特許第6751723号(P6751723)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6751723
(24)【登録日】2020年8月19日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】自動車の原動機用イグニッション装置
(51)【国際特許分類】
   F02N 15/00 20060101AFI20200831BHJP
   B60R 25/021 20130101ALI20200831BHJP
   B60R 25/04 20130101ALI20200831BHJP
   E05B 83/00 20140101ALI20200831BHJP
【FI】
   F02N15/00 D
   B60R25/021
   B60R25/04
   E05B83/00 A
   E05B83/00 Z
【請求項の数】14
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-548879(P2017-548879)
(86)(22)【出願日】2016年1月30日
(65)【公表番号】特表2018-513935(P2018-513935A)
(43)【公表日】2018年5月31日
(86)【国際出願番号】EP2016052010
(87)【国際公開番号】WO2016150597
(87)【国際公開日】20160929
【審査請求日】2019年1月21日
(31)【優先権主張番号】15305412.7
(32)【優先日】2015年3月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516364120
【氏名又は名称】ユーシン、フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドント フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ペラン クリストフ
【審査官】 楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−192971(JP,A)
【文献】 特開2004−306764(JP,A)
【文献】 実開昭63−074360(JP,U)
【文献】 実開平01−118063(JP,U)
【文献】 実開平03−130752(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02N 15/00
B60R 25/02〜25/06
E05B 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の原動機用イグニッション装置であって、
キーを受け入れ可能であり、ブラケット(2)に回転するように装着されたロータ(1)であって、前記ブラケット(2)に対して並進方向において前記ロータ(1)を保持するリテーナ(3)を含む、ロータ(1)と、
前記ブラケット(2)と前記ロータ(1)との間に、前記ロータ(1)の回転軸に平行な軸に沿って、軸方向の力を加える第1プッシュバック手段(6)と、
前記ロータ(1)に回転方向において結合され、前記ブラケット(2)に対して並進するように装着されたピンスイッチ(5)とを備え、
前記ブラケット(2)及び前記リテーナ(3)は、前記ロータ(1)が所定の方向において所定の角度位置から回転しないように、かつ、前記第1プッシュバック手段(6)によって加えられる前記軸方向の力の向きの反対の向きに前記ロータ(1)に予め力を加えると、前記ロータ(1)が前記所定の方向において前記所定の角度位置を越えて回転することを可能にするように、協働するよう構成されており
前記ロータは、前記ピンスイッチ(5)と結合されキーが前記ロータ(1)に差し込まれるときに第1位置を通って第2位置まで動くキー検出手段(7)を含み、
前記キー検出手段(7)及び前記ピンスイッチ(5)は、前記キー検出手段が前記第1位置から前記第2位置まで動くことによって、前記ピンスイッチ(5)をレスト位置から作動位置まで動かすように、配置されており、前記ピンスイッチの作動位置は電気的な接触を行う、
自動車の原動機用イグニッション装置。
【請求項2】
前記ブラケット(2)は、凹部(4)を更に含み、
前記ブラケット(2)の前記凹部(4)及び前記リテーナ(3)は、前記ロータ(1)が所定の方向において所定の角度位置から回転しないように、かつ、前記第1プッシュバック手段(6)によって加えられる前記軸方向の力の向きの反対の向きに前記ロータ(1)に予め力を加えると、前記ロータ(1)が前記所定の方向において前記所定の角度位置を越えて回転することを可能にするように、協働するよう構成されている、
請求項1の装置。
【請求項3】
前記凹部(4)は、前記リテーナ(3)が保持される前記ブラケット(2)の平面に位置し、前記凹部は、前記第1プッシュバック手段(6)によって加えられる前記軸方向の力の向きに広がっている、
請求項2の装置。
【請求項4】
前記凹部(4)は、前記リテーナ(3)を受け入れ可能な傾斜面(14)を含む、
請求項1〜3のいずれか1項の装置。
【請求項5】
前記所定の角度位置は、「ストップ」位置と「スタート」位置との間、特に「オン」位置と「スタート」位置との間の中間の位置に対応する、
請求項1〜4のうちの少なくとも1項の装置。
【請求項6】
前記ブラケット(2)と前記ピンスイッチ(5)との間に、前記ロータ(1)の回転軸に平行な軸に沿って前記作動位置から前記レスト位置まで、軸方向の力を加える第2プッシュバック手段を更に備える、
請求項1〜5のいずれか1項の装置。
【請求項7】
前記ブラケット(2)は、前記ロータ(1)の回転が前記所定の角度位置を越えるときに、前記ピンスイッチ(5)を前記第1プッシュバック手段(6)の方向で並進方向において保持するパッド(8)を更に含む、
請求項の装置。
【請求項8】
前記傾斜面(14)は、所定の方向における所定の角度位置からの前記パッド(8)と前記ピンスイッチ(5)との間の摩擦を制限するために前記パッド(8)と前記ピンスイッチ(5)との間にギャップ(85)を作るように、前記リテーナ(3)と協働する、
請求項4と組み合わされた請求項の装置。
【請求項9】
前記傾斜面(14)は、前記第1プッシュバック手段(6)によって加えられる軸方向の力のため前記リテーナ(3)を前記「オン」位置に戻らせるように、前記リテーナ(3)と協働する、
請求項の装置。
【請求項10】
前記第1プッシュバック手段(6)は、ばねである、
請求項1〜のうちの少なくとも1項の装置。
【請求項11】
前記第2プッシュバック手段は、ばねである、
請求項6又は7の装置。
【請求項12】
請求項1〜11のうちのいずれか1項の自動車の原動機用イグニッション装置と、
前記ロータ(1)に回転方向においてリンクされ、前記ブラケット(2)に対して並進方向において固定され、ステアリングホイールロック装置を作動させるカム(9)とを備え、
前記カム(9)の回転軸は前記ロータ(1)の回転軸に平行である、
自動車のステアリングホイールロック装置。
【請求項13】
前記ピンスイッチ(5)は、前記カム(9)と回転方向においてリンクされている、
請求項12の装置。
【請求項14】
前記ピンスイッチ(5)は、前記カム(9)内に位置しており、前記カム(9)に対して並進するように装着される、
請求項12又は13の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の原動機用イグニッション装置に関する。本発明は、自動車の原動機用イグニッション装置を含む自動車のステアリングホイールロック装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車の原動機用イグニッション装置は、キーを受け入れ可能なラッチと、ステータと、ロータとを少なくとも含む。ロータは、ラッチに結合され、ステータに対して回転するように装着される。キー、ラッチ、及びロータは、回転方向において結合されている。イグニッション装置のロータは、
・「ストップ」位置、ここでは、車両には電気が供給されておらず、車両の燃焼機関はオフである、
・「オン」位置、ここでは、車両には電気が供給され、車両はその燃焼機関の始動を許可する、
・「スタート」位置、ここでは、「オン」位置の機能に加えて、車両の燃焼機関を始動するためにスタータに給電がされる、
というような、特有の指標が付けられた角度位置を取り得る。
【0003】
例えば「アクセサリ」位置という、他の位置が存在し得る。「アクセサリ」位置は、「ストップ」位置と「オン」位置との間に位置し、ラジオのようなアクセサリに電気を供給することを可能にする。
【0004】
車両の原動機を始動するために、車両のユーザは所定のキーをラッチに差し込む必要がある。ロータが「ストップ」位置にある時に、キーは差し込まれる。キーをラッチに差し込んだ後、「アクセサリ」位置がある場合には、車両のユーザはラッチ内のキーを「ストップ」位置から「アクセサリ」位置まで、その後「アクセサリ」位置から「オン」位置まで回し、そうではない場合には、車両のユーザはラッチ内のキーを「ストップ」位置から「オン」位置まで直接回す。「オン」位置において、車両には電気が供給される。次に、車両のユーザは、キーを「オン」位置から「スタート」位置に回す。キーが「スタート」位置に達すると、車両の原動機が始動する。いったん原動機が始動すると、ロータは「オン」位置に戻る。
【0005】
車両の原動機を停止させるために、車両のユーザは、単にラッチ内のキーを「オン」位置から「アクセサリ」又は「ストップ」位置まで回す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車両のユーザからの自発的な行動、つまりキーの回転が、定常位置を変更しない限り、機械系は、キーを定常位置に維持することを可能にする。しかし、この系は、2つの重要な不都合を生じる。すなわち、
・車両のユーザが運転中に、ひざがキーにぶつかる、というような意図しない行動が、キーを「オン」位置から外れた状態にし得る。その瞬間から、電気的機能がもはや行われない角度位置にキーが達し得る。したがって、意図しない原動機の停止が引き起こされ得る。及び、
・原動機が始動されているときに、回転戻し手段によって引き起こされる、キーの「オン」位置への自動戻りのために、もしキーが「スタート」位置から「オン」位置へ荒っぽく動かされると、「オン」位置は越えられ得る。キーは指標が付けられていない不安定な角度位置にある。よって、車両のローリング振動がキーを「オン」位置による電気的接触が失われる位置に動かし得て、したがって車両がまだ走っているときに原動機の意図しない停止を引き起こす。
【0007】
本発明の目的は、上述の2つの不都合を解決することである。より正確には、本発明は、イグニッション装置のロータが「オン」位置を越えることによる電気的接触の意図しない喪失を防止し、よって車両がまだ走行しているときに原動機が停止することを防止する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため、本発明による自動車の原動機用イグニッション装置は、提案され、
・キーを受け入れ可能であり、ブラケットに回転するように装着されたロータであって、前記ブラケットに対して並進方向において前記ロータを保持するリテーナを含む、ロータと、
・前記ブラケットと前記ロータとの間に、前記ロータの回転軸に平行な軸に沿って、軸方向の力を加える第1プッシュバック手段と、
を含み、
・前記ブラケット及び前記リテーナは、前記ロータが所定の方向において所定の角度位置から回転しないように、かつ、前記第1プッシュバック手段によって加えられる前記軸方向の力の向きの反対の向きに前記ロータに予め力を加えると、前記ロータが前記所定の方向において前記所定の角度位置を越えて回転することを可能にするように、協働するよう構成されている。
【0009】
本発明による自動車の原動機用イグニッション装置は、組み立てが容易であり、製造に多くの費用がかからず、車両がまだ走行しているときにキーが意図せずに取り出されることを防止して車両のユーザの安全を増大させることを可能にする。
【0010】
まさに、本発明によるイグニッション装置は、ロータの位置を変更する意図しない行動、したがって車両がまだ走行しているときに原動機が意図せずに停止することを防止する。
【0011】
ブラケットとリテーナとの間の協働により、前記ロータが所定の方向において所定の角度位置から回転しないようにし、かつ、前記第1プッシュバック手段によって加えられる前記軸方向の力の向きの反対の向きに前記ロータに予め力を加えると、前記ロータが前記所定の方向において前記所定の角度位置を越えて回転することを可能にする。
【0012】
より正確には、ブラケットとリテーナとの間の協働により、「オン」位置から「アクセサリ」又は「ストップ」位置までロータが回転することを防止し、ロータへのキーの差し込みの向きにロータに予め力を加えると、ロータのこの回転を可能にする。
【0013】
本発明による自動車の原動機用イグニッション装置は、以下の特徴の1つ又はいかなる組合せをも更に含み得る。
【0014】
・前記ブラケットは、凹部を更に含み、前記ブラケットの前記凹部及び前記リテーナは、前記ロータが所定の方向において所定の角度位置から回転しないように、かつ、前記第1プッシュバック手段によって加えられる前記軸方向の力の向きの反対の向きに前記ロータに予め力を加えると、前記ロータが前記所定の方向において前記所定の角度位置を越えて回転することを可能にするように、協働するよう構成されており、
・前記凹部は、前記リテーナが保持される前記ブラケットの平面に位置し、前記凹部は、前記第1プッシュバック手段によって加えられる前記軸方向の力の向きに広がっており、
・前記凹部は、前記リテーナを受け入れ可能な傾斜面を含み、
・前記所定の角度位置は、「ストップ」位置と「スタート」位置との間、特に「オン」位置と「スタート」位置との間の中間の位置に対応し、
・前記ロータに回転方向において結合され、前記ブラケットに対して並進するように装着されたピンスイッチを、前記装置は更に備え、
前記ロータは、前記ピンスイッチと結合されキーが前記ロータに差し込まれるときに第1位置を通って第2位置まで動くキー検出手段を含み、
前記キー検出手段及び前記ピンスイッチは、前記キー検出手段が前記第1位置から前記第2位置まで動くことによって、前記ピンスイッチをレスト位置から作動位置まで動かすように、配置されており、前記ピンスイッチの作動位置は電気的な接触を行い、
・前記ブラケットと前記ピンスイッチとの間に、前記ロータの回転軸に平行な軸に沿って前記作動位置から前記レスト位置まで、軸方向の力を加える第2プッシュバック手段を、前記装置は更に備え、
・前記ブラケットは、前記ロータの回転が前記所定の角度位置を越えるときに、前記ピンスイッチを前記第1プッシュバック手段の方向で並進方向において保持するパッドを更に含み、
・前記傾斜面は、所定の方向における所定の角度位置からの前記パッドと前記ピンスイッチとの間の摩擦を制限するために前記パッドと前記ピンスイッチとの間にギャップを作るように、前記リテーナと協働し、
・前記傾斜面は、前記第1プッシュバック手段によって加えられる軸方向の力のため前記リテーナを前記「オン」位置に戻らせるように、前記リテーナと協働し、
・前記第1プッシュバック手段は、ばねであり、
・前記第2プッシュバック手段は、ばねである。
【0015】
本発明は、以下の特徴の1つ又はいかなる組合せをも含む、本発明によるイグニッション装置を含む自動車のステアリングホイールロック装置に更に関する。
【0016】
・前記ロータに回転方向においてリンクされ、前記ブラケットに対して並進方向において固定されたカムを、前記ステアリングホイールロック装置は備え、前記カムの回転軸は前記ロータの回転軸に平行であり、前記カムはステアリングホイールロック装置を作動させ、
・前記ピンスイッチは、前記カムと回転方向においてリンクされており、
・前記ピンスイッチは、前記カム内に位置しており、前記カムに対して並進するように装着される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の他の特徴及び利点は、特許請求の範囲から、及び、図面を参照して、限定することなく例として与えられるいくつかの実施形態の以下の説明から、より明らかになる。
図1図1は、ロータが「ストップ」位置にある、本発明の実施形態によるイグニッション装置の部分の透視図である。
図2図2は、ロータが「オン」位置にある、図1の実施形態によるイグニッション装置の部分の透視図である。
図3a図3aは、ロータが「ストップ」位置にある、図1の実施形態によるイグニッション装置を含むステアリングホイールロック装置の透視図である。
図3b図3bは、ロータが「ストップ」位置にある、図3aの実施形態によるイグニッション装置のロータの並進軸AAに沿った断面図である。
図4a図4aは、ロータが「ストップ」位置にある、図3aの実施形態によるイグニッション装置を含むステアリングホイールロック装置の透視図である。
図4b図4bは、ロータが「ストップ」位置にある、図4aの実施形態によるイグニッション装置のロータの並進軸AAに沿った断面図である。
図5図5は、ロータが「アクセサリ」位置にある、図3aの実施形態によるイグニッション装置を含むステアリングホイールロック装置の透視図である。
図6a図6aは、ロータが「オン」位置にある、図3aの実施形態によるイグニッション装置を含むステアリングホイールロック装置の透視図である。
図6b図6bは、ロータが「オン」位置にある、図6aの実施形態によるイグニッション装置の部分の透視図である。
図7a図7aは、ロータが「スタート」位置にある、図3aの実施形態によるイグニッション装置を含むステアリングホイールロック装置の透視図である。
図7b図7bは、ロータが「スタート」位置にある、図7aの実施形態によるイグニッション装置の部分の透視図である。
図7c図7cは、ブラケットが傾斜面を含む、本発明の他の実施形態によるイグニッション装置の部分の側面図である。
図8a図8aは、ロータが「ストップ」位置にある、図1の実施形態によるイグニッション装置の部分の正面図である。
図8b図8bは、ロータが「アクセサリ」位置にある、図8aの実施形態によるイグニッション装置の部分である。
図8c図8cは、ロータが「オン」位置にある、図8aの実施形態によるイグニッション装置の部分である。
図8d図8dは、ロータが「スタート」位置にある、図8aの実施形態によるイグニッション装置の部分である。
図9a図9aは、ブラケットが傾斜面を含む、「アクセサリ」位置における本発明の他の実施形態によるイグニッション装置の部分の正面図である。
図9b図9bは、ブラケットが傾斜面を含む、「オン」位置における本発明の他の実施形態によるイグニッション装置の部分の正面図である。
図9c図9cは、ブラケットが傾斜面を含む、「スタート」位置における本発明の他の実施形態によるイグニッション装置の部分の正面図である。
【0018】
図面の要素は縮尺一定とは限らない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明による自動車の原動機(motor)用イグニッション装置が、図1に示されている。
【0020】
イグニッション装置は、キーを受け入れ可能でありブラケット2に回転するように装着されるロータ1を含む。ロータ1は、ブラケット2に対して並進方向においてロータ1を保持するリテーナ3を含む。ロータ1は「ストップ」位置、すなわち、初期位置にある。「ストップ」位置は、0°の回転として参照される。
【0021】
イグニッション装置は、第1プッシュバック手段6も含む。第1プッシュバック手段6は、ブラケット2とロータ1との間に、ロータ1の回転軸AAに平行な軸Aに沿って、軸方向の力を加えるように構成されている。
【0022】
ブラケット2及びリテーナ3は、ロータ1が所定の方向において所定の角度位置から回転しないように、かつ、第1プッシュバック手段6によって加えられる軸方向の力の向きの反対の向きにロータ1に予め力を加えると、ロータ1が前記所定の方向において前記所定の角度位置を越えて回転することを可能にするように、協働するよう構成されている。
【0023】
前記所定の角度位置は、「ストップ」位置と「スタート」位置との間の中間の位置に対応し得る。前記所定の角度位置は、好ましくは「オン」位置に対応する。
【0024】
前記所定の並進の方向は、「スタート」位置から「ストップ」位置までの動きに対応する。前記所定の並進の方向は、好ましくは「オン」位置から「スタート」位置までの動きに対応する。「アクセサリ」位置がある場合には、前記所定の並進の方向は、好ましくは「オン」位置から「アクセサリ」位置までの動きに対応する。
【0025】
第1プッシュバック手段6は、好ましくは、ばねである。
【0026】
図1に示されている一実施形態において、ブラケット2は凹部4を含む。
【0027】
ブラケット2の凹部4は、ロータ1が所定の方向において所定の角度位置から回転しないように、かつ、第1プッシュバック手段6によって加えられる軸方向の力の向きの反対の向きにロータ1に予め力を加えると、ロータ1が前記所定の方向において前記所定の角度位置を越えて回転することを可能にするように、リテーナ3と協働するよう構成されている。
【0028】
凹部4は、リテーナ3が保持されるブラケット2の平面Bに位置している。凹部4は、第1プッシュバック手段6によって加えられる軸方向の力の向きに広がっている。より正確には、凹部4は、キーが差し込まれる向きの反対の向きに広がっている。
【0029】
車両のユーザ、又は車両のユーザの意図しない行動が、ロータ1を前記所定の方向において前記所定の角度位置から回転させようとする場合に、ロータ1が前記所定の方向において前記所定の角度位置から回転しないようにするのに十分な深さを、凹部4は有するべきである。
【0030】
図2には、本発明によるイグニッション装置の部分が表されている。
【0031】
リテーナ3は、ブラケット2の凹部4と協働する。リテーナ3は、ブラケット2の凹部4にある。ロータは「オン」位置にあり、これは約90°又は110°の回転として参照される。第1プッシュバック手段6は、伸びている。
【0032】
第1プッシュバック手段6が伸長しており凹部4に深さがあるので、ロータ1の「オン」位置から「スタート」位置までの回転運動は可能であるが、ロータ1の「オン」位置から「アクセサリ」又は「ストップ」位置までの回転運動は不可能である。
【0033】
実際、第1プッシュバック手段6が伸長しており凹部4に深さがあるので、回転運動のみでは、「オン」位置から「アクセサリ」又は「ストップ」位置まで戻ることは不可能である。
【0034】
第1プッシュバック手段6によって加えられる軸方向の力の向きの反対向きの押す力がロータ1に加えられると、第1プッシュバック手段6は圧縮される。第1プッシュバック手段6の圧縮は、リテーナ3がブラケット2の凹部4から出ることにつながる。するとロータが「オン」位置から「アクセサリ」又は「ストップ」位置まで回転することが可能である。
【0035】
ブラケット2に対するロータ1の並進運動のみ、又はブラケット2に対するロータ1の回転運動のみでは、ロータ1が「オン」位置から「アクセサリ」位置又は「ストップ」位置まで回転することは不可能である。
【0036】
ブラケット2に対するロータ1の並進運動と、ブラケット2に対するロータ1の回転運動との組合せにより、ロータ1が「オン」位置から「アクセサリ」又は「ストップ」位置まで回転することが可能になる。
【0037】
矢印21は、第1プッシュバック手段6によって加えられる軸方向の力の向きの反対向きの力がリテーナ3をブラケット2の凹部4から出すためにロータ1に加えられるときの、ブラケット2に対するロータ1の並進運動を表す。矢印21は、第1プッシュバック手段によって加えられる軸方向の力の向きの反対向きである。
【0038】
矢印22は、リテーナ3をブラケット2の凹部4から出すためにロータに第1プッシュバック手段6によって加えられる軸方向の力の向きの反対向きに力を加えた後に、「オン」位置から「アクセサリ」又は「ストップ」位置まで戻るロータ1の回転を表す。
【0039】
矢印(21,22)によって表される運動の組合せによって、「オン」位置から「アクセサリ」又は「ストップ」位置までのロータ1の回転が可能になる。
【0040】
図3aは、本発明によるイグニッション装置を含むステアリングホイールロック装置の部分を表す。
【0041】
ロータは「ストップ」位置、すなわち、初期位置にある。リテーナ3は、ブラケット2と協働する。リテーナ3は、ブラケット2の平面Bと協働する。
【0042】
イグニッション装置は、ラッチ11を更に含む。ラッチ11は、キーを受け入れ可能である。ロータ1はラッチ11に結合されている。ロータ1又はラッチ11にキーは存在していない。
【0043】
ステアリングホイールロック装置は、カム9を更に含む。カム9は、ロータ1に回転方向において(in rotation)リンクされ、ブラケット2に対して並進方向において(in translation)固定されている。カム9の回転軸Aは、ロータ1の回転軸AAに平行である。カム9は、ステアリングホイールロックを作動させるように構成されている。
【0044】
カム9の回転軸Aは、ロータ1の回転軸AAと同じであり得る。
【0045】
図3aにおいて、カム9の回転軸Aは、ロータ1の回転軸AAと同じである。
【0046】
イグニッション装置は、ロータ内のキーの存在を制御する電気的接触を可能にするピンスイッチ5を更に含む。ピンスイッチ5は、ロータ内のキーの存在の検出器として動作する。ピンスイッチ5は、ロータ1に回転方向において結合され、ブラケット2に対して並進するように装着される。
【0047】
ピンスイッチ5は、第1及び第2位置を取ることができる。ピンスイッチ5の第1位置は、レスト位置に対応する。レスト位置においては、ピンスイッチ5によって電気的接触は確立されない。ピンスイッチ5の第2位置は、作動位置に対応する。作動位置においては、ピンスイッチ5は、ロータ1内におけるキーの存在を確証する電気的接触を確立する。
【0048】
ピンスイッチ5は、好ましくはカム9と回転方向においてリンクされる。ピンスイッチ5は、好ましくはカム9内に配置される。ピンスイッチ5は、好ましくはカム9に対して並進するように装着される。
【0049】
図3aにおいて、ピンスイッチ5は、レスト位置にあり、部分的にカム9内に配置されている。
【0050】
図3bは、ステアリングホイールロック装置のロータの並進軸AAに沿った断面図を示す。ステアリングホイールロック装置は、本発明によるイグニッション装置を含む。
【0051】
ロータ1は、0°の回転として参照される「ストップ」位置にある。ロータ1又はラッチ11にキーは存在しない。ピンスイッチ5は、レスト位置にある。ロータ内のキーの存在を示す光インジケータとの電気的接触は、ピンスイッチ5によって確立されない。
【0052】
イグニッション装置のロータ1は、キー検出手段7を更に含む。キー検出手段7は、ピンスイッチ5と結合されている。
【0053】
キー検出手段7は、キーがロータ1又はラッチ11に差し込まれるときに、第1位置を通って第2位置まで動く。キー検出手段7の第1位置は、キーがロータ1又はラッチ11に差し込まれていない位置に対応する。キー検出手段7の第2位置は、所定のキーがロータ1又はラッチ11に差し込まれている位置に対応する。キー検出手段7が第1位置から第2位置まで動くことによって、ピンスイッチ5をレスト位置から作動位置まで動かす。
【0054】
図3bにおいて、キー検出手段7は第1位置にある。
【0055】
一実施形態において、キー検出手段7は3つの要素を含む。キー検出手段7の各要素は、第1位置を通って第2位置まで動く。キー検出手段7の要素の第1位置は、キーがロータ1又はラッチ11に差し込まれていない位置に対応する。キー検出手段7の要素の第2位置は、所定のキーがロータ1又はラッチ11に差し込まれている位置に対応する。
【0056】
キーがロータ1又はラッチ11に差し込まれていないとき、キー検出手段7の3要素は第1位置にある。キーがロータ1又はラッチ11に差し込まれるとき、キー検出手段7の第1要素は、その第1位置からその第2位置まで動く。キー検出手段7の第1要素が第1位置から第2位置まで動くことは、キー検出手段7の第2要素がその第1位置からその第2位置まで動くことにつながる。キー検出手段7の第2要素が第1位置から第2位置まで動くことは、キー検出手段7の第3要素がその第1位置からその第2位置まで動くことにつながる。
【0057】
キー検出手段7の第3要素が第1位置から第2位置まで動くことは、ピンスイッチ5がレスト位置から作動位置まで動くことにつながる。
【0058】
イグニッション装置は、ステータ10も含む。ステータ10は、ブラケット2に対して並進方向及び回転方向において固定されている。ロータ1は、ステータ10に対して回転するように装着されている。
【0059】
イグニッション装置は、ロック部材13も含む。ロック部材13は、ロータ1をステータ10に対して回転方向において保持するために、及び、所定のキー12がロータ1又はラッチ11に差し込まれているときにロータ1をステータ10に対して回転方向において解放するために、ステータ10と協働するように構成されている。
【0060】
図3bにおいて、ロック部材13は、ロータ1をステータ10に対して回転方向において保持するために、ステータ10と協働する。
【0061】
図4aには、本発明によるイグニッション装置を含むステアリングホイールロック装置の部分が示されている。
【0062】
ロータ1は「ストップ」位置、すなわち、初期位置にある。所定のキー12がロータ1又はラッチ11内にある。リテーナ3は、ブラケット2と協働する。リテーナ3は、ブラケット2の平面Bと協働する。ピンスイッチ5は、作動位置にある。ピンスイッチ5が作動位置にあることによって、キーがロータ内に存在することを示す光インジケータと電気的に接触することが可能になる。
【0063】
矢印45は、ピンスイッチ5がレスト位置から作動位置まで動くとき、すなわち、キーがロータ1又はラッチ11に差し込まれるときの、ピンスイッチ5の動きを示す。
【0064】
図4bには、本発明によるイグニッション装置を含むステアリングホイールロック装置のロータの並進軸AAに沿った断面図が示されている。
【0065】
ロータ1は、0°の回転として参照される「ストップ」位置にある。所定のキー12がロータ1又はラッチ11内にある。キー検出手段7は第2位置にある。ピンスイッチ5は作動位置にある。ピンスイッチ5が作動位置にあることによって、ロータ内にキーが存在することを示す光インジケータと電気的に接触することが可能になる。ロック部材13は、ロータ1をステータ10に対して回転方向において解放するために、ステータ10と協働する。
【0066】
矢印(41,42,43)は、キーがロータ1又はラッチ11に差し込まれるとき、すなわち、キー検出手段7の要素が第1位置から第2位置まで動くときの、キー検出手段7の要素の動きを表す。
【0067】
矢印44は、ピンスイッチ5がレスト位置から作動位置まで動くとき、すなわち、キーがロータ1又はラッチ11に差し込まれるときの、ピンスイッチ5の動きを示す。
【0068】
図5は、本発明によるイグニッション装置を含むステアリングホイールロック装置の部分を示す。
【0069】
ロータ1は「アクセサリ」位置にある。所定のキー12が、ロータ1又はラッチ11内にある。ピンスイッチ5は、作動位置にある。
【0070】
ロータ1は、0°の回転として参照される初期位置から約45°又は90°の回転として参照される「アクセサリ」位置まで、ブラケット2に対して回転する。
【0071】
ロータ1、リテーナ3及びキー12は、回転方向においてリンクしている。リテーナ3は、ブラケット2と協働する。リテーナ3は、ブラケット2の平面Bと協働する。リテーナ3は、自由に回転できる。「アクセサリ」位置から「ストップ」又は「スタート」位置までのブラケット2に対するロータの回転が、可能である。
【0072】
矢印51は、「ストップ」位置から「アクセサリ」位置まで動くキーの動きを示す。
【0073】
図6aには、本発明によるイグニッション装置を含むステアリングホイールロック装置の部分が示されている。
【0074】
ロータ1は「オン」位置にある。所定のキー12が、ロータ1又はラッチ11内にある。
【0075】
ロータ1は、0°の回転として参照される初期位置から、又は約45°若しくは90°の回転として参照される「アクセサリ」位置から、約90°又は110°の回転として参照される「オン」位置まで、回転する。
【0076】
ロータ1、リテーナ3及びキー12は、回転方向においてリンクしている。リテーナ3は、ブラケット2の凹部4と協働する。リテーナ3は、ブラケット2の凹部4内にある。第1プッシュバック手段の圧縮は、回転運動のみで「アクセサリ」又は「ストップ」位置に戻ることを防止する。
【0077】
イグニッション装置は、第2プッシュバック手段を更に含む(図示せず)。第2プッシュバック手段は、作動位置からレスト位置まで、ロータ1の回転軸AAに平行な軸Aに沿って、ブラケット2とピンスイッチ5との間に軸方向の力を加えるように構成されている。
【0078】
ピンスイッチ5の回転軸Aは、ロータ1の回転軸AAと同じ軸であり得る。
【0079】
図6aにおいて、ピンスイッチ5の回転軸Aは、ロータ1の回転軸AAと同じ軸である。
【0080】
第2プッシュバック手段は、好ましくは、ばねである。
【0081】
図6aにおいて、第2プッシュバック手段は圧縮されている。第2プッシュバック手段は圧縮されているので、ピンスイッチ5は、作動位置からレスト位置まで並進方向に動く。
【0082】
イグニッション装置は、パッド8を更に含む。パッド8は、ロータ1の回転が所定の角度位置を越えるときに、第1プッシュバック手段の方向で並進方向においてピンスイッチ5を保持するように構成されている。
【0083】
第2プッシュバック手段は、圧縮されており、第2プッシュバック手段によって加えられる力の方向においてパッド8の側面と協働するようにピンスイッチ5を導く。ピンスイッチ5は、パッド8によって並進方向において作動位置に保持される。パッドは、ピンスイッチ5がロータ内のキーの存在を示す光インジケータと電気的接触をしなくなるのを防止する。
【0084】
もしパッド8が存在しなければ、リテーナ3がブラケット2の凹部4と協働するときに、第2プッシュバック手段はピンスイッチ5を並進方向において移動させるであろう。ピンスイッチ5は、レスト位置に向かって移動するであろう。ロータ内のキーの存在を示す光インジケータとの電気的接触が失われ得る。
【0085】
パッド8があるので、ピンスイッチ5は作動位置に保たれ、従ってロータ1内のキーの存在を示す光インジケータとの電気的接触も保たれる。
【0086】
矢印61は、「アクセサリ」位置から「オン」位置まで動くキーの動きを示す。
【0087】
図6bには、本発明によるイグニッション装置の部分が示されている。
【0088】
ロータ1は「オン」位置にある。所定のキーが、ロータ1又はラッチ内にある。
【0089】
ロータ1は、0°の回転として参照される初期位置から、又は約45°若しくは90°の回転として参照される「アクセサリ」位置から、約90°又は110°の回転として参照される「オン」位置まで、回転する。
【0090】
ロータ1、リテーナ3及びキーは、回転方向においてリンクしている。リテーナ3は、ブラケット2の凹部4と協働する。リテーナ3は、ブラケット2の凹部4内にある。第1プッシュバック手段6の圧縮は、回転運動のみで「アクセサリ」又は「ストップ」位置に戻ることを防止する。ピンスイッチは作動位置にある。ピンスイッチは、パッドによって並進方向において保持される。
【0091】
図7aには、ステアリングホイールロック装置の部分が示されている。ステアリングホイールロック装置は、本発明によるイグニッション装置を含む。
【0092】
ロータ1は「スタート」位置にある。所定のキー12が、ロータ1又はラッチ11内にある。
【0093】
ロータ1は、90°又は110°の回転として参照される「オン」位置から、135°の回転として参照される「スタート」位置まで、回転する。
【0094】
ロータ1、リテーナ3及びキー12は、回転方向においてリンクしている。リテーナ3は、ブラケット2の凹部4と協働する。リテーナ3は、ブラケット2の凹部4内にある。第1プッシュバック手段の圧縮は、回転運動のみで「アクセサリ」又は「ストップ」位置に戻ることを防止する。
【0095】
リテーナ3は、ステータ10又はブラケット2によって135°において回転が妨げられる。ピンスイッチは作動位置にある。ピンスイッチ5は、パッドによって並進方向において保持される。
【0096】
矢印71は、「オン」位置から「スタート」位置まで動くキーの動きを示す。
【0097】
図7bには、本発明によるイグニッション装置の部分が示されている。
【0098】
ロータ1は「スタート」位置にある。所定のキーが、ロータ1又はラッチ内にある。
【0099】
ロータ1は、約90°又は110°の回転として参照される「オン」位置から、135°の回転として参照される「スタート」位置まで、回転する。
【0100】
ロータ1、リテーナ3及びキーは、回転方向においてリンクしている。リテーナ3は、ブラケット2の凹部4と協働する。リテーナ3は、ブラケット2の凹部4内にある。第1プッシュバック手段の圧縮は、回転運動のみで「アクセサリ」又は「ストップ」位置に戻ることを防止する。
【0101】
リテーナ3は、ステータ10又はブラケット2によって135°において回転が妨げられる。ピンスイッチは作動位置にある。ピンスイッチは、パッドによって並進方向において保持される。
【0102】
図7cは、凹部4が傾斜面(ramp)を含む、本発明によるイグニッション装置の部分を示す。凹部4の傾斜面は、「オン」位置と「スタート」位置との間であり凹部の位置の後の所定の角度位置において、パッド8とピンスイッチ5との間にギャップ85を作るように、リテーナ3と協働する。パッド8とピンスイッチ5との間のギャップ85は、所定の方向において所定の角度位置から、パッド8とピンスイッチ5との間の摩擦を制限する。
【0103】
図8aは、本発明によるイグニッション装置の部分を示す。
【0104】
ロータ1は「ストップ」位置にある。「ストップ」位置において、車両には電気が供給されておらず、車両の燃焼機関はオフである。リテーナ3は、ブラケット2と協働する。リテーナ3は、ブラケット2の平面Bと協働する。
【0105】
図8bは、本発明によるイグニッション装置の部分を示す。
【0106】
ロータ1は「アクセサリ」位置にある。ロータ1は、0°の回転として参照される初期位置から、約45°又は90°の回転として参照される「アクセサリ」位置まで、回転する。リテーナ3は、ブラケット2と協働する。リテーナ3は、ブラケット2の平面Bと協働する。「アクセサリ」位置において、アクセサリの電気的接触が開始される。
【0107】
矢印81は、初期位置から「アクセサリ」位置まで動くキーの動き、すなわち、0°から約45°又は90°までの回転を表す。
【0108】
図8cは、本発明によるイグニッション装置の部分を示す。
【0109】
ロータ1は「オン」位置にある。ロータ1は、0°の回転として参照される初期位置から、又は約45°若しくは90°の回転として参照される「アクセサリ」位置から、それぞれ、約90°又は110°の回転として参照される「オン」位置まで、回転する。リテーナ3は、ブラケット2の凹部4と協働する。「オン」位置において、車両には電気が供給されており、車両は車両の燃焼機関の始動を許可する。
【0110】
矢印82は、「アクセサリ」位置から「オン」位置まで動くキーの動き、すなわち、約45°又は90°から、それぞれ、約90°又は110°までの回転を表す。
【0111】
図8dは、本発明によるイグニッション装置の部分を示す。
【0112】
ロータ1は「スタート」位置にある。ロータ1は、0°の回転として参照される初期位置から、又は約90°又は110°の回転として参照される「オン」位置から、約135°の回転として参照される「スタート」位置まで、回転する。リテーナ3は、ブラケット2の凹部4と協働する。「オン」位置の機能に加えて、車両の燃焼機関を始動するためにスタータに給電がされる。リテーナ3は、ステータ10又はブラケット2によって回転方向において停止させられる。リテーナ3が「スタート」位置に達するとき、ロータを「オン」位置に戻すために、第1プッシュバック手段は、「スタート」位置から「オン」位置に向かう向きに、リテーナ3に力を加える。
【0113】
矢印83は、「オン」位置から「スタート」位置まで動くキーの動き、すなわち、約90°又は110°から約135°までの回転を表す。
【0114】
図9a,9b及び9cは、凹部4が傾斜面14を含む、本発明によるイグニッション装置の部分を示す。
【0115】
傾斜面は、リテーナ3を受け入れ可能である。凹部4の傾斜面14は、所定の角度位置から所定の方向におけるロータの回転、より正確にはロータの「オン」位置から「スタート」位置までの回転を可能にするために、リテーナと協働する。回転は、極めて滑らかで、整然としており、及び/又は連続している。
【0116】
傾斜面14は、第1プッシュバック手段によって加えられる軸方向の力によりリテーナ3を「オン」位置に戻らせるために、リテーナ3と協働する。
【0117】
ブラケットの傾斜面は、リテーナが摺動する、ブラケット2の凹部4に位置している。傾斜面は、ブラケット2の凹部4から平面Bにまでわたる。
【0118】
ロータが「オン」位置から「スタート」位置まで回転するとき、リテーナは、ブラケットの傾斜面を、傾斜面の端部に達するまで登る。「オン」位置において、リテーナは、ブラケットの凹部の平面上に落ちる。ロータの「オン」位置から「スタート」位置までの回転運動は可能であるが、凹部に高さがあるので、ロータの「オン」位置から「アクセサリ」又は「ストップ」位置までの回転運動は不可能である。傾斜面は、「オン」位置と「スタート」位置との間で凹部の後に位置している。
【0119】
傾斜面14の開始点の高さは、凹部4と同じレベルである。傾斜面14の終了点の高さは、ブラケット2の平面Bと同じレベルである。
【0120】
図9aにおいて、ロータはアクセサリ位置にある。リテーナ3は、ブラケット2の平面Bと協働する。
【0121】
図9bにおいて、ロータは「オン」位置にある。リテーナは、ブラケット2の凹部4と協働する。リテーナ3は、ブラケット2の凹部4内にある。
【0122】
図9cにおいて、ロータは「スタート」位置にある。リテーナは、凹部4の傾斜面14と協働する。
【0123】
図9aから9cにおいて、矢印84は、「スタート」位置から「オン」位置まで動くキーの動き、すなわち、約135°から約90°又は110°までの回転を表す。矢印84は、凹部4内に戻るリテーナ3の動きも表す。
【0124】
前述の説明は、例示することを意図しており、本発明の範囲を制限することは意図していない、と理解されるべきであり、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって規定される。
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図8c
図8d
図9a
図9b
図9c