(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
モデル調整エージェントは、前記逸脱への可能性のある寄与を特定および定量化するために、前記プロセス・モデルにより、数値法または反復法を開始および優先順位付けする
請求項3に記載の方法。
前記プロセスのプロセス・モデルの、少なくとも1つの参照が、予測目的関数および/または履歴手段および/または予測運転領域および/または所定静的関数のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
前記エージェントの各々が、別体のエージェントとして、または、網羅的なエージェントのサブ・エージェントとして、個別に機能できる、請求項10又は11に記載のシステム。
前記少なくとも1つの装置が、サッカー・ロッド・ポンプ、ポンプジャック、蒸気メタン改質装置、ボイラ、熱処理炉、水処理機器、および圧縮機スキッドのうちの少なくとも1つを備える、請求項10〜12のいずれか一項に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本明細書で開示されている実施形態は、1つまたは複数の装置または機器の運転プロセスを監視するために、知能エージェントによる分類の結果の分析的検証に着手するために、および、プロセスを調節するために、人工知能モデルに基づいた制御装置(AIMC)システムを利用する。分析的検証は、プロセス状態において十分な信頼性が存在するため、自動化された制御措置を、例えばプロセスの崩壊または故障といったものの許容可能なレベルの危険性で取ることができるように、プロセス変数の他の観察と組み合わせることで、プロセス状態の診断とその根本的な原因とをできるだけ確定的に確立する。以後において、用語「できるだけ確定的に」は、確立された診断が、設計要件、例えば、プロセスの崩壊または故障といった例えば許容可能なレベルの危険性の自動化された制御措置を満たす適切な度合いで確定的であることを意味する。
システム構造
【0047】
図1を参照して、一実施形態によれば、ポンプジャックなど、1つまたは複数の装置または機器を制御するための、人工知能モデルに基づいた制御装置(AIMC)システムが、参照符号100によって概して識別されている。図示しているように、システム100は、油井の現場104に設置された制御装置102を備えている。制御装置102は、適切なソフトウェア、ファームウェアでプログラムされた汎用コンピュータ、マイクロコントローラ、1つもしくは複数のマイクロプロセッサ、デジタル信号処理装置、または他のハードウェアか、当業者に知られている方法を用いるハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせで実施され得る。制御装置102は、代替で、概して特定の目的または使用のために設計された計算装置である1つまたは複数の産業用制御装置を用いて実施されてもよい。
【0048】
制御装置102は、例えば、クランク速度、ロッド応力、油井の穴の温度および圧力、流体レベルなど、油井および装置に関するデータを収集するために、地上または油井の裸孔におけるポンプジャック114、チュービング・ストリング、ケーシング、サッカー・ロッド(図示せず)などの様々な装置に設置された複数のセンサ106と通信する。当業者は、様々な実施形態において、システム100が、必要に応じて、様々なセンサを備え、様々なデータを収集できることを理解するものである。具体的なセンサおよび収集されるデータは、システムの設計および実施に概して依存する。
【0049】
制御装置102は、例えば、クランク速度を制御するためのクランク速度プロファイルといった所定の規則に従って、および/または、センサ106から収集されたデータに応答して、油井の装置の運転を制御するために、ABE ASC−601(ABE Industry Oy、Helsinki、Finland)またはAllen−Bradley 1336 Impact drive(Rockwell Automation、Milwaukee、Wis.、USA)など、可変速モータ、交流または直流の可変速駆動部などの複数の措置装置108、動力ブレーキ、および警報機などとも通信する。
【0050】
システム100は、ここでは集合的に計算装置110として示される、1つまたは複数の計算装置110Aおよび110Bをさらに備えている。当業者は理解するように、各々の計算装置110は、処理装置、読取り専用記憶装置(ROM)、揮発性および/または不揮発性のランダム・アクセス・メモリ(RAM)、半導体ドライブ、ハード・ドライブなどの記憶装置、ネットワーク・モジュール、ならびに、1つまたは複数の信号バスを介して処理装置にすべて連結される他の構成要素を備え得る。
【0051】
一部の計算装置110Aは、油井の現場104で展開でき、直接的なケーブル接続、ローカルエリア・ネットワーク(LAN)、イーサネット(登録商標)、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)など、適切な有線または無線の手段を介して制御装置102に連結できる。一部の他の計算装置110Bは、油井から離れて展開されてもよく、有線または無線の手段を介して、広域ネットワーク(WAN)、インターネット、電話回線網、ケーブル・ネットワーク、または衛星などのネットワーク112を通じて制御装置に連結される。当業者は、システムの設計および実施に応じて、1つまたは複数の計算装置110がデスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、サーバ・コンピュータ、タブレット、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)などであってもよいことを理解するものである。
【0052】
図1には示していないが、システム100は、適切な産業用制御装置を実施するなど、特定の使用または目的のために設計された計算装置を備えてもよい。
【0053】
本実施形態では、AIMCシステム100は、様々な分類の可能性を有効とするために、プロセス、プロセス・サブ・システム、または外乱の関連する分析モデルを含むプロセスの変数、状態、および試験の結果を利用することで、1つまたは複数の装置の運転プロセスの現在の状態の分類および診断を構築および評価するために、ベイジアン・ネットワークなどの確率的グラフィカル・ネットワーク(PGN:Probabilistic Graphical Network)、および時系列パターン認識技術などを利用する。ソフトウェアの観点から、AIMCシステム100は、各々が所定の範囲の分析を実施し、AIマネージャとして示される中央エージェントによって管理されるソフトウェア・モジュールである、知能エージェント(IA)またはエージェントのネットワークを備える。AIMCシステムは、複数のIAと併せて、1つまたは複数のプロセス・モデルおよびモデル予測制御技術を統合する。各々のIAは、確率的グラフィカル・モデルまたはベイジアン・ネットワークなどの確率的な推論法を利用して、特化された分析、診断、制御指示を実施し、指示し、優先順位を付ける。
【0054】
図2は、システム・ハードウェアにおいて実施されるAIMCシステム100のソフトウェア構造150を示している。図示しているように、ソフトウェア構造150は、AIマネージャ152(監督マネージャまたは監督エージェントとも呼ばれる)と、1つまたは複数の診断エージェント154と、状況エージェント156と、データおよびモデル化のエージェント158と、1つまたは複数の最適化エージェント160と、1つまたは複数の制御方策エージェント162と、1つまたは複数のモデル/パラメータ調整エージェント168とを、各々IAとして実施されるとして備えている。ソフトウェア構造150は、通信モジュール164とポンプ制御装置166とをも備えている。当業者は理解するように、通信モジュール164は、一式の適切な通信プロトコルを用いるチャネルを介して通信するための適切な有線または無線のチャネルおよび機能構成要素を備えている。この実施形態では、通信モジュール164は、よく知られているTCP/IP通信プロトコルを用いるTCP/IP通信モジュールである。
【0055】
AIマネージャ152は、診断エージェント154、状況エージェント156とデータおよびモデル化のエージェント158と、最適化エージェント160と、制御方策エージェント162とを、それらから受信されるデータに基づいて管理する(後でより詳細に説明する)。AIマネージャ152は、プロセッサ利用を最適化し、試験の結果、診断、および制御推奨を通信し、様々なIAによって利用されるPGNまたはベイジアン・ネットワークによって使用されるデータおよび確率テーブルへの更新を介して学習能力を促進するために、これらのエージェント154〜162および168を始動させて優先順位を付ける。
【0056】
この実施形態では、センサ106から収集されるリアルタイム・データが、ポンプ制御装置166へと最初に送信される。次に、ポンプ制御装置166は、センサ・データを、通信モジュール164を介してデータおよびモデル化のエージェント158へと送信する。
【0057】
データおよびモデル化のエージェント158は、入力データを管理し、AIマネージャ152によって指示されるようにリアルタイム分析および試験を実施する。データおよびモデル化のエージェント158は、実施に応じて、システム運転の様々な局面のための複数のサブ・モデルを備え得る、システム運転のためのプロセス・モデルを確立および維持する。データおよびモデル化のエージェント158は、プロセス・モデルを更新するためにリアルタイム・センサ・データを処理する。
【0058】
図3は、データおよびモデル化のエージェント158におけるデータ処理の流れ図を示している。図示しているように、通信モジュール164から受信されるリアルタイム・センサ・データ202が、幾何学的動力計カードを生成するための幾何学的動力計カード(ダイナ・カード)生成モジュール204によって処理され、プロセス・モデルを更新するために、モデル化モジュール206によってさらに処理される。データおよびモデル化のエージェント158は、プロセス・モデルを更新するために、診断エージェント154によって実施される診断試験(後でより詳細に説明する)に基づいて、プロセス・モデルへの更新を表すAIマネージャ152からのデータを受信もする。さらに、データおよびモデル化のエージェント158は、プロセス・モデルが、その最後の既知の状態から相当に逸脱するとき、プロセス・モデルを調整するために、モデル/パラメータ調整エージェント168からデータを受信もする。
【0059】
監視およびロギングのモジュール208が、プロセス・モデルの更新を監視し、状況エージェント156のためのデータ214を生成し、プロセス・モデル更新をログに記録する。監視およびロギングのモジュール208は、プロセス・モデルの変化を予測するために、モジュール予測制御(MPC:Model Predictive Control)モジュール210に必要なデータを提供もする。MPCモジュール210と監視およびロギングのモジュール208とによってそれぞれ生成されるデータ212および214は、状況エージェント156へと送られる。
【0060】
その間、リアルタイム・センサ・データ202と、幾何学的動力計カード生成モジュール204によって生成されたデータと、モデル化モジュール206と、監視およびロギングのモジュール208とは、通知または警告される必要のある事象を特定するために、警報マネージャ216へも送られる。例えば、特定された事象に関連する、警報マネージャ216によって生成されるデータといったデータが、状況エージェント156へも供給される。
【0061】
状況エージェント156は、システム状況を更新し、プロセスの進行および具体的状態を追跡し、正常な運転からの変動を監視および特定するために、データおよびモデル化のエージェント158から受信されるデータを使用する。
図4に示しているように、状況エージェント156は、状況方法252に従って一連の状況試験254を実施するために、データおよびモデル化のエージェント158から受信されるデータを使用する。状況試験結果は、分析のためにベイジアン・ネットワーク256へと供給される。ベイジアン・ネットワーク256の出力は、システム運転を調節するために、AIマネージャ152へと送られる。ベイジアン・ネットワーク256の出力は、確率に基づく分析の優先順位で状況方法252を調節するためにも使用される。
【0062】
状況エージェント156は、システム100の状況をAIマネージャ152に報告する。例えば、システムが特定の状態にある場合、異常な状態が検出される場合、または、予定した診断時間が近づいている場合といった、必要とされる場合には、AIマネージャ152は、正常な運転またはMPCからの逸脱を特定するために、システムの少なくとも一部を診断し、センサ106から診断データを収集するように、1つまたは複数の診断エージェント154に命令する。
図5に示しているように、診断エージェント154は、診断方法272に従って一連の診断試験274を実施する。診断試験結果は、分析のためにベイジアン・ネットワーク276へと供給される。ベイジアン・ネットワーク276の出力は、システム運転を調節するために、および、状況エージェント156を更新するために、AIマネージャ152へと送られる。ベイジアン・ネットワーク276の出力は、確率に基づく分析の優先順位で診断方法272を調節するためにも使用される。
【0063】
状況エージェント156からの報告と診断エージェント154の診断結果とに基づいて、AIマネージャ152は、例えばポンプ制御装置166のパラメータを修正することで、システムの運転を調節するために、1つまたは複数の制御方策エージェント162に制御措置を評価および推奨するように命令する。
図6に示しているように、制御方策エージェント162は、システム運転に関するデータをAIマネージャ152から受信し、最適化エージェント160から最適化データを受信し(後で説明する)、制御方策方法302に従って一連の制御方策試験304を実施する。制御方策試験結果は、分析のためにベイジアン・ネットワーク306へと供給される。ベイジアン・ネットワーク306の出力は、システム運転を調節するために、ポンプ制御装置166へと送られる。ベイジアン・ネットワーク306の出力は、確率に基づく分析の優先順位で制御方策方法302を調節するためにも使用される。
【0064】
AIマネージャ152は、1つまたは複数の最適化エージェント160に、制御方策エージェント162についての最適化制御方策を決定するように命令する。
図7に示しているように、最適化エージェント160は、システム運転に関するデータをAIマネージャ152から受信し、最適化方策方法332に従って、一連の最適化方策試験334を実施する。最適化方策試験結果は、分析のためにベイジアン・ネットワーク336へと供給される。ベイジアン・ネットワーク336の出力は、制御措置を決定するために制御方策エージェント162へと送られる。ベイジアン・ネットワーク336の出力は、確率に基づく分析の優先順位で最適化方策方法332を調節するためにも使用される。
【0065】
当業者は理解するように、モジュール152〜168は、それらの機能および規則に基づいて定められている。モジュール152〜168の各々は、1つまたは複数のプログラムまたはプログラム・モジュールを備えてもよく、1つまたは複数の計算装置110および制御装置102において、例えば、ソフトウェア・プログラム、ソフトウェア・パッケージ、ファームウェア、または、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)または特定用途向け集積回路(ASIC)のチップなどのハードウェア構成要素として、任意の適切な形態で展開されてもよい。処理負荷は、制御装置102および/または計算装置110の処理装置の少なくとも一部の間で動的に分配され得る。
【0066】
図2には示していないが、制御装置102および計算装置110は、例えば、リアルタイム・オペレーティング・システム、Unix(登録商標)、Linux(登録商標)、Microsoft(登録商標) Windows NT、Microsoft(登録商標) Windows 2000 Server、Microsoft(登録商標) Windows Server 2012などのオペレーティング・システムを各々実行する。概して、オペレーティング・システムは、様々なハードウェアおよびソフトウェアの構成要素を管理すると共にアプリケーション・プログラムの実行を支持するための処理装置によって実行されるコンピュータ読取可能コードのセットである。制御装置102および計算装置110は、同じ種類のオペレーティング・システムをすべて実行してもよい、または、必要に応じて異なる種類のオペレーティング・システムを実行してもよい。
【0067】
ほとんどの産業用制御装置の計算能力およびプログラム可能性が、典型的には、現代のAI技術を実施するには限られているため、本明細書に記載されている計算装置の実施形態は、優先順位の基準において所与のプロセスで同期的または非同期的に実行できる人工知能方法を組み込んでいる複数のアルゴリズムまたはスレッドを実行しながら、制御解決策の一刻を争う局面の監視および制御に優先順位を付けることができるラン・ツー・コンプリーション(run−to−completion)でノンブロッキング・カーネルを備えたイベント駆動型オペレーティング・システムを組み込むことができる。
【0068】
さらに、システムの設計および実施に応じて、一部の計算装置は、オペレーティング・システムをまったく実行しなくてもよい。むしろ、これらの計算装置は、そのハードウェアおよび/またはソフトウェアの構成要素を管理するために、および、それら構成要素の運転を容易にするために、管理プログラムを実行するだけでよい。
【0069】
ソフトウェア構造150があれば、AIMCシステム100は、システム・オペレーション・プロセスを監視および制御するために、確率的方法およびパターン認識技術の集まりを利用する。AIMCシステム100は、不確実性の下でできるだけ確定的にプロセス制御決定を行うために、機械学習技術でのプロセスの確率論的理解を組み込んでいる。
【0070】
前述のように、AIMCシステム100は、システム・オペレーションのためのプロセス・モデルを確立および管理する。プロセス・モデルは、現在の運転条件を反映するために、および、最適に実施するために、正確に調整される。具体的には、システム100は、プロセス運転を観察し、プロセス・パラメータのドリフトを検出するために、プロセス運転を過去または履歴の観察と比較する。プロセス・パラメータのドリフトから生じるプロセス・シミュレーションまたはプロセス出力の統計的表示が、現在の観察と比較され、プロセス・モデルへの変更を特定、有効化、および更新するために用いられる。
【0071】
プロセスに対する変更が、潜在的には機械学習技術を介して、確率的に決定されると共に、確率的グラフィカル・ネットワーク(PGN)として表され得るように、プロセス・シミュレーションは、プロセス応答を包括的または選択的にマッピングして変数、変数の演算の範囲、および潜在的な逸脱を処理するために利用できる。プロセスの履歴観察と組み合わされるとき、リアルタイムでの包括的シミュレーションおよび/または数値法なしで、実際は極めて確定的であるパラメータ調整またはプロセス最適化が可能とされる。
【0072】
機械学習技術を用いると、エネルギー消費または生産高などのプロセス応答が、PGNで表され、数値最適化手段に案内を提供するために使用され得る。案内は、運転パラメータについての最適な解決策に収束するために、数値検索についての小さい範囲を特定することを含み得る、または、高いレベルの確実性のあるプロセスの場合には、最適な運転パラメータを制御へと直接的に提供し得る。代替の実施形態では、プロセス変数は、フーリエ級数または他の近似手段として表されてもよく、プロセスの大局的応答の確率的マッピングが、これらのフーリエ係数として生成されてもよい。これは、リアルタイムでプロセスのための局所的または大局的な最適条件を決定するために必要とされる時間を大幅に縮小できるため、他の最適化方法に対して比類のない利点を提供する。
【0073】
プロセスの確率的マッピングは、プロセスを制御する処理装置のバックグラウンドで、または、経過時間を減らすために並列計算法を利用することもできる別体の処理装置で計算でき、最適化PGNのための確率テーブルを生成できる。
【0074】
さらに、制御措置の決定は、不正確な分類または観察において制御措置を取る危険性を含んだ起こり得る決定の選択と関連するコストおよび危険性を含む決定分析に基づかれる。
【0075】
結果的として生じた技術は、自動医療診断ツールのものと同様の診断方法を可能にする。例えばポンプジャック114といった機器が運転している間、IAは、機器およびプロセスの問題を特定することと、監視されているシステムの運転状態、正常な状態からの何らかの逸脱または問題の発生源、最良の一連の措置を許容可能な確実性で特定するために、試験および計算を実施することとをバックグラウンドで実行し、動作を実施する、および/または、操作者、監督者、もしくは他の自動化された制御装置に運転案内を提供する。
【0076】
AIMCシステム100は、プロセスを監視するために、プロセス・モデルおよび/もしくはサブ・モデルのうちの1つまたは複数、履歴プロセス情報、ならびに/または、プロセス由来の状態機械を利用する。AIMCシステム100は、プロセス逸脱および外乱を特定するために、同期的または非同期的に運転するベイジアン・ネットワークなどのPGNを利用して、外乱についての性質または根本的な因果関係を分類、決定、および有効化するために、IAの収集を用いる。AIMCシステム100は、最適化ルーティンを開始し、PGNまたはベイジアン・ネットワークによる危険性評価および決定分析を利用して、制御指示を決定する。AIMCシステム100の運転は、AIマネージャ152によって調整される。
【0077】
知能エージェント(IA)の概要
前述のように、AIMCシステム100は、AIマネージャ152と、診断エージェント154と、状況エージェント156と、データおよびモデル化のエージェント158、最適化エージェント160と、制御方策エージェント162と、モデル/パラメータ調整エージェント168とを含むが、それらに限定されることなく、様々なIAを備える。
【0078】
IAの基本的な構造は、IAの確率テーブルの更新、確率的グラフィカル・モデル(PGM)のノード値についての状態の入力、および、問い合わせの実行を可能にするために、アルゴリズムおよびソフトウェア方法を支持している統計的または確率的な因果関係モデルである。エージェントまたはIAは、プロセス・パラメータを試算するために、または、プロセス運転を最適化するために、パターン認識、数値法などの追加のアルゴリズムおよび方法を備えてもよく、また、観察を監視、試験、および分類するために、そのようなアルゴリズムおよび方法を備えてもよい。本実施形態では、AIMCシステム100は、ベイジアン・ネットワークの形態でPGMである因果関係モデル、または、マルコフ・ネットワークなどの無向確率的ネットワークを含む。しかしながら、当業者に知られているPGNの他の実施が、これらの機能を実施するために用いられてもよい。
【0079】
AIマネージャ152以外のIAの典型的な運転は、以下のことを含む。
・入力データを受信すること。
・必要な場合、データをさらに分析するためにアルゴリズムを用いること。
・いずれの確率テーブルも更新すること。
・統計的または確率的な因果関係モデルを計算または解決すること。
・決定または指示に至ったかどうかを決定すること。
・そうでない場合、必要とされる追加の試験またはデータを特定すること。
・AIマネージャ152に報告すること。
・解決策に至るまで、AIマネージャからのさらなる命令またはデータを待つこと。
【0080】
プロセスおよび異なる診断的複雑性に応じて、各々の種類のIAの複数のIAが展開されてもよい。IAの作動および実行は、統計的または確率的に決定される優先順位の基準において制御される。代替で、IAは、その複雑性を低減するために、および/または、その能力を高めるために、別体のサブ・エージェントへと分けられてもよい。例えば、データおよびモデル化のエージェント158は、履歴データを管理および試験するための別体のIAと、リアルタイムまたは流れデータを管理および試験するための別体のIAとに分けることができる。診断エージェント154およびそのPGNは、オブジェクト指向の手法で構築でき、その場合、別体のエージェントとして、または、単一のエージェントでのより大きくさらに網羅的なPGNの一部として、各々が個別に実行され得る潜在的な診断の範囲のための複数のサブPGNから成る。網羅的なエージェントの下での複数のサブ・エージェントの一例は、オブジェクト指向ベイジアン・ネットワーク(OOBN)である。PGNが、より大きいPGNネットワークにおける単一のノードとして表されてもよい。PGNは、それ自体において、または、他と併せて、実行され得る。
【0081】
実施
IAは、任意の適切な方法およびプログラム言語を用いて実施されてもよい。
図8〜
図11は、周期的な汲み出しプロセスの背景における一部のIAの機能図の一部の例を示す。
図8は、データおよびモデル化のエージェント158の機能図を示している。図示しているように、データおよびモデル化のエージェント158は、ポンプジャック運転の履歴データ370を保存し、運転領域データ384と、統計的運転データ386と、理想的な運転モデルのデータ388とを管理する。運転領域データ384、統計的運転データ386、および理想的な運転モデルのデータ388は、参照390として状況エージェント156に供給される。
【0082】
通信モジュール164を介してポンプ制御装置166から受信されるセンサ・データ372は、地上運転についてのモデル化データ376を生成するための幾何学的モデルおよび運動学的モデル374を用いて、データおよびモデル化のエージェントで分析される。幾何学的モデルおよび運動学的モデル374を用いて分析された後、データ372は、油井の穴の運転についてのモデル化データ380を生成するために、プロセス・モデル378を用いてさらに分析される。地上運転についてのモデル化データ376と、油井の穴の運転についてのモデル化データ380とは、信号382として状況エージェント156へと供給される。
【0083】
図9は状況エージェント156の機能図を示している。状況エージェント156は、参照390および信号382をデータおよびモデル化のエージェント158から受信し、運転の逸脱が所定限界402以内であるかどうかを決定するために、受信した参照390および信号382を比較する。運転の逸脱が所定限界402以内でない場合、分類部404が、適切な診断エージェント154またはモデル/パラメータ調整エージェント168を起動して、システムを診断するために、および/または、運転モデルを調整するために、1つまたは複数の起動イベント406を生成するために用いられる。分類部404は、プロセス状態を追跡するためにサブ・モジュール408も起動する。
【0084】
運転の逸脱が所定限界402内である場合、サブ・モジュール408は、プロセス状態を追跡するために起動される。
【0085】
サブ・モジュール408は、起動されるとき、運転領域分析410とパターン認識412とを用いて、運転状態を追跡する。運転状態追跡の間、サブ・モジュール408は、運転状態追跡を容易にするために試験414を実施し得る。前述のように、プロセス状態はAIマネージャ152に報告される。
【0086】
図9の例では、プロセスは符号416を用いて集合的に示されている6つの状態S1からS6の間のループとして示されている。当業者は、状態のこのようなループが単に図示の目的のためだけであり、実際のプロセスは複雑な状態図を有し得ることは、理解するものである。
【0087】
図10は診断エージェント154の機能図を示している。図示しているように、診断エージェント154は、既知数のノードのネットワーク、システム運転を診断するための条件および測定基準を含む因果PGMモデルを用いる。
【0088】
最上位レベル・ノード442は、プロセス・パラメータと、独立条件もしくは周囲条件と、例えば、直接的に測定される、もしくは、プロセスに適用されるといった、観察され得る、または、相対的な確実性で既知とされているプロセスの状態となど、既知もしくは既知変数である。既知442は、応力サイクルの数、故障となるロッド応力、故障または保守の履歴、累積生産または材料特性などの既知の生産測定基準、相対的確実性で既知とされているプロセス入力またはプロセス変数など、履歴データも含み得る。
【0089】
中間のレベルのノード444は、プロセスにおける逸脱に寄与している根本的な条件についての潜在的な診断である条件である。
【0090】
条件444は、流体レベルの変化か、構成要素の品質、故障、または劣化を示すパラメータか、制御措置を必要とし得る、または、プロセスの性能および/もしくは品質を確保するために追跡もしくは管理される必要があり得る関心または価値の他の条件かなど、変動プロセス・パラメータまたはその状態を含み得る。条件444は、例えば、疲労をもたらし、故障への時間または応力に影響を与える、多くのサイクルにわたっての累積応力といった、モデルおよび運転の調節への必要性を決定する運転の限界または閾値も含み得る。
【0091】
最下位のレベルのノード446は、試験の結果、観察可能なもの、兆候、または、許容可能な度合いの確実性で根本的な条件を特定するために固有の確率が用いられる根本的な条件に依存する測定基準を含む、測定基準である。測定基準446は、エネルギー節約、生産最適化、機器状態またはプロセス状況、計算されたポンプ・フィルエージ(fillage)、流体レベルの自動または手動の試験/確認による結果、コンピュータ分析、観察されたプロセス条件など、条件の診断または決定において支援するために、常にではないが通常開始される種類を含み得る。
【0092】
モデル/パラメータ調整エージェント168は、プロセス・モデルを修正するように少なくとも1つのパラメータを特定するために、確率的グラフィカル・モデルを利用する。
図11は、運転モデルが最後の既知の状態から大幅に逸脱されるときに作動されるモデル/パラメータ調整エージェント168の機能図を示している。図示しているように、運転モデルがその既知の状態472から大幅に逸脱されることが決定されるとき、モデル/パラメータ調整エージェント168は、既存のモデルが逸脱474に対処できるかどうかを確認する。対処できる場合は、モデル/パラメータ調整エージェント168は終了476をする。
【0093】
既存のモデルが逸脱に対処できない場合、モデル/パラメータ調整エージェント168は、複数の変動480、パラメータ482、および測定基準484のネットワークを含む因果PGMモデルを用いて、因果関係478を確認する。履歴データ486および要求測定基準488は、因果関係確認478でも用いられる。因果関係確認478の結果は、最大推定パラメータを調節490し、プロセス・モデル予測部を更新492するために用いられる。逸脱がなおも存在494する場合、プロセス・モデル予測部は、さらに最大推定パラメータを調節し、プロセス・モデル予測部を更新するために、因果関係確認478へと供給される。逸脱が排除されている場合(符号494の「いいえ」の分岐)、比較496が、試験結果を実際のプロセスと比較するために実施される。逸脱498が存在することを比較496が示す場合、次の最大推定パラメータが選択500され、因果関係確認478が再び実施される。
【0094】
比較496が逸脱のないこと(符号498の「いいえ」の分岐)を示す場合、モデル/パラメータ調整エージェント168は、プロセス・モデル予測部を用いて、データおよびモデルのエージェント158を更新する(符号502)。
【0095】
周期的な汲み出しプロセスでの実施のためのタイミング図が
図12に示されており、「理想的な」領域から逸脱するパターンが追跡および学習されると共に、特定される、または、後の特定のために保管されるデータ・サンプル運転へのデータ・サンプルを示している。より良い図示の目的のために、
図12は
図13A、
図13B、および
図13Cの3つの部分に区分けされている。
【0096】
概して、システムは、リアルタイム・データを、プロセスの統計的プロファイルおよび/もしくは履歴的プロファイル、または、プロセスの模擬的プロファイルと比較し、運転不一致を考慮することで逸脱を特定することを含む。状況エージェント156は、プロセスの進行および具体的状態を追跡する。パターン認識、運転領域からのドリフト、および逸脱の測定基準が、推定診断エージェントを特定してモデル/パラメータ調整エージェント168を含むことを起動するために、分類部にある。AIマネージャ152は、適切な診断エージェント154を起動し、結果を受信する。因果関係のあるプロセス特有のPGNを備えた診断エージェント154は、逸脱についてのあり得る原因と、その原因の可能性とを特定する。
【0097】
AIマネージャ152は、様々な診断エージェント154の確率を比較し、高い確実性の診断の状況エージェント156を更新する、または、不確実性のレベルが高すぎて起こり得る原因を識別できない場合に、追加の診断試験を開始する。AIマネージャ152は、診断エージェント154の出力に基づいてモデル/パラメータ調整エージェント168をさらに始動してもよい。制御方策エージェント162は、1つまたは複数の診断の確率に基づいて制御措置の機会および/または危険性を評価し、機会/危険性の分析に基づいて制御措置を推奨する。さらに、取られる正確な制御措置を最適化または決定するために、制御措置が実施される前に、最適化エージェント160が起動されてもよい。
【0098】
詳細なエージェントの説明
この実施形態では、システム100のIAは、ポンプジャック運転を監視し、サッカー・ロッド・ポンプを動的に調節する。
【0099】
AIマネージャ
AIマネージャ152はすべてのIAを管理する。AIマネージャ152は、優先順位を取り扱い、1つまたは複数のデータ&モデル化のエージェント158および状況エージェント156から受信される観察および起動に基づいて、1つまたは複数の診断エージェント154を起動する。
【0100】
図14に示しているように、AIマネージャ152のプロセスは、異なるIAの実行および運転を調整するために、自律的で非同期的である。AIマネージャ152の責任には、次のことが含まれる。
【0101】
− 状況エージェント156から出力を受信し、適切なエージェントを作動し、エージェントに動的に優先順位を付け、異なるエージェントからの結果を監視すること。
− すべてのアクティブな診断エージェント154、最適化エージェント160、および制御方策エージェント162の状況を追跡すること。
− データ&モデル化のエージェント158および状況エージェント156によって使用される試験を有効化、無効化、または調節するために、診断エージェント154および制御エージェント162から受信される結果を使用すること。
− ベイジアン・ネットワークおよび/または他のIAなど、PGMを多くが含み得る、IAなどの異なる計算スレッドへの起動およびデータ転送を監視すること。
− プロセス中のメッセージング(非埋め込み)またはイベント起動(埋め込み)を用いること。
− ベイジアン・ネットワークの自己学習運転とプロセス・パラメータの更新とを管理すること。
【0102】
データ&モデル化のエージェント
データ&モデル化のエージェント158の一役割は、プロセス情報を監視および追跡することと、他のエージェントによる使用のために、プロセス情報に基づいてプロセス・モデルを実行することとである。
【0103】
図15に示しているように、データ&モデル化のエージェント158は、リアルタイムで同期的に運転し、各々の時間データが受信される完了までか、周期的プロセスまたはバッチ・プロセスにおけるサイクルの各々の完了の後まで実行することで入力データを取り扱い、および/または、より長い期間/複数のサイクルにわたって実行することで、入力データを取り扱う。
【0104】
データ&モデル化のエージェント158は、プロセス・モデルを実行し、リアルタイム分析を実施し、診断エージェントまたは決定エージェントのおかげで作用するAIマネージャ152によって指示される各々のデータ・サンプルおよび/またはサイクルにおいて試験する。データ・サンプル同士の間に設けられる時間より長い計算期間を必要とする試験またはアルゴリズムが、開始され、非同期的に実行される可能性がある。
【0105】
データ&モデル化のエージェント158は、履歴データのロギング622も実施する。
【0106】
データ&モデル化のエージェントは、リアルタイムで運転し、入力データを受信および条件付けし、必要により、より低い優先順位のデータをポーリングする。データ&モデル化のエージェントは、機器の運動学的および動的のモデル610を実行することになり、プロセスの実際の性能を観察および試算するために、受信されたデータを利用して処理をする。そのために、データ&モデル化のエージェントは、入力データに対する比較のために、性能参照を生成およびログを取ることになる。
【0107】
これらの参照は、プロセス・パラメータに基づき、プロセスの性能の静止モデル626を含むことになる。運転領域または参照は、静止測定または既知のプロセス・パラメータに基づかれ、例えば、システムが開始しているが調節され得ないこと、または、モデルがより高いレベルの能力および正確性を提供するのに十分な情報を有し得ないことといった、すべての条件の下で運転限界内にあることを確保するために依拠される。運転領域は、何のプロセス変数およびパラメータが正常運転にあるべきかの合理的な予想を提供する。
【0108】
参照は、プロセス・ノイズおよび外乱を除去するように一部で意図されている複数のプロセス・サイクルに基づいた重要な測定および導出されたプロセス・パラメータの標準偏差で統計的に生成された平均参照をさらに含む。統計的に生成された平均参照は、複数のサイクルにわたって生成され、周期的にログに記録され、現在のプロセス性能に対する比較のために限られた時間の周期にわたって用いられ、それから、より新しい参照が必要により生成されるとき、または、プロセス・パラメータが変化するとき、置き換えられることになる。各々のログに記録された参照は、履歴分析のために保管される。
【0109】
参照は、動的プロセスを組み込むと共に理想的または計画された出力を含み得るか含み得ない測定および導出されたプロセス・パラメータを利用する、モデルに基づいた予測参照624も含む。このモデルは、入力プロセス・データと比較および評価されることになり、同じくログに記録され、統計的な参照のように周期的に更新される。
【0110】
ポンプジャックなどの往復動システムの場合では、エージェントは、入力プロセス・データで地上および油井の穴の機器の運動学的および動的のモデル610を用いて、各々のポンプ・サイクルについて、地上および油井の穴の動力計カード614および616をそれぞれ生成606する。動力計カード614および616は、完全な下り行程が続く完全な上り行程から成る一連の一回のポンプ・サイクルの間のロッド位置の関数として、ロッド負荷を表している。次に、カード614および616の実際の値および形は、静止で統計的な予測のモデルと比較または相互に関連付けられる。
【0111】
配管およびケーシングの圧力や、ポンプ摩擦、ポンプ・フィルエージ、流体レベル、ロッド・ストリングに沿ってのロッド応力などの測定または導出される力およびパラメータ、または、様々なプロセス機器の構成要素、地上、もしくは油井の穴に加えられる測定または導出される力およびパラメータを含むが、それらに限定されない追加のプロセス・パラメータが、監視されてもよい。
【0112】
生産および運転の問題を特定するために、写真または動画などの視覚的情報を使用する可能性も認められる。例えば、動画センサまたはカメラ106によって捕らえられるサッカー・ロッド・ポンプの動作の動画は、プロセス入力の監視だけからは明らかとされ得ないベルトの滑り、化学物質の漏れ、または、壊れた構成要素などの機械的な問題を特定するために有用であり得る。ボイラなどの他のプロセスでは、熱画像が、ボイラ管路網における高温または低温の部位を特定して見つけるために利用され得る。エージェントは、他のエージェントによる使用のために、AIマネージャ152によっておそらく要求される特定の試験のためのアルゴリズムを含むことになる。これらの試験は、データ・ストリームとして実施されることになり、サイクルの全部または一部に対して実施され得るか、所与のサイクルが完了すると実施され得る。周期的試験についての計算は、プロセッサ利用を最適化するために、流れてくるデータとサイクルの完了との間で分配されてもよい。試験は、それぞれプロセス/機器の運転領域および安全限界において、静止、参照、および、モデル予測の地上および油井の穴のカード638、634、および636との入力データの比較を含む。
【0113】
エージェントは、測定/導出されたデータと試験の結果とを状況エージェント156にまず送信するか、要求された場合には、AIマネージャ152へと直接送信する。エージェントは、履歴データおよび参照の周期的ロギングを内部で管理することになる。エージェント特定の試験とデータの例外ロギングとが、AIマネージャ152の要求で生じることになる。
【0114】
典型的な観察可能な条件と、サッカー・ロッド用途について構成された情報とには、ケーシングおよび配管の圧力、流体レベル、測定および計算された油井パラメータおよび構成、ロッド・ストリング完了データ、流体の粘度および組成、流れあり/なしの検出、振動感知レベル、モータ電圧、電流、トルク、速度、振動感知レベル、モータ電圧、電流、トルク、速度、静止および動的でのロッド負荷、ストローク参照位置、インターロック状況がある。
【0115】
状況エージェント
状況エージェント156の主な役割は、プロセス条件またはパラメータにおいて外乱または変化などを起こす正常運転または予測される運転からのあらゆる潜在的な変動または逸脱を特定することである。
図16は状況エージェント156の詳細を示している。状況エージェント156は、エージェント特定の試験656と選択的な試験658とを実施するために、複数の入力パラメータ654を用いるベイジアン・ネットワーク652を備えている。ベイジアン・ネットワーク652は、AIマネージャ152のために複数の出力660を生成する。
【0116】
・状況エージェント156は、正常、理想的、または予測される運転からの逸脱を検出するための機構、PGMに基づいたプロセスの状態モデル、運転領域分析手段、パターン認識手段、適切な診断エージェント154および制御エージェント162を起動するための分類部と、必要な場合、機械学習技術を介して固有のPGMを更新するための機構とから成る。
【0117】
・状況エージェント156は、リアルタイム・データと履歴データとの間でモデル予測を監視および特定する。
【0118】
・状況エージェント156は、変動が正常な運転から大幅に逸脱するかどうかを特定し、変動についての潜在的な発生源または発生源の種類を特定するために試験を開始し、調査のための優先順位を設定する。これは、貴重な限られた計算能力の使用を最適化する。
【0119】
・運転領域分析は、周期的に更新される履歴データ、および/または、プロセスの予測される/理想的なモデルに基づいて、プロセスの統計的手段を用いる。正常または理想的な運転からの逸脱は、それらの重大度に関して特定およびフラグ付けされる。
【0120】
・プロセスの状態は、現在の運転の状態を確率的に特定するために、リアルタイム・データでの試験を利用するPGMに基づいた状態モデルを用いて、その運転サイクルを通じて進むときに追跡される。
【0121】
・例えば、サッカー・ロッド・ポンプの用途では、油井の穴のポンプは、ポンプの流体負荷が、上向き動作、移動弁の閉動作、および停止弁の開動作によって持ち上げられ、ポンプの下向き動作、移動弁の開動作、および停止弁の閉動作が続く上り行程を通じて循環する。弁の状態に加えて、流体および/またはガスの加圧および減圧の状態がある。プロセスが異なる状態を通じて進むにつれて、PGMは、観察および試験の結果に基づいて、各々の状態の可能性を決定する。PGMは、隠れマルコフ・モデル、ベイジアン・ネット、または同様の確率的グラフィカル・モデルであり得る。
図17を参照されたい。
【0122】
・パターン認識機構が含まれる。好ましい実施は、PGMによるプロセス状態追跡を支援するために、データベースから既知のパターンへの入力データ・ストリームの確率的マッチを提供する時間系列のパターン認識である。ユークリッドの動的時間伸縮および動的逸脱時間伸縮が、多くの機構が存在するにもかかわらず、実施についての好ましいマッチング基準である。また、パターン認識は、プロセス逸脱と関連付けられる反復パターンを特定および分類することができ、これらのパターンを保管し、プロセス変動と併せてそれらの再発を追跡できる分類機構を備えることで、その再発と関連付けられるパターンおよびデータ観察を用いて、手作業の診断、または、機械学習技術に基づく診断を支援する。
【0123】
・最後に、分類部が、起動する適切な診断エージェントおよび/または制御エージェントを特定および優先順位付けをするために用いられる。
【0124】
・PGMおよび分類部の確率テーブルが、診断が確定され、性能を向上するのに有効であるとされるとき、更新される。
【0125】
状況エージェント156は、予測または正常の運転からの逸脱を特定するために、プロセス・モデル予測および/または統計的履歴データに対してプロセス・データを比較する分類部として、PGMを利用する。
【0126】
逸脱の性質に基づいて、特定のプロセス・パラメータの診断または評価が、発生源および因果関係を特定するために、起動および優先順位付けされ得る。
【0127】
試験および試験の結果の完了の通知が、AIマネージャ152に直接的に送られることになり、これは、適切な診断エージェント154、モデル/パラメータ調整エージェント168、最適化エージェント160、および制御エージェント162を起動および優先順位付けすることになる。例えば、プロセス・モデルのパラメータにおいてあり得る逸脱は、モデル/パラメータ調整エージェント168の作動を起動することになる。
【0128】
様々なエージェントによる診断試験の結果および診断の確定は、状況エージェント156をさらに調教するために、AIマネージャ152を介して状況エージェント156へと通信される。状況エージェント156についての事前確率は、手作業で設定され得る、または、同様の油井によって確立された確率から導出され得る。
【0129】
隠れまたは潜在の変数/ノードが、展開される確率的グラフィカル・ネットワークの元の設計で検討されていないモード、依存性、関係、または問題の特定を容易にするために、状況エージェント156へと組み込まれることになることが意図されている。
【0130】
最初に、状況エージェント156は、事実上反復である必要があり、プロセス条件が行程から行程へと持続または発展するときに監視する。AIマネージャ152へと中継されることが、状況の条件および警報を発生することになり、これは、診断および一連の措置を容易にする。何回かの行程の後に持続する逸脱は、一部の条件の確率と、したがって処理装置の計算優先順位の再割り当てとを増加させ得る。
【0131】
状況エージェント156は、一連の時、日、または月にわたる漸進的なレベルで進行するプロセスまたは油井の条件への変化を認識できる必要があり、油井の条件の履歴傾向へのアクセスを必要とする。状況エージェント156は、短い期間およびより長い期間のプロセス変動に対処するために、2つの別体のエージェントへと分割されてもよい。
【0132】
このエージェントが、決定論的または論理的な種類の制御にとってより良好にされたままとなる一部のシステム状況について発生する警報を除外するために、範囲が狭められ得ることも認められる。
【0133】
既知の逸脱を是正するための制御措置の存在または不在は、いくつかの行程以上を取り得る、または、追加のプロセス変動を生成し得る条件を解決するとして、ベイジアン・ネットワークに組み込まれてもよい。
【0134】
診断エージェント
診断エージェント154の役割は、プロセス条件またはパラメータにおいて外乱または変化などを起こす正常運転または予測される運転からのあらゆる潜在的な変動または逸脱を特定することである。
図18Aに示しているように、1つまたは複数の診断エージェント154が、AIマネージャ152と通信してもよい。
【0135】
− 診断エージェント154は、正常な運転またはMPCからの変動の因果関係を診断する。起動された後に非同期的に運転する。
− 診断エージェント154は、試験および既知のデータに基づいて、機器のあり得る条件および/または逸脱のための因果関係を特定する。
− 診断エージェント154は、AIマネージャを介して、データ&モデル化エージェントによる試験を要求してもよい。
− 診断エージェントからの出力は、プロセス・パラメータにおける変動を特定および定量化することになるモデル/パラメータ調整エージェント168などの追加のエージェントを起動するために用いられてもよい。
【0136】
図10も参照すると、好ましい診断エージェント実施では、臨床の診断で見い出される特徴を共有する3つの主要なレベルまたは種類のノードを持つ因果PGMモデルが用いられる。
【0137】
前述のように、最上位レベル・ノード442は、プロセス・パラメータと、独立条件もしくは周囲条件と、観察され得る(直接的に測定され得る、もしくは、プロセスに適用され得る)、または、相対的な確実性(傾向)で既知とされるプロセスの状態とから成る。
【0138】
中間のレベルのノード444は、プロセスにおける逸脱(疾患)に寄与している根本的な条件についての潜在的な診断である条件である。
【0139】
最下位のレベルのノード446は、試験の結果、観察可能なもの、兆候、または、許容可能な度合いの確実性で根本的な条件を特定するために固有の確率が用いられる根本的な条件に依存する測定基準である(診断試験、兆候)。
【0140】
診断エージェントの例1:外乱によるプロセス逸脱:ガス干渉
図17および
図18Bに示しているように、診断エージェント154Aが、ガス干渉モデルを適用するために、条件を有効化および定量化するために、ならびに、モデル予測制御への更新または調節を容易にするために、徴用または開始される。診断エージェント154Aは、ガス干渉モデル701とベイジアン・ネットワーク702とを備えており、ベイジアン・ネットワーク702は、エージェント特定試験706および選択的試験708を実施するために、適切な方法を用いて得られる複数の入力パラメータ704を用いる。ベイジアン・ネットワーク702は、AIマネージャ152のために複数の出力710を生成する。診断エージェント154Aは、ポンプ・フィルエージ712の静止データも含んでいる。
【0141】
モデルに適用される試験は、十分な負荷が流体の荷重および摩擦、位置および時間に対する負荷の変化の速さのために低下されているかどうか、油井の穴のポンプ負荷における他の観察される逸脱と、潜在的には地上におけるロッド負荷とを仮定して、負荷の変化のタイミング、位置、および速さが、ガスおよび流体の圧縮のモデルと一致しているかどうか、油井の穴の荷重位置のプロファイルにおけるガス干渉のパターン認識を含むことになる。
図17では、様々な動力計が示されており、運転の様々な段階が、次のもの、すなわち、PPRL−ピーク研磨ロッド負荷、MPRL−最小研磨ロッド負荷、CBE−平衡効果、TV−移動弁、SV−低止弁と、1−DH上り行程、2−流体負荷上昇、SV開、TV閉、3−DH行程の最上位/DH下り行程の開始、4−流体負荷が低下される、TV&SV閉、5−ガスおよび流体の圧縮完了、SV開、6−進行中のガス圧縮、TV&SV閉、ポンプ・フィルエージ特定可能、7−流体負荷上昇、TV開、SV閉、8−ポンプ・プランジャがポンプの最上位に衝突、および、9−ポンプ・プランジャがポンプの最下位に衝突を特定する数字で表したプロセス点とによって特定されている。ガス干渉に関するサンプル逸脱は、点線で示されている。
【0142】
著しいガス干渉は、ロッド・ストリングおよび機器に圧力を与える流体強打をもたらす可能性がある、または、油井における流体レベルを汲み出しが再開するのに十分となるように上昇させるために、機器の停止を必要とするガス・ロックまたはポンプオフの条件を指し示す。診断エージェント154Aは、機器疲労への寄与を評価するために、さらに他の別体の診断エージェント154Aを起動してもよい。
【0143】
診断の確率は、他の条件のための独立した診断の結果に基づいて、正確な診断の可能性を評価するために、AIマネージャ152によって比較されることになる。
【0144】
診断エージェントの例:疲労監視
さらに、AIマネージャ152によって要求されるとき、ロッド・ストリング機器の疲労を監視、評価、および追跡する、疲労監視のためのさらなる診断エージェント154Bが、採用され得る。
図18Cに示しているように、診断エージェント154Bは、油井穴モデル740とベイジアン・ネットワーク742とを備えており、ベイジアン・ネットワーク742は、エージェント特定試験746および選択的試験748を実施するために、適切な方法を用いて得られる複数の入力パラメータ744を用いる。ベイジアン・ネットワーク742は、AIマネージャ152のために複数の出力750を生成する。診断エージェント154Bは疲労追跡データ752も含む。診断エージェント154Bは、診断履歴を監視およびロギングするための監視/ロギング・サブ・モジュール754を管理する。
【0145】
運転の間にロッドに加えられる力は、油井穴モデル740によって計算される。これらの力から生じる応力および疲労が定量化および追跡される。グッドマン分析方法744が、各々の行程で加えられる応力が、ロッド・ストリングの疲労およびライフ・サイクルに影響を与える。
図19Aおよび
図19Bは、全体サイクルにわたってのロッド・ストリングにおける応力および疲労の負荷の三次元プロットを示している。地上は、典型的には、ロッド・ストリングが行程におけるどこで過度に応力が掛けられるのかを使用者に容易に特定させることができる、サイクルを通じてロッド・ストリングの各々の区域についてのグッドマン負荷を示すためにカラー化されている。
【0146】
短い期間および長い期間でのロッド・ストリングへの損傷の可能性が、機器についての故障ごとの平均時間(MTBF:Mean Time Between Failures)への影響を含め、評価される。
【0147】
許容できないレベルの応力は、フラグ付けまたは警告され、特定の制御措置が決定および実施され得るように、AIおよびアラーム・マネージャに戻される。
【0148】
診断エージェントの例:油井パラメータ
図18Dは、油井パラメータを監視、評価、および追跡する、油井パラメータ監視のためのさらなる診断エージェント154Cを示している。図示しているように、診断エージェント154Cは、油井穴モデル780とベイジアン・ネットワーク782とを備えており、ベイジアン・ネットワーク782は、エージェント特定試験786および選択的試験788を実施するために、適切な方法を用いて得られる複数の入力パラメータ784を用いる。ベイジアン・ネットワーク782は、AIマネージャ152のために複数の出力790を生成する。診断エージェント154は、更新された油井パラメータ792も含む。
【0149】
モデル/パラメータ調整エージェント
モデル/パラメータ調整エージェント168は、診断試験の結果に基づいて、確率的プロセス・モデルを修正し、プロセスを調節するために1つまたは複数のパラメータを特定する。モデル/パラメータ調整エージェント168は、試験および既知のデータに基づくプロセス・モデルに寄与するプロセス・パラメータおよび/または機器条件の起こり得る変動を特定するPGMを採用する。
【0150】
プロセス・パラメータ変動のための確率を用いて、モデル/パラメータ調整エージェント168は、観察される逸脱への可能性のある寄与を特定および定量化し、それらをプロセスから観察される現在のデータに対して有効化するために、数値法または反復法を開始および優先順位付けすることができる。潜在的な発生源が定量化されると、プロセス・モデルを補正するために必要とされる変動の確率が、不正確な診断と関連付けられる危険性を考慮する決定ネットを用いて確率的に検討される。
【0151】
通常の運転外である特定の測定基準、試験、または測定が、プロセス・モデルの診断および調整において支援するために必要であってもよく、必要により実施されることになるが、「調整」されると、これらの試験に対する必要性は、生産に悪影響を与えないように、または、限られた計算能力を消費しないように、最小限にされるべきである。
【0152】
プロセス・モデル・パラメータ調整例:
サッカー・ロッド・ポンプの油井の穴の観察部モデルのための油井パラメータ調整エージェント
【0153】
プロセス・モデルは、「自己調整」または学習である。これは、それ自体の特化されたIAで対処されるように意図されている機器の故障また外乱を除く。
【0154】
プロセス・モデル・パラメータ調整エージェントの役割は、プロセス・モデルが実際のプロセスを正確に反映することを確保するものである。状況エージェント156および診断エージェント154によって起動されると、調整エージェント168は、プロセスとプロセス・モデルとの間で逸脱に寄与するモデル・パラメータ、プロセス変数、および機器条件において潜在的な変動を特定、評価、および定量化する。
【0155】
油井の条件における変化が、行程から行程へと持続する、または、漸次的なレベルで進行するとき、プロセス・モデルが正確なままであることを確保する必要がある。プロセス・モデルのパラメータにおいてあり得る逸脱は、調整エージェント168の作動を起動することになる。
【0156】
運転の基本的概念
普通の、平均的な、または典型的なプロセス・サイクルの履歴変遷を用い、プロセス・モデル調整エージェント168は、履歴変遷において観察される逸脱について起こり得る原因を特定し、原因を有効化し、モデルにおけるパラメータを補正する。
【0157】
サッカー・ロッド・ポンプ/油井の場合、多くの異なるパラメータが変化する、または、条件がプロセス逸脱に寄与し得る。
【0158】
油井の条件は、機械的システムの故障、ポンプオフまたはガス・ロック、ロッド・ストリングの粘着の場合にあるとき、ある行程から次の行程までに非常に素早く変化する可能性がある。これらは、警報、制御モードの変更、または、条件の性質に応じた措置のために、特定およびフラグ付けされる必要があり得る。ガス圧力、温度、ポンプ速度、ロッド負荷など、他の条件が測定されてもよい。
【0159】
プロセス・モデル・パラメータは、より漸次的に変化するが、変化するにつれて油井の条件によって影響もされ得る。例えば、配管における漏れは、配管における流体レベルおよび圧力に影響を与え得る。
【0160】
これらの油井条件の一部は、複数のパラメータに影響を与える可能性がある。例えば、温度は、流体粘度に影響を与え、ワックスに摩擦の増加を促進させてしまう可能性がある。流体レベルは油井の穴の圧力に影響を与え、浮力のあるロッド重量が摩擦、粘度、および他の観察される力に影響を与える可能性がある。
【0161】
一部のパラメータは、行程から行程へに対して、時を追うごとに、または、日を追うごとに、ゆっくりと変化する。エージェントは、パラメータの変化の速さを評価し、時間と共に明らかになると観察される誤差に最も影響を与えそうなものを追跡する。
【0162】
エージェントの運転の範囲は、油井穴モデルの調整に限定されることになるが、機器故障または一部の外乱など、(モデルから独立して)その範囲を超えている変化を特定することもできる。したがって、IAは、他のエージェント、アルゴリズム、制御モード、または警報マネージャに、モデルからのプロセスにおける逸脱を解決することに従事させるように指示する。
【0163】
モデルを調整するために、アルゴリズムが大局的な検索ではなく補正値をより迅速に検索できるように、どのパラメータおよびそれらパラメータについての値の範囲に関しての指示をIAに提供させることは、有利であり得る。1つまたは複数のパラメータが調節を必要とするかどうかを特定することに、支援があってもよい。
【0164】
エージェント実施
プロセス・モデル調整エージェント168は、プロセスの履歴記録を現在の記録と比較することになり、どのモデル・パラメータが変化したかを特定および有効化し、補正された値を決定するために、プロセス変数の現在の測定値と導出されたプロセス測定基準とを取る。
【0165】
ポンプジャックの場合、プロセス・モデル・パラメータにおける変化を隠し得る、ある動力計カードから次の動力計カードへの大幅な変動がある。これを克服するために、複数の動力計カードがそれらの分配を生成するために用いられることになり、平均および分散/標準偏差が高速フーリエ変換(FFT)の形態で周期的な原則で保存される。履歴の「平均」カードは、測定基準における推移を特定するために、直近の平均、または、プロセス・モデルの現在の出力と比較される。
【0166】
図10を参照すると、好ましいIA実施では、3つの主要なレベルまたは種類のノードを持つ因果PGMモデルが、臨床の診断で用いられるのと同様の手法で用いられることになる。
【0167】
前述のように、最上位レベル・ノード442は、プロセス・パラメータと、観察され得る(直接的に測定され得る、もしくは、プロセスに適用され得る)、または、相対的な確実性で既知とされる独立条件もしくは周囲条件とを含み、パラメータが変化した可能性に影響を与え得る(傾向)。
【0168】
中間のレベルのノード444は、確実性を持って直接的に測定できず、変動(疾患)を受けるプロセス・モデル・パラメータである。
【0169】
最下位のレベルのノード446は、観察可能なもの、兆候、または、モデルおよび油井の条件、もしくは、プロセス・モデル・パラメータおよび変動の範囲(診断試験、兆候)をさらに解決するために適用され得る試験の結果に依存する測定基準である。
【0170】
図20は、プロセス、モデル824、および測定基準826において値822を表すために用いられ得る様々なノードのグループ化を示している。
【0171】
エージェントについての確率的グラフィカル・モデルは、2つの主要な構成要素、すなわち、プロセス測定基準の可能な範囲のマッピングと、プロセス・モデル・パラメータが変化した可能性の確率テーブルとを含んでいる。
【0172】
第1の構成要素は、プロセス変数の範囲およびプロセス・モデル・パラメータから生じるプロセス測定基準の可能な範囲のマッピングである。このマッピングは、必要により、変数もしくはパラメータについての名目値から絶対値または逸脱のものであってよい。プロセス変数の所与の例または範囲について本質的に、モデル・パラメータおよび測定基準の特定の例が、モデルに基づいて決定される。変数、パラメータ、または測定基準の一部または全部が、離散的な範囲または連続的な分配として表され、すべての値についてモデルの包括的な反復を通じて決定され得る。代替で、マッピングは、可能な変数およびパラメータの範囲にわたってのプロセスの機械学習および包括的なシミュレーションを介して完全に導出される依存性に反して、様々な変数とプロセス・モデルとの間の因果関係に基づくことができる。
【0173】
第2の構成要素は、最後の履歴記録が取られてからプロセス・モデル・パラメータが変化した可能性の確率テーブルまたは分配を含む。これは、履歴データに基づかれ得るが、計算も含み得る。計算の一例は、現在と履歴記録との間の時間を前提として生成される流体量の可能な範囲に基づく流体レベル変化の可能性であり得る。
【0174】
学習された構造でプロセス・モデルが学習した感度を示す
図21を参照すると、変化のマッピングおよび可能性が組み合わされ、構造を学習することが因果PGMを提供している。
【0175】
所与のセットのプロセス変数822および測定基準826について、PGMは、特定の数値法を変更してから起動して、モデルを正確に調整するために必要とされる正確な値を導出するために、最大推定モデル・パラメータ824を特定する。PGMおよび関連する「調整」アルゴリズムは、複数のモデル・パラメータが変化した可能性がある状況で運転することができる。これは、改訂されたプロセス・パラメータに収束するために、実際または履歴の結果で予測モデルを反復することを伴い得る。
【0176】
エージェントが、逸脱の発生源が診断および有効化され得るように捕捉試験を開始または要求することも、可能である。
【0177】
目標は、プロセスがバックグラウンドで実行しているとき、モデルを効率的および自動的に調整することである。IAは、改訂されたパラメータにおける固定の前に、調整を有効化するために、試行の一部としてリアルタイム・データを利用してもよい。変化した特定のプロセス・パラメータは、プロセス・モデルおよびリアルタイム・データを用いて定量化および有効化され、すべての関連するIAについてプロセス・パラメータおよび確率テーブルを更新するために、AIマネージャ152が参照される。
【0178】
ここで記載しているエージェントは、制御ループに直接的に入るように意図されていない。このエージェントは、逸脱の発生源がプロセス・モデル・パラメータにおける変動と関連されそうもないことを決定することで、他のエージェントをキューに入れてより高いレベルの油井の運転および条件への調査を開始するために、リソース・マネージャとしても作用できる。
【0179】
ポンプジャックの場合、速度の変動が相当の複雑さを加え、プロセス・モデル・パラメータを特定および補正するために、測定基準および学習された構造に大きな影響を与え得るため、可変行程内速度を用いる運転は固定行程内速度のものと異なるPGMを必要としてもよい。この増加した封雑さは、プロセスが最適化され得る程度と、全体の方法および装置から加えられる値とを同じく大きく増加させる。
【0180】
モデル構成
油井「完了」に関連する特定のデータが知られている。それはそれとして、運転の過程で、初期モデルが、提供される構成情報に対して有効化されることになる。これは、設置される機器の種類とその特定の構成とに関連することになる。構成情報は、運転の間に変化する可能性が高い。周期的なポンプ制御装置の背景におけるこのような情報には、次のものがある。
【0181】
・ロッド・ストリングの種類、長さ、特定、全体ロッド・ストリング内の配置。
・ポンプジャックの種類、形状、ギア比、運転限度。
・油井の穴のポンプ、種類、寸法、運転限度、他の情報。
・配管の種類および固定。
・穿孔される油井の配向および偏向。
・動的モデル性能に影響を与え得る油井の穴または地上における他の機器。
・ロッドのスクラッパ、スペーサなど。
・プロセス変数。
・プロセス変数には、限定され得ないが、次のものがあり得る。
・ポンプの速度および位置。
・ケーシングおよび配管におけるガス圧力。
・地上における温度:大気、流れ経路。
・実際の生産。
【0182】
プロセス・モデル・パラメータ
流体が生成されていることについての情報があることになる。これらの値は、時間および生産率と共に徐々に変化する可能性がある。
【0183】
・ケーシングおよび配管における流体レベル。
・流体密度、粘度(静的および動的)。
【0184】
これらの値は、幅/圧力、温度、オイルの百分率、水性ガスまた他の流体(つまり、含水率)。
【0185】
プロセス測定基準
油井の状況と油井の穴の条件とについての他の情報があることになる。この情報の一部は、油井構成、直接の測定、または、分かっている場合には他の条件に基づいて、測定、計算、または推定/概算され得る。
【0186】
− ポンプ行程における時間および/または位置に対する地上および油井の穴の負荷測定。
− 油井の穴の温度、および、地上までの勾配。
− 油井の穴の静止ロッド負荷、および、地上までの勾配。
− 表面および油井の穴のカード流体重量、摩擦などの相対的な寄与および絶対的な寄与。
− オペレータ入力または手動試験が必要とされてもよい。
【0187】
制御方策エージェント
制御方策エージェント162の主要な役割は、最適化エージェント160および診断エージェント154からの診断結果および入力に基づいて、適切な制御措置を評価および推奨することである。制御方策エージェント162は、制御措置に関連付けられる危険性を考慮する確率的決定ネットを使用することを典型的には用いる。
図22は制御方策エージェント162の詳細を示している。図示しているように、制御方策エージェント503は、エージェント特定試験856を実施するために、最適化案内部858と、適切な方法を用いて得られた複数の入力パラメータ854とを用いるベイジアン・ネットワーク852を備えている。ベイジアン・ネットワーク852は、AIマネージャ152のために複数の出力860を生成する。制御方策エージェント162の出力860は、ポンプジャック運転プロセスを修正するために、ポンプ制御装置166へも供給される。
【0188】
制御方策エージェント例:
サッカー・ロッド・ポンプの油井の穴の観察部モデルのためのポンプオフ・エージェント
【0189】
制御方策エージェント162は、診断エージェント154および他のエージェントからの情報に基づいて、正常運転からの変動を監視および特定し、適切な制御措置を推奨する。措置は、オフ/オン指示860、または、オンおよびオフの期間など、ポンプオフ・サイクル・パラメータ860の調整を含んでもよい。
【0190】
例えば、ガス干渉は、許容可能なロッド応力限度内にあり得る、または、あり得ないある流体強打をもたらす可能性がある。疲労監視エージェント(図示せず)は、ロッド・ストリングにより被られる疲労と、MTBFへのその影響とを定量化することになる。条件、重大度、および外部条件の持続は、単一または複数の一連の措置を指図し得る。以前に遭遇した動作または条件の複数の流れの事象では、制御方策エージェント162は、最良の策略をアクセスおよび推奨するために、最適化エージェント160を起動し得る。
【0191】
疲労の重大度、故障の確率、修理のコスト、疲労を軽減するための制御選択肢、失われた生産の機会費用、または増加する生産の価値が、一連の措置を評価するために、危険性および機会に基づいて、PGN決定ネットに影響される。PGNについての可能な構成が
図23に示されている。エージェントは、様々な診断エージェント154の結果を統合し、制御指示決定を行う。エージェントは、設計の問題、または、汲み出し速度を低くさせるなどの潜在的な軽減を、運転者に警告してもよい。制御方策エージェント162は、最適化エージェント160の推奨とより以前の推奨の成功とから、様々な条件についての最良の制御措置を学習するための学習エージェントである。
【0192】
最適化エージェント
最適化エージェント160は、プロセスを調節するように制御措置を決定するための最適化方策を特定するために、最適化方策に従って最適化されるパラメータの数値検索領域を特定するために、および、パラメータの大局的または最良適合の局所的な最適条件を検索するために数値最適化を実施するために、PGMを利用する。
図24は最適化エージェント160の詳細を示している。図示しているように、最適化エージェント160はベイジアン・ネットワーク882を備えており、ベイジアン・ネットワーク882は、エージェント特定試験886および選択的試験888を実施するために、適切な方法を用いて得られる複数の入力パラメータ884を用いる。ベイジアン・ネットワーク882は、AIマネージャ152のために複数の出力890を生成する。最適化エージェント160は、生産潜在部892および最適化案内部894のデータの管理もする。
【0193】
最適化エージェント160の役目は、潜在的な最適化方策を評価し、案内を提供するために、モデルと計算されたパラメータとを用いることである。エージェント160は、典型的には、異なる最適化方策措置に関連付けられる機会または危険性を考慮する確率的決定ネットを使用する。
【0194】
また、プロセスに対する変更が、潜在的には機械学習技術を介して、確率的に決定されると共にPGNとして表され得るように、プロセス・シミュレーションは、プロセス応答を包括的または選択的にマッピングして変数、変数の演算の範囲、および潜在的な逸脱を処理するために利用できる。プロセスの履歴観察と組み合わされるとき、これは、リアルタイムでの包括的シミュレーションおよび/または数値法なしで、実際は極めて確定的であるプロセス最適化の手段を可能とする。
【0195】
機械学習技術を用いると、エネルギー消費または生産高などのプロセス応答が、PGNで表され、数値最適化手段に案内を提供するために使用され得る。案内は、数値検索領域における大局的最適条件または最良適合の局所的な最適条件である、運転パラメータについての最適な解決策に収束するために、最適化される運転パラメータの、数値検索についての小さい数値検索領域を特定することを含み、または、高いレベルの確実性のあるプロセスの場合には、最適な運転パラメータを制御へと直接的に提供する。代替の実施形態では、プロセス変数は、フーリエ級数または他の近似手段として表されてもよく、プロセスの大局的応答の確率的マッピングが、これらのフーリエ係数として生成されてもよい。これは、リアルタイムでプロセスのための局所的または大局的な最適条件を決定するために必要とされる時間を大幅に縮小できるため、他の最適化方法に対して比類のない利点を提供する。
【0196】
プロセスの確率的マッピングは、プロセスを制御する処理装置のバックグラウンドで、または、経過時間を減らすために並列計算法を利用することもできる別体の処理装置で計算でき、最適化PGNのための確率テーブルを生成できる。
【0197】
油井のポンプ・システムの場合、本明細書においてその内容が参照によりその全体において組み込まれているWatsonへの米国特許第6,890,156号のものなど、油井を最適化するためにポンプ原動力速度の複雑な行程中の変動の局所的または大局的な最適化は、他の数値最適化手段と比較して、計算が大幅に低減されて実施され得る。
【0198】
− 潜在的な最適化方策を評価し、案内を提供するために、数値法または反復法と併せてプロセス・モデルおよび計算されたパラメータを用いる。起動された後に非同期的に運転する。
【0199】
− 例えば、固定速度モータによって制御されるサッカー・ロッド・ポンプ用途において、エージェントは、良好な流入速度を確立し、それらを最適なポンプのオン・サイクルおよびオフ・サイクルを決定するために利用して、サッカー・ロッド・ストリングへの許容可能な疲労限度に基づいて生産を最大化するために、および/または、1分間あたりの最適なストロークを設定するための案内を提供してポンプを運転するために、統計的または累積的なポンプ・フィルエージおよびラン・タイムを用いてもよい。これは、生産要件、エネルギー要件、エネルギー節約、疲労、冬季の間の配管の凍結などの性能に影響を与え得る外部温度を含むがそれらに限定されない複数の条件に基づいて、ポンプオフなどの制御方策が用いられ得る、または、用いられ得ない状況を特定できる。
【0200】
− モータ速度が、可変速度または可変周波数の駆動部を介して複数のサイクルにわたって変更可能であるサッカー・ロッド・ポンプ用途では、制御エージェントに駆動部の速度を変更するように指示できる。
【0201】
− モータ速度が、(Watsonの米国特許第6,890,156号)のものなど、行程内で変更可能であるサッカー・ロッド・ポンプ用途では、異なる速度のプロファイルが、プロセス・モデルと、開始または調整され、実施のために制御方策エージェント162に提供される所定の速度プロファイルとに基づいて決定されてもよい。
【0202】
当業者は、他の実施形態が容易に利用可能であることを理解する。例えば、代替の実施形態では、プロセスを制御するための制御システムは、少なくとも1つの処理装置と、少なくとも1つの処理装置に結合された少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つの処理装置に結合されると共に、少なくとも1つの処理装置によって読取可能であり、少なくとも1つの処理装置によって実行されるとき、処理装置に措置を実施させる一式の命令を保管する記憶装置とを備え、その措置は、少なくとも1つのセンサから、プロセスによって生成されるリアルタイム・プロセス・データを受信することと、正常な運転からのあらゆる逸脱を確立するために予測目的関数および/または履歴手段および/または予測運転領域および/または所定静的関数と比較することと、逸脱の発生源および起こり得る原因を分類するために、状況エージェントにおいて確率的モデル化を適用することと、監督マネージャにおいて、逸脱の因果関係に関する少なくとも1つまたは複数の診断エージェントの作動に優先順位を付けることと、1つまたは複数の診断エージェントからの結果から、状況エージェントの確率的モデルを修正することと、危険性を評価し、プロセスに対する適切な制御措置を推奨するために、制御エージェントにおいて確率的モデルを適用することとを含む。
【0203】
別の実施形態では、プロセスを制御するためのコンピュータ実行可能な命令を備えるコンピュータ読取可能記憶装置が提供され、その命令は、実行されるとき、処理装置に措置を実施させ、その措置は、少なくとも1つのセンサから、プロセスによって生成されるリアルタイム・プロセス・データを受信することと、正常な運転からのあらゆる逸脱を確立するために予測目的関数および/または履歴手段および/または予測運転領域および/または所定静的関数と比較することと、逸脱の発生源および起こり得る原因を分類するために、状況エージェントにおいて確率的モデル化を適用することと、監督マネージャにおいて、逸脱の因果関係に関する少なくとも1つまたは複数の診断エージェントの作動に優先順位を付けることと、1つまたは複数の診断エージェントからの結果から、状況エージェントの確率的モデルを修正することと、危険性を評価し、プロセスに対する適切な制御措置を推奨するために、制御エージェントにおいて確率的モデルを適用することとを含む。
【0204】
監督制御およびデータ取得(SCADA:Supervisory Control And Data Acquisition)マネージャ
代替の実施形態では、同じ現場または異なる現場に分配され得る複数の前述のシステム100が、適切な手段を介して相互連結され、大きな制御システムを形成する。このような大きな制御システムは、そのドメイン内の各々のシステム100のAIマネージャの機能を組み込み得る、または、油田の背景において、個々の油井においてフィールド・スケール・パラメータとそれらの効果とを監視する追加の方法またはエージェントを組み込み得るSCADAマネージャをさらに備えてもよい。
【0205】
SCADAマネージャは、機械学習技術の確率テーブルを更新するために油井に機械学習技術を利用させることができるように、他の油井の確率テーブルを更新するために、または、これらの油井の履歴ケース情報を提供するために、個々の油井からの確率テーブルまたは履歴データを利用できる。
【0206】
さらに、油田など、分配された独立のプロセスでの用途では、各々の個々の油井におけるAIマネージャは、直接的に、または、中央SCADAマネージャを介して、学習された診断または制御方策を共有するために、他の油井における他のAIマネージャとネットワークで結んでもよい、または、そのようなAIマネージャと協調してもよい。
【0207】
例えば、システム100の複数の用途が、油田の場合などにおいて、協働的に作用するように行われてもよく、その場合、各々の油井は、他の油井およびより高いレベルのシステムと知識および学習を共有するAIMCシステムを有する。同じ受台にない油井は、販売データ、ポンプ・ダイナ・カード、およびパターンが標準化され得るとき、恩恵を受ける。知識は、PGN内の確率テーブルを更新することで、他の機械学習技術を用いる他の油井におけるPGNを養成するために他の油井のケース履歴を用いることで、また、プロセス・データで観察される学習されたプロセス・パラメータまたはパターンの共有を通じて、共有され得る。SCADAは、SCADAが個別の油井から集合的に受信するデータおよび知識に基づいて、制御指示を提供もし得る。
【0208】
他の用途
しかし前述の実施形態では、AIMCシステム100は、大まかには、油井の運転を制御および最適化するための油井についてのサッカー・ロッド・ポンプ制御装置の背景で説明されている。当業者は、ここで教示している実施形態に基づいて、AIMCシステムが、サッカー・ロッド・ポンプを制御するためだけに限定されることは決してなく、幅広い様々な産業において多くの異なる種類の動的プロセスでの使用に向けて特化され得ることを理解するものである。
【0209】
ここで記載しているシステムおよび方法論は、一般的な背景と、ポンプジャックの具体的な背景との両方において、蒸気メタン改質装置、ボイラ、熱処理炉、水処理、圧縮機スキッド/システム、および医療システムなど、幅広い様々な他の処理に適用可能でもある。ここで開示している技術が、生産、保守、および経済的な観点からシステムの最適な運転を確保するためにプロセス・モデルが利用され得る様々な他のプロセスに適用され得ることは、認められる。
【0210】
他の状況の結び付けについてのいくらかの追加の詳細では、このような他のプロセスの性質とエージェントの役目とが、次のように説明される。
【0211】
モデル予測制御装置
モデル予測制御技術は、典型的には、制御指示を提供してプロセスをその正常な運転領域内へと戻すために、外乱の性質をあらかじめ知っておくことを必要とする。これらは、モデルへの入力が正確で関連性のある出力を生成するように、モデルのパラメータを正確に調整する必要もある。このような適用は、非常に安定している場合を除いて、かなりの熟練した知識の豊富な人員による相当の維持を必要とする。モデル予測制御装置のあるバッチ・プロセス用途では、エージェントについて実施される役目は、モデル予測制御装置に帰属されるため、制御措置がより限定されることを除いて、油井ポンプジャック用途におけるものと同様の役目である。エージェントの役目は、データおよびモデル化のエージェント158、状況エージェント156、AIマネージャ152、様々な診断エージェント154を含み、AIマネージャ152は、様々な診断エージェント154の確率を比較し、高い確実性の診断の状況エージェント156を更新する、または、不確実性のレベルが高すぎて起こり得る原因を識別できない場合に、追加の診断試験を開始する。AIマネージャ152は、診断エージェント154の出力に基づいてモデル/パラメータ調整エージェント168を始動してもよい。
【0212】
制御方策エージェント162は、1つまたは複数の診断の確率に基づいて機会および/または危険性を評価し、機会/危険性の分析に基づいて、モデル予測制御装置にモデルの変更または制御措置を推奨する。
【0213】
圧縮機スキッド/システム
圧縮機スキッドは、この場合、プロセスへと供給されるガスの圧縮、または、吸引を維持するためにプロセスから取り出されるガスの圧縮である、より狭い範囲のタスクを実施するために設計されている典型的な一纏めにされたシステムを表している。プロセスから取り出されるガスの圧縮は、油井の流入を増加させるために、ケーシング圧力が大気圧下で低減される油井において、見い出すことができる。
【0214】
これらの用途は、ポンプ、弁、およびプロセス運転が特定の運転のための大きさとされ、容易にモデル化される、典型的な流体および熱力学的なプロセスである。機器故障、プロセス外乱、および運転限界は、プロセスにおける変動の多くの原因となる。
【0215】
ここでも、役目は油井ポンプジャック用途のものと非常に似通っており、主な違いはプロセス・モデルであり、運転状況が、状況エージェントとプロセス特有である診断エージェントの性質とによって追跡される。この場合、プロセスの実際の圧力、流れ、および温度に対して命令を監視することは、確率を定める。危険性および安全性の関連事項に応じて、制御装置は、プロセス設定点に小さい変更を行うことと、外乱を立証することとによって実際の試験を実施するように利用されてもよく、結果生じる制御措置は、プロセス外乱の発生源をさらに隔離するための適切な運転を示している。
【0216】
スキッドが制御しているプロセスはモデル化されてもよく、AIMCについての幅広い領域の範囲を可能にする。
【0217】
他のプロセス・システム
炉もしくはボイラなどの他のプロセス、圧縮機、または、蒸気改質装置または精油所などの複雑なシステムへと組み合わされるプロセスの集合への用途は、基本的に、AIMCおよびそのエージェントの基本的な運転をどのようにも変化させない。システムが不確実な条件の下で運転するように設計されるため、制御措置の範囲は、安全性および危険性の許容範囲に基づいて抑制されてもよい。この多くは、必要な安全性のインターロックと、すべての状況において安全な運転を確保する許容とを組み込む標準的な産業用制御装置への制御推奨をAIMCに行わせることである好ましい実施によって取り扱われ得る。
【0218】
AIの設計および構成は、産業用途または使用される背景に応じて変わる可能性があり、システムは、診断エージェントまたは制御方策エージェントなど、異なる数および設計の機能エージェントをおそらく必要とする。
【0219】
しかし前述の実施形態では、システム100は1つの状況エージェント156を備えているが、代替の実施形態では、システム100は複数の状況エージェント156を備えてもよい。
【0220】
一部の代替の実施形態では、システム100は、ローカルもしくは遠隔で埋め込まれようが、PC計算プラットフォームであろうが、計算が追加の処理装置に分配され得るような拡張可能な手法で実施されてもよい。
【0221】
このような制御システム100は、プロセス・データにアクセスして監視するために、および、診断タスクおよび最適化タスクを実施するために、既存または所有の制御装置ネットワークにさらに連結できる。これは、ここで記載している技術を、既存のシステム、または、特別設計されたシステム、およびOEM製品に組み込ませることを可能にする。代替で、AIMCシステムは、既存の制御装置または遠隔のデジタルまたはアナログ入力(I/O)モジュールへのアクセスに加えて、それ自体のI/Oモジュールを組み込むことができる。ある実施では、制御指示は、I/Oの監視を提供し、基本的な制御運転に、独立した安全性のインターロックと、そのプロセスの典型である許容とを提供する産業用制御装置に提供される。
【0222】
当業者は、前述のエージェントの各々は、別体のエージェントとして、または代替で、網羅的なエージェントのサブ・エージェントとして、個別に機能できることを理解する。例えば、一実施形態では、1つまたは複数の診断エージェントは、網羅的な診断エージェントのサブ・エージェントである。
【0223】
しかし前述の実施形態では、AIMCシステム100はモデル/パラメータ調整エージェント168を備えている。代替の実施形態では、モデル/パラメータ調整エージェント168の機能はデータおよびモデル化のエージェント158で実施され、したがって、AIMCシステム100は、モデル/パラメータ調整エージェント168を備えていない。
【0224】
代替の実施形態では、モデル/パラメータ調整エージェント168およびデータおよびモデル化のエージェント158の機能はAIマネージャ152で実施され、したがって、AIMCシステム100は、いずれのモデル/パラメータ調整エージェント168も、いずれのデータおよびモデル化のエージェント158も備えていない。
【0225】
しかし前述の実施形態では、AIMCシステム100は複数のIAを備えており、代替の実施形態では、AIMCシステム100は、エージェントをまったく用いずに実施される。それどころか、この実施形態のAIMCシステム100は、従来のプログラミング方法を用いて実施される。