(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
収納対象の物体を収納する収納空間から当該収納空間の外部に、また、その逆に前記物体が移動する移動経路に進退自在に設けられ前記収納空間から外部に向けて前記移動経路を移動する前記物体を係止するストッパと、
前記ストッパの動きに基づいて、前記収納空間における前記物体の収納状況が変化したか否かを表す変化通知情報の表示を制御する表示制御部材と、
前記表示制御部材による前記変化通知情報の表示制御により前記収納空間における前記物体の収納状況が変化したことを表している状態を弾性部材による弾性力を利用して継続させる表示継続部材と
を備える情報提示機構。
前記表示制御部材は、前記収納空間における前記物体の収納状況が変化していない場合には前記変化通知情報を表すマークを前記収納空間の外部から見えない状態とし、前記ストッパが前記移動経路から退避する方向に移動した場合にはその動きに連動して変位することにより、前記マークを前記収納空間の外部から見える状態に変化させる構成を備え、
前記表示継続部材は、前記表示制御部材が前記ストッパに連動して変位した以降に前記表示制御部材の動きを係止することによって、前記マークが前記収納空間の外部から見える状態を継続させる構成を備えている請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の情報提示機構。
前記表示制御部材は、前記収納空間における前記物体の収納状況が変化していない場合には前記変化通知情報を表すマークを予め定められた認識範囲内に位置している状態とし、前記ストッパが前記移動経路から退避する方向に移動した場合にはその動きに連動して変位することにより、前記マークを前記認識範囲から外れた位置に変位させる構成を備え、
前記表示継続部材は、前記表示制御部材が前記ストッパに連動して変位した以降に前記表示制御部材の動きを係止することによって、前記マークが前記認識範囲から外れた状態を継続させる構成を備えている請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の情報提示機構。
記録媒体を収容しているカートリッジを収納する収納空間から当該収納空間の外部に、また、その逆に前記カートリッジが移動する移動経路に進退自在に設けられ前記収納空間から外部に向けて前記移動経路を移動する前記カートリッジを係止するストッパと、
前記ストッパの動きに基づいて、前記収納空間における前記カートリッジの収納状況が変化したか否かを表す変化通知情報の表示を制御する表示制御部材と、
前記表示制御部材による前記変化通知情報の表示制御により前記収納空間における前記カートリッジの収納状況が変化したことを表している状態を弾性部材による弾性力を利用して継続させる表示継続部材と、
前記収納空間における前記カートリッジの挿抜機能と前記カートリッジの搬送機能を持つ搬送装置と、
前記搬送装置による前記カートリッジの挿抜が行われた場合には前記表示継続部材による表示継続動作を解消させるリセット部材と
を備えるライブラリ装置。
収納対象の物体を収納する収納空間から当該収納空間の外部に、また、その逆に前記物体が移動する移動経路に進退自在に設けられ前記収納空間から外部に向けて前記移動経路を移動する前記物体を係止するストッパの動きに基づいて、前記収納空間における前記物体の収納状況が変化したか否かを表す変化通知情報の表示を制御し、
前記物体の収納状況が変化した場合には、前記変化通知情報の表示制御により前記収納空間における前記物体の収納状況が変化したことを表している状態を弾性部材による弾性力を利用して継続させる情報提示方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0015】
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る第1実施形態の情報提示機構の構成を簡略化して表すブロック図である。第1実施形態の情報提示機構1は、
図2に表されるような収納装置6に組み込まれる。収納装置6は、収納対象の物体を収納する収納空間を含む収納部7を備えている。
【0016】
第1実施形態における情報提示機構1は、ストッパ2と、表示制御部材3と、表示継続部材4とを備えている。ストッパ2は、収納部7の収納空間から当該収納空間の外部に、また、その逆に収納対象の物体が移動する移動経路に進退自在に設けられ収納空間から外部に向けて移動経路を移動する収納対象の物体を係止する構成を備えている。
【0017】
表示制御部材3は、ストッパ2の動きに基づいて、収納空間における収納対象の物体の収納状況が変化したか否かを表す変化通知情報の表示を制御する構成を備えている。表示継続部材4は、表示制御部材3による変化通知情報の表示制御により収納空間における収納対象の物体の収納状況が変化したことを表している状態を弾性部材による弾性力を利用して継続させる構成を備えている。
【0018】
このような情報提示機構1が組み込まれた収納装置6は、
図8に表されるようなライブラリ装置8を構成することができる。ライブラリ装置8は、収納装置6の収納部7の収納空間における収納対象の物体であるカートリッジの挿抜機能とカートリッジの搬送機能を持つ搬送装置9を備える。さらに、ライブラリ装置8の搬送装置9は、リセット部材10を備える。リセット部材10は、搬送装置9によるカートリッジの挿抜が行われた場合には表示継続部材4による表示継続動作を解消させる機能を備えている。
【0019】
第1実施形態の情報提示機構1は、収納空間における収納対象の物体の収納状況が変化したことを表している状態を弾性部材による弾性力を利用して継続させる構成を備えている。このため、情報提示機構1は、電力が供給されていない状態においても、収納空間における収納対象の物体の収納状況が変化したことを表示できる。これにより、
図8に表されるように、情報提示機構1が組み込まれた収納装置6がライブラリ装置8に備えられることにより、ライブラリ装置8は次のような効果を得ることができる。すなわち、ライブラリ装置8の電源供給の停止中に、収納装置6における収納空間の物体(カートリッジ)の収納状況が手動操作により変化したとする。この場合に、情報提示機構1は、表示制御部材3による表示制御によって収納状況が変化したことを表す情報を表示(提示)することができ、かつ、その表示状態を継続することができる。
【0020】
このため、ライブラリ装置8は、電源投入により起動する際に、情報提示機構1により提示される情報に基づいて、電源供給停止中に収納状況が変化した収納空間を特定することができる。これにより、ライブラリ装置8は、収納空間の収納状況を調べるインベントリ動作を、電源供給停止中に収納状況が変化した収納空間に関しては行うが、収納状況が変化した収納空間に関しては省略することができる。このように一部のインベントリ動作を省略できることにより、ライブラリ装置8は、インベントリ処理に要する時間の短縮化を図ることができる。
【0021】
<第2実施形態>
以下に、本発明に係る第2実施形態を説明する。
【0022】
図4は、本発明に係る第2実施形態の情報提示機構を備えるライブラリ装置の構成を模式的に表す平面図である。第2実施形態のライブラリ装置20は、大概な構成として、マガジン21と、ドライブ装置22と、搬送装置(アクセッサ)23と、制御装置24と、電源装置25とを備えている。
【0023】
図5は、マガジン21とドライブ装置22を模式的に表す斜視図である。マガジン21は、記憶媒体である磁気テープを収容している
図6の斜視図に表されるようなカートリッジ30を複数収容する収納棚である。すなわち、マガジン21は、カートリッジ30を収納する収納空間を持つ複数のセル(収納部)31がマトリクス状に配列配置されている態様を有している。これらセル31は、搬送装置23と向き合う部分(前面)に開口部32が形成されている。開口部32は、カートリッジ30がセル31の内部に挿入され、かつ、セル31の内部からカートリッジ30が取り出されるカートリッジ30の出入り口である。各セル31の内部(収納空間)には、
図4の平面図に表されるように、開口部32に近い側とそれよりも奥側との前後方向に2個のカートリッジ30が収納可能である。カートリッジ30には、セル31に収納された場合に開口部32から外部に露出する面(側面)に、カートリッジ30を識別する識別情報(例えばバーコード等の一次元コードや、二次元コード)を表すラベル34(
図6参照)が付与されている。
【0024】
搬送装置23は、マガジン21のセル31に収納されているカートリッジ30をドライブ装置22に搬送し、また、その反対に、ドライブ装置22からマガジン21における収納対象のセル31にカートリッジ30を搬送する構成を備えている。また、搬送装置23は、マガジン21のセル31あるいはドライブ装置22からカートリッジ30を取り出す構成と、マガジン21のセル31あるいはドライブ装置22にカートリッジ30を挿入する構成とを備えている。
【0025】
ドライブ装置22は、カートリッジ30の磁気テープに情報を書き込む機能と、磁気テープに記憶されている情報を読み出す機能とを備えている。
図5の例では、3台のドライブ装置22が積層配置されており、各ドライブ装置22には、カートリッジ30の出入り口である開口部35が形成されている。
【0026】
制御装置24は、ライブラリ装置20に接続しているコンピュータ(図示せず)からの要求に応じた情報をカートリッジ30の磁気テープから読み出す、又は、磁気テープに情報を書き込むべくドライブ装置22と搬送装置23の動作を制御する機能を備えている。また、制御装置24は、例えば、ライブラリ装置20を起動させた場合などにおいて、インベントリ処理を実行する機能を備えている。インベントリ処理とは、搬送装置23等を利用して、マガジン21に収容されているカートリッジ30の巻数やカートリッジ30の識別情報等を取得する処理である。インベントリ処理の実行中には、当該処理のために搬送装置23等を使用するので、通常の磁気テープへの情報の書き込みや磁気テープからの情報の読み出し処理は実行されない。
【0027】
電源装置25は、ドライブ装置22と搬送装置23と制御装置24に、予め設定された大きさの電力を供給する回路構成を備えている。
【0028】
ライブラリ装置20の大概構成は上記のように構成されている。第2実施形態では、ライブラリ装置20は、さらに、次に述べるような情報提示機構がマガジン21の各セル31に設けられ、かつ、その情報提示機構により提供される情報を利用したインベントリ処理を実行する機能を備えている。
【0029】
すなわち、
図7は、第2実施形態における情報提示機構40を説明する図である。
図7(a)には、セル31の外部から開口部32側を見た場合における情報提示機構40の模式的な平面図が表されている。また、
図7(b)には、
図7(a)に表されている情報提示機構40を
図7(a)の右側から見た態様が模式的な平面図により表されている。さらに、
図7(c)には、
図7(a)に表されている情報提示機構40を
図7(a)の上方側から見た態様が模式的な平面図により表されている。
【0030】
情報提示機構40は、搬送装置23ではなく、人が手動によりセル31からカートリッジ30を取り出したか、あるいは、カートリッジ30を手動によりセル31に挿入したことを表す変化通知情報(挿抜情報)を提示できる機構である。この情報提示機構40は、ストッパ41と、表示制御部材であるシャッタ42と、表示継続部材であるブロック43とを備えている。
【0031】
ストッパ41は、カートリッジ30がセル31から抜け出てしまう事態を防止する機能を備えている。すなわち、
図8(a)、(b)は、セル31の内部構成を模式的に表す平面図である。セル31は、カートリッジ30を収納する収納空間36を画定する壁37を有し、開口部32を通して収納空間36と外部が連通されている態様を有している。その開口部32を通して、収納空間36に収納されているカートリッジ30は外部に取り出され、また、開口部32を通してカートリッジ30が収納空間36に挿入される。セル31の内部には、収納空間36に収納されているカートリッジ30に、開口部32に向かう方向の付勢力Fを付与する弾性部材(例えばコイルばね)38が設けられている。この弾性部材38による付勢力Fによって、カートリッジ30は、
図8(a)に表されるように、収納空間36から開口部32を通して外部に抜け出る方向に移動しようとする。
【0032】
ストッパ41は、その開口部32を通るカートリッジ30の移動経路に進退自在に設けられる。当該ストッパ41は、
図7(a)、(c)および
図8(b)に表されるように、カートリッジ30の移動経路に進入することにより、カートリッジ30を係止し、カートリッジ30がセル31から抜け出る(落下する)ことを防止する。第2実施形態では、ストッパ41には、カートリッジ30の移動経路に進入する方向の付勢力T(
図7(a)参照)が弾性部材(図示せず)によって付与される。ここでは、このようにストッパ41がカートリッジ30の移動経路に進入している状態を基本状態と記す。
【0033】
また、ストッパ41には、その付勢力Tに抗ってストッパ41をカートリッジ30の移動経路から退出させる方向に移動する移動手段(図示せず)が接続されている。
図9は、その移動手段により移動経路から退出している状態のストッパ41を含む情報提示機構40の態様を説明する図である。
図9(a)には、セル31の外部から開口部32側を見た場合における情報提示機構40の模式的な平面図が表されている。また、
図9(b)には、
図9(a)に表されている情報提示機構40を
図9(a)の右側から見た態様が模式的な平面図により表されている。さらに、
図9(c)には、
図9(a)に表されている情報提示機構40を
図9(a)の上方側から見た態様が模式的な平面図により表されている。
【0034】
ストッパ41には、さらに、シャッタ42側に突き出た凸部44が形成されている。この凸部44は、ストッパ41がカートリッジ30の移動経路から退出する場合に、
図9(a)に表されているように、シャッタ42を押圧し、これによりストッパ41の移動に連動してシャッタ42も移動させる部位である。
【0035】
シャッタ42は、ストッパ41に並設されており、上記のように、ストッパ41の凸部44に押圧される押圧受け部46が形成されている。シャッタ42にも、ストッパ41に付与されている付勢力Tと同様な方向の付勢力Ta(
図7(a)参照)が付与されている。
【0036】
シャッタ42は、ブロック43における表示領域を隠すことができるように、ブロック43との位置関係を考慮して、その配置位置や大きさ等が設定されている。
【0037】
すなわち、ブロック43は、セル31の収納空間36の内部に配置され、開口部32に対面する部分に、表示領域が設定されている。この表示領域には、収納空間36の収納状況の変化を表す変化通知情報であるマーク48(
図9(a)参照)が付されている。マーク48は、変化通知情報を表す記号や文字であってもよいし、単なる色であってもよく、変化通知情報を表すことができれば、その態様は限定されない。第2実施形態では、シャッタ42が
図7(a)に表される位置にある状態では、外側から開口部32を見た場合に、ブロック43のマーク48は、シャッタ42により隠される(ここでは、この状態をシャッタ42が閉じている状態とも記す)。また、シャッタ42が
図9(a)のようにストッパ41の退出移動に連動して移動した状態では、外側から開口部32を見た場合に、ブロック43のマーク48が見える(ここでは、この状態をシャッタ42が開いている状態とも記す)。このようなシャッタ42の移動によってブロック43の表示領域(マーク48)が隠れている状態と表示されている状態とが切り替わるように、シャッタ42とブロック43は、互いに考慮されてその配置位置等が設定されている。
【0038】
ブロック43には、弾性部材39(
図7(b)や
図9(b)参照)によって開口部32に向かう方向の付勢力が付与される。これにより、
図7(a)に表されるように、ブロック43の表示領域(マーク48)の前方側にシャッタ42が配置している状態(シャッタ42が閉じている状態)では、ブロック43は、シャッタ42に係止している状態となる。また、シャッタ42が開いている状態になると、ブロック43は、弾性部材39による付勢力によってセル31の開口部32から外側に向かう方向に移動する。
【0039】
さらに、ブロック43には、係止部45が設けられている。この係止部45は、
図9(b)に表されているように、セル31の壁37に固設されている突出部材50に係止することによって、弾性部材39の付勢力によるブロック43の移動を停止する部位である。ブロック43は、係止部45と突出部材50によって移動が停止している場合には、開口部32に進入している状態となる。換言すれば、ブロック43が開口部32に進入している状態で弾性部材39の付勢力によるブロック43の移動が停止するように、係止部45と突出部材50の形成位置が設定されている。このため、
図9(a)に表される状態から、
図10(a)に表されるように、付勢力によってストッパ41が基本状態に戻っても、シャッタ42はブロック43に係止し、シャッタ42は閉じた状態とならない。
【0040】
なお、
図10は、ブロック43が開口部32に進入している状態における情報提示機構40の態様を説明する図である。
図10(a)には、セル31の外部から開口部32側を見た場合における情報提示機構40の模式的な平面図が表されている。また、
図10(b)には、
図10(a)に表されている情報提示機構40を
図10(a)の右側から見た態様が模式的な平面図により表されている。さらに、
図10(c)には、
図10(a)に表されている情報提示機構40を
図10(a)の上方側から見た態様が模式的な平面図により表されている。
【0041】
さらにまた、ブロック43には表示領域(マーク48)よりも外側に向けて突出する操作部(リセット操作部)52が設けられている。操作部52は、弾性部材39による付勢力に抗してブロック43をセル31の収納空間36に押し込む場合に押圧力を加える部分として利用される部位である。
【0042】
この第2実施形態における情報提示機構40は上記のように構成されている。この情報提示機構40では、次のように、情報提示態様が変化する。すなわち、情報提示機構40が
図7(a)〜(c)に表されるような基本状態にあるとする。つまり、シャッタ42が閉じた状態であり、ブロック43のマーク48がシャッタ42に隠されている状態であるとする。この状態から、
図9(a)〜(c)に表されるように、ストッパ41が移動手段によってカートリッジ30の移動経路から退出する方向に移動したとする。これにより、カートリッジ30は、ストッパ41に遮られることなく、セル31の収納空間36から取り出されることや、収納空間36に挿入されることが可能となる。
【0043】
また、上記のようなストッパ41の移動によってストッパ41の凸部44がシャッタ42の押圧受け部46を押圧し、これにより、シャッタ42がストッパ41と連動して開く方向に移動する。さらに、このようなシャッタ42が開く方向に移動することにより、ブロック43は、弾性部材39の付勢力によって開口部32から外側に向かう方向に移動し、開口部32に進入する。そして、ブロック43が開口部32に進入している状態で、ブロック43の係止部45が突出部材50に係止することにより、ブロック43の移動が停止する。この状態では、シャッタ42は、ブロック43に係止して開いている状態となり、ブロック43のマーク48は、開口部32の外側から見える状態が継続される。
【0044】
上述したような情報提示機構40の動作は電力を必要としない。このため、情報提示機構40は、電力供給の有無に関係無く、上記のように動作でき、かつ、マーク48の表示状態を維持できる。
【0045】
また、マーク48が表示されている状態は、操作部52を収納空間36の内部に向けて押すことによりブロック43を開口部32から収納空間36の内部に退避させることにより、解消される。すなわち、ブロック43が開口部32から収納空間36の内部に退避することにより、シャッタ42が閉じる方向に移動し、シャッタ42は、ブロック43のマーク48を隠す基本状態に戻る。
【0046】
ライブラリ装置20は、搬送装置23によりカートリッジ30がセル31から取り出される、あるいは、挿入される場合には、その挿抜の動作中にマーク48が一旦表示されるが、動作終了後にはマーク48を非表示状態に戻すことができる構成を備えている。
【0047】
すなわち、
図11は、情報提示機構40を考慮した搬送装置23の構成を簡略化して表す模式的な平面図である。また、
図13は、マガジン21(セル31)と搬送装置23との配置関係を説明する図である。
【0048】
搬送装置23は、制御装置24の制御に基づいて、カートリッジ30を搬送する搬送経路に沿って移動する装置であり、基台55と、支持部(ピッカー)56と、アーム57と、レバー(リセット部材)58と、ストッパ59と、カメラ60とを備えている。
【0049】
基台55は、マガジン21の
図5に表される高さ方向に沿う方向に移動可能に構成されている。支持部56は、マガジン21に対し遠近する方向に移動可能に基台55に設けられている。
【0050】
アーム57は、支持部56に固定されている。このアーム57の先端部は引っ掛け部と成しており、当該引っ掛け部がカートリッジ30の側面に形成された凹部(図示せず)に嵌合することができるように構成されている。
図12(a)に表されるように、アーム57の先端部がカートリッジ30の側部の凹部に嵌合することにより、アーム57がカートリッジ30を引っ掛けることができる。支持部56は、アーム57を介してカートリッジ30を支持する。また、支持部56は、カートリッジ30を支持した状態で、
図12(b)のようにマガジン21から離れる方向に移動することにより、カートリッジ30をセル31から取り出すことができる。そして、カートリッジ30は、支持部56に支持され基台55の上方側に配置された状態で目的の搬送先に搬送される。
【0051】
カメラ60は、基台55に設けられている。カメラ60は、カートリッジ30の側面における識別ラベル34や、情報提示機構40におけるブロック43のマーク48を撮影することができるように、カートリッジ30やブロック43の配設位置等を考慮して設置されている。
【0052】
レバー58は、回転軸61を回転中心にして回転可能に基台55に設けられている。当該レバー58は、
図11の点線に表されているように基台55からセル31に向けて突出している態様を採り得る。また、レバー58には、そのような突出先端部が基台55側に変位する方向の付勢力が弾性部材(図示せず)によって付与されている。ストッパ59は、そのような付勢力によって回転変位するレバー58を係止する機能を備えている。レバー58は、
図11のようにストッパ59に係止している状態が基本状態となっている。
【0053】
また、レバー58の配置位置は、
図12(a)のようにカートリッジ30を取り出す、あるいは、挿入すべく(挿抜すべく)支持部56がセル31に向けて基台55から、はみ出す場合に、支持部56に倣って回転変位しセル31側に突出する位置となっている。
【0054】
さらに、レバー58の長さは、カートリッジ30を挿抜すべく基台55が
図12(a)、(b)のようにセル31に近付いた場合に情報提示機構40のブロック43の操作部52を押圧し、ブロック43を収納空間36に押し込むことができる長さとなっている。
【0055】
搬送装置23は上記のように構成されている。第2実施形態における搬送装置23は、カートリッジ30を搬送する機能に加えて、レバー58および当該レバー58の回転変位に関わる構成を備えることにより情報提示機構40の表示状態をリセットする機能を備えている。すなわち、カートリッジ30を挿抜すべくストッパ41が移動してマーク48が表示状態となっても、搬送装置23がカートリッジ30を挿抜する場合には、搬送装置23のレバー58が操作部52を押圧することによってブロック43を収納空間36に押し込む。このため、搬送装置23は、マーク48を非表示状態に戻す(リセットする)ことができる。これにより、搬送装置23によってカートリッジ30が挿抜された後には、情報提示機構40におけるマーク48は非表示状態である。
【0056】
これに対し、例えば、マガジン21のセル31におけるカートリッジ30が手動により挿抜され、搬送装置23のレバー58等による操作部52の押圧がない場合には、ストッパ41の移動によって情報提示機構40のマーク48が表示状態になったままとなる。このため、マーク48が表示状態であることは、手動によりカートリッジ30が挿抜されたことを表している。
【0057】
図14は、制御装置24における機能構成を模式的に表すブロック図である。すなわち、制御装置24は、搬送部64と、インベントリ部65と、記憶部66とを備えている。
【0058】
記憶部66は、コンピュータプログラムや各種データを記憶する機能を備えている。ここでは、記憶部66は、不揮発性の記憶媒体により構成される。
【0059】
搬送部64とインベントリ部65は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により実現される。つまり、CPUが例えば記憶部66に格納されている搬送部64とインベントリ部65の制御手順を表すコンピュータプログラムを実行することにより、CPUは、搬送部64とインベントリ部65としての機能を持つことができる。
【0060】
搬送部64は、カートリッジ30を搬送する動作を次のように制御する機能を持つ。なお、
図15は、搬送部64による制御手順を表すフローチャートである。以下に述べる搬送部64の機能の説明では、
図15を参照しつつ説明する。
【0061】
ここで、搬送部64が、搬送対象のカートリッジ30を表す情報と共に搬送要求を受け付けたとする(
図15のステップS11)。これにより、搬送部64は、搬送対象のカートリッジ30が収納されているマガジン21のセル31あるいはドライブ装置22に向けて搬送装置23が移動するように搬送装置23を制御する(ステップS12)。なお、記憶部66には、カートリッジ30の識別情報と当該カートリッジ30が収納されている収納場所の情報とが関連付けられた状態で格納されている。搬送部64は、その記憶部66の情報に基づいて搬送装置23の移動制御を行う。また、搬送部64は、搬送装置23の支持部56が基台55における所定の待機位置からずれた場所に位置している場合には、支持部56を基台55の待機位置まで移動させた後に搬送装置23を移動させる。
【0062】
そして、搬送部64は、搬送装置23が、搬送対象のカートリッジ30をセル31あるいはドライブ装置22から取り出す。なお、搬送対象のカートリッジ30がセル31の収納空間36の奥側に配置し手前側に別のカートリッジ30が配置している場合がある。この場合には、手前側のカートリッジ30を一時的に別の場所に退避させることによって搬送対象のカートリッジ30を取り出すように、搬送部64は搬送装置23を制御する。
【0063】
搬送対象のカートリッジ30を取り出し後に、搬送部64は、そのカートリッジ30を、要求に応じた搬送先のセル31あるいはドライブ装置22に搬送するように搬送装置23を制御する。そして、搬送部64は、搬送装置23が、搬送対象のカートリッジ30を要求に応じた搬送先のセル31あるいはドライブ装置22に挿入するように、搬送装置23を制御する。
【0064】
このような搬送部64の制御動作によってセル31におけるカートリッジ30の挿抜が行われた場合には、情報提示機構40のマーク48が一旦表示状態となるが、搬送装置23のレバー58によってマーク48は非表示状態に戻る。
【0065】
さらに、搬送部64は、カートリッジ30の搬送が終了した後に、記憶部66において、搬送されたカートリッジ30の識別情報に関連付けられている収納場所の情報を搬送後の新たな収納場所の情報に変更すべく記憶部66の登録情報を更新する(ステップS13)。
【0066】
インベントリ部65は、ライブラリ装置20のインベントリ動作を制御する機能を備えている。インベントリは、ライブラリ装置20の起動時や、マガジン21が交換されたときに行われる。例えば、インベントリ部65は、インベントリ動作を次のように制御する。なお、
図16は、インベントリ部65による制御手順を表すフローチャートである。以下に述べるインベントリ部65の機能の説明では、
図16を参照する。
【0067】
まず、インベントリ部65は、インベントリを開始する開始位置のセル31に向けて搬送装置23が移動するように搬送装置23を制御する(
図16のステップS21)。そして、インベントリ部65は、
図13に表されるように、開始位置のセル31における情報提示機構40のマーク48が表示されると想定される場所を搬送装置23のカメラ60によって撮影する(ステップS22)。さらに、インベントリ部65は、カメラ60の撮影画像にマーク48が有るか否かを判断し(ステップS23)、マーク48が撮影されている場合には、セル31の収納状況に変化が有ったと判断する(ステップS24)。そして、マーク48が撮影されたセル31の新しい収納状況を得るために、インベントリ部65は、そのセル31に収納されているカートリッジ30の巻数を検出する。巻数の検出は、例えば、支持部56をカートリッジ30を押す方向に前進させた場合における反作用の力の大きさに基づいて算出することが可能である。また、インベントリ部65は、セル31に収納されているカートリッジ30の識別ラベル34をカメラ60によって撮影する。このように、インベントリ部65は、セル31におけるカートリッジ30の収納状況を取得するインベントリ動作を制御する(ステップS25)。そして、インベントリ部65は、取得した情報に基づいて、記憶部66において、そのセル31の収納状況に関する登録情報を更新する(ステップS26)。
【0068】
一方、カメラ60による撮影画像にマーク48が撮影されていなかった場合には、インベントリ部65は、セル31の収納状況に変化は無いと判断し(ステップS27)、そのセル31におけるカートリッジ30の情報取得(インベントリ動作)を省略する。つまり、当該セル31における収納状況に関する登録情報は変更されずそのままとされる。
【0069】
セル31の収納状況に関する記憶部66の登録情報についての動作が終了した後に、インベントリ部65は、搬送装置23の位置等に基づいて、インベントリ動作対象の全てのセル31について調査が終了したか否かを判断する(ステップS28)。そして、インベントリ部65は、全てのセル31の調査が終了していない場合には、次の調査の順番のセル31に向けて搬送装置23を移動させ(ステップS29)、ステップS22以降の動作を繰り返す。また、インベントリ部65は、全てのセル31の調査が終了した場合には、インベントリ動作を修了する。
【0070】
第2実施形態における情報提示機構40を備えたライブラリ装置20は上記のように構成されているので、収納状況に変化が無かったと判断できるセル31のインベントリ動作を省略できる。これにより、このライブラリ装置20は、インベントリ工程に要する時間の短縮を図ることができる。また、ライブラリ装置20は、インベントリ動作を省略できる分、搬送装置23の動作を削減できるので、搬送装置23の耐久時間を長くすることができる。
【0071】
<その他の実施形態>
なお、本発明は第1と第2の実施形態に限定されず、様々な実施の形態を採り得る。例えば、第2実施形態では、表示継続部材としてのブロック43にマーク48が付与されているが、マーク48は、
図17(a)、(b)に表されるように、表示制御部材であるシャッタ42の表面に付与されていてもよい。この場合には、マーク48は、シャッタ42が閉じている状態で
図17(a)に表される認識範囲H内に位置し、シャッタ42が開いている状態で
図17(b)に表されるように認識範囲Hから外れた領域に位置するようにシャッタ42に付与される。これにより、マーク48は、認識範囲H内に位置している場合には収納空間36の収納状況に変化が無いことを表し、認識範囲Hから外れた領域に位置している場合には収納空間36の収納状況に変化が有ったことを表している。