【実施例】
【0031】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0032】
(触媒調製)
(実施例1)
純水564gに、硝酸コバルト六水和物27.6g、ジルコニアゾル(ZrO
2換算25質量%濃度)10.6g、硝酸セリウム六水和物9.38gを溶解して、金属硝酸塩水溶液を調製した。別途、純水268gに水酸化カリウム23.3gを溶解して、水酸化カリウム水溶液を調製した。得られた水酸化カリウム水溶液を撹拌しながら、上記金属硝酸塩水溶液を滴下し、懸濁液を得た。得られた懸濁液を吸引ろ過して、さらに水洗を行い、沈殿物を得た。得られた沈殿物を120℃の乾燥機で一晩乾燥させた後、空気雰囲気下、500℃で3時間焼成して、元素Bとしてコバルトがセリア・ジルコニア複合酸化物に担持された触媒aを得た。
【0033】
触媒a100g、純水100g、炭酸セシウム5.0gおよびコロイダルシリカゾル10gを混合し、ボールミル湿式粉砕して触媒スラリーを得た。1平方インチ当たり600セルを有する六角セルコージェライトハニカム基材に、得られた触媒スラリーをウォッシュコート法によってコートし120℃で乾燥させた。得られた乾燥後のハニカム成型体を500℃で1時間焼成し、触媒aがハニカム基材にコートされた触媒を得た。得られた触媒中の触媒aの担持量はハニカム基材1L当たり300gであった。
【0034】
次いで、前記の触媒aがハニカム基材にコートされた触媒に、さらに所定濃度の硝酸ロジウム水溶液を含浸させた後、500℃で3時間焼成して、元素Aとしてのロジウムがハニカム基材1L当たり金属換算で5.0g担持された本発明の触媒(1)を得た。
【0035】
(実施例2)
純水653gに、硝酸コバルト六水和物43.7g、硝酸アルミニウム九水和物0.675g、硝酸セリウム六水和物6.51gおよびジルコニアゾル(ZrO
2換算25質量%濃度)7.39gを溶解して、金属硝酸塩水溶液を調製した。別途、純水183gに水酸化カリウム27.3gを溶解して、水酸化カリウム水溶液を調製した。実施例1と同様にして、元素Bとしてのコバルトがアルミナ・セリア・ジルコニア複合酸化物に担持された触媒bを得た。さらに、実施例1と同様にして、触媒bがハニカム基材にコートされた触媒を得て、後は実施例1と同様にして、ロジウムが担持された触媒(2)を得た。
【0036】
(実施例3)
純水607gに、硝酸コバルト六水和物40.7g、硝酸アルミニウム九水和物4.67g、硝酸セリウム六水和物5.50gおよびジルコニアゾル(ZrO
2換算25質量%濃度)5.90gを溶解して、金属硝酸塩水溶液を調製した。別途、純水181gに水酸化カリウム27.0gを溶解して、水酸化カリウム水溶液を調製した。実施例1と同様にして、元素Bとしてのコバルトがアルミナ・セリア・ジルコニア複合酸化物に担持された触媒cを得た。さらに、実施例1と同様にして、触媒cがハニカム基材にコートされた触媒を得た。次いで、実施例1と同様にして、ロジウムが担持された触媒(3)を得た。
【0037】
(実施例4)
純水543gに、硝酸コバルト六水和物26.8g、硝酸アルミニウム九水和物4.56g、硝酸セリウム六水和物7.99gおよびジルコニアゾル(ZrO
2換算25質量%濃度)9.07gを溶解して、金属硝酸塩水溶液を調製した。別途、純水270gに水酸化カリウム23.5gを溶解して、水酸化カリウム水溶液を調製した。実施例1と同様にして、元素Bとしてのコバルトがアルミナ・セリア・ジルコニア複合酸化物に担持された触媒dを得た。さらに、実施例1と同様にして、触媒dがハニカム基材にコートされた触媒を得た。次いで、実施例1と同様にして、ロジウムが担持された触媒(4)を得た。
【0038】
(実施例5)
実施例2と同様にして、元素Bとしてコバルトがアルミナ・セリア・ジルコニア複合酸化物に担持された触媒bを得た。さらに、実施例1と同様にして、触媒bがハニカム基材にコートされた触媒を得た。次いで、前記の触媒bがハニカム基材にコートされた触媒に、さらに所定濃度の硝酸ルテニウム水溶液を含浸させた後、500℃で3時間焼成して、元素Aとしてのルテニウムがハニカム基材1L当たり金属換算で5.0g担持された触媒(5)を得た。
【0039】
(実施例6)
純水543gに、硝酸コバルト六水和物16.8g、硝酸アルミニウム九水和物4.56g、硝酸セリウム六水和物7.99gおよびジルコニアゾル(ZrO
2換算25質量%濃度)9.07gを溶解して、金属硝酸塩水溶液を調製した。別途、純水270gに水酸化カリウム23.5gを溶解して、水酸化カリウム水溶液を調製した。実施例1と同様にして、元素Bとしてのコバルトがアルミナ・セリア・ジルコニア複合酸化物に担持された触媒eを得た。さらに、実施例1と同様にして、触媒eがハニカム基材にコートされた触媒を得た。次いで、実施例1と同様にして、ロジウムが担持された触媒(6)を得た。
【0040】
(比較例1)
純水543gに、硝酸コバルト六水和物26.2g、硝酸セリウム六水和物9.53gおよびジルコニアゾル(ZrO
2換算25質量%濃度)10.8gを溶解して、金属硝酸塩水溶液を調製した。別途、純水247gに水酸化カリウム21.4gを溶解して、水酸化カリウム水溶液を調製した。実施例1と同様にして、元素Bとしてのコバルトがセリア・ジルコニア複合酸化物に担持された触媒fを得た。さらに、実施例1と同様にして、触媒fがハニカム基材にコートされた触媒(7)を得た。
【0041】
(比較例2)
純水462gに、硝酸コバルト六水和物23.3g、硝酸アルミニウム九水和物9.68gおよび硝酸セリウム六水和物11.2gを溶解して、金属硝酸塩水溶液を調製した。別途、純水244gに水酸化カリウム21.2gを溶解して、水酸化カリウム水溶液を調製した。実施例1と同様にして、元素Bとしてのコバルトがアルミナ・セリア複合酸化物に担持された触媒gを得た。さらに、実施例1と同様にして、触媒gがハニカム基材にコートされた触媒(8)を得た。
【0042】
(比較例3)
純水462gに、硝酸コバルト六水和物23.3g、硝酸アルミニウム九水和物7.80g、硝酸セリウム六水和物7.95gおよびジルコニアゾル(ZrO
2換算25質量%濃度)7.89gを溶解して、金属硝酸塩水溶液を調製した。別途、純水250gに水酸化カリウム21.8gを溶解して、水酸化カリウム水溶液を調製した。実施例1と同様にして、元素Bとしてのコバルトがアルミナ・セリア・ジルコニア複合酸化物に担持された触媒hを得た。さらに、実施例1と同様にして、触媒hがハニカム基材にコートされた触媒(9)を得た。
【0043】
(比較例4)
純水462gに、硝酸コバルト六水和物23.3g、硝酸アルミニウム九水和物7.80gおよびジルコニアゾル(ZrO
2換算25質量%濃度)7.89gを溶解して、金属硝酸塩水溶液を調製した。別途、純水250gに水酸化カリウム21.8gを溶解して、水酸化カリウム水溶液を調製した。実施例1と同様にして、元素Bとしてのコバルトがアルミナ・ジルコニア複合酸化物に担持された触媒iを得た。さらに、実施例1と同様にして、触媒iがハニカム基材にコートされた触媒を得た後、さらに実施例1と同様にして、ロジウムがハニカム基材1L当たり金属換算で5.0g担持された触媒(10)を得た。
【0044】
(比較例5)
純水540gに、硝酸アルミニウム九水和物1.80g、硝酸セリウム六水和物25.35gおよびジルコニアゾル(ZrO
2換算25質量%濃度)9.48gを溶解して、金属硝酸塩水溶液を調製した。別途、純水260gに水酸化カリウム22.6を溶解して、水酸化カリウム水溶液を調製した。実施例1と同様にして、アルミナ・セリア・ジルコニア複合酸化物を得た。さらに、実施例1と同様にして、アルミナ・セリア・ジルコニア複合酸化物をハニカム基材にコートし、次いで、実施例1と同様にしてロジウムがハニカム基材1L当たり金属換算で5.0g担持された触媒(11)を調製した。
【0045】
(アンモニア含有ガスの分解反応)
実施例および比較例で得たハニカム基材コートした触媒を30mmφのSUS316製管型反応管に充填し、常圧下、アンモニアと空気を体積比率でアンモニア/空気が1/1.1となるように混合したガスを空間速度28,000h
-1で反応管に導入した。電気炉で反応管を加熱し、出口ガス流量を測定および出口ガス成分を分析し、アンモニア転化率(%)を評価した。また、前記反応管へのガス導入を100時間継続して行い、100時間後のアンモニア転化率を評価した。なお、アンモニア転化率(%)は、出口ガス流量とアンモニア燃焼式、アンモニア分解式のマスバランスをもとに下記計算式により求めた。評価結果を表1に示した。
【0046】
アンモニア転化率(%)=100−(((アンモニア供給量−アンモニア燃焼量−アンモニア分解量)/アンモニア供給量)×100)
ここで、アンモニア燃焼量およびアンモニア分解量は下記式で求められる。
アンモニア燃焼量=4/3×(酸素供給量−(ガス流量×ガス中の酸素濃度))
アンモニア分解量=2/3×ガス流量×ガス中の水素濃度
【0047】
また、アンモニア燃焼式、アンモニア分解式は以下のとおりである。
【数1】
【0048】
【数2】
【0049】
【表1】
【0050】
表1の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜6では、触媒活性成分として元素Aと元素Bを含み、さらに耐熱性酸化物として元素Cと希土類元素との複合酸化物を含むことから、アンモニア分解活性が非常に高く、耐久性にも優れることが確認された。一方、比較例1〜3では触媒活性成分として元素Aを含まないために、アンモニア分解活性は比較的低くなること、比較例4では耐熱性酸化物として、元素Cと希土類元素との複合酸化物を含まないために、アンモニア分解活性は比較的低くなること、比較例5では触媒活性成分として元素Bを含まないために、耐久性が低くなることが確認された。