(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コリメータユニットは、マスタユニットの少なくとも一部であり、前記X線検出器ユニットは、スレーブユニットの少なくとも一部である、請求項1に記載のX線画像取得システム。
前記コリメータ構成の変更時に、前記制御ユニットは、現在検出されているコリメータ構成と以前に検出されたコリメータ構成とのずれを検出し、それに応答して前記回転信号の更新された信号を前記回転ユニットに供給し、
前記回転ユニットは、前記X線検出器の現在の回転位置が前記現在検出されているコリメータ構成と一致するように、前記回転信号の前記更新された信号に基づいて前記X線検出器を回転させる、請求項1又は2に記載のX線画像取得システム。
前記制御ユニットは、前記X線検出器装置の動作パラメータと共に少なくともコリメータ構成パラメータを記憶する、請求項1乃至3の何れか一項に記載のX線画像取得システム。
前記制御ユニットは、前記コリメーション野の寸法が前記検出器表面の寸法よりも小さくなるように前記コリメータ開口部の最大寸法を設定する、請求項1乃至4の何れか一項に記載のX線画像取得システム。
請求項1乃至6の何れか一項に記載のX線画像取得システムを制御するためのコンピュータプログラムであって、処理ユニットにより実行されたときに、請求項7に記載の方法のステップを実施する、コンピュータプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
臨床ワークフローを改善するために、X線撮像システムを提供する必要がある場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、独立請求項の主題により解決され、更に別の実施形態は従属請求項に組み込まれる。本発明の以下に説明する態様が、X線検出器装置、X線画像取得システム、検出器を位置合わせするための方法、コンピュータプログラム要素、及びコンピュータ可読媒体にも適用されることを留意すべきである。
【0006】
本発明によれば、X線検出器ユニットと回転ユニットとを備えるX線検出器装置が提供される。X線検出器ユニットは、検出器表面として配設された複数のX線検出素子を備えたX線検出器を備える。回転ユニットは、X線検出器ユニットに向かうX線照射を提供するためのX線源装置のコリメータ構成により依存的に規定される回転信号を受信すると少なくとも検出器表面との交点において検出器表面に直交する軸線の周りに、X線検出器ユニットに対して、X線検出器を回転させるように構成される。
【0007】
利点として、ある種のレバーアームを用いての検出器ユニットの手動回転、又は「回転ボタン」を用いての検出器ユニットの電動回転が不要である。換言すれば、検出器を回転させるのに明示的なユーザの行動又はユーザインタフェースは必要ない。ユーザは、照射野の大きさ、形状、及び/又は向きを画定するためにコリメータ構成を簡単に修正することができ、且つ検出器ユニットは、自動的にコリメータ構成と一致するように回転する。
【0008】
実施例において、検出器表面は、平らな表面又は平坦な表面である。
【0009】
別の実施例において、検出器表面は湾曲した表面である。
【0010】
軸線は物理的な回転シャフトであってもよいが、その原義は、交点を通る数学的な軸線又は仮想軸線であることに留意されたい。
【0011】
実施例によれば、回転信号は、マスタ/スレーブ指令信号として供給される。回転ユニットは、マスタ/スレーブ指令信号を受信するためのスレーブユニットであるように構成される。
【0012】
換言すれば、コリメータは、マスタ/スレーブシステムのマスタ装置であり、且つX線検出器は、コリメータ構成と一致するように回転する。つまり、検出器は、マスタ/スレーブシステムのスレーブ装置である。
【0013】
実施例によれば、回転信号は、少なくとも第1の回転位置から第2の回転位置にX線検出器を回転させるように回転ユニットを制御するために供給される。第2の回転位置と第1の回転位置との間の角度変位は、回転信号により決定される。
【0014】
換言すれば、回転信号は、X線検出器の回転動作を開始するだけでなく、角度変位、即ち、X線検出器が回転する角度を決定し得る。その結果、X線検出器は、スレーブユニットの役割を果たす。X線検出器の回転は、X線検出器の停止位置をも設定する回転信号により引き起こされる。
【0015】
実施例によれば、X線検出器は、第1の延在部と第2の延在部とを備えた形状を有する。第1の延在部は、第2の延在部よりも大きい。第2の回転位置における第1の延在部及び第2の延在部は、第1の回転位置における第1の延在部及び第2の延在部に対して角度変位をもって配設される。好ましくは、X線検出器は矩形状を有する。
【0016】
X線検出器の形状は様々であり得る。例えば、X線検出器は、長円形状又は楕円形状である。例えば、X線検出器は菱形形状を有する。好ましくは、X線検出器は矩形である。
【0017】
実施例によれば、コリメータ構成は、コリメータ開口部の寸法、コリメータ位置、コリメータの向き、及び検出器平面内のコリメーションの寸法からなるグループのうちの少なくとも1つを含む。
【0018】
本発明によれば、X線源装置とX線検出器装置とを備えるX線画像取得システムも提供される。X線源装置は、X線源ユニットと、コリメータユニットと、制御ユニットとを備える。X線源ユニットは、X線検出器装置に向けてX線照射を発生させるように構成される。コリメータは、コリメータ開口部を通過するX線照射ビームの形状を調節するために調節可能な寸法を有するコリメータ開口部を備える。制御ユニットは、コリメータ構成を検出するように且つそれに応答して回転信号を回転ユニットに供給するように構成される。回転ユニットは、X線検出器の回転位置がコリメータ構成と一致するように回転信号に基づいてX線検出器を回転させる。
【0019】
換言すれば、コリメータユニットは、X線検出器の回転位置のマスタである。
【0020】
利点として、コリメーションの調節は、ワークフローのマスタであり、且つX線検出器を回転させるのにユーザとの相互作用は不要である。その結果、医療従事者の作業負担が軽減され、且つ臨床ワークフローが改善される。実施例によれば、コリメータユニットは、マスタユニットの少なくとも一部であり、且つX線検出ユニットは、スレーブユニットの少なくとも一部である。
【0021】
例えば、コリメータユニットは、スレーブユニットであるX線検出器ユニットのマスタユニットである。
【0022】
実施例によれば、制御ユニットは、コリメータ構成に基づいて検出器表面上のコリメーション野の幾何学的形状を検出するように構成される。幾何学的形状は、1次延在部と、1次延在部を横断する、2次延在部とを備える。1次延在部は、2次延在部よりも大きい。検出器表面は、1次検出器延在部と2次検出器延在部とを備えた形状を有し、且つ1次検出器延在部は、2次検出器延在部よりも大きい。制御ユニットは、検出されたコリメーション野と検出器表面との幾何学的関係を評価するように且つそれに応答して回転信号を回転ユニットに供給するように構成される。回転ユニットは、コリメーション野が検出器表面の形状に制限されるように回転信号に基づいてX線検出器を回転させるように構成される。
【0023】
例えば、制御ユニットは、コリメータ場と検出器表面の幾何学的形状とを比較して、コリメーション野が検出器表面の形状に制限されているかどうかを判定する。そうでなければ、制御ユニットは、コリメーション野と一致するようにX線検出器を回転させるように回転ユニットに通知する回転信号を供給する。このことは、検出器表面を露出させ、それ以外を露出させないために、X線照射が制限されることを確実にする。
【0024】
実施例によれば、コリメータ構成の変更時に、制御ユニットは、現在検出されているコリメータ構成と以前に検出されたコリメータ構成とのずれを検出し、且つそれに応答して回転信号の更に別の信号又は更新された信号を回転ユニットに供給する。回転ユニットは、X線検出器の現在の回転位置が現在検出されているコリメータ構成と再び一致するように、回転信号の更に別の信号又は更新された信号に基づいてX線検出器を回転させるように構成される。
【0025】
その結果、X線検出器の回転位置は、コリメータ構成の変更に連続的に追従する。
【0026】
実施例によれば、制御ユニットは、X線検出器装置の動作パラメータと共に少なくともコリメータ構成パラメータを記憶するように構成される。
【0027】
例えば、動作パラメータは、検出器回転位置データ、検出器位置データ、又は検出器の寸法を含み得る。このように、幾何学的関係は、コリメータ構成パラメータとX線検出器の動作パラメータとを比較することにより検出することができる。
【0028】
実施例によれば、制御ユニットは、コリメーション野の寸法が検出器表面の寸法よりも小さくなるようにコリメータ開口部の最大寸法を設定するように構成される。
【0029】
実施例によれば、制御ユニットは、X線源装置とX線検出器装置との間の空間的な変位を検出するように構成される。検出された空間的な変位に基づいてX線検出器装置をX線源装置と位置合わせするための相対移動を実施する移動組立体が提供される。
【0030】
本発明によれば、以下のステップ、即ち、a)X線源装置のコリメータの構成を調節するステップと、b)調節されたコリメータ構成を検出するステップと、c)回転信号を回転ユニットに供給するステップであって、回転信号が、調節されたコリメータ構成の検出に基づいている、供給するステップと、d)回転信号に従ってX線検出器を回転させるステップとを含む、検出器を位置合わせするための方法も提供される。本発明によれば、機器を制御するためのコンピュータプログラム要素が提供され、このコンピュータプログラム要素は、処理ユニットにより実行されたときに、方法ステップを実施するように適合される。
【0031】
本発明によれば、先に述べたプログラム要素を記憶しているコンピュータ可読媒体が提供される。
【0032】
態様によれば、X線検出器は、マスタユニットであるコリメータのスレーブユニットであるように構成される。コリメータの調節可能な開口部の寸法、コリメータの向き、及び/又はコリメータの位置等のコリメータ構成の変更が決定され、且つそれに応じて、X線検出器が、このコリメータ構成と一致するように回転する。換言すれば、コリメータは、X線検出器位置のマスタである。例えば、X線検出器が横向きであるときには、コリメータを縦向きに設定することができる。そして、検出器は、それに応じて、例えば縦向きになるように90°回転することによりその設定と一致するように回転する。ユーザとの相互作用がX線検出器の回転のプロセスに必要ないので、医療従事者に対するワークフローステップの数が低減され、且つ臨床ワークフローの改善が達成される。
【0033】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に説明する実施形態から明らかになるとともに、これら実施形態を参照して明らかにされるであろう。
【0034】
本発明の例示的な実施形態について以下の図面を参照して以下に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、本発明によるX線検出器装置10の例示的な実施形態を示している。X線検出器装置10は、X線検出器ユニット12と、回転ユニット14とを備える。X線検出器ユニット12は、検出器表面18として配設された複数のX線検出素子を備えたX線検出器16を備える。回転ユニット14は、回転信号22を受信すると少なくとも検出器表面18との交点において検出器表面18に直交する軸線20の周りにX線検出器16を回転させるように構成される。回転信号22は、X線検出器ユニット12に向かうX線照射を提供するためのX線源装置のコリメータ構成により依存的に規定される。
【0037】
実施例において、回転信号22は、マスタ/スレーブ指令信号として供給され、且つ回転ユニット14は、マスタ/スレーブ指令信号を受信するためのスレーブユニットであるように構成される。
【0038】
実施例において、コリメータ構成は、コリメータ開口部の寸法、コリメータ位置、コリメータの向き、及び/又は検出器平面内のコリメーションの寸法からなるグループのうちの少なくとも1つを含む。
【0039】
検出器表面18は、平らな表面又は平坦な表面であってもよい。別の実施例において、検出器表面18は湾曲した表面である。
【0040】
X線検出器16は、異なるフォーマットを有し得る。実施例において、X線検出器16は、トレイ、例えば、Bucky trayの内側に常設される剛性検出器等の、X線検出器ユニット12に支持される検出器である。別の実施例において、X線検出器16は、ユーザがトレイから外すことができる可搬型検出器等の、X線検出器ユニット12に仮支持される可搬型検出器である。別の実施例において、X線検出器16は、X線フィルムスクリーンを備えたカセットである。
【0041】
X線検出器16はまた、正方形状又は矩形状を有し得るハウジング内に配設されてもよく、且つ画像マトリクスは矩形であってもよい。実施例において、回転ユニット14は、ハウジングの内部でX線検出器16を回転させるように構成される。別の実施例において、回転ユニット14は、ハウジングと共にX線検出器16を回転させるように構成される。
【0042】
「直交する」という用語は、例えば、±15°のずれを含む、およそ90°の角度を指す。
【0043】
「依存的に規定される」という用語は、本質的にコリメータ構成により制御される信号を指す。例えば、コリメータ構成が変更又は適合される場合、それに応じて回転信号も変更又は修正される。
【0044】
図2は、2つの異なる回転位置にあるX線検出器装置10の更に別の例示的な実施形態を示している。
【0045】
回転信号22は、少なくとも第1の回転位置24から第2の回転位置26にX線検出器16を回転させるように回転ユニット14を制御するために供給される。第2の回転位置26と第1の回転位置24との間の角度変位28は、回転信号22により決定される。
【0046】
回転可能なX線検出器16は、第1の矢印30、32で表される、第1の延在部と、第2の矢印34、36で表される、第2の延在部とを備えた形状を有する。第1の延在部30、32は、第2の延在部34、36よりも大きい。実施例において、X線検出器16は、丸みを帯びた角部分を備えた矩形状を有する。別の実施例において、X線検出器16は、長円形状又は楕円形状を有する。別の実施例において、X線検出器16は菱形形状を有する。好ましくは、X線検出器16は矩形状を有する。X線検出器16はまた、撮像される対象物に対する手動での自由な位置決めを可能にするための手掛け部を有し得る。
【0047】
第2の回転位置26において、第1の延在部32及び第2の延在部36は、第1の回転位置における第1の延在部30及び第2の延在部34に対して角度変位28をもって配設される。「配設される」という用語は、例えば、角度変位28に従う第1の延在部及び第2の延在部の回転に関係することに留意されたい。
【0048】
角度変位28は、第1の回転位置24における第1の延在部30と第2の回転位置26における第1の延在部32との間の角度で表される。代替的に、角度変位28は、第1の回転位置24における第2の延在部34と第2の回転位置26における第2の延在部36との間の角度で表される。実施例において、第2の回転位置26は、第1の回転位置24に直交しており、換言すれば、角度変位は±90°である。別の実施例において、角度変位28は、10°、15°、30°、45°、60°若しくは75°等の任意の値、又は異なる値である。角度変位28の値は、患者の身体との良好な一致を達成するようにX線検出器16を回転させることができるような方式で決定される。例えば、手等の器官が台上にどのように配置されるかにより値が決定されてもよい。
【0049】
実施例において、回転は正確に90°である。別の実施例では、回転には、数度の小さな回転に適合するようにはるかに小さな値が与えられる。
図3Aは、X線画像取得システム100の例示的な実施形態を示している。X線画像取得システム100は、X線源装置40とX線検出器装置10とを備える。
【0050】
X線源装置40は、X線源ユニット42と、コリメータユニット44と、制御ユニット46とを備える。X線源ユニット42及びコリメータユニット44は、例えば、コリメータユニット44の回転を可能にする軸受を含む任意の好適な手法により接続されてもよい。X線検出器装置10は、X線検出器装置10の上述の実施例の1つとして提供され、且つX線検出器ユニット12と回転ユニット14とを備える。X線源ユニット42は、X線検出器装置10に向けてX線照射48を発生させるように構成される。コリメータユニット44は、コリメータ開口部50を通過するX線照射48の形状を調節するために調節可能な寸法を有するコリメータ開口部50を備える。制御ユニット46は、コリメータ構成を検出するように且つそれに応答して回転信号22を回転ユニット14に供給するように構成される。回転信号22に基づいて、回転ユニット14は、X線検出器16の回転位置がコリメータ構成と一致するようにX線検出器16を回転させる。
【0051】
実施例によれば、コリメータユニット44は、マスタユニットの少なくとも一部であり、且つX線検出器ユニット12は、スレーブユニットの少なくとも一部である。
【0052】
実施例において、線源−画像距離(SID:source image distance)、及び線源−コリメータ距離(SCD: source collimator distance)等の幾何学的パラメータは、制御ユニットに提供され、且つ制御ユニット46は、検出器平面内のコリメート領域の寸法を算出することができる。
【0053】
コリメータ構成は、手動又は自動で調節されてもよい。実施例では、コリメータ構成を制御するために、コリメータ用ユーザインタフェースが提供される。例えば、コリメータ開口部50の寸法を変更するためのホイールが提供される。ホイールの代替として、コリメータ開口部50の寸法を制御するために、ボタンが使用される。別の実施例では、コリメータ用ユーザインタフェースが設けられない。それよりむしろ、患者の身体の幾何学的形状(大きさ、形状、及び向き等)が、距離カメラ、光学カメラ、又は超音波カメラ等の、カメラにより検出されてもよい。照射野を患者の身体に適合させるためにコリメータの開口部の寸法、コリメータの向き、及び/又はコリメータの位置等の、コリメータ構成を決定するために、解剖学的指標が画像データから得られてもよい。
【0054】
コリメータ構成に基づいて、制御ユニット46は、検出器表面18上のコリメーション野52の幾何学的形状を検出するように構成される。幾何学的形状は、矢印54で表される、1次延在部と、1次延在部を横断する、矢印56で表される、2次延在部とを備える。1次延在部は、2次延在部よりも大きい。
【0055】
更に、検出器表面18は、矢印30で表される、第1の検出器延在部と、矢印34で表される、第2の検出器延在部とを備えた形状を有する。第1の検出器延在部は、第2の検出器延在部よりも大きい。
【0056】
制御ユニット46は、検出されたコリメーション野52と検出器表面18との幾何学的関係を評価するように且つそれに応答して回転信号を回転ユニット14に供給するように構成される。回転信号に基づいて、回転ユニット14は、コリメーション野52が検出器表面18の範囲内に限定されるようにX線検出器16を回転させる。
【0057】
「評価する」という用語は、幾何学的関係の決定又は算出に関係する。
【0058】
例えば、回転信号に応答して、回転ユニット14は、コリメーション野52の1次延在部54及び/又は2次延在部56が検出器表面18の第1の検出器延在部30及び/又は第2の検出器延在部34とそれぞれ位置合わせされるように、X線検出器16を回転位置まで回転させる。
【0059】
更に別の実施例によれば、コリメータ構成の変更時に、制御ユニット46は、現在検出されているコリメータ構成と以前に検出されたコリメータ構成とのずれを検出し、且つそれに応答して回転信号22の更に別の信号又は更新された信号を回転ユニット14に供給する。回転ユニット14は、X線検出器16の現在の回転位置が現在検出されているコリメータ構成と再び一致するように、更に別の回転信号に基づいてX線検出器16を回転させる。換言すれば、X線検出器16は、コリメータ構成と一致するように連続的に回転させられてもよい。このことは、スレーブユニット、即ち、回転ユニット14がコリメータ構成に連続的に追従することを確実にする。
【0060】
「幾何学的関係」という用語は、寸法、形状、及び/又は向きの関係を指す。
【0061】
コリメーション野52と検出器表面18との幾何学的関係は、幾つかの手法で決定されてもよい。実施例によれば、制御ユニット46は、X線検出器装置10の動作パラメータと共に少なくともコリメータ構成パラメータを記憶するように構成される。実施例において、動作パラメータは、検出器回転位置データ、検出器位置データ、又は検出器の寸法を含む。したがって、幾何学的関係は、コリメータ構成パラメータとX線検出器装置10の動作パラメータとを比較することにより決定されてもよい。
【0062】
「ずれ」という用語は、コリメータ構成の調節後にコリメーション野52が検出器表面18でカバーされていない状況を指すことがある。幾つかの理由により、このような状況が生じる場合がある。実施例において、コリメータ開口部50の寸法は、例えば、横サイズから縦サイズに変えられる。別の実施例において、コリメータユニット44は、患者の身体と一致させる目的である程度回転させられる。別の実施例において、コリメーション野52の形状は、正方形状から矩形状に変更される。
【0063】
「ずれ」という用語はまた、コリメーション構成の調節後に、コリメーション野52が依然として検出器表面18の範囲内に位置するがもはや検出器表面18と位置合わせされていない、状況を指すこともある。例えば、コリメータユニットは、患者の身体と位置合わせされるように微小角度回転させられる。
【0064】
実施例によれば、制御ユニット46は更に、コリメーション野52の寸法が検出器表面18の寸法よりも小さくなるように調節可能なコリメータ開口部50の最大寸法を設定するように構成される。実施例において、検出器表面18は矩形状を有し、且つ最大寸法は、検出器表面18の矩形状の大きさに関係する。制御ユニット46は、コリメータ構成が調節された時点で回転信号22を供給する。
【0065】
回転時に、且つコリメーション野52と検出器表面18とが一致していないときの期間に、X線照射の発生が無効にされてもよい。回転後に、X線の発生が再び有効にされてもよい。
【0066】
一致のために、1次延在部54及び2次延在部56は、1次検出器延在部30及び2次検出器延在部34と位置合わせされる。
【0067】
図3Bは、コリメータ構成に適合した回転させるX線検出器を備えたX線画像取得システムの更に別の例示的な実施形態を示している。
【0068】
第1の回転位置24(即ち、第1の向き)では、1次検出器延在部(即ち、より長い検出器延在部)が基準線58に平行に配設され、且つ第2の回転位置26(即ち、第2の向き)では、1次検出器延在部(即ち、より長い検出器延在部)が基準線58に直交する方向に配設される。第1の位置24は「縦向き」とも呼ばれ、且つ第2の位置26は「横向き」とも呼ばれる。
【0069】
垂直方向のX線照射の場合、「基準線」という用語は、患者支持体(患者台)の方向、又は検査中の患者の向き、即ち伸長状態を指す。水平方向のX線照射の場合、「基準線」という用語は、水平線に関係し得る。
【0070】
この実施形態において、X線検出器16が第1の回転位置24にある、即ち、縦向きであるときでさえ、コリメータ構成を横サイズに設定することができ、したがって、これにより、手足、胴、首頭、肩等の、対象領域60の幾何学形状と一致するように横向きのコリメーション野52を画定する。コリメータ構成の変更時に、制御ユニット46は、第1の回転位置24におけるコリメーション野52と検出器表面18との幾何学的関係を評価する。ずれが検出された時点で、制御ユニット46は、回転信号22の更に別の信号又は更新された信号を回転ユニット14に送信し、これにより、それぞれの回転を始動させて、X線検出器16を第2の回転位置26に移動させる(即ち、横向きにする)ためのX線検出器16の回転位置を補正し、その結果、コリメーション野52がX線検出器表面18の範囲内に位置する。
【0071】
回転時に、X線照射の発生は、制御ユニット46により無効にされる。X線の発生は、回転後に制御ユニット46により再び有効にされる。
【0072】
図3Cは、別のコリメータ構成に適合した回転させるX線検出器を備えたX線画像取得システム100の更に別の例示的な実施形態を示している。
【0073】
この実施形態において、コリメータユニット44は、例えば、患者の身体のような、対象領域60とのより良好な一致を達成するために、任意の角度だけ回転させられる。コリメーション野52の向きのために、コリメーション野52を、第1の方向位置24ではX線検出器表面18でカバーすることができない。このずれは、制御ユニット46により検出される。コリメータ構成に従って、制御ユニット46は更に、角度変位を決定し、且つ回転信号22を回転ユニット14に送る。回転信号22を受信したときに、回転ユニット14は、コリメーション野52がX線検出器表面18で再びカバーされるように第1の回転位置24から第2の回転位置26にX線検出器16を回転させる。
【0074】
X線照射の発生は、制御ユニット46により回転時は無効にされる。回転後に、X線の発生は、制御ユニット46により再び有効にされる。
【0075】
図4は、検査室内のX線画像取得システム100の更に別の例示的な実施形態を示している。検査室が、床FLと、天井CLと、壁WLの1つとで概略的に表されている。X線源ユニット42とコリメータユニット44と制御ユニット46とを備えるX線源装置40と、X線検出器ユニット12と回転ユニット14とを備えるX線検出器装置10とを備えた、X線画像取得システム100が示されている。制御ユニット46は、X線源装置40とX線検出器装置10との間の空間的な変位を検出するように構成される。検出された空間的な変位に基づいてX線検出器装置10をX線源装置40と位置合わせするための相対移動を実施する移動組立体が提供される。
【0076】
この実施形態において、移動組立体は、可動検出器組立体62と可動線源組立体64とを備える。しかしながら、移動組立体はまた、可動検出器組立体として又は可動線源組立体として提供されてもよい。
【0077】
X線検出器ユニット12は、可動検出器組立体64に取り付けられ、この可動検出器組立体64は、x軸線、y軸線及びz軸線に沿ってX線検出器ユニット12を移動させることができる。回転ユニット14は、検出器表面18に直交する軸線20の周りでX線検出器16を回転させるように構成される。回転動作は、第1の円形矢印α
Dで表される。実施例において、X線検出器16はハウジング内に配設される。実施例において、X線検出器16はハウジングの内部で回転する。別の実施例において、X線検出器16はハウジングと共に回転する。
【0078】
X線源ユニット42は、摺動可能な天井台車66と、伸縮アーム68と、ハウジング70とを備えた可動線源組立体62に装着される。X線源ユニット42は、ハウジング70の内部に配設される。摺動可能な天井台車66は、それぞれx軸線及びy軸線に沿ったX線源ユニット42の移動を可能にする、x軌道72とy軌道74とを更に備える。加えて、伸縮アーム68は、z軸線に沿ってX線検出器ユニット12を上下に移動させることができ、且つ第2の円形矢印β
Sで表される、z軸線の周りでX線検出器ユニットを回転させることもできる。第3の円形矢印α
Sで表される、X線源ユニット42の枢動運動を可能にする、枢支軸76が伸縮アーム68の端部に設けられる。換言すれば、可動線源組立体62は、X線源ユニット42を対象領域60に対する所望の位置に位置決めするために多数の自由度を可能にする。
【0079】
コリメータユニット44は、照射野48の大きさ及び形状を画定する調節可能なコリメータ開口部50を備える。コリメータ開口部の寸法は、例えば縦サイズに設定されるように調節することができる。その上、コリメータユニット44は、患者の身体とのより良好な一致を達成するために回転させることができる。
【0080】
実施例において、可動線源組立体62及びコリメータ構成は、コンピュータ等のコンソール78を用いて、検査技師等の操作者により制御されてもよい。調節可能なコリメータ開口部50の寸法はまた、ホイール又はボタンを使用することにより調節されてもよい。
【0081】
別の実施例では、コンソール78は不要である。それよりむしろ、対象領域60の幾何学的形状(大きさ、形状、及び向き等)は、距離カメラ、光学カメラ、又は超音波カメラ等の、カメラにより検出されてもよい。対象領域60に対するX線源ユニットの所望の位置と、照射野48を患者の身体に適合させるためにコリメータの開口部の寸法及びコリメータの向き等のコリメータ構成とを決定するために、解剖学的指標が画像データから得られてもよい。
【0082】
実施例において、制御ユニット46は、X線検出器装置10の動作パラメータと共に少なくともコリメータ構成パラメータを記憶する。
【0083】
X線源装置40及び/又はX線検出器装置10の位置の変更時に、制御ユニット46は、空間的な変位を検出し、且つ移動組立体、即ち、可動線源組立体62及び/又は可動検出器組立体64は、検出された空間的な変位に基づいてX線検出器装置10をX線源装置40と位置合わせするための相対移動を実施する。
【0084】
更に、制御ユニット46は、コリメーション野52とX線検出器表面18との幾何学的関係を決定する。例えば、ずれが検出された時点で、コリメーション野52が、例えば、コリメータ開口部50の調節によって又はコリメータユニット44の回転によって、X線検出器表面18でカバーされていなければ、制御ユニット46が、コリメータ構成に従って角度変位を決定し、且つ回転信号22の更に別の信号又は更新された信号を回転ユニット14に送信する。実施例において、回転信号22は、電線を介して且つ/又は光ファイバを介して送られる。別の実施例において、回転信号22は、無線信号として供給される。回転信号22を受信すると、回転ユニット14は、コリメーション野52が検出器表面18で再びカバーされるようにX線検出器16を回転させる。回転時に、制御ユニット46は、X線照射の発生を無効にする。回転後に、X線の発生は、制御ユニット46により再び有効にされる。
【0085】
換言すれば、コリメータユニット44は、マスタ/スレーブ信号(即ち、回転信号22)を送信することによりX線検出器16(即ち、スレーブユニット)の回転位置を制御する、マスタユニットであるように構成される。回転信号22はまた、回転ユニット14に角度変位を通知してもよい。回転ユニット14は、コリメーション野52が検出器表面18で再びカバーされるように角度変位によりX線検出器16を回転させる。
【0086】
例示的な実施形態におけるX線画像取得システム100が検査室の壁に固定されることに留意されたい。しかしながら、他のX線撮像システム、例えば、患者が直立するのではなく診察台の上に横たわるCアームシステムも提供される。
【0087】
図5は、以下のステップを含む、検出器を位置合わせするための方法200を示している。第1のステップS210では、X線源装置のコリメータの構成が調節される。第2のステップS220では、コリメータ構成が検出される。第3のステップS230では、回転信号が回転ユニットに供給される。回転信号は、調節されたコリメータ構成の検出に基づいている。第4のステップS240では、X線検出器が回転信号に従って回転させられる。
【0088】
第1のステップS210は、ステップa)とも称され、第2のステップS220は、ステップb)とも称され、第3のステップS230は、ステップc)とも称され、且つ第4のステップS340は、ステップd)とも称される。
【0089】
本発明の別の例示的な実施形態では、先述の実施形態のうちの1つに従って方法の方法ステップを適切なシステム上で実行するように適合されることにより特徴付けられるコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が提供される。
【0090】
それゆえ、コンピュータプログラム要素は、本発明の実施形態の一部でもあり得る、コンピュータユニットに記憶されてもよい。この計算ユニットは、上で説明した方法のステップを実施するか又はステップの実施を誘導するように適合されてもよい。その上、計算ユニットは、上で説明した機器の構成要素を動作させるように適合されてもよい。計算ユニットは、自動的に動作するように且つ/又はユーザの命令を実行するように適合させることができる。コンピュータプログラムは、データ処理装置の作業メモリにロードされてもよい。したがって、データ処理装置が、本発明の方法を実行するように装備されてもよい。本発明のこの例示的な実施形態は、最初から本発明を使用するコンピュータプログラムと、更新によって既存のプログラムを、本発明を使用するプログラムに変換するコンピュータプログラムとの両方を網羅する。
【0091】
更に、コンピュータプログラム要素は、上で説明したような方法の例示的な実施形態の手順を満たすために必要な全てのステップを提供することが可能であってもよい。
【0092】
本発明の更に別の例示的な実施形態によれば、CD−ROM等のコンピュータ可読媒体が提示され、コンピュータ可読媒体は、その媒体に記憶されたコンピュータプログラム要素を有し、そのコンピュータプログラム要素については、先述のセクションで説明されている。
【0093】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又は他のハードウェアの一部として供給される光学記憶媒体又は固体媒体等の、好適な媒体に記憶及び/又は分配されるが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システム等を介して、他の形式で分配されてもよい。
【0094】
しかしながら、コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブのようなネットワークを介して提示されてもよく、且つそのようなネットワークからデータ処理装置の作業メモリにダウンロードすることができる。本発明の更に別の例示的な実施形態によれば、コンピュータプログラム要素をダウンロード用に利用可能にするための媒体が提供され、このコンピュータプログラム要素は、本発明の先に説明した実施形態の1つに従って方法を実施するように構成される。
【0095】
異なる主題を参照して本発明の実施形態が説明されていることに留意しなければならない。特に、幾つかの実施形態は方法形式の請求項を参照して説明され、その一方で、他の実施形態は装置形式の請求項を参照して説明される。しかしながら、当業者であれば、別段の断りのない限り、1種類の主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関係する特徴の任意の組み合わせが本出願に開示されていると見なされることを上記の説明及び以下の説明から推測するだろう。しかしながら、全ての特徴を組み合わせて、特徴の単なる足し合わせ以上の相乗効果をもたらすことができる。
【0096】
本発明が図面及び前述の説明において詳細に図示され説明されてきたが、このような図示及び説明は、説明的又は例示的であって限定的ではないと見なされるべきである。本発明は、開示の実施形態に限定されるものではない。図面、本開示、及び従属請求項の検討により、特許請求される発明を実施する際に、当業者は開示の実施形態に対する他の変形例を理解し実施することができる。
【0097】
特許請求の範囲において、「備える(comprising)」という単語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は複数の存在を排除するものでない。単一の処理装置又は他のユニットが、特許請求の範囲に列挙する幾つかの項目の機能を果たしてもよい。ある特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利になるように使用できないことを示すものではない。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。