(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記係止溝の底面を前記支持部の上面で支持することにより、前記被支持部が前記支持機構に支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の棚装置の支持構造。
前記第一支持片及び前記第二支持片が前記縮み状態であるときの前記第一支持片及び前記第二支持片の全体としての前記幅方向の長さは、前記係止溝の前記開口の前記幅方向の長さよりも短いことを特徴とする請求項6又は7に記載の棚装置の支持構造。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る什器システムの一実施形態を、
図1から
図9を参照しながら説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の什器システム6は、テーブル(什器)1、棚装置70、及び、本実施形態の棚装置の支持構造2(以下、支持構造2とも略称する)を備える。
【0022】
テーブル1は、上面が作業面10aとされた天板集合体10と、床面F上に載置され天板集合体10の下面を支持する脚部(支持体)20と、作業面10aから天板集合体10の内部側へと広がるように形成された配線挿通部(物品収容空間)50と、配線挿通部50の開口50aに着脱可能に取付けられる配線カバー60とを備えている。なお、
図2では天板集合体10等を仮想線で示している。
【0023】
この例では、天板集合体10は平面視で矩形状に形成されている。天板集合体10の長辺は、ワーカー等である使用者が、天板集合体10を使用する側の縁部である使用縁部10b、10cとなっている。すなわち、複数の使用者は、不図示の椅子などに着座した状態で天板集合体10の使用縁部10b、10cに沿って並び、作業面10a上で作業を行うことになる。このように、テーブル1はいわゆる対面式のテーブルである。
以下では、使用縁部10b、10cに平行な方向を左右方向(一方向)X、天板集合体10の短辺10dに平行な方向を奥行方向Yと称する。これら左右方向X及び奥行方向Yは、作業面10aに平行であるとともに、互いに直交する方向である。
使用縁部10b、10cは、左右方向Xに延びる。
テーブル1は、奥行方向Yの中央に規定される基準面S6に対して、面対称となるように形成されている。
【0024】
天板集合体10は、平面視で矩形状の4枚の天板11、12、13、14を有している。天板11、12、13、14の下面の所定位置には、図示しないナットが埋め込まれている。
天板11、12、13、14は、各2枚の天板11、12、及び、天板13、14が左右方向Xの端面を突き合せて、奥行方向Yの幅を一定にした連続した机上面を形成している。これらの連続した机上面を形成する2組の天板の対(以下、「天板集合体15、16」と称する。)が奥行方向Yの中央部に隙間S1を挟んで対向して配置されるようになっている。この隙間S1は、前述の配線挿通部50の開口50aとなっている。
天板集合体15、16は、左右方向Xに延びる辺が互いに平行になるように対向配置され、隙間S1は左右方向Xに沿って連続している。
【0025】
天板11、12、13、14における開口50aを構成する縁部11a、12a、13a、14aは、左右方向Xに延びる。天板11、13は、配線挿通部50を挟んで奥行方向Yに並べて配置されている。同様に、天板12、14は、配線挿通部50を挟んで奥行方向Yに並べて配置されている。
例えば、支持構造2は、天板11、12、13、14の配線挿通部50寄りの縁部11a、12a、13a、14aに取付けて使用される。
以下では、支持構造2が天板12の縁部12aに取付けられる場合で説明する。しかし、支持構造2が取付けられる天板は天板12に限られず、天板11、13、14でもよい。支持構造2が取付けられる天板12の縁部は、天板12における縁部12a以外の縁部でもよい。
【0026】
脚部20は、左右方向Xの両端部に配置される一対の脚体ユニット21と、その一対の脚体ユニット21の上部同士を連結する一対の外側連結杆22、一対の内側連結杆23と、を備えている。この実施形態では、一対の脚体ユニット21の間に中間脚24が配置され、中間脚24の上部に中継ユニット25が設けられている。
外側連結杆22は、脚部20の奥行方向Yの両側の端部に左右方向Xに沿うように平行に配置され、天板集合体10の天板集合体15、16の奥行方向Yの外側縁部を下方から支持するようになっている。この実施形態の場合、各外側連結杆22は、一対の金属製の角管部材22a、22bが中継ユニット25を介して一体に連結され、全体が左右方向Xに沿って直線状に延出している。
【0027】
内側連結杆23は、脚部20の奥行方向Yの中央部に外側連結杆22と平行になるように配置され、天板集合体10の天板集合体15、16の奥行方向Yの各内側縁部を下方から支持するようになっている。内側連結杆23同士は、奥行方向Yに所定距離離間して配置されている。この実施形態の場合、各内側連結杆23は、一対の金属製の角管部材23a、23bが中継ユニット25を介して一体に連結され、全体が左右方向Xに沿って直線状に延出している。
【0028】
脚体ユニット21は、床面F上に載置されて、左右方向X及び奥行方向Yにそれぞれ直交する上下方向Zに延出する2本の脚本体部28と、奥行方向Yに沿って延出して脚本体部28の上部同士を連結する横梁部29とを備えている。各脚本体部28は、金属製の角パイプによって主要部を構成され、その角パイプの上下の端部にエンドプレートが溶接固定されている。
横梁部29は、プレス成形された2枚の金属プレートが組み合わされ、その主要部が筒状に形成されている。横梁部29の長手方向の両端部は、脚本体部28の各上部側面に溶接固定されている。こうして、2本の脚本体部28の上部に横梁部29が連結された脚体ユニット21は、左右方向Xから見た側面視が門型状(開口側が下方を向くコ字形状)となっている。
横梁部29の左右方向Xの外側面には、奥行方向Yに沿って延出する凹状段部29aが形成されている。凹状段部29aにはカバー部材30が脱着可能に取付けられている。
【0029】
横梁部29の左右方向Xの内側における上部コーナ部分には、凹状に窪む段差部31が奥行方向Yに沿って連続して設けられている。この段差部31には、外側連結杆22の角管部材22a、22bの左右方向Xの外側端部を結合するための金属製の支持アーム32と、内側連結杆23の角管部材23a、23bの左右方向Xの外側端部を結合するための金属製の支持アーム33とが溶接固定されている。
【0030】
中間脚24は、フレーム枠に金属プレートが接合されてパネル状に形成されている。中間脚24の上端部には、前述の中継ユニット25が一体に取付けられている。中継ユニット25は、奥行方向Yに延出する角筒状のステー36の左右方向Xの両側の側面に、外側連結杆22の角管部材22a、22bの左右方向Xの内側端部を結合するための金属製の支持アーム37と、内側連結杆23の角管部材23a、23bの左右方向Xの内側端部を結合するための金属製の支持アーム38とが溶接固定されている。
支持アーム32、33、37、38の各上面には、天板集合体15、16のナットに対応する位置にボルト挿通孔(符号省略)が穿設されている。
【0031】
外側連結杆22の各角管部材22aは、一方の脚体ユニット21の支持アーム32と中継ユニット25の一方の側面の支持アーム37とに架設されている。各角管部材22bは、他方の脚体ユニット21の支持アーム32と中継ユニット25の他方の側面の支持アーム37とに架設されている。
同様に、内側連結杆23の各角管部材23aは、一方の脚体ユニット21の支持アーム33と中継ユニット25の一方の側面の支持アーム38とに架設され、各角管部材23bは、他方の脚体ユニット21の支持アーム33と中継ユニット25の他方の側面の支持アーム38とに架設されている。
【0032】
天板集合体15、16は、両者の間に隙間S1を設けるようにして、脚部20の上部に載置されている。そして、支持アーム32、33、37、38のボルト挿通孔、及び天板集合体15、16のナットに図示しない締結ボルトを挿入することで、脚部20に天板集合体15、16が締結固定されている。
【0033】
図2及び
図3に示すように、両角管部材23aの間、及び両角管部材23bの間には、底部材51が溶接等によりそれぞれ固定されている。なお、
図3では、後述するカバー本体61内を簡略化して示している。底部材51は、例えば、金属製の板材を中空の板状に折り曲げて構成することができる。底部材51には、上下方向Zに貫通する透孔51aが形成されている。
底部材51、角管部材23a、23b、及び天板集合体10で、前述の配線挿通部50が構成されている。配線挿通部50は、後述する配線Cやコンセント等の物品を収容するための空間である。
各底部材51における左右方向Xの両端部には、カバー支持部材54がそれぞれ固定されている。以下では、基準面S6に対する天板12側(奥行方向Yの第二の向き)を前方Y1、天板12に対する基準面S6側(奥行方向Yの第一の向き)を後方Y2と呼ぶ。
カバー支持部材54は、
図3に示すように、底部材51に固定されたベース55と、ベース55から奥行方向Yに互いに離間するように上方に延びる腕部56、57とを有している。腕部56は、腕部57よりも後方Y2に配置されている。腕部56の上端部には、左右方向Xに延びるボス56aが設けられている。
【0034】
配線カバー60では、平板状に形成されたカバー本体61の後方Y2の縁部の下面にフック部62が設けられている。
カバー本体61における前方Y1の縁部には、ゴムなどの柔軟な材料で形成されたヒレ63が取付けられている。
配線カバー60は、カバー支持部材54のボス56aにフック部62を係合させるとともに腕部57上にカバー本体61を載置したときに、カバー本体61が奥行方向Yにほぼ平行に配置される。このとき、配線カバー60が配線挿通部50の開口50aの一部を塞いだ状態となる。配線カバー60は、左右方向Xに延びるように開口50aに配置される。
なお、ヒレ63は、天板集合体15、16の側面に近接もしくは当接して配置されている。
【0035】
一方で、ボス56aとフック部62との係合を維持しつつ、ヒレ63が上方に移動するように配線カバー60をボス56a周りに回動させると、配線カバー60は位置Q1に移動する。このように、カバー支持部材54に配線カバー60を係合させた状態で、配線カバー60を回動させて開けることができようになっている。
【0036】
詳細に図示はしないが、前述の床面Fや壁面に設けられたコンセントに接続された配線Cは、底部材51の透孔51aを通して配線挿通部50内に配置される。そして、天板12上に配置された不図示の電子機器等の左右方向Xの位置に応じてヒレ63を変形させることで、配線カバー60のカバー本体61と天板12との間から上方に引き出され、前述の電子機器等に接続される。
【0037】
次に、棚装置70について説明する。
図3及び
図4に示すように、棚装置70は、水平面に沿って延びる棚板71と、棚板71の後方Y2の端部から上方に延びる背板72とを有する。棚板71及び背板72は、金属板や樹脂等で一体に形成されている。棚板71の上面は、物品を載置するための載置面71aである。
【0038】
次に、支持構造2について説明する。
支持構造2は、レール(被支持部)75、及び複数の支持機構85を有する。
レール75は、基板77と、基板77の奥行方向Yの各端部から下方に延びる一対の垂下片78と、各垂下片78の下端部から互いに近づくように奥行方向Yに沿って延びる一対の内向き凸片79、とを有する。すなわち、一対の垂下片78の一方の下端部に設けられた内向き凸片79は、一対の垂下片78の他方の下端部に向かって延びる。一対の垂下片78の他方の下端部に設けられた内向き凸片79は、一対の垂下片78の一方の下端部に向かって延びる。
基板77、一対の垂下片78、及び一対の内向き凸片79は、左右方向Xに延びるように形成されている。このように構成されたレール75は、左右方向Xに延びる。
図4に示すように、この例では、内向き凸片79は、左右方向Xに3つの小片79aに分かれている。すなわち、左右方向Xに隣り合う小片79aの間には、隙間S2が形成されている。
【0039】
図3及び
図4に示すように、一対の内向き凸片79の下面は、レール75の下面である。レール75の内部空間が、係止溝(被支持部)80である。係止溝80は、レール75の下面に左右方向Xに延びるように形成される。係止溝80は、レール75を左右方向Xに貫通している。係止溝80がレール75を左右方向Xに貫通していることで、レール75の左右方向Xの各端に、端部開口80bが形成されている。
係止溝80の幅方向は、奥行方向Yとなる。係止溝80の底面は、基板77の下面となる。係止溝80におけるレール75の下面に形成された開口は、一対の内向き凸片79間に形成される下面開口(開口)80aである。係止溝80の下面開口80aの縁部は、一対の内向き凸片79である。
係止溝80は、蟻溝状である。すなわち、係止溝80は、基板77の下面寄りの奥行方向Yの長さL1よりも、係止溝80の下面開口80aの奥行方向Yの長さL2の方が短い。
【0040】
このように構成されたレール75は、溶接等により棚装置70の棚板71の下面に取付けられる。
【0041】
支持機構85は、天板12の縁部12aを把持する把持部(固定部)86と、把持部86から上方に延びる支柱(柱状部)87と、支柱87の上端部に取付けられた支持部88と、を有する。なお、支持部88は、後述するようにレール75に固定された固定状態と、レール75に対して左右方向Xに移動可能な移動状態と、に切替え可能な固定機構を兼ねる。
図3に示すように、把持部86は、左右方向Xに見たときにC形状のクランプ部材90と、クランプ部材90に嵌め合う締付けネジ91と、を有する。
クランプ部材90は、上片93及び下片94が垂直片95により連結されて構成されている。上片93には、皿ネジの頭部に係合する係合孔93aが形成されている。上片93の下面には、ゴムシート等の弾性部材96が貼付けられていることが好ましい。
下片94には、上下方向Zに延びる雌ネジ94aが形成されている。
【0042】
締付けネジ91は、外周面に雄ネジ(符号省略)が形成されたネジ部98と、ネジ部98の上端部に固定された回動摘み99と、を備えている。ネジ部98の雄ネジは、クランプ部材90の雌ネジ94aに螺合されている。回動摘み99は、下片94よりも上方に配置されている。
【0043】
このように構成された把持部86は、以下のようにして天板12の縁部12aに取付けられる。予め、弾性部材96と回動摘み99との距離を、天板12の厚さよりも長くしておく。
使用者は、弾性部材96の下面を天板12の作業面10aに接触させる。回動摘み99を指等で摘み、締付けネジ91をネジ部98の軸線周りの第一の向きに回転させ、クランプ部材90に対して締付けネジ91を上方に移動させる。弾性部材96と回動摘み99とで天板12を上下方向Zに挟むことで、天板12の縁部12aに把持部86を取付ける。
一方で、締付けネジ91を軸線周りの第二の向きに回転させ、クランプ部材90に対して締付けネジ91を下方に移動させる。弾性部材96と回動摘み99との上下方向Zの距離が広がり、天板12の縁部12aから把持部86が取外される。
後述する障害物がない限り、把持部86は、天板12の縁部12aに対して左右方向Xにおける任意の位置で取付け可能である。
【0044】
支柱87は、角筒状に形成され上下方向Zに延びるように配置されている。支柱87の下端部における筒孔内には、板状のネジ座101が固定されている。ネジ座101には、上下方向Zに延びる雌ネジ101aが形成されている。
皿ネジ102をクランプ部材90の係合孔93aに挿入し、ネジ座101の雌ネジ101aに嵌め合わせることで、クランプ部材90の上片93に支柱87の下端部が固定される。クランプ部材90に取付けられた支柱87は、把持部86から立設する。
【0045】
図5から
図7に示すように、支持部88は、受け具(受け部材)105、内側押え板(第一支持片)106、外側押え板(第二支持片)107、及び固定ネジ(付勢部材)108を備えている。なお、内側押え板106及び外側押え板107で、後述するように係止溝80に対して支持部88が下方に移動するのを規制する抜止め部材109を構成する。
図5から
図7は、受け具105及び内側押え板106に対して外側押え板107が後方Y2に移動して、押え板106、107が伸び状態であるときの構成を示す。
受け具105は、水平面に沿って配置された基板110と、基板110の左右方向Xの各端部から下方に延びる一対の側板111とを有している。基板110は、平面視で奥行方向Yに長い矩形状である。基板110における前方Y1の端部の下面には、支柱87の上端部が溶接等により固定されている。すなわち、受け具105は、支柱87(把持部86)に設けられている。
【0046】
内側押え板106は、水平面に沿って配置された内基板113と、内基板113の左右方向Xの各端部から上方に延びる一対の内側板114と、内基板113の上面に固定されたナット115と、を有している。
内基板113は、平面視で奥行方向Yに長い矩形状である。内基板113の前方Y1の端部には、支柱87が挿入される角孔113aが形成されている。内基板113における角孔113aよりも後方Y2には、丸孔113bが形成されている。この丸孔113bに連通するように、内基板113の上面にナット115が溶接等により固定されている。一対の内側板114の外面間の距離は、受け具105の一対の側板111の内面間の距離よりも短い。
内側押え板106の一対の内側板114は、受け具105の一対の側板111の間に配置される。内側押え板106の内基板113は、受け具105の基板110よりも下方に配置されている。
【0047】
後述するように、角孔113a内に支柱87が挿入された内側押え板106は、支柱87(把持部86)に設けられるとともに、支柱87に対して上下方向Zに沿って移動可能である。
【0048】
外側押え板107は、水平面に沿って配置された外基板117と、外基板117の左右方向Xの各端部から上方に延びる一対の外側板118と、外基板117に形成された切欠き117aの左右方向Xの各縁部から上方に延びる一対の突片119と、を有する。
外基板117は、平面視で奥行方向Yに長い矩形状である。外基板117の前方Y1の端には、切欠き117aが形成されている。切欠き117aは、平面視で矩形状である。切欠き117aの奥行方向Yの長さは、支柱87の奥行方向Yの長さに等しいか、この長さよりも長い。切欠き117aの左右方向Xの長さは、支柱87の左右方向Xの長さよりも長い。
外基板117における切欠き117aよりも後方Y2には、長孔117bが形成されている。長孔117bは、左右方向Xの長さよりも奥行方向Yの長さの方が長い。
【0049】
一対の外側板118の内面間の距離は、受け具105の一対の側板111の外面間の距離よりも長い。
各突片119は、切欠き117aの前方Y1の端から後方Y2に延びている。各突片119の後方Y2の端には、後方Y2に突出する係止片120が形成されている。突片119及び係止片120の全体としての奥行方向Yの長さは、切欠き117aの奥行方向Yの長さよりも短い。一対の突片119の内面間の距離、及び一対の係止片120の内面間の距離は、支柱87の左右方向Xの長さよりも長い。一対の突片119の外面間の距離、及び一対の係止片120の外面間の距離は、切欠き117aの左右方向Xの長さよりも短い。
【0050】
図6に示すように、上下方向Zにおいて、外基板117と係止片120との間には、隙間S3が形成されている。隙間S3は、内側押え板106の内基板113の厚さにほぼ等しい(等しいも含む)。
伸び状態であるときの押え板106、107は、外側押え板107の隙間S3に内側押え板106の内基板113、すなわち角孔113aの後方Y2の縁部が挿入される。外側押え板107の外基板117と係止片120との間に内側押え板106の内基板113が挟まれて、外側押え板107に対して内側押え板106が上下方向Zに移動できなくなる。言い換えれば、内側押え板106及び外側押え板107は、上下方向Zに一体になる。
【0051】
図5から
図7に示すように、外側押え板107の一対の外側板118は、受け具105の一対の側板111を挟むように配置される。外側押え板107の一対の突片119及び一対の係止片120は、支柱87を挟むように配置される。外側押え板107の外基板117は、内側押え板106の内基板113よりも下方に配置されている。
外側押え板107は、受け具105及び内側押え板106よりも後方Y2に突出している。受け具105及び内側押え板106は、外側押え板107よりも前方Y1に突出している。伸び状態であるときの内側押え板106及び外側押え板107の全体としての奥行方向Yの長さL4(
図5参照)は、係止溝80の下面開口80aにおける長さL2よりも長く、係止溝80の基板77の下面寄りの長さL1以下である。受け具105、内側押え板106、及び外側押え板107の全体としての上下方向Zの長さは、レール75の基板77と内向き凸片79との距離以下である。
なお、後述する押え板106、107の伸び状態と縮み状態とを切替えるときに、外側押え板107を、受け具105及び内側押え板106に対して奥行方向Yに移動させる。
【0052】
固定ネジ108は、外周面に雄ネジ(符号省略)が形成されたネジ部122と、ネジ部122の下端部に固定された回動摘み123と、を有する。ネジ部122は、外側押え板107の長孔117b、及び内側押え板106の丸孔113bに挿入されるとともに、ナット115に嵌め合わせられている。
ネジ部122は、長孔117bの前方Y1の端部に配置されている。
支持部88は、支柱87を介して把持部86に設けられている。
なお、受け具105が内側押え板106よりも前方Y1に突出しないように構成してもよい。
【0053】
図8は、押え板106、107が縮み状態であるときの状態を示す。縮み状態である押え板106、107は、伸び状態である押え板106、107において、内側押え板106に対して外側押え板107が前方Y1に移動した状態である。
外側押え板107の切欠き117aの後方Y2の縁部が、支柱87に係止している。ネジ部122は、長孔117bの後方Y2の端部に配置されている。
この縮み状態においても、外側押え板107は、受け具105及び内側押え板106よりも後方Y2に突出している。受け具105及び内側押え板106は、外側押え板107よりも前方Y1に突出している。縮み状態であるときの内側押え板106及び外側押え板107の全体としての奥行方向Yの長さL5は、係止溝80の下面開口80aにおける奥行方向Yの長さL2よりも短い。押え板106、107を縮み状態にすることで、使用者は、レール75に対して支持部88を左右方向Xに移動してレール75から支持部88を取外すだけでなく、レール75に対して支持部88を係止溝80の下面開口80aを通して下方に移動しても、レール75から支持部88を取外すことができる。
【0054】
この縮み状態では、外側押え板107の隙間S3から内側押え板106の内基板113が外れるため、内側押え板106に対して外側押え板107を下方に移動させることで、内側押え板106から外側押え板107を取外すことができる。言い換えれば、内側押え板106及び外側押え板107は、上下方向Zに分離可能(別体)になる。
【0055】
このように、外側押え板107は、内側押え板106に対して奥行方向Yに相対的に移動可能である。
内側押え板106及び外側押え板107の全体としての奥行方向Yの長さは、縮み状態であるときの押え板106、107に比べて伸び状態であるときの押え板106、107の方が比較的長くなる。
【0056】
図3及び
図4に示すように、受け具105、及び伸び状態であるときの押え板106、107は、レール75の係止溝80内に配置される。固定ネジ108は、係止溝80から下方に突出する。すなわち、本実施形態では、支持部88における固定ネジ108以外の構成である受け具105及び押え板106、107が、係止溝80内に配置されている。固定ネジ108の回動摘み123が、係止溝80の外部に突出している。
なお、固定ネジ108全体が係止溝80内に配置されるように構成してもよい。
【0057】
内側押え板106の前方Y1の端部が、前方Y1の内向き凸片79に接触する。外側押え板107の後方Y2の端部が、後方Y2の内向き凸片79に接触する。伸び状態であるときの押え板106、107が、一対の内向き凸片79の上面に係止することで、係止溝80に対して押え板106、107が下方に移動するのが規制される。すなわち、支持部88は、押え板106、107により係止溝80に対して下方に移動するのが規制される。
使用者が、固定ネジ108の回動摘み123を摘み、固定ネジ108をネジ部122の軸線周りの第一の向きに回転させ、固定ネジ108を上方に移動させる。ネジ部122がナット115から上方に突出し、受け具105の下面に接触する。さらに、固定ネジ108を第一の向きに回転させると、固定ネジ108により受け具105に対して、内側押え板106、及び内側押え板106と上下方向Zに一体になった外側押え板107が下方に付勢される。
【0058】
押え板106、107は、一対の内向き凸片79の上面(係止溝80の内面)に押付けられる。受け具105は、レール75の基板77の下面に押付けられる。このとき、レール75の基板77と受け具105との間に生じる摩擦力、及び一対の内向き凸片79と押え板106、107との間に生じる摩擦力により、支持部88がレール75(係止溝80)に対して固定された固定状態になる。係止溝80の底面を支持部88の上面で支持することにより、レール75が支持機構85に支持される。
内側押え板106の前方Y1の端部、外側押え板107の後方Y2の端部、及び受け具105の3カ所で支持部88がレール75により支持されることで、支持部88がレール75に確実に固定される。
【0059】
一方で、固定ネジ108を第二の向きに回転させ、固定ネジ108による付勢を解除すると、基板77と受け具105との間に生じる摩擦力、及び一対の内向き凸片79と押え板106、107との間に生じる摩擦力が弱くなるか無くなる。支持部88が、レール75(係止溝80)に対して左右方向Xに移動可能な移動状態になる。
このように、支持部88は、固定ネジ108を調節することで移動状態と固定状態とに切替え可能な固定機構を兼ねる。
支持部88は、レール75に対して左右方向Xにおける任意の位置で取付け可能である。
【0060】
図1及び
図4に示すように、本実施形態の棚装置70のレール75には、3つの支持機構85が取付けられている。3つの支持機構85は、左右方向Xに並べて配置されている。
なお、レール75に取付けられる支持機構85の数に制限はなく、1つでもよいし、2つ、4つ以上でもよい。
【0061】
このように構成された支持構造2の組立方法は、以下の手順となる。
作業者は、受け具105が取付けられた支柱87を用意する。この支柱87には、また把持部86は取付けられていない。
内側押え板106の角孔113aに支柱87を支柱87の下部から挿入する。内側押え板106の角孔113aに、外側押え板107の一対の突片119及び一対の係止片120を内側押え板106の下方から通す。このとき、押え板106、107は縮み状態になる。支柱87に把持部86を取付ける。以上の工程で、支持機構85が完成する。この支持機構85を例えば3つ用意する。
各支持機構85の支持部88を、係止溝80の下面開口80aを通してレール75内に挿入する。押え板106、107を伸び状態にし、レール75に対して支持部88を左右方向Xの所望の位置に配置する。
固定ネジ108を調節して支持部88を固定状態にして、レール75に支持機構85を固定する。
【0062】
次に、以上のように構成され製造された支持構造2を、左右方向Xにおいて天板12の縁部12aの所望の位置に棚装置70を配置した状態で天板12に取付ける手順について説明する。この例では、天板12に把持部86を取付ける際の障害物が、
図1に示す横梁部29であるとする。横梁部29は、テーブル1の天板12の下面に設けられる。なお、障害物には、
図1に示す中間脚24のステー36もなり得る。天板よりも下方に配置されたものも、障害物になり得る。
予め、レール75に棚装置70を取付けておく。作業者は、まず、各支持機構85の固定ネジ108を調節して支持部88を移動状態にする。各支持機構85の支持部88を、係止溝80の下面開口80aを通してレール75から取外す。
【0063】
図1及び
図3に示すように、横梁部29を避けて天板12の縁部12aに各支持機構85の把持部86を取付ける。すなわち、把持部86により天板12の縁部12aの左右方向Xの任意の位置に支持機構85を取付ける。
次に、左右方向Xにおいて天板12の所望の位置に棚装置70を配置した状態で、各支持機構85の支持部88にレール75を取付ける。例えば、天板12の左右方向Xの端と棚装置70の左右方向Xの端とを一致させた状態で、各支持機構85にレール75を取付ける。このとき、レール75の下面開口80aを通して係止溝80内に支持部88を挿入する。この状態で、各支持機構85の固定ネジ108を調節して支持部88を固定状態にして、レール75に対して支持部88を固定する。すなわち、支持部88によりレール75の左右方向Xの任意の位置に支持機構85を取付ける。
以上の手順で、棚装置70の左右方向Xの位置を調節して、天板12に棚装置70を取付ける。
【0064】
なお、本実施形態では、把持部86は天板12の縁部12aに対して左右方向Xにおける任意の位置で取付け可能であるとしたが、把持部86は天板12の縁部12aに対して左右方向Xにおける複数の異なる位置で取付け可能であるとしてもよい。天板12に設けられている障害物により天板12に把持部86が取付けられる位置が左右方向Xに有限である場合が、このケースに該当する。
支持部88はレール75(係止溝80)に対して左右方向Xにおける任意の位置で取付け可能であるとしたが、支持部88はレール75に対して左右方向Xにおける複数の異なる位置で取付け可能であるとしてもよい。
この場合、把持部86により天板12の縁部12aに対する複数の左右方向Xに異なる位置のうちの任意の位置に支持機構85を取付ける。支持部88によりレール75に対する複数の左右方向Xに異なる位置のうちの任意の位置に支持機構85を取付ける。これにより、天板12に支持構造2を取付ける。
【0065】
レール75から各支持機構85が取外されている状態で、天板12の縁部12aに支持機構85を取付けた後で、レール75の端部開口80bを通して係止溝80内に支持部88を挿入してもよい。
また、以下のように、レール75から各支持機構85を着脱することなく、天板12に支持構造2を取付けてもよい。
まず、レール75に各支持機構85が固定された支持構造2において、各支持機構85の固定ネジ108を調節して、支持部88を移動状態にする。横梁部29を避けるように天板12の縁部12aに各支持機構85の把持部86を取付ける。このとき、必要に応じてレール75に対して支持機構85を左右方向Xに移動させる。これにより、天板12に各支持機構85が取付けられる。
次に、左右方向Xにおいて所望の位置に棚装置70を移動させる。例えば、天板12の左右方向Xの端と棚装置70の左右方向Xの端とを一致させる。この状態で、固定ネジ108を調節して支持部88を固定状態にして、レール75に対して支持部88を固定する。
以上の手順で、棚装置70の左右方向Xの位置を調節して、天板12に棚装置70を取付ける。
【0066】
載置面71aに載置する物品に左右方向Xに質量の偏りがある場合には、重い物品を支持する棚板71の部分の下方に支持機構85が集まるように、支持機構85の左右方向Xの位置を調節してもよい。
この場合、位置を調節する支持機構85の支持部88を移動状態にする。把持部86の締付けネジ91を軸線周りの第二の向きに回転させて緩める。支持機構85を左右方向Xに移動し、位置を調節する。移動した支持機構85の締付けネジ91を第一の向きに回転させて上方に締付ける。支持部88を固定状態にして、移動した支持機構85を天板12及びレール75に固定する。
【0067】
棚装置70の位置を再調節する場合は、例えば、各支持機構85の支持部88を移動状態にするとともに、押え板106、107を縮み状態にする。棚装置70を上方に移動させ、レール75の下面開口80aを通して各支持機構85の支持部88を取外す。天板12から各支持機構85の把持部86を取外す。
前述の手順で棚装置70の左右方向Xの位置を再調節して、天板12に棚装置70を取付ける。
【0068】
以上説明したように、本実施形態の棚装置70の支持構造2によれば、例えば、レール75に棚装置70を取付けておく。天板12に把持部86を取付け可能な複数の位置、及び、係止溝80に支持部88を取付け可能な複数の位置から、把持部86が障害物を避けるとともに、左右方向Xにおいて天板12の所望の位置に棚装置70が配置されるように、天板12に把持部86を取付ける位置、及び、係止溝80に支持部88を取付ける位置を選ぶ。選んだ位置になるように天板12に把持部86を取付け、係止溝80に支持部88を取付ける。
したがって、左右方向Xにおいて天板12の縁部12aの所望の位置に棚装置70を配置した状態で、天板12に棚装置70を取付けることができる。
【0069】
支持構造2は、3つの支持機構85を左右方向Xに並べた状態で備える。このため、棚装置70を左右方向Xにより安定的かつ強固に支持することができる。
係止溝80の底面を支持部88の上面で支持しているため、支持部88の上面でレール75をより安定的かつ強固に支持することができる。
支持機構85が、支柱87を有する。これにより、棚装置70における物品を載置する位置をより上方に調節することができる。
【0070】
係止溝80が蟻溝状であるとともに、支持部88は抜止め部材109を有する。したがって、抜止め部材109により、係止溝80に対して支持部88が下方に移動するのを確実に規制することができる。
抜止め部材109は内側押え板106及び外側押え板107を有し、押え板106、107は伸び状態と縮み状態とに切替え可能である。このため、押え板106、107の全体としての奥行方向Yの長さに応じて、押え板106、107が上下方向Zに一体になるか、分離可能になるかを切替えることができる。
【0071】
支持部88は、受け具105及び固定ネジ108を有する。押え板106、107が伸び状態であり押え板106、107が上下方向Zに一体になったときに、固定ネジ108により押え板106、107を下方に付勢することで、係止溝80に支持部88を固定することができる。
縮み状態であるときの押え板106、107の全体としての奥行方向Yの長さL5は、係止溝80の下面開口80aにおける奥行方向Yの長さL2よりも短い。押え板106、107が縮み状態であるときに、係止溝80の下面開口80aを通してレール75から支持部88を取外すことができ、レール75からの支持機構85の取外しが容易になる。
【0072】
固定ネジ108の回動摘み123が係止溝80の外部に突出していることで、使用者が回動摘み123を摘みやすくなる。
支持部88を移動状態と固定状態とに切替えるのに、受け具105から押え板106、107、及び固定ネジ108を取外さずに行うことができる。このため、支持部88を移動状態と固定状態とに切替える際に、押え板106、107、及び固定ネジ108が無くなるのを防止することができる。
また、本実施形態の什器システム6によれば、左右方向Xにおいて天板12の縁部12aの所望の位置に棚装置70を配置した状態で天板12に棚装置70を取付けることができる。
【0073】
なお、
図9に示す支持構造3のように、本実施形態の支持構造2の支持機構85に代えて、支持機構130を備えてもよい。この支持機構130は、前述の支持機構85の支持部88に代えて支持部131を有している。
支持部131は、受け具132、固定部材133、及び前述の固定ネジ108を備えている。
受け具132は、水平面に沿って延びる板状に形成されている。受け具132の後端部には、上下方向Zに貫通する雌ネジ132aが形成されている。
固定部材133には、上面の前方Y1に第一段部133aが形成されている。第一段部133aには、上下方向Zに貫通する貫通孔133bが形成されている。
固定部材133には、下面の後方Y2に第二段部133cが形成されている。
【0074】
固定部材133の第一段部133aは、受け具132の後端部に係止されている。
固定ネジ108のネジ部122は、固定部材133の貫通孔133bに挿入されるとともに、第一の向きに回転されることで受け具132の雌ネジ132aに嵌め合わされている。固定部材133は、受け具132と固定ネジ108の回動摘み123とで上下方向Zに挟まれることで、受け具132に固定されている。
受け具132及び固定部材133の全体としての奥行方向Yの長さは、係止溝80の下面開口80aにおける長さL2よりも長く、係止溝80の基板77の下面寄りの長さL1以下である。
受け具132の前方Y1の端部が、前方Y1の内向き凸片79に接触する。固定部材133の第二段部133cが、後方Y2の内向き凸片79に接触する。受け具132から上方に突出したネジ部122がレール75の基板77の下面に接触し、レール75に対して受け具132及び固定部材133が下方に付勢される。これにより、支持部131がレール75に対して固定された固定状態になる。
【0075】
一方で、固定ネジ108を第二の向きに回転させ、レール75及び受け具132から固定部材133及び固定ネジ108を取外す。すると、受け具132(支持部131)がレール75に対して左右方向Xに移動可能な移動状態になる。
なお、レール75に対する支持機構130の左右方向Xの位置を調節するには、まず、支持部131を移動状態にする。
レール75に対する受け具132の左右方向Xの位置を調節する。位置を調節した受け具132に、固定部材133及び固定ネジ108を取付け、支持部131を固定状態にする。
【0076】
このように構成された本変形例の支持構造3によっても、固定ネジ108を調節することで、支持部131を移動状態と固定状態とに切替え可能である。
本変形例の支持部131は、支持部131を構成するのに必要な部品の数を、受け具132、固定部材133、及び固定ネジ108の3つに抑えることができる。
【0077】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、固定部は把持部86に限定されない。例えば、固定部として吸盤を用いてもよいし、天板12が金属で形成されている場合には磁石を用いてもよい。
【0078】
支持機構85が支柱87を備えず、把持部86に支持部88が直接接続されてもよい。
テーブル1が4枚の天板11、12、13、14を有するとしたが、テーブル1が有する天板の数は特に限定されず、1枚から3枚でもよいし、5枚以上でもよい。
什器がテーブル1であるとしたが、什器はこれに限定されず、机や棚等でもよい。