(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  少なくともカメラを備えた本体部と、前記本体部の下方において回動可能に取り付けられており、情報を表示する表示部とを備える車両用記録装置が実施する再生方法であって、
  前記表示部が収納状態である第三の配置から前記表示部の表示面をユーザが目視可能な方向に向けた第二の配置となったときは、前記カメラが撮影した映像データを記憶する記憶部に記録されている任意の映像データの再生動作を可能とし、前記表示部が前記表示部の表示面が下方を向いた第一の配置から前記第二の配置となったときは、前記記憶部に記録されている直近の映像データの再生動作を行う、再生方法。
                                                                                                        
【発明を実施するための形態】
【0009】
  以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、本実施の形態にかかる車両用記録装置の例として衝撃等のイベントを検出して記録するドライブレコーダとして適用する例について説明するが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、車両用記録装置は、ドライブレコーダ以外に、ユーザの要求に応じて記録再生を行う装置であってもよい。
 
【0010】
  また、本実施の形態にかかる車両用記録装置は、自動車のウィンドシールドに取り付けられて利用される形態として説明するが、取り付け位置や取り付け対象もこれらに限定されない。例えば、自動車のインナーミラーや天井部に取り付けられる形態や、自動車以外に作業用機器、二輪車などに取り付けられてもよい。
 
【0011】
  図1は、本発明の第1実施形態にかかる車両用記録装置10の車両1に対する設置例を模式的に示した図である。車両1の構成は省略して記載しており、天井部300、ダッシュボード400およびウィンドシールド500のみを記載している。車両用記録装置10は、傾斜したウィンドシールド500に対して、紙面右側である車室内側に設置されている。日本においては、ドライブレコーダである車両用記録装置10をウィンドシールド500の上方に貼付けて設置する場合、ウィンドシールド500の上端から20%以内に設置することが義務付けられている。ウィンドシールド500および車両用記録装置10の下方には、ダッシュボード400が存在する。
 
【0012】
  図1においては、紙面左方向が車両1の前方であり、且つ車両用記録装置10の撮影方向でもある。車両用記録装置10は、ウィンドシールド500を介して車外の映像を記録する。
 
【0013】
  図2は、本発明の第1実施形態にかかる車両用記録装置10の状態例および構成を模式的に示した図である。車両用記録装置10は取付部18を用いて撮影方向が少なくとも水平面を含むようにウィンドシールド500に取り付けられている。取付部18は例えば両面テープ等でウィンドシールド500に貼付けられている。車両用記録装置10は、本体部11、表示部12、回動部13、カメラ14および制御部15を少なくとも備える。取付部18と本体部11との間の角度は調整可能であってもよい。
 
【0014】
  図2に示す車両用記録装置10の設置状態は、本発明で言う第三の配置である。第三の配置とは、表示部12が裏面122を下方に向けて本体部11に対向している状態であり、いわゆる収納状態である。表示部12は、回動部13によって本体部11に回動可能に取り付けられている。表示部12は平板形状であり、一方の面が表示面121として様々な情報を表示し、他方の面が裏面122として情報が表示されない面である。表示部12が第三の配置となることで、表示部12の表示面121が保護されるとともに、表示部12がコンパクトに収納される。
 
【0015】
  図3は、本発明の第1実施形態にかかる車両用記録装置10の構成を示すブロック図である。車両用記録装置10は、
図2に示した表示部12、カメラ14および制御部15に加えて、記憶部16、回動位置検出部17およびセンサ部19を備える。
 
【0016】
  制御部15は、各種データ処理を行う単数または複数のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、バッファメモリ156などで構成される。制御部15は、その機能により実現される構成として、撮影制御部151、表示制御部152、再生制御部153、イベント検出部154および電源制御部155を少なくとも備える。
 
【0017】
  記憶部16は、車両用記録装置10に内蔵された、または取外し可能な記録素子である。
 
【0018】
  撮影制御部151は、カメラ14の動作を制御するとともにカメラ14が撮影した映像データを取得し、バッファメモリ156を介して記憶部16に記録させる撮影動作の制御を行う。再生制御部153は、記憶部16に記録された映像データを読み出して再生する再生動作の制御を行う。表示制御部152は、車両用記録装置10の設定に関する表示や撮影制御部151が記憶部16に記録させた映像データを再生制御部153が再生したときに、映像データを表示部12に表示させる。表示制御部152は、表示部12の表示オン/オフも制御する。
 
【0019】
  バッファメモリ156は、制御部15が備える内部メモリであり、撮影制御部151が取得した一定時間分の映像データを更新しながら記録する。
 
【0020】
  イベント検出部154は、センサ部19から取得した情報に基づき、イベントが発生したか否かの判断を行い、イベントが発生した場合はその情報を撮影制御部151に出力する処理を行う。
 
【0021】
  撮影制御部151は、イベント検出部154からイベントを検出した情報を取得していないときは、カメラ14が撮影した映像データをバッファメモリ156から記憶部16に対して上書き可能に記録させる。このような撮影動作をループ記録動作と呼ぶ。撮影制御部151は、イベント検出部154からイベントを検出した情報を取得した場合は、イベント検出から所定時間前から所定時間後までの映像データをバッファメモリ156から上書き禁止として記憶部16に記録させる。このような撮影動作をイベント記録動作と呼ぶ。
 
【0022】
  撮影制御部151は、イベント記録動作においては、例えばイベント検出から10秒前の映像データをバッファメモリ156からイベント終了またはイベント検出から例えば10秒後までの映像データを上書き禁止として記憶部16へ記録させる。撮影制御部151は、ループ記録動作としては、記憶部16に上書き可能な映像データの記録を行い、記憶部16の上書き可能な記憶容量の上限に達したときは、上書き可能な映像データを消去しながら次の上書き可能な映像データを記憶部16に記録させる。
 
【0023】
  電源制御部155は、車両用記録装置10の電源オン/オフを制御する。電源オフとは待機状態を含む。
 
【0024】
  表示部12は、液晶パネルや有機ELパネル、投影画像のスクリーンなどである。カメラ14は、可視光を受光して電気的データに変換する受光素子およびレンズ等から構成される。センサ部19は、車両用記録装置10に取り付けられる加速度センサやマイクロフォンなどであり、車両1または車両用記録装置10に加わる加速度情報や音量情報などイベント検出に用いられる検出結果をイベント検出部154に出力する。
 
【0025】
  イベント検出部154は、少なくとも撮影制御部151が映像データを記録している期間中は常時、センサ部19の検出結果を取得する。イベント検出部154は、センサ部19から取得した加速度情報が所定の閾値を超える加速度である場合、または音量情報が所定の閾値を超える音量であるなどの条件を満たしたときは、車両1と他の物体との衝突、または車両1の利用者を巻き込むトラブルなどのイベントであると判断する。
 
【0026】
  イベント検出部154は、センサ部19から取得した加速度情報に基づいてイベントの発生を検出する場合、所定の閾値を超える大きさの加速度であり、車両と他の物体との衝突に該当する大きさの加速度を検出した場合、イベントが発生したと判断する。イベント検出部154は、所定の閾値を超える大きさの加速度であり、車両と他の物体との衝突に該当する加速度の推移に基づきイベント発生と判断してもよい。また、イベント検出部154は、センサ部19から取得した音量に基づいてイベントの発生を検出する場合、所定の閾値を超える音量であり、衝突音や叫び声などに該当する音量の音声を検出した場合、イベントが発生したと判断する。
 
【0027】
  回動位置検出部17は、回動部13に備えられており、本体部11に対する表示部12の回動位置を検出する。回動位置検出部17は、例えば回動部13の回転により変化する電気的接点の位置や電気抵抗値の変化により、表示部12の回動位置を検出する。回動位置検出部17は、本体部11に対する表示部12の回動位置を連続的に検出可能としてもよく、必要な回動位置のみ断続的に検出可能としてもよい。
 
【0028】
  図4は、本発明の第1実施形態にかかる車両用記録装置10の状態例を模式的に示した図である。
図2との差異は、表示部12が表示面121を下方に向けた第一の配置となっている点である。
 
【0029】
  図4に示すように、表示部12が第一の配置となることで、傾斜したウィンドシールド500で反射して下方のダッシュボード400や周辺の物体などがカメラ14に映り込んでしまうことを抑制する。
 
【0030】
  図4の例として、表示部12が第一の配置となっている状態は、表示部12が表示面121を下方に向けた状態であり、表示部12が水平または水平に近い状態で保持されることである。
図4に示す第一の配置の場合、ウィンドシールド500を介して車外から入射した外光が、表示部12の裏面122に反射した場合も映り込みが発生する場合がある。これを抑制するために、表示部12の裏面122は光吸収面であることが好ましい。例えば、表示部12の裏面122は、艶消し黒で塗装されていたり、凹凸のある形状、または、光吸収部材が張り付けられていてもよい。
 
【0031】
  図5は、発明の第1実施形態にかかる車両用記録装置10の状態例を模式的に示した図である。
図2および
図4との差異は、表示部12が垂直または垂直に近い状態で保持された第二の配置となっている点である。第二の配置は、例えば車両1の運転者であるユーザが表示部12の表示面121に表示された情報を適切に目視可能な角度の範囲であればよい。
 
【0032】
  図5に示すように、表示部12が第二の配置となることで、表示面121がユーザに対向した配置となるため、表示部12の表示面121に表示された情報の確認が容易となる。
 
【0033】
  次に、
図6を用いて、表示部12が第一の配置から第三の配置までの各配置となった場合の処理について説明する。
 
【0034】
  先ず、電源制御部155は任意の電源オントリガに基づき車両用記録装置10が動作可能となるように電源オンとする(ステップS11)。電源オントリガとは、例えば車両用記録装置10が搭載されている車両1が動作を開始することで車両用記録装置10に電力が供給されたことをトリガとする。
 
【0035】
  車両用記録装置10の動作が可能となった場合、撮影制御部151は撮影動作を開始する開始する(ステップS12)。車両用記録装置10がドライブレコーダである場合は、車両1の動作開始時にユーザ等の操作が無くとも撮影動作を開始する必要があるためである。ステップS12において開始される撮影動作は、所謂ループ記録と呼ばれる上書き可能な記録であり、
図6には記載されていないが、車両用記録装置10が撮影動作を行っている期間中は常時イベント検出が行われ、イベント検出時には所謂イベント記録として上書き禁止の記録が行われる。
 
【0036】
  ステップS12の後またはステップS12の処理と同時に、制御部15は回動位置検出部17の検出結果に基づき、表示部12の位置が第三の配置であるか否かを判断する(ステップS13)。ステップS13において、第三の配置であると判断された場合(ステップS13:Yes)、つまり第三の配置の状態で車両用記録装置10の動作が開始された場合は、任意の電源オフトリガが発生したか否かを判断する(ステップS14)。電源オフトリガとは、例えば例えば車両用記録装置10が搭載されている車両1の動作終了であり、具体的にはエンジンがオフとなったことに基づく。
 
【0037】
  ステップS14で、エンジンがオフとなっていない判断である場合(ステップS14:No)、ステップS13の判断を継続する。ステップS14で、エンジンがオフとなったと判断された場合(ステップS14:Yes)、電源制御部155は車両用記録装置10の電源をオフとし(ステップS15)、本処理を終了する。また、ステップS14で、エンジンがオフとなったと判断されたときに、撮影動作、再生動作、表示動作などが行われている場合は、それらの動作を終了させて電源オフとする。
 
【0038】
  ステップS13において、第三の配置ではないと判断された場合(ステップS13:No)、つまり表示部12が第一の配置または第二の配置である場合、表示制御部152は撮影制御部151が取得しているカメラ14からの映像の表示を開始する(ステップS16)。ステップS16の処理は、撮影され記録中の映像が表示される、所謂ライブビュー表示またはスルー画像表示と呼ばれる処理である。
 
【0039】
  ステップS13において、第三の配置ではなく第二の配置であると判断された場合、第二の配置における表示部12の配置は、表示内容をユーザが確認容易な位置であるため、ライブビュー表示を開始する。ステップS13において、第三の配置ではなく第一の配置であると判断された場合、第一の配置における表示部12の配置は、表示内容をユーザが確認容易ではない位置でもあるため、ライブビュー表示は行わなくともよい。
 
【0040】
  ステップS16の処理としてライブビュー表示が開始された後、制御部15は、回動位置検出部17による検出結果に基づき、表示部12の配置が変更となったか否かを判断する(ステップS17)。ステップS17において、表示部12の配置が変更となったと判断された場合(ステップS17:Yes)、制御部15は、回動位置検出部17による検出結果に基づき、表示部12の配置が第三の配置へ変更されたか否かを判断する(ステップS18)。ステップS17の判断が行われているときは、表示部12の配置は第一の配置または第二の配置のいずれかである。このため、ステップS18がYesの条件は、表示部12の配置が第一の配置から第三の配置に変更された場合および第二の配置から第三の配置に変更された場合である。
 
【0041】
  ステップS18において、第三の配置への変更が行われていないと判断された場合(ステップS18:No)、ステップS17の処理を継続する。ステップS18において、第三の配置へ変更されたと判断された場合(ステップS18:Yes)、ライブビュー表示を終了させる(ステップS19)。ステップS19の処理は、ステップS18がYesの判断で、ライブビュー表示が行われている場合に、ライブビュー表示を終了させることとしてもよい。ステップS19において、ライブビュー表示の終了後は、ステップS14の処理に移行する。
 
【0042】
  ステップS17において、表示部12の配置が変更されていないと判断された場合(ステップS17:No)、制御部15は、再生開始されたか否かの判断を行う(ステップS20)。再生開始されたか否かの判断は、例えばユーザによる再生を行うための操作の受付などの再生開始トリガが発生したか否かの判断である。
 
【0043】
  ステップS20において、再生開始されていないと判断された場合(ステップS20:No)、ステップS17の処理を継続する。ステップS20において、再生開始されたと判断された場合(ステップS20:Yes)、ステップS12で開始された撮影・記録処理を停止し、ステップS16でライブビュー表示が開始されている場合はライブビュー表示を停止して、記憶部16に記録されている映像データの再生を開始する(ステップS21)。ステップS21の処理で再生される映像データは任意の映像データでありユーザの選択操作によって選択される映像データであるが、例えば、直近のイベント記録データや、直前所定時間前からのループ記録された映像データとしてもよい。
 
【0044】
  ステップS21において、映像データの再生開始後は、ステップS14と同様に、エンジンオフなど任意の電源オフトリガが発生したか否かを判断する(ステップS22)。ステップS22においてエンジンオフなど任意の電源オフトリガが発生したと判断された場合(ステップS22:Yes)、ステップS15の処理に移行する。ステップS22においてエンジンオフなど任意の電源オフトリガが発生していないと判断された場合(ステップS22:No)、制御部15は再生終了されたか否かを判断する(ステップS23)。再生終了されたか否かの判断は、例えばユーザによる再生停止を行うための操作の受付や、再生対象の映像データの再生が最終位置までの再生を完了したかなどの再生終了トリガが発生したか否かの判断である。
 
【0045】
  ステップS23において、再生終了していないと判断された場合(ステップS23:No)、ステップS22の処理を継続する。ステップS23において、再生終了したと判断された場合(ステップ23:Yes)、再生制御部153は映像データの再生動作を停止し、撮影制御部151による撮影動作を開始させる(ステップS24)。ステップS24の処理後は、ステップS16の処理を行う。つまり、再生動作を終了させ、ステップS21で停止した撮影動作を開始させるとともに、撮影中の映像のライブビュー表示を開始させる。
 
【0046】
  車両用記録装置10における表示部12の各々の配置状態で、上述したような処理を可能とすることで、車両用記録装置10の動作中は撮影・記録を行いながら第一の配置をとることを可能とすることで、映り込みを抑制した高品質な映像データの記録を可能とする。
 
【0047】
  図6のフローチャートは、車両用記録装置10がドライブレコーダである場合の処理であるために、第三の配置であっても撮影動作を行うこととした。
図6に示した処理以外にも、各配置と処理とを対応付け、表示部12の配置変更動作を行うことで、各種処理が実行されるようにしてもよい。
 
【0048】
  例えば、表示部12が第三の配置であるときは、撮影動作を行わずに待機モードまたは車両用記録装置10の電源がオフとなる状態となる。また、表示部12が第二の配置であるときは、記憶部16に記録された映像データの再生を行う再生動作を実行可能とし、表示部12が第一の配置であるときは、撮影動作が実行される。
 
【0049】
  また、表示部12が第一の配置となる条件として、第二の配置が例えば二秒以上などの所定時間以上維持されてから第一の配置となったときは、ループ記録を開始するとともにイベント検出によってイベント記録を行う記録動作とし、第三の配置から所定時間以内に第二の配置を経て第一の配置に変更された場合は、第二の配置となることによって動作する処理をスキップしてイベント記録としての記録動作が開始されるようにしてもよい。
 
【0050】
  また、表示部12が第二の配置となる条件として、第三の配置から第二の配置となったときは、記憶部16に記録されている任意の映像データの再生動作を可能とし、表示部12が第一の配置から第二の配置となったときは、記憶部16に記録されている直近の映像データの再生動作を行うこととしてもよい。表示部12が第一の配置から第二の配置となったときは、直近のイベント記録として記録された映像データを再生することとしてもよい。
 
【0051】
  上記のような処理によって、表示部12を回動させることで容易且つ迅速に車両用記録装置10の動作を制御できるとともに、少なくとも第一の配置となっている状態で記録を行うことで、外光の入射による映り込みを抑制した記録を行うことができる。
 
【0052】
  図7は、本発明の第2実施形態にかかる車両用記録装置20の状態例および構成を模式的に示した図である。第2実施形態にかかる車両用記録装置20と第1実施形態にかかる車両用記録装置10との差異は、取付部18に、スライド部181が備えられている点である。スライド部181は、本体部11の撮影向きを維持しながら本体部11を紙面の左右である前後方向にスライド可能な部材である。
 
【0053】
  図7に示すように、第一の配置となっている状態において、スライド部181をスライドさせることで、表示部12の前端部(紙面左方向の端部)を、ウィンドシールド500により近接させることができる。表示部12の前端部をウィンドシールド500により近接させることで、表示部12とウィンドシールド500との間の隙間を少なくすることができ、ダッシュボード400等からの反射光をさらに遮ることができる。このため、第一の配置となっている状態で表示部12をウィンドシールド500に近接させた状態で記録を行うことで、外光の入射による映り込みをさらに抑制することができる。
 
【0054】
  図8は、本発明の第3実施形態にかかる車両用記録装置30の状態例および構成を模式的に示した図である。第3実施形態においては、スライド部181の有無は問わない。第3実施形態にかかる車両用記録装置30と第1実施形態にかかる車両用記録装置10との差異は、第一の配置となる表示部12の角度が、カメラ14の画角に合わせてカメラ14の撮影範囲に入らない位置として設定されている点である。
 
【0055】
  図8に示すように、カメラ14の縦方向の画角を画角Sとした場合、画角Sに表示部12が入らない位置が第一の配置として定義される。この場合、回動部13は表示部12がカメラ14の画角Sに入る位置まで回動しないように回動を制限してもよい。このため、第一の配置となっている状態で記録を行うことで、外光の入射による映り込みを抑制するとともに、表示部12がカメラ14の撮影範囲に入ってしまうことを防止することができる。また、第3実施形態においても第2実施形態と同様に取付部18にスライド部181を備え、第一の配置となっている状態で表示部12をウィンドシールド500に近接させることで、外光の入射による映り込みをさらに抑制することができる。
 
【0056】
  図9から
図11は、本発明の第4実施形態にかかる車両用記録装置50の車両1に対する設置例を模式的に示した図である。
図9は車両用記録装置50が第三の配置となっている状態を示している。
図10は車両用記録装置50が第二の配置となっている状態を示している。
図11は車両用記録装置50が第一の配置となっている状態を示している。本発明の第4実施形態にかかる車両用記録装置50は、その構造が他の実施形態にかかる車両用記録装置と異なるが、
図3に示す構成および
図6に示す処理などは同一である。
 
【0057】
  第4実施形態にかかる車両用記録装置50の構成は、他の実施形態にかかる車両用記録装置と実質同一である。第4実施形態にかかる車両用記録装置50の本体部51は他の実施形態にかかる車両用記録装置の本体部11に該当し、側面から見た形状が縦長形状であることが異なる。表示部52、表示面521および裏面522は表示部12、表示面121および裏面122に該当する。カメラ54、制御部55および取付部58は、カメラ14、制御部15および取付部18に該当する。回動部53は、回動部13に該当し、回動部53はスライド部581により表示部52をスライド可能である。
 
【0058】
  第三の配置と第二の配置との間の推移は、回動部53で表示部52を回動させる。第二の配置と第一の配置との間の推移は、回動部53で表示部52を回動させるとともに、スライド部581で表示部52をスライドさせる。図示しないが、取付部58には第2実施形態にかかる車両用記録装置20同様にスライド部を設けてもよい。また、第3実施形態にかかる車両用記録装置30同様に、カメラ54の画角に表示部52が入らない角度に第一の配置が設定されていてもよい。
 
【0059】
  このような構成とすることで、前後方向に薄く構成した車両用記録装置50であっても、他の実施形態と同様の効果を得ることができる。
 
【0060】
  なお、本発明は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
 
【0061】
  例えば、第2実施形態において、スライド部181を追加することにより本体部11を前後にスライドさせることで、表示部12をウィンドシールド500に近接させる構成としたが、表示部12をウィンドシールド500に近接させるための構成を本体部11と回動部13との間に設けても、同様の効果を得ることができる。
 
【0062】
  また、表示部12が第二の配置となっている場合、タッチパネルとして機能する表示部12のタッチ検出面の全面またはほぼ全面におけるタッチ検出が、撮影開始および映像データの記録開始を指示する検出面としてもよい。この場合、第二の配置の状態からタッチパネルとして機能している表示面121をユーザが押しながら第一の配置とすることで、タッチパネルへのタッチが検出され、撮影制御部151が記録を開始する第一の配置においては、表示部12の情報表示有無に関わらず、タッチパネルの検出は継続してもよい。このような処理では、第一の配置となるように表示部12を回動させる動作によって記録も開始させるため、ユーザの判断による記録動作をより適切に行うことが可能となる。
 
【0063】
  また、第一の配置においてウィンドシールド500に近接する表示部12の端部に、保護部材が備えられてもよい。保護部材は、車両1の走行等に基づく振動で表示部12の端部がウィンドシールド500に当たった場合であっても表示部12および車両用記録装置10の破損を防止または抑制できるような弾力性のある部材であることが好ましい。さらには、第一の配置において表示部12の端面とウィンドシールド500との間の隙間からの光の透過を防止または抑制する遮蔽部材を表示部12の端部に備えていてもよい。遮蔽部材は、例えば黒色や光の透過が少ない柔軟性のある素材であることが好ましい。