特許第6751077号(P6751077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6751077メチルメントール誘導体およびそれを含有する冷感剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6751077
(24)【登録日】2020年8月17日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】メチルメントール誘導体およびそれを含有する冷感剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C07C 233/58 20060101AFI20200824BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20200824BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20200824BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20200824BHJP
   C07C 69/75 20060101ALI20200824BHJP
   C07C 255/44 20060101ALI20200824BHJP
   C07C 233/63 20060101ALI20200824BHJP
   C07C 233/60 20060101ALI20200824BHJP
   C07C 69/68 20060101ALI20200824BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20200824BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20200824BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20200824BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20200824BHJP
   A61K 8/00 20060101ALI20200824BHJP
   A61K 9/00 20060101ALI20200824BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20200824BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20200824BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20200824BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20200824BHJP
   A61K 47/08 20060101ALI20200824BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20200824BHJP
   A23L 27/20 20160101ALI20200824BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20200824BHJP
   D06M 13/12 20060101ALI20200824BHJP
   D06M 13/165 20060101ALI20200824BHJP
   D06M 13/224 20060101ALI20200824BHJP
   D06M 13/402 20060101ALI20200824BHJP
【FI】
   C07C233/58CSP
   C09K3/00 B
   C11B9/00 V
   C11B9/00 R
   C11B9/00 T
   C11B9/00 S
   C11B9/00 D
   C11B9/00 K
   C11D3/50
   C07C69/75 Z
   C07C255/44
   C07C233/63
   C07C233/60
   C07C69/68
   A61K8/42
   A61K8/37
   A61K8/49
   A61K8/34
   A61K8/00
   A61K9/00
   A61K47/18
   A61K47/14
   A61K47/26
   A61K47/22
   A61K47/08
   A61K8/9789
   A23L27/20 E
   A23L27/20 F
   A23L2/00 B
   D06M13/12
   D06M13/165
   D06M13/224
   D06M13/402
【請求項の数】16
【全頁数】74
(21)【出願番号】特願2017-508447(P2017-508447)
(86)(22)【出願日】2016年3月24日
(86)【国際出願番号】JP2016059500
(87)【国際公開番号】WO2016153011
(87)【国際公開日】20160929
【審査請求日】2019年1月11日
(31)【優先権主張番号】特願2015-62301(P2015-62301)
(32)【優先日】2015年3月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000169466
【氏名又は名称】高砂香料工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 央徳
(72)【発明者】
【氏名】堀 容嗣
(72)【発明者】
【氏名】大塚 雅史
(72)【発明者】
【氏名】松本 崇司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 友治
【審査官】 仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】 特表平07−506868(JP,A)
【文献】 特開平05−125073(JP,A)
【文献】 特開昭48−033069(JP,A)
【文献】 特開平05−255186(JP,A)
【文献】 特開昭47−016648(JP,A)
【文献】 特開昭06−065023(JP,A)
【文献】 特開昭07−118119(JP,A)
【文献】 特開2005−343915(JP,A)
【文献】 特開昭47−016649(JP,A)
【文献】 特開2009−173628(JP,A)
【文献】 Sakane, Soichi et al.,Asymmetric cyclization of unsaturated aldehydes catalyed by a chyral lewis acid,Tetrahedron,1986年,vol.42 no.8,pp.2203-2209
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 233/58
C09K 3/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1A):
【化1】
[式中、実線と点線の二重線は二重結合又は単結合であり、*印は、不斉炭素原子であり、
Wは、水素原子、または、単結合もしくは酸素原子を介してXと環を形成し、
Xは、−CHO、−CO−Yまたは−O−Zを表し、
Yは、以下の式(i)または式(ii)に示す基であり、
(i)NR
(ii)OR
(式(i)中、R及びは、互いに独立して水素原子、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基である。
式(ii)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基である。
Zは、以下の式(iii)または式(vi)に示す基である。
(iii)R
(vi)COR
(式(iii)中、Rは、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基である。
式(vi)中、R、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基である。)
〜Rが有していてもよい置換基は、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数5乃至8のシクロアルキル基、水酸基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、ハロゲン原子、炭素数7乃至12のアラルキル基、カルボキシ基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキサミド基、炭素数2乃至8のジアルキルアミノ基、ニトリル基、シアノアルキル(該アルキル基の炭素数1〜4)基、脂肪族複素環基、芳香族複素環基、及びヒドロキシメチル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの置換基である。
で表されるメチルメントール誘導体。
【請求項2】
前記メチルメントール誘導体が、(2S)−体である請求項1に記載のメチルメントール誘導体
【請求項3】
請求項1又は2に記載のメチルメントール誘導体を含有する冷感剤組成物。
【請求項4】
前記メチルメントール誘導体以外の冷感物質を少なくとも1種更に含有する請求項に記載の冷感剤組成物。
【請求項5】
前記メチルメントール誘導体以外の冷感物質が、
メントール、メントン、カンファー、プレゴール、イソプレゴール、シネオール、キュベノール、酢酸メンチル、酢酸プレギル、酢酸イソプレギル、サルチル酸メンチル、サルチル酸プレギル、サルチル酸イソプレギル、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−メチル−3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−(l−メントキシ)エタン−1−オール、3−(l−メントキシ)プロパン−1−オール、4−(l−メントキシ)ブタン−1−オール、3−ヒドロキシブタン酸メンチル、グリオキシル酸メンチル、p−メンタン−3,8−ジオール、1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノン、乳酸メンチル、メントングリセリンケタール、メンチル−2−ピロリドン−5−カルボキシラート、モノメンチルスクシナート、モノメンチルスクシナートのアルカリ金属塩、モノメンチルスクシナートのアルカリ土類金属塩、モノメンチルグルタラート、モノメンチルグルタラートのアルカリ金属塩、モノメンチルグルタラートのアルカリ土類金属塩、N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシン、p−メンタン−3−カルボン酸グリセロールエステル、メントールプロピレングリコールカルボナート、メントールエチレングリコールカルボナート、p−メンタン−2,3−ジオール、2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブタンアミド、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、3−(p−メンタン−3−カルボキサミド)酢酸エチル、N−(4−メトキシフェニル)−p−メンタンカルボキサミド、N−エチル−2,2−ジイソプロピルブタンアミド、N−シクロプロピル−p−メンタンカルボキサミド、N−(4−シアノメチルフェニル)−p−メンタンカルボキサミド、N−(2−ピリジン−2−イル)−3−p−メンタンカルボキサミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−イソプロイル−2,3−ジメチルブタンアミド、N−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,2−ジエチルブタンアミド、シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)アミド、N−エチル−2,2−ジイソプロピルブタンアミド、N−[4−(2−アミノ−2−オキソエチル)フェニル]−p−メンタンカルボキサミド、2−[(2−p−メントキシ)エトキシ]エタノール、2,6−ジエチル−5−イソプロピル−2−メチルテトラヒドロピラン、及びトランス−4−tert−ブチルシクロヘキサノールから選ばれる一種以上の化合物;
キシリトール、エリスリトール、デキストロース、及びソルビトールから選ばれる一種以上の糖アルコール;並びに
和種ハッカオイル、ペパーミントオイル、スペアーミントオイル、及びユーカリプタスオイルから選ばれる一種以上の天然物;
からなる群より選ばれる少なくとも1の冷感物質である請求項に記載の冷感剤組成物。
【請求項6】
請求項乃至のいずれか1項に記載の冷感剤組成物を含有する感覚刺激剤組成物。
【請求項7】
温感物質の少なくとも1種を更に含有する請求項に記載の感覚刺激剤組成物。
【請求項8】
前記温感物質が、
バニリルメチルエーテル、バニリルエチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリルイソプロピルエーテル、バニリルブチルエーテル、バニリルアミルエーテル、バニリルイソアミルエーテル、バニリルヘキシルエーテル、イソバニリルメチルエーテル、イソバニリルエチルエーテル、イソバニリルプロピルエーテル、イソバニリルイソプロピルエーテル、イソバニリルブチルエーテル、イソバニリルアミルエーテル、イソバニリルイソアミルエーテル、イソバニリルヘキシルエーテル、エチルバニリルメチルエーテル、エチルバニリルエチルエーテル、エチルバニリルプロピルエーテル、エチルバニリルイソプロピルエーテル、エチルバニリルブチルエーテル、エチルバニリルアミルエーテル、エチルバニリルイソアミルエーテル、エチルバニリルヘキシルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、イソバニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、バニリルブチルエーテル酢酸エステル、イソバニリルブチルエーテル酢酸エステル、エチルバニリルブチルエーテル酢酸エステル、4−(l−メントキシメチル)−2−(3’−メトキシ−4’−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(l−メントキシメチル)−2−(3’−ヒドロキシ−4’−メトキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(l−メントキシメチル)−2−(3’−エトキシ−4’−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサインシン、ホモジヒドロカプサインシン、ホモカプサインシン、ビスカプサンシン、トリスホモカプサンシン、ノルノルカプサンシン、ノルカプサンシン、カプサイシノール、バニリルカプリルアミド(オクチル酸バニリルアミド)、バニリルペリラゴンアミド(ノニル酸バニリルアミド)、バニリルカプロアミド(デシル酸バニリルアミド)、バニリルウンデカンアミド(ウンデシル酸バニリルアミド)、N−トランス−フェルロイルチラミン、N−5−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2E,4E−ペンタジエノイルピペリジン、N−トランス−フェルロイルピペリジン、N−5−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2E−ペンテノイルピペリジン、N−5−(4−ヒドロキシフェニル)−2E,4E−ペンタジエノイルピペリジン、ピペリン、イソピペリン、シャビシン、イソシャビシン、ピペラミン、ピペレチン、ピペロレインB,レトロフラクタミドA、ピペラシド、グイネンサイド、ピペリリン、ピペラミドC5:1(2E)、ピペラミドC7:1(6E)、ピペラミドC7:2(2E,6E)、ピペラミドC9:1(8E)、ピペラミドC9:2(2E,8E)、ピペラミドC9:3(2E,4E,8E)、ファガラミド、サンショオール−I、サンショオール−II、ヒドロキシサンショオール、サンショウアミド、ジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロン、メチルジンゲロール、パラドール、スピラントール、カビシン、ポリゴジアール(タデオナール)、イソポリゴジアール、ジヒドロポリゴジアール、及びタデオンから選ばれる一種以上の化合物;並びに
トウガラシ油、トウガラシオレオレジン、ジンジャーオレオレジン、ジャンブーオレオレジン(キバナオランダセンニチ抽出物)、サンショウエキス、サンショウアミド、黒胡椒エキス、白胡椒エキス、及びタデエキスから選ばれる一種以上の天然物;
からなる群より選ばれる少なくとも1の温感物質である請求項に記載の感覚刺激剤組成物。
【請求項9】
請求項乃至のいずれか1項に記載の感覚刺激剤組成物を含有する香料組成物。
【請求項10】
請求項乃至のいずれか1項に記載の感覚刺激剤組成物を0.00001〜90質量%含有する香料組成物。
【請求項11】
飲料、食品、香粧品、トイレタリー製品、エアケア製品、日用・雑貨品、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、ボディケア製品、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、医薬品部外品及び医薬品からなる群より選ばれるいずれかの製品であって、請求項乃至のいずれか1項に記載の感覚刺激剤組成物を含有する製品。
【請求項12】
飲料、食品、香粧品、トイレタリー製品、エアケア製品、日用・雑貨品、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、ボディケア製品、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、医薬品部外品及び医薬品からなる群より選ばれるいずれかの製品であって、請求項乃至のいずれか1項に記載の感覚刺激剤組成物を0.00001〜50質量%含有する製品。
【請求項13】
飲料、食品、香粧品、トイレタリー製品、エアケア製品、日用・雑貨品、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、ボディケア製品、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、医薬品部外品及び医薬品からなる群より選ばれるいずれかの製品であって、請求項又は10に記載の香料組成物を含有する製品。
【請求項14】
飲料、食品、香粧品、トイレタリー製品、エアケア製品、日用・雑貨品、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、ボディケア製品、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、医薬品部外品及び医薬品からなる群より選ばれるいずれかの製品であって、請求項又は10に記載の香料組成物を0.00001〜50質量%含有する製品。
【請求項15】
飲料、食品、香粧品、トイレタリー製品、エアケア製品、日用・雑貨品、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、ボディケア製品、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、医薬品部外品及び医薬品からなる群より選ばれるいずれかの製品の製造方法であって、請求項乃至のいずれか1項に記載の感覚刺激剤組成物を配合する製品の製造方法。
【請求項16】
飲料、食品、香粧品、トイレタリー製品、エアケア製品、日用・雑貨品、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、ボディケア製品、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、医薬品部外品及び医薬品からなる群より選ばれるいずれかの製品の製造方法であって、請求項又は10に記載の香料組成物を配合する製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規メチルメントール誘導体および該メチルメントール誘導体を含有する冷感剤組成物に関する。更に、本発明は、これら冷感剤組成物を含有する感覚刺激剤組成物、並びにこれら感覚刺激剤組成物が配合された香料組成物及び製品類に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒトの皮膚や口腔、鼻、喉に対して爽やかな感覚(清涼感)や冷たい感覚(冷涼感)、すなわち冷感効果を与える冷感剤は、歯磨剤、菓子(例えば、チューインガム、キャンディー等)、煙草、ハップ剤、化粧料などに使用されている。これら清涼感又は冷涼感を与える香料物質として、l−メントールが現在広く使用されているが、その冷感効果は持続性に欠け、また、使用量を多くすると冷感効果が増強される反面、苦みを伴うことがあるという欠点がある。
【0003】
冷感効果を有する化合物として、l−メントール以外にも多数の化合物が提案され、使用されている。従来提案されたl−メントール以外の冷感効果を有する化合物としては、例えば、3−置換−p−メンタン(例えば、特許文献1参照)、N−置換−p−メンタン−3−カルボキサミド(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)、l−メンチルグルコシド(例えば、特許文献4参照)、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール(例えば、特許文献5参照)、1−メンチル−3−ヒドロキシブチレート(例えば、特許文献6参照)、1−アルコキシ−3−(l−メントキシ)プロパン−2−オール(例えば、特許文献7参照)、3−ヒドロキシメチル−p−メンタンのエステル類(例えば、特許文献8参照)、N−アセチルグリシンメンタンメチルエステル(例えば、特許文献9参照)、l−イソプレゴール(例えば、特許文献10参照)、(2S)−3−{(1R,2S,5R)−[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]オキシ}−1,2−プロパンジオール(例えば、特許文献11参照)、2−ヒドロキシメチルメントール(例えば、特許文献12参照)、メントキシアルカン−1−オール(例えば、特許文献13)、(l−メンチルオキシアルコキシ)アルカノール(例えば、特許文献14参照)、N置換p−メンタンカルボキサミド類(例えば、特許文献15及び特許文献16参照)、Nα−(メンタンカルボニル)アミノ酸アミド(例えば、特許文献17参照)、イソプレゴール誘導体(例えば、特許文献18)などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国特開昭47−16647号公報
【特許文献2】日本国特開昭47−16648号公報
【特許文献3】日本国特表2007−530689号公報
【特許文献4】日本国特開昭48−33069号公報
【特許文献5】日本国特開昭58−88334号公報
【特許文献6】日本国特開昭61−194049号公報
【特許文献7】日本国特開平2−290827号公報
【特許文献8】日本国特開平5−255186号公報
【特許文献9】日本国特開平5−255217号公報
【特許文献10】日本国特開平6−65023号公報
【特許文献11】日本国特開平7−82200号公報
【特許文献12】日本国特開平7−118119号公報
【特許文献13】日本国特開2001−294546号公報
【特許文献14】日本国特開2005−343915号公報
【特許文献15】日本国特表2007−511546号公報
【特許文献16】日本国特表2011−530608号公報
【特許文献17】日本国特開2008−115181号公報
【特許文献18】国際公開第2013/033501号
【特許文献19】英国特許出願公告第1392907号明細書
【特許文献20】独国特許出願公開第102012202885号明細書
【特許文献21】米国特許第4157384号明細書
【特許文献22】米国特許第3111127号明細書
【特許文献23】日本国特開平11−158107号公報
【特許文献24】日本国特開昭52−105223号公報
【特許文献25】日本国特開2013−189623号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】周知・慣用技術集(香料)第I部、平成11年1月29日、特許庁発行
【非特許文献2】Tetrahedron 1986,Vol.42,No.8,p2230
【非特許文献3】J.Chem.Soc.Perkin Trans.,(1990):1275〜1277
【非特許文献4】J.Mol.Cat.A(1996),No.109,201−208
【非特許文献5】J.Am.Chem.Soc.(2004),Vol.126,No.41,13312−13319
【非特許文献6】J.Vis.Exp.(2011),No.54,3149
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来提案されている冷感剤は、それなりの冷感効果を有するが、冷感効果の持続性などの点で未だ十分満足できるものではない。また、感覚刺激効果についてもさらに改善することが必要とされる。
【0007】
従って、本発明の目的は、好ましくない刺激感、特異臭、苦みなどがなく、清涼感や冷涼感の持続性に優れた冷感剤または感覚刺激剤として用いることができる新規メチルメントール誘導体を提供することである。
また、本発明は、該新規メチルメントール誘導体を含有する冷感剤組成物、及び該冷感剤組成物を含有する感覚刺激剤組成物を提供することも目的とする。
さらに、本発明は、該感覚刺激剤組成物が配合された香料組成物、及び該感覚刺激剤組成物または該香料組成物が配合された製品類を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、一般式(1A)又は一般式(1B)で表されるメチルメントール誘導体である5,5−ジメチル−2−イソプロピルシクロヘキサン誘導体又は5,5−ジメチル−2−イソプロペニルシクロヘキサン誘導体が、冷感効果が強く、さらにその持続性に優れ、冷感物質さらには感覚刺激物質として有用であることを見出した。また、当該メチルメントール誘導体は、例えば、l−メントールが冷感剤として用いられる場合には、l−メントールの有する刺激臭を緩和することができることを見出した。さらには一般式(1A)又は一般式(1B)で表されるメチルメントール誘導体を含有する冷感剤組成物を含む感覚刺激剤組成物が配合された香料組成物においては、香料組成物の香り立ち、残香性が高められ、該香料組成物を賦香してなる製品類にも高い香質改善効果が付与されることを見出し、これら知見に基づいて本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は以下の[1]〜[17]に関するものである。
[1] 下記一般式(1A)又は下記一般式(1B):
【0010】
【化1】
【0011】
[式中、実線と点線の二重線は二重結合又は単結合であり、*印は、不斉炭素原子であり、
Wは、水素原子、または、単結合もしくは酸素原子を介してXと環を形成し、
Xは、−CHO、−CO−Yまたは−O−Zを表し、
Yは、以下の式(i)または式(ii)に示す基であり、
(i)NR
(ii)OR
(式(i)及び式(ii)中、R〜Rは、互いに独立して水素原子、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数2〜10のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、または、置換基を有していてもよい炭素数2〜15の複素環基である。)
Zは、以下の式(iii)または式(vi)に示す基である。
(iii)R
(vi)COR
(式(iii)中、Rは、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数2〜10のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、または、置換基を有していてもよい炭素数2〜15の複素環基である。
式(vi)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数2〜10のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、または、置換基を有していてもよい炭素数2〜15の複素環基である。)]
で表されるメチルメントール誘導体を含有する冷感剤組成物。
【0012】
[2] 前記メチルメントール誘導体が、(2S)−体である前記[1]に記載の冷感剤組成物。
[3] 前記メチルメントール誘導体以外の冷感物質を少なくとも1種更に含有する前記[1]又は[2]に記載の冷感剤組成物。
[4] 前記メチルメントール誘導体以外の冷感物質が、
メントール、メントン、カンファー、プレゴール、イソプレゴール、シネオール、キュベノール、酢酸メンチル、酢酸プレギル、酢酸イソプレギル、サルチル酸メンチル、サルチル酸プレギル、サルチル酸イソプレギル、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−メチル−3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−(l−メントキシ)エタン−1−オール、3−(l−メントキシ)プロパン−1−オール、4−(l−メントキシ)ブタン−1−オール、3−ヒドロキシブタン酸メンチル、グリオキシル酸メンチル、p−メンタン−3,8−ジオール、1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノン、乳酸メンチル、メントングリセリンケタール、メンチル−2−ピロリドン−5−カルボキシラート、モノメンチルスクシナート、モノメンチルスクシナートのアルカリ金属塩、モノメンチルスクシナートのアルカリ土類金属塩、モノメンチルグルタラート、モノメンチルグルタラートのアルカリ金属塩、モノメンチルグルタラートのアルカリ土類金属塩、N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシン、p−メンタン−3−カルボン酸グリセロールエステル、メントールプロピレングリコールカルボナート、メントールエチレングリコールカルボナート、p−メンタン−2,3−ジオール、2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブタンアミド、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、3−(p−メンタン−3−カルボキサミド)酢酸エチル、N−(4−メトキシフェニル)−p−メンタンカルボキサミド、N−エチル−2,2−ジイソプロピルブタンアミド、N−シクロプロピル−p−メンタンカルボキサミド、N−(4−シアノメチルフェニル)−p−メンタンカルボキサミド、N−(2−ピリジン−2−イル)−3−p−メンタンカルボキサミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−イソプロイル−2,3−ジメチルブタンアミド、N−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,2−ジエチルブタンアミド、シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)アミド、N−エチル−2,2−ジイソプロピルブタンアミド、N−[4−(2−アミノ−2−オキソエチル)フェニル]−p−メンタンカルボキサミド、2−[(2−p−メントキシ)エトキシ]エタノール、2,6−ジエチル−5−イソプロピル−2−メチルテトラヒドロピラン、及びトランス−4−tert−ブチルシクロヘキサノールから選ばれる一種以上の化合物;
キシリトール、エリスリトール、デキストロース、及びソルビトールから選ばれる一種以上の糖アルコール;並びに
和種ハッカオイル、ペパーミントオイル、スペアーミントオイル、及びユーカリプタスオイルから選ばれる一種以上の天然物;
からなる群より選ばれる少なくとも1の冷感物質である前記[3]に記載の冷感剤組成物。
[5] 前記[1]乃至[4]のいずれか1に記載の冷感剤組成物を含有する感覚刺激剤組成物。
[6] 温感物質の少なくとも1種を更に含有する前記[5]に記載の感覚刺激剤組成物。
[7] 前記温感物質が、
バニリルメチルエーテル、バニリルエチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリルイソプロピルエーテル、バニリルブチルエーテル、バニリルアミルエーテル、バニリルイソアミルエーテル、バニリルヘキシルエーテル、イソバニリルメチルエーテル、イソバニリルエチルエーテル、イソバニリルプロピルエーテル、イソバニリルイソプロピルエーテル、イソバニリルブチルエーテル、イソバニリルアミルエーテル、イソバニリルイソアミルエーテル、イソバニリルヘキシルエーテル、エチルバニリルメチルエーテル、エチルバニリルエチルエーテル、エチルバニリルプロピルエーテル、エチルバニリルイソプロピルエーテル、エチルバニリルブチルエーテル、エチルバニリルアミルエーテル、エチルバニリルイソアミルエーテル、エチルバニリルヘキシルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、イソバニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、バニリルブチルエーテル酢酸エステル、イソバニリルブチルエーテル酢酸エステル、エチルバニリルブチルエーテル酢酸エステル、4−(l−メントキシメチル)−2−(3’−メトキシ−4’−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(l−メントキシメチル)−2−(3’−ヒドロキシ−4’−メトキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(l−メントキシメチル)−2−(3’−エトキシ−4’−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサインシン、ホモジヒドロカプサインシン、ホモカプサインシン、ビスカプサンシン、トリスホモカプサンシン、ノルノルカプサンシン、ノルカプサンシン、カプサイシノール、バニリルカプリルアミド(オクチル酸バニリルアミド)、バニリルペリラゴンアミド(ノニル酸バニリルアミド)、バニリルカプロアミド(デシル酸バニリルアミド)、バニリルウンデカンアミド(ウンデシル酸バニリルアミド)、N−トランス−フェルロイルチラミン、N−5−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2E,4E−ペンタジエノイルピペリジン、N−トランス−フェルロイルピペリジン、N−5−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2E−ペンテノイルピペリジン、N−5−(4−ヒドロキシフェニル)−2E,4E−ペンタジエノイルピペリジン、ピペリン、イソピペリン、シャビシン、イソシャビシン、ピペラミン、ピペレチン、ピペロレインB,レトロフラクタミドA、ピペラシド、グイネンサイド、ピペリリン、ピペラミドC5:1(2E)、ピペラミドC7:1(6E)、ピペラミドC7:2(2E,6E)、ピペラミドC9:1(8E)、ピペラミドC9:2(2E,8E)、ピペラミドC9:3(2E,4E,8E)、ファガラミド、サンショオール−I、サンショオール−II、ヒドロキシサンショオール、サンショウアミド、ジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロン、メチルジンゲロール、パラドール、スピラントール、カビシン、ポリゴジアール(タデオナール)、イソポリゴジアール、ジヒドロポリゴジアール、及びタデオンから選ばれる一種以上の化合物;並びに
トウガラシ油、トウガラシオレオレジン、ジンジャーオレオレジン、ジャンブーオレオレジン(キバナオランダセンニチ抽出物)、サンショウエキス、サンショウアミド、黒胡椒エキス、白胡椒エキス、及びタデエキスから選ばれる一種以上の天然物;
からなる群より選ばれる少なくとも1の温感物質である前記[6]に記載の感覚刺激剤組成物。
[8] 前記[5]乃至[7]のいずれか1に記載の感覚刺激剤組成物を含有する香料組成物。
[9] 前記[5]乃至[7]のいずれか1に記載の感覚刺激剤組成物を0.00001〜90質量%含有する香料組成物。
[10] 飲料、食品、香粧品、トイレタリー製品、エアケア製品、日用・雑貨品、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、ボディケア製品、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、医薬品部外品及び医薬品からなる群より選ばれるいずれかの製品であって前記[5]乃至[7]のいずれか1に記載の感覚刺激剤組成物を含有する製品。
[11] 飲料、食品、香粧品、トイレタリー製品、エアケア製品、日用・雑貨品、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、ボディケア製品、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、医薬品部外品及び医薬品からなる群より選ばれるいずれかの製品であって、前記[5]乃至[7]のいずれか1に記載の感覚刺激剤組成物を0.00001〜50質量%含有する製品。
[12] 飲料、食品、香粧品、トイレタリー製品、エアケア製品、日用・雑貨品、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、ボディケア製品、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、医薬品部外品及び医薬品からなる群より選ばれるいずれかの製品であって、前記[8]又は[9]に記載の香料組成物を含有する製品。
[13] 飲料、食品、香粧品、トイレタリー製品、エアケア製品、日用・雑貨品、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、ボディケア製品、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、医薬品部外品及び医薬品からなる群より選ばれるいずれかの製品であって、前記[8]又は[9]に記載の香料組成物を0.00001〜50質量%含有する製品。
[14] 飲料、食品、香粧品、トイレタリー製品、エアケア製品、日用・雑貨品、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、ボディケア製品、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、医薬品部外品及び医薬品からなる群より選ばれるいずれかの製品の製造方法であって、前記[5]乃至[7]のいずれか1に記載の感覚刺激剤組成物を配合する製品の製造方法。
[15] 飲料、食品、香粧品、トイレタリー製品、エアケア製品、日用・雑貨品、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、ボディケア製品、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、医薬品部外品及び医薬品からなる群より選ばれるいずれかの製品の製造方法であって、前記[8]又は[9]に記載の香料組成物を配合する製品の製造方法。
[16] 下記一般式(1A’):
【0013】
【化2】
【0014】
[式中、実線と点線の二重線は二重結合又は単結合であり、*印は、不斉炭素原子であり、
Wは、水素原子、または、単結合もしくは酸素原子を介してX’と環を形成し、
X’は、−CHO、−CO−Y’または−O−Zを表し、
Y’は、以下の式(i)または式(ii’)に示す基であり、
(i)NR
(ii’)OR
(式(i)中、R及びRは、互いに独立して水素原子、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数2〜10のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、または、置換基を有していてもよい炭素数2〜15の複素環基である。
式(ii’)中、R’は、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数2〜10のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、または、置換基を有していてもよい炭素数2〜15の複素環基である。)
Zは、以下の式(iii)または式(vi)に示す基である。
(iii)R
(vi)COR
(式(iii)中、Rは、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数2〜10のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、または、置換基を有していてもよい炭素数2〜15の複素環基である。
式(vi)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数2〜10のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、または、置換基を有していてもよい炭素数2〜15の複素環基である。)]
で表されるメチルメントール誘導体。
【0015】
[17] 前記メチルメントール誘導体が、(2S)−体である前記[16]に記載のメチルメントール誘導体。
【発明の効果】
【0016】
本発明のメチルメントール誘導体は、好ましくない刺激感、特異臭、苦みなどがなく、各種の製品類に配合することにより、これらの製品類に持続性に優れた清涼感や冷涼感を付与することができる。更に該メチルメントール誘導体は、人体に対して好ましくない皮膚刺激感をほとんど生じないという優れた特性を発揮する。また保存時にも着色することなく、安定性に優れた化合物である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。また、本明細書において、「式(X)で表される化合物」を単に「化合物(X)」と称することがある。
本明細書において、“重量%”と“質量%”とは同義である。また、単位“ppm”と記載した場合には、“重量ppm”のことを示す。さらに、数値範囲を示す「〜」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明にかかる冷感剤組成物は、下記一般式(1A)で表される新規メチルメントール誘導体(以下、「メチルメントール誘導体(1A)」ともいう)又は下記一般式(1B)で表される新規メチルメントール誘導体(以下、「メチルメントール誘導体(1B)」ともいう)である5,5−ジメチル−2−イソプロピルシクロヘキサン誘導体又は5,5−ジメチル−2−イソプロペニルシクロヘキサン誘導体を冷感物質として含有することを特徴とする。
【0018】
【化3】
【0019】
[式中、実線と点線の二重線は二重結合又は単結合であり、*印は、不斉炭素原子であり、
Wは、水素原子、または、単結合もしくは酸素原子を介してXと環を形成し、
Xは、−CHO、−CO−Yまたは−O−Zを表し、
Yは、以下の式(i)または式(ii)に示す基であり、
(i)NR
(ii)OR
(式(i)及び式(ii)中、R〜Rは、互いに独立して水素原子、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数2〜10のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、または、置換基を有していてもよい炭素数2〜15の複素環基である。)
Zは、以下の式(iii)または式(vi)に示す基である。
(iii)R
(vi)COR
(式(iii)中、Rは、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数2〜10のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、または、置換基を有していてもよい炭素数2〜15の複素環基である。
式(vi)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数2〜10のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、または、置換基を有していてもよい炭素数2〜15の複素環基である。)]
【0020】
一般式(1A)で表されるメチルメントール誘導体は、シクロヘキサン環構造を有し、次の式に示すように1位と2位が不斉炭素を有している。
【0021】
【化4】
【0022】
(式中、実線と点線の二重線、*印、W及びXは前記と同義である。)
具体的には、一般式(1A)で表されるメチルメントール誘導体として、次の式(1−1)〜式(1−4)に示される4種のジアステレオマーが存在する。
【0023】
【化5】
【0024】
(式中、実線と点線の二重線、W及びXは前記と同義である。)
【0025】
一般式(1A)で表されるメチルメントール誘導体は、好ましくは光学活性体、より好ましくは(2S)−体、特に好ましく(1R,2S)−体である。また、一般式(1B)で表されるメチルメントール誘導体についても、(2S)−体が好ましい。
【0026】
また、一般式(1A)で表されるメチルメントール誘導体のうち、下記一般式(1A’)で表されるメチルメントール誘導体(以下、「メチルメントール誘導体(1A’)」ともいう)は、従来知られていない新規な5,5−ジメチル−2−イソプロピルシクロヘキサン誘導体化合物、または、5,5−ジメチル−2−イソプロペニルシクロヘキサン誘導体化合物である。
【0027】
【化6】
【0028】
[式中、実線と点線の二重線は二重結合又は単結合であり、*印は、不正炭素原子であり、
Wは、水素原子、または、単結合もしくは酸素原子を介してX’と環を形成し、
X’は、−CHO、−CO−Y’または−O−Zを表し、
Y’は、以下の式(i)または式(ii’)に示す基であり、
(i)NR
(ii’)OR
(式(i)中、R及びRは、互いに独立して水素原子、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数2〜10のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、または、置換基を有していてもよい炭素数2〜15の複素環基である。
式(ii’)中、R’は、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数2〜10のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、または、置換基を有していてもよい炭素数2〜15の複素環基である。)
Zは、以下の式(iii)または式(vi)に示す基である。
(iii)R
(vi)COR
(式(iii)中、Rは、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数2〜10のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、または、置換基を有していてもよい炭素数2〜15の複素環基である。
式(vi)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数2〜10のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、または、置換基を有していてもよい炭素数2〜15の複素環基である。)]
【0029】
一般式(1A’)で表されるメチルメントール誘導体は、一般式(1A)で表されるメチルメントール誘導体と同様に、シクロヘキサン環構造を有し、1位と2位が不斉炭素を有していることから、4種のジアステレオマーが存在する。
一般式(1A’)で表されるメチルメントール誘導体は、好ましくは光学活性体、より好ましくは(2S)−体、特に好ましく(1R,2S)−体である。
【0030】
一般式(1A)、一般式(1A’)又は一般式(1B)で表されるメチルメントール誘導体の官能基について、以下に説明する。
置換基を有していてもよい直鎖状または分岐状の炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基及びデシル基などを例示することができる。
【0031】
置換基を有していてもよい直鎖状または分岐状の炭素数2〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブチニル基、2−メチルアリル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基及びデセニル基などを例示することができる。
【0032】
置換基を有していてもよい置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロヘキシルシクロヘキシル基、デカヒドロナフチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基及びイソボルニル基などを例示することができる。
【0033】
置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、炭素数6〜20の芳香族単環式基、芳香族多環式基または芳香族縮合環式基が挙げられる。具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基などを例示することができる。
【0034】
置換基を有していてもよい炭素数2〜15の複素環基としては、脂肪族複素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。
脂肪族複素環基としては、例えば、炭素数2〜14で、異種原子を少なくとも1個、好ましくは1〜3個含んでいる3〜8員環、好ましくは5員または6員の、単環、多環または縮合環式等の脂肪族複素環基が挙げられる。異種原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ元素が挙げられる。
【0035】
脂肪族複素環基の具体例としては、例えば、オキシラニル基、アジリジニル基、2−オキソピロピジル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、モルホリノ基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチエニル基などを例示することができる。
【0036】
一方、芳香族複素環基としては、例えば、炭素数2〜15で、異種元素を少なくとも1個、好ましくは1〜3個含んでいる5〜8員環、好ましくは5員または6員の、単環、多環または縮合環式等の芳香族複素環(ヘテロアリール)基が挙げられる。異種原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ元素が挙げられる。
【0037】
芳香族複素環基の具体例としては、例えば、テトラジニル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリニジル基、ピラジニル基、ピラダジニル基、イミダゾイル基、オキサゾイル基、チアゾイル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサノイル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、ナフチルジニル基、シンノリニル基、ベンゾイミダゾリン基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基等を例示することができる。
【0038】
有していてもよい置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プルピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基などの炭素数1乃至6のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロヘプチル基などの炭素数5乃至8のシクロアルキル基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシル基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、メチレンジオキシ基、及びtert−ブトキシ基などの炭素数1乃至4のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子などのハロゲン原子;ベンジル基、フェニルエチル基及びナフチルメチル基などの炭素数7乃至12のアラルキル基;カルボキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等の炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基;カルボキサミド基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基及びジブチルアミノ基などの炭素数2乃至8のジアルキルアミノ基;ニトリル基;シアノメチル基、シアノエチル基、シアノプロピル基及びシアノブチル基などのシアノアルキル(該アルキル基の炭素数1〜4)基;オキシラニル基、アジリジニル基、2−オキソピロピジル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、モルホリノ基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基及びテトラヒドロチエニル基などの脂肪族複素環基;テトラジニル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピラダジニル基、イミダゾイル基、オキサゾイル基、チアゾイル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサノイル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、ナフチルジニル基、シンノリニル基、ベンゾイミダゾリン基、ベンゾオキサゾリル基及びベンゾチアゾリル基などの芳香族複素環基等を例示することができる。
【0039】
単結合もしくは酸素原子を介してWとX又はX’とが一緒になって環を形成する場合、酸素原子を有していてもよい5〜6員環を形成することができる。
酸素原子を有していてもよい5〜6員環としては、例えば、フラン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、ジオキサン環、トリオキソシクロヘキサン環、γ−ブチロラクトン環、δ−ペンタラクトン環などを例示することができる。
【0040】
本発明のメチルメントール誘導体(1A)、メチルメントール誘導体(1A’)、メチルメントール誘導体(1B)は、例えば、以下のスキーム1〜スキーム9で表される方法により合成される。しかし、その合成方法は以下のスキーム1〜スキーム9の方法に限定されるものではない。なお、スキーム1〜スキーム9ではメチルメントール誘導体(1A)を例に説明するが、メチルメントール誘導体(1A’)及びメチルメントール誘導体(1B)の合成方法についても同様である。
【0041】
本発明のメチルメントール誘導体(1A)の基本骨格である下記式(4)で表される5,5−ジメチル−2−(1−プロペン−2−イル)シクロヘキサノール及び下記式(5)で表される2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサノールは、例えば、以下のスキーム1で示される方法に従って、シトラール、ゲラニアール、ネラール、ピペリトン又はイソピペリテノンより合成される。
【0042】
【化7】
【0043】
(式中、実線と点線の二重線及び*印は前記と同義である。)
工程[A]、工程[B]及び工程[D]は、非特許文献2(Tetrahedron 1986,Vol.42,No.8,p2230)と同様の手法によって行うことができる。すなわち、工程[A]は共役付加(1,4−付加)反応により行うことができ、工程[B]は分子内プリンス反応により行うことができ、工程[D]は共役付加(1,4−付加)反応により行うことができる。また工程[C]は、通常使用されるニッケルやパラジウム等の金属触媒により水素添加することよって行うことができる。工程[E]は、非特許文献4と同様な手法、すなわち、水素化反応により行うことができる。
【0044】
なお、以下、化合物(7a)と化合物(7b)を合わせて一般式(7)で示されるケトン化合物(以下、「ケトン化合物(7)」ともいう)と記載する。
【0045】
【化8】
【0046】
(式中、実線と点線の二重線及び*印は前記と同義である。)
【0047】
また、以下、化合物(4)と化合物(5)を合わせて一般式(8)で示されるアルコール化合物(以下、「アルコール化合物(8)」ともいう)と記載する。
【0048】
【化9】
【0049】
(式中、実線と点線の二重線及び*印はそれぞれ前記と同義である。)
【0050】
本発明の一般式(11)で示されるカルボン酸化合物[5,5−ジメチル−2−イソプロピルシクロヘキサンカルボン酸(11a)及び5,5−ジメチル−2−イソプロペニルシクロヘキサンカルボン酸(11b)](以下、「カルボン酸化合物(11)」ともいう)は、例えば、以下のスキーム2で示される方法に従って、アルコール化合物(8)及びケトン化合物(7)より合成される。
一方、一般式(13)で示されるアルデヒド化合物[5,5−ジメチル−2−イソプロピルシクロヘキサンカルバルデヒド(13a)及び5,5−ジメチル−2−イソプロペニルシクロヘキサンカルバルデヒド(13b)](以下、「アルデヒド化合物(13)」ともいう)は、例えば、以下のスキーム2で示される方法に従って、ケトン化合物(7)より合成される。
【0051】
【化10】
【0052】
(式中、*印及び実線と点線の二重線は前記と同義であり、R及びRは置換基を有していてもよい直鎖状または分岐状の炭素数1〜10のアルキル基、Vはハロゲン原子である。)
工程[F]のハロゲン化反応は、例えば、五塩化リンと反応させればハロゲン化物(9)(V=Cl)を合成することができる。また、非特許文献3(J.Chem.Soc.Perkin Trans.,(1990):1275〜1277)と同様な手法によって行うことができる。工程[G]及び工程[H]は、特許文献19と同様な手法によって行うことができる。工程[I]、工程[J]及び工程[K]は、特許文献20と同様な手法によって行うことができる。工程[T]及び工程[U]は、非特許文献5(J.Am.Chem.Soc.(2004),Vol.126,No41,13312−13319)と同様な手法によって行うことができる。
【0053】
本発明の一般式(1A)で表される化合物のうち、W=H、X=CONRである一般式(14)で示されるアミド化合物(以下、「アミド化合物(14)ともいう」は、例えば、以下のスキーム3で示される方法に従って、カルボン酸化合物(11)より合成される。
【0054】
【化11】
【0055】
(式中、実線と点線の二重線、*印、R及びRは前記と同義である。)
工程[L]は、特許文献18と同様の手法によって行うことができる。
【0056】
さらに、本発明のアミド化合物(14)は、例えば、以下のスキーム4で示される方法に従って、カルボン酸化合物(11)より合成することも可能である。
【0057】
【化12】
【0058】
(式中、実線と点線の二重線、*印、R及びRは前記と同義である。)
工程[M]は、特許文献2または特許文献18と同様の手法によって行うことができる。
【0059】
本発明の一般式(1A)で表される化合物のうち、W=H、X=COORである一般式(15)で示されるカルボン酸エステル化合物(以下、「カルボン酸エステル化合物(15)」ともいう)は、例えば、以下のスキーム5で示される方法に従って、カルボン酸化合物(11)より合成される。
【0060】
【化13】
【0061】
(式中、実線と点線の二重線、*印及びRは前記と同義である。)
工程[N]は、特許文献21と同様の手法によって行うことができる。
【0062】
本発明の一般式(1A)で表される化合物のうち、W=H、X=OCO(CHCOOHである一般式(12)で示されるジカルボン酸モノエステル化合物(以下、「ジカルボン酸モノエステル化合物(16)ともいう」は、例えば、以下のスキーム6で示される方法に従って、アルコール化合物(8)より合成される。
【0063】
【化14】
【0064】
(式中、実線と点線の二重線、*印は前記と同義であり。nは0〜6の自然数である)
工程[O]は、特許文献22と同様の手法によって行うことができる。
【0065】
本発明の一般式(1A)で表される化合物のうち、W=H、X=OCORである一般式(17)で示されるエステル化合物(以下、「エステル化合物(17)」ともいう)は、例えば、以下のスキーム7で示される方法に従って、アルコール化合物(8)より合成される。
【0066】
【化15】
【0067】
(式中、実線と点線の二重線、*印、R及びVは前記と同義である。)
工程[P]は、特許文献6と同様の手法によって行うことができる。
【0068】
本発明の一般式(1A)で表される化合物のうち、W=H、X=ORである一般式(18)で示されるエーテル化合物(以下、「エーテル化合物(18)」ともいう)は、例えば、以下のスキーム8で示される方法に従って、アルコール化合物(8)より合成される。
【0069】
【化16】
【0070】
(式中、実線と点線の二重線、*印及びRは前記と同義である。)
工程[Q]は、特許文献13と同様の手法によって行うことができる。
【0071】
本発明の一般式(1A)で表される化合物のうち、WとXが一緒になって−OCHCHR(CHO−で表される環を形成した一般式(19)で示されるケタール化合物(以下、「ケタール化合物(19)」ともいう)は、例えば、以下のスキーム9で示される方法に従って、アルコール化合物(8)より合成される。
【0072】
【化17】
【0073】
(式中、実線と点線の二重線及び*印は前記と同義であり、mは0〜6の自然数であり、Rは水酸基又はヒドロキシメチル基である。)
工程[R]は、特許文献23と同様の手法によって行うことができる。工程[S]は、特許文献24と同様の手法によって行うことができる。
【0074】
本発明のメチルメントール誘導体(1A)の好ましい具体例として、カルボン酸化合物(11)、アミド化合物(14)、カルボン酸エステル化合物(15)、ジカルボン酸モノエステル化合物(16)、エステル化合物(17)、エーテル化合物(18)及びケタール化合物(19)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のメチルメントール誘導体(1A)において、カルボン酸化合物(11)及びアルデヒド化合物(13)の好ましい具体例としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下の化合物中、*印は不斉炭素を表す。
【0075】
【化18】
【0076】
本発明のメチルメントール誘導体(1A)において、アミド化合物(14)の好ましい具体例としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下の化合物中、Meはメチル基を、Etはエチル基を、iPrはイソプロピル基を、*印は不斉炭素を表す。
【0077】
【化19】
【0078】
【化20】
【0079】
【化21】
【0080】
【化22】
【0081】
【化23】
【0082】
【化24】
【0083】
【化25】
【0084】
【化26】
【0085】
【化27】
【0086】
【化28】
【0087】
本発明のメチルメントール誘導体(1A)において、カルボン酸エステル化合物(15)の好ましい具体例としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下の化合物中、*印は不斉炭素を表す。
【0088】
【化29】
【0089】
【化30】
【0090】
本発明のメチルメントール誘導体(1A)において、ジカルボン酸モノエステル化合物(16)の好ましい具体例としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下の化合物中、*印は不斉炭素を表す。
【0091】
【化31】
【0092】
【化32】
【0093】
本発明のメチルメントール誘導体(1A)において、エステル化合物(17)の好ましい具体例としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下の化合物中、*印は不斉炭素を表す。
【0094】
【化33】
【0095】
【化34】
【0096】
本発明のメチルメントール誘導体(1A)において、エーテル化合物(18)の好ましい具体例としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下の化合物中、*印は不斉炭素を表す。
【0097】
【化35】
【0098】
【化36】
【0099】
本発明のメチルメントール誘導体(1A)において、ケタール化合物(19)の好ましい具体例としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下の化合物中、*印は不斉炭素を表す。
【0100】
【化37】
【0101】
このようにして得られた本発明の一般式(1A)又は一般式(1B)で表されるメチルメントール誘導体は、強く、持続性のある冷感効果を有し、そのまま単独で冷感剤または感覚刺激剤として利用することができる。
【0102】
本発明のメチルメントール誘導体は、製品の種類、使用目的などにより、その適用範囲や適用方法を適宜変える必要があるが、通常、製品の全組成に対して0.00001〜50質量%、好ましくは0.0001〜20質量%、特に好ましくは0.001〜5質量%の濃度で用いられるのが好ましい。
【0103】
本発明にかかるメチルメントール誘導体を含む冷感剤組成物では、本発明のメチルメントール誘導体以外の冷感物質から選ばれる少なくとも1種を本発明のメチルメントール誘導体と併用することにより、冷感強度をより高めた冷感剤組成物とすることができる。さらには、冷感強度を高めた、当該冷感剤組成物を含有する感覚刺激剤組成物を調製することができる。
【0104】
前記本発明のメチルメントール誘導体に含まれない冷感物質としては、例えば;
メントール、メントン、カンファー、プレゴール、イソプレゴール、シネオール、キュベノール、酢酸メンチル、酢酸プレギル、酢酸イソプレギル、サルチル酸メンチル、サルチル酸プレギル、サルチル酸イソプレギル、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−メチル−3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−(l−メントキシ)エタン−1−オール、3−(l−メントキシ)プロパン−1−オール、4−(l−メントキシ)ブタン−1−オール、3−ヒドロキシブタン酸メンチル、グリオキシル酸メンチル、p−メンタン−3,8−ジオール、1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノン、乳酸メンチル、メントングリセリンケタール、メンチル−2−ピロリドン−5−カルボキシラート、モノメンチルスクシナート、モノメンチルスクシナートのアルカリ金属塩、モノメンチルスクシナートのアルカリ土類金属塩、モノメンチルグルタラート、モノメンチルグルタラートのアルカリ金属塩、モノメンチルグルタラートのアルカリ土類金属塩、N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシン、p−メンタン−3−カルボン酸グリセロールエステル、メントールプロピレングリコールカルボナート、メントールエチレングリコールカルボナート、p−メンタン−2,3−ジオール、2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブタンアミド、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、3−(p−メンタン−3−カルボキサミド)酢酸エチル、N−(4−メトキシフェニル)−p−メンタンカルボキサミド、N−エチル−2,2−ジイソプロピルブタンアミド、N−シクロプロピル−p−メンタンカルボキサミド、N−(4−シアノメチルフェニル)−p−メンタンカルボキサミド、N−(2−ピリジン−2−イル)−3−p−メンタンカルボキサミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−イソプロイル−2,3−ジメチルブタンアミド、N−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,2−ジエチルブタンアミド、シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)アミド、N−エチル−2,2−ジイソプロピルブタンアミド、N−[4−(2−アミノ−2−オキソエチル)フェニル]−p−メンタンカルボキサミド、2−[(2−p−メントキシ)エトキシ]エタノール、2,6−ジエチル−5−イソプロピル−2−メチルテトラヒドロピラン、トランス−4−tert−ブチルシクロヘキサノールなどの化合物(α)並びにこれらのラセミ体及び光学活性体;
キシリトール、エリスリトール、デキストロース、ソルビトールなどの糖アルコール(β);
和種ハッカオイル、ペパーミントオイル、スペアーミントオイル、ユーカリプタスオイルなどの天然物(γ);
日本国特開2001−294546号公報、日本国特開2005−343915号公報、日本国特開2007−002005号公報、日本国特開2009−263664号公報、日本国特開2010−254621号公報、日本国特開2010−254622号公報、日本国特開2011−079953号公報、米国特許第4136163号明細書、米国特許第4150052号明細書、米国特許第4178459号明細書、米国特許第4190643号明細書、米国特許第4193936号明細書、米国特許第4226988号明細書、米国特許第4230688号明細書、米国特許第4032661号明細書、米国特許第4153679号明細書、米国特許第4296255号明細書、米国特許第4459425号明細書、米国特許第5009893号明細書、米国特許第5266592号明細書、米国特許第5698181号明細書、米国特許第5725865号明細書、米国特許第5843466号明細書、米国特許第6231900号明細書、米国特許第6277385号明細書、米国特許第6280762号明細書、米国特許第6306429号明細書、米国特許第6432441号明細書、米国特許第6455080号明細書、米国特許第6627233号明細書、米国特許第7078066号明細書、米国特許第6783783号明細書、米国特許第6884906号明細書、米国特許第7030273号明細書、米国特許第7090832号明細書、米国特許出願公開第2004/0175489号明細書、米国特許出願公開第2004/0191402号明細書、米国特許出願公開第2005/0019445号明細書、米国特許出願公開第2005/0222256号明細書、米国特許出願公開第2005/0265930号明細書、米国特許出願公開第2006/015819号明細書、米国特許出願公開第2006/0249167号明細書、欧州特許出願公開第1689256号明細書、国際公開第2005/082154号、国際公開第2005/099473号、国際公開第2006/058600号、国際公開第2006/092076号、国際公開第2006/125334号に記載の化合物(δ);
等を例示することができる。
これらは、1種または2種以上を適宜配合して用いることができる。中でも、化合物(α)、糖アルコール(β)及び天然物(γ)からなる群より選ばれる少なくとも1の冷感物質を含むことが好ましい。
【0105】
本発明のメチルメントール誘導体とこれに含まれない冷感物質とは、本発明の効果を損なわない範囲において任意の割合で用いることができるが、メチルメントール誘導体とこれに含まれない冷感物質の好ましい使用割合は、質量比で1:99〜90:10の範囲であることが好ましい。
本発明の冷感剤組成物は、香料組成物や飲料、食品、香粧品、トイレタリー製品、エアケア製品、日用・雑貨品、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、ボディケア製品、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、医薬品部外品及び医薬品などの製品類に配合することができる。
【0106】
また、本発明のメチルメントール誘導体を含む冷感剤組成物は、強く、かつ持続性のある冷感効果を有していることから、この冷感剤組成物を含有させることにより、冷感効果を有する感覚刺激剤組成物を調製することができる。感覚刺激剤組成物を調製する場合において、冷感剤組成物の配合量は、製品の種類、使用目的などにより、その適用範囲や適用方法を適宜変更する必要があるが、通常、感覚刺激剤組成物の全組成に対して0.00001〜50質量%、好ましくは0.0001〜20質量%、特に好ましくは0.001〜4質量%の濃度で用いるのが好ましい。なお、本発明の感覚刺激剤組成物は、感覚を刺激する効果を与える組成物である。前記感覚を刺激する効果としては、冷感効果及び/又は温感効果を含み、従って、本発明においては、感覚刺激剤組成物は冷感剤組成物及び/又は温感剤組成物をも含む概念として用いられている。
【0107】
本発明の冷感剤組成物においては、温感物質を併用することにより、感覚刺激剤組成物の刺激効果を調整することができる。温感刺激成分としては、例えば;
バニリルメチルエーテル、バニリルエチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリルイソプロピルエーテル、バニリルブチルエーテル、バニリルアミルエーテル、バニリルイソアミルエーテル、バニリルヘキシルエーテル、イソバニリルメチルエーテル、イソバニリルエチルエーテル、イソバニリルプロピルエーテル、イソバニリルイソプロピルエーテル、イソバニリルブチルエーテル、イソバニリルアミルエーテル、イソバニリルイソアミルエーテル、イソバニリルヘキシルエーテル、エチルバニリルメチルエーテル、エチルバニリルエチルエーテル、エチルバニリルプロピルエーテル、エチルバニリルイソプロピルエーテル、エチルバニリルブチルエーテル、エチルバニリルアミルエーテル、エチルバニリルイソアミルエーテル、エチルバニリルヘキシルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、イソバニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、バニリルブチルエーテル酢酸エステル、イソバニリルブチルエーテル酢酸エステル、エチルバニリルブチルエーテル酢酸エステル、4−(l−メントキシメチル)−2−(3’−メトキシ−4’−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(l−メントキシメチル)−2−(3’−ヒドロキシ−4’−メトキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(l−メントキシメチル)−2−(3’−エトキシ−4’−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサインシン、ホモジヒドロカプサインシン、ホモカプサインシン、ビスカプサンシン、トリスホモカプサンシン、ノルノルカプサンシン、ノルカプサンシン、カプサイシノール、バニリルカプリルアミド(オクチル酸バニリルアミド)、バニリルペリラゴンアミド(ノニル酸バニリルアミド)、バニリルカプロアミド(デシル酸バニリルアミド)、バニリルウンデカンアミド(ウンデシル酸バニリルアミド)、N−トランス−フェルロイルチラミン、N−5−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2E,4E−ペンタジエノイルピペリジン、N−トランス−フェルロイルピペリジン、N−5−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2E−ペンテノイルピペリジン、N−5−(4−ヒドロキシフェニル)−2E,4E−ペンタジエノイルピペリジン、ピペリン、イソピペリン、シャビシン、イソシャビシン、ピペラミン、ピペレチン、ピペロレインB,レトロフラクタミドA、ピペラシド、グイネンサイド、ピペリリン、ピペラミドC5:1(2E)、ピペラミドC7:1(6E)、ピペラミドC7:2(2E,6E)、ピペラミドC9:1(8E)、ピペラミドC9:2(2E,8E)、ピペラミドC9:3(2E,4E,8E)、ファガラミド、サンショオール−I、サンショオール−II、ヒドロキシサンショオール、サンショウアミド、ジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロン、メチルジンゲロール、パラドール、スピラントール、カビシン、ポリゴジアール(タデオナール)、イソポリゴジアール、ジヒドロポリゴジアール、タデオンなどの化合物(ε)並びにこれらのラセミ体及び光学活性体;
トウガラシ油、トウガラシオレオレジン、ジンジャーオレオレジン、ジャンブーオレオレジン(キバナオランダセンニチ抽出物)、サンショウエキス、サンショウアミド、黒胡椒エキス、白胡椒エキス、タデエキスなどの天然物(ζ);
日本国特開平8−225564号公報、日本国特開2007−015953号公報、日本国特表2007−510634号公報、日本国特表2008−505868号公報、国際公開第2007/013811号、国際公開第2003/106404号、欧州特許出願公開第1323356号明細書、独国特許出願公開第10351422号明細書、米国特許出願公開第2005/0181022号明細書、米国特許出願公開第2008/0038386号明細書に記載の化合物(η);
等を例示することができる。
これらは、1種または2種以上を適宜配合して用いることができる。中でも、化合物(ε)、及び天然物(ζ)からなる群より選ばれる少なくとも1の温感物質を含むことが好ましい。
【0108】
冷感効果を目的とする場合、温感物質と冷感物質との配合比は、温感物質の配合により温感効果が付与されない範囲であればよく、通常、冷感剤組成物の総質量に対して、温感物質は0.001〜0.95倍量、好ましく0.01〜0.5倍量の配合量とされる。本発明のメチルメントール誘導体を含む冷感剤組成物を含む感覚刺激剤組成物において、冷感剤組成物に上記割合で温感物質が添加されることにより、冷感効果の更なる向上が見られ、冷感効果が増大する。
また、温感効果を目的とする場合は、冷感剤組成物の配合により冷感効果が付与されない範囲であればよく、通常、温感物質の総質量に対して、冷感剤組成物は0.001〜0.95倍量、好ましくは0.01〜0.5倍量の配合量とされる。
【0109】
本発明の冷感剤組成物または感覚刺激剤組成物と共に含有し得る香料成分としては、各種の合成香料、天然精油、合成精油、柑橘油、動物性香料などを挙げることができ、例えば非特許文献1に記載されているような広範な種類の香料成分を使用することができる。
そのうちでも代表的なものとしては、例えば、α−ピネン、リモネン、cis−3−ヘキセノール、フェニルエチルアルコール、スチラリルアセテート、オイゲノール、ローズオキサイド、リナロール、ベンズアルデヒド、ムスコン、ムスクT(高砂香料工業株式会社)、テサロン(高砂香料工業株式会社)などを挙げることができる。
【0110】
本発明の冷感剤組成物または感覚刺激剤組成物と上記香料成分を含有する香料組成物における冷感剤組成物または感覚刺激剤組成の含有量は、一緒に調合する香料やその他の成分の種類、当該香料組成物の使用目的などにより調整することができる。例えば、香粧品用の香料組成物では、一般に、香料組成物の全質量に対して、冷感剤組成物または感覚刺激剤組成物の含有量が0.00001〜50質量%、好ましくは0.001〜50質量%、特に好ましくは0.01〜20質量%である。
【0111】
また、飲料用や食品用の香料組成物では、一般に、香料組成物の全質量に対して、冷感剤組成物または感覚刺激剤組成物の含有量が0.0001〜50質量%であることが好ましく、0.001〜30質量%であることがより好ましい。
【0112】
冷感剤組成物を含有する冷感剤組成物含有香料組成物、または感覚刺激剤組成物を含有する感覚刺激剤組成物含有香料組成物は、必要に応じて、香料組成物において通常使用されている他の香料保留剤の1種または2種以上を含有していてもよい。その場合の他の香料保留剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ヘキシルグリコール、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、ジエチルフタレート、ハーコリン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、中鎖脂肪酸ジグリセライドなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を含有することができる。
【0113】
本発明の冷感剤組成物または感覚刺激剤組成物は、上述のように、冷感剤組成物若しくは感覚刺激剤組成物単独で、または冷感剤組成物若しくは感覚刺激剤組成物を含有する冷感剤組成物含有香料組成物若しくは感覚刺激剤組成物含有香料組成物にして、各種製品に対して冷感または感覚刺激の付与に用いることができる。
本発明の冷感剤組成物または感覚刺激剤組成物自体或いは冷感剤組成物含有香料組成物または感覚刺激剤組成物含有香料組成物によって冷感または感覚刺激を付与された製品は、とくに限定されないが、例えば、飲料;食品;洗浄剤、台所用洗剤、漂白剤などのトイレタリー製品;消臭剤・芳香剤などのエアケア製品;口腔用組成物;フレグランス製品、基礎化粧品、仕上げ化粧品、頭髪化粧品、日焼け化粧品、薬用化粧品などの香粧品;ヘアケア製品;石鹸などのスキンケア製品;身体洗浄剤などのボディケア製品;浴用剤;衣料用洗浄剤;衣料用柔軟仕上げ剤;エアゾール剤;日用・雑貨品;医薬部外品又は医薬品などが挙げられる。
【0114】
前記飲料としては、果汁飲料類、果実酒類、乳飲料類、炭酸飲料、清涼飲料、ドリンク剤類の如き飲料類;緑茶、ウーロン茶、紅茶、柿の葉茶、カミツレ茶、クマザサ茶、桑茶、ドクダミ茶、プアール茶、マテ茶、ルイボス茶、ギムネマ茶、グアバ茶、コーヒー、ココアの如き茶飲料または嗜好飲料類;和風スープ、洋風スープ、中華スープの如きスープ類;各種インスタント飲料など;
前記食品としては、アイスクリーム類、シャーベット類、アイスキャンディー類の如き冷菓類;ゼリー、プリンなどのデザート類;ケーキ、クッキー、チョコレート、チューインガムなどの洋菓子類;饅頭、羊羹、ウイロウなどの和菓子類;ジャム類;キャンディー類;パン類;風味調味料;各種インスタント食品;各種スナック食品類など;
前記口腔用組成物としては、歯磨き、口腔洗浄料、マウスウオッシュ、トローチ、チューインガム類など;
前記フレグランス製品としては、香水、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロンなど;
前記基礎化粧品としては、洗顔クリーム、バニシングクリーム、クレンジングクリーム、コールドクリーム、マッサージクリーム、乳液、化粧水、美容液、パック、メイク落としなど;
前記仕上げ化粧品としては、ファンデーシヨン、粉おしろい、固形おしろい、タルカムパウダー、口紅、リップクリーム、頬紅、アイライナー、マスカラ、アイシャドゥ、眉墨、アイパック、ネイルエナメル、エナメルリムバーなど;
前記頭髪化粧品としては、ポマード、ブリランチン、セットローション、ヘアーステック、ヘアーソリッド、ヘアーオイル、ヘアートリートメント、ヘアークリーム、ヘアートニック、ヘアーリキッド、ヘアースプレー、バンドリン、養毛剤、染毛剤など;
前記日焼け化粧品としては、サンタン製品、サンスクリーン製品など;
前記薬用化粧品としては、制汗剤、アフターシェービングローション及びジェル、パーマネン卜ウェーブ剤、薬用石鹸、薬用シャンプー、薬用皮膚化粧料など;
前記ヘアケア製品としては、シャンプー、リンス、リンスインシャンプー、コンディショナー、トリートメン卜、ヘアーパックなど;
前記石鹸としては、化粧石鹸、浴用石鹸、香水石鹸、透明石鹸、合成石鹸など;
前記身体洗浄剤としては、ボディソープ、ボディシャンプー、ハンドソープ、フェースクリームなど;
前記浴用剤としては、入浴剤(バスソルト、バスタブレット、バスリキッド、等)、フォームバス(バブルバス、等)、バスオイル(バスパヒューム、バスカプセル、等)、ミルクバス、バスジェリー、バスキユーブなど;
前記洗剤としては、衣料用重質洗剤、衣料用軽質洗剤、液体洗剤、洗濯石鹸、コンパクト洗剤、粉石鹸など;
前記柔軟仕上げ剤としては、ソフナー、ファーニチァケアーなど;
前記洗浄剤としては、クレンザー、ハウスクリーナー、トイレ洗浄剤、浴室用洗浄剤、ガラスクリーナー、カビ取り剤、排水管用洗浄剤など;
前記台所用洗剤としては、台所用石鹸、台所用合成石鹸、食器用洗剤など;
前記漂白剤としては、酸化型漂白剤(塩素系漂白剤、酸素系漂白剤、等)、還元型漂白剤(硫黄系漂白剤、等)、光学的漂白剤など;
前記エアゾール剤としては、スプレータイプ、パウダースプレーなど;
前記消臭・芳香剤としては、固形状タイプ、ゲル状タイプ、リキッドタイプ(水性、油性)など;
前記日用・雑貨品としては、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなど;
医薬部外品としては、液体入浴剤、洗口液、忌避剤等など、忌避剤としてはミストスプレータイプ、水性液体タイプなど;
医薬品としては、薬用化粧品、薬用ローションなど;
の種々の形態を挙げることができる。
【0115】
本発明のメチルメントール誘導体の剤形は、混合物自体の形状をとることができる。その他の剤形としては、例えば、
アルコール類、プロピレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類、トリエチルシトレート、ベンジルベンゾエート、ジエチルフタレートなどのエステル類に溶解した液体状;
アラビアガム、トラガントガムなどの天然ガム質類;
グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの乳化剤で乳化した乳化状;
アラビアガム等の天然ガム質類、ゼラチン、デキストリンなどの賦形剤を用いて被膜させた粉末状;
界面活性剤、例えば非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤などを用いて可溶化あるいは分散化した可溶化状或いは分散化状;
カプセル化剤で処理して得られるマイクロカプセルなど;
その目的に応じて任意の形状を選択して用いられている。
【0116】
本発明の冷感剤組成物若しくは感覚刺激剤組成物またはそれを含有する冷感剤組成物含有香料組成物または感覚刺激剤組成物含有香料組成物を上記したような各種の製品の冷感または感覚刺激の付与する方法としては、例えば、
冷感または感覚刺激が付与される製品の種類や製品の最終形態(例えば液体状、固体状、粉末状、ゲル状、ミスト状、エアゾール状などの製品形態)に応じて、冷感剤組成物または感覚刺激剤組成物或いはそれらを含有する冷感剤組成物含有香料組成物または感覚刺激剤組成物含有香料組成物を、その直接製品に添加または付与してもよいし;
冷感剤組成物または感覚刺激剤組成物或いはそれらを含有する冷感剤組成物含有香料組成物または感覚刺激剤組成物含有香料組成物を、例えば、アルコール類、プロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類に溶解して液体状にして添加または付与してもよいし;
アラビアガム、トラガントガムなどの天然ガム質類、界面活性剤(例えばグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤など)を用いて可溶化或いは乳化分散させた可溶化状或いは分散状にして添加または付与してもよいし;
アラビアガム等の天然ガム質類、ゼラチン、デキストリンなどの賦形剤を用いて被膜形成した粉末状で添加または付与してもよいし;
カプセル化剤で処理してマイクロカプセルにして添加または付与してもよい。
さらに、サイクロデキストリンなどの包接剤に包接して、冷感剤組成物または感覚刺激剤組成物或いはそれらを含有する冷感剤組成物含有香料組成物または感覚刺激剤組成物含有香料組成物を安定化すると共に徐放性にして用いてもよい。
【0117】
冷感または感覚刺激付けを行う際の製品への冷感剤組成物または感覚刺激剤組成物の添加量又は付与量は、製品の種類や形態、製品に求められる冷感または感覚刺激付け効果や作用などに応じて調整することができる。一般的には製品の質量に対して、冷感剤組成物または感覚刺激剤組成物の添加量又は付与量が、約1×10−7〜0.1質量%程度であることが好ましく、1×10−6〜0.01質量%であることがより好ましい。
【実施例】
【0118】
以下、合成例、実施例中での生成物の測定は、次の機器装置類を用いて行われた。
核磁気共鳴スペクトル:H−NMR:AM−500(500MHz)(ブルッカー社製)
外部標準物質:テトラメチルシラン
ガスクロマトグラフ(GC):GC−2010AF(島津製作所製)
カラム;DB−WAX(30m×0.32nm×0.5μm)(ヒューレット・パッカード製)、IC−1(30m×0.25mm×0.25μm)、(ヒューレット・パッカード製)、Rtx−1(30m×0.25mm×0.25μm)(Restek製)
キラルカラム(光学純度測定);Beta DEXTM 225(30m×0.25mm×0.25μm)、Beta DEXTM 325(30m×0.25mm×0.25μm)(スペルコ製)
高分解能質量スペクトル(HRMS):JMS−T100GCV(日本電子製)、LCMS−IT−TOF(島津製作所製)
旋光度:JASCO P−1020(日本分光製)
融点:融点測定装置(シリアルナンバー:2678)(柳本製作所製)
【0119】
[合成例1]3−メチルシトロネラール(3,3,7−トリメチル−6−オクテナール)(例示化合物3)の合成
【0120】
【化38】
【0121】
本反応は窒素雰囲気下にて行った。滴下漏斗を有した2Lの四つ口フラスコを用意し、フラスコにヨウ化銅(100g、1.05eq.)及びジエチルエーテル(200mL)を添加し、系内を0〜5℃まで攪拌しつつ冷却した。滴下漏斗にメチルリチウム・エーテル溶液(1.08mol/L、992mL、2.05eq.vs.CuI)を添加し、ゆっくりと2時間を要し滴下した。滴下終了後温度を保ちつつ30分攪拌し、系内を−60℃以下まで冷却した。滴下漏斗にシトラール(76.1g、500mmol)及びジエチルエーテル(50mL)を添加し、ゆっくりと20分を要し滴下した。終了後に1時間温度を保ちつつ攪拌し、徐々に系内温度を0〜5℃まで昇温した。1時間後にGCにて反応の終了を確認し、後処理として、飽和塩化アンモニウム水溶液を冷却したままゆっくりと滴下した。混合溶液をセライト濾過し、油層を飽和塩化アンモニウム水溶液で3回・飽和食塩水で1回洗浄、無水硫酸マグネシウムにて乾燥して減圧濃縮した(78.4g)。本反応を合計3回行い、得られたオイルをクライゼン蒸留装置により単蒸留し(0.1mmHg、塔頂60〜65℃、バス温85〜95℃)、目的物(180g、収率72%)を得た。
【0122】
H−NMR(500MHz,CDCl):δ(s,3H),1.33−1.39(m,2H),1.60(s,3H),1.68(d,3H,J=0.85Hz),1.94−2.01(m,2H),2.27(d,2H,J=3.2Hz),5.06−5.11(m,1H),9.85(t,J=3.1Hz).
【0123】
[合成例2]5−メチルイソプレゴール(5,5−ジメチル−2−(プロプ−1−エン−2−イル)シクロヘキサノール)(例示化合物 rac−4)の合成
【0124】
【化39】
【0125】
コンデンサを有した200mLの四つ口フラスコに活性シリカアルミナ(771mg、2質量%)、3−メチルシトロネラール(3)(25.8g、153mmol)、トルエン(77mL)を添加した。80℃にて攪拌して反応させ、2時間後に反応を終了させた(conv.>99%)。触媒を濾過後、クライゼン蒸留装置により単蒸留し(<0.1Pa、塔頂55〜56℃、バス温88℃)、目的物である無色オイル(24.6g、収率66%)を得た。シス/トランス比は13/87であった。
【0126】
HRMS:質量168.1514 実測値168.1535
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.90−0.95(m,3H),0.96(s,3H),1.09−1.16(m,1H),1.18−1.27(m,1H),1.26−1.41(m,2H),1.44−1.58(m,2H),1.74(br,3H),1.75−1.88(m,2H),3.62−3.66(m,1H),4.85−4.86(m,1H),4.83−4.98(m,1H)(trans/cis mix)
【0127】
[合成例3]trans−5−メチルメントール(trans−2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサノール)(rac−trans−5)の合成
【0128】
【化40】
【0129】
合成例2で得られた5−メチルイソプレゴール(rac−4)(10.0g、59.4mmol)及びパラジウム炭素担持(N.E.Chemcat.Wet、STD 5%、100mg、1質量%)及びメタノール(20mL)を添加した。水素圧下1MPa〜2MPa、50℃にて15時間反応させた。GCにて反応の完結を確認し、後処理を行った。触媒をセライト濾過後に濃縮し、trans−5−メチルメントール(9.80g、収率97%)を白色固体として得た。
【0130】
融点 60〜64℃
HRMS:質量170.1671 実測値170.1680
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.84(d,3H,J=7.0Hz),0.89(s,3H,>C−CH),0.93−0.95(m,6H),1.04−1.21(m,5H),1.37(dt,1H,J=9.6,2.6Hz),1.46−1.50(m,1H),1.68−1.73(m,1H),2.12−2.21(m,1H,),3.53−3.62(m,1H).
【0131】
[合成例4](+)−5−メチルメントン((+)−2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサノン)(例示化合物 (+)−7)の合成
【0132】
【化41】
【0133】
窒素雰囲気下にて滴下漏斗を2つ有した1Lの四つ口フラスコを用意し、フラスコ内にメチルマグネシウムブロミド・テトラヒドロフラン(THF)溶液(0.92mol/L、500mL、460mmol、1.25eq.)を添加し、系内を−10℃まで撹拌しつつ冷却した。滴下漏斗にヨウ化銅(13.4g、20mol%)のTHF懸濁液(25mL)を用意し、系内にゆっくりと添加した。添加終了後30分熟成し、滴下漏斗に(−)−ピペリトン(53.9g、354mmol)のTHF溶液(50mL)を添加し、系内温度を−5℃以下に保ちつつ、1時間半を要しゆっくりと滴下した。滴下終了後1時間で(−)−ピペリトンの完全消費を確認し、後処理を行った。系内温度を−10℃のまま系内にゆっくりと飽和塩化アンモニウム水溶液(200mL)を撹拌しつつ加えた。添加終了後に30分撹拌し、徐々に室温まで昇温した。反応溶液を分液漏斗に移送してトルエンを添加し、飽和塩化アンモニウム水溶液で3回洗浄した。油層を濾過濃縮後にクライゼン蒸留を行い(バス温100℃、塔頂56℃、0.1Pa)、目的の(+)−5−メチルメントンを黄色がかったオイルとして得た(54.2g、収率88%、85%ee.)。
【0134】
[α]20=+25.4(c=0.2,EtOH)
HRMS:質量168.1514 実測値168.1512
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.88(d,3H,J=1.5Hz),0.90(br,9H),1.01(s,3H),1.52−1.67(m,4H),1.89−2.02(m,2H),2.07−2.16(m,2H).
【0135】
[合成例5]5−メチルメントン(2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサノン)(例示化合物 rac−7)の合成
【0136】
【化42】
【0137】
合成例4で得られた(+)−5−メチルメントン((+)−7)(10.0g)を90℃にて3時間加熱撹拌することで、定量的に目的の5−メチルメントンを無色オイルとして得た。
【0138】
HRMS:質量168.1514 実測値168.1521
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.88(d,3H,J=1.6Hz),0.90(br,9H),1.01(s,3H),1.52−1.67(m,4H),1.89−2.02(m,2H),2.07−2.15(m,2H).
【0139】
[実施例1]5−メチルメンチルアミド(2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサンカルボキシアミド)(例示化合物 14a−50)の合成
【0140】
【化43】
【0141】
本反応は窒素雰囲気下にて行った。フラスコ内にカリウムt−ブトキシド(396mg、1.2eq.)及びTHF(5ml)、滴下漏斗内にp−トルエンスルホニルメチルイソシアニド(590mg、1.1eq.)及びTHF(10ml)を添加し、0〜5℃にて冷却撹拌しつつ漏斗内の溶液を滴下した。2時間後、系内の温度を−10℃まで冷却し、合成例5で得られた5−メチルメントン(rac−7)(500mg、2.94mmol)のTHF溶液(5ml)を撹拌しつつ滴下した。滴下終了後、徐々に昇温し、内温45℃にて8時間反応させた。後処理として、室温まで冷却後に減圧濃縮し、THFを留去した。得られた残渣にトルエンと水道水を添加し、油層を水道水で2回、飽和食塩水で1回洗浄した。無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、濾過・減圧濃縮した後、コンデンサを有した四つ口フラスコに、得られたオイルと、水酸化カリウム(500mg、3.2eq.)水道水及びt−ブタノール(6ml)を添加し、9時間還流撹拌を行った。後処理としてトルエン・水道水で抽出して油層を常法により洗浄・乾燥させ、濃縮して得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)にて単離精製し、更にヘプタン/酢酸エチルで再結晶を行い、目的の5−メチルメンチルアミドを白色固体として得た(121mg、収率25%)。
【0142】
融点 141〜145℃
HRMS:質量198.1852 実測値198.1841([M+H]
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.83(d,1H,J=6.9Hz),0.87−0.94(m,9H),1.12−1.28(m,2H),1.40−1.55(m,5H),1.80(quid,1H,J=13.9,2.5Hz),2.23(td,1H,J=11.9,3.7Hz),5.53−5.56(br,2H).
【0143】
[合成例6]5−メチルメンチルクロリド(3−クロロ−4−イソプロピル−1,1−ジメチルシクロヘキサン)の合成
【0144】
【化44】
【0145】
200mLフラスコに、合成例3で得られたtrans−5−メチルメントール(rac−trans−5)(11.0g、64.6mmol)、トルエン(5.5mL)、塩化亜鉛(28.2g、3.2eq.)及び濃塩酸(16.2mL)を添加し、室温にて6時間反応を行った。GC−MSにて反応の完結を確認し、後処理を行った。分液漏斗にて水層を除去し、油層を水道水にて5回洗浄した。無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、濾過濃縮して残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)にて単離精製し、5−メチルメンチルクロリド(10.4g、収率70%)の異性体混合物を薄黄色オイルとして得た。
【0146】
HRMS:質量233.1312 実測値233.1314([M+Cl]
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.81(d,3H,J=7.0 Hz),0.90(s,3H),0.92(d,3H,J=7.0Hz),0.94(s,3H),0.97−1.12(m,1H),1.19−1.38(m,2H),1.41(dt,1H,J=9.5,1.5Hz),1.52−1.60(m,2H),1.94−2.00(m,1H),2.34(quid,1H,J=7.0,1.5Hz),3.95(td,1H,J=12.0,1.6Hz).
【0147】
[実施例2]5−メチルメンチルカルボン酸メチルエステル(メチル 2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサンカルボキシレート)(例示化合物 15a−6)の合成
【0148】
【化45】
【0149】
窒素雰囲気下にてコンデンサと滴下漏斗を有した200mLの四つ口フラスコに、マグネシウム(1.51g、1.30eq.)を添加し、滴下漏斗に合成例6で得られた5−メチルメンチルクロリド(9.00g、47.7mmol)及びTHF(40mL)を添加した。フラスコ内温を45℃に加熱し、攪拌しつつ漏斗内の溶液を、1時間を要して滴下した。漏斗内に炭酸ジメチル(8.03mL、2.00eq.)及びTHF(5mL)を添加し、凡そ40分で滴下した。終了後に系内温度を55℃まで昇温し、合計8時間加熱攪拌を行った。後処理として、系内を冷却し塩化アンモニウム水溶液で反応を終了させ、常法により得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=6/1)にて単離精製し無色オイルとして目的物を得た(9.13g、43.0mmol、収率90%)。
【0150】
HRMS:質量213.1837 実測値213.1849 ([M+H]
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.81(d,3H,J=7.0Hz),0.88(s,3H),0.90(d,3H,J=6.9Hz),0.92(s,3H),1.14−1.35(m,4H),1.36−1.68(m,4H),2.42−2.50(m,1H).3.65(s,3H).
【0151】
[合成例7]5−メチルメンチルカルボン酸(2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸)(例示化合物 rac−11a)の合成
【0152】
【化46】
【0153】
コンデンサを有した200mLフラスコに実施例2で得られた5−メチルメンチルカルボン酸メチルエステル(15a−6)(8.16g、38.4mmol)、エタノール(10mL)及び25質量%水酸化ナトリウム水溶液(23mL)を添加し、95℃にて6時間加熱攪拌を行った。溶液を室温まで冷却後、減圧濃縮し、トルエン及び水道水を添加して分液漏斗に移送した。油層をカットし、水層を希塩酸にて液性を酸性とし、クロロホルムで抽出した。油層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的の白色固体を得た(5.07g、収率65.6%)。
【0154】
融点 91〜94℃
HRMS:質量198.1620 実測値198.1619
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.84(d,3H,J=7.0Hz),0.89(s,3H),0.91(d,3H,J=14.0Hz),0.93(s,3H),1.15−1.26(m,2H),1.38−1.51(m,4H),1.61(dt,2H,J=13.0,3.0Hz),1.70−1.78(m,1H),2.42−2.50(n,1H),8.0−13.0(br,1H).
【0155】
[合成例8]5−メチルメンチルカルボン酸(2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸)(例示化合物 rac−11a)の合成
【0156】
【化47】
【0157】
実施例1で得られた5−メチルメンチルアミド(15a−60)を25質量%水酸化ナトリウム水溶液とエチレングリコールを用いて還流撹拌し同様に加水分解することで、同様の化合物を得た(収率32%)。
【0158】
[合成例9]5−メチルメンチルカルボン酸(2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸)(例示化合物 rac−11a)の合成
【0159】
【化48】
【0160】
窒素雰囲気下にてコンデンサと滴下漏斗を有した200mL四つ口フラスコに、マグネシウム(2.68mg、1.30eq.)を添加し、滴下漏斗に合成例6で得られた5−メチルメンチルクロリド(16.0g、84.8mmol)及びTHF(80mL)を添加した。フラスコ内温を45℃に加熱し攪拌しつつ漏斗内の溶液を、2時間を要して滴下した。その後、系内に炭酸ガスを吹き込みつつ合計9時間加熱攪拌を行った。後処理として、溶媒を回収後に系内を冷却しトルエン及び水道水を添加した。水層に希塩酸を添加してクロロホルムにて抽出し、油層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後に減圧濃縮することで目的の白色結晶を得た(5.76g、収率34%)。
【0161】
[合成例10]光学活性(−)−trans−5−メチルイソプレゴール((1R,2S)−trans−5,5−ジメチル−2−(プロプ−1−エン−2−イル)シクロヘキサノール)(例示化合物 (1R,2S)−trans−4)の合成
【0162】
【化49】
【0163】
本反応は窒素雰囲気下にて行った。コンデンサを有した200mLフラスコに(R)−1,1’−ビ−2−ナフトール((R)−BINOL)(1.22mg、1.6eq.vs.Al)、トルエン(27mL)を加え、撹拌しつつトリエチルアルミニウム・トルエン溶液(2.7mL、5mol%)をゆっくりと添加した。一時間室温にて撹拌後、系内を0〜5℃に冷却し合成例1で得られた3−メチルシトロネラール(9.00g、53.5mmol)をゆっくりと滴下した。3時間後にGCにて反応の完結を確認し後処理として、トルエン/塩酸にてクエンチ後、油層を水道水・飽和食塩水で各一回洗浄した。無水硫酸マグネシウムにて乾燥してシリカゲルカラムクロマトグラフィーを通過させ、減圧濃縮して目的の光学活性(−)−trans−5−メチルイソプレゴールを無色オイルとして得た(7.42g、収率83%、80%ee.)。
【0164】
[α]25=−6.6(c=0.6,CHCl
HRMS:質量168.1519 実測値168.1514
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.94(s,3H,CH),0.96(s,3H,CH),1.14(t,1H,J=11.7Hz),1.22(td,1H,J=13.0,4.6Hz),1.26−1.41(m,2H),1.45−1.57(m,2H),1.74(dd,3H,J=1.5,0.9Hz),1.75−1.87(m,2H),3.61−3.66(m,1H),4.85−4.86(m,1H),4.89−4.91(m,1H).
【0165】
[合成例11]光学活性trans−5−メチルイソプレゴール((1S,2R)−trans−5,5−ジメチル−2−(プロプ−1−エン−2−イル)シクロヘキサノール)((1S,2R)−trans−4)の合成
【0166】
【化50】
【0167】
合成例5の手法を用いて、配位子として(S)−BINOLを用い、3−メチルシトロネラール(5.00g、29.7mmol)より(+)−trans−5−メチルイソプレゴールを無色オイルとして得た(3.90g、収率78%、78%ee.)
【0168】
[α]25=+5.8(c=0.3,CHCl).
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.93(s,3H,CH),0.96(s,3H,CH),1.14(t,1H,J=11.7Hz),1.22(td,1H,J=13.2,4.7Hz),1.25−1.42(m,2H),1.45−1.59(m,2H),1.74(br,3H),1.76−1.88(m,2H),3.64(td,1H,J=10.7,4.4Hz),4.85−4.87(m,1H),4.89−4.92(m,1H).
【0169】
[合成例12]光学活性(−)−trans−5−メチルメントール((1R,2S)−trans−2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサノール)(例示化合物 (1R,2S)−trans−5)の合成
【0170】
【化51】
【0171】
100mLオートクレーヴに、合成例10で得られた(−)−trans−5−メチルイソプレゴール((1R,2S)−trans−4)(9.00g、54.0mmol)及びパラジウム炭素担持(N.E.Chemcat.Wet、STD 5%、90mg、1質量%)及びメタノール(9mL)を添加した。水素圧を1MPaまでチャージし、50℃にて26時間反応させた。GCにて反応の完結を確認し、触媒をセライト濾過後に濃縮してメタノール/ヘプタンで再結晶し、(−)−trans−5−メチルメントールを白色固体として得た(7.80g、収率86%、80%ee.)。
【0172】
融点 79〜82℃
[α]20=−36.7(c=0.1,CHCl
HRMS:質量170.1671 実測値170.1671
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.84(d,3H,J=7.0Hz),0.89(s,3H),0.93−0.95(m,6H),1.04−1.21(m,5H),1.37(dt,1H,J=9.6,2.6Hz),1.46−1.50(m,1H),1.68−1.73(m,1H),2.12−2.21(m,1H,),3.57(sep,1H,J=4.7Hz)
【0173】
[合成例13]光学活性(+)−trans−5−メチルメントール((1S,2R)−trans−2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサノール)(例示化合物 (1S,2R)−trans−5)の合成
【0174】
【化52】
【0175】
合成例12の手法で、合成例11で得られた(+)−trans−5−メチルイソプレゴール((1S,2R)−trans−4)(1.00g、5.94mmol)より(+)−5−メチルメントールを白色固体として得た(0.91g、収率90%、78%ee.)。
【0176】
融点 78〜81℃
[α]20=+37.0(c=0.1,CHCl
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.84(d,3H,J=7.0Hz),0.89(s,3H),0.93−0.96(m,6H),1.04−1.20(m,5H),1.37(dt,1H,J=9.6,2.5Hz),1.46−1.51(m,1H),1.70(dq,1H,J=12.3,2.5Hz),2.12−2.23(m,1H),3.58(sep,1H,J=4.7Hz).
【0177】
[合成例14](+)−(1R,2S)−5−メチルメンチルクロリド((+)−(1R,2S)−3−クロロ−4−イソプロピル−1,1−ジメチルシクロヘキサン)の合成
【0178】
【化53】
【0179】
滴下漏斗及びコンデンサを有した100mLフラスコに、合成例12で得られた(−)−5−メチルメントール((1R,2S)−trans−5)(9.09g、53.4mmol)、トルエン(4.5mL)、塩化亜鉛(23.28g、3.2eq.)及び濃塩酸(13.3mL、3.0eq.)を添加し、室温にて8時間反応を行った。GCにて反応の完結を確認し、後処理を行った。分液漏斗にて水層を除去し、油層を水道水にて3回洗浄、さらに1質量%NaOH水溶液、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、濾過濃縮して残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)にて単離精製した。得られた光学活性−5−メチルメンチルクロリドは無色のオイルとなった(4.89g、収率57.2%、80%ee.)。
【0180】
[α]20=+27.5(c=0.3,EtOH)
HRMS:質量233.1312 実測値233.1301([M+Cl]
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.80(d,3H,J=7.0Hz),0.90(s,3H),0.92(d,3H,J=7.0Hz),0.94(s,3H),0.97−1.12(m,1H),1.19−1.38(m,2H),1.41(dt,1H,J=9.5,1.5Hz),1.52−1.60(m,2H),1.94−1.99(m,1H),2.29−2.40(m,1H),3.95(td,1H,J=12.0,1.6Hz).
【0181】
[合成例15](−)−5−メチルメンチルカルボン((−)−2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸)(例示化合物 (1R,2S)−11a)酸の合成
【0182】
【化54】
【0183】
窒素雰囲気下にてコンデンサと滴下漏斗を有した200mL四つ口フラスコに、マグネシウム(718mg、1.30eq.)を添加し、滴下漏斗に合成例14で得られた(−)−5−メチルメンチルクロリド(4.29g、22.7mmol)及びTHF(22mL)を添加した。フラスコ内温を45℃に加熱し攪拌しつつ漏斗内の溶液を、2時間を要して滴下した。系内に炭酸ガスを吹き込みつつ合計9時間加熱攪拌を行った。後処理として、溶媒を回収後に系内を冷却しトルエン及び水道水を添加した。水層に希塩酸を添加してクロロホルムにて抽出し、油層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後に減圧濃縮、カラムクロマトグラフィークロマトグラフィー(クロロホルム/酢酸エチル)で精製することで目的の白色固体を得た(1.17g、収率26%、80%ee.)。
【0184】
融点 73〜76℃
[α]20=−30.0(c=0.1,EtOH)
HRMS:質量198.1620 実測値198.1608
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.84(d,3H,J=7.0Hz),0.89(s,3H),0.91(d,3H,J=13.8Hz),0.93(s,3H),1.15−1.26(m,2H),1.38−1.51(m,4H),1.61(dt,2H,J=13.0,3.0Hz),1.70−1.78(m,1H),2.42−2.50(n,1H),7.5−13.0(br,1H).
【0185】
[合成例16](−)−cis−5−メチルメントール((−)−cis−2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサノール)(例示化合物 (1R,2R)−5)の合成
【0186】
【化55】
【0187】
200mLの四つ口フラスコに合成例4で得られた(+)−5−メチルメントン((+)−7)(19.7g、117mmol)及びメタノール(80mL)を添加し、10℃以下に撹拌しつつ冷却した。ヒドロホウ素化ナトリウム(5.32g、1.2eq.)をゆっくりと添加し、そのまま1時間熟成した。反応の完結を確認し、後処理としてゆっくりと1N塩酸を添加した。トルエン及びヘプタンで抽出を行い、油層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥して濾過濃縮した。クライゼン蒸留(バス温100℃、塔頂58〜67℃、0.1〜0.2Pa)により精製し、目的の無色オイルを得た(19.7g、収率99%)。
【0188】
[α]20=−9.6(c=0.2,EtOH)
HRMS:質量170.1664 実測値170.1671
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.83−0.90(m,4H),0.95(t,6H,J=6.2Hz),1.06−1.08(m,4H),1.13−1.21(m,1H),1.33(dd,1H,J=14.5,3.3Hz),1.40−1.60(m,4H),1.64(tt,1H,J=14.4,2.9Hz),4.11(qui,1H,J=3.2Hz).
【0189】
[合成例17]cis−5−メチルメントール(cis−2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサノール)(例示化合物 rac−cis−5)の合成
【0190】
【化56】
【0191】
合成例16の手法を用いて、合成例5で得られた5−メチルメントン(rac−7)(30.0g、17.8mmol)からcis−5−メチルメントールを無色オイルとして得た(28.5g、収率94%)。
【0192】
HRMS:質量170.1656 実測値170.1671
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.83−0.90(m,4H),0.95(t,6H,J=6.2Hz),1.06−1.08(m,4H),1.13−1.21(m,1H),1.33(dd,1H,J=14.5,3.3Hz),1.40−1.66(m,5H),4.11(br,1H).
【0193】
[合成例18]5−メチルメンチルカルバルデヒド(2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサンカルバルデヒド)(例示化合物 rac−13a)の合成
【0194】
【化57】
【0195】
本反応は窒素雰囲気下にて行った。コンデンサを有した10L四つ口フラスコに、(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド(1344g、3.92mol、1.1eq.)、トルエン(3000mL)及び合成例4で得られた(+)−5−メチルメントン((+)−7)(600g、3.57mol、1.1eq.)を添加した。系内温度20℃まで昇温したのち、カリウムt−ブトキシド(440g、3.92mol、1.1eq.)を系内温度30℃以下に保ちつつ、1時間半を要してゆっくりと添加した。1時間後にGCにて(+)−5−メチルメントンの消失及びメチルエノールエーテル(20)の生成を確認し、35%塩酸水(743g、7.13mol、2.0eq.)を添加した。1時間半を要して70℃まで昇温させたのち、系内温度70℃にて1時間熟成させ、GCにてメチルエノールエーテルの完全消費を確認した。後処理として水道水を添加して油層を洗浄し、さらに5%重曹水で1回洗浄した。その後、水道水及びヘプタンを添加し、系内温度5℃以下で1時間熟成させた。溶液を吸引濾過して濾液を分液漏斗に移し、水層を除去した。油層を減圧濃縮後、クライゼン蒸留を行い(バス温120〜135℃、塔頂58〜94℃、2.2〜4.7mmHg)、目的の5−メチルメンチルカルバルデヒド(13a)(593g、収率93%)を黄色がかったオイルとして得た。
【0196】
メチルエノールエーテル(20a)
GCMS:質量196.18 実測値196.2
H−NMR(400MHz,CDCl):δ0.76−0.82(m,3H),0.85−0.93(m,9H),1.09−1.21(m,1H),1.36−1.46(m,2H),1.47−1.70(m,3H),1.71−1.87(m,1H),2.14−2.33(m,1H),3.49−3.51(m,3H),5.71−5.82(m,1H).
【0197】
5−メチルメンチルカルバルデヒド(13a)
GCMS:質量182.17 実測値182.2
H−NMR(400MHz,CDCl):δ0.81(d,3H,J=7.2Hz),0.87−0.96(m,9H),1.16−1.29(m,3H),1.31−1.37(m,1H),1.41−1.56(m,3H),1.62−1.72(m,1H),2.26−2.42(m,1H),9.46(d,1H,J=3.6Hz).
【0198】
[合成例19]5−メチルメンチルカルボン酸(2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸)(例示化合物 rac−11a)の合成
【0199】
【化58】
【0200】
コンデンサと滴下漏斗を有した5L四つ口フラスコに、67%硝酸(223g、2.37mol、1.5eq.)を添加し、系内内温が46℃になるまで撹拌しつつ昇温した。滴下漏斗に合成例18で得られた5−メチルメンチルカルバルデヒド(13a)(28.8g、0.158mol、0.1eq.)を用意し、系内温度46〜54℃に保ちつつ、30分間を要して滴下した。続いて合成例18で得られた5−メチルメンチルカルバルデヒド(rac−13a)(259g、1.42mol、0.9eq.)のヘプタン溶液(288mL)を滴下漏斗に用意し、系内温度46〜54℃に保ちつつ、4時間を要して滴下した。滴下終了後、内温50℃にて2時間熟成させ、後処理を行った。水道水及びトルエンを添加して洗浄し、分液漏斗に移して水層を除去した。油層に亜硫酸ナトリウム(18.9g、0.150mol、0.095eq.)水溶液を添加し、40℃〜50℃で20分間撹拌したのち、30%硫酸水(26.6g、0.079mol、0.05eq.)を添加して洗浄し、分液漏斗に移して水層を除去した。油層に水道水及び25%水酸化ナトリウム水溶液(278g、1.74mol、1.1eq.)を添加し、分液漏斗に移して油層を除去した。さらに水層をトルエンで1回洗浄し、トルエン及び30%硫酸水(350g、0.181mol、0.66eq.)を添加して洗浄し、分液漏斗に移して水層を除去した。油層をさらに水道水で2回洗浄し、油層を減圧濃縮後に乾燥させて目的の5−メチルメンチルカルボン酸(rac−11a)(270g、収率89%)を黄色がかった結晶として得た。
【0201】
[実施例3]例示化合物rac−14a−38(N−(4−(シアノメチル)フェニル)−2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサンカルボキシアミド)の合成
【0202】
【化59】
【0203】
窒素雰囲気下にて100mL四つ口フラスコに合成例7、8、9又は19で得られた5−メチルメンチルカルボン酸(rac−11a)(500mg、2.52mmol)、塩化チオニル(0.27mL、1.50eq.)及びジメチルフラン(DMF)数滴を添加し、室温にて3時間攪拌させた。系内の溶液を溜去し、トルエン(2mL)を添加した。系内を10℃以下に冷却し、4−アミノベンジルシアニド(1.00g、3.00eq.)をゆっくりと加えた。2時間半後に反応溶液を分液漏斗に移し、水道水とクロロホルムを添加して洗浄した。油層を希塩酸で2回洗浄し、更に飽和食塩水で一回洗浄して、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、ヘプタン/クロロホルムにて再結晶を行い、白色結晶(407mg、収率52%)を得た。
【0204】
融点 121〜122℃
HRMS:質量313.2274 実測値313.2271([M+H]
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.86(d,3H,J=7.0Hz),0.88−1.00(m,9H),1.20−1.31(m,3H),1.39−1.65(m,4H),1.71−1.81(m,1H),2.30(td,1H,J=11.8,3.8Hz),3.70(s,2H),7.26(d,2H,J=8.2Hz),7.32(br,1H),7.56(d,1H,J=8.2Hz).
【0205】
[実施例4]例示化合物rac−14a−38(N−(4−(シアノメチル)フェニル)−2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサンカルボキシアミド)の合成
【0206】
【化60】
【0207】
特許文献16に記載の合成法を用いて、実施例1で得られた5−メチルメンチルアミド(14a−50)とヨウ化銅、リン酸、及び4−ヨードベンジルシアニドを用いても同様の化合物が得られた(収率43%)。
【0208】
[実施例5]例示化合物rac−14a−2(N−エチル−2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサンカルボキシアミド)の合成
【0209】
【化61】
【0210】
窒素雰囲気下にて100mL四つ口フラスコに合成例7、8、9又は19で得られた5−メチルメンチルカルボン酸(rac−11a)(500mg、2.52mmol)、塩化チオニル(0.27mL、1.50eq.)及びDMF数滴を添加し、室温にて3時間攪拌させた。系内の溶液を溜去し、トルエン(2mL)を添加した。系内を10℃以下に冷却し、エチルアミンTHF溶液(6.3mL、2mol/L、5.0eq.)をゆっくりと加えた。2時間半後に反応溶液を分液漏斗に移し、水道水とクロロホルムを添加して洗浄した。油層を希塩酸で2回洗浄し、更に飽和食塩水で一回洗浄して、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、ヘプタン/クロロホルムにて再結晶を行い、白色結晶(281mg、収率49%)を得た。
【0211】
融点 101〜105℃
HRMS:質量226.2165 実測値226.2162([M+H]
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.80(d,3H,J=6.9Hz),0.89−0.93(m,6H),1.13(t,3H,J=10.1Hz),1.15−1.27(m,3H),1.37−1.53(m,4H),1.71(quid,1H,J=7.0,2.5Hz),2.08(td,1H,J=11.0,4.8Hz),3.23−3.35(m,2H),5.37(br,1H).
【0212】
[実施例6]例示化合物rac−14a−22(メチル 2−(2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサンカルボキシアミド)アセテート)の合成
【0213】
【化62】
【0214】
窒素雰囲気下にて100mL四つ口フラスコに合成例7、8、9又は19で得られた5−メチルメンチルカルボン酸(rac−11a)(500mg、2.52mmol)、塩化チオニル(0.27mL、1.50eq.)及びDMF数滴を添加し、室温にて3時間攪拌させた。系内の溶液を溜去し、トルエン(2mL)を添加した。系内を10℃以下に冷却し、グリシンメチルエステル塩酸塩(633mg、2.00eq.)及びトリエチルアミン(2mL)をゆっくりと加えた。2時間半後に反応溶液を分液漏斗に移し、水道水とクロロホルムを添加して洗浄した。油層を希塩酸で2回洗浄し、更に飽和食塩水で一回洗浄して、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、ヘプタン/クロロホルムにて再結晶を行い、白色結晶(422mg、収率62%)を得た。
【0215】
融点 101〜104℃
HRMS:質量292.1883 実測値292.1886([M+Na]
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.82(d,3H,J=6.9Hz),0.87−0.97(m,9H),1.08−1.33(m,2H),1.36−2.02(m,6H),2.26(td,1H,J=11.7,4.3Hz),3.76(s,3H),4.05(d,2H,J=5.3Hz),6.16(br,1H).
【0216】
[実施例7]例示化合物rac−14a−33(2−イソプロピル−N−(4−メトキシフェニル)−5,5−ジメチルシクロヘキサンカルボキシアミド)の合成
【0217】
【化63】
【0218】
窒素雰囲気下にて100mL四つ口フラスコに合成例7、8、9又は19で得られた5−メチルメンチルカルボン酸(rac−11a)(400mg、2.52mmol)、塩化チオニル(0.22mL、1.50eq.)及びDMF数滴を添加し、室温にて3時間攪拌させた。系内の溶液を溜去し、トルエン(5mL)を添加した。系内を10℃以下に冷却し、p−アニシジン(497mg、2.00eq.)及びトリエチルアミン(1.6mL)をゆっくりと加えた。2時間半後に反応溶液を分液漏斗に移し、水道水とクロロホルムを添加して洗浄した。油層を希塩酸で2回洗浄し、更に飽和食塩水で一回洗浄して、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、ヘプタン/クロロホルムにて再結晶を行い、白色結晶(445mg、収率73%)を得た。
【0219】
融点 115〜118℃
HRMS:質量303.2238 実測値303.2198
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.85(d,3H,J=7.0Hz),0.91−0.95(m,9H),1.16−1.30(m,2H),1.35−1.62(m,5H),1.76−1.83(m,1H),2.24(td,1H,J=11.5,4.5Hz),6.85(d,2H,J=9.0Hz),7.02(br,1H),7.43(d,2H,J=8.5Hz).
【0220】
[実施例8]例示化合物rac−14a−23(エチル 2−(2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサンカルボキシアミド)アセテート)の合成
【0221】
【化64】
【0222】
窒素雰囲気下にて100mL四つ口フラスコに合成例7、8、9又は19で得られた5−メチルメンチルカルボン酸(rac−11a)(400mg、2.52mmol)、塩化チオニル(0.22mL、1.50eq.)及びDMF数滴を添加し、室温にて3時間攪拌させた。系内の溶液を溜去し、トルエン(5mL)を添加した。系内を10℃以下に冷却し、グリシンエチルエステル塩酸塩(563mg、2.00eq.)及びトリエチルアミン(1.6mL)をゆっくりと加えた。2時間半後に反応溶液を分液漏斗に移し、水道水とクロロホルムを添加して洗浄した。油層を希塩酸で2回洗浄し、更に飽和食塩水で一回洗浄して、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、ヘプタン/クロロホルムにて再結晶を行い、白色結晶(409mg、収率62%)を得た。
【0223】
融点 104〜107℃
HRMS:質量283.2161 実測値283.2147
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.82(d,3H,J=6.6Hz),0.88−0.92(m,9H),1.15−1.27(m,2H),1.29(t,3H,J=7.0Hz),1.41−1.54(m,5H),1.73(quid,1H,J=7.0,2.5Hz),2.23(td,1H,J=11.5,4.0Hz),4.03(d,2H,J=6.6Hz),4.22(q,2H,J=7.0Hz),5.91(br,1H).
【0224】
[実施例9]例示化合物rac−14a−40(2−イソプロピル−N−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−5,5−ジメチルシクロヘキサンカルボキシアミド)の合成
【0225】
【化65】
【0226】
窒素雰囲気下にて100mL四つ口フラスコに合成例7、8、9又は19で得られた5−メチルメンチルカルボン酸(rac−11a)(600mg、3.03mmol)、塩化チオニル(0.33mL、1.50eq.)及び触媒量のDMFを添加し、室温にて3時間攪拌させた。系内の溶液を減圧溜去し、トルエン(2mL)を添加した。系内を氷浴にて10℃以下に冷却し、2−メチル−4−メトキシアニリン(1.25g、3.0eq.)をゆっくりと加えた。2時間半後にGC−MSにて反応の完結を確認し、後処理を行った。反応溶液を分液漏斗に移し、水道水とクロロホルムを添加して洗浄した。油層を希塩酸で2回洗浄し、更に飽和食塩水で1回洗浄して、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=4/1)にて単離精製を行い、アモルファス状固体を得た(770mg、収率80%)。
【0227】
HRMS:質量 317.2355 実測値 317.2370
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.88(d、3H,J=6.9Hz),0.92−0.98(m,9H),1.20−1.31(m,3H),1.43−1.64(m,4H),1.82−1.91(m,1H),2.22(s,3H),2.31(td,1H,J=11.6,1.2Hz),3.77(s,3H),6.71−6.76(m,2H),6.82(br,1H),7.47−7.52(m,1H).
【0228】
[実施例10]例示化合物rac−14a−46(メチル 4−(2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサンカルボキシアミド)−3−メチルベンゾエート)の合成
【0229】
【化66】
【0230】
窒素雰囲気下にて100mL四つ口フラスコに合成例7、8、9又は19で得られた5−メチルメンチルカルボン酸(rac−11a)(600mg、3.03mmol)、塩化チオニル(0.33mL、1.50eq.)及び触媒量のDMFを添加し、室温にて3時間攪拌させた。系内の溶液を減圧溜去し、トルエン(2mL)を添加した。系内を氷浴にて10℃以下に冷却し、3−メチル−4−アミノ安息香酸メチルエステル(1.50g、3.0eq.)をゆっくりと加えた。2時間半後にGC−MSにて反応の完結を確認し、後処理を行った。反応溶液を分液漏斗に移し、水道水とクロロホルムを添加して洗浄した。油層を希塩酸で2回洗浄し、更に飽和食塩水で1回洗浄して、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=4/1)にて単離精製を行い、アモルファス状固体を得た(306mg、収率29%)。
【0231】
HRMS:質量 345.2304 実測値 345.2298
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.85−0.98(m,12H),1.20−1.33(m,3H),1.45−1.65(m,4H),1.82(quid,1H,J=6.6,2.1Hz),2.29−2.40(m,4H),7.05(br,1H),7.86−7.90(m,2H),8.14(d,1H,J=8.2Hz).
【0232】
[実施例11]例示化合物rac−14a−41(N−(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサンカルボキシアミド)の合成
【0233】
【化67】
【0234】
窒素雰囲気下にて100mL四つ口フラスコに合成例7、8、9又は19で得られた5−メチルメンチルカルボン酸(rac−11a)(300mg、1.51mmol)、塩化チオニル(0.17mL、1.50eq.)触媒量のDMFを添加し、室温にて3時間攪拌させた。系内の溶液を減圧溜去し、トルエン(2mL)を添加した。系内を氷浴にて10℃以下に冷却し、2−アミノ−5−メトキシフェノール(632mg、3.0eq.)をゆっくりと加えた。2時間半後にGC−MSにて反応の完結を確認し、後処理を行った。反応溶液を分液漏斗に移し、水道水とクロロホルムを添加して洗浄した。油層を希塩酸で2回洗浄し、更に飽和食塩水で1回洗浄して、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=5/1)にて単離精製を行い、アモルファス状固体を得た(446mg、収率92%)。本固体をヘプタン/クロロホルムで再結晶し、白色結晶を得た。
【0235】
融点 93〜98℃
HRMS:質量 320.2220 実測値 320.2227([M+H]
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.85(d,3H,J=7.0Hz),0.90−1.00(m,9H),1.19−1.30(m,3H),1.41−1.60(m,4H),1.79−1.84(m,1H),2.23(quid,1H,J=14.0,3.1Hz),3.87(s,3H),6.79(d,2H,J=8.6Hz),6.93(br,1H),7.04−7.11(m,2H).
【0236】
[実施例12]例示化合物rac−14a−16(2−イソプロピル−5,5−ジメチル−N−(2−(ピリジン−2−イル)エチル)シクロヘキサンカルボキシアミド)の合成
【0237】
【化68】
【0238】
窒素雰囲気下にて100mL四つ口フラスコに合成例7、8、9又は19で得られた5−メチルメンチルカルボン酸(rac−11a)(400mg、2.02mmol)、塩化チオニル(0.35mL、1.50eq.)触媒量のDMFを添加し、室温にて3時間攪拌させた。系内の溶液を減圧溜去し、トルエン(2mL)を添加した。系内を氷浴にて10℃以下に冷却し、2−(2−アミノエチル)−ピリジン(739mg、3.0eq.)をゆっくりと加えた。2時間半後にGC−MSにて反応の完結を確認し、後処理を行った。反応溶液を分液漏斗に移し、水道水とクロロホルムを添加して洗浄した。更に飽和食塩水で2回洗浄して、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=5/1〜0/1)にて単離精製を行い、アモルファス状固体を得た(342mg、収率52%)。本固体をヘプタン/クロロホルムで再結晶し、白色結晶を得た。
【0239】
融点 104〜107℃
HRMS:質量303.2431 実測値303.2421([M+H]
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.68(d,3H,J=6.9Hz),0.83(d,3H,J=7.0Hz),0.85(s,3H),0.89(s,3H),1.05−1.27(m,3H),1.35−1.48(m,4H),1.55−1.62(m,1H),2.0−2.10(m,1H),2.99(t,2H,J=6.4Hz),3.58−3.74(m,2H),6.30(br,1H),7.13−7.18(m,2H),7.61(td,1H,J=7.6,1.8Hz),8.52−8.55(m,2H).
【0240】
[実施例13]例示化合物rac−14a−47(N−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)−2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサンカルボキシアミド)の合成
【0241】
【化69】
【0242】
窒素雰囲気下にて100mL四つ口フラスコに合成例7、8、9又は19で得られた5−メチルメンチルカルボン酸(rac−11a)(300mg、1.51mmol)、塩化チオニル(0.17mL、1.50eq.)触媒量のDMFを添加し、室温にて3時間攪拌させた。系内の溶液を減圧溜去し、トルエン(2mL)を添加した。系内を氷浴にて10℃以下に冷却し、2−アミノベンジルアルコール(559mg,3.0eq.)をゆっくりと加えた。2時間半後にGC−MSにて反応の完結を確認し、後処理を行った。反応溶液を濾過しつつ分液漏斗に移し、水道水とクロロホルムを添加して洗浄した。油層を希塩酸で2回洗浄し、更に飽和食塩水で1回洗浄して、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶液を減圧濃縮し、クロロホルム/酢酸エチルで再結晶を行い、黄色結晶を得た(330mg、収率72%)。
【0243】
融点 165−172℃
HRMS:質量326.2091 実測値326.2083([M+Na]
H−NMR(500MHz,DMSO−D):δ0.83(d,3H,J=6.9Hz),0.85(d,3H,J=6.9Hz),0.91(d,6H,J=7.3Hz),1.10−1.22(m,2H),1.32−1.51(h,5H),1.62(quid,1H,J=6.8,2.4Hz),2.43−2.52(m,1H),4.42(s,2H),5.06(br,1H),7.21(d,2H,J=8.4Hz),7.52−7.60(m,2H),9.82(s,1H).
【0244】
[実施例14]例示化合物rac−17a−2((S)−(trans−2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキシル)2−ヒドロキシプロパノエート)の合成
【0245】
【化70】
【0246】
特許文献25の合成法に従い合成を行った。窒素雰囲気下にてdean−starkコンデンサを有した50mLシュレンクに合成例3で得られたラセミ−trans−5−メチルメントール(rac−trans−5)(1.50g、8.81mmol)、(S)−乳酸(1.35g、15.0mmol、1.7eq.)、ヘプタン(25mL)を添加し、撹拌を開始した。系内に触媒量の濃硫酸を添加し、系内を100℃まで昇温し、水を系内より除去しつつ還流撹拌した。4時間後にGC−MSにて反応の進行を確認し、後処理を行った。系内温度を室温まで冷却し、1質量%水酸化ナトリウム水溶液で1回、飽和食塩水で1回洗浄した。油層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、濾過・濃縮後にカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=7/1)にて単離精製を行い、目的の無色オイルを得た(766mg、収率36%)。
【0247】
[α]20=−5.13(c=0.5,EtOH)
HRMS:質量 265.1774 実測値 265.1768([M+Na]
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.80(dd,3H,J=7.0,3.7Hz),0.90(dd,3H,J=7.0,3.7Hz),0.93−0.97(m,6H),1.14−1.30(m,3H),1.35−1.43(m,4H),1.58(br,2H),1.68−1.76(m,1H),1.79−1.88(m,1H),2.84(d,1H,5.4Hz),4.18−4.25(m,1H),4.90−4.98(m,1H).
【0248】
[実施例15]例示化合物(1R,2S)−17a−2((S)−((1R,2S)−2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキシル)2−ヒドロキシプロパノエート)の合成
【0249】
【化71】
【0250】
実施例14の手法を用いて、合成例12で得られた(−)−trans−5−メチルメントール(750mg、4.40mmol)より(−)−体を無色オイルとして得た(367mg、収率34%)。
【0251】
[α]20=−62.3(c=0.2,EtOH)
HRMS:質量 243.1970 実測値 243.1960(FI)
11H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.81(d,3H,J=6.9Hz),0.90(d,3H,J=7.0Hz),0.93−0.97(m,6H),1.14−1.30(m,3H),1.35−1.43(m,4H),1.58(br,2H),1.71(dq,1H,J=12.2,2.4Hz),1.79−1.88(m,1H),2.89(br,1H),4.18−4.25(br,1H),4.95(td,1H,J=11.0,4.6Hz).
【0252】
[実施例16]例示化合物(1S,2R)−17a−2((S)−((1S,2R)−2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキシル)2−ヒドロキシプロパノエート)の合成
【0253】
【化72】
【0254】
実施例14の手法を用いて、合成例13で得られた(+)−trans−5−メチルメントール(750mg、4.40mmol)より(+)−体を無色オイルとして得た(367mg、収率34%)。
【0255】
[α]20=+41.1(c=0.4,EtOH)
HRMS:質量 265.1774 実測値 265.1777(ESI,[M+Na]
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.79(d,3H,J=6.9Hz),0.91(d,3H,J=7.0Hz),0.93−0.97(m,6H),1.14−1.30(m,3H),1.35−1.43(m,4H),1.58(br,2H),1.75(dq,1H,J=12.2,2.4Hz),1.79−1.88(m,1H),2.84(d,1H,5.4Hz),4.18−4.25(m,1H),4.93(td,1H,J=11.0,4.6Hz).
【0256】
[実施例17]例示化合物rac−14a−43(メチル 2−(2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサンカルボキシアミド)ベンゾエート)の合成
【0257】
【化73】
【0258】
本反応は窒素雰囲気下にて行った。100mLリアクターに合成例7、8、9又は19で得られた5−メチルメンチルカルボン酸(rac−11a)(400mg、2.02mmol)、塩化チオニル(0.22mL、1.50eq.)及びDMF数適を添加し、室温にて3時間攪拌させた。系内の溶液を溜去し、トルエンを2mL添加した。系内を氷浴にて10℃以下に冷却し、2−アミノ安息香酸メチル(610mg、2.0eq.)をゆっくりと加えた。2時間半後にGC−MSにて反応の完結を確認し、後処理を行った。反応溶液を濾過しつつ分液漏斗に移し、水道水とクロロホルムを添加して洗浄した。油層を希塩酸で2回洗浄し、更に飽和食塩水で1回洗浄して、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにて単離精製し、目的のアモルファス状のオイルを得た(510mg、収率76%)。
【0259】
HRMS:質量 332.2220 実測値 332.2240([M+H]
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.87(d,3H,J=6.9Hz,),0.92(d,1H,J=6.9Hz).0.95(s,6H),1.21−1.32(m,3H),1.44−1.67(m,4H),1.78(quid,1H,J=7.0,2.7Hz),2.38−2.45(m,1H),3.94(s,3H),7.04−7.05(m,1H),7.51−7.56(m,1H),8.03(dd,1H,J=8.0,1.4Hz),8.77(dd,1H,J=8.5,1.0Hz),11,1(br,1H).
【0260】
[実施例18]例示化合物rac−19a−1(6−イソプロピル−9,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−イル)メタノール)の合成
【0261】
【化74】
【0262】
本反応は窒素雰囲気下にて行った。Dean−starkコンデンサを有した反応フラスコに、合成例5で得られた5−メチルメントン(rac−7)(3.00g、17.8mmol)、グリセロール(9.85g、7.80mL、6.0eq.)、トルエン(20mL)及び濃硫酸数滴を添加し、還流撹拌した。コンデンサには系中より析出した水が観測された。15時間後、系内を室温まで冷却し、反応溶液を濃縮してカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル)にて精製し、目的のオレンジがかったオイル(1.96g、収率45%)を得た。
【0263】
HRMS:質量242.1892 実測値242.1881
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.86−1.01(m,12H),1.18−1.88(m,8H),2.01−2.19(m,1H),36.52−3.81(m,3H),3.96−4.30(m,2H)(diastereomers mixture)
【0264】
[実施例19]例示化合物14a−38i((−)−trans−N−(4−(シアノメチル)フェニル)−2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサンカルボキシアミド)の合成
【0265】
【化75】
【0266】
本反応は窒素雰囲気下にて行った。100mLリアクターに合成例15で得られた(−)−5−メチルメンチルカルボン酸(1R,2S)−11a)(450mg、2.27mmol)、塩化チオニル(0.25mL、1.50eq.)及びDMF数滴を添加し、室温にて3時間攪拌させた。系内の溶液を溜去し、トルエンを2mL添加した。系内を氷浴にて10℃以下に冷却し、4−アミノベンズシアニド(900mg、3.0eq.)をゆっくりと加えた。2時間半後にGC−MSにて反応の完結を確認し、後処理を行った。反応溶液を分液漏斗に移し、水道水とクロロホルムを添加して洗浄した。油層を希塩酸で2回洗浄し、更に飽和食塩水で1回洗浄して、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにて単離精製を行い、アモルファス状固体を得た(545mg、収率77%、80%ee.)。
【0267】
[α]20=−20.6(c=0.5,EtOH)
HRMS:質量317.2202 実測値317.2211(FI)
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.86(d,3H,J=7.0Hz),0.88−1.00(m,9H),1.20−1.31(m,3H),1.39−1.65(m,4H),1.71−1.81(m,1H),2.30(td,1H,J=11.8,3.8Hz),3.70(s,2H),7.26(d,2H,J=8.0Hz),7.32(br,1H),7.56(d,1H,J=8.0Hz).
【0268】
[実施例20]例示化合物rac−14a−42(N−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサンカルボキシアミド)の合成
【0269】
【化76】
【0270】
本反応は窒素雰囲気下にて行った。100mLリアクターに合成例7、8、9又は19で得られた5−メチルメンチルカルボン酸(rac−11a)(350mg、1.77mmol)、塩化チオニル(0.19mL、1.50eq.)及びDMF数滴を添加し、室温にて3時間攪拌させた。コールド系内の溶液を溜去し、トルエンを2mL添加した。系内を氷浴にて10℃以下に冷却し、2−アミノ−5−メトキシフェノール(491mg、2.0eq.)をゆっくりと加えた。室温で2時間半後に内温60℃にて1時間撹拌し、GC−MSにて反応の完結を確認した。後処理として反応溶液を分液漏斗に移し、水道水とクロロホルムを添加して洗浄した。油層を希塩酸で2回洗浄し、更に飽和食塩水で一回洗浄して、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。系内にさらにシリカゲルを添加して撹拌後に溶液を濾過・濃縮し白色固体を得た(401mg、1.255mmol、収率71%)。少量の本化合物をヘプタン/クロロホルムで再結晶し、白色結晶を得た。
【0271】
融点 153〜155℃
HRMS:質量 320.2220 実測値 320.2226([M+H]
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.87(d,3H,J=6.9Hz),0.92−0.98(m,9H),1.19−1.31(m,3H),1.45−1.65(m,7H),1.75−1.83(m,1H),2.41(td,1H,J=12.0,3.5Hz),6.61(d,1H,J=2.9Hz),6.70(dd,1H,J=8.9,3.0Hz),6.94(d,1H,J=8.9Hz),8.08(s,1H).
【0272】
[実施例21]例示化合物rac−14a−44(メチル 3−(2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサンカルボキシアミド)ベンゾエート)の合成
【0273】
【化77】
【0274】
本反応は窒素雰囲気下にて行った。100mLリアクターに合成例7、8、9又は19で得られた5−メチルメンチルカルボン酸(rac−11a)(400mg、4.03mmol)、塩化チオニル(0.35mL、1.50eq.)及びDMF数滴を添加し、室温にて3時間攪拌させた。系内の溶液を溜去し、トルエンを2mL添加した。系内を氷浴にて10℃以下に冷却し、メチル−m−アミノベンゾエート(610mg、2.0eq.)をゆっくりと加えた。室温で2時間、内温50℃にて1時間撹拌し、GC−MSにて反応の完結を確認した。後処理として反応溶液を分液漏斗に移し、水道水とクロロホルムを添加して洗浄した。油層を希塩酸で2回洗浄し、更に飽和食塩水で一回洗浄して、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにて単離精製を行い、アモルファス状固体を得た(529mg、1.60mmol、収率79%)。
【0275】
HRMS:質量 332.2220 実測値 332.2237([M+H]
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.83−0.97(m,12H),1.20−1.35(m,3H),1.39−1.67(m,4H),1.76−1.84(m,1H),2.30(td,1H,J=11.8,4.1Hz),7.30(br,1H),7.39(d,1H,J=7.9Hz),7.75−7.80(m,1H),7.87−8.05(h,2H).
【0276】
[実施例22]例示化合物rac−14a−45(メチル 4−(2−イソプロピル−5,5−ジメチルシクロヘキサンカルボキシアミド)ベンゾエート)の合成
【0277】
【化78】
【0278】
本反応は窒素雰囲気下にて行った。100mLリアクターに合成例7、8、9又は19で得られた5−メチルメンチルカルボン酸(rac−11a)(400mg、4.03mmol)、塩化チオニル(0.35mL、1.50eq.)及びDMF数滴を添加し、室温にて3時間攪拌させた。系内の溶液を溜去し、トルエンを2mL添加した。系内を氷浴にて10℃以下に冷却し、メチル−p−アミノベンゾエート(610mg、2.0eq.)をゆっくりと加えた。室温で2時間、内温50℃にて1時間撹拌し、GC−MSにて反応の完結を確認した。後処理として反応溶液を分液漏斗に移し、水道水とクロロホルムを添加して洗浄した。油層を希塩酸で2回洗浄し、更に飽和食塩水で一回洗浄して、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにて単離精製を行い、アモルファス状固体を得た(491mg、1.48mmol、収率73%)。
【0279】
HRMS:質量 332.2220 実測値 332.2232([M+H]
H−NMR(500MHz,CDCl):δ0.83−0.97(m,12H),1.20−1.35(m,3H),1.44−1.64(m,4H),1.73−1.83(m,1H),2.30(td,1H,J=11.9,3.7Hz),7.30(br,1H),7.62(d,1H,J=8.7Hz),7.99(dt,1H,J=9.1,1.9Hz).
【0280】
[実施例23]例示化合物rac−14a−38の官能評価
【0281】
【化79】
【0282】
官能評価は従来知られている化合物のうち冷感が強く、構造が類似している比較化合物1(Evercool180)と比較して行った。例示化合物rac−14a−38、比較化合物1は共に、2ppm水溶液として評価を行った。
【0283】
[官能所見]
・例示化合物rac−14a−38を口に含んで1分〜数分経過した後冷感が発現した。冷感は30分以上持続した。
・冷感特徴が比較化合物1(Evercool180)より自然な感じであった。Evercool180はメントール的な特徴を有するのに対し、rac−14a−38は冷感のみを覚えた。
・冷感特徴が比較化合物1(Evercool180)よりrac−14a−38の方がシャープであった。
【0284】
[実施例24]例示化合物rac−14a−23の官能評価
【0285】
【化80】
【0286】
官能評価は従来知られており、構造が類似している比較化合物2と比較して行った。例示化合物rac−14a−23、比較化合物2は共に、30ppm水溶液として評価を行った。
【0287】
[官能所見]
rac−14a−23は鋭い冷感刺激は比較化合物2より強かった。冷感発現は比較化合物2より遅く、冷感強度のピークは比較化合物2と同等であった。rac−14a−23の鋭い冷感は持続性に富み、終始冷感の底上げをしているような印象であった。持続性は比較化合物2より勝っていた。
【0288】
[実施例25]例示化合物rac−14a−34の官能評価
【0289】
【化81】
【0290】
官能評価は従来知られており、構造が類似している比較化合物3と比較して行った。例示化合物rac−14a−34、比較化合物3は共に、30ppm水溶液として評価を行った。
【0291】
[官能所見]
rac−14a−34のトップの旨味感は比較化合物3と同等で、冷感発現の出だしは遅かった。時間が経つにつれて冷感強度が上がってきた。旨味が持続するゆえ、唾液分泌が続くところが興味深い特徴であった(唾液は喉奥から分泌される感じであった)。
【0292】
[実施例26]例示化合物rac−14a−40の官能評価
【0293】
【化82】
【0294】
官能評価は従来知られており、構造が類似している比較化合物3と比較して行った。例示化合物rac−14a−40、比較化合物3は共に30ppm水溶液として評価を行った。
【0295】
[官能所見]
rac−14a−40のトップの旨味・塩味は比較化合物3より強くシャープであった。旨味と痺れ感が同時に発現するため、サリベーション効果がありそうな印象であった。
【0296】
[実施例27]例示化合物rac−14a−46の官能評価
【0297】
【化83】
【0298】
官能評価は従来知られている比較化合物3と比較して行った。例示化合物rac−14a−46、比較化合物3は共に30ppm水溶液として評価を行った。
【0299】
[官能所見]
rac−14a−46はエステル特有のクリアで軽いタッチであるが、出方が遅く、冷感強度の持続性があった。
【0300】
[実施例28]例示化合物rac−14a−41の官能評価
【0301】
【化84】
【0302】
官能評価は従来知られている比較化合物3と比較して行った。例示化合物rac−14a−41、比較化合物3は共に30ppm水溶液として評価を行った。
【0303】
[官能所見]
rac−14a−41は比較化合物3よりやや早い冷感の立ち上がりが見られた。先味にケミカル様の苦味をやや覚えるものの、しばらくしたら消失するので問題のない程度であった。冷感強度は比較化合物3の1.2〜1.3倍程度の強い強度であった。冷感に灼熱感よりもクリア感が伴い、好ましい冷感が見られた。喉奥に冷感がかなり残り、持続性もある結果となった。
【0304】
[実施例29]例示化合物rac−14a−47の官能評価
【0305】
【化85】
【0306】
官能評価は従来知られている比較化合物3と比較して行った。例示化合物rac−14a−47、比較化合物3は共に30ppm水溶液として評価を行った。
【0307】
[官能所見]
rac−14a−47は早い冷感の立ち上がりが特徴的であった。比較化合物3と同様、旨味を伴うが、比較化合物3よりも強い旨味が感じられた。冷感強度は比較化合物3の1.5〜2倍程度と大変強く、冷感に灼熱感(ヒリヒリ感)があった。喉奥に冷感がかなり残り、持続性もある結果となった。
【0308】
[実施例30]シャンプーに賦香した評価
【0309】
【化86】
【0310】
L−メントール及び、従来知られている比較化合物4または例示化合物rac−14a−38をそれぞれ賦香したシャンプー(A)〜(C)を調製し、官能評価を行った。以下にシャンプー(A)〜(C)の配合を示す。
【0311】
(A)ボディーシャンプーBASE 900g + L−メントール 30g + ジプロピレングリコール(DPG) 70g
(B)ボディーシャンプーBASE 900g + L−メントール 30g + 比較化合物4 10% in DPG 70g
(C)ボディーシャンプーBASE 900g + L−メントール 30g + 例示化合物rac−14a−38 1% in DPG 70g
【0312】
なお、ボディーシャンプーBASEの処方箋は以下の通りである。
【0313】
【表1】
【0314】
[評価コメント]
シャンプー(B)及びシャンプー(C)の処方はシャンプー(A)よりも冷感効果があり、シャンプー(C)はシャンプー(B)の1/10の冷感剤の配合量ながらも、シャンプー(B)と同等若しくはそれ以上の冷感効果を有した。
【0315】
[実施例31]ビール風味飲料に賦香した評価
【0316】
【化87】
【0317】
L−メントール及び、例示化合物rac−14a−38または従来知られている比較化合物4をそれぞれ賦香したビール風味飲料(D)〜(F)を調製し、官能評価を行った。以下にビール風味飲料(D)〜(F)の配合を示す。
(D)ノンアルコールビールテイスト飲料 1000g
(E)ノンアルコールビールテイスト飲料 1000g + L−メントール 1mg(1ppm) + 比較化合物4 1mg(1ppm)添加
(F)ノンアルコールビールテイスト飲料 1000g + L−メントール 1mg(1ppm) + 例示化合物rac−14a−38 0.1mg(0.1ppm)添加
【0318】
なお、ビールフレーバーの処方箋は以下の通りである。
【0319】
【表2】
【0320】
上記処方のビールフレーバーを用いたビール風味飲料の処方箋は以下の通りである。
【0321】
【表3】
【0322】
[評価コメント]
ビール風味飲料(E)及びビール風味飲料(F)はビール風味飲料(D)よりも冷感効果があり、ビール風味飲料(F)はビール風味飲料(E)の1/10の冷感剤の配合量ながらもビール風味飲料(E)と同等若しくはそれ以上の冷感効果を有した。さらにビール風味飲料(F)はビール風味飲料(E)と比較して質の良い、快い冷感を有した。
【0323】
[実施例32]歯磨き粉賦香評価
【0324】
【化88】
【0325】
L−メントール及び、例示化合物rac−14a−38又は従来知られている比較化合物4をそれぞれ賦香した歯磨き粉(G)〜(I)を調製し、官能評価を行った。以下に歯磨き粉(G)〜(I)の配合を示す。
(G)歯磨き粉基剤 990g + ツースペーストフレーバーBASE 4g + L−メントール 4g + エチルアルコール(EtOH) 2g
(H)歯磨き粉基剤 990g + ツースペーストフレーバーBASE 4g + L−メントール 4g + 比較化合物4 10% in EtOH 2g
(I)歯磨き粉基剤 990g + ツースペーストフレーバーBASE 4g + L−メントール 4g + 例示化合物rac−14a−38 1% in EtOH 2g
【0326】
なお、ツースペーストフレーバーBASEの処方箋は以下の通りである。
【0327】
【表4】
【0328】
また、歯磨き粉基剤の処方は以下の通りである。
【0329】
【表5】
【0330】
[評価コメント]
歯磨き粉(H)及び歯磨き粉(I)は歯磨き粉(G)よりも冷感効果があり、歯磨き粉(I)は歯磨き粉(H)の1/10の冷感剤の配合量ながらも歯磨き粉(H)以上の冷感効果を有した。さらに歯磨き粉(I)は30分以上の冷感効果が感じられた。また同時にツースペーストフレーバーのミント感が強く広がる効果も感じられた。
【0331】
[実施例33]冷感強度評価
各化合物の冷感強度を表6〜表8に示す。冷感強度測定は非特許文献6を参考に行った。冷感を感じる濃度EC50値を冷感強度の指標として、以下に示す。
【0332】
【表6】
【0333】
【表7】
【0334】
【表8】
【0335】
本発明を詳細に、また特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は2015年3月25日出願の日本特許出願(特願2015−062301)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。