート化合物に、上記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物及び上記一般式(2)で表されるリン酸エステル化合物を特定の量、添加することによって、イソ(チオ)シアネート化合物を少なくとも4週間安定化させることができることがわかった。
(6)比較例5のイソ(チオ)シアネート組成物では、上記リン酸エステル化合物を添加しなかったために、4週間保管したイソ(チオ)シアネート組成物が白濁し、そのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材も白濁したものと考えられる。
(7)比較例6のイソ(チオ)シアネート組成物では、上記リン酸エステル化合物の添加量が25,000ppmに比べて多すぎたために、4週間保管したイソ(チオ)シアネート組成物に泡が発生し、そのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材は白濁したものと考えられる。
(8)比較例7及び8のイソ(チオ)シアネート組成物では、上記リン酸エステル化合物の代わりに、イソシアネート化合物の安定化剤として従来用いられたジブチルホスフェート及びフェノールを添加したが、4週間保管したイソ(チオ)シアネート組成物は白濁し、そのイソ(チオ)シアネート組成物を用いて作製した光学部材も白濁した。これより、上記リン酸エステル化合物は、イソ(チオ)シアネート化合物を安定化させる能力が、従来の安定化剤に比べて非常に優れていることがわかった。
【0087】
最後に、本発明の実施の形態を総括する。
本発明の一実施形態は、分子内に2個以上のイソ(チオ)シアネート基を有するイソ(チオ)シアネート化合物と、下記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物と、下記一般式(2)で表されるリン酸エステル化合物と、を含有し、リン酸エステル化合物の合計の含有量が、イソ(チオ)シアネート化合物の質量を基準として1〜25,000ppmである、光学部材用イソ(チオ)シアネート組成物である。
【化9】

【化10】

(一般式(1)及び一般式(2)においてR及びRは、それぞれ独立にC〜C12のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立にC〜Cのアルキレン基であり、a及びbは、それぞれ独立に0〜2の整数を示す。)
上記形態によれば、優れた保存安定性を有するイソ(チオ)シアネート組成物が得られる。
【0088】
本発明の一実施形態は、
分子内に2個以上のイソ(チオ)シアネート基を有するイソ(チオ)シアネート化合物と、一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物と、一般式(2)で表されるリン酸エステル化合物とを、リン酸エステル化合物の合計の含有量が、イソ(チオ)シアネート化合物の質量を基準として1〜25,000ppmで混合する工程1と、
工程1で得られた混合物と、活性水素基を2以上有する活性水素化合物と、重合触媒とを混合し、樹脂組成物を得る工程2と
樹脂組成物をレンズ用成形型に注入し、重合する工程3と
を備える、眼鏡レンズの製造方法である。
上記形態によれば、工程1により優れた保存安定性を有するイソ(チオ)シアネート組成物が得られため、眼鏡レンズにおける白濁の発生を防止できる。
【0089】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。