特許第6751076号(P6751076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6751076陰圧閉鎖療法と一緒に使用するための、プロテアーゼ調節創傷インターフェース層
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6751076
(24)【登録日】2020年8月17日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】陰圧閉鎖療法と一緒に使用するための、プロテアーゼ調節創傷インターフェース層
(51)【国際特許分類】
   A61L 15/32 20060101AFI20200824BHJP
   A61L 15/42 20060101ALI20200824BHJP
   A61L 15/44 20060101ALI20200824BHJP
   A61L 15/64 20060101ALI20200824BHJP
   A61L 15/62 20060101ALI20200824BHJP
   A61L 15/20 20060101ALI20200824BHJP
   A61L 15/24 20060101ALI20200824BHJP
   A61L 15/26 20060101ALI20200824BHJP
   A61L 15/28 20060101ALI20200824BHJP
   A61M 27/00 20060101ALI20200824BHJP
【FI】
   A61L15/32 310
   A61L15/42 310
   A61L15/44 100
   A61L15/64 100
   A61L15/62 100
   A61L15/20 100
   A61L15/24 100
   A61L15/26 100
   A61L15/28 100
   A61M27/00
【請求項の数】75
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-507010(P2017-507010)
(86)(22)【出願日】2015年8月6日
(65)【公表番号】特表2017-524480(P2017-524480A)
(43)【公表日】2017年8月31日
(86)【国際出願番号】US2015044024
(87)【国際公開番号】WO2016025293
(87)【国際公開日】20160218
【審査請求日】2018年8月6日
(31)【優先権主張番号】62/035,880
(32)【優先日】2014年8月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508268713
【氏名又は名称】ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ロック,クリストファー,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,ティモシー,マーク
(72)【発明者】
【氏名】カレン,ブレダ,マリー
【審査官】 伊藤 基章
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−536156(JP,A)
【文献】 特開2000−060956(JP,A)
【文献】 特開平08−035193(JP,A)
【文献】 HUANG LEI,ENGINEERED COLLAGEN-PEO NANOFIBERS AND FABRICS,JOURNAL OF BIOMATERIALS SCIENCE. POLYMER EDITION,NL,VSP,2001年,VOL:12, NR:9,PAGE(S):979 - 993,URL,http://dx.doi.org/10.1163/156856201753252516
【文献】 VEVES, A. et al.,Arch Surg,2002年,Vol.137,p.822-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 15/00
A61K 9/00
A61K 47/00
A61M 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰圧療法システムにおいて用いるためのメッシュにおいて、
複数のコラーゲン繊維を有する犠牲基質であって、これらコラーゲン繊維が、支持材によって強化され、かつ互いに交差して、複数の開口部を有するコラーゲン繊維のネットワークを形成する、犠牲基質
を含み、
前記複数の開口部の各開口部は、約0.2mm〜約20mmの平均面積を有し、前記メッシュを通した陰圧の流れを可能にすることを特徴とする、メッシュ。
【請求項2】
請求項1に記載のメッシュにおいて、前記開口部は、全体的に円形であり、および約0.5mm〜約5.0mmの平均有効直径を有することを特徴とする、メッシュ。
【請求項3】
請求項1に記載のメッシュにおいて、前記開口部は、全体的に円形であり、および約1mm〜約2.5mmの平均有効直径を有することを特徴とする、メッシュ。
【請求項4】
請求項1に記載のメッシュにおいて、前記コラーゲン繊維の直径は約1ミリメートル未満であることを特徴とする、メッシュ。
【請求項5】
請求項1に記載のメッシュにおいて、前記コラーゲン繊維の直径は約1ミクロン〜50ミクロンであることを特徴とする、メッシュ。
【請求項6】
請求項1に記載のメッシュにおいて、前記ネットワークの厚さは約5ミクロン〜約2ミリメートルであることを特徴とする、メッシュ。
【請求項7】
請求項1に記載のメッシュにおいて、前記ネットワークの厚さは約25ミクロンであることを特徴とする、メッシュ。
【請求項8】
請求項1に記載のメッシュにおいて、前記コラーゲン繊維のコラーゲン含有量は、前記コラーゲン繊維の総材料の約10%〜約50%であることを特徴とする、メッシュ。
【請求項9】
請求項1に記載のメッシュにおいて、前記コラーゲン繊維は一連のコラーゲン要素を含むことを特徴とする、メッシュ。
【請求項10】
請求項1に記載のメッシュにおいて、前記支持材が支持繊維を含むことを特徴とする、メッシュ。
【請求項11】
請求項10に記載のメッシュにおいて、前記支持繊維が、前記複数のコラーゲン繊維と撚り合わされることを特徴とする、メッシュ。
【請求項12】
請求項10に記載のメッシュにおいて、前記支持繊維が、別個のコラーゲン要素を支持して、前記複数のコラーゲン繊維を形成することを特徴とする、メッシュ。
【請求項13】
請求項1に記載のメッシュにおいて、さらに、前記複数のコラーゲン繊維に動作可能に結合された複数の支持繊維を含むことを特徴とする、メッシュ。
【請求項14】
請求項13に記載のメッシュにおいて、前記複数の支持繊維および前記複数のコラーゲン繊維が、一緒に織られることを特徴とする、メッシュ。
【請求項15】
請求項13に記載のメッシュにおいて、前記支持繊維が水溶性であることを特徴とする、メッシュ。
【請求項16】
請求項13に記載のメッシュにおいて、前記支持繊維が生分解性であることを特徴とする、メッシュ。
【請求項17】
請求項13に記載のメッシュにおいて、前記複数のコラーゲン繊維および前記複数の支持繊維のコラーゲン含有量、前記犠牲基質の約10%〜約50%であることを特徴とする、メッシュ。
【請求項18】
請求項13に記載のメッシュにおいて、前記コラーゲン繊維および支持繊維が不織であることを特徴とする、メッシュ。
【請求項19】
請求項1に記載のメッシュにおいて、前記コラーゲン繊維が:
コラーゲンから形成されたステープルファイバーと;
前記支持材から形成されたステープルファイバーと
を含み、
コラーゲンで形成された前記ステープルファイバーと、前記支持材で形成された前記ステープルファイバーとが、一緒に撚り合わされて、前記コラーゲン繊維を形成することを特徴とする、メッシュ。
【請求項20】
請求項19に記載のメッシュにおいて、前記支持材が、ポリエチレンオキシド、アルギン酸、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリカプララクトン、およびポリアミドからなる群から選択された1つ以上を含むことを特徴とする、メッシュ。
【請求項21】
請求項19に記載のメッシュにおいて、コラーゲンから形成された前記ステープルファイバーの長さが、約4mm〜約6mmであることを特徴とする、メッシュ。
【請求項22】
請求項19に記載のメッシュにおいて、前記コラーゲン繊維のコラーゲン含有量が、前記コラーゲン繊維の総材料の約10%〜約50%であることを特徴とする、メッシュ。
【請求項23】
請求項1に記載のメッシュにおいて、さらに、前記コラーゲン繊維と交差して、前記複数の開口部を有する前記ネットワークを形成する、複数の酸化再生セルロース繊維を含むことを特徴とする、メッシュ。
【請求項24】
請求項23に記載のメッシュにおいて、前記メッシュの約45%が酸化再生セルロース繊維を含むことを特徴とする、メッシュ。
【請求項25】
請求項23に記載のメッシュにおいて、前記メッシュの約55%がコラーゲン繊維を含むことを特徴とする、メッシュ。
【請求項26】
陰圧療法システムにおいて、前記システムは:
複数のコラーゲン繊維を含んでいて、これらコラーゲン繊維は、支持材によって強化され、かつ互いに交差して、複数の開口部を有するコラーゲン繊維のネットワークを形成する、調節層であって;
前記複数の開口部の各開口部は、約0.5mm〜約5mmの平均有効直径を有し、前記調節層を通る前記陰圧の流れを可能にする、調節層と;
前記ネットワークに隣接して位置決めされるように構成されたマニホールドと;
前記マニホールドおよび前記ネットワークの上側を覆って位置決めされかつ組織部位に隣接する組織に結合されて、密閉空間を形成するように構成されたカバーと;
前記マニホールドに流体的に結合されて、前記マニホールドおよび前記ネットワークを通して前記密閉空間に陰圧をもたらすように構成された陰圧源と
を含むことを特徴とする、システム。
【請求項27】
請求項26に記載のシステムにおいて、前記開口部の平均面積が約0.2mm〜約20.0mmであることを特徴とする、システム。
【請求項28】
請求項26に記載のシステムにおいて、前記開口部が、全体的に円形であり、および約1mm〜約2.5mmの平均有効直径を有することを特徴とする、システム。
【請求項29】
請求項26に記載のシステムにおいて、前記コラーゲン繊維の直径が約1ミリメートル未満であることを特徴とする、システム。
【請求項30】
請求項26に記載のシステムにおいて、前記コラーゲン繊維の直径が約1ミクロン〜50ミクロンであることを特徴とする、システム。
【請求項31】
請求項26に記載のシステムにおいて、前記ネットワークの厚さが約5ミクロン〜約2ミリメートルであることを特徴とする、システム。
【請求項32】
請求項26に記載のシステムにおいて、前記ネットワークの厚さが約25ミクロンであることを特徴とする、システム。
【請求項33】
請求項26に記載のシステムにおいて、前記コラーゲン繊維のコラーゲン含有量が、前記コラーゲン繊維の総材料の約10%〜約50%であることを特徴とする、システム。
【請求項34】
請求項26に記載のシステムにおいて、前記コラーゲン繊維が一連のコラーゲン要素を含むことを特徴とする、システム。
【請求項35】
請求項26に記載のシステムにおいて、前記支持材が支持繊維を含むことを特徴とする、システム。
【請求項36】
請求項35に記載のシステムにおいて、前記支持繊維が前記複数のコラーゲン繊維と撚り合わされることを特徴とする、システム。
【請求項37】
請求項35に記載のシステムにおいて、前記支持繊維が、別個のコラーゲン要素を支持して、前記複数のコラーゲン繊維を形成することを特徴とする、システム。
【請求項38】
請求項26に記載のシステムにおいて、さらに、前記複数のコラーゲン繊維に動作可能に結合された複数の支持繊維を含むことを特徴とする、システム。
【請求項39】
請求項38に記載のシステムにおいて、前記複数の支持繊維および前記複数のコラーゲン繊維が、一緒に織られることを特徴とする、システム。
【請求項40】
請求項38に記載のシステムにおいて、前記支持繊維が水溶性であることを特徴とする、システム。
【請求項41】
請求項38に記載のシステムにおいて、前記支持繊維が生分解性であることを特徴とする、システム。
【請求項42】
請求項38に記載のシステムにおいて、前記複数のコラーゲン繊維および前記複数の支持繊維のコラーゲン含有量が、前記調節層の約10%〜約50%であることを特徴とする、システム。
【請求項43】
請求項38に記載のシステムにおいて、前記コラーゲン繊維および支持繊維が不織であることを特徴とする、システム。
【請求項44】
請求項26に記載のシステムにおいて、前記コラーゲン繊維が:
コラーゲンから形成されたステープルファイバーと;
前記支持材から形成されたステープルファイバーと
を含み、
コラーゲンで形成された前記ステープルファイバーと、前記支持材で形成された前記ステープルファイバーとが、一緒に撚り合わされて、前記コラーゲン繊維を形成することを特徴とする、システム。
【請求項45】
請求項44に記載のシステムにおいて、前記支持材が、ポリエチレンオキシド、アルギン酸、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリカプララクトン、およびポリアミドからなる群から選択された1つ以上を含むことを特徴とする、システム。
【請求項46】
請求項44に記載のシステムにおいて、コラーゲンから形成された前記ステープルファイバーの長さが、約4mm〜約6mmであることを特徴とする、システム。
【請求項47】
請求項44に記載のシステムにおいて、前記コラーゲン繊維のコラーゲン含有量が、前記コラーゲン繊維の総材料の約10%〜約50%であることを特徴とする、システム。
【請求項48】
請求項26に記載のシステムにおいて、さらに、前記コラーゲン繊維と交差して、前記複数の開口部を有する前記ネットワークを形成する、複数の酸化再生セルロース繊維を含むことを特徴とする、システム。
【請求項49】
請求項48に記載のシステムにおいて、前記調節層の約45%が酸化再生セルロース繊維を含むことを特徴とする、システム。
【請求項50】
請求項48に記載のシステムにおいて、前記調節層の約55%がコラーゲン繊維を含むことを特徴とする、システム。
【請求項51】
陰圧療法環境内において用いるための装置を製造する方法において、
支持材で強化された複数のコラーゲン繊維を形成するステップと;
前記複数のコラーゲン繊維を有する犠牲基質を形成するステップと;
互いの交差点において前記複数のコラーゲン繊維を互いに結合し、複数の開口部を有するコラーゲン繊維のネットワークを形成するステップと
を含み、
前記複数の開口部の各開口部は、約0.5mm〜約5mmの平均有効直径を有し、前記装置を通る陰圧の前記流れを可能にすることを特徴とする、方法。
【請求項52】
請求項51に記載の方法において、前記開口部の平均面積が約0.2mm〜約20.0mmであることを特徴とする、方法。
【請求項53】
請求項51に記載の方法において、前記開口部が、全体的に円形であり、および約1mm〜約2.5mmの平均有効直径を有することを特徴とする、方法。
【請求項54】
請求項51に記載の方法において、前記コラーゲン繊維の直径が約1ミリメートル未満であることを特徴とする、方法。
【請求項55】
請求項51に記載の方法において、前記コラーゲン繊維の直径が約1ミクロン〜50ミクロンであることを特徴とする、方法。
【請求項56】
請求項51に記載の方法において、前記ネットワークの厚さが約5ミクロン〜約2ミリメートルであることを特徴とする、方法。
【請求項57】
請求項51に記載の方法において、前記ネットワークの厚さが約25ミクロンであることを特徴とする、方法。
【請求項58】
請求項51に記載の方法において、前記コラーゲン繊維のコラーゲン含有量が、前記コラーゲン繊維の総材料の約10%〜約50%であることを特徴とする、方法。
【請求項59】
請求項51に記載の方法において、前記コラーゲン繊維が一連のコラーゲン要素を含むことを特徴とする、方法。
【請求項60】
請求項51に記載の方法において、前記支持材が支持繊維を含むことを特徴とする、方法。
【請求項61】
請求項60に記載の方法において、前記方法が、さらに、前記支持繊維を前記複数のコラーゲン繊維と一緒に撚り合わせるステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項62】
請求項60に記載の方法において、前記支持繊維が、別個のコラーゲン要素を支持して、前記複数のコラーゲン繊維を形成することを特徴とする、方法。
【請求項63】
請求項51に記載の方法において、さらに、複数の支持繊維を前記複数のコラーゲン繊維に動作可能に結合するステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項64】
請求項63に記載の方法において、前記方法が、さらに、前記複数の支持繊維と前記複数のコラーゲン繊維とを一緒に織るステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項65】
請求項63に記載の方法において、前記支持繊維が水溶性であることを特徴とする、方法。
【請求項66】
請求項63に記載の方法において、前記支持繊維が生分解性であることを特徴とする、方法。
【請求項67】
請求項63に記載の方法において、前記複数のコラーゲン繊維および前記複数の支持繊維のコラーゲン含有量が、前記犠牲基質の約10%〜約50%であることを特徴とする、方法。
【請求項68】
請求項63に記載の方法において、前記コラーゲン繊維および支持繊維が不織であることを特徴とする、方法。
【請求項69】
請求項51に記載の方法において、前記複数のコラーゲン繊維を形成するステップが:
コラーゲンからステープルファイバーを形成するステップと;
前記支持材からステープルファイバーを形成するステップと;
コラーゲンで形成された前記ステープルファイバーと前記支持材で形成された前記ステープルファイバーとを撚り合わせて、前記コラーゲン繊維を形成するステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項70】
請求項69に記載の方法において、前記支持材が、ポリエチレンオキシド、アルギン酸、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリカプララクトン、およびポリアミドからなる群から選択される1つ以上を含むことを特徴とする、方法。
【請求項71】
請求項69に記載の方法において、コラーゲンから形成された前記ステープルファイバーの長さが、約4mm〜約6mmであることを特徴とする、方法。
【請求項72】
請求項69に記載の方法において、前記コラーゲン繊維のコラーゲン含有量が、前記コラーゲン繊維の総材料の約10%〜約50%であることを特徴とする、方法。
【請求項73】
請求項51に記載の方法において、さらに、前記コラーゲン繊維と交差して、前記複数の開口部を有する前記ネットワークを形成する、複数の酸化再生セルロース繊維を含むことを特徴とする、方法。
【請求項74】
請求項73に記載の方法において、前記装置の約45%が酸化再生セルロース繊維を含むことを特徴とする、方法。
【請求項75】
請求項73に記載の方法において、前記装置の約55%がコラーゲン繊維を含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、35USC§119(e)下において、Lockeらによる2014年8月11日出願の米国仮特許出願第62/035,880号(「Protease Modulating Wound Interface Layer for use with Negative Pressure Wound Therapy」)の利益を主張し、これを、あらゆる点において本願明細書に援用する。
【0002】
添付の特許請求の範囲において説明される本発明は、概して、組織治療システムに関し、より詳細には、限定されるものではないが、組織部位のマトリックスメタロプロテアーゼを調節する(modulate)創傷インターフェース層に関する。
【背景技術】
【0003】
臨床試験および診療から、組織部位に近接して減圧を行うことによって、組織部位における新しい組織の成長を増強および加速し得ることが示されている。この現象の適用例は多数あるが、創傷の治療に特に有利であることが分かっている。外傷、手術、または別の原因であるかなどの創傷の病因に関わらず、創傷を適切にケアすることが、結果に対し重要である。陰圧による創傷または他の組織の治療は、一般に「陰圧療法」と称し得るが、例えば「陰圧閉鎖療法」、「陰圧療法」、「真空療法」、および「真空補助閉鎖法(vacuum−assisted closure)」を含む他の名称によっても知られている。陰圧療法はいくつもの利点を提供し、それら利点には、上皮組織および皮下組織の移動、血流の改善、および創傷部位における組織の微小変形が含まれ得る。同時に、これらの利点により、肉芽組織の発生を増やし、および治癒にかかる時間を短縮することができる。
【0004】
陰圧療法の臨床的利点は広く知られているものの、陰圧療法のコストおよび複雑さは、その適用の制限要因となり得、および陰圧システム、その構成要素、およびプロセスの開発および操作が、製造者、ヘルスケア提供者、および患者に重大な課題を突き付け続けている。
【発明の概要】
【0005】
陰圧療法環境においてマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)を調節するための、新しくかつ有用なシステム、装置、および方法が、添付の特許請求の範囲に説明されている。説明に役立つ実施形態はまた、当業者が、特許請求する主題を作製しかつ使用できるようにするために、提供されている。例えば、陰圧療法システムにおいてマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)を調節するためのメッシュが説明されている。メッシュは、複数のコラーゲン繊維を含む犠牲基質を含み、これらコラーゲン繊維は、支持材で強化され、かつ互いに交差して、複数の開口部を有するコラーゲン繊維のネットワークを形成し得る。複数の開口部の開口部は、約0.2mm〜約20mmの平均面積を有し、メッシュを通した陰圧の流れを可能にする。
【0006】
あるいは、他の例示的な実施形態は、組織部位のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)を調節する陰圧療法システムを説明する。システムは、複数のコラーゲン繊維を含む調節層を含み、これらコラーゲン繊維は、支持材で強化され、かつ互いに交差して、複数の開口部を有するコラーゲン繊維のネットワークを形成する。複数の開口部の開口部は、約0.2mm〜約20mmの平均面積を有し、メッシュを通した陰圧の流れを可能にする。システムはまた、ネットワークに隣接して位置決めされるように構成されたマニホールドと、マニホールドおよびネットワークの上側を覆って位置決めされ、かつ組織部位に隣接する組織に結合して密閉空間を形成するように構成されたカバーとを含み得る。陰圧源が、マニホールドに流体的に結合して、マニホールドおよびネットワークを通して密閉空間に陰圧をもたらすように構成され得る。
【0007】
他の実施形態では、陰圧療法環境内にある組織部位のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)を調節するための装置を製造する方法が説明されている。支持材で強化された複数のコラーゲン繊維が形成され、および複数のコラーゲン繊維を有する犠牲基質が、コラーゲン繊維から形成され得る。複数のコラーゲン繊維は、互いの交差点において互いに結合されて、複数の開口部を有するコラーゲン繊維のネットワークを形成し得る。複数の開口部の開口部は、約0.2mm〜約20mmの平均面積を有し、メッシュを通した陰圧の流れを可能にする。
【0008】
さらに他の実施形態では、陰圧療法を提供しかつ組織部位のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)を調節する方法が説明されている。支持材で強化されかつ互いに交差して複数の開口部を形成する複数のコラーゲン繊維を含む犠牲ネットワークが、提供され得る。複数の開口部の開口部が、約0.2mm〜約20mmの平均面積を有し、メッシュを通した陰圧の流れを可能にする。犠牲ネットワークは、組織部位に隣接して位置決めされ、およびマニホールドは、犠牲ネットワークに隣接して位置決めされ得る。陰圧源は、マニホールドに流体的に結合され、および陰圧は、マニホールドおよび犠牲ネットワークを通して組織部位にもたらされ得る。
【0009】
特許請求する主題を作製しかつ使用する目的、利点、および好ましい態様は、以下の説明に役立つ実施形態の詳細な説明と併せて添付図面を参照すると、最もよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本明細書による、マトリックスメタロプロテアーゼを調節できる陰圧療法システムの例示的な実施形態の一部分を立面図で示す、断面図である。
図2図2は、図1の陰圧療法システムのメッシュに関連付けられ得る追加的な詳細を示す、斜視図である。
図3図3は、図1の陰圧療法システムの別のメッシュに関連付けられ得る追加的な詳細を示す、斜視図である。
図4図4は、図1の陰圧療法システムの別のメッシュに関連付けられ得る追加的な詳細を示す、概略図である。
図5図5は、図1の陰圧療法システムの別のメッシュに関連付けられ得る追加的な詳細を示す、斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態の以下の説明は、当業者が、添付の特許請求の範囲において説明された主題を作製しかつ使用できるようにするための情報を提供するが、当業界で既に周知の特定の情報に関する説明を省略し得る。それゆえ、以下の詳細な説明は、説明に役立ち、かつ非限定的であるとみなされる。
【0012】
実施形態はまた、本明細書では、添付の図面に示される様々な要素間の空間関係または様々な要素間の空間定位を参照して説明され得る。概して、そのような関係または定位は、治療を受ける位置にいる患者と一致するかまたは患者に対する基準系とみなす。しかしながら、当業者によって認識される必要があるように、この基準系は、厳密な規定ではなく、説明の手段にすぎない。
【0013】
図1は、本明細書による、組織部位101のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)に調節剤をもたらすことができる陰圧療法システム100の、一部分を立面図で示す、断面図である。陰圧療法システム100は、ドレッシングおよび陰圧源を含み得る。例えば、図1に示すように、ドレッシング102は、陰圧源104に流体的に結合され得る。ドレッシングは、一般的に、カバーおよび組織インターフェースを含み得る。ドレッシング102は、例えば、カバー106および組織インターフェース108を含む。いくつかの実施形態では、組織インターフェース108は、マニホールド112と、複数のコラーゲン繊維126を含むメッシュ114とを含み得る。陰圧療法システム100はまた、ドレッシング102および陰圧源104に結合された、コンテナー110などの流体コンテナーを含み得る。
【0014】
概して、陰圧療法システム100の構成要素は、直接または間接的に結合され得る。例えば、陰圧源104は、コンテナー110に直接結合され、およびドレッシング102にコンテナー110を通して間接的に結合され得る。構成要素は、互いに流体的に結合されて、構成要素間で流体(すなわち、液体および/または気体)を移動させる経路を提供し得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、例えば、構成要素は、例えばチューブ116などのチューブを通して流体的に結合され得る。本明細書では「チューブ」は、チューブ、パイプ、ホース、導管、または2つの端部間で流体を運ぶように適合された1つ以上のルーメンを備える他の構造体を広く指す。一般に、チューブは、細長く、シリンダー状構造であり、ある程度可撓性があるが、幾何学的形状および剛性は様々とし得る。それに加えてまたはその代わりに、いくつかの実施形態では、構成要素はまた、単一構造へ一体化されているかまたは同じ材料部片から形成されている、物理的近接によって、結合され得る。いくつかの状況では、結合はまた、機械的、熱的、電気的、または化学的結合(ケミカルボンドなど)を含み得る。
【0016】
ドレッシング102は、チューブ116、およびコネクタ118などのコネクタを通して、コンテナー110に流体的に結合され得る。例えば、コネクタ118は、KCI(San Antonio、Texas)から入手可能なT.R.A.C.(登録商標)PadまたはSensa T.R.A.C.(登録商標)Padとし得る。いくつかの実施形態では、コネクタ118は、密閉治療環境まで延在するチューブ116の一部分とし得るか、または密閉治療環境内へと延在するマイクロポンプの真空ポートとし得る。
【0017】
動作中、組織インターフェース108は、組織部位内に、その上側を覆って、その上に、それに隣接して、またはそうでなければそれに近接して配置され得る。カバー106は、組織インターフェース108の上側を覆って配置され、かつ組織部位101の近くの組織に封止され得る。例えば、カバー106は、組織部位101の周辺の無傷の表皮に対して封止されてもよい。それゆえ、ドレッシング102は、組織部位101に近接して、外部環境から実質的に隔離された密閉治療環境120を提供し、および陰圧源104は、密閉治療環境120内の圧力を低下させ得る。密閉治療環境120内の組織インターフェース108を用いて組織部位101にわたって適用された陰圧は、組織部位101にマクロ歪みおよび微小歪みを誘発でき、ならびに組織部位101から滲出液および他の流体を除去でき、それらをコンテナー110に収集して適切に廃棄できる。
【0018】
別の構成要素または箇所、例えば密閉治療環境内の圧力を低下させるために陰圧源を使用する流体力学は、数学的に複雑とし得る。しかしながら、陰圧療法に適用可能である流体力学の基本原理は、一般的に、当業者によく知られており、および減圧のプロセスは、本明細書で、例えば陰圧の「送給」、「分配」、または「生成」と例示的に説明され得る。
【0019】
概して、滲出液および他の流体は、流体路に沿って、より低い圧力の方へ流れる。それゆえ、用語「下流」は、一般に、陰圧源に比較的近い流体路内の位置を指す。逆に、用語「上流」は、陰圧源から比較的離れている流体路内の位置を指す。同様に、そのような基準系では、流体の「入口」または「出口」の観点から、いくつかの特徴を説明することが便利かもしれない。この方向付け(orientation)は、一般的に、本明細書の陰圧療法システムの様々な特徴および構成要素を説明するために推定される。しかしながら、流体路はまた、いくつかの適用例では逆にされてもよく(陽圧源で陰圧源を置き換えることによるなど)、かつこの記述的なしきたりは、限定的なしきたりであるとみなされるべきではない。
【0020】
これに関連して、用語「組織部位」は、骨組織、脂肪組織、筋組織、神経組織、皮膚組織、脈管組織、結合組織、軟骨、腱、または靭帯を含むがこれらに限定されない組織にあるまたはその内部の、創傷または欠損を広範に指す。創傷は、例えば、慢性の、急性の、外傷性の、亜急性の、および離開した創傷、中間層熱傷、潰瘍(例えば糖尿病潰瘍、圧迫潰瘍、または静脈不全潰瘍)、弁(flap)、およびグラフトを含み得る。用語「組織部位」はまた、必ずしも傷ついても欠損してもいない、いずれかの組織領域を指し得るが、その代わりに、追加的な組織の成長を支援または促進することが望ましいとし得る領域である。例えば、いくつかの組織領域において陰圧を使用して、追加的な組織を成長させ、それら組織を採取し、別の組織の箇所に移植してもよい。
【0021】
「陰圧」は、一般的に、局所的な周囲圧力を下回る圧力を指す。周囲圧力は、ドレッシング102によってもたらされた密閉治療環境120の外側にある局所環境における圧力とし得る。多くの場合、局所的な周囲圧力はまた、組織部位がある場所の大気圧とし得る。あるいは、陰圧は、組織部位101における組織に関連する静水圧を下回り得る圧力とし得る。他に指定のない限り、明細書で述べる圧力の値はゲージ圧である。同様に、陰圧の上昇への言及は、一般に絶対圧の低下を指す一方、陰圧の低下は、一般に絶対圧の上昇を指す。
【0022】
陰圧源104などの陰圧源は、陰圧での空気の溜め部としてもよいし、または密閉された容積部の圧力を低下させ得る手動または電動の装置、例えば真空ポンプ、吸引ポンプ、多くのヘルスケア施設で利用可能なものなどの壁面吸い込みポート、またはマイクロポンプなどとしてもよい。陰圧源は、陰圧療法をさらに容易にするセンサー、処理装置、アラームインジケータ、メモリ、データベース、ソフトウェア、表示装置、またはユーザインターフェースなどの他の構成要素内に収容され得るかまたはそれらと一緒に使用され得る。組織部位に適用される陰圧の量および性質は、治療条件に従って変化し得るが、圧力は、一般的に、一般に低真空(rough vacuum)とも呼ばれる低真空(low vacuum)、−5mm Hg(−667Pa)〜−500mm Hg(−66.7kPa)である。一般的な治療範囲は、−75mm Hg(−9.9kPa)〜−300mm Hg(−39.9kPa)である。
【0023】
組織インターフェース108は、一般的に、組織部位101に接触するように適合され得る。組織インターフェース108は、部分的にまたは全体的に組織部位101と接触し得る。組織部位101が創傷である場合、例えば、組織インターフェース108は、部分的にまたは完全に創傷を塞ぎ得るか、または創傷の上側を覆って配置され得る。組織インターフェース108は、様々な要因、例えば、施されている治療のタイプまたは組織部位101の性質およびサイズに依存して、多くの形態を取り、および多くのサイズ、形状、または厚さを有し得る。例えば、組織インターフェース108のサイズおよび形状は、深くて異形の組織部位の輪郭に適合され得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、組織インターフェース108は、マニホールド112などのマニホールドとし得る。これに関連して、「マニホールド」は、一般的に、陰圧下で流体を収集するかまたは組織部位にわたって分配するように適合された複数の経路を提供する任意の物体または構造体を含む。例えば、マニホールドは、陰圧源から陰圧を受け、かつその陰圧を、組織部位にわたって複数のアパーチャに分配するように適合されてもよく、これは、組織部位にわたって流体を収集しかつ陰圧源の方へ流体を引く効果を有し得る。いくつかの実施形態では、流体路は、逆にされてもよいし、または組織部位にわたって流体を送給するのを容易にするために副流体路が設けられてもよい。
【0025】
いくつかの説明に役立つ実施形態では、マニホールドの経路は、組織部位にわたる流体の分配または収集を改善し得るように相互に接続されたチャネルとし得る。例えば、気泡質の発泡体、連続気泡発泡体、網状発泡体、多孔性組織集合体、およびガーゼまたはフェルト材料などの他の多孔質材は、一般的に、相互接続された流体経路を形成するように適合された細孔、エッジ、および/または壁を含む。液体、ゲル、および他の発泡体はまた、アパーチャおよびフローチャネルを含み得るか、または硬化してアパーチャおよびフローチャネルを含み得る。いくつかの説明に役立つ実施形態では、マニホールドは、組織部位に陰圧を一様に(または準一様に)分配するように適合された、連続気泡または細孔を有する多孔質の発泡材料とし得る。いくつかの説明に役立つ実施形態では、マニホールドは、約20ミクロン〜約400ミクロンの範囲の直径の細孔を有し得る。発泡材料は、疎水性でもまたは親水性でもよい。1つの非限定的な例では、マニホールドは、Kinetic Concepts,Inc.(San Antonio、Texas)から入手可能なGranuFoam(登録商標)ドレッシングなどの連続気泡の網状ポリウレタン発泡体とし得る。
【0026】
組織インターフェース108が親水性材料から作製され得る例では、組織インターフェース108はまた、組織部位にわたって陰圧を分配し続ける間に、組織部位から流体を吸い上げ得る。組織インターフェース108の吸い上げ特性は、毛細管流動または他の吸い上げ機構によって組織部位から流体を引き出し得る。親水性発泡体の例は、ポリビニルアルコール製の連続気泡発泡体、例えばKinetic Concepts,Inc.(San Antonio、Texas)から入手可能なV.A.C.WhiteFoam(登録商標)ドレッシングとし得る。他の親水性発泡体は、ポリエーテルから作製されたものを含み得る。親水性を示し得る他の発泡体は、親水性をもたらすように処理または被覆された疎水性発泡体を含む。
【0027】
組織インターフェース108は、密閉治療環境120内の圧力が低下されると、組織部位における肉芽形成をさらに促進し得る。例えば、組織インターフェース108の表面のいずれかまたは全ては、凸凹した、粗い、またはギザギザしたプロファイルを有することがあり、組織インターフェース108を通して陰圧が適用される場合、組織部位において微小歪みおよび応力を誘発し得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、組織インターフェース108は、生体再吸収性材料から構成され得る。好適な生体再吸収性材料は、限定されるものではないが、ポリ乳酸(PLA)とポリグリコール酸(PGA)のポリマーブレンドを含み得る。ポリマーブレンドはまた、限定されるものではないが、ポリカーボネート、ポリフマレート、およびカプララクトン(capralactones)を含み得る。組織インターフェース108は、新しい細胞増殖のための足場としての機能をさらに果たしてもよいし、または細胞増殖を促進するために組織インターフェース108と足場材料が一緒に使用されてもよい。足場は、一般的に、細胞増殖または組織形成を増進させるまたは促進するのに使用される物体または構造体であり、例えば、細胞増殖のテンプレートを提供する三次元の多孔質構造体とし得る。足場材料の説明に役立つ例は、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、コーラルヒドロキシアパタイト(coral hydroxy apatite)、カーボネート、または加工された同種移植片材料を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、カバー106は、バクテリアバリアおよび身体的外傷からの保護を提供し得る。カバー106はまた、蒸発損失を低減させかつ2つの構成要素間または治療環境と局所的な外部環境との間などの2つの環境間に流体シールをもたらし得る材料から構成され得る。カバー106は、例えば、所与の陰圧源に関して組織部位において陰圧を維持するのに適したシールをもたらし得るエラストマーフィルムまたは膜とし得る。いくつかの例示的な実施形態では、カバー106は、ポリマードレープ、例えば水蒸気に対して透過性であるが液体に対して不透過性であるポリウレタンフィルムとし得る。そのようなドレープは、一般に、約25〜約50ミクロンの範囲の厚さを有する。透過性材料に関し、透過性は、一般的に、所望の陰圧が維持され得るように十分に低い必要がある。
【0030】
カバー106を取付面、例えば無傷の表皮、ガスケット、または別のカバーに取り付けるために、取付装置122などの取付装置が使用され得る。取付装置122は、多くの形態をとり得る。例えば、取付装置122は、シール部材の周辺、一部分、または全体に延在する、医学的に容認できる感圧接着剤とし得る。いくつかの実施形態では、例えば、カバー106の一部または全ては、約25〜65g.s.mの塗布量を有するアクリル接着剤によって被覆され得る。いくつかの実施形態では、より厚みのある(thicker)接着剤、または接着剤を組み合わせたものが塗布されて、シールを向上させかつ漏れを減少させ得る。取付装置122の他の例示的な実施形態は、両面テープ、糊、親水コロイド、ヒドロゲル、シリコーンゲル、またはオルガノゲルを含み得る。
【0031】
コンテナー110は、組織部位から引き出された滲出液および他の流体を管理するために使用され得るコンテナー、キャニスター、パウチ、または他の貯蔵構成要素を代表する。多くの環境では、流体を収集、貯蔵、および廃棄するためには強固なコンテナーが好ましいとし得るか、または必要とされ得る。他の環境では、強固なコンテナーによって貯蔵されなくても、流体は適切に廃棄され、および再使用可能なコンテナーが、陰圧療法に関連する廃棄物およびコストを削減し得る。
【0032】
組織部位の治癒の最中、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)が生じる。MMPは、組織部位の再構築のプロセスを支援する酵素である。MMPは、メトジンシンスーパーファミリーとして知られ得る、より大きなプロテアーゼファミリーに属する亜鉛依存性エンドペプチダーゼ(zinc−dependent endopeptidases)に分類され得る。MMPは、形態発生、新脈管形成、組織修復、肝硬変、関節炎、および転移を含む、生理学的なプロセスおよび病理学的なプロセスの双方に関連付けられ得る。一般的に、MMPは、細胞外マトリックスタンパク質を分解する。細胞外マトリックスタンパク質は、多細胞構造の細胞外の構成要素である。細胞外マトリックスタンパク質は、組織を支持し、組織を分離し、組織の細胞間の連絡を調整し、かつ細胞の動的ふるまいを調整し得る。細胞外マトリックスタンパク質はまた、細胞増殖因子を貯蔵でき、この因子は、組織が損傷を受けると放出され得る。細胞外マトリックスタンパク質は、傷害での免疫機構の反応を防止して炎症を防止することによって、組織の再成長(regrowth)および治癒を支援する。細胞外マトリックスタンパク質はまた、周囲組織が、瘢痕組織を形成するのではなく、損傷組織を修復するのを支援し得る。MMPは、組織の傷害時に損傷した細胞外マトリックスタンパク質を分解することによって、細胞外マトリックスタンパク質が組織を治癒するのを支援する。損傷した細胞外マトリックスタンパク質の分解は、損傷していない細胞外マトリックスタンパク質が、新しく形成された構成要素と一体化できるようにする。MMPはまた、感染の原因となり得るバイオフィルムを除去し、損傷組織に新しい血管を確立するのを助け、上皮細胞の移動を支援し、および瘢痕組織を再構築する。しかしながら、MMPは、損傷組織の治癒を抑制し得る。例えば、組織部位の誤った位置にあるMMPは、または組織部位にあるMMPが多すぎると、治癒に必要な細胞外マトリックスタンパク質を分解してしまう。一般に、炎症反応が高い組織部位は、治癒の抑制を生じ得る割合でMMPを生成し得る。炎症はまた、組織部位からの流体の生成を増やす原因となり、浸軟および他の変性状態を生じ、それにより、治癒にかかる時間を長引かせ得る。
【0033】
過剰なMMPは、組織部位に調節剤を加えることによって、調節され得る。調節剤は、構造タンパク質などの作用物質とし、組織部位に加えられ得る。調節剤は、タンパク質から形成された清掃または犠牲構造を含み得る。組織部位に隣接して犠牲構造が配置される場合、過剰なMMPは、新しく形成された組織ではなく、犠牲構造を分解し、既存の炎症および追加的な炎症の可能性を低下させる。いくつかの犠牲構造は、コラーゲン基質を形成するコラーゲン物質のシートを含み得る。コラーゲン基質は、組織部位の表面上に配置され得るか、または組織インターフェースやマニホールドなどの別の基質上に被覆され得る。一般的に、調節剤は、MMPがアクティブでありかつ治癒に有害である組織部位の領域に密接に接触して配置される必要がある。
【0034】
いくつかの組織部位は、治癒の最中に失速(stall)し得る。失速した組織部位は、所望の時間枠内で所望の治癒の進行に従わない組織部位とし得る。失速した組織部位は、過剰なMMPならびに過剰なエラスターゼおよび細菌プロテアーゼに起因し得る。エラスターゼおよび細菌プロテアーゼは、タンパク質の分解を支援し得るプロテアーゼのタイプである。過剰なエラスターゼおよび細菌プロテアーゼは、新しい組織が発生するときに、それを分解することによって、治癒を抑制し、組織部位が治癒しないようにし得る。MMPと同様に、エラスターゼおよび細菌プロテアーゼは、酸化再生セルロース(ORC)などの調節剤を組織部位に加えることによって、調節され得る。ORCは、pH約4.4未満で安定とし、および負に帯電され得る。ORCが組織部位に配置される場合、組織部位は、ORCのpHを、体の自然なpHまで上昇させるように反応して、組織部位から不要な生産物を除去するのを支援し得るグルクロン酸を生成し得る。負に帯電されているORCはまた、正に帯電されているエラスターゼおよび細菌プロテアーゼを引き付けかつそれに結合し得る。
【0035】
陰圧療法の適用は、肉芽形成を促し、かつ創傷液を管理して、調節剤の効果を高め得る。しかしながら、コラーゲン基質などのほとんどの調節剤は、連続的でありかつ非多孔性である。基質が、プロテアーゼ、例えば組織部位のMMP、エラスターゼ、および細菌プロテアーゼと密接に接触するように、コラーゲン基質、ORC基質、または複合コラーゲン/ORC基質が組織部位に隣接して配置されると、基質は、陰圧を含め、流体の流れのバリアの機能を果たし得る。その結果、調節剤は、組織部位への陰圧の伝達を抑制し、陰圧療法が、肉芽形成を促しかつ創傷液を管理しないようにし得る。それゆえ、調節剤は、MMP、エラスターゼ、および細菌プロテアーゼに起因する損傷を減少させ得るが、調節剤は、浸軟を増やし、肉芽形成を制限し、および他の方法で陰圧療法の利点を妨害し得る。少なくともこの理由のため、臨床医は、陰圧療法で調節剤を使用したがらない。基質に孔を形成するために基質を穿孔することは、組織部位に陰圧を伝達するのを助けるが、孔から打ち抜かれた材料が廃棄物として廃棄され、コスト上効率的ではない。犠牲基質が穿孔される場合でも、そのような基質はまた、十分な直径の孔を有して、陰圧の流れを可能にし、かつ十分な剛性および強度を有して、組織部位への陰圧の伝達に耐える必要がある。
【0036】
これらのおよび他の限界が、MMP、エラスターゼ、および細菌プロテアーゼを含むプロテアーゼに調節剤を提供し得る一方で、組織部位に陰圧をもたらす陰圧療法システム100によって対処され得る。いくつかの実施形態では、陰圧療法システム100は、十分なサイズまたは直径の複数の開口部を有するネットワークを形成するように互いに交差する複数のコラーゲン繊維を含むメッシュ114を有するドレッシング102を含み、メッシュ114を通した陰圧の流れを可能にして、犠牲基質、犠牲ネットワーク、または調節層として機能し得る。開口部は、任意の形状とし得るが、陰圧の流れを抑制しないように、十分なサイズまたは面積である。コラーゲン繊維は、支持材によって強化され、コラーゲン繊維のコラーゲン含有量は、コラーゲン繊維の総含有量の約30%とし得る。他の実施形態では、コラーゲン繊維の総コラーゲン含有量は、コラーゲン繊維の総含有量の約10%〜約50%とし得る。いくつかの実施形態では、支持材は、ポリエチレンオキシドとしてもよく、およびポリエチレンオキシドは、コラーゲン繊維の総材料含有量の約90%〜約50%とし得る。支持材は水溶性とし得る。支持材はまた、生分解性とし得る。いくつかの実施形態では、支持材は、支持材から形成された支持繊維の形態を取り、およびコラーゲン繊維と撚り合わされて、コラーゲンをさらに強化し得る。いくつかの実施形態では、メッシュ114は、ORCから形成された繊維を含み得る。
【0037】
図2は、陰圧療法システム100のいくつかの例示的な実施形態に関連付けられ得る追加的な詳細を示す、メッシュ114の一部分の斜視図であり、メッシュ114が複数のコラーゲン繊維126、127から形成されている。いくつかの実施形態では、メッシュ114は、織り、編み、糸結び、リンキング、または他の方法でコラーゲン繊維126、127を接続して開口部またはメッシュアパーチャ130の規則的なパターンを形成することによって、形成され得る。図2に示すように、メッシュ114は、互いに実質的に平行に位置合わせされた第1の複数のコラーゲン繊維126と、同様に互いに実質的に平行に位置合わせされた第2の複数のコラーゲン繊維127とを含み得、第1および第2の複数のコラーゲン繊維126、127は、互いに隣接して、ある角度で位置決めされる。その結果、第1および第2の複数のコラーゲン繊維126、127は互いに重なり合って、複数の開口部またはメッシュアパーチャ130を有するネットワークを形成する。第1および第2の複数のコラーゲン繊維126、127は互いに交差して、複数の交差点136を形成し得る。少なくとも2本のコラーゲン繊維126、127の交差点136は、交差点136において繊維を重ね合わせることによって、または繊維間の他のタイプの接続によって、形成され得る。
【0038】
第1および第2の複数のコラーゲン繊維126、127は、それぞれ隣接するコラーゲン繊維126、127から、それぞれ約0.5mm〜約5mmとし得る距離132および134だけ、分離され得る。他の実施形態では、距離132および134は、約1.0mm〜約2.5mmとし得る。いくつかの実施形態では、距離132の第1の方向、および距離134の第2の方向は、直角をなし得る。いくつかの実施形態では、距離132および距離134は、同じとし得る。他の実施形態では、距離132の第1の方向と、距離134の第2の方向とによって形成された角度は、直角以外の角度としてもよく、および距離132および距離134は、同じでなくてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、メッシュアパーチャ130の平均有効径は、約1mmとし得る。非円形領域の有効径は、非円形領域と同じ表面積を有する円形領域の直径とし得る。例えば、距離132が0.5mmであり、および距離134が0.5mmであるメッシュアパーチャ130の表面積は、0.25mmとし得る。0.25mmの表面積を有する円形領域の直径は、約0.56mmである;その結果、例示的なメッシュアパーチャ130の有効径は、約0.56mmである。同様に、距離132が約4mmであり、および距離134が約4mmである場合、メッシュアパーチャ130の有効径は、約4.51mmとし得る。いくつかの実施形態では、各メッシュアパーチャ130は、メッシュアパーチャ130の有効径によって形成された面積を有し得る。いくつかの実施形態では、各メッシュアパーチャ130は、面積が均一とし得る。他の実施形態では、各メッシュアパーチャ130は、面積が均一でなくてもよい。メッシュアパーチャ130の面積が均一でない場合、メッシュアパーチャ130の面積の平均は、約0.2mm〜約20mmとし得る。いくつかの実施形態では、メッシュアパーチャ130は、正方形とし得る。他の実施形態では、メッシュアパーチャ130は、矩形、三角形、円形、卵形、または無定形などの他の形状を形成し得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、コラーゲン繊維126、127のそれぞれは、直径128を有し得る。いくつかの実施形態では、直径128は、約1mm以下とし得る。いくつかの実施形態では、直径128は、約1ミクロンとし得る。いくつかの実施形態では、直径128は、約5ミクロン〜約50ミクロンとし得る。交差点136は隆起141を有し得る。いくつかの実施形態では、交差点136における隆起141は、コラーゲン繊維126、127の直径128に等しいとし得る。いくつかの実施形態では、隆起141は、メッシュ114の形成後にメッシュ114を圧縮することによって、減少され得る。隆起141はまた、メッシュ114に圧力を加えてメッシュ114のしわを伸ばし得るカレンダーにメッシュ114を通過させることによって、減少され得る。いくつかの実施形態では、隆起141は約1mm未満とし得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、メッシュ114は、実質的に平坦とし得る。例えば、メッシュ114は厚さ124を有し、およびメッシュ114の個々の部分は、厚さ124からの最小許容誤差を有し得る。いくつかの実施形態では、メッシュ114の厚さ124は、一部には、繊維126、127の直径128に基づき得る。いくつかの実施形態では、メッシュ114の厚さ124は約1mmとし、および厚さ124の許容誤差は約2mm未満とし得る。別の例示的な実施形態では、メッシュ114の厚さ124の許容誤差は約1mm未満とし得る。他の実施形態では、メッシュ114の厚さ124の許容誤差は約0.5mm未満とし得る。他の実施形態では、メッシュ114の厚さ124は約5ミクロン〜約50ミクロンとし得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、メッシュ114は、押出プロセスによって形成され得る。例えば、コラーゲンは、ポリ(ラクチド−グリコリド)などのポリマー、または押出プロセスに特に好適とし得るPLGAコポリマーと、ブレンドされ得る。ブレンドされたコラーゲンポリマーは、メッシュ114に押し出され、そのメッシュは、複数のコラーゲン繊維126、127を有し、それらの間に複数のメッシュアパーチャ130が形成され得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、コラーゲン繊維126、127は、複数のステープルファイバーから形成され得る。ステープルファイバーは、選択された標準化された長さの繊維とし得る。コラーゲン繊維126、127は、コラーゲンから形成されたステープルファイバーと、支持材から形成されたステープルファイバーとの組み合わせであり、コラーゲンのステープルファイバーのコラーゲン物質を強化し得る。コラーゲンのステープルファイバーは、溶融紡糸、湿式紡糸、エレクトロスピニング、または他の好適なプロセスによって形成され得る。溶融紡糸は、ポリマー中にコラーゲンを溶融して、複合物質を紡糸口金に押し込み、繊維を形成することを含み得る。例えば、コラーゲンスプリットスキン(collagen split skin)は、変性されかつ乾燥されて、遠心ミルですりつぶして粉体にされ、およびグリセロールおよび脱イオン水と混合され得る。この溶液が、押出紡績システムに供給されて、繊維を形成し得る。湿式紡糸は、ポリマー中にコラーゲンを溶解して、低pHの凝固浴を形成することを含み得る。凝固浴中の液体は蒸発して、微細な繊維を形成し得る。例えば、コラーゲン分散体は、アルカリ処理されたウシおよびブタの分離片(split)を使用して、これらスプリットを、溶液で処理し、刻み、酸性化し、かつコロイドミル内で処理して、準備され得る。コラーゲン分散体は、シリンダー紡績システムによって加工されて糸を紡いで、これは、浴内で凝固され、風乾され、およびボビンに巻かれ得る。エレクトロスピニングは、コラーゲン−ポリマー溶液を電界にさらして、ペンダントドロップの表面に電荷蓄積を引き起こし得る。電荷蓄積は、ドロップの表面張力によって生じる力を直接妨害する力を生成し、これは、電界強度の臨界値を超えると、細いフィラメントを形成するように排出する、帯電したジェットを引き起こし得る。コラーゲンおよびポリエチレンオキシドポリマーを用いるエレクトロスピニングに関する追加的な情報は、Lei Huang,et al.“Engineered collagen−PEO nanofibers and fabrics,”J.Biomater.Sci.Polymer Edn,Vol.12,No.9,pp.979−993(2001)に説明されており、これを、あらゆる点において本願明細書に援用する。その後、コラーゲンのフィラメントは、標準化された長さに切断されて、ステープルファイバーを形成し得る。いくつかの実施形態では、コラーゲンのステープルファイバーの長さは、約4mm〜約6mmとし得る。
【0044】
支持材から形成されたステープルファイバーは、ポリエチレンオキシド、アルギン酸、ポリ乳酸、他の生体吸収性ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリカプララクトン(POLYCAPRALACTONES)、またはポリアミドのうちの1つ以上から形成され得る。支持材のステープルファイバーは、支持材のフィラメントを生成してフィラメントを標準化された長さに切断することによって、形成され得る。いくつかの実施形態では、支持材のステープルファイバーの長さは、約4mm〜約6mmとし得る。
【0045】
コラーゲンのステープルファイバー、および支持材のステープルファイバーは、撚り合わされて、およびコラーゲン繊維126、127を形成するように、梳毛機ですかれ得る。いくつかの実施形態では、コラーゲン繊維126、127のコラーゲン含有量は、コラーゲン繊維126、127の総含有量の約30%とし得る。他の実施形態では、コラーゲン繊維126、127の総コラーゲン含有量は、コラーゲン繊維126、127の総含有量の約10%〜約50%とし得る。コラーゲン繊維126、127の残量は、支持材とし得る。例えば、いくつかの実施形態では、支持材はポリエチレンオキシドとしてもよく、およびポリエチレンオキシドは、コラーゲン繊維126、127の総材料含有量の約90%〜約50%とし得る。いくつかの実施形態では、コラーゲン繊維126、127は、一連のコラーゲン要素とし得る。
【0046】
図1を参照して説明すると、陰圧は、マニホールド112を通して組織部位101に供給され得る。マニホールド112は、メッシュ114を収縮させかつそれを組織部位101の表面へと圧迫し、および陰圧は、メッシュアパーチャ130を通して組織部位101に分配され得る。メッシュ114は、組織部位101から水分を簡単に吸収し得る。メッシュ114が組織部位101から水分を吸収すると、メッシュ114のコラーゲン繊維126、127は膨張し得る。メッシュアパーチャ130は、陰圧がメッシュ114を通して組織部位101に分配され続けるようなサイズにされ得る。マニホールド112によるメッシュ114の圧迫はまた、メッシュ114をマニホールド112中へと押し込み、およびマニホールド112が、組織部位101の表面に接触できるようにし、微小歪みをもたらし、かつ灌流を送給し得る。メッシュ114は、肉芽形成を抑制しなくてもよいが、膨潤し、かつマニホールド112中へと分散して、組織部位101への陰圧の流れを制限することなく、MMP調節をもたらす。
【0047】
図3は、陰圧療法システム100の他の例示的な実施形態に関連付けられ得る追加的な詳細を示す、メッシュ214の一部分の斜視図である。メッシュ214は、メッシュ114に関して上述したものと同様とし、かつ、そのように動作し得る。同様の要素は、200番台にされた同様の参照符号を有し得る。図3に示すように、メッシュ214は、複数の支持繊維238および複数のコラーゲン繊維226を含み得る。いくつかの実施形態では、コラーゲン繊維226および支持繊維238は、ネットワークまたはメッシュ214などのメッシュを形成するように、織られ得る。いくつかの実施形態では、コラーゲン繊維226および支持繊維238は織られて、コラーゲン繊維226および支持繊維238が、交差点236において重なり合うようにし得る。いくつかの実施形態では、コラーゲン繊維226および支持繊維238は、交互にされ得る。例えば、複数の支持繊維238は、平行な列に並べられ、および複数のコラーゲン繊維226は、複数の支持繊維238と一緒に並べられるため、コラーゲン繊維226は、隣接する支持繊維238間にあって、第1の繊維層226、238を形成する。第1の繊維層226、238と同様の構成を有する第2の繊維層227、239は、第1の繊維層226、238と織られて、図3のメッシュ214を生じる。
【0048】
メッシュ214は、隣接する繊維間の距離234および距離232によって形成されたメッシュアパーチャ230を含み得る。メッシュ214のメッシュアパーチャ230の平均有効径は、約1mm〜約5mmとし得る。図3のメッシュ214はまた、コラーゲン繊維226、227および支持繊維238、239などの重なり合う繊維の交差点236に隆起241を含み得る。コラーゲン繊維226、227はまた、直径228を有し得る。
【0049】
一般的に、メッシュ214の厚さ224、コラーゲン繊維226、227、直径228、メッシュアパーチャ230、距離232、距離234、交差点236、および隆起241は、メッシュ114、メッシュ114の厚さ124、コラーゲン繊維126、127、直径128、メッシュアパーチャ230、距離132、距離134、交差点136、および隆起141のそれぞれに関して上述したものと同様とし、かつ、そのように動作し得る。
【0050】
支持繊維238、239は、支持材から形成された繊維とし、かつコラーゲン含有量をほとんどまたは全く有しないとし得る。上述の通り、支持材は、ポリエチレンオキシド、アルギン酸、ポリ乳酸、他の生体吸収性ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリカプララクトン、またはポリアミドのうちの1つ以上とし得る。支持繊維238、239は、モノフィラメント、複数の撚り合わされたモノフィラメント、複数のフィラメント、または複数のステープルファイバーから作製され得る。モノフィラメントは、単一のフィラメントとし得る。いくつかの実施形態では、モノフィラメントは、例えば、プラスチックの単一の合成繊維から形成され得る。モノフィラメントは、モノフィラメントの直径、およびモノフィラメントが形成される材料のタイプに関連した引張強度を有し得る。フィラメントは、連続的なまたはほぼ連続的な長さに形成される繊維とし得る。支持繊維238、239のそれぞれは、直径240を有し得る。いくつかの実施形態では、直径240は、約1mm以下とし得る。
【0051】
図4は、陰圧療法システム100の他の例示的な実施形態に関連付けられ得る追加的な詳細を示す、メッシュ314の一部分の概略図である。メッシュ314は、メッシュ114に関して上述したものと同様とし、かつ、そのように動作し得る。同様の要素は、300番台にされた同様の参照符号を有し得る。いくつかの実施形態では、複数のコラーゲン繊維326および複数の支持繊維338は、不織メッシュ314に形成され得る。例えば、コラーゲン繊維326および支持繊維338は、コンベヤーベルトに分散され、および湿式、風成、またはカーディング/クロスラッププロセスによって均一なウェブに広げられ得る。コラーゲン繊維326および支持繊維338は、熱的にボンディングされ得るか、または樹脂を使用することによって、メッシュ314のメッシュを形成し得る。例えば、コラーゲン繊維326および支持繊維338は、重なり合い、かつ交差点336を形成し、そこで、コラーゲン繊維326および支持繊維338は、他の繊維に重なり合い得る。メッシュ314の重なり合う繊維はまた、メッシュアパーチャ330などの開口部を形成し得る。図4に示すように、メッシュアパーチャ330は、サイズが均一でなくてもよい。メッシュ314のメッシュアパーチャ330の平均有効径は、約1mm〜約5mmとし得る。メッシュアパーチャ330のサイズが均一でない場合、メッシュアパーチャ330の有効径の平均は、約1mm〜約5mmとし得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、メッシュ314はまた、コラーゲン繊維326のみを有するスパンボンド(spunlaid)プロセスにおいて形成され得る。スパンボンド不織は、上述の通りコラーゲン繊維326を形成することによって、連続的なプロセスにおいて作製され得る。コラーゲン繊維326は、コラーゲン繊維326をさらに切断することなく、物理的なデフレクタによってまたは気流を用いて、ウェブに分散され得る。
【0053】
一般的に、メッシュ314の厚さ、コラーゲン繊維326、コラーゲン繊維326の直径、メッシュアパーチャ330、交差点336、支持繊維338、および支持繊維338の直径は、メッシュ114、メッシュ114の厚さ124、コラーゲン繊維126、127、直径128、メッシュアパーチャ130、交差点136、支持繊維238、および支持繊維238の直径240に関してそれぞれ上述したものと同様とし、かつ、そのように動作し得る。
【0054】
図5は、陰圧療法システム100の他の例示的な実施形態に関連付けられ得る追加的な詳細を示す、コラーゲンおよび酸化再生セルロース(ORC)を有するメッシュ414の一部分の斜視図である。メッシュ414は、メッシュ114に関して上述したものと同様とし、かつ、そのように動作し得る。同様の要素は、400番台にされた同様の参照符号を有し得る。図5に示すように、メッシュ414は、複数のORC繊維448および複数のコラーゲン繊維426を含み得る。いくつかの実施形態では、コラーゲン繊維426およびORC繊維448は一緒に織られて、ネットワーク、またはメッシュ414などのメッシュを形成し得る。いくつかの実施形態では、コラーゲン繊維426およびORC繊維448は一緒に織られるため、コラーゲン繊維426およびORC繊維448は交差点436において重なり合い得る。いくつかの実施形態では、コラーゲン繊維426およびORC繊維448は交互にされ得る。例えば、複数のORC繊維448は、平行な列に並べられ、および複数のコラーゲン繊維426は、複数のORC繊維448と一緒に並べられるため、コラーゲン繊維426は、隣接するORC繊維448の間にされて、繊維426、448の第1の層を形成し得る。繊維426、438の第1の層と同様の構成を有する繊維427、449の第2の層は、繊維426、438の第1の層と織られて、図5のメッシュ414を生じ得る。
【0055】
メッシュ414は、隣接する繊維間の距離434および距離432によって形成されたメッシュアパーチャ430を含み得る。メッシュ414のメッシュアパーチャ430の平均有効径は、約1mm〜約5mmとし得る。図5のメッシュ414はまた、コラーゲン繊維426、427およびORC繊維448、449などの重なり合う繊維の交差点436に隆起441を含み得る。コラーゲン繊維426、427はまた、直径428を有し得る。
【0056】
一般的に、メッシュ414の厚さ424、コラーゲン繊維426、427、直径428、メッシュアパーチャ430、距離432、距離434、交差点436、および隆起441は、メッシュ114、メッシュ114の厚さ124、コラーゲン繊維126、127、直径128、メッシュアパーチャ430、距離132、距離134、交差点136、および隆起141のそれぞれに関して上述したものと同様とし、かつ、そのように動作し得る。
【0057】
ORC繊維448、449は、酸化再生セルロース(ORC)から形成された繊維とし得る。ORCは、繊維中へと押し出され得る再生多糖ポリマーとし得る。いくつかの実施形態では、ORC繊維448、449は、酸化セルロースから形成された繊維とし得る。酸化セルロースは、セルロースおよび酸化剤から生産された不水溶性セルロース誘導体とし、繊維中へと押し出され得る。いくつかの実施形態では、ORC繊維448、449は、すりつぶして粉体にされ、支持材内に分散されたかまたは支持体の繊維を被覆した、ORCを有する支持材から形成された繊維とし得る。ORC繊維448、449は、モノフィラメント、複数の撚り合わされたモノフィラメント、複数のフィラメント、または複数のステープルファイバーから形成され得る。ORC繊維448、449のそれぞれは、直径450を有し得る。いくつかの実施形態では、直径450は、約1mm以下とし得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、図5に示すように、ORC繊維448、449は、コラーゲン繊維426、427と一緒に、織り状態で配置され得る。他の実施形態では、ORC繊維448、449は、図4のメッシュ314と同様に、コラーゲン繊維426、427と一緒に、不織状態で配置され得る。いくつかの実施形態では、ORC繊維448、449は、メッシュ414の約45%を含み得る。コラーゲン繊維427、428は、メッシュ414の約55%を含み得る。いくつかの実施形態では、メッシュ414の非支持材の約45%は、ORC材料とし、およびメッシュ414の非支持材の約55%は、コラーゲン物質とし得る。
【0059】
メッシュ114に関して上述した通り、陰圧は、マニホールド112を通して組織部位101に供給され、メッシュ414を収縮させかつ組織部位101の表面へと圧迫し得る。陰圧は、メッシュアパーチャ430を通して組織部位101に分配され得る。メッシュ414は、組織部位101からの水分を簡単に吸収し得る。メッシュ414が、組織部位101からの水分を吸収すると、メッシュ414のコラーゲン繊維426、427およびORC繊維448、439は、膨張し得る。メッシュアパーチャ430は、陰圧がメッシュ414を通して組織部位101に分配され続け得るようなサイズにされ得る。マニホールド112によるメッシュ414の圧迫はまた、メッシュ414をマニホールド112中へと押し込み、かつマニホールド112を組織部位101に接触できるようにし、微小歪みをもたらし、かつ灌流を送給し得る。メッシュ414は、肉芽形成を抑制しないが、膨化し、かつマニホールド112に分散して、組織部位101への陰圧の流れを制限することなく、MMP調節、エラスターゼ調節、および細菌プロテアーゼ調節をもたらし得る。
【0060】
本明細書で説明するシステム、装置、および方法は、重要な利点をもたらし得る。例えば、プロテアーゼ調節および陰圧療法の利点を適用しかつそれをもたらす、柔軟でありかつ互換性のある方法が提供され得る。いくつかの実施形態では、メッシュは、組織部位への陰圧の送給を妨げることなく、微小歪みの形成を可能にして、MMP調節をもたらし得る。いくつかの実施形態では、メッシュはまた、MMP調節に加えて、エラスターゼおよび細菌プロテアーゼ調節を提供し得る。メッシュはまた、除去する必要なく、大量の(heavy)滲出液の流れに耐え得る。メッシュは、組織部位上に直接配置され、かつ利用可能なコラーゲンを効率的に使用し得る一方で、コラーゲンを、組織部位に直接接触して配置する。メッシュは、十分に生体吸収性とし得るため、組織部位にアクセスすることが困難な深い箇所に配置され得、そこでは、装置の除去が望ましくないかもしれない。
【0061】
いくつかの説明に役立つ実施形態に示すが、当業者は、本明細書で説明するシステム、装置、および方法は、様々な変更および修正の影響を受けやすいことを認識する。さらに、「または」などの用語を使用する様々な代替形態の説明は、文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、相互排他性を必要とせず、および不定冠詞「a」または「an」は、文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、対象を、単一の例に限定しない。
【0062】
添付の特許請求の範囲は、上述の主題の新規のおよび発明的な態様を説明するが、特許請求の範囲はまた、具体的に詳細には言及しない追加的な主題を含み得る。例えば、いくつかの特徴、要素、または態様は、新規のおよび発明的な特徴を当業者に既に公知の特徴から区別する必要がない場合、特許請求の範囲から省略されてもよい。本明細書で説明する特徴、要素、および態様はまた、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、同じ、等価の、または同様の目的を果たす代替的な特徴と組み合わせられ得るかまたはそれによって置き換えられ得る。
図1
図2
図3
図4
図5