(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6751535
(24)【登録日】2020年8月19日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】平板ワーク切断回収システム、および平板ワーク切断回収方法
(51)【国際特許分類】
B65H 31/00 20060101AFI20200831BHJP
B65H 29/26 20060101ALI20200831BHJP
B65H 29/16 20060101ALI20200831BHJP
【FI】
B65H31/00 B
B65H29/26
B65H29/16 Z
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-205893(P2015-205893)
(22)【出願日】2015年10月19日
(65)【公開番号】特開2017-77937(P2017-77937A)
(43)【公開日】2017年4月27日
【審査請求日】2018年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100152571
【弁理士】
【氏名又は名称】新宅 将人
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 力
(72)【発明者】
【氏名】チェ ヨンボン
【審査官】
松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−267214(JP,A)
【文献】
実開昭51−053678(JP,U)
【文献】
特開昭60−052412(JP,A)
【文献】
特開昭53−045886(JP,A)
【文献】
米国特許第05597156(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/02
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H29/12−29/28
B65H29/32−29/38
B65H31/00−31/40
B65G15/00−15/28
B65G15/60−15/64
B65G43/00−43/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺ウェブから、短辺方向および長辺方向がウェブ搬送方向と非平行である矩形の平板ワークを切り出し、切り出し後の前記平板ワークを上流側から下流側へ搬送して回収する、平板ワーク切断回収システムであって、
長尺ウェブから、短辺方向および長辺方向がウェブ搬送方向と非平行である矩形の平板ワークに切り出す切断機構;
前記平板ワークを上流側から下流側へ搬送し、下流端縁から前記平板ワークを重力落下させるワーク搬送台;および
前記ワーク搬送台の下流側かつ前記ワーク搬送台の搬送面よりも下方に設置されたワーク回収部、を備え、
前記ワーク搬送台は、前記平板ワークを搬送方向沿って上流側から下流側に搬送するワーク搬送面を備え、前記ワーク搬送面は、下流端縁の延在方向が前記搬送方向と非直交に構成されている、
平板ワーク切断回収システム。
【請求項2】
前記ワーク搬送面は、下流端縁の延在方向が、矩形の平板ワークの短辺方向または長辺方向と平行に構成されている、請求項1に記載の平板ワーク切断回収システム。
【請求項3】
前記ワーク搬送面は、搬送面の上流端に配置された上流側回転体と下流端に配置された下流側回転体とに架け渡された無端ベルトにより構成されている、請求項1または2に記載の平板ワーク切断回収システム。
【請求項4】
前記ワーク搬送面は、互いに平行に配置された複数の無端ベルトにより構成されている、請求項3に記載の平板ワーク切断回収システム。
【請求項5】
前記下流側回転体は、下流端縁の延在方向に沿って所定の間隔で配置された複数の回転体により構成される、請求項4に記載の平板ワーク切断回収システム。
【請求項6】
前記上流側回転体の回転軸方向、および前記下流側回転体の回転軸方向が、いずれも前記搬送方向と直交する、請求項3〜5のいずれか1項に記載の平板ワーク切断回収システム。
【請求項7】
前記ワーク搬送面は、前記平板ワークが滑り落ちるように構成された傾斜面である、請求項1または2に記載の平板ワーク切断回収システム。
【請求項8】
前記ワーク搬送面の下流端縁の延在方向と、前記搬送方向とのなす角が可変に構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の平板ワーク切断回収システム。
【請求項9】
前記ワーク回収部は、
ワーク積載面;および
前記ワーク積載面の下流側に、平板ワークの長辺または短辺が突き当り可能に設けられた起立壁面、を備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載の平板ワーク切断回収システム。
【請求項10】
前記ワーク積載面は傾斜面であり、前記傾斜面は、前記ワーク搬送台のワーク搬送面の下流側に突出している側が下方となるように傾斜している、請求項9に記載の平板ワーク切断回収システム。
【請求項11】
前記ワーク積載面は傾斜面であり、前記傾斜面は、上流側に比して下流側が下方となるように傾斜している、請求項9または10に記載の平板ワーク切断回収システム。
【請求項12】
長尺ウェブから、矩形の平板ワークを切り出し、切り出し後の平板ワークを上流側から下流側へ搬送して、ワーク回収部で回収する、平板ワーク切断回収方法であって、
長尺ウェブから、短辺方向および長辺方向がウェブ搬送方向と非平行である矩形の平板ワークが切り出される切断工程:
前記平板ワークが、ワーク搬送面上で前記搬送方向に沿って上流側から下流側に搬送される搬送工程;および
前記平板ワークが、前記ワーク搬送面の下流端縁から、前記ワーク搬送面よりも下方に設置されたワーク回収部へ、重力落下によって移動する回収工程を有し、
前記ワーク搬送面の下流端縁の延在方向が前記搬送方向と非直交であり、
前記回収工程において、前記ワーク搬送面の下流端縁の延在方向と前記平板ワークの短辺方向または長辺方向とが平行な状態で、前記平板ワークが前記ワーク回収部へ移動され、前記ワーク回収部のワーク積載面上に平積される、平板ワーク切断回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、矩形の平板ワークを下流の回収部へと搬送するためのワーク搬送
台を備える平板ワーク切断回収システムに関する。特に、本発明は、ウェブの搬送方向に対して斜め方向に切り出された矩形の平板ワークの回収作業効率向上に寄与し得る
平板ワーク
切断回収システムの提供を目的とする。さらに、本発明は、ウェブの搬送方向に対して斜め方向に
平板ワークを切り出
して回収する平板ワークの
切断回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や有機EL表示装置等では、偏光板や位相差板等の光学フィルムが用いられる。偏光板や位相差板の製造工程では、長尺のウェブを長手方向に搬送しながら、光学異方性材料の塗布や、ウェブの延伸等の加工を施すことにより、光学異方性が付与される。これらの光学フィルムは、ウェブの長手方向と平行または直交する方向に、光学軸(偏光板であれば吸収軸や透過軸、位相差板であれば遅相軸や進相軸)を有している。
【0003】
光学フィルムは、画像表示装置の画面形状と合致するように矩形の平板ワークに切り出され、液晶や他の光学部材と積層貼合される。長尺ウェブから矩形ワークのカットは適宜に行われるが、光学フィルムの用途によっては、矩形の辺と光学軸が平行でも直交でもない角度となるようにカットされる場合がある。例えば、円偏光板は、偏光板の吸収軸方向と位相差板の遅相軸方向とのなす角が45°となるように両者を積層する必要があるため、偏光板および位相差板の少なくとも一方は、矩形ワークの辺方向と光学軸方向とが平行でも直交でもない所定角度をなす。また、円偏光板以外の光学フィルムでも、液晶セルの駆動方式や光学補償の方式によっては、光学フィルムの光学軸方向と矩形の辺方向とが平行でも直交でもない所定角度をなすように、矩形ワークが切り出される(例えば特許文献1〜3参照)。
【0004】
長尺ウェブからの矩形ワークへの切り出しは、例えば、光学軸方向750と平行な方向(搬送方向:MD)にウェブ70を搬送させながら、切断機構によって矩形に打ち抜くことにより行われ、複数の矩形平板ワーク75が連続的に得られる(
図7参照)。打ち抜き後のワーク75は、切断機構から下流側に搬送されて回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−130809号公報
【特許文献2】特開2000−105669号公報(
図8および
図14)
【特許文献3】WO99/40480号国際公開パンフレット(
図3,
図5および
図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
矩形に切り出された平板ワークの下流での回収は、搬送機構の搬送面上でワークを搬送して平行移動させ、搬送面の下流端縁から平板ワークを重力落下させる方法が、簡便かつ合理的である。この方法では、ワークの重心が搬送面の下流端縁から外れる位置まで搬送されると、ワークが搬送面から重力落下し、搬送機構の下流側に設けられた回収部内に収納される。このような重力落下を利用した平板ワーク回収方法は、複雑な機構を必要としないため、ワークのカットから回収までの工程を簡略化できる。
【0007】
一方、
図7に示すように、平板ワーク75が、搬送方向に対して斜め方向の矩形に切り出された場合、カット後の平板ワークが搬送面の下流端縁から回収部内へ重力落下する際に、ワークのコーナー部分が落下先端となる。そのため、回収部内に収納される際の衝撃により、平板ワークのコーナー部分が破損したり、先に回収部内に集積されている平板ワークを破損させる等の問題を生じる場合がある。また、平板ワークが搬送面から回収部内へ移動する際の重心の位置が不安定であるため、平板ワークが回収部へ落下する際に、面内での回転により平板ワークの落下姿勢が変化し、回収部の所定位置への収納が困難となる傾向がある。
【0008】
このように、搬送方向に対して斜め方向に切り出されたワークを、重力落下により効率よく回収することは困難である。そのため、従来は、ワークが搬送面から重力落下する前に、作業員が手作業でワークを回収する必要があり、作業工数増大の要因となっていた。
【0009】
このような現状に鑑み、本発明は、搬送方向に対して斜め方向に切り出された矩形の平板ワークの回収作業効率向上に寄与し得るワーク搬送台および平板ワーク切断回収システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のワーク搬送台は、平板ワークを上流側から下流側へ搬送し、下流端縁から平板ワークを重力落下させるために用いられる。特に、本発明のワーク搬送台は、
図7に示すように、短辺方向および長辺方向がウェブ搬送方向と非平行である矩形に切り出された平板ワーク75の搬送に好適に用いられる。
【0011】
なお、本明細書では、短辺方向および長辺方向がウェブ搬送方向と非平行に切り出された矩形を、「斜め方向に切り出された矩形」と称する場合がある。本明細書において、「平行」とは、両者のなす角度が厳密に0°の場合のみならず、±15°の範囲、好ましくは±10°、より好ましくは±5°の範囲を包含する。また、「直交」とは、両者のなす角度が厳密に90°の場合のみならず、90°±15°の範囲、好ましくは90°±10°、より好ましくは90°±5°の範囲を包含する。
【0012】
本発明のワーク搬送台は、矩形の平板ワークを搬送方向に沿って上流側から下流側に搬送するワーク搬送面を備える。ワーク搬送面は、下流端縁の延在方向がワーク搬送方向と非直交に構成されている。ワーク搬送面の下流端縁の延在方向は、平板ワークの矩形の短辺方向または長辺方向と平行であることが好ましい。すなわち、ワーク搬送面の下流端縁の延在方向と、平板ワークの短辺方向または長辺方向とのなす角は、好ましくは15°以内、より好ましくは10°以内、さらに好ましくは5°以内である。
【0013】
切断機構で矩形状に切り出された平板ワークは、その姿勢を保ったまま搬送台の上流端から下流側へと搬送方向に沿って移動する。本発明の搬送台を用いれば、搬送面の下流端縁の延在方向と平板ワークの短辺方向または長辺方向とが平行な状態で、その姿勢を保ったまま、平板ワークが搬送面上を搬送方向に沿って下流側へ搬送される。平板ワークの重心が搬送面の下流端縁よりも下流側に外れる位置まで搬送されると、平板ワークは搬送面から重力落下する。この際、搬送面の下流端縁の延在方向とワークの短辺方向または長辺方向とが平行であるため、平板ワークの短辺または長辺が落下先端となる。
【0014】
平板ワークの短辺または長辺を落下先端とする落下姿勢は、ウェブ搬送方向と平行に切り出された平板ワークが搬送面の下流端から重力落下する際の落下姿勢と同様である。すなわち、本発明の搬送台を用いることにより、斜め方向に切り出された平板ワークが、矩形の短辺または長辺を落下先端とする落下姿勢で搬送面から下方に重力落下する。そのため、ワークのコーナー部が落下先端となることによるワークの破損や、落下時のワークの回転による収納効率の低下が抑制される。
【0015】
一実施形態において、ワーク搬送面は、搬送面の上流端に配置された上流側回転体と下流端に配置された下流側回転体とに架け渡された無端ベルトにより構成されている。別の実施形態において、ワーク搬送面は、ワークが滑り落ちるように構成された傾斜面である。
【0016】
一実施形態において、本発明のワーク搬送台は、ワーク搬送面の下流端縁の延在方向と、ワーク搬送方向とのなす角が可変に構成されている。このような構成によれば、長尺ウェブからの平板ワークを切り出す角度が異なる場合でも、本発明のワーク搬送台からワークを重力落下させることにより、平板ワークの破損を抑止しつつ、効率よく回収部へ導くことができる。
【0017】
さらに、本発明は、上記ワーク搬送台を備える平板ワーク切断回収システムに関する。本発明の平板ワーク切断回収システムは、長尺ウェブから斜め方向に矩形の平板ワークを切り出し、切り出し後の平板ワークを上流側から下流側へ搬送して回収する。平板ワーク切断回収システムは、上流側から、切断機構、ワーク搬送台、およびワーク回収部をこの順に備える。
【0018】
切断機構は、長尺ウェブを、短辺方向および長辺方向がウェブ搬送方向と非平行である矩形の平板ワークに切り出す。ワーク搬送台は、切り出された平板ワークを上流側から下流側へ搬送し、下流端縁から平板ワークが重力落下する。ワーク回収部は、ワーク搬送台の下流側かつ前記ワーク搬送台の搬送面よりも下方に設置されており、ワーク搬送台から重力落下した平板ワークを所定位置に平積し、集積回収する。
【0019】
ワーク回収部は、ワーク積載面および起立壁面を備えることが好ましい。起立壁面は、ワーク積載面の下流側に、ワークの長辺または短辺が突き当り可能に設けられている。ワーク積載面は、傾斜面であることが好ましい。ワーク積載面が傾斜面である場合、ワーク搬送台の下流側に突出している側が下方となるように傾斜していることが好ましく、さらに、上流側に比して下流側が下方となるように傾斜していることが好ましい。
【0020】
さらに、本発明は、上記ワーク搬送台、あるいは上記平板ワーク切断回収システムを用いた平板ワーク回収方法に関する。本発明の平板ワーク回収方法は、ワーク搬送面からの重力落下を利用したものであり、複雑な機構を必要としない。そのため、搬送機構の構成や切断から回収までの工程を簡略化できる。また、平板ワークを搬送台から回収部へと移動させ、自動回収できるため、搬送台の前にワーク回収のための作業員を常時配置しておく必要がない。そのため、斜め方向に切り出された矩形の平板ワークの回収作業工数を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】平板ワーク切断回収システムの一実施形態を模式的に表す平面図である。
【
図2】ワーク搬送台およびワーク回収部の一実施形態を模式的に表す断面図である。
【
図3】ワーク搬送台の一実施形態を表す概略斜視図である。
【
図4】ワーク搬送台の一実施形態を表す概略斜視図である。
【
図5】ワーク搬送台およびワーク回収部の一実施形態を模式的に表す断面図である。
【
図7】ワークが搬送方向と非平行の矩形に切断される様子を表す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の平板ワーク切断回収システムの構成例を模式的に表す平面図である。
図1において、上側が上流、下側が下流である。平板ワーク切断回収システムは、上流側から、切断機構60、ワーク搬送台10、およびワーク回収部80をこの順に備える。切断機構60で矩形に切り出された平板ワーク75は、ワーク搬送台10上を、搬送方向MDに沿って下流側に搬送され、ワーク回収部80で積層回収される。以下、平板ワークの切り出しから回収までの各工程に沿って、本発明のワーク搬送台、および平板ワーク切断回収システムの構成を説明する。
【0023】
[切断工程]
切断機構60では、長尺のウェブ70が搬送方向MDに沿って搬送されながら、平板ワーク75が斜めに切り出される。ウェブ70および平板ワーク75は、例えば、表示装置に用いられる偏光板や位相差板等の光学フィルムである。光学フィルムは、複数のフィルムが積層されたものでもよい。また、光学フィルムは、粘着剤層や、保護フィルム等を備えるものでもよい。これらの光学フィルムは、ウェブの搬送方向(長手方向)と平行または直交方向に、光学軸750を有している。平板ワーク75は、ウェブ搬送方向に対して斜め方向の矩形に切り出される。
【0024】
矩形の長辺と搬送方向とのなす角(切り出し角度)αや、矩形のサイズは、平板ワークの用途等に応じて設定される。例えば、表示装置に用いられる光学フィルムは、画面のサイズと合致する矩形(長方形又は正方形)に切り出される。切り出された平板ワークは、矩形の長辺が、搬送方向MDと平行でも直交でもなく、所定の角度αをなす。
図1および
図7に示すように、ウェブの幅方向で、複数の平板ワークが切り出されてもよい。ウェブ幅方向の切り出し数は、1枚でもよく、3枚以上でもよい。幅方向の切り出し数は、ウェブの幅、平板ワークのサイズ、および切り出し角度αに応じて適宜に設定される。
【0025】
切断機構で矩形に切り出された平板ワーク75は、搬送方向に沿って下流側へ搬送され、搬送台10へ移動する。この際、ウェブ70の端部の残余片77,79が、搬送台10上へ搬送されないように、切断機構60と搬送台10との間隙50から残余片が排出されることが好ましい。
【0026】
[搬送工程]
搬送工程では、搬送方向に対して斜め方向に切り出された矩形の平板ワークが、搬送台10上を、上流側から下流側へ搬送される。搬送台10は、平板ワークを搬送方向沿って上流側から下流側に搬送するワーク搬送面11を備える。ワーク搬送面11は、平板ワークがその姿勢を保ったまま搬送台の上流端から下流端へと搬送方向に沿って移動するように構成されていることが好ましい。平板ワーク75が光学フィルムである場合、光学フィルムの光学軸750と搬送方向とが平行または直交する状態を保ちつつ、搬送方向に沿ってワーク搬送面11上を搬送されることが好ましい。
【0027】
図2は
図1のB1−B2線における断面の一形態を模式的に表す図である。
図2に示す形態では、ワーク搬送面11は、搬送面の上流端に配置された上流側回転体13と下流端に配置された下流側回転体15とに架け渡された無端ベルト20により構成されている。上流側回転体13は回転軸14を中心として回転可能に構成されており、下流側回転体15は回転軸16を中心として回転可能に構成されている。
【0028】
上流側回転体13と下流側回転体15との間の搬送面11の直下には、適宜の中間支持部材22が設けられていてもよい。搬送面の直下に中間支持部材22を設けることによって、搬送面上に載置された平板ワーク75の重力や無端ベルト20の自重による搬送ベルト20のたわみが抑制され、搬送面11の形状を維持できる。なお、中間支持部材22は、回転体であってもよく、固定部材(無回転体)でもよい。また、中間支持部材は、搬送面11における無端ベルト20のたわみを抑制できるものであれば、その形状や材質は、特に限定されない。上流側回転体13と下流側回転体15との間には、複数の中間支持部材22が設けられていてもよい。
【0029】
上流側回転体13および下流側回転体15が、
図2において反時計回りに回転することにより、無端ベルト20の上面により構成されるワーク搬送面11は図中左側へ平行移動する。これに伴って、ワーク搬送面11上に載置された平板ワーク75は、搬送台の上流側から下流側へと搬送され、搬送面の下流端縁19から下方へと重力落下する。なお、本実施形態において、ワーク搬送面11は、水平面でも傾斜面でもよい。
【0030】
ワーク搬送面11の下流端縁19の延在方向は、搬送方向MDと非直交である。すなわち、下流端縁19の延在方向と、搬送方向の直交方向とは、所定の角度θをなす。ワーク搬送面11をこのように構成すれば、平板ワーク75の重心がワーク搬送面11の下流端縁19から外れる位置まで搬送され、平板ワーク75がワーク搬送面11から重力落下する際の落下姿勢が制御される。
【0031】
ワーク搬送面11の下流端縁19の延在方向は、平板ワーク75の短辺方向または長辺方向と平行に構成されていることが好ましい。当該構成では、平板ワーク75がワーク搬送面11から重力落下する際、搬送面の下流端縁の延在方向とワークの短辺方向または長辺方向とが平行となるため、ワークの短辺または長辺が落下先端となる。
【0032】
ワークの落下姿勢をより安定させる観点からは、ワーク搬送面11の下流端縁19の延在方向とワークの短辺方向とが平行であることが好ましい。すなわち、下流端縁19の延在方向と搬送方向の直交方向とのなす角θは、ワーク搬送面11上を搬送中の平板ワーク75の矩形の長辺の延在方向と搬送方向とのなす角(切り出し角度)αに等しいことが好ましい。角度θは切り出し角度αと厳密に一致する必要はないが、両者の差は、好ましくは±15°以内、より好ましくは±10°以内、さらに好ましくは±5°以内である。
【0033】
一方、平板ワーク75の矩形の長辺を落下先端としてワーク搬送面11から重力落下させる場合は、角度(90°−θ)が切り出し角度αに等しいことが好ましい。すなわち、角度(90°−θ−α)は、好ましくは±15°以内、より好ましくは±10°以内、さらに好ましくは±5°以内である。
【0034】
以下、
図3および
図4を参照しながら、
図2に示す実施形態のより具体的な構成を説明する。
図3は、搬送面が無端ベルトにより構成された搬送台の一実施形態を示す概略斜視図である。
図3に示す搬送台200では、上流側に回転体としてロール213が配置されている。下流側には回転体として複数のプーリ215が配置されている。複数のプーリ215は、下流端縁219の延在方向に沿って所定の間隔で配置されている。ロール213とプーリ215との間には、無端ベルト220が架け渡されている。上流側ロール213には複数の無端ベルト220が巻き掛けられている。下流側では、1つのプーリ215に1本の無端ベルト220が巻き掛けられており、各無端ベルト220は互いに平行に配置されている。これら複数の無端ベルト220の上面が搬送台200の搬送面211を構成している。
【0035】
図3に示す搬送台200では、上流側のロール213の回転軸214と下流側のプーリ215の回転軸216とが平行である。これらの回転軸方向は、いずれも搬送方向MDと直交することが好ましい。このような構成によれば、ロール213の回転軸214とプーリ215の回転軸216が平行であるため、無端ベルト220の走行が安定する。
【0036】
搬送台200は、下流端縁219の延在方向と、搬送方向とのなす角が可変に構成されていることが好ましい。例えば、下流側に配置された各プーリ215の配置を変更すれば、ワーク搬送面の下流端縁219の延在方向と搬送方向とのなす角を任意に変更できる。このような構成によれば、ウェブからの矩形ワークの切り出し角度αに応じて、下流端縁219の延在方向を調整可能であるため、様々な角度に切り出された平板ワークの搬送への対応が可能となる。ウェブからの矩形ワークの切り出し角度αが変更された場合、それに応じて、下流端縁219の延在方向と搬送方向の直交方向とのなす角θが適宜に変更され得る。
【0037】
搬送面の下流端縁219の延在方向を変更する場合、プーリ215の配置変更に伴って搬送経路の上流端から下流端までの長さが変更される。そのため、それぞれの無端ベルト220は、必要に応じて、搬送面の上流端から下流端までの長さに対応したものに交換されてもよい。一対の回転体213,215間に架け渡される無端ベルト220として、ゴム等の伸縮可能な材料で形成されたものを採用すれば、無端ベルト220を交換することなく、プーリ215の配置を変更するのみで、下流端縁219の延在方向を変更することも可能である。
【0038】
複数の無端ベルト220は、隣接するベルト同士の隙間からワークが落下しないように配置されていれば、その種類や形状等は特に限定されない。
図3では、無端ベルト220として平ベルトが図示されているが、
図4に図示されているような線状の無端ベルト(例えば丸ベルトやVベルト)を用いることもできる。また、無端ベルトとして、タイミングベルト等を用いてもよい。回転体215は、回転動力を無端ベルト220に伝達できるものであれば、材質や形状は限定されない。必要に応じてギア付きの回転体等を用いることもできる。
【0039】
図3では、上流側の回転体として1本のロール213が用いられている。このように上流側には1つの回転体を配置し、下流側には複数の回転体を下流端縁219の延在方向に沿って所定間隔で配置すれば、搬送のための動力機構を簡略化しつつ、回転体213,215の回転軸214,216と直交する方向沿って無端ベルト220を安定に走行させることができる。なお、上流側回転体も、下流回転体と同様に所定の間隔で複数の回転体が配置されたものであってもよい。この場合も、上流側回転体213として1本のロールが用いられている場合と同様に、各回転体の回転軸方向と直交する方向に沿って無端ベルトを安定に走行させることができる。
【0040】
上流側回転体213と下流側回転体215の少なくともいずれか一方は、モータ等の動力機構に連動された駆動回転体であることが好ましい。無端ベルト220が駆動回転体に架け渡されていれば、モータ等の駆動によって無端ベルト220を走行させて、搬送面211上に載置されたワークを下流側へ自動搬送できる。上流側回転体213と下流側回転体215のいずれか一方が駆動回転体であれば、他方は動力機構と連動されていない自由回転体でもよい。
【0041】
上流側回転体213を駆動回転体とし、下流側回転体215を自由回転体とすれば、下流側回転体215の配置の変更が容易となる。搬送台のワーク搬送面の下流端縁の延在方向と搬送方向とのなす角が可変に構成されている場合、下流側回転体215が自由回転体であれば、ワークの切り出し角度に応じて下流端縁219の延在方向角θを変更する際の作業が容易となるため好ましい。上流側回転体213と下流側回転体215との間の搬送面211の直下には、無端ベルト220と接触するように中間支持部材(不図示)が設けられていてもよい。
【0042】
図4は、搬送面が無端ベルトにより構成された搬送台の別の実施形態を示す概略斜視図である。
図4に示す搬送台300では、上流端および下流端のそれぞれに回転体としてロール313,315が配置されている。下流側のロール315は、その回転軸316方向が、上流側のロール313の回転軸314と所定の角度θをなすように配置されている。上流側のロール313の回転軸方向は、搬送方向MDと直交することが好ましい。下流側ロール315が、搬送面311の下流端縁319を構成しているため、下流側ロール315の回転軸316方向と、下流端縁319の延在方向とは平行である。
【0043】
上流側ロール313と下流側ロール315との間には、複数の無端ベルト320が架け渡されている。各無端ベルト320は互いに平行に配置されており、これらの無端ベルト320の上面が搬送台300の搬送面311を構成している。このような構成によっても、平板ワークの姿勢を保持したまま、搬送方向に沿ってワーク搬送面311上を移動させることができる。
図4に示す実施形態では、下流側ロール315の配置角度を変更することにより、ワーク搬送面の下流端縁319の延在方向と搬送方向の直交方向とのなす角θを任意に変更できる。
【0044】
なお、
図4に示す実施形態では、上流側ロール313と下流側ロール315の回転軸が非平行であるため、ロールの回転に伴う無端ベルトの走行位置の変動を抑制するように、無端ベルトおよびロールが構成されていることが好まし。走行を安定させるため、無端ベルト320は、ロール313,315に対して線状に接触する細幅または細径の線状ベルトであることが好ましい。このような線状ベルトとしては、例えば、丸ベルトやVベルトが挙げられる。
【0045】
また、下流側ロール315の幅方向の所定位置上を無端ベルト320が走行するように、下流側ロール315には、無端ベルトを所定位置に係止するための係止部が設けられていることが好ましい。例えば、
図4に示す形態では、下流側ロール315の表面に、無端ベルト320を巻き掛けて係止するための係止溝3150が設けられている。なお、係止部は溝のような凹状部であってもよく、無端ベルトを係止可能に構成された凸状部であってもよい。
【0046】
以上、無端ベルトに載置されたワークを搬送する形態を中心に説明したが、ワーク搬送台の搬送面は、回転体に架け渡された無端ベルト以外の移動手段により、ワークを上流側から下流側へ搬送するものでもよい。例えば、
図5に示すように、平板ワーク75が滑り落ちるように構成された傾斜面を搬送面とすることもできる。
【0047】
図5は
図1のB1−B2線における断面の別の形態を模式的に表す図である。
図5に示す形態では、ワーク搬送面11は、平板ワーク75が滑り落ちるように構成された傾斜面である。ワーク搬送面11上に配置された平板ワーク75は、搬送台の上流側から下流側へと重力によって滑り落ち、搬送面の下流端縁19から下方へと重力落下する。このように、ワーク搬送面11を下流側が相対的に下方である傾斜面とすることによっても、平板ワークを搬送方向沿って上流側から下流側に搬送できる。
【0048】
[回収工程]
本発明の回収方法では、搬送台10の搬送台の下流端縁まで搬送された平板ワーク75が、ワーク搬送面11から下方へ重力落下し、ワーク回収部80で集積回収される。
図6は、
図1のC方向から見た場合の回収部の構成を模式的に表す正面図である。ワーク回収部80a,80bは、ワーク搬送台10の下流側かつワーク搬送台の搬送面11よりも下方に設置されている。切断機構60において、ウェブの幅方向に、複数の平板ワークが切り出される場合、
図1に示すように、平板ワーク75aおよび75bは、それぞれの位置に対応するワーク回収部80a,80bで集積回収される。
【0049】
ワーク回収部80は、ワーク積載面81を備える。ワーク積載面81は、搬送台のワーク搬送面11から重力落下により順次搬送される平板ワーク75を平積して集積回収可能に構成されている。ワーク搬送面11から重力落下した平板ワーク75は、ワーク搬送面11の下流端縁19の延在方向と平板ワークの短辺方向または長辺方向とが平行な状態で、ワーク回収部80へ移動し、ワーク積載面81上に平積される。
【0050】
好ましくは、ワーク回収部80は、
図4に示すように、ワーク積載面81の下流側に、ワークの長辺または短辺が突き当り可能に設けられた起立壁面82を有する。当該構成によれば、搬送台10から順次搬送される平板ワーク75を、ワーク回収部80の所定位置に平積して集積回収できる。
【0051】
ワーク回収部80は、平板ワーク75がワーク搬送面11から完全に離脱して自由落下する前に、平板ワーク75とワーク回収部80とが接触するように設置されることが好ましい。ワークが自由落下する前に平板ワーク75とワーク回収部80とが接触すれば、ワークの移動姿勢(落下姿勢)が一定に保たれた状態で、平板ワーク75を回収部内へと導くことができる。このような構成とするため、ワーク搬送台のワーク搬送面11とワーク回収部との間隔hは、平板ワークの長辺の長さよりも小さいことが好ましく、長辺の長さの2/3以下が好ましく、長辺の長さの1/2以下がより好ましい。
【0052】
平板ワーク75が搬送台10のワーク搬送面11からワーク回収部へ重力落下する際、ワークの前方(下流側)が後方(上流側)よりも下方となる姿勢でワークが移動する。ワーク積載面81が、上流側に比して下流側が下方となるように傾斜している傾斜面であれば、平板ワーク75が、ワーク積載面81上(あるいはワーク積載面上に先に平積されたワーク76上)に滑り込むように平積される。そのため、平板ワーク75とワーク回収部80との接触時の衝撃が低減され、回収時の衝撃によるワークの傷付きや、集積位置のズレ等が抑制される。
【0053】
また、搬送台10のワーク搬送面11から重力落下する平板ワーク75は、搬送台の下流方向への搬送による運動量と、重力落下による下方への運動量を有している。このような運動量を有するワークをワーク回収部80の所定位置に回収する観点から、ワーク積載面81は、ワーク搬送台の下流側に突出している側が下方となるように傾斜した傾斜面であることが好ましい。すなわち、ワーク回収部80のワーク積載面81は、
図1および
図6を参照して、下流側に突出しているL側が、R側に比して下方となるように構成された斜面であることが好ましい。
【0054】
さらに、ワーク積載面81がこのような傾斜面であれば、
図6に示すように、ワーク積載面81の幅Wを、平板ワーク75の幅wよりも広く採ることができる。そのため、ワーク搬送面11上でのワークの搬送位置に多少のばらつきが生じている場合でも、平板ワーク75をワーク回収部80の所定位置に平積できる。また、ワーク積載面81が傾斜面であれば、幅方向に複数のワーク回収部80a,80bが配置される場合においても、各ワーク回収部80a,80bが空間的に重なり合うことなく、ワーク積載面81の幅Wを大きくできる。
【0055】
上記回収工程によって、回収部80のワーク積載面81上に集積された所定枚数の平板ワーク75は、別の場所に搬送され、次工程に供される。次工程とは、検査、梱包・出荷、表示パネルとの貼り合わせ等である。回収部から別の場所へのワークの搬送は、適宜の自動搬送装置等を用いるものでもよく、作業員のハンドキャリーによるものでもよい。
【0056】
以上説明したように、本発明では、ワーク搬送台の下流端縁が搬送方向と直交する方向に対して所定角度をなすように構成されているため、ウェブ搬送方向に対して斜め方向の矩形に切り出された平板ワークがワーク搬送台の搬送面から落下する際の落下姿勢が制御される。そのため、落下時の平板ワークのコーナー部の破損や回収時の位置ズレ等が抑制されるとともに、回収部の所定位置に平板ワークを容易に自動回収できる。そのため、搬送台の前にワーク回収のための作業員を常時配置しておく必要がなく、平板ワークの回収作業工数が低減される。
【符号の説明】
【0057】
10,200,300 ワーク搬送台
11,211,311 ワーク搬送面
13,213,313 上流側回転体
14,214,314 回転軸
15,215,315 下流側回転体
16,216,316 回転軸
20,220,320 無端ベルト
19,219,319 下流端縁
60 切断機構
70 ウェブ
75 ワーク
750 光学軸
80 ワーク回収部
81 ワーク積載面
82,83 起立壁面