【文献】
川上かおり 諏訪啓 若山俊夫 原照幸,衛星搭載レーダを用いた目標類別 −注目画素フィルタ法の検討−,電子情報通信学会技術研究報告,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2013年 7月19日,第113巻 第165号,Pages 35-40,ISSN 0913-5685
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記算出部が算出した複数の前記目標物の相関係数の各々に基づいて、複数の前記目標物を、目標とする順序に並べる目標順序設定部をさらに備える、請求項1または請求項2に記載のレーダ信号処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態のレーダ信号処理装置、レーダ信号処理方法、およびプログラムを、図面を参照して説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0008】
また、本願でいう「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0009】
(実施形態)
(レーダシステム)
本実施形態のレーダシステムは、電波(レーダ信号)を送信し、送信したレーダ信号の物体による反射波(反射エコー)を受信する。レーダシステムは、受信した反射エコーに基づいて、一または複数の飛翔体などの目標物を判別する。ここで、目標物は、レーダ信号を用いて判別する物体などの対象である。レーダシステムは、判別した一または複数の目標物の各々を、反射エコーのS/N比(signal-noise ratio)の大きさに基づいて並べる。
レーダシステムは、反射エコーのS/N比の大きさに基づいて並べた一または複数の目標物の各々について、その目標物の大きさが閾値以下であるか否かを判定する。レーダシステムは、その目標物の大きさが閾値以下でない場合には、反射エコーに基づいて、ISAR画像などのレーダ画像を生成する。本実施形態では、レーダ画像の一例として、ISAR画像を生成する場合について説明する。レーダシステムは、レーダ画像において、目標物を通過する一または複数の線分上の反射レベルの分布を導出する。レーダシステムは、導出した反射レベルの分布と、予め記憶されているテンプレートから選択される目標物を含む領域の反射レベルの分布との相関係数を算出する。レーダシステムは、算出した相関係数に基づいて、一または複数の目標物の各々を、目標とする順序に並べる。
【0010】
図1は、本実施形態のレーダシステムの一例を示すブロック図である。
レーダシステム100は、例えば、アンテナ102と、サーキュレータ104と、送信部106と、受信部108と、信号処理部110と、記憶部126と、表示部130とを備える。レーダシステム100は、移動体に搭載されて移動しながら使用されてもよいし、静止した状態で使用されてもよい。
【0011】
アンテナ102は、複数のアンテナ素子を配列して大開口アレイを形成するフェーズドアレイアンテナであり、送信部106が特定の周期で繰り返し出力する特定周波数の送信パルス信号(以下、「レーダ信号」という)を指定方向に送信し、送信したレーダ信号の物体による反射エコーを、受信部108へ出力する。
サーキュレータ104は、アンテナ102と接続される。サーキュレータ104は、送受信信号を分離する循環回路である。サーキュレータ104は、送信部106が出力したレーダ信号をアンテナ102へ出力し、アンテナ102が出力した反射エコーを受信部108へ出力する。
【0012】
送信部106は、サーキュレータ104と接続される。送信部106は、例えば、特定の周期でレーダ信号を生成し、生成したレーダ信号を、サーキュレータ104を介してアンテナ102から空間へ送信(放射)する。アンテナ102により送信されたレーダ信号の一部は、物体によって反射される。
受信部108は、サーキュレータ104と接続される。受信部108は、送信部106がレーダ信号を生成する周期に基づく周期で、アンテナ102が出力する信号に基づいて、レーダ受信信号を生成する。具体的には、受信部108は、アンテナ102の複数のアンテナ素子でそれぞれ受信された信号を、位相制御を施し合成することで、任意の方向に受信ビーム(レーダ受信信号)を形成する。受信部108は、生成したレーダ受信信号を信号処理部110に出力する。また、受信部108は、レーダシステム100の外部から送信される目標情報を受信し、受信した目標情報を、姿勢角推定部121aへ出力する。ここで、目標情報には、目標位置、目標速度、ビーム指向方向などが含まれる。目標位置は目標物の位置であり、目標速度は目標物の速度であり、ビーム指向方向はレーダシステム100が送信するレーダ信号の指向方向である。
【0013】
記憶部126は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、またはこれらのうち複数が組み合わされたハイブリッド型記憶装置などにより実現される。記憶部126には、信号処理部110により参照される各種情報が格納されている。具体的には、記憶部126は、一または複数の目標物を含む領域の反射レベルの分布のテンプレートが記憶される。目標物を含む領域の反射レベルの分布については後述する。ここで、目標物が同じでも、目標物の姿勢角が異なる場合には、目標物を含む領域の反射レベルは、異なる。このため、所定の姿勢角毎に、目標物を含む領域の反射レベルの分布が記憶される。
また、記憶部126には、信号処理部110がCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを含む場合、プロセッサにより実行されるプログラム(信号処理プログラム)が格納されてよい。
表示部130は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electroluminescence)表示装置などにより実現される。表示部130は、信号処理部110が出力した目標とする順序に目標物を並べた画面を表示する。
【0014】
信号処理部110の全部または一部は、例えば、CPUなどのプロセッサが記憶部126に記憶されたプログラムを実行することにより実現される機能部(以下、ソフトウェア機能部と称する)である。なお、信号処理部110の全部または一部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
信号処理部110は、例えば、S/N比判別部112と、範囲判別部114と、ISAR画像生成部116と、画像処理部118と、導出部120と、姿勢角推定部121aと、選択部121bと、相関係数算出部122と、目標順序設定部124とを備える。
【0015】
S/N比判別部112は、受信部108と接続される。S/N比判別部112は、受信部108が出力したレーダ受信信号を取得する。S/N比判別部112は、取得したレーダ受信信号に基づいて、パルス圧縮、レンジ圧縮、クロスレンジ圧縮などの処理を行うことによって、レーダ受信信号が表わす一または複数の目標物を判別する。また、レーダシステム100は、アンテナ102が複数の素子を備えるため、レーダビーム内における受信強度の強弱を把握することができる。S/N比判別部112は、受信強度の分布や、受信強度の大きい領域の連結成分(画像処理におけるセグメント)などを基準として、物体を周辺領域と区別して特定する。また、S/N比判別部112は、反射エコーのS/N比に基づいて、S/N比が大きい順に、レーダ受信信号に基づいて判別した一または複数の目標物を順序付けする。S/N比判別部112は、一または複数の目標物を順序付けした結果を、範囲判別部114へ出力する。
【0016】
範囲判別部114は、S/N比判別部112と接続される。範囲判別部114は、S/N比判別部112が出力した一または複数の目標物を順序付けした結果を取得し、取得した順序にしたがって、一または複数の目標物の各々について、その目標物の大きさが閾値以下であるか否かを判定する。具体的には、範囲判別部114は、目標物よりも小さいレンジセル単位で、RCS(Radar Cross Section)強度を検出する。範囲判別部114は、検出したRCS強度に基づいて、目標物が占めるレンジセルを特定し、特定したレンジセルに基づいて、目標物の大きさを推定する。範囲判別部114は、閾値以下でないと判定した目標物を、目標とする。範囲判別部114は、閾値以下でないと判定した目標物による反射エコーから生成されたレーダ受信信号を、ISAR画像生成部116へ出力する。
【0017】
ISAR画像生成部116は範囲判別部114と接続される。ISAR画像生成部116は、範囲判別部114が出力したレーダ受信信号を取得し、取得したレーダ受信信号に基づいて、レンジ・ドップラ法によりISAR画像を生成する。具体的には、ISAR画像生成部116は、時間領域のデータであるレーダ受信信号に対して、FFT(Fast Fourier Transform; 高速フーリエ変換)を行って、周波数領域のレーダ受信信号を導出する。ISAR画像生成部116は、時間領域のデータであるレンジ参照信号に対して、FFTを行って、周波数領域のレンジ参照信号を導出する。ISAR画像生成部116は、導出した周波数領域のレーダ受信信号と、導出した周波数領域のレンジ参照信号とを掛け合わせることで、周波数領域のレンジ圧縮データを導出する。
さらに、ISAR画像生成部116は、時間領域のデータであるクロスレンジ参照信号に対して、FFTを行って、周波数領域のクロスレンジ参照信号を導出する。ISAR画像生成部116は、周波数領域のレンジ圧縮データと周波数領域のクロスレンジ参照信号とを掛け合わせることで、周波数領域のクロスレンジ圧縮データを導出する。ISAR画像生成部116は、周波数領域のクロスレンジ圧縮データに対して、2次元FFTを行って、時間領域のクロスレンジ圧縮データを導出し、導出した時間領域のクロスレンジ圧縮データに基づいて画像データを出力する。
図2は、本実施形態のレーダシステムの信号処理部の処理の一例(その1)を示す図である。
図2の(a)は目標物のモデルの一例であり、
図2の(b)はその目標物を含む領域のISAR画像の一例である。
図2の(a)と
図2の(b)において、横軸はレンジ方向の距離を表し、縦軸はクロスレンジを表している。また、
図2の(b)に示される画像における濃淡(輝度)は、反射波の強度のレベル(反射レベル)を示している。ISAR画像生成部116は、生成したISAR画像を、画像処理部118へ出力する。
【0018】
図1に戻り、画像処理部118について説明する。画像処理部118は、ISAR画像生成部116と接続され、ISAR画像生成部116が出力したISAR画像を取得する。画像処理部118は、取得したISAR画像に対して画像処理を施すことによって、ノイズを除去する。具体的には、画像処理部118は、ISAR画像の複数の画素の各々について、反射レベルの値が閾値以上であれば黒とし、閾値未満であれば白とすることによって、2値化する。画像処理部118は、ISAR画像を2値化することによって得られる画像から目標物を含む領域の画像を抽出し、抽出した目標物を含む領域の画像を、導出部120へ出力する。
図3は、本実施形態のレーダシステムの信号処理部の処理の一例(その2)を示す図である。
図3の左図は
図2の(b)に示したISAR画像を2値化することによって得られる画像の一例を示す。
図3の左図において、横軸はレンジ[m]であり、縦軸はクロスレンジ[m]である。また、
図3の右図は、ISAR画像を2値化することによって得られる画像から目標物を含む領域を抽出した結果を示す。
図3の右図において、横軸はレンジ[m]であり、縦軸はクロスレンジ[m]である。2値化することによって、ISAR画像から目標物を含む領域を抽出し易くすることができる。
【0019】
図1に戻り、導出部120について説明する。導出部120は、画像処理部118が出力した目標物を含む領域の画像に基づいて、目標物を含む領域の画像のレンジ方向の線分上、およびレンジ方向に直交するクロスレンジ方向の線分上のいずれか一方又は両方について、反射レベルの分布を導出する。以下、導出部120は、画像処理部118が出力した目標物を含む領域の画像に基づいて、目標物を含む領域の画像のレンジ方向の線分上、およびレンジ方向に直交するクロスレンジ方向の線分上の両方について、反射レベルの分布を導出する場合について、説明を続ける。ここで、線分上は、線分を含む。具体的には、導出部120は、目標物を含む領域の画像を、レンジ方向にN(Nは、N>0の整数)個に分割することによって、複数の分割画像を取得する。導出部120は、複数の分割画像の各々に含まれる画素について、その画素に表される反射レベルの値を累積することによって、レンジ方向の反射レベルの分布を導出する。
また、導出部120は、目標物を含む領域の画像を、クロスレンジ方向にM(Mは、M>0の整数)個に分割することによって、複数の分割画像を取得する。導出部120は、複数の分割画像の各々に含まれる画素について、その画素に表される反射レベルの値を累積することによって、クロスレンジ方向の反射レベルの分布を導出する。導出部120は、導出したレンジ方向の反射レベルの分布とクロスレンジ方向の反射レベルの分布とを、相関係数算出部122へ出力する。
【0020】
図4は、本実施形態のレーダシステムの信号処理部の処理の一例(その3)を示す図である。
図4の(a)はレンジ方向の反射レベルの分布の一例を示し、
図4の(b)はクロスレンジ方向の反射レベルの分布の一例を示す。
図4の(a)に示すレンジ方向の反射レベルの分布の一例によれば、
図3の右図において、レンジが4mと12mの近傍の領域が反射レベルの高い黒色となっているため、反射レベルの値を累積することによって得られる反射レベルの分布である
図4の(a)において、二つの山が形成されている。ただし、
図4の(a)においては、
図3の右図のレンジが8mを、0mとして表している。
また、
図4の(b)に示すクロスレンジ方向の反射レベルの分布の一例によれば、
図3の右図において、クロスレンジが4mの近傍の領域が反射レベルの高い黒色となっているため、反射レベルの値を累積することによって得られる反射レベルの分布である
図4の(b)において、一つの山が形成されている。ただし、
図4の(b)においては、
図3の右図のクロスレンジが4mを、0mとして表している。
【0021】
図1に戻り、姿勢角推定部121aについて説明する。姿勢角推定部121aは、受信部108と接続され、受信部108が出力する目標情報を取得する。目標情報には、目標位置情報、目標速度情報、ビームの指向方向情報などが含まれる。姿勢角推定部121aは、取得した目標情報に基づいて、目標物の姿勢角を推定し、推定した姿勢角を示す情報を、選択部121bへ出力する。
選択部121bは、姿勢角推定部121aと接続され、姿勢角推定部121aが出力した姿勢角を示す情報を取得する。選択部121bは、目標物の姿勢角を示す情報と、記憶部126に記憶されているテンプレートに含まれる目標物を含む領域の反射レベルの分布の識別情報とを関連付けて記憶している。選択部121bは、取得した姿勢角を示す情報に基づいて、目標物を含む領域の反射レベルの分布の識別情報を選択する。選択部121bは、選択した目標物を含む領域の反射レベルの分布の識別情報を、相関係数算出部122へ出力する。
【0022】
相関係数算出部122は、選択部121bと、導出部120と接続される。
相関係数算出部122は、選択部121bが出力した目標物を含む領域の反射レベルの分布の識別情報を取得する。
相関係数算出部122は、導出部120が出力した目標物を含む領域の反射レベルの分布を取得する。また、相関係数算出部122は、目標物を含む領域の反射レベルの分布の識別情報に該当する目標物を含む領域の反射レベルの分布を、記憶部126に記憶されたテンプレートから取得する。目標物を含む領域の反射レベルの分布は、レンジ方向の反射レベルの周辺分布と、クロスレンジ方向の反射レベルの周辺分布とを含む。
相関係数算出部122は、導出部120から取得した目標物を含む領域のレンジ方向の反射レベルの分布と、テンプレートから取得した目標物を含む領域のレンジ方向の反射レベルの分布との間の相関係数(以下、「レンジ方向の相関係数」という)を算出する。また、相関係数算出部122は、導出部120から取得した目標物を含む領域のクロスレンジ方向の反射レベルの分布と、テンプレートから取得した目標物を含む領域のクロスレンジ方向の反射レベルの分布との間の相関係数(以下、「クロスレンジ方向の相関係数」という)を算出する。相関係数算出部122は、レンジ方向の相関係数の算出結果と、クロスレンジ方向の相関係数の算出結果とを、目標順序設定部124へ出力する。
具体的には、相関係数算出部122は、レンジ方向の相関係数を、式(1)によって算出する。
【0024】
式(1)において、「ρ(A,B)」はレンジ方向の相関係数であり、Aは導出部120から取得した目標物を含む領域のレンジ方向の反射レベルの分布であり、Bは記憶部126から取得した目標物を含む領域のレンジ方向の反射レベルの分布である。また、「N」はISAR画像のレンジ方向の分割数であり、「Ai」は目標物のレンジ方向の反射レベルの分布における反射レベルの値である。「μA」、および「σA」は目標物を含む領域のレンジ方向の反射レベルの分布における反射レベルの値の平均値、および分散値である。また、「Bi」は目標物を含む領域のレンジ方向の反射レベルの分布における反射レベルの値であり、「μB」、および「σB」は目標物を含む領域のレンジ方向の反射レベルの分布における反射レベルの値の平均値、および分散値である。
【0025】
また、相関係数算出部122は、クロスレンジ方向の相関係数を、式(2)によって算出する。
【0027】
式(2)において、「ρ(C,D)」はクロスレンジ方向の相関係数であり、Cは導出部120から取得した目標物を含む領域のクロスレンジ方向の反射レベルの分布であり、Dは記憶部126から取得した目標物を含む領域のクロスレンジ方向の反射レベルの分布である。また、「M」は目標物を含む領域の画像のクロスレンジ方向の分割数であり、「Ci」は目標物を含む領域のクロスレンジ方向の反射レベルの分布における反射レベルの値であり、「μC」、および「σC」は目標物を含む領域のクロスレンジ方向の反射レベルの分布における反射レベルの値の平均値、および分散値である。また、式(2)において、「Di」は目標を含む領域物のクロスレンジ方向の反射レベルの分布における反射レベルの値であり、「μD」、および「σD」は目標物を含む領域のクロスレンジ方向の反射レベルの分布における反射レベルの値の平均値、および分散値である。
【0028】
目標順序設定部124は、相関係数算出部122と接続され、相関係数算出部122が出力した一または複数の目標物の各々について、レンジ方向の相関係数の算出結果と、クロスレンジ方向の相関係数の算出結果とを取得する。目標順序設定部124は、取得した一または複数の目標物の各々についてのレンジ方向の相関係数の算出結果と、クロスレンジ方向の相関係数の算出結果とに基づいて、相関係数が大きい順に並べる。例えば、目標順序設定部124は、レンジ方向の相関係数の算出結果とクロスレンジ方向の相関係数の算出結果との和などの統計値を導出し、導出した統計値が大きい順に並べるようにしてもよい。目標順序設定部124は、一または複数の目標物を並べた結果を示した画像を作成し、作成した画像を、表示部130へ出力する。
表示部130は、目標順序設定部124と接続され、目標順序設定部124が出力した目標物を並べた結果を示した画像を取得し、取得した画像を表示する。
【0029】
(レーダシステムの動作)
本実施形態のレーダシステムの動作を、
図5、
図6を参照して説明する。
図5は、本実施形態のレーダシステムの処理の流れの一例(その1)を示すフローチャートである。
図5は、レーダシステム100の外部から通知される目標情報に基づいて、信号処理部110が、目標物を含む領域の反射レベルの分布を選択する処理を示す。
(ステップS101) 信号処理部110の姿勢角推定部121aは、レーダシステム100の外部から、目標情報を取得する。
(ステップS102) 信号処理部110の姿勢角推定部121aは、取得した目標情報に基づいて、目標物の姿勢角を推定する。姿勢角推定部121aは、目標物の姿勢角の推定結果を、選択部121bへ出力する。
(ステップS103) 信号処理部110の選択部121bは、姿勢角推定部121aが出力した目標物の姿勢角の推定結果に基づいて、目標物を含む領域の反射レベルの分布の識別情報を選択する。選択部121bは、選択した目標物を含む領域の反射レベルの分布の識別情報を、相関係数算出部122へ出力する。
【0030】
図6は、本実施形態のレーダシステムの処理の流れの一例(その2)を示すフローチャートである。
図6は、レーダシステム100の信号処理部110が、目標とする順に、目標物を並べる処理を示す。
(ステップS201) 信号処理部110のS/N比判別部112は、レーダ受信信号を取得し、取得したレーダ受信信号に基づいて、一または複数の目標物を判別する。S/N比判別部112は、判別した一または複数の目標物を、反射エコーのS/N比が大きい順に、順序付けする。
(ステップS202) 信号処理部110の範囲判別部114は、S/N比判別部112が出力した一または複数の目標物を順序付けした結果を取得する。範囲判別部114は、取得した順序にしたがって、一または複数の目標物の各々について、その目標物の大きさが閾値以下であるか否かを判定することによって、目標物の大きさを判定する。目標物の大きさが、閾値以下である場合にはステップS203へ移行し、閾値より大きい場合にはステップS204へ移行する。
【0031】
(ステップS203) 信号処理部110の範囲判別部114は、他の目標物があるか否かを判定する。他の目標物がある場合にはステップS202へ移行し、ない場合にはステップS208へ移行する。
(ステップS204) 信号処理部110のISAR画像生成部116は、範囲判別部114が出力したレーダ受信信号を取得し、取得したレーダ受信信号に基づいて、ISAR画像を生成する。
(ステップS205) 信号処理部110の画像処理部118は、ISAR画像生成部116が出力したISAR画像を取得し、取得したISAR画像に対して画像処理を施すことによって、ノイズを除去する。画像処理部118は、ISAR画像を2値化することによってノイズを除去した画像から目標物を含む領域の画像を抽出し、抽出した目標物を含む領域の画像を、導出部120へ出力する。
【0032】
(ステップS206) 信号処理部110の導出部120は、画像処理部118が出力した目標物を含む領域の画像に基づいて、目標物を含む領域の画像のレンジ方向、およびクロスレンジ方向について、目標物を含む領域の反射レベルの分布を導出する。
(ステップS207) 信号処理部110の相関係数算出部122は、導出部120が出力した目標物を含む領域の反射レベルの分布を取得する。また、相関係数算出部122は、選択部121bが出力する目標物を含む領域の反射レベルの分布の識別情報に該当する目標物を含む領域の反射レベルの分布を、記憶部126に記憶されたテンプレートから取得する。相関係数算出部122は、レンジ方向の相関係数と、クロスレンジ方向の相関係数とを算出する。相関係数算出部122が、レンジ方向の相関係数と、クロスレンジ方向の相関係数とを算出した後、ステップS203へ移行する。
(ステップS208) ステップS203で、他の目標物がないと判定された場合、信号処理部110の目標順序設定部124は、相関係数算出部122が出力した一または複数の目標物の各々について、レンジ方向の相関係数の算出結果と、クロスレンジ方向の相関係数の算出結果とを取得する。目標順序設定部124は、取得した一または複数の目標物の各々について、レンジ方向の相関係数の算出結果と、クロスレンジ方向の相関係数の算出結果とに基づいて、目標とする順序に、目標物を並べる。目標順序設定部124は、目標とする順序に、目標物を並べた結果を示した画像を作成し、作成した画像を表示部130へ出力する。
(ステップS209) 表示部130は、目標順序設定部124が出力した目標物を並べた結果を示した画像を取得し、取得した画像を表示する。
【0033】
前述した実施形態では、レーダ画像が、レンジ・ドップラ法により生成されるISAR(Inverse Synthetic Aperture Radar)画像である場合について説明したが、この例に限られない、例えば、レーダ画像は、SAR(Synthetic Aperture Radar)画像であってもよいし、前方監視レーダ画像や側方監視レーダ画像であってもよい。
また、前述した実施形態では、目標順序設定部124が、一または複数の目標物の各々についてのレンジ方向の相関係数の算出結果と、クロスレンジ方向の相関係数の算出結果とに基づいて、相関係数が大きい順に並べる場合について説明したが、この例に限られない。例えば、目標順序設定部124が、一または複数の目標物の各々について、レンジ方向の相関係数の算出結果と、クロスレンジ方向の相関係数の算出結果とに基づいて、相関係数が低い方から削除するようにしてもよい。
また、前述した実施形態では、目標物を含む領域の画像のレンジ方向の線分上、およびクロスレンジ方向の線分上のいずれか一方又は両方について、反射レベルの分布を導出する場合について説明したが、この例に限られない。例えば、目標物を含む領域画像において、目標物を通過する複数の線分上の反射レベルの分布を導出するようにしてもよい。
【0034】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、レーダ画像から、電波を用いて判別する対象である目標物を含む領域の反射レベルの分布を導出する導出部と、導出部が導出した目標物を含む領域の反射レベルの分布と、予め記憶された目標物を含む領域の反射レベルの分布との相関係数を算出する算出部(相関係数算出部122)とを備えたことによって、ISAR画像から目標物の特徴量を抽出する場合と比較して、画素毎の計算を不要にできるため、計算負荷を軽減できる。
さらに、導出部は、レーダ画像において、目標物を通過する複数の線分上の反射レベルの分布を導出し、算出部は、導出部が導出した反射レベルの分布の各々について、予め記憶された目標物を含む領域の反射レベルの分布との相関係数を算出する。このように、目標物を通過する複数の線分上の反射レベルの分布を用いることによって、複数の相関係数を求めることができるため、目標物の判別精度を向上させることができる。
さらに、算出部が算出した複数の前記目標物の相関係数の各々に基づいて、複数の前記目標物を、目標とする順序に並べる目標順序設定部をさらに備える。このように構成することによって、相関係数に基づいて、目標とする順序に、目標物を並べることができる。
【0035】
また、反射エコーに基づいて目標物を判別し、判別した一または複数の目標物の各々を、S/N比の大きさに基づいて並べるS/N比判別部を備え、導出部は、S/N比判別部によって並べられた一または複数の目標物の各々が表されたレーダ画像から、目標物を含む領域の反射レベルの分布を導出する。このように構成することによって、S/N比が小さい目標物(すなわち反射強度が低く、判別する対象である可能性が低いもの)、については処理の対象から除外あるいは順序を下げるため、無駄な処理を省略して効率的な処理を行うことができる。
また、反射エコーに基づいて目標物を判別し、判別した一または複数の目標物の各々大きさが、閾値以下であるか否かを判定する範囲判定部を備え、導出部は、範囲判定部によって、目標物の各々大きさが閾値以下でないと判定された場合に、目標物が表された前記レーダ画像から、前記目標物を含む領域の反射レベルの分布を導出する。このように構成することによって、大きさが想定範囲外であるような目標物については処理の対象から除外あるいは順序を下げるため、無駄な処理を省略して効率的な処理を行うことができる。
【0036】
以上、本発明の実施形態およびその変形例を説明したが、これらの実施形態およびその変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態およびその変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組合せを行うことができる。これら実施形態およびその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。