(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フィーダには、前記ノズルユニットの複数のノズルのノズルピッチ分だけ間隔を空けて、前記部品の送り出し方向に複数の吸着位置が設定されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の実装ヘッド。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の実装ヘッドでは、複数のノズルのうち鉛直方向を向くノズルの駆動軸が1つであるため、1度の吸着動作では1つの部品しか吸着することができない。複数の部品を同時吸着する際には、複数のノズルの駆動軸を同時に鉛直方向に向ける必要があるが、複数のノズルに対して部品を同時に供給するために複数のフィーダを隣接して配置しなければならない。特に、複数のノズルに対して同一種類の部品を供給する場合であっても、複数のノズルの間隔に合わせて複数のフィーダを隣接して配置しなければならなかった。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、1つのフィーダから複数の部品を同時吸着することができる実装ヘッド、実装装置、実装方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の実装ヘッドは、フィーダから送り出された部品をピックアップするタレット型の実装ヘッドであって、駆動軸が平行な複数のノズルをユニット化した複数のノズルユニットと、前記複数のノズルユニットを回転軸回りに旋回させるタレット台と
、前記タレット台を回転可能に支持した状態で移動機構に連結される筐体と、前記筐体に設けられた、複数の部品を同時吸着可能な前記複数のノズルが前記フィーダによる部品の送り出し方向に並ぶように前記移動機構に連結する第1の連結具と、を備え、
前記タレット台による旋回動作により、前記複数のノズルユニットを前記フィーダと対向させた状態で、前記フィーダによる部品の送り出し方向に並んだ前記複数のノズルで前記複数の部品を同時吸着することを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様の実装方法は、フィーダから送り出された部品をピックアップ
するタレット型の実装ヘッドによる実装方法であって、
前記実装ヘッドは、駆動軸が平行な複数のノズルをユニット化した複数のノズルユニットと、前記複数のノズルユニットを回転軸回りに旋回させるタレット台と、前記タレット台を回転可能に支持した状態で移動機構に連結される筐体と、前記筐体に設けられた、複数の部品を同時吸着可能な前記複数のノズルが前記フィーダによる部品の送り出し方向に並ぶように前記移動機構に連結する第1の連結具と、を備え、前記タレット台による旋回動作により、前記複数のノズルユニットを前記フィーダと対向させた状態で、前記フィーダによる部品の送り出し方向に並んだ前記複数のノズルで前記複数の部品を同時吸着することを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、フィーダによる部品の送り出し方向に並んだ複数のノズルによって複数の部品が同時にピックアップされる。よって、1度の吸着動作で複数の部品を同時吸着することができるため、吸着動作のタクトタイムを短縮することができる。また、1つのフィーダから同一種類の部品を複数のノズルで同時吸着できるため、複数のノズルに対して同一種類の部品を供給するために複数のフィーダを用意する必要がない。
また、第1の連結具を用いて筐体を移動機構に対して連結することで、1つのフィーダから複数の部品を同時吸着する構成を実現することができる。
【0009】
前記実装ヘッドは、前記筐体に設けられた、前記複数の部品を同時吸着可能な前記複数のノズルが前記フィーダによる部品の送り出し方向に直交する方向に並ぶように前記移動機構に連結する第2の連結具をさらに備える。
【0011】
これらの構成によれば、第1、第2の連結具のいずれかを用いて筐体を移動機構に対して連結することで、1つのフィーダから複数の部品を同時吸着する構成と複数のフィーダから複数の部品を同時吸着する構成を切り替えることができる。
【0012】
上記の実装ヘッドにおいて、複数の部品を同時吸着可能な複数のノズルの駆動軸が鉛直方向を向くように前記タレット台の回転軸が傾けられている。この構成によれば、複数のノズルユニットのうち、駆動軸が鉛直方向を向いた複数のノズルで複数の部品を同時吸着することができる。
【0013】
上記の実装ヘッドにおいて、前記フィーダには、前記ノズルユニットの複数のノズルのノズルピッチ分だけ間隔を空けて、前記部品の送り出し方向に複数の吸着位置が設定されている。この構成によれば、1つフィーダから供給された複数の部品を複数のノズルに同時吸着させることができる。
【0014】
上記の実装ヘッドにおいて、前記フィーダでは部品ピッチの整数倍にノズルピッチが設定されており、前記複数の吸着位置に複数の部品が位置付けられるように前記フィーダによる部品の送り出しが制御される。この構成によれば、複数のノズルに対して適切に部品を送り出すことができる。
【0015】
上記の実装ヘッドにおいて、前記フィーダに装着されたキャリアテープで部品が送り出され、前記フィーダには前記複数の吸着位置の間でキャリアテープを押える押え部が設けられている。この構成によれば、キャリアテープで部品を送り出す際に、吸着位置に送り出された部品が暴れないように押え部でキャリアテープを押えることができる。
【0016】
上記の実装ヘッドにおいて、前記ノズルユニットの複数のノズルに同時吸着された部品を撮像する撮像部と、撮像画像を部品毎の認識エリアに分けて複数の部品を同時認識する認識部とを備えている。この構成によれば、同時に複数の部品を撮像して各部品が同時認識されるため、複数の部品を認識するのに要する時間を短縮することができる。
【0017】
本発明の一態様の実装装置は、上記の実装ヘッドと、前記実装ヘッドの下方に基板を搬入する基板搬送部とを備え、前記実装ヘッドによって前記フィーダからピックアップした部品を前記基板に実装する。この構成によれば、1つのフィーダから複数の部品を同時吸着して基板に対して実装することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フィーダによる部品の送り出し方向に並んだ複数のノズルによって、1つのフィーダから複数の部品を同時吸着して吸着動作のタクトタイムを短縮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本実施の形態の実装装置について説明する。
図1は、本実施の形態の実装装置全体を示す側面模式図である。
図2は、本実施の形態の実装装置全体を示す上面模式図である。なお、本実施の形態の実装装置は一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0021】
図1及び
図2に示すように、実装装置1は、フィーダ20によって供給された各種部品を、実装ヘッド30によって基板Wの載置面に搭載するように構成されている。実装装置1の基台10の略中央には、X軸方向に基板Wを搬送する基板搬送部11が配設されている。基板搬送部11は、X軸方向の一端側から部品実装前の基板Wを実装ヘッド30の下方に搬入して位置決めし、部品実装後の基板WをX軸方向の他端側に搬出している。また、基台10上には、基板搬送部11を挟んだ両側に多数のフィーダ20がX軸方向に横並びに配置されている。
【0022】
フィーダ20にはテープリールが着脱自在に装着され、テープリールには各種部品をパッケージングしたキャリアテープが巻回されている。各フィーダ20は、フィーダ内に設けられたスプロケットホイールの回転によって、実装ヘッド30にピックアップされる吸着位置に向けて順番に部品を送り出している。実装ヘッド30の吸着位置では、キャリアテープから表面のカバーテープが剥離されて、キャリアテープのポケット内の部品が外部に露出される。なお、部品は基板Wに対して実装可能であれば、特に電子部品等に限定されない。
【0023】
基台10上には、実装ヘッド30をX軸方向及びY軸方向に水平移動させるXY移動機構13が設けられている。XY移動機構13は、X軸方向に延びるX軸駆動部14と、Y軸方向に延びる一対のY軸駆動部15とを有している。一対のY軸駆動部15は基台10の四隅に立設した支持部17に支持されており、X軸駆動部14は一対のY軸駆動部15にY軸方向に移動可能に設置されている。また、X軸駆動部14にはZ移動機構16を介して実装ヘッド30がX軸方向に移動可能に設置されている。実装ヘッド30は、XY移動機構13及びZ移動機構16によってフィーダ20と基板Wとの間で往復移動される。
【0024】
実装ヘッド30は、複数のノズル33を周方向に並べたタレット型の実装ヘッドであり、タレット台31の回転に伴って複数のノズル33を旋回させている。タレット台31の回転軸は傾けられており、複数のノズル33の旋回軌跡に高低差が生じている。旋回中にノズル33が最下位置を通過する際に、ノズル33によってフィーダ20から部品がピックアップされる他、ノズル33によって基板Wの所定位置に部品が実装される。なお、詳細は後述するが、実装ヘッド30は、駆動軸が平行な一対のノズル33をユニット化したノズルユニット32(
図3参照)で2つの部品を同時吸着することが可能になっている。
なお、ノズル33、33に同時吸着された部品は、基板Wに個別に搭載される。このため、ノズルユニット32のノズル33、33は、個別に上下動できるように、駆動機構が設けられている。
【0025】
また、実装装置1には、装置各部を統括制御する制御部18が設けられている。制御部18は、各種処理を実行するプロセッサやメモリ等によって構成されている。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体で構成されている。また、メモリには、実装装置1全体の制御プログラムの他、後述するタレット型の実装装置による実装動作を実現する各種プログラムが記憶されている。このように構成された実装装置1では、1度の吸着動作で2つの部品を同時吸着して、吸着動作に要するタクトタイムを短縮している。
【0026】
図3Aに示すように、このような実装ヘッド30では、ノズルユニット32の一対のノズル33で2つの部品が同時吸着されるが、最下位置を通過中の特定のノズル33だけで部品が吸着される。通常は、複数のフィーダ20(
図3B参照)の並び方向、すなわちX軸方向に並んだ一対のノズル33が最下位置を通るようにして、2つのフィーダ20のそれぞれから送り出された2つの部品を同時吸着させる。しかしながら、違う種類の部品を同時吸着できる利点はあるが、同一種類の部品を同時吸着する場合には、同一種類の部品にも関わらずフィーダ20を2つ用意しなければならない。
【0027】
また、
図3Bに示すように、LED照明基板W
LにLEDを実装する際には、LED照明基板W
L上の回路C1、C2毎にLED用のフィーダ20を用意する必要がある。これは、同一種類のLEDであっても、フィーダ20に装着されたテープリール21毎にLEDの輝度のバラツキが生じており、LED照明基板W
Lの同一回路に別々のテープリール21のLED(ロットの異なる)を実装すると、同一回路内でのLEDの明るさのムラが大きくなるからである。このため、別々のフィーダ20から供給されたLEDは、LED照明基板W
L上の別々の回路C1、C2に実装されることが好ましい。
【0028】
この場合、2つのフィーダ20から2つのLEDを同時吸着し、一方のLEDを回路C1に実装して、他方のLEDを回路C2に実装することで、各回路C1、C2内でのLEDの明るさのムラを抑えている。しかしながら、LED照明基板W
L上で回路C1、C2が離れていると、回路C1、C2間を移動する実装ヘッド30(
図1参照)の移動量が大きくなり、吸着動作のタクトタイムを短縮したにも関わらず、実装動作のタクトタイムが増加してしまうという不具合がある。また、1つのテープリール21を2分割にして別々のフィーダ20に装着する構成も考えられるが、テープリールを作り直さなければならない。
【0029】
そこで、
図7Aに示すように、本実施の形態の実装ヘッド30では、フィーダ20による部品の送り出し方向、すなわちY軸方向に並んだ一対のノズル33で、1つのフィーダ20から送り出された2つの部品を同時吸着して吸着動作のタクトタイムを短縮するようにしている。また、LED照明基板W
Lの場合には、1つのフィーダ20から輝度のバラツキが少ない2つのLEDが同時吸着される。よって、同一テープリールの複数のLEDを同一回路に実装して明るさのムラを無くすことができ、実装動作の移動量を減らしてタクトタイムを短縮することができる。このように、実装ヘッド30による複数の部品の吸着動作及び実装動作のタクトタイムを短縮することができる。
【0030】
図4から
図6を参照して本実施の形態の実装ヘッド及びフィーダについて説明する。
図4は、本実施の形態の実装ヘッドの斜視図である。
図5は、本実施の形態の実装ヘッドの側面模式図である。
図6は、本実施の形態のフィーダの上面模式図である。なお、
図4及び
図5に示す実装ヘッド、
図6に示すフィーダはそれぞれ一例を示すものであり、適宜変更が可能である。
【0031】
図4及び
図5に示すように、実装ヘッド30は、筐体34の内側でタレット台31が回転可能に支持されており、タレット台31で回転軸回りに複数のノズルユニット32が旋回されるように構成されている。筐体34の上壁には、所定角度に傾けられた回転軸35を介してタレット台31が連結されている。タレット台31は略円錐台状に形成されており、タレット台31の外周には複数(本実施の形態では8つ)のノズルユニット32が配置されている。ノズルユニット32は、駆動軸が平行な一対のノズル33をユニット化したものであり、一対のノズル33の駆動軸を同時に駆動させることが可能になっている。
【0032】
また、一対のノズル33が最下位置に位置付けられたとき、すなわち一対のノズル33が2つの部品を同時吸着する一対の吸着位置で、一対のノズル33の駆動軸が鉛直方向を向くようにタレット台31の回転軸35が傾いている。このため、ノズルユニット32の旋回中に一対のノズル33が吸着位置を通過する際に、吸着位置で一対のノズル33の駆動軸が昇降駆動されることで2つの部品が同時吸着される。また、筐体34にはZ移動機構16に対する連結具として、筐体34の一面36に第1の連結具38が設けられ、筐体34の一面36と直交する他の一面37に第2の連結具39が設けられている。
【0033】
第1の連結具38は複数の部品を同時吸着可能な複数のノズル33がY軸方向に並ぶようにZ移動機構16に連結し、第2の連結具39は複数の部品を同時吸着可能な複数のノズル33がX軸方向に並ぶようにZ移動機構16に連結する。よって、第1の連結具38を介して筐体34がZ移動機構16に連結されることで、Y軸方向に並んだ一対のノズル33の駆動軸が鉛直方向に向けられる。また、第2の連結具39を介して筐体34がZ移動機構16に連結されることで、X軸方向に並んだ一対のノズル33の駆動軸が鉛直方向に向けられる。
【0034】
第1、第2の連結具38、39のいずれかを用いて筐体34をZ移動機構16に連結することで、Y軸方向にノズル33の最下位置が並ぶ構成(
図7A参照)と、X軸方向にノズル33の最下位置が並ぶ構成(
図8参照)が選択される。Y軸方向に並んだ一対のノズル33では1つのフィーダ20から送り出された2つの部品が同時吸着され、X軸方向に並んだ一対のノズル33では、2つのフィーダ20から送り出された2つの部品が同時吸着される。このように筐体34の向きに応じて、1つのフィーダ20から複数の部品を同時吸着する構成と複数のフィーダ20から複数の部品を同時吸着する構成を容易に切り替えることができる。
【0035】
また、筐体34には、タレット台31の下方にミラー41が設けられており、ミラー41の真上にはミラー41に映されたノズル33による部品の吸着状態を撮像する撮像部42が設けられている。撮像部42は、例えば広視野カメラであり、一対のノズル33に同時吸着された2つの部品を撮像可能な画角を有している。撮像部42には複数の部品を認識する認識部43が接続されており、認識部43では撮像部42から入力された撮像画像を部品毎の認識エリアに分けて複数の部品を同時認識する。なお、認識部43による複数の部品の同時認識の詳細については後述する。
【0036】
図6Aに示すように、本実施の形態では、Y軸方向に並んだ一対のノズル33に対して2つの部品Pを供給する専用のフィーダ20が使用されている。フィーダ20の先端側には、実装ヘッド30の一対のノズル33で2つの部品Pを同時吸着する吸着位置A1、A2がY軸方向に間隔を空けて設定されている。吸着位置A1では、キャリアテープ21から表面のカバーテープが剥離されて、キャリアテープ21のポケット内の部品Pが上方に露出される。吸着位置A1を通過した部品Pはポケット内が上方に開放された状態で吸着位置A2まで送り出される。
【0037】
このため、フィーダ20の吸着位置A1、A2の間には、キャリアテープ21を上方から押える押え部25が設けられている。この構成により、キャリアテープ21の振動によってポケット内の部品Pが暴れないように押え部25でキャリアテープ21を押え付けながら、キャリアテープ21で吸着位置A2まで部品Pを送り出すことができる。押え部25は、キャリアテープ21の送りを邪魔せずに搬送可能であればよく、ゴムやスポンジ等で成形された板材で構成されてもよいし、キャリアテープ21の送り出しに合わせて駆動されるローラ等で構成されてもよい。
【0038】
また、吸着位置A1、A2は、部品Pの送り出し方向であるY軸方向にノズルピッチp1分だけ間隔を空けて設定されている。このノズルピッチp1は、フィーダ20による部品Pの部品ピッチp2の整数倍に設定されている。フィーダ20では、複数の吸着位置A1、A2に常に部品Pが位置付けられるように部品Pの送り出しが制御される。例えば、部品ピッチp2ずつ部品Pの送り出しを繰り返した後に、部品ピッチp2の数倍の送り出し量で部品Pを送り出すように制御する。これにより、ノズルピッチp1に合わせて部品Pを適切に送り出し、1つフィーダ20から供給した2つの部品Pを複数のノズル33に同時吸着させることができる。
【0039】
例えば、
図6Bに示すように、一対のノズルピッチp1が12mm、部品Pの部品ピッチp2が4mmの場合、ノズルピッチp1が部品ピッチp2の3倍に設定されている。吸着位置A1、A2では、先頭の部品Pと先頭から4番目の部品Pとが一対のノズル33で同時吸着された後、キャリアテープ21が4mmだけ送り出されて新たな部品Pが吸着位置A1、A2に位置付けられる。この同時吸着と4mmの送り出しが2回繰り返された後に、同時吸着後にキャリアテープ21が16mmだけ送り出されることで、一対のノズル33に対して2つの部品Pを連続的に供給している。
【0040】
なお、フィーダ20は、Y軸方向に並んだ一対のノズル33の同時吸着に使用されるだけでなく、X軸方向に並んだ一対のノズル33の同時吸着に使用されてもよい。この場合には、各フィーダ20で1ピッチずつに部品Pを送り出し、複数のフィーダ20から供給された2つの部品Pを複数のノズル33に同時吸着させることができる(
図8参照)。このように、フィーダ20は、Y軸方向に並んだ一対のノズル33に対する部品Pの送り出し制御と、X軸方向に並んだ一対のノズル33に対する部品Pの送り出し制御とを筐体34の向きに応じて切り替えることが可能になっている。
【0041】
図7及び
図8を参照して、実装ヘッドによる部品の実装動作について説明する。
図7及び
図8は、本実施の形態の実装ヘッドによる部品の実装動作の説明図である。なお、
図7AはY軸方向に並んだ一対のノズルで2つの部品を同時吸着する一例、
図7Bは撮像部で2つの部品の同時認識する一例、
図8はX軸方向に並んだ一対のノズルで2つの部品を同時吸着する一例をそれぞれ示している。
【0042】
図7Aに示すように、Z移動機構16に第1の連結具38を介して筐体34が連結されると(
図5参照)、Y軸方向に並んだ一対のノズル33の駆動軸が鉛直方向に向けられる。フィーダ20の上方にタレット台31(
図5参照)が位置付けられると、フィーダ20の送り出し方向に離間した吸着位置A1、A2の真上に、Y軸方向に並んだ一対のノズル33が位置付けられる。この一対のノズル33の駆動軸が駆動されることで、フィーダ20によって吸着位置A1、A2に送り出された部品Pが一対のノズル33に同時吸着される。このように、一対のノズル33によって1つのフィーダ20から2つの部品Pをピックアップすることができる。
【0043】
図7Bに示すように、一対のノズル33に2つの部品Pが同時吸着されると、一対のノズル33が旋回して撮像部42による撮像領域Rに位置付けられる。撮像領域Rでは、撮像部42によって一対のノズル33に吸着された部品Pが撮像され、撮像部42から認識部43に撮像画像が出力される。撮像画像には一対のノズル33の先端に保持された部品Pが含まれており、撮像画像が各部品Pの2つの認識エリアに分割される。撮像画像は認識エリア毎に平行して画像処理が施されて、個々の認識エリアで部品が同時認識される。このため、一対のノズル33に同時吸着された2つの部品を認識するのに要する時間が短縮される。
【0044】
そして、実装ヘッド30が基板W(
図1参照)の上方まで移動されて、Y軸方向に並んだ一対のノズル33によって基板Wの所定位置に2つの部品Pが実装される。一対のノズル33で1つのフィーダ20から同一種類の部品Pをピックアップするため、特にLED照明基板等のように同一回路内に同じフィーダ20から供給されたLEDだけを実装させたい場合に有効である。このような向きで実装ヘッド30を使用することで、1つのフィーダ20から同一種類の2つの部品を同時吸着することができ、同一種類の部品Pを基板Wに実装する際に生産効率を向上させることができる。
【0045】
一方で
図8に示すように、Z移動機構16に第2の連結具39を介して筐体34が連結されると(
図5参照)、X軸方向に並んだ一対のノズル33の駆動軸が鉛直方向に向けられる。フィーダ20の上方にタレット台31(
図5参照)が位置付けられると、隣り合うフィーダ20の吸着位置A2の真上に、X軸方向に並んだ一対のノズル33が位置付けられる。この一対のノズル33の駆動軸が駆動されることで、各フィーダ20によって吸着位置A2に送り出された部品Pが一対のノズル33に同時吸着される。このように、一対のノズル33によって2つのフィーダ20から2つの部品Pをピックアップすることができる。
【0046】
一対のノズル33に2つの部品Pが同時吸着されると、上記したように撮像部42で一対のノズル33の先端に保持された部品Pが撮像され、認識部43で撮像画像が部品P毎の認識エリアに分けられて各部品Pが同時認識される。そして、実装ヘッド30が基板W(
図1参照)の上方まで移動されて、X軸方向に並んだ一対のノズル33によって基板Wの所定位置に2つの部品Pが実装される。このような向きで実装ヘッド30を使用することで、複数のフィーダ20から2種類の部品Pを同時吸着することができ、違う種類の部品Pを基板Wに実装する際に生産効率を向上させることができる。
【0047】
以上のように、本実施の形態の実装装置1では、フィーダ20による部品Pの送り出し方向(Y軸方向)に並んだ複数のノズル33によって複数の部品Pが同時にピックアップされる。よって、1度の吸着動作で複数の部品Pを同時吸着することができるため、吸着動作のタクトタイムを短縮することができる。また、1つのフィーダ20から同一種類の部品を複数のノズル33で同時吸着できるため、複数のノズル33に対して同一種類の部品Pを供給するために複数のフィーダ20を用意する必要がない。
【0048】
なお、本実施の形態では、Y軸方向に並んだ一対のノズルに対して、フィーダ20によって部品ピッチp2ずつ部品Pの送り出しを繰り返した後に、部品ピッチp2の数倍の送り出し量で部品を送り出すように制御する構成にしたが、この構成に限定されない。フィーダ20は、複数の吸着位置A1、A2に常に部品が位置付けられるように部品Pを送り出せればよい。例えば、一方のノズル33が奇数番目の部品Pを吸着して、他方のノズル33が偶数番目の部品Pを吸着するようにしてもよい。具体的には、
図6の例では部品Pを8mmずつ送り出して、奇数番目の部品と偶数番目の部品を一対のノズル33に吸着させてもよい。
【0049】
また、本実施の形態では、ノズルユニット32が一対のノズル33をユニット化した構成にしたが、この構成に限定されない。ノズルユニット32は、複数のノズル33をユニット化した構成であればよく、例えば3つ以上のノズル33をユニット化してもよい。
【0050】
また、本実施の形態では、タレット台31の回転軸が傾いている構成について説明したが、この構成に限定されない。タレット台31は、複数のノズルユニット32を回転軸回りに回転させる構成であればよく、回転軸が鉛直方向に向いていてもよい。
【0051】
また、本実施の形態では、一対のノズル33は2つの部品Pを同時吸着した後に基板Wに個別に実装するが、モータや各種機構を組み合わせて一対のノズル33による部品の実装時に一対のノズル33が個別に駆動されてもよい。
【0052】
また、本発明の各実施の形態を説明したが、本発明の他の実施の形態として、上記各実施の形態を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0053】
また、本発明の実施の形態は上記の各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【0054】
また、本実施の形態では、本発明を基板の生産ラインに適用した構成について説明したが、システム全体の負荷を低減できる物品の生産システムに適用することが可能である。
【0055】
さらに、上記実施形態では、フィーダ20から送り出された部品Pをピックアップするタレット型の実装ヘッド30であって、駆動軸が平行な複数のノズル33をユニット化した複数のノズルユニット32と、複数のノズルユニット32を回転軸回りに旋回させるタレット台31とを備え、ノズルユニット32の旋回中にフィーダ20による部品Pの送り出し方向に並んだ複数のノズル33で複数の部品Pを同時吸着することを特徴とする。この構成によれば、フィーダ20による部品Pの送り出し方向に並んだ複数のノズル33によって、1つのフィーダ20から複数の部品Pを同時吸着して吸着動作のタクトタイムを短縮することができる。