(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本実施の形態に係わる風車の横方向から見た部分断面図である。
図2は、本実施の形態に係わる、先端側から見た風車の正面図である。
図3は、本実施の形態に係わる、基端側から見た風車の上部の背面図である。
図4は、本実施の形態に係わる風車の上面図である。
図5は、本実施の形態に係わる風車の上部の斜視図である。
(全体構造)
風車1は、固定部11と、支柱12と、風車本体部13と、集風部14と、方向舵15とを有して構成されている。風車1は、風車発電機であり、風を受けて後述する羽根車を回転させることによって、電力を生成する。すなわち、後述するように、風車1は、羽根車の回転軸の回転力を用いて発電する発電機を有する。
【0012】
風車1は、固定部11が地面に設けられた基礎Gに対して固定部11がボルトなどで固定されることによって、地表あるいはビルディングの屋上などに設置される。
支柱12は、基端部が固定部11に固定され、先端部は、ベアリングなどを有する接続部12aを介して風車本体部13に接続されている。具体的には、接続部12aは、風車本体部13に固定されたベース部12bに固定されている。よって、風車本体部13は、接続部12aのベアリングにより、支柱12の軸Ox回りに回動可能となっている。
【0013】
風車本体部13は、略直方体の形状を有しており、長手軸方向の一端である先端部に、集風部14が固定され、長手軸方向の他端である基端部に、方向舵15が設けられている。
【0014】
方向舵15は、2枚の板15a、15bから構成され、2枚の板15a、15bは、対向する面同士が非平行で、かつ対向する面間の距離が短い辺部が集風部14に最も近くなるように配置されて、風車本体部13の上面に固定されている。
【0015】
すなわち、方向舵15の2枚の板15a、15bは、風車本体部13の中心軸に対して、互いに逆方向に同じ角度だけで傾いており、2枚の板15a、15bの先端側の辺部同士の間の距離が短く、2枚の板の基端側の辺部同士の間の距離が長くなるように、2枚の板15a、15bは、風車本体部13の上面に固定される。
方向舵15が風を受けると、風車本体部13は、常に、方向舵15が風下でかつ集風部14が風上に位置するように、支柱12の軸Ox回りに回動する。
【0016】
よって、風向が変わっても、方向舵15によって、集風部14は風上に自動的に向くので、集風部14は風を効率良く取り込む。
(風車本体部の構造)
風車本体部13内には、フライホイール付きの羽根車21が、回転軸22の一端に固定されている。羽根車21は、円板状あるいは円環状のフライホイール21aを有し、フライホイール21aの外周部に、複数の羽根21bが等間隔に固設されている。すなわち、羽根車21は、回転軸22に固定されて回転可能で、外周部に環状に配置された複数の羽根21bを有する。
【0017】
風車本体部13内には、底部に固定された2つの支持部材23、24が設けられている。支持部材23と24には、それぞれ軸受23aと24aが設けられている。回転軸22は、軸受23aと24aに、回転軸22の中心軸O回りに回転可能に支持されている。
【0018】
風車本体部13の基端側に設けられた支持部材24には、2つのプレート25と26の各々の一端が固定されている。
軸受23aと24aの間には、円板状の発電機27が回転軸22に設けられている。プレート25は、発電機27を固定するためのプレートであり、プレート25の他端が固定されている。
【0019】
図6は、発電機27の正面図である。
図7は、発電機27の側面図である。発電機27は、円盤形状を有し、円板状のロータ27aと、ロータ27aを覆うステータ27bとを有する。発電機27の内部に配設されたロータ27aには、ロータ27aの回転軸回りに円環状に配置された複数の磁石(図示せず)を有する。ステータ27bは、ロータ27aを覆い、ロータ27aの複数の磁石の磁場を受けるための複数のコイル(図示せず)を内部に有する。複数のコイルは、電圧出力用の出力配線(図示せず)に接続されている。
【0020】
発電機27は、ロータ27aに固定された筒状部材27cを有する。回転軸22が筒状部材27c内に挿通されて、筒状部材27cに設けられた螺子孔27dを利用して、筒状部材27cは、螺子止めにより回転軸22に固定される。その結果、ロータ27aが回転軸22に対して固定される。
【0021】
発電機27のステータ27bは、プレート25を取り付けるための取り付け面27eを有している。取り付け面27eには、複数の螺子孔27fが形成されており、プレート25は、プレート25に設けられた螺子孔を通して、螺子止めにより取り付け面27eに固定されている。
【0022】
よって、回転軸22の回転に応じて、発電機27のロータ27aが回転すると、ステータ27bに設けられた複数のコイルに誘導電流が流れ、発電機27は、出力配線から発電電圧を出力する。
【0023】
羽根車21が、回転軸22の先端部に固定され、クラッチ付きモータ28が、回転軸22の基端部に接続されている。すなわち、モータ28は、回転軸22の一端に接続され、羽根車21は、回転軸22の他端に固定されている。始動電動機としてのモータ28は、プレート26の他端に固定されている。
【0024】
また、風車本体部13の上面には、風速計29aが設けられている。風車本体部13内には、モード駆動用のバッテリ29bが設置されている。さらに、風車本体部13内には、制御装置30が設けられており、制御装置30は、モータ28と、風速計29aと、バッテリ29bとに接続されている。
【0025】
なお、バッテリ29bは、風車本体部13の上面に設置した太陽光発電装置32を利用して、蓄電可能な蓄電池である。風車1を使用する前、初期的には、太陽光発電装置32を利用して、バッテリ29bは蓄電される。
【0026】
制御装置30は、風速計29aの検出出力が所定の風速値となると、バッテリ29bからの電源を、モータ28に供給する。モータ28は、発電機27が定格発電に必要な回転数になるまで、羽根車21を回転させる。モータ28は、モータ28の回転軸と回転軸22との接続及び接続の解除を行うためのクラッチを有している。
【0027】
制御装置30は、モータ28の回転数を監視し、モータ28による回転軸22の回転数が所定の回転数になると、クラッチにて、モータ28の回転軸と回転軸22の接続を切り離すようにモータ28のクラッチを制御する。
【0028】
風車本体部13の長手軸方向の基端部には、防音及び安全のための網状のカバー33が取り付けられている。
(集風部の構造)
集風部14は、風を取り込み可能な開口部IPと、開口部IPと連通しかつ風を排出する開口部OPとを有する円錐台形状を有している。開口部IPは、集風部14の先端側に設けられ、開口部OPは、集風部14の基端側に設けられている。開口部IPは、円形形状を有している。集風部14は、基端側に、風車本体部13の先端側に接続される円筒部14aを有している。
【0029】
円錐台形状部である集風部14内には、先端側が円錐の頂点Pが位置するように、円錐部31が設けられている。
円錐部31は、外周面上に、周方向において等間隔で配置されて固定された複数の支持板14bによって、集風部14の内周面に固定されている。すなわち、円錐部31は、複数の支持板14bによって集風部14内に固定されている。
【0030】
円錐部31は、基端側に、円筒部14a内に延出する円筒部31aを有している。
円錐台形状の集風部14の中心軸(円錐台を構成する2つの円の中心を結ぶ線)及び円錐部31の中心軸(円錐の頂点Pと円形の底面の中心を結ぶ線)は、回転軸22の中心軸Oと一致している。
【0031】
円筒部31aの直径は、円筒部14aの直径よりも小さい。これらの2つの直径の差により形成される円筒部14aと31aの間の隙間により、風を排出する開口部OPが形成される。
よって、集風部14の第1の円形部が、開口部IPである。集風部14の第2の円形部と、円錐部31との間の隙間が、開口部OPを形成する。
【0032】
開口部OPから排出された風が羽根車21の複数の羽根21bに当たるように、円筒部14aの直径と円筒部31aの直径はそれぞれ設定される。
すなわち、集風部14は、風を取り込み可能な開口部IPと、開口部IPと連通しかつ風が羽根車21の複数の羽根21bに当たるように形成され、羽根車21に対して配置された開口部OPとを有する。
そして、開口部OPは、風が複数の羽根21bに当たるように環状に形成されている。
さらに、開口部IPの面積S1が開口部OPの面積S2よりも大きくなるように、集風部14は、形成されている。
【0033】
なお、図示しないが、開口部IPに、電動式のシャッタを設け、風速が所定以上になったときには、制御装置30によりシャッタを閉じるように駆動して、強風が集風部14内に入らないようにするようにしてもよい。
(作用)
風車1は、風を受けると、方向舵15により、集風部14の先端側の開口部IPが風上方向を向くように、風車本体部13は、支柱12の軸Ox回りに回動する。
【0034】
制御装置30は、所定の風速、例えば1.5m以上の風速を示す信号を風速計29aから受信すると、バッテリ29bの電源をモータ28に供給して、始動モータとしてのモータ28を駆動する。モータ28が回転することにより、回転軸22は回転する。
【0035】
制御装置30は、モータ28の回転数が所定の回転数、例えば毎分300回転になると、クラッチを制御して、モータ28と回転軸22の接続を切り離す。この所定の回転数は、発電機27が定格発電に必要な回転数である。
【0036】
開口部IPから集風部14内に入った風は、円錐部31によって、開口部OPに向かって風が通る領域が狭くなっていくため、風速が増加する。すなわち、開口部OPの面積S2が開口部IPの面積S1よりも小さいので、広い面積の開口部IPから流入した風は、狭い面積の開口部OPから、流入時の風速よりも速い風速で噴出する。
【0037】
よって、
図1及び
図4に示すように、開口部IPから集風部14内に入った風Fは、円筒部14aと31aの間の隙間を、風速計29aが示す風速よりも速くなって通過する。
また、開口部OPの形状は、羽根車21の外周部に円環状に設けられた複数の羽根21bの配置形状と一致しているので、開口部OPから噴出した風Fは、複数の羽根21bに効率良く当たる。
【0038】
例えば、風速1.5m〜20mの風の発生率は、地域、場所等により変動はあるものの、一般に、92%である。よって、集風部14の開口部IPの面積S1と開口部OPの面積S2の差により、比較的遅い風速から発電が可能となる。例えば、風速1.5m〜20mの風によっても、発電可能となるように、面積S1とS2を設定すれば、多くの場所に設置でき、かつ羽根車21を効率よく回転させることができる。比率S1/S2は、例えば、略13である。
【0039】
以上のように、開口部IPの開口面積S1と、開口部OPの開口面積S2との比率を調整することによって、開口部OPから噴出する風の速度を、所望の範囲に設定することができる。
【0040】
また、羽根車21の中心軸から羽根21bまでの距離を調整することによって、各羽根21bが受ける風圧による羽根車21の所望の回転モーメントを設定することができる。
【0041】
さらに、羽根車21は、フライホイールを有しているので、一旦回転し始めると、フライホイールによって安定して回転する。
【0042】
さらにまた、開口部IPの前面側に設けたシャッタを設けた場合は、例えば、風速が所定の風速、例えば20m/秒以上になったとき、制御装置30は、開口部IPの前面に設けられたシャッタを駆動して開口部IPを塞ぐ。風速が20m/秒以下になったときは、制御装置30は、開口部IPに設けられたシャッタを駆動して開口部IPを開ける。
【0043】
以上のように、上述した実施の形態によれば、比較的遅い風速の風でも羽根車を回転させることができる風車及び風車発電機を提供することができる。
【0044】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。