特許第6751388号(P6751388)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6751388
(24)【登録日】2020年8月18日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】歯垢検出のための機器及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/04 20060101AFI20200824BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20200824BHJP
   A61C 17/22 20060101ALI20200824BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20200824BHJP
【FI】
   A61C19/04 Z
   A61B10/00 E
   A61C17/22 Z
   G01N21/64 Z
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-516378(P2017-516378)
(86)(22)【出願日】2015年9月11日
(65)【公表番号】特表2017-534336(P2017-534336A)
(43)【公表日】2017年11月24日
(86)【国際出願番号】IB2015056975
(87)【国際公開番号】WO2016051300
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2018年9月7日
(31)【優先権主張番号】62/056,797
(32)【優先日】2014年9月29日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】フェルムーレン,オラフ トーマス ヨハン アントニー
【審査官】 胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/097045(WO,A1)
【文献】 特表2009−501579(JP,A)
【文献】 特開2013−009963(JP,A)
【文献】 特開2013−174530(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/097198(WO,A1)
【文献】 特開2012−128060(JP,A)
【文献】 特開2012−019929(JP,A)
【文献】 特表2004−526550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 19/04
A61B 10/00
A61C 17/22
G01N 21/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つの異なる波長の光を出力する際に使用するための3個のLEDを有し、評価部位へ波長変調光を出力するよう構成される光源であって、前記波長変調光は、特定の歯垢の吸収及び蛍光励起スペクトルのうちの1又は複数の非線形性に対応する波長の近くに中心のある周期的に変化する波長を有するよう波長変調周波数で変調され、前記特定の歯垢は、(i)前記特定の歯垢以外の歯垢、及び(ii)前記特定の歯垢以外の干渉種、のうちの1又は複数のスペクトル特性と異なるスペクトル特性を示す、光源と、
前記評価部位から受信される光を検出するよう構成される少なくとも1つの感光装置を有する光検出器であって、前記検出された光は、(i)部位反射光、及び(ii)部位放射光、のうちの1又は複数を有する、光検出器と、
前記光源及び前記光検出器に動作可能に結合され、シーケンス生成器を有する発光制御モジュールと、高調波成分検出モジュールと、を有する制御部と、
を有し、
前記シーケンス生成器は、前記特定の歯垢の前記吸収及び前記蛍光励起スペクトルのうちの1又は複数における前記非線形性に対応する前記波長の近くに中心のある前記周期的に変化する波長を有する、結果として生じる光出力を生成するために、前記3個のLEDの発光を順序付けるよう構成される少なくとも1つの発光制御信号を出力し、前記少なくとも1つの発光制御信号を介して前記波長変調光を出力するよう前記光源を制御し、
前記高調波成分検出モジュールは、(i)部位反射光を含む吸収スペクトル、及び(ii)部位放射光の中の蛍光放射を含む励起スペクトル、のうちの少なくとも1つに含まれる前記波長変調周波数の複数の異なる高調波成分を検出し、前記検出した複数の異なる高調波成分に対応する異なる種類の歯垢の存在を検出する、歯垢検出装置。
【請求項2】
さらに、前記高調波成分検出モジュールは、前記少なくとも1つの高調波成分を検出するよう並びに他の周波数で変調された信号を拒否するよう構成される少なくとも1つのロックイン増幅器を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記3個のLEDは、それぞれ狭スペクトル光を出力する青色LEDを有し、前記3つの異なる狭スペクトル光は、438nm、444nm、及び450nmを有する、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
さらに、前記3個のLEDは、前記3つの異なる狭スペクトル光の所要の範囲をカバーするのに十分な放射スペクトルを有し、前記光源は、それぞれ前記3個のLEDの出力にある3個の除去フィルタを更に有し、LED毎に1つの除去フィルタがあり、前記3個の除去フィルタの各々は、前記3つの異なる狭スペクトル光のうちのそれぞれ1つの通過帯域を有する、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記光検出器は、1つの帯域通過フィルタを更に有し、前記帯域通過フィルタは、前記特定の歯垢の前記吸収スペクトルにおける前記非線形性に対応する前記波長の近くに中心のある前記部位反射光の所望帯域を分離するとともに、部位反射光の他の帯域を拒否する通過帯域を有する、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
広帯域放射スペクトル固定波長光源と、前記広帯域放射スペクトル固定波長光源の出力に配置される可調フィルタと、を有する光源であって、可調フィルタは、異なる波長の間で前記可調フィルタの通過帯域を調節するよう動作し、前記光源は、評価部位へ波長変調光を出力するよう構成され、前記波長変調光は、特定の歯垢の吸収及び蛍光励起スペクトルのうちの1又は複数の非線形性に対応する波長の近くに中心のある周期的に変化する波長を有するよう波長変調周波数で変調され、前記特定の歯垢は、(i)前記特定の歯垢以外の歯垢、及び(ii)前記特定の歯垢以外の干渉種、のうちの1又は複数のスペクトル特性と異なるスペクトル特性を示す、光源と、
前記評価部位から受信される光を検出するよう構成される少なくとも1つの感光装置を有する光検出器であって、前記検出された光は、(i)部位反射光、及び(ii)部位放射光、のうちの1又は複数を有する、光検出器と、
前記光源及び前記光検出器に動作可能に結合され、発光制御モジュールと高調波成分検出モジュールとを有する制御部と、
を有し、
前記発光制御モジュールは、少なくとも1つの発光制御信号を出力するよう構成され、前記特定の歯垢の前記吸収及び前記蛍光励起スペクトルのうちの1又は複数における前記非線形性に対応する前記波長の近くに中心のある前記周期的に変化する波長を有する、結果として生じる光出力を生成するよう及び前記波長変調光を出力するよう前記可調フィルタを調整するよう構成される少なくとも1つの発光制御信号を介して前記光源を制御し、
前記高調波成分検出モジュールは、(i)部位反射光を含む吸収スペクトル、及び(ii)部位放射光の中の蛍光放射を含む励起スペクトル、のうちの少なくとも1つに含まれる前記波長変調周波数の複数の異なるの高調波成分を検出し、前記検出した複数の異なる高調波成分に対応する異なる種類の歯垢の存在を検出する、歯垢検出装置。
【請求項7】
波長可調光源を有する光源であって、前記波長可調光源は、異なる波長の中で調節されるよう動作し、前記光源は、評価部位へ波長変調光を出力するよう構成され、前記波長変調光は、特定の歯垢の吸収及び蛍光励起スペクトルのうちの1又は複数の非線形性に対応する波長の近くに中心のある周期的に変化する波長を有するよう波長変調周波数で変調され、前記特定の歯垢は、(i)前記特定の歯垢以外の歯垢、及び(ii)前記特定の歯垢以外の干渉種、のうちの1又は複数のスペクトル特性と異なるスペクトル特性を示す、光源と、
前記評価部位から受信される光を検出するよう構成される少なくとも1つの感光装置を有し、前記検出された光は、(i)部位反射光、及び(ii)部位放射光、のうちの1又は複数を有する、光検出器と、
前記光源及び前記光検出器に動作可能に結合され、発光制御モジュールと高調波成分検出モジュールとを有する制御部と、
を有し、
前記発光制御モジュールは、少なくとも1つの発光制御信号を出力するよう構成され、前記特定の歯垢の前記吸収及び前記蛍光励起スペクトルのうちの1又は複数における前記非線形性に対応する前記波長の近くに中心のある前記周期的に変化する波長を有する、結果として生じる光出力を生成するよう及び前記波長変調光を出力するよう前記波長可調光源を調整するよう構成される少なくとも1つの発光制御信号を介して前記光源を制御し、
前記高調波成分検出モジュールは、(i)部位反射光を含む吸収スペクトル、及び(ii)部位放射光の中の蛍光放射を含む励起スペクトル、のうちの少なくとも1つに含まれる前記波長変調周波数の複数の異なる高調波成分を検出し、前記検出した複数の異なる高調波成分に対応する異なる種類の歯垢の存在を検出する、歯垢検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の参照]
本願は、米国仮特許出願番号第62/056797号、2014年9月29日出願の利益を請求する。
【0002】
本発明の実施形態は、概して、口腔ヘルスケア機器及び方法に関し、より具体的には、歯垢検出機器及び歯垢検出のための方法に関する。
【発明の概要】
【0003】
口腔ヘルスケアは、良好な衛生及び歯の健康の支援において重要である。特に、良好な口腔ヘルスケアは、歯の歯垢の除去を含む。歯の歯垢は、臨床的に、除去可能な及び固定した修復を含む口内の固い表面に頑強に付着する構造化された弾力のある黄色がかった灰色の物質として定義される。さらに、歯の歯垢は、細菌及び液体で満たされた多数の溝を有する組織化された構造により特徴付けられる口腔生物膜を有する。歯垢は、主に、唾液グリコール−タンパク質及び細胞外多糖のマトリクス状の細菌で構成される。さらに、1グラムの歯垢は、1011個の細菌を含む。500より多くの異なる微生物種が、歯の歯垢の中で見付かる。さらに、歯の表面状の位置に基づき、歯の歯垢は、歯肉縁上の歯垢と歯肉縁下の歯垢とに分類される。
【0004】
歯の歯垢は、数百種もの細菌の複雑性を有する。歯の歯垢の化膿は、口の中の場所、年齢、時間、口内環境、及び他の要因に依存して非常に変化しやすい。この変化しやすさにも拘わらず、歯の歯垢の分析は、再現可能なパターンに従い発展することが示されている。歯の歯垢の中の培養可能な細菌の大部分は、ミュータンス連鎖球菌、口腔内連鎖球菌、及びメテオ(miteor)連鎖球菌である。
【0005】
歯肉縁上の歯垢に関しては、歯の歯垢は、初期に歯肉縁及び歯間空間に沿って成長し更に歯冠方向へ伸びる標準的な成長パターンに従う。歯の溝のような粗い表面、義歯ベース、及び冠は、より多くの歯垢を抱える。歯の状態の変化に関して、歯垢情報は、上顎に比べると下顎において、及び臼歯領域において、早く生じる。さらに、歯磨き習慣、喫煙、ダイエット、唾液の化学組成、及び菌膜のような個々の変数も、歯垢形成に影響する。
【0006】
したがって、ユーザに彼らが彼らの歯から実際に歯垢を除去しているか否か、及び彼らが完全に歯垢を除去したか否かを知らせることにより、ユーザが歯をクリーニングするときユーザを助けることが望ましい。このように、ユーザは、良好な口腔健康法習慣へと指導されるのに加えて、安心を提供される。望ましくは、情報は、ブラッシング中にリアルタイムに提供されるべきである。そうでなければ、需要者承認が低い可能性があるからである。例えば、ユーザが現在ブラッシングしている位置に歯垢が無いときの信号を、歯ブラシがユーザに提供し、ユーザがクリーニングされるべき次の歯磨き位置へ移動できるならば、有用である。これは、ユーザのブラッシング時間を短縮でき、並びに、より良いより意識的なブラッシングルーチンに導くことができる。
【0007】
干渉種が存在するとき、例えば歯磨き粉の泡に囲まれた振動するブラシシステムにおいて、歯垢を検出する能力を有する電動歯ブラシ又は他の口腔ヘルスケア機器が望ましい。検出システムは、除去可能な歯垢層を有する表面と、清浄菌膜/結石/歯牙充填/歯表面との間の対比を提供すべきである。しかしながら、歯垢の存在又は不存在を検出するための既存の電動歯ブラシは、知られていない。
【0008】
したがって、従来の問題を克服するために改良された方法及び装置が望ましい。
【0009】
本開示の実施形態によると、装置及び方法は、有利なことに、ブラッシングルーチンの間にリアルタイムに歯垢を検出する方法を提供する。装置及び方法は、1又は複数の歯垢の吸収及び蛍光励起スペクトルの形状に基づき、歯垢検出を実施する。特に、1又は複数の歯垢の吸収及び蛍光励起スペクトルの非線形性は、探査(probing)光源の波長を周期的に変化することにより、吸収及び放射高調波の生成を可能にする。これらの高調波の同期測定は、背景信号を大幅に抑制した歯垢検出を可能にする。
【0010】
他の実施形態によると、歯の歯垢を検出する光プローブ及び方法は、歯ブラシに統合できる。歯垢検出方法は、1又は複数の歯垢の吸収及び蛍光励起スペクトルの非線形形状による高調波の生成、及びこれらの高調波のうちの1つの後続の検出に基づく。検出は、吸収スペクトル(反射光)及び/又は放射スペクトル(蛍光励起)において行われる。
【0011】
一態様によると、歯垢検出機器は、光源、光検出器、及び制御部を有する。光源は、評価部位に、波長変調光(λex)を出力するよう構成される。波長変調光は、選択歯垢の吸収及び/又は蛍光励起スペクトルのうちの1又は複数における非線形性に対応する波長の近くに中心のある周期的に変化する波長を有する波長変調周波数で変調される。選択歯垢は、(i)非選択歯垢、及び(ii)選択歯垢以外の干渉種、のうちの1又は複数のスペクトル特性と異なるスペクトル特性を示す。光検出器は、評価部位から受信される光(λsite)を検出するよう構成される。検出された光(λsite)は、(i)部位反射光(λrefl)、及び(ii)部位放射光(λem)、のうちの1又は複数を有する。制御部は、光源及び光検出器に動作可能に結合され、(i)波長変調光を出力するよう光源を制御し、及び(ii)検出された光(λsite)及び基本波より高い波長変調周波数の少なくとも1つの調波に応じて歯垢を検出する。
【0012】
別の態様によると、前記制御部は、少なくとも1つの励振制御信号により、前記波長変調光を出力するよう前記光源を制御する励振制御モジュールと、(i)部位反射光を含む吸収スペクトル、及び(ii)部位放射光の中の蛍光放射を含む励起スペクトル、のうちの少なくとも1つに含まれる基本波成分より高い前記波長変調周波数の少なくとも1つの高調波成分を検出する高調波成分検出モジュールと、を有する。さらなる態様では、前記高調波成分検出モジュールは、前記波長変調周波数の前記少なくとも1つの調波成分を検出するよう並びに他の周波数で変調された信号を拒否するよう構成される少なくとも1つのロックイン増幅器を有する。
【0013】
更に別の態様によると、前記制御部は、検出された歯垢、並びに、(i)歯垢の存在、(ii)若い歯垢、(iii)成熟歯垢、及び(iv)歯垢の不存在、を有するグループから選択される少なくとも1つを有する、前記評価部位における特性の指示に応じて、少なくとも1つの信号を出力する。別の態様によると、波長を周期的に変化することは、(i)前記選択歯垢の前記吸収及び蛍光励起スペクトルのうちの1又は複数における非線形性と一致する中心波長、(ii)前記中心波長より短い波長、(iii)前記中心波長より長い波長、を有する波長の使用を含む。
【0014】
更に別の態様によると、歯垢検出機器は、(i)前記光源から前記評価部位への前記波長変調光、及び(ii)前記評価部位から前記光検出器への前記検出された光、のうちの少なくとも1つの経路の中に光学的に結合される、光フィルタ、光ファイバ、集光素子、焦点調節光素子、のうちの少なくとも1つを含む光モジュール、を更に有する。
【0015】
一実施形態では、前記光源は、3つの異なる波長の光を出力する際に使用するための3個のLEDを有し、前記光検出器は、少なくとも1つの感光装置を有し、前記発光制御モジュールは、前記選択歯垢の前記吸収及び前記蛍光励起スペクトルのうちの1又は複数における前記非線形性に対応する前記波長の近くに中心のある前記周期的に変化する波長を有する、結果として生じる光出力を生成するために、前記3個のLEDの発光を順序付けるよう構成される前記少なくとも1つの発光制御信号を出力するシーケンス生成器を有する。
【0016】
別の態様では、前記3個のLEDは、それぞれ狭スペクトル光を出力する青色LEDを有し、前記3つの異なる狭スペクトル光は、438nm、444nm、及び450nmを有する。さらに別の態様では、前記3個のLEDは、前記3つの異なる狭スペクトル光の所要の範囲をカバーするのに十分な放射スペクトルを有し、前記光源は、それぞれ前記3個のLEDの出力にある3個の除去フィルタを更に有し、LED毎に1つの除去フィルタがあり、前記3個の除去フィルタの各々は、前記3つの異なる狭スペクトル光のうちのそれぞれ1つの通過帯域を有する。
【0017】
別の態様によると、前記光源は、レーザダイオードを有し、前記光検出器は、少なくとも1つの感光装置を有し、前記発光制御モジュールは、前記選択歯垢の前記吸収及び前記蛍光励起スペクトルのうちの1又は複数における前記非線形性に対応する前記波長の近くに中心のある前記周期的に変化する波長を有する、結果として生じる光出力を生成するために、前記レーザダイオードを励起するよう構成される前記少なくとも1つの発光制御信号を出力する。
【0018】
更に別の実施形態によると、前記光検出器は、部位反射光を検出する際に使用するための感光装置と、1つの帯域通過フィルタと、を有し、前記帯域通過フィルタは、前記選択歯垢の前記吸収スペクトルにおける前記非線形性に対応する波長の近くに中心のある前記部位反射光の所望帯域を分離するとともに、部位反射光の他の帯域を拒否する通過帯域を有する。
【0019】
更なる実施形態によると、前記光源は、広帯域放射スペクトル固定波長光源と、前記広帯域放射スペクトル固定波長源の出力に配置される可調フィルタと、を有し、可調フィルタは、異なる波長の間で前記可調フィルタの通過帯域を調節するよう動作し、前記光検出器は、少なくとも1つの感光装置を有し、前記発光制御モジュールは、前記選択歯垢の前記吸収及び前記蛍光励起スペクトルのうちの1又は複数における前記非線形性に対応する前記波長の近くに中心のある前記周期的に変化する波長を有する、結果として生じる光出力を生成するよう前記可調フィルタを調整するよう構成される前記少なくとも1つの発光制御信号を出力する。
【0020】
更に別の実施形態では、前記光源は、波長可調光源を有し、前記波長可調光源は、異なる波長の中で調節されるよう動作し、前記光検出器は、少なくとも1つの感光装置を有し、前記発光制御モジュールは、前記選択歯垢の前記吸収及び前記蛍光励起スペクトルのうちの1又は複数における前記非線形性に対応する前記波長の近くに中心のある前記周期的に変化する波長を有する、結果として生じる光出力を生成するよう、前記波長可調光源を調整するよう構成される前記少なくとも1つの発光制御信号を出力する。
【0021】
別の態様によると、口腔ヘルスケア機器は、本願明細書の実施形態による歯垢検出機器を有する。口腔ヘルスケア機器であって、前記歯垢検出装置を含み、前記歯垢検出装置の少なくとも第1の部分を収容するハンドル部分と、前記ハンドル部分から延在し、光モジュールを介して前記歯垢検出装置に光学的に結合される遠端部分であって、前記遠端部分を介して歯垢の存在について部位を評価し、前記遠端部分は、(i)歯ブラシの毛、(iii)歯ブラシの毛の存在のないプローブ、のうちの少なくとも1つを有し、前記光モジュールは、(i)前記光源から前記評価部位への前記波長変調光、(ii)前記評価部位から前記光検出器への前記検出された光、のうちの少なくとも1つの経路の中に光学的に結合される光学フィルタ、光ファイバ、集光素子、及び焦点調節光素子、のうちの少なくとも1つを含む、遠端部分と、を更に有する。
【0022】
更なる態様によると、歯垢検出方法は、評価部位へ波長変調光を供給するステップであって、前記波長変調光は、選択歯垢の吸収及び蛍光励起スペクトルのうちの1又は複数の非線形性に対応する波長の近くに中心のある周期的に変化する波長を有するよう波長変調周波数で変調され、前記選択歯垢は、(i)非選択歯垢、及び(ii)前記選択歯垢以外の干渉種、のうちの1又は複数のスペクトル特性と異なるスペクトル特性を示す、ステップと、前記評価部位から受信される光を検出するステップであって、前記検出された光は、(i)部位反射光、及び(ii)部位放射光、のうちの1又は複数を有する、ステップと、前記検出された光及び基本波より高い前記波長変調周波数の少なくとも1つの高調波に応じて歯垢を検出するステップと、を有する。
【0023】
本発明の更なる利点及び利益は、以下の詳細な説明を読み理解することにより、当業者に明らかになるだろう。
【0024】
本開示の実施形態は、種々のコンポーネント及びコンポーネントの配置の形式、並びに種々のステップ及びステップの配置の形式を取ることができる。したがって、図面は、種々の実施形態を説明することのみを目的とし、実施形態を限定するものと見なされるべきではない。図中、同様の番号は同様の要素を表す。さrない、図は縮尺通りに描かれない場合があることに留意する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】抽出された人間の歯及び体外の若い及び成熟歯垢サンプルの各々の正規化励起スペクトルのグラフである。
図2】抽出された人間の歯並びに体外の若い及び成熟歯垢サンプルの各々のシミュレートされた蛍光放射のサンプル数の関数としてプロットされた、のこぎり歯状の変調波長応答の説明図である。
図3】抽出された人間の歯並びに体外の若い及び成熟歯垢サンプルの各々のシミュレートされた蛍光放射のサンプル数の関数としてプロットされた、正弦波状の変調波長応答の説明図である。
図4】本開示の一実施形態による、図3の信号の高速フーリエ変換(FFT)周波数分析の片側振幅スペクトルの説明図であり、数字1により識別される第1高調波は基本高調波を有する。
図5】本開示の一実施形態による、第1高調波を拡大した図4の片側振幅スペクトルの詳細な観察の説明図である。
図6】本開示の一実施形態による、第2高調波を拡大した図4の片側振幅スペクトルの詳細な観察の説明図である。
図7】本開示の一実施形態による、歯垢検出装置の説明のためのブロック図である。
図8】本開示の一実施形態による、評価部位放射光及び/又は反射光を用いて歯垢を検出する3個のLEDを有する光源を備える歯垢検出装置のブロック図である。
図9】本開示の一実施形態による、図8光源の3個のLEDの発光シーケンスの説明のためのタイミング図である。
図10】本開示の一実施形態による、歯垢検出装置を有する口腔ヘルスケア機器の説明のためのブロック図である。
図11】本開示の別の実施形態による、評価部位放射光及び/又は反射光を用いて歯垢を検出する3個のLEDを有する光源を備える歯垢検出装置のブロック図である。
図12】本開示の一実施形態による、評価部位放射光及び/又は反射光を用いて歯垢を検出するレーザダイオード光源を備える歯垢検出装置のブロック図である。
図13】本開示の一実施形態による、評価部位反射光を単独で用いて歯垢を検出する制御部及び光検出器を有する歯垢検出装置のブロック図である。
図14】本開示の一実施形態による、評価部位放射光及び/又は反射光を用いて歯垢を検出する広帯域放射スペクトル源及び可調フィルタを有する光源を備える歯垢検出機器のブロック図である。
図15】本開示の別の実施形態による、評価部位放射光及び/又は反射光を用いて歯垢を検出する波長可調源を有する光源を備える歯垢検出装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の実施形態並びにそれらの種々の特長及び利点の詳細は、図に及び以下の説明に詳細に記載され及び/又は示される非限定的な例を参照して一層完全に説明される。留意すべきことに、本願明細書に明示的に記載されなくても、当業者が理解するように、図示される特徴は、必ずしも縮尺通りではなく、一実施形態の特徴は他の実施形態と共に用いられても良い。良く知られた装置、コンポーネント及び/又は処理技術の説明は、本開示の実施形態を不明瞭にしないために省略される場合がある。本願明細書で用いられる例は、単に、本発明の実施形態が実施され得る方法の理解を助け、及び更に当業者が本発明の実施形態を実施できるようにすることを意図している。したがって、本願明細書の例は、添付の請求の範囲及び適用法によってだけ定められる本開示の実施形態の範囲を限定するとみなされるべきではない。
【0027】
本開示の実施形態は、変化し得る本願明細書に記載の特定の技術、プロトコル、装置、機器、材料、アプリケーション、等に限定されないことが理解され得る。本願明細書で用いられた用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的として使用されており、請求される実施形態の範囲に限定することを目的としていないことが理解されるべきである。本願明細書及び請求の範囲で用いられるとき、単数を表す語(「a」、「an」及び「the」)は、特に文脈上明示されない限り、複数の参照も含むことに留意しなければならない。
【0028】
特に定められない限り、本願明細書で用いられた全ての技術的及び科学的用語は、本開示の実施形態の属する分野の当業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。好適な方法、装置、及び材料が記載されるが、本願明細書に記載のものと類似する又は等価ないかなる方法及び材料も、本実施形態の実施又は試験において使用できる。
【0029】
本開示の実施形態によると、装置及び方法は、有利なことに、ブラッシングルーチンの間にリアルタイムに歯垢を検出する方法を提供する。装置及び方法は、1又は複数の歯垢の吸収及び蛍光励起スペクトルの形状に基づき、歯垢検出を実施する。特に、1又は複数の歯垢の吸収及び蛍光励起スペクトルの非線形性は、探査光源の波長を周期的に変化することにより、吸収及び放射高調波の生成を可能にする。これらの高調波の同期測定は、背景信号を大幅に抑制した歯垢検出を可能にする。本願明細書に記載のように、歯垢検出方法は、1又は複数の歯垢の吸収及び蛍光励起スペクトルの非線形形状による高調波の生成、及びこれらの高調波のうちの1つの後続の検出に基づく。検出は、吸収スペクトル(反射光)及び/又は放射スペクトル(蛍光励起)において行われる。
【0030】
歯垢の自己蛍光特性は、一般に知られており、歯垢の種類、つまり若い歯垢又は成熟歯垢に依存して、2つの「色」に分けることができる。これら2つのうち、後者は、青色光により励起されると赤色蛍光体を示すので、容易に検出される。しかしながら、良好な口腔衛生を実践するとき、この種の歯垢には希にしか出会うべきではない。したがって、若い歯垢の検出が、より重要である。残念ながら、若い歯垢は、歯の硬組織と同じ蛍光特性、つまり青色励起による緑色蛍光体(約500−510nmにピークがある)を示す。これは、エナメル上の若い歯垢の蛍光検出を実現不可能にする。更に悪いことに、歯の合成充填物が、若い歯垢と類似の蛍光特性を示す。しかしながら、一方で、歯垢と他者、つまり歯の硬組織及び充填物との励起スペクトルに大きな相違がある。
【0031】
図1を参照すると、抽出された人間の歯及び体外の若い及び成熟歯垢サンプルの各々の正規化励起スペクトルのグラフ10が示される。図1では、正規化相対蛍光強度は、励起波長(nm)の関数として描かれる。正規化励起スペクトルは、歯の場合に参照符号12により、成熟歯垢サンプルの場合に参照符号14により、及び若い歯垢の場合に参照符号16により識別される。全てのスペクトルは、Edinburgh Instruments FLSP920時間分解蛍光分光計で記録された。励起及び放射測定のために、Xe900連続キセノンランプを用いて定常状態構成が適用された。さらに、以下の設定が使用された。スペクトルは、1nm励起分解能、1nm放射分解能、及び0.5x4mm励起スポットサイズを与える励起及び放射単色光分光器の1.1mmスリット開口により記録された。使用した検出器は、200nmから約870nmまでのスペクトル範囲を有するFLSP920標準光電子倍増管(Hamamatsu、R928P)であった。検出器動作温度は、−20℃まで能動的に制御された。スペクトルは、暗電流、励起強度、及び検出器感度の補正と共に記録された。
【0032】
図1で、相対蛍光強度の(参照符号18により示される)ピークは、若い歯垢の正規化スペクトルの相対蛍光強度16において約450nm(つまり、444nmに更に近い)近くで明確に観察できる。約450nm(例えば、440nm乃至460nm)の同じ波長で、成熟歯垢の正規化スペクトルの相対蛍光強度14において特定の非線形性が存在し、一方で、そこでは人間の歯の励起スペクトル12は局所的に線形である。
【0033】
有利なことに、本開示の実施形態は、歯垢を検出するために、約450nm近くの励起スペクトルにおける非線形性を利用する。特に、検出光の中の高調波の同期検出により、歯の硬組織、歯磨き粉、歯茎(歯肉)及び充填物のものに似た背景信号は、有利なことに拒否される。一方で、同時に、歯垢は確実に検出できる。本開示の実施形態は、有利なことに、成熟歯垢と若い歯垢との間の区別も可能にする。本願明細書で議論する説明のための例の実施形態は、約450nmの波長範囲で長じる非線形性を考慮するが、スペクトルの中に有効に使うことができる更なる非線形性範囲が存在する。本願明細書で議論する例は、適用可能な光源、例えばダイオードレーザ又はLEDの可用性のために、450nmに焦点を当てる。(例えば、Creeは、445nm乃至465nmに渡り2.5nm幅のビンで450nmLEDを製造する)。また、450nmは、歯垢蛍光体について良好な励起波長である。しかしながら、他の波長範囲を有する光源が将来利用可能になるので、スペクトルの中の他の非線形性範囲の開発も使用できる。
【0034】
各々の事項(つまり、歯の硬組織、若い及び成熟歯垢)が、445nm乃至470nmの4つの期間の波長、つまりのこぎり歯状の変調波長で線形に掃引される歯の部位を探査する光源からの光により励起された場合に何が起こるかを決定するために、シミュレーションが使用された。応答は、図2のシミュレートされた蛍光放射である。
【0035】
図2を参照すると、抽出された人間の歯、並びに体外の若い及び成熟歯垢サンプルの各々について、シミュレートされた蛍光放射のサンプル数の関数として、のこぎり歯状の変調波長応答(任意の単位(a.u.)で表される)の、参照符号20により識別されるグラフが示される。抽出された人間の歯、成熟歯垢、及び若い歯垢の、のこぎり歯状の変調波長応答は、それぞれ参照符号22、24、及び26により識別される。個々の応答22、24、及び26は、それぞれ、軌跡が重なり合わないように、表示の目的でのみオフセットが与えられていることに留意すべきである。さらに、表示目的で並びに若い及び成熟歯垢における反対の効果を示すために、掃引範囲は強調されている。例えば、サンプル数0〜2000に及ぶ参照符号28により識別される間隔において、成熟歯垢の変調波長応答24は上方向に面する曲線特性を示すが、若い歯垢の変調波長応答26は下方向に面する曲線特性を示す。この反対の効果は、両方の種類の歯垢の間の周波数スペクトルにおける位相差に変換される。
【0036】
更に図2を参照すると、歯の応答22は波長変化に従わない、つまりいかなる歪曲も見られないことが明らかである。しかしながら、成熟及び若い歯垢の両方の応答、24及び26は、それぞれ非線形性を明確に示す。この非線形性は、同期検出を用いて検出できる高調波を導入する。他方で、若い歯垢の直接周波数倍増能力は、のこぎり歯状の変調波長応答からは未だ明確ではない。これは、正弦波変調波長応答に関連する次の図で明らかになる。
【0037】
図3を参照すると、抽出された人間の歯、並びに体外の若い及び成熟歯垢サンプルの各々について、シミュレートされた蛍光放射のサンプル数の関数としてプロットされた、正弦波状の変調波長応答(任意の単位(a.u.)で表される)の、参照符号30により識別されるグラフが示される。抽出された人間の歯、成熟歯垢、及び若い歯垢の、正弦波状の変調波長応答は、それぞれ参照符号32、34、及び36により識別される。個々の応答32、34、及び36は、それぞれ、軌跡が重なり合わないように、表示の目的でのみオフセットが与えられていることに留意すべきである。さらに、表示目的で並びに若い及び成熟歯垢における反対の効果を示すために、掃引範囲は強調されている。図示のように、サンプル数0〜200に及ぶ参照符号38により識別される間隔において、成熟歯垢の変調波長応答34は正弦波特性を示し、若い歯垢の変調波長応答36は周波数の逓倍した正弦波特性を示す。更に図3を参照すると、励起光源出力の波長変調は、若い歯垢の蛍光励起又は放射の非線形性(例えば、放射ピーク)に対応する波長の近くに中心がある。
【0038】
図4を参照すると、図3の信号の高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)周波数分析の片側振幅スペクトルの説明図40が示される。より詳細には、図4は、図3の信号のFFTを説明する。ここで、垂直軸|S(f)|は、スペクトルの大きさを周波数の関数として表し、水平軸は高調波を表す。第1高調波は、数字1により識別され、基本高調波を有する。第2高調波は数字2により識別され、第3高調波は数字3により識別され、以下同様である。FFTは、正及び負の両方の周波数を生じる。しかしながら、片側振幅スペクトルは、基本的に、負の周波数を廃棄し、振幅を補正する(つまり、負の周波数のエネルギを補償するために正の周波数の振幅を逓倍する)。図4では、人間の歯、成熟歯垢、及び若い歯垢の、片側振幅スペクトルが、それぞれ参照符号42、44、及び46により識別される。
【0039】
図4の片側振幅スペクトル40では、第1高調波における人間の歯から生じるスペクトル貢献の大きさは42で識別され、第1高調波における成熟歯垢から生じるスペクトル貢献の大きさは44で識別され、第1高調波における人間の歯からのものより僅かに大きい。しかしながら、図5を参照して更に議論されるように、第1高調波における若い歯垢から生じるスペクトル貢献は、成熟歯垢及び歯からのものより有意に小さい。更に図4を参照すると、第2高調波において若い歯垢から生じるスペクトル貢献の大きさは46で識別され、スペクトル貢献の大きさは成熟歯垢からは少なく、歯からは最少量であることに更に留意する。同様に、第3高調波は、44で識別される成熟歯垢からの貢献を示す。一方で、識別されないが、第3高調波は、成熟歯垢のものより少ない若い歯垢からの貢献も含む。同様に、第4高調波は、46で識別される若い歯垢による主要な貢献を示す。第5及び第6高調波における貢献は、有意に小さく、この図では識別できない。
【0040】
図5を参照すると、第1高調波を拡大した、図4の片側振幅スペクトルの詳細な説明図50が示される。この図では、図4におけるように、人間の歯、成熟歯垢、及び若い歯垢の、片側振幅スペクトルが、それぞれ参照符号42、44、及び46により識別される。期待されるように、いかなる有用な情報も、図中の基本波又は第1高調波1から得られない。図5では、しかしながら、ある程度までの軌跡の重なり合い、歯の基本波成分42及び成熟歯垢の基本波成分44は、ほぼ等しく大きい。一方で、若い歯垢の基本波成分46は小さい又は無い。
【0041】
図6を参照すると、本開示の一実施形態による、第2高調波2を拡大した図4の片側振幅スペクトルの詳細な観察の説明図60である。この図では、第2高調波は、若い歯垢からの最大の貢献46を示す(これは、図4に参照符号46及び46により示される第4及び第6高調波の場合にも言える)。一方で、第2高調波(及びより高次の高調波)における歯からの貢献42は、少なくとも大きさの順序でより低い(例えば、FFT漏れにより生じる場合がある)。第2高調波2における成熟歯垢からの貢献の推定は、44で示される。これは、若い歯垢からのもの46よりも小さい。
【0042】
第2高調波の同期測定は、したがって、歯垢検出を歯の背景信号から独立させる。さらに、成熟及び若い歯垢の分離は、(i)第3高調波から、又は(ii)第2高調波における位相から、可能である。一実施形態では、成熟及び若い歯垢の第2高調波における位相からの分離は、第3高調波において追加ロックイン増幅器を確保するために好ましい。言い換えると、第2高調波において位相を検出することは、第3高調波における信号を検出するための追加のロックイン増幅器の必要を排除し得る。しかしながら、更に留意すべきことに、デジタルロックイン増幅器の使用により実施される実施形態は、第3高調波を検出するために追加ファームウェアを必要とするだけである。
【0043】
本開示の実施形態によると、歯垢検出信号は、反射信号(つまり、吸収スペクトル)及び/又は放射スペクトル(つまり、蛍光)の使用を有し得る。蛍光を用いると、成熟歯垢と若い歯垢との間の分離も、波長フィルタリングを通じて可能である。
【0044】
本開示の実施形態は、さらに、探査光源の波長を周期的に変化することにより引き起こされる、受信光の中の高調波の生成に基づく効果も利用する。幾つかの実施形態では、2以上の波長生成手段、反射光を検出するための1以上の光検出手段、及び1以上の同期検出手段(例えば、ロックイン増幅器)を備える光源が含まれる。
【0045】
図7を参照すると、本開示の一実施形態による、歯垢検出機器又は装置70の説明のためのブロック図が示される。歯垢検出装置70は、少なくとも、光源72と、光検出器74と、制御部76と、を有する。光源72は、参照符号78により識別される波長変調光(λex)を、例えば歯82にある評価部位80へ出力するよう構成される。光源72に関連する更なる詳細は、図8及び11〜15を参照して本願明細書に後述される。
【0046】
一実施形態では、光源72の出力波長変調光78は、選択歯垢の吸収及び/又は蛍光励起スペクトルのうちの1又は複数における非線形性に対応する波長の近くに中心のある周期的に変化する波長を有するように、波長変調周波数で変調される。選択歯垢は、(i)非選択歯垢、及び(ii)選択歯垢以外の干渉種、のうちの1又は複数のスペクトル特性と異なるスペクトル特性を示す。例えば、選択歯垢は、若い歯垢、成熟歯垢、及び/又は若い歯垢と成熟歯垢との両方を有し得る。選択歯垢が若い歯垢であるとして選択される場合、非選択歯垢は成熟歯垢を有する。同様に、選択歯垢が成熟歯垢であるとして選択される場合、非選択歯垢は若い歯垢を有する。さらに、選択歯垢が若い歯垢及び成熟歯垢の両者を有する場合、非選択歯垢は不適用である。さらに、選択歯垢以外の干渉種は、歯の硬組織、歯の充填物、歯磨き粉、及びそれらのいかなる組合せも含み得る。他の干渉種も可能である。
【0047】
光検出器74は、評価部位80から受信される参照符号84により識別される光(λsite)を検出するよう構成される。検出された光(λsite)84は、(i)部位反射光(λrefl)、及び(ii)部位放射光(λem)、のうちの1又は複数を有する。光検出器74に関連する更なる詳細は、図8及び11〜15を参照して本願明細書に後述される。
【0048】
制御部76は、参照符号86により示される適切な信号線により光源72及び光検出器74に動作可能に結合される。制御部76は、(i)波長変調光を出力するよう光源72を制御し、及び(ii)検出された光(λsite)84及び基本波より高い波長変調周波数の少なくとも1つの調波に応じて歯垢を検出するよう、光源72を制御するよう構成される。一実施形態では、制御部76は、本願明細書で議論されるような種々の機能を実行し、さらに所与の歯垢検出実装方法及び/又は歯垢検出アプリケーションの要件に従う、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、集積回路、個別アナログ若しくはデジタル回路コンポーネント、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらのいかなる組合せ、のうちの1又は複数を含む。制御部76は、本願明細書に記載されるような、種々のモジュール、例えば、発光制御モジュール、高調波成分検出モジュール、等のうちの1又は複数を更に有し得る。制御部76に関連する更なる詳細は、図8及び11〜15を参照して本願明細書に後述される。
【0049】
図7を更に参照すると、歯垢検出装置70は、発光制御モジュール88、例えば信号線86により少なくとも制御部76に動作可能に結合される高調波成分検出モジュール90を更に有し得る。歯垢検出装置70は、光モジュール92を更に有し得る。一実施形態では、光モジュール92は、(i)光源72から評価部位80への波長変調光(λex)78、及び(ii)評価部位80から検出器74への検出光(λsite)84、のうちの少なくとも1つの経路の中に光学的に結合される、光フィルタ、光ファイバ、集光素子、焦点調節光素子、のうちの少なくとも1つを含む。発光制御モジュール88、高調波成分検出モジュール90、及び光モジュール92に関連する更なる詳細は、図8及び11〜15を参照して本願明細書に後述される。
【0050】
歯垢検出装置70は、メモリ94、ユーザインタフェース96、電源若しくは電力供給98、及び通信モジュール100を更に有し得る。これらは、全て、信号線86により少なくとも制御部76に動作可能に結合される。一実施形態では、メモリ94はいかなる適切なメモリ装置も有し得る。メモリ装置は、少なくとも1又は複数の検出信号に基づく情報を該メモリ装置に少なくとも格納する、及び後に該情報を該メモリ装置から少なくとも読み出す制御部76に少なくとも動作可能に結合される。ユーザインタフェース96は、いかなる適切なユーザインタフェースも含み得る。該ユーザインタフェースは、少なくとも制御部76に動作可能に結合される。ここで、検出された歯垢検出信号に応答して、ユーザインタフェース96は、評価部位において検出された歯垢存在の状態を少なくとも示すユーザ知覚可能信号を少なくとも出力する。例えば、ユーザインタフェース96は、入力/出力装置、触覚出力装置、タッチスクリーン、表示装置、照明出力装置、可聴出力装置、及びそれらのいかなる組合せを有するグループから選択された少なくとも1つを有し得る。
【0051】
制御部76は、検出された歯垢、並びに、(i)歯垢の存在、(ii)若い歯垢、(iii)成熟歯垢、及び(iv)歯垢の不存在、を有するグループから選択される少なくとも1つを有する、評価部位における特性の指示に応じて、少なくとも1つの信号を出力する。したがって、所与の歯垢検出実装方法及び/又は歯垢検出アプリケーションの要件に従い選択されるいかなる適切なユーザ知覚信号を有し得る。ユーザ知覚信号は、検出された歯垢、並びに、(i)歯垢の存在、(ii)若い歯垢、(iii)成熟歯垢、及び(iv)歯垢の不存在、を有するグループから選択される少なくとも1つを有する、評価部位における特性を示す。
【0052】
電源98は、所与の歯垢検出実装方法及び/又はアプリケーションのための、いかなる適切な電源又は電力供給も有し得る。例えば、電動歯ブラシを有する口腔ヘルスケア機器では、電源98は再充電可能な電源を有し得る。電源98は、歯垢検出装置70の外部にあるソースを介して又は非再充電可能な電源から、電力を有し得る。
【0053】
通信モジュール100は、少なくとも制御部76に動作可能に結合する。ここで、検出信号に応答して、通信モジュール100は、少なくとも検出状態信号をリモート装置(102、104)に出力する。ここで、検出状態信号は、評価部位における歯垢の存在の検出状態を少なくとも示す。検出状態信号は、(i)歯垢の存在、(ii)若い歯垢、(iii)成熟歯垢、及び(iv)歯垢の不存在、を有するグループから選択される少なくとも1つを有する、評価部位における特性を更に示しても良い。一実施形態では、リモート装置(102、104)は、移動電話機(図示しない)、スマートフォン102、ネットワーク104を介して通信する有線ネットワーク可能装置(図示しない)、ネットワーク104を介して通信する無線ネットワーク可能装置(図示しない)、及びそれらのいかなる組合せから選択される少なくとも1つを有する。
【0054】
図8を参照すると、本開示の一実施形態による、評価部位放射光及び/又は反射光を用いて歯垢を検出する3個のLED106を有する光源72を備える歯垢検出装置70のブロック図が示される。図9に示すように、3個のLED106は、時間に応じてシーケンス108の中で作動される。例えば、図9を参照して、第1の期間110の間、作動シーケンスは次の通りである。(参照符号112で示されるように)LED1がオフ、LED2がオン、LED3がオフ;(参照符号114で示されるように)LED1がオン、LED2がオフ、LED3がオフ;(参照符号116で示されるように)LED1がオフ、LED2がオン、LED3がオフ;(参照符号118で示されるように)LED1がオフ、LED2がオフ、LED3がオン。第1の期間110のシーケンスは、T=1/1fの期間を有する。ここで、1fは、基本周波数である。
【0055】
一実施形態では、光源72の出力は、周期的に変化する波長である。ここで、波長は、中心波長の近くに中心のある特定範囲に渡り変化する。中心波長は、本願明細書で上述したような、スペクトルにおける非線形性と一致する。波長が周期的に変化する周波数、つまり波長変調周波数は、1fの値を有する。したがって、1fは、図9のシーケンス108が繰り返される周波数である。
【0056】
例えば、周期的に変化する波長の光出力は、(i)選択歯垢の吸収及び蛍光励起スペクトルのうちの1又は複数における非線形性と一致する(例えば、LED2から出力される光の波長における)中心波長、(ii)(例えば、LED1から出力される光の波長における)中心波長より短い波長、(iii)(例えば、LED3から出力される光の波長における)中心波長より長い波長、を有する波長を含む。一例では、非線形性は444nmに位置すると仮定する。444nmの波長は、青色光の波長である。青色光の周波数は、6.67x1014Hzである。ここで、青色光の周波数は、本開示の実施形態の状況では関係ない。本例では、変調されるのは444nmの波長(つまり、色)であり、先ず色がより紫に、次に再び青に、よりシアンに、最後に再び青にされる。色(つまり波長)サイクルが毎秒1000回繰り返される(つまり1kHz)と仮定する。したがって、波長変調周波数は、1kHzである。第2高調波(例えば、若い歯垢を示す信号)は、次に2kHzになり得る。
【0057】
図8に戻ると、一実施形態では、光検出器74は、2つのフォトダイオード120及び増幅器を有し、レンズ、複合放物面型集光器(Compound parabolic concentrator:CPC)又はその両方のような集光及び焦点調節器も有し得る。光検出器74は、2つの帯域通過フィルタ122を更に有する。ここで、2つの帯域通過フィルタは、2種類の歯垢(つまり、若い歯垢及び成熟歯垢)の2つの蛍光帯域(赤色及び緑色)を分離し、評価部位80から反射された励起光78を拒否する。
【0058】
さらに図8の実施形態に関し、制御部76は、発光制御モジュール88、及び高調波成分検出モジュール90、を更に有し得る。発光制御モジュールは、少なくとも1つの発光制御信号により、波長変調光78を出力するよう光源72を制御するよう構成される。高調波成分検出モジュール90は、(i)部位反射光(λrefl)を有する吸収スペクトル、及び(ii)部位放射光(λem)の中の蛍光放射を含む励起スペクトル、のうちの少なくとも1つに含まれる基本波成分より高い波長変調周波数の少なくとも1つの高調波成分を検出するよう構成される。一実施形態では、高調波成分検出モジュール90は、波長変調周波数の少なくとも1つの調波成分を検出するよう並びに他の周波数で変調された信号を拒否するよう構成される少なくとも1つのロックイン増幅器を有する。
【0059】
一実施形態では、高調波成分検出モジュール90は、少なくとも1つのロックイン増幅器を有する。ロックイン増幅器は、第2高調波(2f)を検出し、基本波(1f)で変調される歯の蛍光発光を拒否するよう構成される。別の実施形態では、高調波成分検出モジュールは、同期整流器を有し、その後に低域通過フィルタが続く。更に別の実施形態では、高調波成分検出モジュールは、高Q帯域通過フィルタを有する。
【0060】
更に図8を参照すると、評価部位80は、自由空間により歯垢検出装置70から離れている。更なる実施形態では、歯垢検出装置70と評価部位80との間に示されるような自由空間の代わりに、検出装置70と評価部位80との間に光学的に結合される繊維光学系又は光ファイバも可能である。
【0061】
図8に示すように、光源72は、3つの異なる波長の光を出力する際に使用するための3個のLEDを有し、光検出器74は、少なくとも1つの感光装置を有し(例えば、2個の感光装置が使用でき、2つの波長帯域のうちの1つを検出する際に1つの感光装置が使用される)、発光制御モジュール88は、選択歯垢の吸収及び蛍光励起スペクトルのうちの1又は複数における非線形性に対応する波長の近くに中心のある周期的に変化する波長を有する、結果として生じる光出力78を生成するために、3個のLED106の励起を順序付けるよう構成される少なくとも1つの発光制御信号を出力するシーケンス生成器を有する。別の態様では、3個のLEDは、それぞれ狭スペクトル光を出力する青色LEDを有し、3つの異なる狭スペクトル光は、438nm、444nm、及び450nmを有する。
【0062】
図10を参照すると、本開示の一実施形態による、歯垢検出装置70を有する口腔ヘルスケア機器124の説明のためのブロック図が示される。口腔ヘルスケア機器124は、歯垢検出装置70の少なくとも第1の部分を収容するハンドル部分126を有する。遠端部分128は、ハンドル部分126から延在し、光モジュール92を介して、遠端部分により歯垢の存在について部位80を評価する歯垢検出装置70に光学的に結合される。遠端部分128は、(i)歯ブラシの毛130、(iii)歯ブラシの毛の存在が無いプローブ132、のうちの少なくとも1つを有する。一実施形態では、光モジュール92は、(i)光源72から評価部位80への波長変調光(λex)、及び(ii)評価部位80から検出器74への検出光(λsite)、のうちの少なくとも1つの経路の中に光学的に結合される、光フィルタ、光ファイバ、集光素子、焦点調節光素子、のうちの少なくとも1つを含む。遠端部分128は、適切な光ファイバ134も有し得る。ここで、光ファイバは、歯垢検出装置70から遠端部分128のプローブ132まで延在する。一実施形態では、口腔ヘルスケア機器124は、電動歯ブラシを有する。ここで、ハンドル部分126は、ブラッシングイベントを実行するために遠端128に所望の駆動エネルギを供給する適切な駆動系136を収容する。口腔ヘルスケア機器124は、本開示の実施形態のうちの1又は複数に従う歯垢検出装置70による歯垢の検出を含む。
【0063】
図11を参照すると、本開示の別の実施形態による、評価部位放射光及び/又は反射光を用いて歯垢を検出する3個のLED106を有する光源72を備える歯垢検出装置70のブロック図が示される。図11の実施形態は、図8の実施形態と類似しており、以下の相違がある。本実施形態では、3個のLED106は、3つの異なる狭スペクトル光の所要の範囲をカバーするのに十分な放射スペクトルを有する。光源72は、3個の除去フィルタ138を更に有する。3個の除去フィルタ138のそれぞれは、3個のLEDの出力に配置され、LED毎に1つの除去フィルタがある。3個の除去フィルタ138の各々は、3つの異なる狭スペクトル光のうちの対応する1つの通過帯域を有する。
【0064】
図12を参照すると、本開示の一実施形態による、評価部位放射光及び/又は反射光を用いて歯垢を検出するレーザダイオード光源72を備える歯垢検出装置70のブロック図が示される。図12の実施形態は、図8の実施形態と類似しており、以下の相違がある。本実施形態によると、光源72は、レーザダイオード140を有する。さらに、発光制御モジュール88は、選択歯垢の吸収及び蛍光励起スペクトルのうちの1又は複数における非線形性に対応する波長の近くに中心のある周期的に変化する波長を有する、結果として生じる光出力を生成するために、レーザダイオード140を励起するよう構成される少なくとも1つの発光制御信号を出力する。例えば、発光制御モジュール88は、適切な駆動電流生成器を有し得る。
【0065】
図示のように、図12の実施形態は、単一の光源を使用する。ダイオードレーザの放射は駆動電流によりシフトすることが良く知られている。この動作は、若い歯垢の放射ピークに渡る波長掃引を生成するために利用できる。さらに、検出経路は、レーザダイオード出力の強度変動を補償するよう構成されるべきである。このような強度変動補償は、ロックイン増幅器又はフォトダイオード増幅器の時間依存利得補償により行うことができる。言い換えると、利得補償は、レーザダイオードの駆動電流に固定される。
【0066】
図13を参照すると、本開示の一実施形態による、評価部位反射光を単独で用いて歯垢を検出する制御部76及び光検出器74を有する歯垢検出装置70のブロック図が示される。図13の実施形態は、図8、11、12、14、及び15の他の実施形態と類似しており、以下の相違がある。本実施形態では、光検出器74は、部位反射光を検出する際に使用するための感光装置142と、1つの帯域通過フィルタ144と、を有し、帯域通過フィルタは、選択歯垢の吸収スペクトルにおける非線形性に対応する波長の近くに中心のある部位反射光の所望帯域を分離するとともに、部位反射光の他の帯域を拒否する通過帯域を有する。
【0067】
図13の実施形態に関して気付くことは、本実施形態は、蛍光発光に基づくのではなく、評価部位反射光の検出に基づくことである。検出ブランチは、1つの帯域通過フィルタ(つまり、吸収ピークに中心がある)、及び1つの検出器を有する。若い歯垢は、第2高調波2fを用いて検出され、成熟又は古い歯垢は第3高調波3fを用いて検出される。
【0068】
図14を参照すると、本開示の一実施形態による、評価部位放射光及び/又は反射光を用いて歯垢を検出する広帯域放射スペクトル源146及び可調フィルタ148を有する光源72を備える歯垢検出装置70のブロック図が示される。図14の実施形態は、図8、11、12、13、及び15の他の実施形態と類似しており、以下の相違がある。本実施形態では、光源72は、広帯域放射スペクトル固定波長光源146、及び広帯域放射スペクトル固定波長光源の出力に配置される可調フィルタ148を有する。ここで、可調フィルタは、異なる波長の間で可調フィルタの通過帯域を調節するよう動作する。固定波長源146は、適切な広帯域放射スペクトルを提供する。可調フィルタ(又は変調フィルタ)148は、例えば、可調ファブリペローフィルタ又は液晶可調フィルタを有し得る。発光制御モジュール88は、選択歯垢の吸収及び蛍光励起スペクトルのうちの1又は複数における非線形性に対応する波長の近くに中心のある周期的に変化する波長を有する、結果として生じる光出力を生成するために、可調フィルタ148を調整するよう構成される少なくとも1つの発光制御信号を出力する。例えば、発光制御モジュール88は、適切なフィルタ調整回路及び/又はモジュールを有し得る。
【0069】
図15を参照すると、本開示の別の実施形態による、評価部位放射光及び/又は反射光を用いて歯垢を検出する波長可調源150を有する光源72を備える歯垢検出装置70のブロック図が示される。図15の実施形態は、図8、11、12、13、及び14の他の実施形態と類似しており、以下の相違がある。本実施形態では、光源72は、波長可調光源150を有する。ここで、波長可調光源は、異なる波長の間で調節されるよう動作する。波長可調源は、例えば、ZnOナノロッド等からの可調色を有する発光装置を有し得る。さらに、発光制御モジュール88は、選択歯垢の吸収及び蛍光励起スペクトルのうちの1又は複数における非線形性に対応する波長の近くに中心のある周期的に変化する波長を有する、結果として生じる光出力を生成するために、波長可調光源150を調整するよう構成される少なくとも1つの発光制御信号を出力する。例えば、発光制御モジュール88は、適切な波長調整回路及び/又はモジュールを有し得る。
【0070】
更に別の実施形態では、歯垢検出方法は、評価部位へ波長変調光(λex)を供給するステップを有する。波長変調光は、選択歯垢の吸収及び発光励起スペクトルのうちの1又は複数における非線形性に対応する波長の近くに中心のある周期的に変化する波長を有するよう、波長変調周波数で変調される。ここで、選択歯垢は、(i)他の歯垢、及び(ii)選択歯垢以外の干渉種、のうちの1又は複数のスペクトル特性と異なるスペクトル特性を示す。評価部位から受信される光(λsite)が検出される。ここで、検出された光(λsite)は、(i)部位反射光(λrefl)、及び(ii)部位放射光(λem)、のうちの1又は複数を有する。方法は、検出された光(λsite)、及び基本波より高い波長変調周波数の少なくとも1つの調波成分に応じて、歯垢を検出するステップを更に有する。
【0071】
本開示の実施形態は、主に、第2高調波に関して記載されたが、他の高調波の使用も想定される。幾つかの例では、第2高調波だけの使用で十分である。しかしながら、非線形性は一様な形状を有すると仮定される。スペクトルの一様な形状は、第2高調波を含む偶数次高調波を生じるだろう。本願明細書で議論するように、第2高調波は、最高振幅を有し、したがって、検出に最適である。しかしながら、若い歯垢の444nmの非線形性は純粋に一様ではなく、他の高調波も導入し得ることに留意する。さらに、中心周波数は、非線形性の上に正確に位置しない場合がある。これは、高調波の分布にも影響するだろう。さらには、1つの高調波が歯垢検出のために十分であり、追加の高調波は、一層堅牢な歯垢検出を更に提供できる。制御部により実施されるデジタル信号処理の使用は、より多くの周波数を同時に検出することを可能にし、したがって、歯垢検出においてより大きな特異性を得ることを可能にする。
【0072】
ほんの少数の例示的な実施形態だけが詳細に上述されたが、当業者は、本開示の新規な教示及び実施形態の利点から実質的に逸脱することなく例示的な実施形態において多くの変形が可能であることを直ちに理解するだろう。例えば、実施形態は、有利なことに、専門の及び/又は特殊な設定を含む電動歯ブラシ及び/又は他の口腔ヘルスケアアプリケーションにおいて使用できる。したがって、全てのこのような変形は、以下の請求の範囲に定められるように、本開示の実施形態の範囲内に包含されると意図される。請求の範囲において、手段及び機能の項は、記載の機能を並びに構造的等価物だけでなく等価な構造を実行するとき、本願明細書に記載した構造をカバーすることが意図される。
【0073】
さらに、1又は複数の請求項において括弧内に記載されたいかなる参照符号も、請求項を制限すると見なされるべきではない。用語「有する(comprising又はcomprises)」等は、全体としていかなる請求項中に及び明細書に列挙された以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。要素の単数の参照は、該要素の複数の存在を排除するものではなく、逆も同様である。実施形態のうちの1又は複数は、アナログ及び/又はデジタル実装を含む複数の別個の要素を有するハードウェアにより及び/又は適切にプログラムされたコンピュータにより、実施され得る。複数の手段を列挙している装置の請求項では、これらの複数の手段は、1つの同一のハードウェア要素により実装することができる。特定の量が相互に異なる従属請求項に記載されるという事実は、これらの量の組合せが有利に用いることが出来ないことを示すものではない。
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