特許第6751026号(P6751026)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6751026-圧縮粒子形態の組成物及びその使用 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6751026
(24)【登録日】2020年8月17日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】圧縮粒子形態の組成物及びその使用
(51)【国際特許分類】
   A23L 29/281 20160101AFI20200824BHJP
   A23G 3/34 20060101ALI20200824BHJP
   A23J 3/06 20060101ALI20200824BHJP
   A23L 33/28 20160101ALI20200824BHJP
【FI】
   A23L29/281
   A23G3/34 101
   A23J3/06
   A23L33/28
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-574001(P2016-574001)
(86)(22)【出願日】2015年6月16日
(65)【公表番号】特表2017-518068(P2017-518068A)
(43)【公表日】2017年7月6日
(86)【国際出願番号】EP2015063456
(87)【国際公開番号】WO2015193300
(87)【国際公開日】20151223
【審査請求日】2018年6月8日
(31)【優先権主張番号】102014108502.7
(32)【優先日】2014年6月17日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502084056
【氏名又は名称】ゲリタ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】エーベルハルト ディック
(72)【発明者】
【氏名】ゾンヤ ゲットリング
(72)【発明者】
【氏名】ジークリッド ビルト
(72)【発明者】
【氏名】イェンス バイゼル
【審査官】 福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−118824(JP,A)
【文献】 特表2007−502607(JP,A)
【文献】 特表2010−515431(JP,A)
【文献】 米国特許第04546002(US,A)
【文献】 特開昭62−295978(JP,A)
【文献】 特開2009−171903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23G
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮粒子の形態の組成物であって、10〜80質量%のゼラチンと、20〜80質量%のコラーゲン加水分解物を含み、ここで前記圧縮粒子の平均粒径が0.8〜4.2mmであると共に、前記圧縮粒子が微粉末化出発原料の圧縮粒子であり、且つ、前記組成物が非晶質比率25%未満のゼラチンを含む組成物。
【請求項2】
少なくとも40質量%、好ましくは少なくとも60質量%、より好ましくは少なくとも80質量%のゼラチン及び/又はコラーゲン加水分解物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
室温で水溶性である少なくとも1種の更なる成分を更に含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記圧縮粒子が、実質的に乾燥された固形物混合物の圧縮により製造される、請求項1〜3の何れか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記固形物混合物が遊離水を含有せず、代わりに結合水のみを、特に前記ゼラチン及び/又はコラーゲン加水分解物中に含有する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記圧縮粒子の平均粒径が1.3〜2.8mmである、請求項1〜5の何れか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記圧縮粒子の単位容積質量(bulk weight)が350〜800g/L、特に400〜700g/Lである、請求項1〜6の何れか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が5〜70質量%のコラーゲン加水分解物を含む、請求項1〜7の何れか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記コラーゲン加水分解物の平均分子質量が1,000〜8,000Da、特に2,000〜5,000Daである、請求項1〜の何れか一項に記載の組成物。
【請求項10】
香味料、着色料、酸調節剤、乳化剤、安定化剤、湿潤剤、及び保存料から選択される1又は2以上の更なる成分を更に含む、請求項1〜の何れか一項に記載の組成物。
【請求項11】
ゼラチンゲルに基づく菓子製品、例えばグミベアやフルーツガム等の製造における、請求項1〜10の何れか一項に記載の組成物の使用であって、前記製造が、前記圧縮粒子を水に60〜90℃で溶解させ、固形物含量が33〜60質量%の溶液を得る工程を含む、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮粒子形態の組成物に関する。
【0002】
また、本発明は、本組成物の使用、特に食品製造のための使用に関する。
【背景技術】
【0003】
多様な種類の食品、特に菓子製品及びデザート類では、その特徴的な硬さを得るためにゼラチンゲルが用いられる。斯かるゲルを製造するには、ゼラチンが水中又は水性媒体中に均質に存在する溶液をまず作製しなければならない。食品の種類に応じて、このゼラチン溶液は、工業生産規模(例えばフルーツガムの場合)、或いは消費者が食べられる状態の製品の個別生産規模(例えばゼリーの場合)で、利用することができる。
【0004】
斯かるゼラチン溶液の製造はしばしば、技術的な課題を伴う。斯かる課題は、使用されるゼラチンと、特定製品の製造のためにゼラチンと共に溶解する必要がある更なる成分との、両方の性質に起因し得る。特に、ゼラチン及び/又は更なる成分は、通常は粉末形態で存在し、密度が低く、湿潤性にも乏しいにもかかわらず、高濃度の溶液が求められるため、成分を完全に溶解させることは必ずしも可能ではなく、結果として塊が形成されてしまう虞が高い。これらの塊は、たとえ溶解させることができるとしても、機械的な微細化や長い待ち時間を要し、非経済的である。別の方法として、激しい撹拌により集塊を防止することも考えられるが、これでは泡が形成されてしまい望ましくない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
これに基づき、本発明の目的は、特に食品への加工に適した、ゼラチンと1又は2以上の更なる成分との水溶液を、迅速且つ効果的に製造することが可能な組成物を提案することである。
【0006】
この目的は、緒言部で述べた種類の組成物であって、少なくとも5質量%のゼラチン及び/又はコラーゲン加水分解物を含む、圧縮粒子の形態にある組成物によって達成される。
【0007】
本発明に係る組成物は、ゼラチン及び/またはコラーゲン加水分解物、並びに必要に応じて更なる成分の圧縮(compaction)、すなわち圧密(compression)により製造される。斯かる圧縮に適したローラー圧縮等の手法は、従来技術により公知である。興味深いことには、本発明の範囲内で見い出された知見であるが、圧縮を行うことにより、粉末の出発原料と比べて比表面積が小さくなるにもかかわらず、全体としてより迅速に、且つ技術的にもより単純な手法で、水や水性媒体への溶解を行うことが可能となる。特に、塊形成の防止を意図した特定の手順や工程はもはや不要となり、それでもなお塊及び泡の形成を減少させ、或いは完全に回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明に係る圧縮粒子からグミ菓子を製造する流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ローラー圧縮等の圧縮法の場合、出発原料に2つの逆方向からの力(すなわち、例えば2つの平行ローラーによる力)を加えることにより、圧縮粒子へと圧密する。これとは対照的に、特に公知の打錠法では、錠剤又は同様の医薬投与形態を製造するために、出発原料を複数の面で封止されたネガティブモールド(negative mould)内へと圧入する。
【0010】
ある用途においては、本発明に係る組成物は、少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも10質量%、より好ましくは少なくとも15質量%という、比較的少ない比率のゼラチン及び/またはコラーゲン加水分解物しか含まない。
【0011】
他の用途では、少なくとも40質量%、好ましくは少なくとも60質量%、より好ましくは少なくとも80質量%という、より高い含量のゼラチン及び/又はコラーゲン加水分解物が必要である。
【0012】
本発明に係る組成物を用いれば、特定の最終製品に必要となる成分の全て又は大部分を、特定の添加順序を守らずとも、単一の工程で一緒に溶解することができるという事実も、好都合である。即ち、易溶性の成分が先に溶解する結果、自由に利用できる水の量が顕著に減少してしまい、難溶性の成分の溶解プロセスがよりいっそう遅くなり、或いは完全に妨げられてしまうのを、防止することが可能となる。従って、多数の溶解プロセスを全体として簡略化し、促進することができる。
【0013】
従って、本発明の或る好ましい態様によれば、組成物は、ゼラチン及び/又はコラーゲン加水分解物に加えて、室温で水溶性である少なくとも1種の更なる成分を含む。
【0014】
本発明によれば、圧縮粒子は特に、実質的に乾燥の固形物混合物の圧縮により製造される。これにより、湿った出発原料の圧縮や圧密とは対照的に、所望の性質を有する、特に単位容積質量(bulk density)の高い粒子を得ることができる。
【0015】
実質的に乾燥の固形物混合物は特に、遊離水を含有せず、結合水のみを、特にゼラチン及び/又はコラーゲン加水分解物中に含有する。例えば、標準周囲条件下の乾燥ゼラチンは、結合水比率が約8〜12質量%の範囲内にある。
【0016】
本発明に係る組成物を製造する場合、分離に対して安定な圧縮粒子は、好ましくは微粉末化された予混合物から、圧縮プロセスを用いて製造される。本プロセスは、純粋な圧縮に加えて、製粉及び篩分の操作を含むことが望ましい。製粉は最大粒径を決定するのに対し、下流の篩分プロセスでは一部の細粉・粗粉が除去され、その後に圧縮プロセス又は製粉器の何れかへとフィードバックされる。
【0017】
製粉器を適切に調整すると共に、異なる篩を組合せることで、平均粒径及び粒度分布を広い範囲内で調整することができる。一般的には確かに、粒度分布が狭いほど、より多くの材料を圧縮又は製粉器にフィードバックされなければならず、プロセスの効率が悪化する原因となる。出発混合物が圧縮され得る程度、また所望の粒度分布に応じて、30〜80%、特に40〜60%の圧縮粒子の収率が、1つの圧縮サイクルにより達成され得る。
【0018】
粒度分布の選択は特に、その後の圧縮粒子の用途に基づいて行われる。例えばグミ菓子製品やソフトゼラチンカプセルの製造に典型的に見られるような、高濃度のゼラチン含有溶液を製造する場合、粒子の平均粒径は0.8〜4.2mm、特に1.3〜2.8mmとするのが好ましい。粒度分布は比較的広くてもよく、好ましくは少なくとも75%の粒子が、平均粒径の±80%、特に±50%の範囲内にあればよい。この大きさの範囲にある粒子であれば、前述の利点が特によく達成され得る。
【0019】
圧縮粒子の単位容積質量(bulk weight)は、好ましくは350〜800g/L、特に400〜700g/Lの範囲内にある。
【0020】
本発明の好ましい態様は、グミベアやフルーツガム等のゼラチンゲルに基づく菓子製品の製造に供される組成物に関する。斯かる種類の製品用のキャスティング溶液を製造するには、従来のゼラチンが出発点として使用されるが、斯かるゼラチンはその一次結晶構造(25%未満の非晶質比率)ゆえに、昇温(一般に約60℃以上)下でしか水に溶解しない。
【0021】
製造上の観点から(外観、乾燥等)、斯かる製品用のキャスティング溶液の水分含量は最小限に、特に40質量%未満とすべきである。こうした理由から、ゼラチン及び菓子製品の更なる成分を高濃度に濃縮した溶液を製造すると、特にその成分の1つとしてコラーゲン加水分解物をより多量に使用した場合に、問題を生じることになる。コラーゲン加水分解物を加えたゼラチン系菓子製品は、コラーゲン加水分解物の健康促進特性ゆえ、いわゆる「機能性食品」として提供される。所望の健康効果を達成するには所定の一日用量が必要となるため、最終製品の栄養価が最適化されるように、高濃度のコラーゲン加水分解物を提供するのが適切である。グミ菓子等は主に糖からなるので、低用量のコラーゲン加水分解物の場合、栄養価の観点から、余分な糖の含有は必然的に許容され得ないだろう。
【0022】
これらの要請に応えるために、キャスティング溶液を製造する際には、比較的多量のコラーゲン加水分解物を、比較的少量の水に溶解しなければならない。斯かる操作は、粉末の出発製品の場合、必然的に泡の形成、塊の形成、及び/又は、非常に長い待ち時間を伴うことになる。従って、斯かるプロセスは非効率とならざるをえず、さもなくば製品の品質欠陥を招いてしまう。
【0023】
従って、ゼラチン及びコラーゲン加水分解物(及び必要に応じて更なる成分)を同時に圧縮することは、本発明の範囲において、比較的高濃度の溶液を安価で生産できるという、とりわけ有効な可能性を提供する。既に前述したように、斯かる圧縮粒子はより高い密度を有するため、まず湿らせることができ、次いでよく分散させることができ、その後に穏やかな撹拌で溶解させることができる。
【0024】
本態様の組成物は、好適には20〜80質量%、特に35〜70質量%のコラーゲン加水分解物を含む。ここでゼラチンの比率は、特に10〜80質量%の範囲内とすることができる。
【0025】
コラーゲン加水分解物の平均分子質量は、通常は1,000〜8,000Da、特に2,000〜5,000Daである。この種類の加水分解物は室温で水溶性であり、またゼラチンとは対照的に、ゲル化する能力を有さない。すなわち、ゲル化能は、ゼラチンとコラーゲン加水分解物とを差別化する本質的な特徴である。使用されるゼラチンのゲル化強度は、好ましくは160〜300gブルーム、特に180〜280gブルームの範囲内にある。
【0026】
本態様と併せて、更に本発明は、ゼラチンゲルに基づく菓子製品の製造のためのこの種類の組成物の使用に関する。ここで当該製造は、固形物含量33〜60質量%の溶液が得られるように、圧縮粒子を60〜90℃の水へ溶解させる工程を含む。これを、標準製品の製造における従来のゼラチン溶液と同様に、レシピ(所望の活性物質含量に応じた用量換算)に従い、糖含量に加える。
【0027】
本発明の更なる好ましい態様は、消費者によるゼラチンデザート類(例えばゼリー)の調理のために提供される組成物であって、ゼラチンの非晶質比率が98%以上である組成物に関する。この種のゼラチンは、インスタントゼラチンとも呼ばれる。加温条件下での溶解が必須である従来のゼラチンとは対照的に、低温条件下でも処理可能であり、室温でいわゆる擬ゲル(pseudo-gel)を形成するからである。これにより、最終消費者がこの類のデザート類を調理するのに必要とされる準備が、顕著に簡略化される。
【0028】
調製されるゼラチン溶液の固形物含量は、通常は斯かる製品の30質量%未満であるにもかかわらず、従来の粉末形態のインスタントゼラチンを溶解させるには大きな問題が伴う。塊の形成が生じ、或いは激しい撹拌による空気の導入の結果、泡の形成が生じるからである。ゲル化が比較的早いために、封入された空気を排出することができず、結果としてゲルが混濁してしまう。
【0029】
本発明に係る組成物を圧縮粒子の形態で使用することにより、より高密度の粒子をより迅速に分散させることができる結果、斯かる問題を最小化することができる。
【0030】
本発明の好ましい態様によれば、組成物が少なくとも1種の更なる水溶性の成分を含むことで、更なる有利な効果を得ることができる。斯かる成分はまず、ゼラチンを集塊から保護する「充填離型剤」(filling release agent)として機能する。その後、更なる成分が徐々に溶解する間に、ゼラチンもまずは水和し、そして最後には溶解しうるため、結果として均質且つ透明な溶液が製造される。
【0031】
少なくとも1種の更なる成分は、特に好適には、1又は2以上の糖、オリゴ糖(例えば スクロース、グルコース又はマルトデキストリン)、及び/又は、糖代替物(例えばソルビトール等の糖アルコール)から選択される。糖又は糖代替物は、一方では所定のデザートに含有させることができ、他方では良好な溶解性を有するゆえに、特に上記の効果を達成するのに適している。
【0032】
組成物は、好ましくは50〜95質量%、特に65〜75質量%の糖、オリゴ糖及び/又は糖代替物を含む。
【0033】
これに関して、本発明は更に、ゼラチンゲルに基づくデザート類の製造における、この種の組成物の使用に関する。ここで当該製造は、圧縮粒子を10〜40℃の水に溶解させ、固形物含量30質量%未満の溶液を得る工程を含む。
【0034】
食品の製造における使用の場合、本発明に係る組成物は、香味料、着色料、酸調節剤、乳化剤、安定化剤、湿潤剤、及び保存料から選択される1又は2以上の更なる成分を含んでいてもよい。原理上は、最終製品の所望の構成成分の全てを圧縮粒子に統合することにより、製造のための一連のプロセスをとりわけ簡略化することができる。
【0035】
本発明に係る組成物の更なる好ましい用途は、密度差の大きな複数種の粉末構成成分から形成される製品に関する。斯かる用途では、更なる加工の際、例えば包装時の取り扱いの結果、個々の成分が再び分離するおそれが高い。圧縮プロセスを用いれば、細粉化された予混合物から、分離に対して安定な均質の凝集体が製造され、斯かる凝集体の個々の成分は、一定の比率で凝集体マトリクス内に固定的に組み込まれる。こうして製造された製品は、密度差により機械的に分離されることはなく、様々な個々の成分の混合物と比べて増加した単位容積質量(bulk weight)を示す。
【0036】
本発明の以上の利点及び更なる利点を、以下の実施例に基づき、図面を参照してより詳細に説明する。
【実施例】
【0037】
実施例1:「美容用」グミ菓子製造用のゼラチン及びコラーゲン加水分解物含有圧縮粒子。
【0038】
28.6質量%の粉末ゼラチン(粒径<0.2mm;単位容積質量(bulk weight)582g/L)、及びVerisol(商標)の商品名でGELITA AGから入手可能な71.4質量%のコラーゲン加水分解物(粒径<0.150mm;単位容積質量(bulk weight)304g/L)から、混合物を製造した。圧縮時の固着を防ぐために、0.01質量%のステアリン酸マグネシウムを更に添加した。この混合物を圧縮プロセスに供した。この際に、1〜4mmの粒径を有する粒子群を、所望の最終製品(所望の粒状製品)と定義した。
【0039】
混合物を80kg/hの速度で、且つ40kNの圧力下で圧縮した後、粉砕し、篩いにかけた。1つの圧縮サイクルの収率は、72%であった。28%の細粒子群を継続して圧縮プロセスに直接フィードバックしたため、大き過ぎる粒子は観察されなかった。
【0040】
所望の粒状製品群は、平均粒度3mm、粒度分布0.8〜3.8mmであった。
【0041】
得られた粒子(ゼラチン及びコラーゲン加水分解物の凝集体)を、活性物質比率(Verisol(商標)コラーゲン加水分解物比率)約30質量%のグミ菓子の製造に用いた。このための製造手順は、標準的なグミ菓子の製造と同様であるが、キャスティング化合物の組成物は改良レシピに従って取得した。通常の水分含量は25質量%であるのに対し、本実施例では水分含量が35質量%であったことから、最終製品にとって重要である20質量%未満の水分含量を達成するために、本プロセスではより長い乾燥時間を含めた。
【0042】
プロセス手順は図1に示すフロー図に従い実行した。使用したレシピは、表1に示す成分から形成した。
【0043】
【表1】
【0044】
最終製品は、典型的なグミ菓子の性質を有していた。
【0045】
実施例2:低糖グミ菓子製造用のゼラチン及びコラーゲン加水分解物含有圧縮粒子。
【0046】
24質量%の粉末ゼラチン(粒径<0.2mm;単位容積質量(bulk weight)612g/L)、及びPeptiplus(商標)の商品名でGELITA AGから入手可能な76質量%のコラーゲン加水分解物(粒径<0.15mm;単位容積質量(bulk weight)320g/L)から、混合物を製造した。圧縮時の固着を防ぐために、0.01質量%のステアリン酸マグネシウムを更に添加した。この混合物を圧縮プロセスに供した。この際に、1〜4mmの粒径を有する粒子群を、所望の粒状製品として選択した。
【0047】
混合物を73kg/hの速度で、且つ45kNの圧力下で圧縮した後、粉砕し、篩いにかけた。1つの圧縮サイクルの収率は、75%であった。大ききすぎる粒は観察されなかった。25%の細粒子群を継続して圧縮プロセスに直接フィードバックした。
【0048】
所望の粒状製品粒子群は、平均粒度3mm、粒度分布0.8〜3.8mmであった。
【0049】
これらの粒子を、糖含量を30%まで低減したグミ菓子の製造に使用した。製造は実施例1に示す通りに実施したが、キャスティング溶液の水分含量を約30質量%に設定することを可能にした改良レシピを用いたため、乾燥に要する時間は実施例1と比べて短かった。
【0050】
使用したレシピは、表2に示す成分から形成した。
【0051】
【表2】
【0052】
最終製品は、典型的なグミ菓子の性質を有していた。
【0053】
実施例3:ゼリー製造用のインスタントゼラチンに基づく「完全な化合物(complete compound)」
【0054】
10質量%のインスタントゼラチン(粒径<0.17mm;単位容積質量(bulk weight)347g/L)、88.3質量%の上白糖(細粒スクロース)、1.7質量%のクエン酸粉末、並びに適量の香味料及び着色料から、混合物を製造した。この混合物を圧縮プロセスにかけ、ここで0.1〜0.5mmの粒度を有する粒子群を、所望の粒状製品として選択した。
【0055】
混合物を81kg/hの速度で、且つ80kNの圧力下で圧縮した後、粉砕し、篩いにかけた。得られた所望の粒状製品比率は、684g/Lの単位容積質量(bulk weight)を有した。
【0056】
本発明に係るこれらの粒子120gを、500mLの冷水中で攪拌したところ、所定の冷却時間後に、喫食可能な状態のゼリー製品を得た。
【0057】
実施例4:コラーゲン加水分解物、乳酸カルシウム、及びビタミンDに基づく栄養補助食品
【0058】
Fortibone(商標)の商品名でGELITA AGから入手可能な37質量%のコラーゲン加水分解物(粒径<0.16mm;単位容積質量(bulk weight)374g/L)、27質量%の乳酸カルシウム、及び0.03質量%のビタミンDから、混合物を製造した。混合物の単位容積質量(bulk weight)は、467g/Lであった。この混合物を圧縮プロセスにかけ、ここでそれぞれ0.1〜0.25mm及び0.8 〜1.0mmの粒度を有する2つの粒子群を、所望の粒状製品として選択した。
【0059】
混合物を50kNの圧力で圧縮し、そして粉砕して、篩いにかけた。
【0060】
こうして製造した粒子をハードカプセルに充填した。製品は良好な注入性(pourability)を有していたことから、ハードカプセルへの充填は、細粉化した出発原料のカプセルへの充填よりも遙かに容易であり、充填プロセスにおける充填材料の分離のリスクも存在しなかった。
【0061】
より高い単位容積質量(bulk weight)のために、非圧縮粉末混合物と比べて、それぞれ55%及び95%も高い充填率を達成できた。こうして、2つの異なる所望の粒状製品群を混合することは、特に好適であることが証明された。対応する値を表3に示す。
【0062】
こうして、カプセルの推奨1日用量を顕著に低減することができる。
【0063】
【表3】
図1