特許第6751544号(P6751544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6751544自動車の安全ベルト装置のためのセルフロック式のベルト巻取器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6751544
(24)【登録日】2020年8月19日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】自動車の安全ベルト装置のためのセルフロック式のベルト巻取器
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/405 20060101AFI20200831BHJP
   B60R 22/28 20060101ALN20200831BHJP
【FI】
   B60R22/405
   !B60R22/28 107
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-32884(P2019-32884)
(22)【出願日】2019年2月26日
(65)【公開番号】特開2019-167088(P2019-167088A)
(43)【公開日】2019年10月3日
【審査請求日】2019年3月4日
(31)【優先権主張番号】10 2018 106 664.3
(32)【優先日】2018年3月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】ミハエル シュトルツ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ズア
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ズア
【審査官】 梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/107075(WO,A1)
【文献】 特許第5557367(JP,B2)
【文献】 特開2017−144891(JP,A)
【文献】 特開2016−030451(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0031872(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/28
B60R 22/34−22/405
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に搭載される安全ベルト用のセルフロック式ベルト巻取器であって、
ベルトシャフト本体(13)およびプロフィルヘッド(14)を備えたベルトシャフトと、
前記プロフィルヘッド(14)に設けられ、ブロッキングラッチ(15)を備え、ベルトストラップ引出し方向においてベルトシャフトをブロックするために、車両に固定された噛合部(25)をブロック位置に導くように構成されたブロッキング装置と、
前記ベルトシャフト本体(13)から前記ブロッキングラッチ(15)への力伝達経路に配置された力制限装置とを備え、
前記プロフィルヘッド(14)は、支持部分(12)および前記支持部分(12)と回転不能に結合された挿入部分(18)を有するように2部分で構成されており、
前記挿入部分(18)は、前記支持部分(12)よりも高い耐変形性を有するとともに、前記ベルトシャフトがブロックされるときに前記ブロッキングラッチ(15)と前記力制限装置とを連結することを特徴とするセルフロック式ベルト巻取器
【請求項2】
前記ブロッキングラッチ(15)は前記支持部分(12)に旋回平面で旋回可能なように支承され、
前記挿入部分(18)が前記旋回平面に突入することを特徴とする、請求項1に記載のセルフロック式ベルト巻取器
【請求項3】
前記挿入部分(18)が固定区域(23)を有しており、
前記支持部分(12)は前記固定区域(23)の成形に対して形状対応する第2の切欠き(22)を有しており、該切欠きに前記挿入部分(18)が前記固定区域(23)をもって形状接合を形成しながら係合することを特徴とする、請求項1または2に記載のセルフロック式ベルト巻取器
【請求項4】
前記固定区域(23)と前記第2の切欠き(22)が星形に構成されることを特徴とする、請求項3に記載のセルフロック式ベルト巻取器
【請求項5】
前記ブロッキングラッチ(15)は前記支持部分(12)の第1の切欠き(19)に支承されており、
前記第1の切欠き(19)は開口部(17)を有し、該開口部を通して前記ブロッキングラッチ(15)が前記挿入部分(18)に当接することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のセルフロック式ベルト巻取器
【請求項6】
前記挿入部分(18)は組み付けられた状態のときに前記ベルトシャフト本体(13)の回転軸と同軸のねじ山(27)を有しており、該ねじ山によって相対回転運動を可能にするために前記ベルトシャフト本体(13)の形状対応するねじ山とねじ止めされることを特徴とする、請求項5に記載のセルフロック式ベルト巻取器
【請求項7】
前記挿入部分(18)は鋼材部品として構成されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のセルフロック式ベルト巻取器
【請求項8】
前記挿入部分(18)は突出する付加部(24,26)を介して前記支持部分(12)の形状対応する開口部(20,21)に押し込まれることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のセルフロック式ベルト巻取器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプレアンブルの構成要件を有する、自動車の安全ベルト装置のためのセルフロック式のベルト巻取器に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の安全ベルト装置は、重大な怪我を回避するために事故時に乗員を拘束する役目を果たす。このとき安全ベルト装置は、一方の端部で端部フィッティングを介して車両固定的に取り付けられるとともに、他方の端部で、車両固定的に取り付けられたベルト巻取器のベルトシャフトに取り付けられる安全ベルトを含んでいる。さらに安全ベルトには、3点ジオメトリーを具体化するために同じく車両固定的に取り付けられたベルトバックルにロック可能である、スライド可能なベルト舌部が設けられる。
【0003】
ベルト巻取器は、車両感応式および/またはベルトストラップ感応式のセンサ装置を通じて制御可能なロック装置によって、事故のときにベルトストラップ引出速度の事前設定された加速度値を超過したとき、または事前設定された車両の減速値を超過したとき、安全ベルトのそれ以上の引出しをロック可能であり、それによって乗員がその後拘束される。ロック装置は、ベルト巻取器の車両固定的な噛合部への係合運動をするためにセンサ装置によって制御可能であるロック爪を含んでいる。さらに、ベルトシャフトがロックされたときに力制限式のさらなるベルトストラップ引出しを事前設定された力制限特性に従って可能にし、それによって拘束発生時に乗員負荷を低減する、並列式または直列式に作用する1つまたは複数の力制限装置をベルト巻取器に設けることが知られている。
【0004】
そのためにベルトシャフトは2部分で施工され、ロック爪が支承されるプロフィルヘッドと、安全ベルトが巻き付けられるベルトシャフト本体とを含んでいる。そして力制限装置はプロフィルヘッドとベルトシャフト本体との間に配置されて、ロック爪を通じてのプロフィルヘッドのロックによって、および力制限装置により定義されるベルトストラップ引出し力のその後の超過によって作動化する。
【0005】
力制限装置の1つの定評のある実施形態は、ベルトシャフト本体の中空スペースを貫通し、一方の端部でベルトシャフト本体と回転不能に結合されるとともに他方の端部でプロフィルヘッドと回転不能に結合されるトーションロッドである。力制限レベルは、このような力制限装置においては、トーションロッドの長軸にトルクが作用したときのトーションロッドの可塑変形限界によって定義される。このようなベルト巻取器は、たとえば特許文献1から公知である。
【0006】
さらに特許文献2より、トーションロッドに対して平行に作用する第2の力制限装置をベルト巻取器に設けることが公知である。
【0007】
プロフィルヘッドは、ベルトシャフトの支承のために追加的に利用することができ、ロック爪を案内して支承するための複雑な成形を有している。さらに、ロック爪はロックされた位置にあるときにプロフィルヘッドに支持されるので、プロフィルヘッドは、その際にこれに及ぼされる反力を受け止めるために十分な強度を有していなければならならず、それは、負荷発生時に変形したり極端なケースでは破損したりしないためである。それに応じて、プロフィルヘッドをできる限り低コストに大量生産品として製造できるようにする基本的な尽力がなされている。こうした背景のもとで、プロフィルヘッドは注型部品または焼結部品として金属から、好ましくはZAMAKから製作されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2409882A1号明細書
【特許文献2】日本国特許第5557367号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上の背景のもとで本発明の課題は、低コストに製作することができ、冒頭に説明した要求事項に関して改良して設計することができる、ベルトシャフト本体およびプロフィルヘッドを備える2部分からなるベルトシャフトと、これらの間に配置される力制限装置とを有する、自動車の安全ベルト装置のためのセルフロック式のベルト巻取器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は本発明によると、請求項1の構成要件を有するセルフロック式のベルト巻取器によって解決される。本発明のその他の好ましい実施形態は、従属請求項、図面、およびこれに対応する説明から明らかとなる。
【0011】
本発明の基本思想によると、プロフィルヘッドが支持部分および支持部分と回転不能に結合された挿入部分を有するように2部分で構成されており、挿入部分は支持部分よりも高い耐変形性を有するとともに、ベルトシャフトがロックされたときにロック爪と力制限装置との間で摩擦接合式の結合を形成することが提案される。
【0012】
提案される解決法により、課される要求事項に関してベルト巻取器を改良することができ、それは、プロフィルヘッドが2部分で構成されることによってであり、支持部分はロック爪の支承と案内に関して特別に設計されるのに対して、挿入部分は反力の受容と伝達のために特別に設計される。それに伴ってロック爪の支承と案内の機能が、力伝達の機能から事実上切り離される。そのために挿入部分は特別に支持部分よりも高い耐変形性を有するとともに、ロック爪がロックされた位置にあるとき、ロック爪と力制限装置との間で摩擦接合式の結合を形成する。ベルトシャフト本体から及ぼされる力が、挿入部分を介して支持部分の橋渡しのもとで、好ましくはロック爪を介して直接的に、車両固定的な噛合部へと導入される。それに伴い、プロフィルヘッドの支持部分は素材選択と製造方法に関して、および特に成形方法に関して、およびこれらと関連するコストに関して最適化することができ、その際に、受け止められるべき反力に顧慮を払う必要がない。それに伴い、2部分からなるプロフィルヘッドと挿入部分とのモジュールが、課せられる要求事項に関して改善して設計することができるハイブリッドを形成する。
【0013】
さらに、ロック爪は支持部分に旋回平面で旋回可能なように支承され、挿入部分が旋回平面に突入することが提案される。この旋回平面は、非ロックの位置から、同じく旋回平面に配置される車両固定的な噛合部に係合するロックされた位置へと、ロック爪により行われる旋回運動によって定義される。旋回平面は、ベルトシャフトの回転軸に対して垂直にアライメントされるのが好ましい。それに伴い、提案される挿入部分の配置によって、ロック爪は1つの平面で車両固定的な噛合部だけでなく挿入部分にも支持される。それに伴い、挿入部分によって受け止められる反力は、ロック爪と車両固定的な噛合部との間で作用するロック力と同じ平面で作用する。換言するとロック力は、車両固定的な噛合部を起点としてロック爪を介して、方向転換なしに挿入部分へと導入される。
【0014】
さらに、挿入部分が固定区域を有しており、支持部分は固定区域の成形に対して形状対応する第2の切欠きを有しており、該切欠きに挿入部分が固定区域をもって形状接合を形成しながら係合することが提案される。提案される解決法により、力制限装置が作動化するまで挿入部分とプロフィルヘッドが回転不能な複合体を形成する。挿入部分が同じく回転不能にベルトシャフト本体と結合されている場合、挿入部分は、力制限装置によって定義される力制限レベルまで、ベルトシャフト本体とプロフィルヘッドの回転不能な結合を創出するための役目を追加的に果たす。挿入部分は固定区域の領域で反力を受け止めるために意図的に設計、配置されるので、ベルトシャフトのロックがプロセス信頼度をもって、かつプロフィルヘッドの支持部分の負荷なしに行われる。
【0015】
このとき固定区域と第2の切欠きは星形に構成されていてよいのが好ましい。提案される解決法により、非常に堅固で可能な限り方向中立的な、かつ広い面積での、支持部分と挿入部分との複合体を具体化することができる。
【0016】
さらに、ロック爪は支持部分の第1の切欠きに支承されており、第1の切欠きは開口部を有し、該開口部を通してロック爪が挿入部分に当接することが提案される。第1の切欠きは特別な輪郭を有しており、該輪郭によって、ロックされた位置へのロック爪の運動が特に制御されて案内される。そのためにはロック爪が、コントロールされない、ないしは意図されない運動を行い得ないようにするために、必ずそれぞれ異なる位置で第1の切欠きの1つまたは複数の壁部に当接しなければならない。本発明によると、ロック爪の案内のためにこのように重要な第1の切欠きの少なくとも1つの壁部が開口部によって中断され、それにより、ロック爪は支持部分の橋渡しのもとで、好ましくは直接的に挿入部分に当接し、ないしは当接することができる。
【0017】
さらに、力制限装置の作動化がストッパによって制限されることが提案され、それにより、累進的な力制限特性またはストップ特性(LLS)を具体化することができる。
【0018】
さらに、挿入部分は組み付けられた状態のときにベルトシャフト本体の回転軸と同軸のねじ山を有しており、該ねじ山によって相対回転運動を可能にするためにベルトシャフト本体の形状対応するねじ山とねじ止めされることが提案される。ねじ山結合により、ベルトシャフト本体と挿入部分の軸方向の複合体が創出される。さらにはねじ山方向を適宜選択することで、力制限装置が作動化したときに、ベルトシャフト本体が事前設定された相対回転運動を行い、それによって強制される軸方向運動を挿入部分に対して行うことが可能になる。
【0019】
このときストッパはこのようなケースでは、ねじ山によって可能となる相対回転運動を制限するように配置されるのが好ましい。このことは、たとえばねじ山のペアが一体化することによって、または一方のねじ山にそれ以上の回転運動をロックするストッパが設けられることによって具体化されていてよい。
【0020】
さらに、挿入部分は好ましくは冷間成形によって製作することができる鋼材部品として構成されることが提案される。それに伴い、鋼材の非常に高い強度に基づき、および特に焼結部品や特にZAMAK部品に比べてはるかに高い強度に基づき、焼結部品として非常に低コストに非常に複雑な成形で製作できるプロフィルヘッドよりも著しく高い力を挿入部分が受け止めることができる。さらに、それに伴って挿入部分のねじ山をすでに挿入部分の製作時に一体成形することができ、その他の後加工を必要とすることがない。
【0021】
さらに、挿入部分は突出する付加部を介して支持部分の形状対応する開口部に押し込まれることが提案される。それに伴って挿入部分と支持部分は複合体を形成し、2部分からなるプロフィルヘッドとみなせるだけでなく、ある程度の力までは回転不能のモジュールともみなすことができる。
【0022】
次に、好ましい実施形態を用いて、添付の図面を参照しながら本発明について説明する。図面は次のものを示す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】トーションロッドを有する本発明によるセルフロック式のベルト巻取器を第1の視線で示す分解図である。
図2】トーションロッドを有する本発明によるセルフロック式のベルト巻取器を第2の視線で示す分解図である。
図3】ロックをする位置で挿入部分の固定区域に当接するロック爪である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1および2には、本発明によるセルフロック式のベルト巻取器をそれぞれ異なる視線で分解図として見ることができる。このベルト巻取器は、それぞれ開口部が設けられた向かい合う2つの脚部を備える図示しないU字型のフレームを有している。ベルト巻取器はこのフレームを介して車両構造または車両シートのいずれかへ車両固定的に固定される。さらにベルト巻取器は、フレームの脚部の開口部で支承される、ベルトシャフト本体13、プロフィルヘッド14、およびトーションロッド16を備える2部分からなるベルトシャフトを有している。ベルトシャフト本体13は安全ベルトを巻き付ける役目を果たし、それに対してプロフィルヘッド14には第1の切欠き19が設けられており、該切欠きの中で、図3にのみ見ることができるロック爪15が旋回可能に支承される。トーションロッド16は、第1の端部をもってベルトシャフト本体13と回転不能に結合されるとともに、第2の端部をもってプロフィルヘッド14と回転不能に結合されて、後でまた詳しく説明する力制限装置を形成する。
【0025】
ロック爪15はロック装置の一部であり、見ることができない車両感応式および/またはベルトストラップ感応式のセンサ装置によって制御され、それにより、図3に部分的に見ることができるフレームの開口部の車両固定的な噛合部25に入る旋回運動をするように強制され、それによって、ひいてはベルトシャフトが安全ベルトのそれ以上の引出しに対してロックされる。それ以後、安全ベルトを引き出すことができるのは、トーションロッド16の可塑変形限界が超過されて、トーションロッド16がその長軸を中心とする可塑変形により、ロックされたプロフィルヘッド14に対するベルトシャフト本体13の相対回転運動を可能にしたときに限られる。上記の限りにおいて、ベルト巻取器は従来技術に相当している。
【0026】
本発明によると、支持部分12と挿入部分18とを有する、改良された2部分からなるプロフィルヘッドベルト14が巻取器に設けられる。第1の切欠き19はここでは支持部分12に設けられていて、定義された成形を有する1つまたは複数の壁部によって形成される。ロック爪15は第1の切欠き19に当接し、特に第1の切欠き19の成形によって、車両固定的な噛合部25への進入運動中に運動工学的に制御される。それに伴い、第1の切欠き19の成形はベルト巻取器の機能性にとって、およびロック装置の機能性にとって特別な意義があり、形状精度に関して非常に高い要求が課せられる。さらに支持部分12はその下面に星形の第2の切欠き22を有しており、該切欠きは円周方向で、支持部分12の互いに間隔をおく円切片区域29によって区切られる。
【0027】
挿入部分18は、半径方向に突出する突起部または輻射部を備えた同じく星形の固定区域23を有しており、該固定区域は支持部分12の第2の切欠き22に対して同一の成形を有する。さらに挿入部分18は、同軸のねじ山27が上に配置された円筒状の延長部26を有している。
【0028】
挿入部分18の固定区域23と支持部分12の第2の星形の切欠き22は、図3の切り開いた図面にも見られるように、固定区域23が第2の切欠き22に挿入された位置にあるとき、ロック爪15の旋回平面に入るまで延びるように寸法設定されている。支持部分12の切欠き19は、ロック爪15の旋回平面に配置された側方の開口部17を有していて、これを通してロック爪15が挿入部分18の固定区域23のすぐ側方に当接しており、ないしはロックをする位置のときに当接する。挿入部分18がベルトシャフト本体13と回転不能に結合され、ロック爪15が車両固定的な噛合部25でロックされているケースについて、ロック爪15は支持部分12の橋渡しのもとで挿入部分18の固定区域23に支持され、およびそれに伴ってベルトシャフト本体13に対して支持される。それに伴い挿入部分18は、トーションロッド16を介してベルトシャフト本体13へのロック爪15の摩擦接合式の結合を形成する。
【0029】
挿入部分18は、ここでは耐変形性が非常に高い鋼材部品として構成されており、それに対して支持部分12は、挿入部分18よりも耐変形性の低い低コストな素材から焼結部品、注型部品、または射出成形部品として構成されている。その素材としてここではたとえばZAMAK、あるいは形状安定的なプラスチックが考慮の対象となる。
【0030】
さらに挿入部分18には、軸方向に突出する2つの付加部24が設けられており、該付加部は、支持部分12の同一に配置された形状対応する開口部20および21に組み付けられたときプレス嵌めをなすようにかしめられる。それに伴い、支持部分12はこれ以降挿入部分18とともに固定的な複合体を形成し、2部分からなるプロフィルヘッド14とも呼ぶことができる。
【0031】
さらに挿入部分18は、円筒状の延長部26に配置された同心的なプロフィル開口部28を有していて、該プロフィル開口部の中でトーションロッド16が第2の端部をもって回転不能に固定される。トーションロッド16はもう一方の第1の端部をもって、周知の仕方により、ベルトシャフト本体13の図示しないプロフィル開口部の中で回転不能に固定される。挿入部分18は固定区域23をもってベルトシャフト本体13と同軸に配置され、それにより、ベルトシャフト本体13は力制限されるベルトストラップ引出し運動中に挿入部分18に対して同心的に回転する。
【0032】
ベルトシャフト本体13には、雌ねじを有するねじ込みインサート11が中で回転不能に固定される別のプロフィル開口部10が設けられている。挿入部分18はねじ山27をもって意図的に完全にではなく、すなわち数回の回転でのみ、ねじ込みインサート11の雌ねじにねじ込まれる。
【0033】
それに伴い、次のような原理に基づいて累進的な力制限特性あるいはストップ特性がもたらされる。まず、2部分からなるプロフィルヘッド14が、車両固定的な噛合部25に入るロック爪15の制御によってロックされる。ベルトストラップ引出し力が、力制限装置すなわちトーションロッド16により定義される力制限レベルを超過すると、トーションロッド16がその長軸を中心として可塑的にねじれ、それは、挿入部分18すなわちプロフィルヘッド14と結合されているトーションロッド16の端部がロック装置の作動化によってロックされ、それに対してベルトシャフト本体13と結合されているトーションロッド16の他方の端部はベルトストラップ引出し方向に回転することによる。その際に挿入部分18と支持部分12は固定的な複合体を形成し、図3に見られるとおり、挿入部分18は固定区域23をもって、ロック爪15を介して車両固定的な噛合部25に支持される。それと同時にベルトシャフト本体13が挿入部分18に対して回転し、それにより、ベルトシャフト本体13がねじ込みインサート11をもって、挿入部分18のねじ山27にねじ嵌めされる。それによってベルトシャフト本体13が挿入部分18の方向へ引っ張られる。このような相対回転運動が可能となるのは、ベルトシャフト本体13ないしねじ込みインサート11が、挿入部分18ないしベルトシャフト本体13の端面に当接し、それによって一体化するまでである。それに伴い、挿入部分18、ベルトシャフト本体13、またはねじ込みインサート11の端面は、挿入部分18に対するベルトシャフト本体13の回転運動を制限するためのストッパを形成する。このストッパに達すると、力制限装置はロックされた相対回転運動に基づいて不作動化され、トーションロッド16が事実上橋渡しされて、もはや可塑変形できなくなる。こうしてロックされた相対回転運動により、ベルトストラップ引出し力と乗員の拘束力が累進的な力制限特性ないしLLS力制限特性へとさらに飛躍的に上昇する。
【0034】
挿入部分18は意図的に支持部分12よりも高い強度をもつ素材で構成されて力伝達の役目を果たすのに対して、支持部分12は好ましくはたとえばプラスチック射出成形品や焼結部品などの低コストな製作を可能にする素材から製造方法で製作される。さらにプロフィルヘッド14の2部分性により、アンダーカットおよびそれによって惹起される複雑な工具設計を回避することができ、それによって製造コストをいっそう削減することができる。
【0035】
さらに支持部分12は、好都合な支承・摺動特性を有する素材から製作することができ、その際に、ロック中および特に力制限装置の作動中における力伝達に顧慮を払う必要がない。それによってこの側でのベルトシャフトの支承を改善することができる。
図1
図2
図3