(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フォトレジスト組成物が、活性化放射線で像形成され、前記像形成されたフォトレジスト組成物層が、現像されてフォトレジストレリーフ像を提供する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
グリコールウリル環の1及び/または5位に非水素置換基を有する1つ以上のグリコールウリル基を含む樹脂であって、1)ポリエステル結合及び/または2)重合されたイソシアヌレート基を含み、前記1つ以上のグリコールウリル基が樹脂に共有結合したペンダントグリコールウリル基である樹脂。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の他の態様は、以下に開示される。
【0031】
上で論じたように、好ましい態様では、有機コーティング組成物、具体的にはオーバーコートされたフォトレジストと共に用いるための反射防止組成物が提供され、該組成物は、有機溶剤担体で比較的改善された溶解度を示すことができる樹脂結合架橋剤成分を含む。例えば、続く実施例で述べられる比較結果を参照されたい。
【0032】
第1の態様
上で論じたように、我々は、グリコールウリル環の1及び/または5位に非水素置換基を有する1つ以上のグリコールウリル基を含む樹脂を含むコーティング組成物を提供する。好ましい樹脂は、以下の式(I)の1つ以上のグリコールウリル基を含み、
【0034】
式(I)中、R
1、R
2、及び各Rは上で定義されたとおりである。少なくとも1つのR基が、樹脂への共有結合の一部分である。
【0035】
式(I)の好ましい基は、以下の式
1、
2、3、4、5、6、7、及び
8のものを含み、
【0037】
これらの上記式
1、2、3、4、5、6、7、及び
8では、R
1、R
2、R
3、及びR4は独立して、式(I)のRについて定義されたものと同じ群から選択され、したがって好適には例えば、任意に置換された炭素脂環式もしくは任意に置換されたヘテロ脂環式、または任意に置換された炭素環式アリールもしくは任意に置換された複素芳香環を含む、直鎖もしくは分岐の任意に置換されたアルキルまたはヘテロアルキルであり得る。R
1、R
2、R
3、及びR
4は、各々1つ以上の炭素原子、典型的には1〜約20の炭素原子を有し得る。
【0038】
式(I)の具体的な好ましい基は、以下を含む(以下の構造では、描写されたR基のうちの1つが描写されたR基の使用可能な位置で、樹脂への共有結合として機能し得るか、または描写されたR基のうちの1つが別のリンカー基に置換され得、それによって樹脂への共有結合を提供することが理解される)。
【0039】
直鎖型(すなわち、式(I)の1つ以上のR基が線形構成を有する):
【0041】
分岐型(すなわち、式(I)の1つ以上のR基が分岐構成を含む):
【化7】
【0042】
環状型(すなわち、式(I)の1つ以上のR基が、任意に置換されたシクロペンチルまたは任意に置換されたシクロヘキシル等の任意に置換された炭素脂環式基を含む、任意に置換された環状部分を含む):
【0044】
芳香族型(すなわち、式(I)の1つ以上のR基が、芳香族(炭素環式アリールまたは複素芳香環)部分を含む):
【0046】
ヘテロ原子含有(すなわち、式(I)の1つ以上のR基が、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたアルキルチオ、または任意に置換されたヘテロ脂環式等のヘテロ含有部分を含む):
【0048】
第2の態様
上で論じたように、第2の態様では、コーティング組成物が提供され、該組成物は以下の式(II)の1つ以上のグリコールウリル基を含む樹脂を含み、
【0050】
式(II)中、各Rは上で定義されたとおりである。好ましくは、少なくとも1つのR基は、少なくとも2、3、4、5、もしくは6の炭素またはヘテロ(N、O、及び/またはS)原子の合計を含有する。例えば、特に好ましいR基には、任意に置換されたシクロヘキシル等の任意に置換された炭素脂環式を含むものが含まれる。好ましくは、2つもしくは3つのR基は、少なくとも4、5、もしくは6の炭素またはヘテロ(N、O、及び/またはS)原子の合計を含有するであろう。式(II)では、少なくとも1つのR基、及び好ましくは1つのR基のみが、樹脂への結合を提供する化学結合であり、すなわちグリコールウリル基が樹脂と共有結合する。
【0051】
式(II)の具体的な好ましい基は、以下を含む(以下の構造では、描写されたR基のうちの1つが描写されたR基の使用可能な位置で、樹脂への共有結合として機能し得るか、または描写されたR基のうちの1つが別のリンカー基に置換され得、それによって樹脂への共有結合を提供することが理解される)。
【0052】
直鎖型(すなわち、式(II)の1つ以上のR基が線形構成を有する):
【0054】
分岐型(すなわち、式(II)の1つ以上のR基が分岐構成を有する):
【0056】
環状型(すなわち、式(II)の1つ以上のR基が、任意に置換されたシクロペンチルまたは任意に置換されたシクロヘキシル等の任意に置換された炭素脂環式基を含む、任意に置換された環状部分を含む):
【0058】
芳香族型(すなわち、式(II)の1つ以上のR基が、芳香族(炭素環式アリールまたは複素芳香環)部分を含む):
【0060】
ヘテロ原子含有(すなわち、式(I)の1つ以上のR基が、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたアルキルチオ、または任意に置換されたヘテロ脂環式等のヘテロ含有部分を含む):
【0062】
本明細書において言及されるように、好適なヘテロアルキルには、任意に置換されたC1−20アルコキシ、好ましくは1〜約20個の炭素原子を有する任意に置換されたアルキルチオ、好ましくは1〜約20個の炭素原子を有する任意に置換されたアルキルスルフィニル、好ましくは1〜約20個の炭素原子を有する任意に置換されたアルキルスルホニル、及び好ましくは1〜約20個の炭素原子を有する任意に置換されたアルキルアミンが含まれる。
【0063】
本明細書において言及されるように、「炭素脂環式基」という用語は、非芳香族基の各環員が炭素であることを意味する。炭素脂環式基は、環が芳香族でない限り、1つ以上の環内炭素−炭素二重結合を有することができる。任意に置換された「シクロアルキル基」という用語は、非芳香族基の各環員が炭素であり、炭素環がいかなる環内炭素−炭素二重結合も有しないことを意味する。例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、及びアダマンチルは、シクロアルキル基及び炭素脂環式基である。炭素脂環式基及びシクロアルキル基は、1つの環もしくは複数の(例えば、2、3、4、またはそれ以上の)架橋した、縮合した、またはそうでなければ共有結合している環を含んでもよい。
【0064】
本明細書において言及されるように、「ヘテロアリール」基は、単環であれば1〜3つのヘテロ原子を、二環であれば1〜6つのヘテロ原子を、または三環であれば1〜9つのヘテロ原子を有する、芳香族の5〜8員環単環系、8〜12員環二環系、または11〜14員環三環系を含み、当該ヘテロ原子はO、N、またはS(例えば、単環、二環、または三環であれば、それぞれ炭素原子及びN、O、またはSの1〜3、1〜6、もしくは1〜9つのヘテロ原子)より選択され、各環の0、1、2、3、または4つの原子が置換基で置換されてもよい。ヘテロアリール基の例には、ピリジル、フリルまたはフラニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリミジニル、チオフェニルまたはチエニル、キノリニル、インドリル、チアゾリル等が含まれる。
【0065】
本明細書において言及されるように、「炭素脂環式基」という用語は、非芳香族基の各環員が炭素であることを意味する。炭素脂環式基は、環が芳香族でない限り、1つ以上の環内炭素−炭素二重結合を有することができる。任意に置換された「シクロアルキル基」という用語は、非芳香族基の各環員が炭素であり、炭素環がいかなる環内炭素−炭素二重結合も有しないことを意味する。例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、及びアダマンチルは、シクロアルキル基及び炭素脂環式基である。
【0066】
「任意に置換された」多種多様な材料及び置換基(上記式(I)及び(II)のR、R
1、及びR
2を含む)は、例えば、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、C
1−8アルキル等のアルキル、C
2−8アルケニル等のアルケニル、C
1−
8アルキルアミノ等のアルキルアミノ、フェニル、ナフチル、アントラセニル等の炭素環式アリール等によって、1つ以上の使用可能な位置で好適に置換されてもよい。
【0067】
多種多様な樹脂が下地コーティング組成物の樹脂成分として機能してもよい。
【0068】
本発明のコーティング組成物の特に好ましい樹脂は、ポリエステル結合を含んでもよい。ポリエステル樹脂は、1つ以上のポリオール試薬と1つ以上のカルボキシ基含有(カルボン酸、エステル、無水物等)化合物との反応によって容易に調製可能である。好適なポリオール試薬は、ジオール、グリセロール、及びトリオール、例えばジオール等のジオール類はエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、シクロブチルジオール、シクロペンチルジオール、シクロヘキシルジオール、ジメチルオルシクロヘキサン(dimethylolcyclohexane)であり、及びグリセロール、トリメチルオルエタン、トリメチルオルプロパン等のトリオール類を含む。
【0069】
本発明の反射防止組成物で使用するために好ましいポリエステル樹脂はまた、米国特許第8,501,383号、米国出願公開第2011/0033801号、及び米国特許第7,163,751号に開示されている。これらの特許文献に開示されるように、エステル反復単位を含有する樹脂(ポリエステル)は、カルボキシ含有化合物(例えば、カルボン酸、エステル、無水物等)及びヒドロキシ含有化合物、好ましくは複数のヒドロキシ基を有する化合物、例えば、エチレングリコールもしくはプロピレングリコール等のグリコール、またはグリセロール、または他のジオール、トリオール、テトラオール等との重合により適切に提供され得る。特定の態様では、好ましくは、エステル官能基は、ペンダントもしくは側鎖単位としてではなく、ポリマー主鎖の成分として、または主鎖内に存在する。エステル部分はまた、ペンダント基として存在していてもよいが、好ましくは、ポリマーはポリマー主鎖に沿ったエステル官能基も含有する。エステル繰り返し単位が芳香族置換、例えば任意に置換された炭素環式アリール基、例えば、任意に置換されたフェニル、ナフチルまたはアントラセニル置換を、側鎖として、または更に好ましくはポリマー主鎖に沿ってのいずれかとして含むことも好ましい。
【0070】
本発明のコーティング組成物の樹脂は、米国特許第6,852,421号及び同第8,501,383号に開示されるシアヌレート基等の多種多様な追加基を含んでもよい。
【0071】
本発明のコーティング組成物の特に好ましいマトリックス樹脂は、1つ以上のシアヌレート基及びポリエステル結合を含んでもよい。
【0072】
論じたように、反射防止用途について、樹脂を形成するために反応される1つ以上の化合物は、オーバーコートされたフォトレジストコーティング層を露光するために使用された放射線を吸収するための発色団として機能することができる部分を好適に含む。例えば、フタル酸化合物(例えば、フタル酸またはフタル酸ジアルキル(すなわち、1〜6個の炭素原子を有する各エステル、好ましくはジメチルまたはフタル酸エチル等のジエステル)を芳香族または非芳香族ポリオール、及び任意に他の反応化合物と重合して、193nm等の200nm未満の波長で像形成されたフォトレジストを有して使用されるコーティング組成物で特に有用なポリエステルを提供してもよい。イソシアヌレート化合物もまた1つ以上のポリオールと重合されて、本下地コーティング組成物に有用な樹脂を提供してもよい。248nmまたは193nm等の300nm未満波長または200nm未満波長で像形成されたオーバーコートされたフォトレジストを有する組成物に用いられる樹脂であるナフチル化合物を重合してもよく、例えばジアルキル特にジ−C
1−6アルキルナフタレンジカルボキシレートの1つまたは2つ以上のカルボキシル置換基を含有するナフチル化合物を重合してもよい。反応性アントラセン化合物、例えば、1つ以上のメチルエステルもしくはエチルエステル基等の1つ以上のカルボキシまたはエステル基を有するアントラセン化合物もまた、好まれる。
【0073】
発色団単位を含有する化合物はまた、1つまたは好ましくは2つ以上のヒドロキシ基を含有し、カルボキシル含有化合物と反応してもよい。例えば、1つ、2つまたはそれ以上のヒドロキシル基を有するフェニル化合物もしくはアントラセン化合物は、カルボキシル含有化合物と反応してもよい。
【0074】
追加で、反射防止目的で使用される下地コーティング組成物は、水接触角調節を提供する樹脂成分とは別々の発色団ユニットを含有する材料(例えば、光酸不安定基及び/または塩基反応性基を含有する樹脂)を含有してもよい。例えば、コーティング組成物は、フェニル、アントラセン、ナフチル等の単位を含有するポリマーまたは非ポリマー化合物を含んでもよい。しかしながら、水接触角調節を提供する1つ以上の樹脂もまた、発色団部分を含有することがしばしば好まれる。
【0075】
本明細書に開示される1つ以上のグリコールウリル部分を含む樹脂は、容易に調製され得る。例えば、グリコールウリルモノマーまたはオリゴマーは、ペンダントグリコールウリル部分を提供するために形成された樹脂(プレポリマー)上に移植され得る。より具体的には、例えば、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)テトラヒドロイミダゾ[4,5−d]イミダゾール−2,5(1H,3H)−ジオン及び/または1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)−3a−メチル−6a−プロピルテトラヒドロイミダゾ[4,5−d]イミダゾール−2,5(1H,3H)−ジオン等のグリコールウリルモノマーは、グリコールウリルを樹脂と共有結合するために、酸性条件下かつ昇温で形成された樹脂と反応し得る。好ましい合成については、続く実施例を参照されたい。あるいは、グリコールウリルモノマーは、樹脂鎖内にグリコウリル反復単位を有するコポリマーを提供するために、1つ以上の他のモノマーと反応することができる。かかるグリコールウリルモノマーは、他のモノマーとの重合のためペンダントビニル基を有し得る。
【0076】
好ましくは、本発明の下地コーティング組成物の樹脂は、約1,000〜約10,000,000ダルトン、より典型的には約2,000〜約100,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を、及び約500〜約1,000,000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有する。本発明の組成物の樹脂の分子量(MwまたはMnのいずれか)は、ゲル浸透クロマトグラフィによって好適に求められる。
【0077】
多くの実施形態では、樹脂成分は、下地コーティング組成物の主要な固形成分となる。例えば、1つ以上の樹脂は好適に、コーティング組成物の全固形分に基づいて50〜99.9重量パーセント、より典型的にはコーティング組成物の全固形分に基づいて80〜95重量パーセントで存在してもよい。本明細書において言及されるように、コーティング組成物の固形分は、溶剤担体を除いたコーティング組成物のすべての材料を指す。
【0078】
特定の実施形態では、本発明のコーティング組成物は、本明細書で開示される樹脂結合グリコールウリル架橋剤に加えて架橋剤を含み得る。例えば、コーティング組成物は、例えば、Cytec Industries社によって製造され、Cymel 300、301、303、350、370、380、1116、及び1130の商品名で販売されるメラミン樹脂を含むメラミン材料等のアミン系架橋剤、Cytec Industries社より入手可能なグリコールウリルを含むグリコールウリル、ならびにCytec Industries社からCymel 1123及び1125の名称で入手可能なベンゾクアナミン(benzoquanamine)樹脂等の樹脂を含むベンゾクアナミン及び尿素系材料、ならびにCytec Industries社からPowderlink 1174及び1196の名称で入手可能な尿素樹脂を含んでもよい。市販されていることに加えて、かかるアミン系樹脂は、例えばアクリルアミドまたはメタクリルアミドコポリマーをホルムアルデヒドとアルコール含有溶液内で反応させること、あるいはN−アルコキシメチルアクリルアミドまたはメタクリルアミドを他の好適なモノマーと共重合させることによって調製してもよい。
【0079】
本発明のコーティング組成物の樹脂結合グリコールウリル架橋剤成分は一般的に、コーティング組成物の全固形分(溶剤担体を除くすべての成分)の約5〜100重量パーセントの量で存在する。したがって、1つ以上の樹脂結合グリコールウリルが単独の組成物成分である場合、樹脂は全固形分の100重量パーセントの量で存在するであろう。組成物で、1つ以上の樹脂結合グリコールウリルが分離発色団化合物、本明細書で開示されるグリコールウリルを含有しない他の樹脂等の他の材料と混ぜられた場合、1つ以上の樹脂結合グリコールウリルは全固形分の100重量パーセント未満の量で存在するが、全固形分の少なくとも5重量パーセント及びより好ましくは少なくとも10、15、20、30、40、50、または60重量パーセントの量で存在するであろう。
【0080】
本発明の好ましいコーティング組成物はまた、熱酸発生剤化合物を含有してもよい。熱酸発生剤の活性化によるコーティング組成物の熱誘起架橋が一般的に好まれる。
【0081】
コーティング組成物に用いるための好適な熱酸発生剤化合物は、反射防止組成物コーティング層の硬化中に触媒作用を及ぼすまたは架橋を促進するために、例えばアレーンスルホン酸アンモニウム塩(例えば、トルエンスルホン酸アンモニウム塩)といったイオン性もしくは実質的に中性の熱酸発生剤を含む。典型的に、1つ以上の熱酸発生剤は、組成物の全乾燥成分(溶剤担体を除くすべての成分)の約0.1〜10重量パーセントの濃度、より好ましくは全乾燥成分の約0.5〜2重量パーセントで、コーティング組成物に存在する。
【0082】
本発明の、特に反射制御用途についてのコーティング組成物は、オーバーコートされたフォトレジスト層を露光するために用いられる放射線を吸収する追加の染料化合物をも含有してもよい。他の任意の添加剤には、表面レベリング剤、例えば、商品名Silwet 7604として入手可能なレベリング剤、または3M社より入手可能な界面活性剤FC 171もしくはFC 431が含まれる。
【0083】
本発明の下地コーティング組成物もまた、オーバーコートされたフォトレジスト組成物と用いるものとして論じたような光酸発生剤を含む光酸発生剤等の他の材料を含んでもよい。反射防止組成物中の光酸発生剤のかかる使用の論議については、米国特許第6,261,743号を参照されたい。
【0084】
本発明の液体コーティング組成物を作製するには、コーティング組成物の成分は、例えば、1つ以上のオキシイソ酪酸エステル、特にメチル−2−ヒドロキシイソブチレート、乳酸エチル、または2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等の1つ以上のグリコールエーテル、メトキシブタノール、エトキシブタノール、メトキシプロパノール、及びエトキシプロパノール等、エーテル及びヒドロキシ部分の両方を有する溶剤、メチル2−ヒドロキシイソブチレート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル、ならびに二塩基エステル、プロピレンカルボネート、及びガンマブチロラクトン等の他の溶剤等、好適な溶剤に溶解される。溶剤中の乾燥成分の濃度は、塗布方法等いくつかの要因に依存する。一般的に、下地コーティング組成物の固形分はコーティング組成物の全重量の約0.5〜20重量パーセントで変動し、好ましくは、固形分はコーティング組成物の全重量の約0.5〜10重量パーセントで変動する。
【0085】
例示的なフォトレジストシステム
下地コーティング組成物と用いるためのフォトレジストは典型的にポリマーと1つ以上の酸発生剤とを含む。一般的に好ましいのはポジ型レジストであり、レジストポリマーはレジスト組成物にアルカリ性の水溶解性を与える官能基を有する。例えば、好まれるのは、ヒドロキシルもしくはカルボキシレート等の極性官能基、またはリソグラフィ加工のときにかかる極性部分を遊離させることができる酸不安定基を含む、ポリマーである。好ましくは、ポリマーは、水性アルカリ溶液で現像可能なレジストを行うのに十分な量でレジスト組成物に用いられる。
【0086】
酸発生剤もまた、フェノールを含む任意に置換されたフェニル、任意に置換されたナフチル、及び任意に置換されたアントラセン等の、芳香族基を含有する繰り返し単位を含むポリマーと好適に用いられる。ポリマーを含有する任意に置換されたフェニル(フェノールを含む)は、EUV及び電子線(e−beam)放射で像形成されるものを含む多くのレジストシステムに特に好適である。ポジ型レジストについては、ポリマーはまた、酸不安定基を含む1つ以上の繰り返し単位を好ましく含有する。例えば、任意に置換されたフェニルまたは他の芳香族基を含有するポリマーの場合では、ポリマーは、アクリレートまたはメタクリレート化合物のモノマーを酸不安定エステルと重合することで形成されるポリマー(例えば、t−ブチルアクリレートまたはt−ブチルメタクリレート)等、1つ以上の酸不安定部分を含有する繰り返し単位を含んでもよい。かかるモノマーは、任意にフェニル等の芳香族基を含む1つ以上の他のモノマー、例えばスチレンまたはビニルフェノールモノマーで共重合されてもよい。
【0087】
かかるポリマーの形成に用いられる好ましいモノマーは:以下の式(V)を有する酸不安定モノマー、以下の式(VI)のラクトン含有モノマー、アルカリ現像液中の溶解率を調整するための以下の式(VII)の塩基可溶性モノマー、及び以下の式(VIII)の酸発生モノマー、または少なくとも1つの上記のモノマーを含む組み合わせ、を含み、
【0089】
式中、各R
aは独立して、H、F、−CN、C
1−10アルキル、またはC
1−10フルオロアルキルである。式(V)の酸脱保護モノマーでは、R
bは独立して、C
1−20アルキル、C
3−20シクロアルキル、C
6−20アリール、またはC
7−20アラルキルであり、各R
bは別々であるか、または少なくとも1つのR
bは隣接するR
bと結合して環状構造を形成する。式(VI)のラクトン含有モノマーでは、Lは単環、多環、または縮環多環のC
4−20ラクトン含有基である。式(VII)の塩基可溶性モノマーでは、Wは12以下のpKaを有する、ハロゲン化または非ハロゲン化、芳香族または非芳香族のC
2−50ヒドロキシル含有有機基である。式(VIII)の酸発生モノマーでは、Qはエステル含有または非エステル含有及びフッ素化または非フッ素化であり、C
1−20アルキル、C
3−20シクロアルキル、C
6−20アリール、またはC
7−20アラルキル基であり、Aはエステル含有または非エステル含有及びフッ素化または非フッ素化であり、C
1−20アルキル、C
3−20シクロアルキル、C
6−20アリール、またはC
7−20アラルキルであり、Z
−はカルボン酸塩、スルホン酸塩、スルホンアミドのアニオン、またはスルホンイミドのアニオンを含むアニオン性部分であり、G
+はスルホニウムまたはヨードニウムカチオンである。
【0090】
例示的な酸脱保護モノマーは以下を含むがこれらに限定されず、
【0092】
または上記のうちの少なくとも1つを含む組み合わせを含み、式中、R
aはH、F、−CN、C
1−6アルキル、またはC
1−6フルオロアルキルである。
【0093】
好適なラクトンモノマーは以下の式(IX)のものであってもよく、
【0095】
式中、R
aはH、F、−CN、C
1−6アルキル、またはC
1−6フルオロアルキルであり、RはC
1−10アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、wは0〜5の整数である。式(IX)では、Rはラクトン環と直接接続するかラクトン環及び/または1つ以上のR基に共有して接続しており、エステル部分はラクトン環に直接、またはRを介して間接的に接続される。
【0098】
または少なくとも1つの上述のモノマーを含む組み合わせを含み、式中、R
aはH、F、−CN、C
1−10アルキル、またはC
1−10フルオロアルキルである。
【0099】
好適な塩基可溶性モノマーは以下の式(X)のものであってもよく、
【0101】
式中、各R
aは独立して、H、F、−CN、C
1−10アルキル、またはC
1−10フルオロアルキルであり、Aはヒドロキシル含有または非ヒドロキシル含有、エステル含有または非エステル含有、フッ素化または非フッ素化のC
1−20アルキレン、C
3−20シクロアルキレン、C
6−20アリーレン、またはC
7−20アラルキレンであり、xは0〜4の整数であり、xが0であるとき、Aはヒドロキシ含有C
6−20アリーレンである。
【0102】
例示的な塩基可溶性モノマーは以下の構造を有するもの:
【0104】
または上記のうちの少なくとも1つを含む組み合わせを含み、式中、R
aはH、F、−CN、C
1−6アルキル、またはC
1−6フルオロアルキルである。
【0105】
好ましい酸発生モノマーは、式(XI)または(XII)のものを含み、
【0107】
式中、各R
aは独立して、H、F、−CN、C
1−6アルキル、またはC
1−6フルオロアルキルであり、Aはフッ素置換されたC
1−30アルキレン基、フッ素置換されたC
3−30シクロアルキレン基、フッ素置換されたC
6−30アリーレン基、またはフッ素置換されたC
7−30アルキレン−アリーレン基であり、G
+はスルホニウムまたはヨードニウムカチオンである。
【0108】
好ましくは、式(XI)及び(XII)では、Aは−[(C(R
1)
2)
xC(=O)O]
b−C((R
2)
2)
y(CF
2)
z−基、またはo−、m−、またはp−置換された−C
6F
4−基であり、各R
1及びR
2はそれぞれ独立して、H、F、−CN、C
1−6フルオロアルキル、またはC
1−6アルキルであり、bは0または1であり、xは1〜10の整数であり、y及びzは独立して、0〜10の整数であり、y+zの合計は少なくとも1である。
【0111】
または上記の少なくとも1つを含む組み合わせを含み、各R
aは独立して、H、F、−CN、C
1−6アルキル、またはC
1−6フルオロアルキルであり、kは好適に0〜5の整数であり、G
+はスルホニウムまたはヨードニウムカチオンである。本明細書に様々な式を通して言及されるG
+は本明細書に開示される酸発生剤であってもよく、オキソ−ジオキソラン部分及び/またはオキソ−ジオキサン部分を含んでもよい。
【0112】
好ましい酸発生モノマーはスルホニウムまたはヨードニウムを含んでもよい。好ましくは、式(IV)では、G
+は式(XIII)のものであり、
【0114】
式中、XはSまたはIであり、各R
0はハロゲン化または非ハロゲン化であり、独立して、C
1−30アルキル基、多環または単環のC
3−30シクロアルキル基、多環または単環のC
4−30アリール基、もしくは上記の少なくとも1つを含む組み合わせであり、XがSであるときに、1つのR
0基は任意に1つの隣接するR
0基と単結合で接続され、aは2または3であり、XがIであるときに、aは2であるか、またはXがSであるときに、aは3である。
【0115】
例示的な酸発生モノマーは、以下の式を有するものを含む。
【0117】
本発明のポジ型の化学増幅されたフォトレジストに使用するための酸不安定脱ブロック基を有する具体的な好適なポリマーは、欧州特許出願第0829766A2号(アセタール及びケタールポリマーを有するポリマー)及び欧州特許出願第EP0783136A2号(1)スチレン、2)ヒドロキシスチレン、及び3)酸不安定基、特にアルキルアクリレート酸不安定基の単位を含むターポリマーならびに他のコポリマーに開示されている。
【0118】
193nm等、200nm未満で像形成されるフォトレジストに用いる追加の好ましい樹脂は、以下の一般式(I)、(II)、及び(III)の単位を含む。
【0119】
193nm等、200nm未満で像形成されるフォトレジストに用いられる好ましい樹脂は、以下の一般式(I)、(II)、及び(III)の単位を含み、
【0121】
式中、R
1は(C
1−C
3)アルキル基であり、R
2は(C
1−C
3)アルキレン基であり、L
1はラクトン基であり、nは1または2である。
【0122】
本発明のフォトレジストに用いるポリマーは、分子量及び多分散度で好適に大きく変動してもよい。好適なポリマーには、約1,000〜約50,000、より典型的には約2,000〜約30,000のM
wを有し、約3以下の分子量分布、より典型的には約2以下の分子量分布を有するものが含まれる。
【0123】
本発明の好ましいネガ型組成物は、酸に曝露することで硬化する、架橋する、または固まる材料の混合物、及び本明細書に開示される2つ以上の酸発生剤を含む。好ましいネガ型組成物は、フェノール性または非芳香族のポリマー等のポリマーバインダ、架橋剤成分、及び本発明の光活性成分を含む。かかる組成物及びその使用は、欧州特許出願第0164248号、及びThackeray等への米国特許第5,128,232号に開示されている。ポリマーバインダ成分として用いるのに好ましいフェノール性ポリマーには、ノボラック類及び上で論じたもの等のポリ(ビニルフェノール)類を含む。好ましい架橋剤には、メラミン、グリコールウリル、ベンゾグアナミン系材料、及び尿素系材料を含むアミン系材料を含む。メラミンホルムアルデヒドポリマーがしばしば特に好適である。かかる架橋剤、例えばメラミンポリマー、グリコールウリルポリマー、尿素系ポリマー、及びベンゾグアナミンポリマーは市販されており、例えば、Cytec社によってCymel 301、303、1170、1171、1172、1123、及び1125、ならびにBeetle 60、65、及び80の商品名で販売されるものが挙げられる。
【0124】
本発明の特に好ましいフォトレジストは液浸リソグラフィ用途に用いられてもよい。例えば、好ましい液浸リソグラフィフォトレジスト及び方法の論議については、Rohm and Haas Electronic Materials社への米国特許第7,968,268号を参照されたい。
【0125】
本発明のフォトレジストはまた、単一の酸発生剤または異なる酸発生剤の混合物、典型的には2つまたは3つの異なる酸発生剤の混合物、より典型的には合計で2つの異なる酸発生剤からなる混合物を含んでもよい。フォトレジスト組成物は、組成物のコーティング層に活性化放射線への露光後に潜像を生成するのに十分な量で使用される酸発生剤を含む。例えば、酸発生剤は、フォトレジスト組成物の全固形分に基づいて1〜20重量%の量で好適に存在するであろう。
【0126】
好適な酸発生剤は、化学増幅されたフォトレジストの技術分野において知られており、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート等のオニウム塩、2−ニトロベンジル−p−トルエンスルホネート、2,6−ジニトロベンジル−p−トルエンスルホネート、及び2,4−ジニトロベンジル−p−トルエンスルホネート等のニトロベンジル誘導体、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、及び1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等のスルホン酸エステル、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、及びビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、ならびに2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等のハロゲン含有トリアジン化合物、を含む。
【0127】
本明細書において言及されるように、酸発生剤は、EUV放射線、電子線放射線、193nm波長放射線、または他の放射源等の活性化放射線に露光されると、酸を生成することができる。本明細書において言及される酸発生剤化合物は、光酸発生剤化合物とも称され得る。
【0128】
本発明のフォトレジストはまた、他の材料を含有してもよい。例えば、他の任意の添加剤は、化学及び造影剤、抗ストリエーション(anti−striation)剤、可塑剤、加速剤、及び増感剤を含む。かかる任意の添加剤は、フォトレジスト組成物中に微量濃度で典型的に存在するであろう。
【0129】
あるいは、または追加で、他の添加剤は、例えば、水酸化物、カルボン酸塩、アミン、イミン、及びアミドに基づくもの等、非光分解性塩基である消光剤を含んでもよい。好ましくは、かかる消光剤はC
1−30有機アミン類、イミン類、またはアミド類を含み、または強塩基(例えば、水酸化物またはアルコキシド)もしくは弱塩基(例えば、カルボン酸塩)のC
1−30第4級アンモニウム塩であってもよい。例示的な消光剤は、トリプロピルアミン、ドデシルアミン、トリス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン等のアミン類、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、アミノフェノール、及び2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のアリールアミン類、ジアザビシクロウンデセン(DBU)またはジアザビシクロノネン(DBN)等のヒンダードアミン、またはテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)またはテトラブチルアンモニウムラクテート等の第4級アルキルアンモニウム塩を含むイオン性消光剤を含む。
【0130】
界面活性剤はフッ素化及び非フッ素化界面活性剤を含み、好ましくは非イオン性である。例示的なフッ素化非イオン性界面活性剤には、3M社より入手可能なFC−4430及びFC−4432界面活性剤等のパーフルオロC
4界面活性剤、ならびにOmnova社からのPOLYFOX PF−636、PF−6320、PF−656、及びPF−6520フルオロ界面活性剤等のフルオロジオールが含まれる。
【0131】
フォトレジストは更に、フォトレジストに用いられる成分を溶解、分配、及び塗布するのに一般的に好適な溶剤を含む。例示的な溶剤には、アニソール、乳酸エチル、1−メトキシ−2−プロパノール、及び1−エトキシ−2プロパノールを含むアルコール、n−ブチルラクテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、メトキシエトキシプロピオネート、エトキシエトキシプロピオネートを含むエステル類、シクロヘキサノン及び2−ヘプタノンを含むケトン、ならびに上記溶剤の少なくとも1つを含む組み合わせが含まれる。
【0132】
リソグラフィ処理
使用において、本発明のコーティング組成物は、スピンコーティング等の多種多様な方法の任意のものによって、コーティング層として基材に塗布される。一般的にコーティング組成物は基材上に、約0.02〜0.5μmの乾燥層厚さ、好ましくは約0.04〜0.20μmの乾燥層厚さで塗布される。基材は好適に、フォトレジストを伴う処理に用いられる任意の基材である。例えば、基材は、ケイ素、二酸化ケイ素、またはアルミニウム−酸化アルミニウムマイクロ電子ウェハであり得る。ガリウムヒ素、炭化ケイ素、セラミック、石英、または銅基材もまた使用してもよい。液晶ディスプレイまたは他のフラットパネルディスプレイ用途のための基材、例えばガラス基材、インジウムスズ酸化物でコーティングされた基材等も、好適に使用される。光学及び光学電子デバイス(例えば、導波管)のための基材もまた、使用可能である。
【0133】
好ましくは、塗布されたコーティング層は、フォトレジスト組成物が下地コーティング組成物の上に塗布される前に硬化される。硬化条件は下地コーティング組成物の成分によって変化する。特に硬化温度はコーティング組成物に使用される具体的な酸または酸(熱)発生剤に依存する。典型的な硬化条件は約80℃〜225℃で約0.5〜5分間である。硬化条件は、好ましくはコーティング組成物コーティング層を、使用されるフォトレジスト溶剤及び現像液に対して実質的に不溶にする。
【0134】
かかる硬化後に、フォトレジストは、塗布されたコーティング組成物の表面上に塗布される。底部コーティング組成物層の塗布と同様に、オーバーコートされたフォトレジストは、スピニング、ディッピング、メニスカス、またはローラーコーティング等のいかなる標準的な手段によっても塗布可能である。塗布後、フォトレジストコーティング層は、好ましくはレジスト層が不粘着となるまで溶剤を除去するために、典型的に加熱することで乾燥される。最適には、基本的に底部組成物層とオーバーコートされたフォトレジスト層との混合は発生するべきでない。
【0135】
レジスト層は次に、従来の様態でマスクを通して、248nm、193nm、またはEUV放射線等の活性化放射線で像形成される。露光エネルギーは、レジストシステムの光活性成分を効果的に活性化してレジストコーティング層にパターニングされた像を生成するのに十分なものである。典型的には、露光エネルギーは約3〜300mJ/cm
2の範囲内であり、部分的には露光ツール及び使用される特定のレジストならびにレジスト処理に依存する。露光されたレジスト層は、コーティング層の露光と非露光領域の間の溶解度の差を作るか増強することを望む場合は、露光後ベークに供されてもよい。例えば、ネガ型硬化フォトレジストは典型的に、酸で促進された架橋反応を誘起するために露光後加熱を必要とし、多くの化学増幅されたポジ型レジストは酸促進された脱保護反応を誘起するために露光後加熱を必要とする。典型的な露光後ベーク条件には、約50℃以上の温度、より具体的には約50℃〜約160℃の温度が含まれる。
【0136】
フォトレジスト層はまた、液浸リソグラフィシステム、すなわち、露光ツール(特に映写レンズ)とフォトレジストでコーティングされた基材との間の空間が水または強化された屈折率を有する液体を提供することのできる硫酸セシウム等の添加剤と混合された水等の浸漬液によって占有される部分で露光されてもよい。好ましくは、浸漬液(例えば、水)は気泡の発生を回避するように処理されており、例えば、水はナノバブルの発生を回避するために脱ガスされてもよい。
【0137】
本明細書中の「液浸露光」または他の類似表現への言及は、露光が、かかる露光ツールとコーティングされたフォトレジスト組成物層との間に介在する液体層(例えば、水または添加剤を有する水)を用いて行われることを示す。
【0138】
露光されたフォトレジスト層は次に、膜の一部を選択的に除去してフォトレジストパターンを形成することができる好適な現像液で処理される。ネガ型現像プロセスでは、フォトレジスト層の非露光領域は、好適な非極性溶剤で処理することによって選択的に除去することができる。ネガ型現像の好適な手順については、米国特許出願第2011/0294069号を参照されたい。ネガ型現像のための典型的な非極性溶剤は、ケトン、エステル、炭化水素、及びそれらの混合物から選択される溶剤等の有機現像液であり、例えば、アセトン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、メチルアセテート、ブチルアセテート、及びテトラヒドロフランである。NTDプロセスで用いられるフォトレジスト材料は、好ましくは、有機溶剤現像液でネガ型像を、またはテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド溶液等の水性塩基現像液でポジ型像を形成することができる、フォトレジスト層を形成する。好ましくは、NTDフォトレジストは、脱保護されると、カルボン酸基及び/またはヒドロキシル基を形成する酸感応性(脱保護可能)基を有するポリマーに基づく。
【0139】
あるいは、露光されたフォトレジスト層の現像は、露光された層を膜の露光部分(フォトレジストがポジ型である部分)を選択的に除去するか、または膜の非露光部分(フォトレジストが露光領域において架橋可能な部分、すなわちネガ型)を除去することのできる好適な現像液で処理することによって実現可能である。好ましくは、フォトレジストは脱保護されるとカルボン酸基を形成する酸感応性(脱保護可能)基を有するポリマーに基づいてポジ型であり、現像液は好ましくは金属イオンを含まないテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド溶液、例えば、水性0.26Nテトラメチルアンモニウムヒドロキシドである。パターンは現像によって形成される。
【0140】
現像された基材は次に、フォトレジストがむき出しの基材の領域上で、例えば、従来周知の手順に従ってフォトレジストがむき出しの基材領域を化学的にエッチングまたはめっきすることで選択的に処理されてもよい。好適なエッチング剤には、フッ化水素酸エッチング溶液及び酵素プラズマエッチング等のプラズマガスエッチングが含まれる。プラズマガスエッチングは下地コーティング層を除去する。
【0141】
以下の非限定的な実施例は本発明を図示する。
【0144】
34gのアニソール内の、THEIC(トリス(2−ヒドロキシエチル)イソ−シアヌレート)
1(30.43g、116.5mmol)、TCEIC
2(トリス(2−カルボキシエチル)イソ−シアヌレート)(20.11g、58.2mmol)、n−ブタノール(20.11g、271.5mmol)、p−TSA(p−トルエンスルホン酸)(0.53g、2.8mmol)を溶解した。反応液を、次いで150℃で、3時間加熱した。3時間後、温度を120℃に低減した。次いで、溶液を、78gのHBM(2−ヒドロキシイソ酪酸メチルエステル)を添加することによって希釈した。80gのHBMと0.28gのTEA(トリエチルアミン)との混合物を、次いでコポリマー
3を含有する溶液(約200g)に注いだ。
【0147】
上の実施例1で生成されたプレポリマー溶液(樹脂
1を含有する)(100g)を、50℃まで加熱した。X−リンカー
2(1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)テトラヒドロイミダゾ[4,5−d]イミダゾール−2,5(1H,3H)−ジオン)(5.5g、17.3mmol)、pTSA(0.17g、0.8mmol)を、溶液に添加した。次いで、溶液を50℃で、3時間加熱した。3時間後、温度を20℃に低減した。
次いで、0.17gのTEAを溶液に添加した。
【0148】
ポリマー溶液をイソプロパノール(870g)とヘプタン(580g)との混合溶剤へと滴下し、得られた混合物を0.5時間撹拌した。固体を、40℃で、1日間、減圧下で濾過及び乾燥した。
【0149】
乾燥ポリマー
3は、以下の特徴:重量平均分子量(Mw):7500、多分散(PD):2.5)、樹脂の全重量に基づいた重量パーセントグリコールイル単位:14.1%、を有した。
【0150】
実施例3:架橋剤結合ポリマー合成II(式(I))
【0152】
上の実施例1で生成されたプレポリマー溶液(樹脂
1を含有する)(100g)を、50℃まで加熱した。X−リンカー
2(1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)−3a−メチル−6a−プロピルテトラヒドロイミダゾ[4,5−d]イミダゾール−2,5(1H,3H)−ジオン)(6.5g、17.3mmol)及びpTSA(0.17g、0.8mmol)を溶液へ添加した。反応液を、次いで50℃で、3時間加熱した。3時間後、温度を20℃に低減し、0.17gのTEAを溶液に添加した。
【0153】
ポリマー溶液を、イソプロパノール(870g)とヘプタン(580g)との混合溶剤に滴下した。混合物を、次いで0.5時間撹拌した。固体を、40℃で、1日間、減圧下で濾過及び乾燥した。
【0154】
乾燥ポリマーは、以下の特徴:重量平均分子量(Mw):7950、多分散(PD):2.3)、樹脂の全重量に基づいた重量パーセントグリコールイル単位:12.9%、を有した。
【0155】
実施例4:架橋剤結合ポリマー合成III(式(II))
【0157】
上の実施例1で生成されたプレポリマー溶液(50g)を50℃まで加熱した。X−リンカー
2(1,3,4,6−テトラキス(シクロヘキシルオキシ)メチル)テトラヒドロイミダゾ[4,5−d]イミダゾール−2,5(1H,3H)−ジオン)(5.1g、17.3mmol)及びpTSA(0.11g、1.04mmol)を溶液に添加した。反応液を、50℃で、3時間加熱した。3時間後、共有結合型グリコールウリルを有する、上で描写された樹脂
3を提供するために、温度を20℃に低減し、0.11gのTEAを溶液に添加した。
【0159】
上の実施例2及び3のグリコールウリルポリマーの各々を、PGMEA:HBM=85:15(v/v)である配合混合溶剤に別々に添加した。2つのポリマー/混合溶剤混合物を、1日間撹拌(振とう)した。1日後、未溶解の固体を、シリンジフィルタを使用して濾過した。かかる濾過の後、混合溶剤混合物の固体パーセンテージをTGAによって測定し、結果は以下であった:
1)実施例2のグリコウリル樹脂を有する混合溶剤:固体重量パーセント18.2パーセント。
2)実施例3のグリコウリル樹脂を有する混合溶剤:固体重量パーセント29.5パーセント。
【0161】
実施例2及び3のグリコールウリルポリマーの各々を、以下の混合溶剤PGMEA:HBM=7:3(v/v)、7.5:2.5(v/v)、8:2(v/v)、8.5:1.5(v/v)、9:1(v/v)に、別々に配合した。グリコールウリルポリマー/溶剤配合物の各々を、グリコールウリルポリマー/溶剤配合物の全重量に基づいて5重量パーセントのグリコールイルポリマーで調製した。配合物を、溶剤及びポリマーを混合した後1時間撹拌した。撹拌後、配合物の各々を、未溶解の(不溶性の)ポリマーについて目視(肉眼)検査した。
【0162】
結果。実施例2のグリコールウリルポリマーを含有する配合物について、PGMEA:HBM=8:.2(v/v)以上の濃度で、不溶性ポリマーが見られた。実施例3のグリコールウリルポリマーを含有する配合物について、PGMEA:HBM=9:1(v/v)の濃度でのみ、不溶性ポリマーが見られた。
【0163】
実施例7:反射防止コーティング組成物の調製
【0164】
0.53gの、実施例2のグリコールウリル結合樹脂と、0.006gのp−TSAベンジルアンモニウム塩と、0.001gの、OMNOVA solutions Inc.社のフルオロケミカル界面活性剤Polyfox 656と、19.2gのメチル−2−ヒドロキシイソ酪酸(HBM)とを混合し、組成物の全重量に基づいて3.8重量%の溶液を得た。溶液を、0.45ミクロンの孔径を有するPTFEマイクロフィルタを通して濾過し、BARC組成物を得た。
【0166】
実施例6のBARC組成物を、150mmのシリコンウェハ上で、1500rpmでスピンコートし、次いでTEL Mark8ウェハコーティング追跡機を使用し、205℃ で、60秒間ベークした。ベーク後のBARCコーティングの厚さは、好適には約1000Åである。Dow UV(商標)1610 DUVフォトレジストを、BARCコーティング上にスピンコートし、100℃で、60秒間ベークした。次に、フォトレジスト層を0.65NAで248nmのKrFウェハステッパーを使用し、標的マスクを通して露光した。次に、フォトレジスト層を120℃で60秒間、露光後ベークし、続いて、標準の60秒間のシングルパドルプロセスにおいてDow MF(商標)CD−26 TMAH現像機を使用して現像した。
【0167】
実施例9:反射防止コーティング組成物の調製
【0168】
0.53gの、実施例4のグリコールウリル結合樹脂と、0.006gのp−TSAベンジルアンモニウム塩と、0.001gの、OMNOVA solutions Inc.社のフルオロケミカル界面活性剤Polyfox 656と、19.2gのメチル−2−ヒドロキシイソ酪酸(HBM)とを混合し、組成物の全重量に基づいて3.8重量%の溶液を得た。溶液を、0.45ミクロンの孔径を有するPTFEマイクロフィルタを通して濾過し、BARC組成物を得た。反射防止組成物を、リソグラフィによって処理し、上の実施例8で開示されるフォトレジストで像形成した。