(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アクセサリーシューに係合する係合部、前記係合部が固定された本体部、前記本体部に対して回動軸周りに揺動可能な揺動部、前記揺動部に設けられた発光部、およびディフューザを備える照明装置であって、
前記ディフューザは、前記回動軸周りに前記揺動部とは独立して前記本体部に対して相対的に回動可能であり、当該回動の範囲の一端は、当該ディフューザが前記発光部の前方に位置する進出位置であり、前記回動の範囲の他端は、当該ディフューザが前記発光部の前方から退避する退避位置であり、
前記ディフューザが前記進出位置に配置されたときに前記発光部の前面を覆い当該発光部から出射される照明光を拡散して透過させる平面形状部及び当該平面形状部とは異なる形状の異形状部を有する透光部と、前記ディフューザが前記進出位置に配置されたときに前記透光部と前記発光部との間に設けられ前記揺動部の回動を可能とする空間部とを有し、
前記ディフューザが前記進出位置に配置されたときに、前記揺動部が前記本体部に対して前記回動軸周りに揺動して、前記発光部から出射される照明光の出射方向が変更されて、
前記照明光が前記異形状部を透過する場合は、前記照明光が前記平面形状部を透過する場合とは異なる照射範囲及び拡散性により拡散する
ことを特徴とする照明装置。
前記ディフューザは、前記本体部の外表面の前記回動軸と交差する一対の端部を挟持する一対の腕部を備え、前記一対の腕部は弾性変形することにより前記本体部から取り外しが可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、および各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0010】
図1は、照明装置システム10および撮像装置1の斜視図である。以下の説明においては、撮像装置1のレンズ2の光軸Oに沿って、レンズ2から被写体に向かう方向を前方と称し、この反対方向を後方と称する。照明装置システム10は、後述するように撮像装置1またはレンズ2に対して着脱可能であるが、以下の説明における照明装置システム10の各構成の方向は、
図1に示すように、照明装置システム10が撮像装置1またはレンズ2に装着された状態における方向を指すものとする。すなわち、照明装置システム10を構成する部材の前方とは、
図1に示すように、照明装置システム10が撮像装置1またはレンズ2に装着された状態においてレンズ2の光軸Oに沿って、レンズ2から被写体に向かう方向のことである。
【0011】
本実施形態の照明装置システム10は、
図1に示すように、撮像装置1のレンズ2の前方側端部の近傍において1つまたは複数の照明装置11を保持する。なお、レンズ2は、撮像装置1に脱着可能な形態であってもよいし、撮像装置1内に組み込まれた形態であってもよい。
【0012】
撮像装置1またはレンズ2は、雌ネジ部(不図示)を有している。レンズ2の光軸Oは雌ネジ部の内部を貫通している。雌ネジ部3の中心は、レンズ2の光軸Oと略一致する。雌ネジ部は、フィルタやコンバージョンレンズ等を取り付けるためのものであり、撮像装置の技術分野において一般的に用いられるものである。
【0013】
また、本実施形態では一例として、撮像装置1はアクセサリーシュー4を備える。アクセサリーシュー4は、フラッシュ装置等の外部装置を撮像装置1に着脱可能な状態で固定する部位である。本実施形態のアクセサリーシュー4は、撮像装置1の分野において広く用いられている規格化された形状を有しており、外部装置に設けられた係合部が嵌合する。
【0014】
照明装置システム10は、1つ又は複数の照明装置11と、照明装置支持用アダプタシステム(以下、単に「アダプタシステム」と称する))30と、を備える。なお、図示する本実施形態では一例として、照明装置システム10は、2つの照明装置11を有しているが、照明装置システム10が備える照明装置11の数は変更可能であってもよい。
【0015】
概略的には、照明装置システム10は、撮像装置1またはレンズ2に設けられた雌ネジ部を用いて、レンズ2の前方または外周部に1つ又は複数の照明装置11を保持する。
【0016】
照明装置11は、光を出射する発光部11aを備える。発光部11aは、キセノン管を用いたフラッシュであってもよいし、LEDであってもよい。本実施形態では一例として、発光部11aはフラッシュである。
【0017】
照明装置11の発光動作の制御は、本実施形態では一例として、電源装置12によって行われる。照明装置11と電源装置12とは、ケーブル13を介して電気的に接続される。
【0018】
電源装置12は、撮像装置1のアクセサリーシュー4に着脱可能である。電源装置12は、アクセサリーシュー4に取り付けられた状態において、撮像装置1の動作に応じて照明装置11の発光動作を制御する。
【0019】
また、電源装置12は、一次電池または二次電池である電池を収納しており、電池の電力をケーブル13を介して照明装置11に供給する。すなわち、ケーブル13は、照明装置11が電力供給を受けるための構成である。
【0020】
なお、照明装置11は、ケーブル13を介して撮像装置1に電気的に接続される形態であってもよい。この場合、照明装置11の発光動作の制御と照明装置11への電力の供給は、撮像装置1によって行われる。
【0021】
図2は、照明装置システム10の使用者の操作により分離可能な構成を離して示した図である。
図2に示すように、照明装置11は、係合部11cが設けられた本体部11bを有している。係合部11cは、後述する照明装置支持台32に設けられたアクセサリーシュー34と係合する部位である。すなわち、本体部11bは、係合部11cを介して照明装置支持台32に固定される部位である。
【0022】
本実施形態では一例として、係合部11cは、アクセサリーシュー4とも係合可能な形状を有する。すなわち、アクセサリーシュー4と、照明装置支持台32に設けられたアクセサリーシュー34とは、略同一の形状である。したがって、照明装置11は、アダプタシステム30を用いなくとも、係合部11cを介して撮像装置1やフラッシュ装置を支持するための市販のブラケット等にも固定可能である。
【0023】
なお、本実施形態では、照明装置支持台32に設けられたアクセサリーシュー34は、前方から係合部11cを挿入するように配置されている。したがって、照明装置システム10が雌ネジ部に固定された状態であっても、照明装置11を着脱することができる。
【0024】
また、照明装置11の係合部11cの底面11gには、雌ネジであるネジ穴11fが設けられている。ネジ穴11fは、三脚の雲台等に用いられる雄ネジと同一の呼び径のものである。すなわち、照明装置11は、市販の雲台等にも固定可能である。
【0025】
また、係合部11cの底面11gからは、脱落防止ピン11hが突出している。脱落防止ピン11hは、アクセサリーシュー34に設けられた脱落防止穴34aと係合し、アクセサリーシュー34からの照明装置11の脱落を防止する。脱落防止ピン11hは、本体部11bに設けられた解除ボタン11iが押下された場合に、係合部11c内に退避する。脱落防止ピン11hが係合部11c内に退避した状態において、係合部11cをアクセサリーシュー34から抜き出すことが可能となる。
【0026】
照明装置11は、本体部11bに対して、回動軸11d周りに相対的に回動(揺動)する揺動部11jを備える。揺動部11jには、発光部11aが配置されている。すなわち、照明装置11は、発光部11aを回動軸11d周りに相対的に回動させる揺動機構を有する。したがって、照明装置11は、本体部11bが固定された状態であっても、発光部11aが発する光の出射方向を変更することができる。
【0027】
図3は、照明装置システム10を前方から見た図である。
図4は、照明装置システム10を、照明装置11の回動軸11dに沿う方向から見た図である。
【0028】
照明装置11がアダプタシステム30を介して撮像装置1またはレンズ2の雌ネジ部に固定された状態において、回動軸11dは、レンズ2の光軸に直交する平面上において、光軸Oを中心とする円の接線と平行となる。すなわち、回動軸11dは、レンズ2の光軸Oに直交する平面上において、レンズ2の光軸を通過する直線と直交する。また、回動軸11dは、照明装置11がアダプタシステム30を介して撮像装置1またはレンズ2の雌ネジ部に固定された状態において、係合部11cよりも光軸から遠い位置に配置されている。
【0029】
図4に示すように、揺動機構は、発光部11aを、発光部11aが発する光束の中心軸Lが前方に向かうにつれて光軸Oに近づく姿勢と、発光部11aが発する光束の中心軸Lが前方に向かうにつれて光軸Oから離れる姿勢との間において、回動させることができる。
図4において、実線で示す発光部11aは、発光部11aが発する光束の中心軸Lが光軸Oと略平行となる位置に位置している。そして、
図4において、発光部11aがθ1で示す範囲内にある場合には、発光部11aが発する光束の中心軸Lが前方に向かうにつれて光軸Oに近づく。また、
図4において、発光部11aがθ2で示す範囲内にある場合には、発光部11aが発する光束の中心軸Lが前方に向かうにつれて光軸Oから離れる。このように、照明装置11は、レンズ2からの被写体までの距離の変化や、照明光のバウンスの必要に応じて、発光部11aが発する光の出射方向を変更することができる。
【0030】
ケーブル13は、本体部11bから延出している。ケーブル13の基部13aは、本体部11bの、係合部11cとは反対側の端部である遠位端部11kに固定されている。遠位端部11kは、照明装置11がアダプタシステム30を介して撮像装置1またはレンズ2の雌ネジ部に固定された状態において、本体部11bの光軸から遠ざかる方向の端部である。前方から見た場合において、遠位端部11kは、回動軸11dよりも光軸Oから離れた位置に配置されている。
【0031】
照明装置11がアダプタシステム30を介して撮像装置1またはレンズ2の雌ネジ部に固定された状態において、ケーブル13の基部13a近傍は、本体部11bの遠位端部11kから、光軸Oに直交する直線と略平行に光軸Oから遠ざかる方向に延出する。なお、ケーブル13は可撓性を有することから、ケーブル13の基部13aから離れた部位が延在する方向は可変であり不定である。
【0032】
また、照明装置11は、発光部11aが発する光を拡散するディフューザ14を装着可能である。ディフューザ14およびディフューザ14を照明装置11に装着する構成については後述する。
【0033】
アダプタシステム30は、照明装置支持用アダプタ(以下、単に「アダプタ」と称する)31と、照明装置支持台(以下、単に「支持台」と称する)32と、を有する。
【0034】
図5は、アダプタシステム30を前方から見た図である。
図6は、
図5のVI-VI断面図である。
図7は、
図6に示す断面において、アダプタ31と支持台32との係合を解除した状態を示す図である。
図8は、
図6のVIII-VIII断面図である。
図9は、
図8に示す断面において、位置固定機構部36による固定を解除した状態を示す図である。
【0035】
概略的には、アダプタ31は、撮像装置1またはレンズ2の雌ネジ部に螺合する雄ネジ部31dを備え、レンズ2に対して所定の位置に固定可能な部材である。本実施形態では、アダプタ31は、レンズ2の前方、すなわちレンズ鏡筒の前方に固定される。また、概略的には、支持台32は、アダプタ31に対して固定可能であり、かつ照明装置11の係合部11cが係合するアクセサリーシュー34を備える部材である。
【0036】
アダプタ31は、円筒形状である円筒部31aと、円筒部31aの外周から外側に突出する板状のフランジ部31bと、を備える。円筒部31aは、両端が開口した筒形状である。すなわち、円筒部31aには、貫通孔である開口31cが形成されている。
【0037】
また、円筒部31aの一方の端部の外周には、雄ネジ部31dが形成されている。雄ネジ部31dは、撮像装置1またはレンズ2が備える雌ネジ部に螺合する形状を有する。すなわち、雄ネジ部31dは、雌ネジ部と同一の呼び径である。
【0038】
雄ネジ部31dの中心軸と、開口31cの中心軸とは略一致する。なお、雄ネジ部31dの中心軸とは、雄ネジ部31dを雌ネジ部に螺合させる際に回転する雄ネジ部31dの回転軸のことである。また、本実施形態では開口31cは光軸Oと直交する断面形状が円形である直線状の貫通孔であり、中心軸は円柱形状である開口31cの中心を通る直線である。雌ネジ部に螺合した状態の雄ネジ部31dの中心軸は、レンズ2の光軸Oと略一致する。
【0039】
以下では、アダプタ31において、雄ネジ部31dの中心軸に沿う方向を厚さ方向と称する。また、円筒部31aの雄ネジ部31dが形成されている側の端を第1端(後端)と称する。また、円筒部31aの雄ネジ部31dが形成されていない側の端を第2端(前端)と称する。雌ネジ部に雄ネジ部31dが螺合した状態では、円筒部31aは、第1端が撮像装置1側(後方)に向き、第2端が撮像装置1の被写体側(前方)に向く姿勢となる。雌ネジ部に雄ネジ部31dが螺合した状態において、撮像装置1は、開口31cを通して被写体を撮像することができる。
【0040】
また、本実施形態では一例として、円筒部31aの第2端の内周面には、雌ネジ部31eが形成されている。雌ネジ部31eは、撮像装置1またはレンズ2が備える雌ネジ部と同一の呼び径である。したがって、雌ネジ部31eには、撮像装置1またはレンズ2が備える雌ネジ部に装着可能なフィルタやコンバージョンレンズ等をそのまま取り付けることができる。
【0041】
フランジ部31bは、雄ネジ部31dよりも第2端に近い位置において、雄ネジ部31dの外径よりも外側に突出する板状の部位である。本実施形態では一例として、フランジ部31bは、円筒部31aの外周から所定の距離だけ雄ネジ部31dの中心軸に略直交する方向に延出しており、かつフランジ部31bは円筒部31aの外周の円周方向の全体にわたって形成されている。すなわち、フランジ部31bは、雄ネジ部31dの中心軸に略直交する平面に沿った板状の部位である。また、雄ネジ部31dの中心軸に沿った方向(厚さ方向)から見た場合、フランジ部31bの形状は、円形である。そして、厚さ方向から見た場合において、フランジ部31bの外周に沿う円の中心は、雄ネジ部31dの中心軸と一致する。
【0042】
また、フランジ部31bの外周面は、雄ネジ部31dの中心軸と略平行である。すなわち、フランジ部31bの外周面は、雄ネジ部31dの中心軸を中心とした円柱面である。
【0043】
フランジ部31bには、係止部31fが設けられている。係止部31fは、後述する支持台32が有する保持部33が係合する部位である。
【0044】
具体的に、係止部31fは、フランジ部31bの第1端側に向く面および第2端側に向く面の少なくとも一方の面から厚さ方向に突出する壁状の部位である。
【0045】
本実施形態では一例として、係止部31fは、雄ネジ部31dの中心軸を中心とした円に沿って、周方向の全体に連続して形成されている。すなわち、本実施形態の係止部31fは、雄ネジ部31dの中心軸を中心とした円筒形状である。
【0046】
より具体的に、本実施形態の係止部31fは、フランジ部31bの第1端側に向く面から、第1端側に向かって直立している。円筒形状である係止部31fの外周面31gの直径は、フランジ部31bの直径と同一である。
【0047】
支持台32は、保持部33と、アクセサリーシュー34と、を備える。保持部33は、アダプタ31に対して支持台32を固定する構成を有する。また、アクセサリーシュー34は、前述のように照明装置11の係合部11cが係合する構成を有する。
【0048】
保持部33の構成は、アダプタ31に対して着脱可能であり、かつアクセサリーシュー34をアダプタ31に対して固定する構成であれば特に限定されるものではない。例えば、保持部33は、ネジの締結力によってアダプタ31のフランジ部31bを厚さ方向に挟み込むクランプ状の構成であってもよいし、バネの弾性力によってアダプタ31のフランジ部31bを厚さ方向に挟み込むクランプ状の構成であってもよい。
【0049】
本実施形態の保持部33は、一例として、アクセサリーシュー34が固定された基台部33aと、アダプタ31のフランジ部31bを基台部33aとの間に厚さ方向に挟み込む脱落防止機構部35と、アダプタ31の係止部31fを基台部33aとの間に雄ネジ部31dの中心軸に直交する方向に挟み込む位置固定機構部36と、を備える。言い換えれば、脱落防止機構部35は、フランジ部31bを基台部33aとの間に光軸Oに沿う方向(光軸と平行)に挟み込み、位置固定機構部36は、係止部31fを基台部33aとの間に光軸Oに直交する方向に挟み込む。
【0050】
脱落防止機構部35は、保持部33をアダプタ31に対して雄ネジ部31dの中心軸周りに相対的に回動可能としつつ、保持部33のアダプタ31からの脱落を防止する。また、位置固定機構部36は、アダプタ31に対して相対的に回動可能である保持部33を、雄ネジ部31dの中心軸周りの回動方向の任意の位置に固定する。
【0051】
基台部33aには、アダプタ31の係止部31fの内周面31hに当接する当接部33bが設けられている。
【0052】
脱落防止機構部35は、可動部材35aと、ボルト35bと、を備える。ボルト35bは、可動部材35aを貫通し、基台部33aに固定されたナット33cに螺合している。可動部材35aは、ボルト35bのナット33cに対する相対的な回転に応じて、ボルト35bとともに光軸Oと平行な方向に進退移動する。
【0053】
可動部材35aが進退移動することによって、可動部材35aと基台部33aの当接部33bとの間の離間距離が変化する。
図6は、ボルト35bを締め込み、可動部材35aを当接部33bに最も近接させた状態を示しており、
図7は、ボルト35bを緩め、可動部材35aを当接部33bから最も離間させた状態を示している。
【0054】
可動部材35aは、ボルト35bの締め込みによって当接部33bに最も近接した状態において、フランジ部31bを、当接部33bとで光軸Oに平行に挟み込む。
【0055】
フランジ部3bを間に挟まずにボルト35bを締め込んだ場合、可動部材35aが当接部33bに最も近接した状態において、可動部材35aと当接部33bとの間の離間距離は、フランジ部31bの厚さ方向の厚さよりも短い(狭い)。
【0056】
したがって、可動部材35aが当接部33bに最も近接し、かつ可動部材35aと当接部33bとの間にフランジ部31bの係止部31fよりも雄ネジ部31dの中心軸も近い領域(フランジ部31b)を緩く挟み込んだ状態においては、保持部33がアダプタ31に対して雄ネジ部31dの中心軸周りに相対的に回動可能であると共に、脱落防止機構部35が係止部31fに係合することにより保持部33がアダプタ31からの脱落することが防止される。
【0057】
位置固定機構部36は、押圧部材36aおよびバネ部材36bを備える。
【0058】
押圧部材36aは、脱落防止機構部35が係止部31fに係合している状態において、係止部31fの外周面31gに当接する。また、押圧部材36aは、基台部33aに対して雄ネジ部31dの中心軸に直交する直線に沿う方向に進退移動が可能である。
【0059】
バネ部材36bは、ゴム製や金属製のバネである。バネ部材36bは、押圧部材36aを係止部31fの外周面31gに向かって押し付ける付勢力を生じる。すなわち、バネ部材36bは、押圧部材36aを雄ネジ部31dの中心軸に近づく方向に押す付勢力を生じる。
【0060】
図8は、押圧部材36aが係止部31fの外周面31gに当接している状態を示しており、
図9は、押圧部材36aが係止部31fの外周面31gから離間している状態を示している。
【0061】
図8に示すように、脱落防止機構部35が係止部31fに係合している状態において、バネ部材36bの付勢力によって押圧部材36aが係止部31fの外周面31gに押し付けられることにより、保持部33のアダプタ31に対する雄ネジ部31dの中心軸周りの位置が固定される。
【0062】
また、位置固定機構部36は、解除ボタン36cを備える。解除ボタン36cは、基台部33aから突出する押しボタンである。解除ボタン36cは、使用者の手指によって押し込まれた場合に、押圧部材36aを係止部31fの外周面31gから離す方向に移動させるカム36dを有する。よって、
図9に示すように、解除ボタン36cが押し込まれた状態では、押圧部材36aが係止部31fの外周面31gから離れるため、保持部33はアダプタ31に対して雄ネジ部31dの中心軸周りに回動することが可能となる。
【0063】
なお、
図8および
図9に示す断面において、位置固定機構部36内に係止部31fが嵌り込む空間部SPは略円弧状に形成されているが、この空間部SPの形状は、直方体形状等であってもよい。
【0064】
図8および
図9に示す本実施形態においては、係止部31fの内周面31hは光軸Oを中心とする半径R1の円筒面であり、係止部31fの外周面31gは光軸Oを中心とする半径R2の円筒面である。
【0065】
そして、係止部31fの内周面31hに当接する当接部33bは、内周面31hの半径R1よりも大きい半径R3の曲面である当接面33bbを有する。当接部33bは、当接面33bbにおいて、係止部31fの内周面31hに当接する。なお、当接面33bbは、平面であってもよい。当接面33bbと内周面31hと当接しているとき、当接面33bbの円周方向の両端部(
図8および
図9においてP1およびP2で示す箇所)において内周面31hと接触する。
【0066】
また、本実施形態では、係止部31fの外周面31gに当接する押圧部材36aは、表面がゴム材料からなる押圧面P3を有する。押圧面P3は、外周面31gの半径R2と略同一の半径R4の曲面である。押圧部材36aの押圧面P3が係止部31fの外周面31gに当接した場合、
図8に示すように、押圧面P3は周方向の略全体にわたって外周面31gに密接する。なお、押圧部材36aの押圧面P3は、外周面31gの半径R2とは異なる半径の曲面であってもよいし、平面であってもよい。
【0067】
図8に示す状態においては、位置固定機構部36は当接面33bbのP1およびP2と押圧部材36aの押圧面P3との少なくとも3点以上で係止部31fに当接していることになる。本実施形態において、空間部SPを、光軸Oに直交する方向に幅広く形成しておけば、内周面31hの半径R1および外周面31gの半径R2が変化した場合であっても、係止部31fを空間部SP内に配置することができる。すなわち、本実施形態では、外径が異なるアダプタ31の係止部31fに対して、位置固定機構部36を係合させることができる。
【0068】
以上に説明した構成により、保持部33は、アダプタ31に対して、雄ネジ部31dの中心軸周りの任意の位置に、支持台32を固定する。そして支持台32には、アクセサリーシュー34が設けられているため、当該アクセサリーシュー34に照明装置11の係合部11cを係合させることにより、照明装置11がアダプタ31に対して固定される。
【0069】
よって、本実施形態のアダプタシステム30は、撮像装置1またはレンズ2の雌ネジ部に対して、1つ又は複数の照明装置11を固定することができる。また、本実施形態のアダプタシステム30は、保持部33を、アダプタ31の雄ネジ部31dの中心軸周りの任意の位置に移動させることができるため、照明装置11の固定位置をレンズ2の光軸Oを中心とした円周方向の任意の位置に変更することができる。
【0070】
また、支持台32には、アクセサリーシュー34よりも前方であって、かつアクセサリーシュー34よりも光軸Oに近い位置に、光軸Oと略平行であり光軸Oから離れる方向を向いた平面部32aが設けられている。平面部32aには、凹部32bが形成されている。
【0071】
以上に説明した構成を有するアダプタシステム30によれば、異なる呼び径の雄ネジ部31dを有するアダプタ31を複数用意すれば、異なる呼び径の雌ネジ部を有する撮像装置1またはレンズ2に、照明装置11を固定することができる。なお、アダプタ31の雄ネジ部31dと撮像装置1またはレンズ2が備える雌ネジ部との間に、ステップアップリングまたはステップダウンリング等の中間部材を介在させてもよい。また、アダプタ31のフランジ部31bの光軸Oに沿う方向から見た場合の外形は、円形に限られず、矩形状であってもよいし、楕円形状であってもよい。
【0072】
次に、ディフューザ14および照明装置11のディフューザ14を装着するための構成について説明する。
【0073】
図3、
図4に示すように、照明装置11の外表面における回動軸11dと交差する2箇所には、それぞれが回動軸11dに沿って反対の方向を向く端面部11eが設けられている。すなわち、回動軸11dが貫通する箇所における、回動軸11dに沿う方向の照明装置11の外形寸法は、一対の端面部11eの間の距離となる。
【0074】
この一対の端面部11eのそれぞれには、凹部11mが形成されている。凹部11mは、回動軸11dを略中心とした円形の穴である。一対の凹部11mは、回動軸11dに沿って反対の方向に向かって開口している。この一対の凹部11mは、ディフューザ14に設けられた突起14cが嵌り込む部位である。
【0075】
図10および
図11は、ディフューザ14の外観を示す図である。また、
図12は、
図10のXII-XII断面図である。
図13は、ディフューザ14を装着した照明装置11を前方から見た図である。
図14は、ディフューザ14を装着した照明装置11および支持台32を回動軸に沿う方向から見た図である。
【0076】
ディフューザ14は、一対の腕部14a、透光部14b、一対の突起14c、第1係止部14dおよび第2係止部14eを備える。本実施形態では一例として、ディフューザ14は、可視光を透過する透明又は半透明の合成樹脂の一体成型品である。なお、ディフューザ14は、複数の部品を組み立てることにより形成されるものであってもよい。
【0077】
一対の腕部14aは、向かい合うように配置された一対の板状の部位であり、間に照明装置11の一対の端面部11eを挟持する。一対の腕部14aは、透光部14bによって接続されている。一対の腕部14aおよび透光部14bは、略コ字形状を形成する。一対の腕部14aは弾性変形が可能である。
【0078】
一対の腕部14aの互いに向かい合う面には、それぞれ突起14cが形成されている。一対の突起14cの離間距離は、一対の端面部11eの間の距離よりも短い。よって、一対の腕部14aが一対の端面部11eを挟持した場合において、突起14cは、一対の端面部11eに設けられた凹部11m内にその弾性を利用して嵌り込む。一対の突起14cが、照明装置11に設けられた凹部11m内に嵌り込むことにより、一対の腕部14aが一対の端面部11eを挟持する位置が定められる。
【0079】
また、突起14cは、凹部11m内において、回動軸11d周りに回動可能である。したがって、一対の腕部14aは、一対の端面部11eを挟持した状態において、照明装置11に対して回動軸11d周りに相対的に回動可能となる。なお、突起14cと凹部11mは、凹凸形状の関係が逆であってもよい。すなわち、ディフューザ14の一対の腕部14aのそれぞれに凹部が設けられており、一対の端面部11eのそれぞれに突起が設けられていてもよい。
【0080】
図14に示すように、一対の腕部14aが照明装置11に対して回動軸11d周りに相対的に回動することによって、ディフューザ14は、透光部14bが発光部11aの前方に位置する進出位置と、透光部14bが発光部11aの前方から退避する退避位置と、の間で揺動する。
【0081】
ディフューザ14が揺動する範囲のうち、透光部14bが光軸Oに最も近づく位置が、進出位置である。
図14では、進出位置に移動したディフューザ14を二点鎖線で示してある。また、ディフューザ14が揺動する範囲のうち、透光部14bが光軸Oから最も遠ざかる位置が退避位置である。進出位置と退避位置との間のディフューザ14の揺動角度は、およそ90度である。この揺動角度は必ずしも90度である必要はなく、90度超であってもよいし、90度未満であってもよい。
【0082】
透光部14bと揺動部11jとの間には、両者の干渉を避けるための空間部14fが設けられている。よって、透光部14bと発光部11aが設けられた揺動部11jとは、それぞれが独立して本体部11bに対して回動軸11d周りに回動可能である。これにより揺動部11jとディフューザ14とが互いに独立して回動することができ、透光部14bと射出光の関係が変化するため、透光部14bを透過した照射光の範囲や、拡散性を変化させることができる。その結果、撮影した写真に対しても変化を持たせることができる。また、揺動部11jの回動範囲において、進出位置の光軸側は発光部11aがディフューザ14で覆われていることで近接撮影(マクロ撮影)時にはレンズ至近距離まで光を拡散させることが可能となっている。本実施形態においては発光部11aの覆われている部分は円弧状であるが、箱型でも斜面でもよく形状は限定されない。
【0083】
透光部14bが進出位置に位置している場合には、揺動部11jがいずれの位置にあっても、発光部11aと被写体との間に透光部14bが存在する。よって、発光部11aから出射された照明光は、透光部14bを透過する際に拡散される。一方、透光部14bが退避位置に位置している場合には、透光部14bの全体が、発光部11aよりも光軸Oから遠い位置に位置する。なお、本実施形態では、透光部14bの表面に、透過する光を拡散させるための凹凸が設けられているが、透光部14bの表面は平坦であってもよい。
【0084】
ディフューザ14が進出位置にある状態において、透光部14bの光軸Oに最も近接する部位には、第1係止部14dが形成されている。第1係止部14dは、ディフューザ14が進出位置にある状態において支持台32に係合することによって、ディフューザ14を進出位置に保持する。
【0085】
第1係止部14dは、透光部14bの撓み変形可能な弾性部分に設けられた凸部もしくは凹部であって、支持台32に設けられた凹部もしくは凸部と係合する。
【0086】
本実施形態では一例として、透光部14bには、ディフューザ14が進出位置にある状態において、支持台32の平面部32aと対向する舌片部14gが設けられている。そして、第1係止部14dは、ディフューザ14が進出位置にある状態において、舌片部14gから平面部32aに向かって突出する凸部である。第1係止部14dは、ディフューザ14が進出位置にある状態において、平面部32aに設けられた凹部32bに係合する。
【0087】
第2係止部14eは、ディフューザ14が退避位置にある状態において、ケーブル13の基部13a近傍の部位と係合する。第2係止部14eは、ディフューザ14が退避位置にある状態においてケーブル13と係合することによって、ディフューザ14を退避位置に保持する。
【0088】
本実施形態では一例として、第2係止部14eは、透光部14bに設けられた馬蹄形の切り欠きであって、ケーブル13を内部に挟み込むことにより、ケーブル13を係合する。
【0089】
以上に説明したように、本実施形態では、ディフューザ14を、照明装置11に容易に着脱可能である。また本実施形態では、照明装置11にディフューザ14を装着した状態において、ディフューザ14を回動軸11d周りに揺動させることにより、ディフューザ14による照明光の拡散の有無を切り替える操作を容易に実行可能である。また、本実施形態では、ディフューザ14を装着した状態において、発光部11aが設けられた揺動部11jをディフューザ14と干渉することなく回動軸11d周りに揺動させることができる。
【0090】
なお、本発明は、前述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う照明装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。