(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6751906
(24)【登録日】2020年8月20日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】電磁弁及びマニホールド形電磁弁集合体
(51)【国際特許分類】
F16K 27/00 20060101AFI20200831BHJP
F16K 31/06 20060101ALI20200831BHJP
【FI】
F16K27/00 D
F16K31/06 305K
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-197930(P2015-197930)
(22)【出願日】2015年10月5日
(65)【公開番号】特開2017-72161(P2017-72161A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2018年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072453
【弁理士】
【氏名又は名称】林 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】宮添 真司
(72)【発明者】
【氏名】芳村 親一
(72)【発明者】
【氏名】村上 崇史
【審査官】
小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−072162(JP,A)
【文献】
特開2013−083323(JP,A)
【文献】
特開2012−255508(JP,A)
【文献】
特開2003−184826(JP,A)
【文献】
特開平07−119851(JP,A)
【文献】
実開平07−041165(JP,U)
【文献】
実開平03−059572(JP,U)
【文献】
実開昭55−074876(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 3/24,27/00,27/04,31/06
F15B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付用ネジを用いてマニホールドベースに複数個並列に取り付けるための電磁弁であって、
該電磁弁は、長手方向、短手方向、及び高さ方向を有する弁ボディと、該弁ボディを長手方向に貫通するスプール摺動孔と、該スプール摺動孔に摺動自在に挿入されたスプールとを備え、
上記弁ボディは、該弁ボディの長手方向に延びて互いに平行を成す第1側面及び第2側面を有し、
上記第1側面には、上記弁ボディの高さ方向に延びる第1突条と、該第1突条に平行に延びる第1凹溝とが設けられ、
上記第2側面には、上記第1凹溝に対応する位置に設けられて上記弁ボディの高さ方向に延びる第2突条と、上記第1突条に対応する位置に設けられて上記第2突条に平行に延びる第2凹溝とが設けられ、
上記第1凹溝は、上記第1側面側で隣接する他の電磁弁の第2突条を収容できるように形成され、
上記第2凹溝は、上記第2側面側で隣接する他の電磁弁の第1突条を収容できるように形成され、
上記弁ボディは、上記第1突条に沿って設けられて上記取付用ネジを挿通可能な第1挿通孔と、上記第2突条に沿って設けられて上記取付用ネジを挿通可能な第2挿通孔とを有し、
該第1挿通孔の一部が上記第1突条を貫通すると共に、上記第2挿通孔の一部が上記第2突条を貫通し、
上記第1及び第2挿通孔並びに上記第1及び第2凹溝は、上記第1側面及び第2側面と直角を成して上記スプール摺動孔の軸を含んだ平面上において、上記スプール摺動孔の軸から上記第1及び第2挿通孔の孔壁面までの最短距離と、上記スプール摺動孔の軸から上記第1及び第2凹溝の底壁面までの距離とが等しくなるように形成され、
また、上記平面上において、上記スプール摺動孔の半径は、供給用、出力用、排出用の連通孔が該スプール摺動孔に連通する位置で、該スプール摺動孔の軸から上記第1及び第2凹溝の底壁面までの距離より大きい、
ことを特徴とする電磁弁。
【請求項2】
取付用ネジを用いてマニホールドベースに複数個並列に取り付けるための電磁弁であって、
該電磁弁は、長手方向、短手方向、及び高さ方向を有する弁ボディと、該弁ボディを長手方向に貫通するスプール摺動孔と、該スプール摺動孔に摺動自在に挿入されたスプールとを備え、
上記弁ボディは、該弁ボディの長手方向に延びて互いに平行を成す第1側面及び第2側面を有し、
上記第1側面には、上記弁ボディの高さ方向に延びる第1突条と、該第1突条に平行に延びる第1凹溝とが設けられ、
上記第2側面には、上記第1凹溝に対応する位置に設けられて上記弁ボディの高さ方向に延びる第2突条と、上記第1突条に対応する位置に設けられ上記第2突条に平行に延びる第2凹溝とが設けられ、
上記第1凹溝は、上記第1側面側で隣接する他の電磁弁の第2突条を収容できるように形成され、
上記第2凹溝は、上記第2側面側で隣接する他の電磁弁の第1突条を収容できるように形成され、
上記弁ボディは、上記第1突条に沿って設けられ上記取付用ネジを挿通可能な第1挿通孔と、上記第2突条に沿って設けられ上記取付用ネジを挿通可能な第2挿通孔とを有し、
該第1挿通孔の一部が上記第1突条を貫通すると共に、上記第2挿通孔の一部が上記第2突条を貫通し、
上記第1及び第2側面から上記第1及び第2突条の頂面までの距離を共にh1、上記第1及び第2側面からの上記第1及び第2凹溝の深さを共にh2、上記第1及び第2挿通孔の孔壁面と上記第1及び第2突条の頂面との間の最小壁厚を共にc、上記第1及び第2挿通孔の直径をdとしたとき、これらの寸法関係が、
c+d−h1=h2
となり、かつ
h1>h2
となり、
また、上記平面上において、上記スプール摺動孔の半径は、供給用、出力用、排出用の連通孔が該スプール摺動孔に連通する位置で、該スプール摺動孔の軸から上記第1及び第2凹溝の底壁面までの距離より大きい、
ことを特徴とする電磁弁。
【請求項3】
上記スプール摺動孔の軸と直交する方向の断面形状は、上記弁ボディの高さ方向を向く長軸と短手方向を向く短軸とを有する細長形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁弁。
【請求項4】
上記断面形状は、上記長軸方向に直線的に延び且つ互いに平行をなす左右の孔側壁と、該左右の孔側壁の一端同士を結ぶ上下の孔端壁とを有する形状、又は楕円形状であることを特徴とする請求項3に記載の電磁弁。
【請求項5】
長手方向、短手方向、及び高さ方向を有する弁ボディと、該弁ボディを長手方向に貫通するスプール摺動孔と、該スプール摺動孔に摺動自在に挿入されたスプールとを有する電磁弁と、
上記電磁弁を取付用ネジを用いて複数個並列に取り付けるための複数の弁取付面を有するマニホールドベースとを備える、
マニホールド形電磁弁集合体であって、
上記弁ボディには、上記取付用ネジを挿通可能な第1挿通孔と第2挿通孔とが、対を成してそれぞれ上記弁ボディの高さ方向に設けられ、
上記弁取付面には、上記第1挿通孔に対応し上記取付用ネジを螺合させることで上記電磁弁の取付を可能とする第1取付孔と、上記第2挿通孔に対応し上記取付用ネジを螺合させることで上記電磁弁の取付を可能とする第2取付孔とが、対を成してそれぞれ複数個設けられ、
上記弁ボディは、該弁ボディの長手方向に延びて互いに平行を成す第1側面及び第2側面を有し、
上記第1側面には、上記第1挿通孔に沿って延びる第1突条と、該第1突条に対して平行に延びる第1凹溝とが設けられ、
上記第2側面には、上記第1凹溝に対応する位置に設けられ上記第2挿通孔に沿って延びる第2突条と、上記第1突条に対応する位置に設けられ該第2突条に対して平行に延びる第2凹溝とが設けられ、
上記第1凹溝は、上記第1側面側で隣接する他の電磁弁の第2突条を収容するように形成され、
上記第2凹溝は、上記第2側面側で隣接する他の電磁弁の第1突条を収容するように形成され、
該第1挿通孔の一部が上記第1突条を貫通すると共に、上記第2挿通孔の一部が上記第2突条を貫通し、
上記第1及び第2挿通孔並びに上記第1及び第2凹溝は、上記第1側面及び第2側面と直角を成して上記スプール摺動孔の軸を含んだ平面上において、上記スプール摺動孔の軸から上記第1及び第2挿通孔の孔壁面までの最短距離と、上記スプール摺動孔の軸から上記第1及び第2凹溝の底壁面までの距離とが等しくなるように設けられ、
また、上記平面上において、上記スプール摺動孔の半径は、供給用、出力用、排出用の連通孔が該スプール摺動孔に連通する位置で、該スプール摺動孔の軸から上記第1及び第2凹溝の底壁面までの距離より大きい、
ことを特徴とするマニホールド形電磁弁集合体。
【請求項6】
長手方向、短手方向、及び高さ方向を有する弁ボディと、該弁ボディを長手方向に貫通するスプール摺動孔と、該スプール摺動孔に摺動自在に挿入されたスプールとを有する電磁弁と、
上記電磁弁を取付用ネジを用いて複数個並列に取り付けるための複数の弁取付面を有するマニホールドベースとを備える、
マニホールド形電磁弁集合体であって、
上記弁ボディには、上記取付用ネジを挿通可能な第1挿通孔と第2挿通孔とが、対を成してそれぞれ上記弁ボディの高さ方向に設けられ、
上記弁取付面には、上記第1挿通孔に対応し上記取付用ネジを螺合させることで上記電磁弁の取付を可能とする第1取付孔と、上記第2挿通孔に対応し上記取付用ネジを螺合させることで上記電磁弁の取付を可能とする第2取付孔とが、対を成してそれぞれ複数個設けられ、
上記弁ボディは、該弁ボディの長手方向に延びて互いに平行を成す第1側面及び第2側面を有し、
上記第1側面には、上記第1挿通孔に沿って延びる第1突条と、該第1突条に対して平行に延びる第1凹溝とが設けられ、
上記第2側面には、上記第1凹溝に対応する位置に設けられ上記第2挿通孔に沿って延びる第2突条と、上記第1突条に対応する位置に設けられ該第2突条に対して平行に延びる第2凹溝とが設けられ、
上記第1凹溝は、上記第1側面側で隣接する他の電磁弁の第2突条を収容するように形成され、
上記第2凹溝は、上記第2側面側で隣接する他の電磁弁の第1突条を収容するように形成され、
該第1挿通孔の一部が上記第1突条を貫通すると共に、上記第2挿通孔の一部が上記第2突条を貫通し、
上記第1及び第2側面から上記第1及び第2突条の頂面までの距離を共にh1、上記第1及び第2側面からの上記第1及び第2凹溝の深さを共にh2、上記第1及び第2挿通孔の孔壁面と上記第1及び第2突条の頂面との間の最小壁厚を共にc、上記第1及び第2挿通孔の直径をdとしたとき、これらの寸法関係が、
c+d−h1=h2
となり、かつ
h1>h2
となり、
また、上記平面上において、上記スプール摺動孔の半径は、供給用、出力用、排出用の連通孔が該スプール摺動孔に連通する位置で、該スプール摺動孔の軸から上記第1及び第2凹溝の底壁面までの距離より大きい、
ことを特徴とするマニホールド形電磁弁集合体。
【請求項7】
上記スプール摺動孔の軸と直交する方向の断面形状は、上記弁ボディの高さ方向を向く長軸と短手方向を向く短軸とを有する細長形状であることを特徴とする請求項5又は6に記載のマニホールド形電磁弁集合体。
【請求項8】
上記断面形状は、上記長軸方向に直線的に延び且つ互いに平行をなす左右の孔側壁と、該左右の孔側壁の一端同士を結ぶ上下の孔端壁とを有する形状、又は楕円形状であることを特徴とする請求項7に記載のマニホールド形電磁弁集合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付用ネジを用いてマニホールドベースの取付面に複数個を並列に取り付けるための電磁弁、及び電磁弁をマニホールドベースに取り付けることにより形成されるマニホールド形電磁弁集合体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に記載のように、取付用ネジを用いてマニホールドベースの取付面に並列に取り付けるための切換弁が知られている。この切換弁は、摺動孔を有するボディの側面に突条部と溝部を設けると共に、この突条部に沿って取付用ネジを挿通するための挿通孔を設けたものである。
この突条部と溝部は共にマニホールドベースの取付面に対して上下方向に延びると共に、その断面がほぼ同一径の半円となるように形成されている。そのため、溝部に、隣接する切換弁の突条部を収容することで、切換弁の位置決めが可能となる。また、挿通孔にネジやビス(以下、ネジ等という。)を挿通させて、切換弁をマニホールドベースに対してネジ止めすることで、複数の切換弁をマニホールドベースに効率よく取り付けることが可能となる。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の切換弁では、摺動孔の外径は摺動孔の軸から溝部の底までの距離によって決定されることとなるため、取付孔と摺動孔との間の肉厚が効率的に利用されているとは言い難い。
一方で、この種の切換弁では、小形化と大流量化とが求められているので、ボディの幅に対して摺動孔の孔径を効率よく拡大することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭55−74876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ボディの幅に対する摺動孔の孔径の関係をより合理的にした設計構造の電磁弁及びマニホールド形電磁弁集合体を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る電磁弁は、取付用ネジを用いてマニホールドベースに複数個並列に取り付けるための電磁弁であって、該電磁弁は、長手方向、短手方向、及び高さ方向を有する弁ボディと、該弁ボディを長手方向に貫通するスプール摺動孔と、該スプール摺動孔に摺動自在に挿入されたスプールとを備え、上記弁ボディは、該弁ボディの長手方向に延びて互いに平行を成す第1側面及び第2側面を有し、上記第1側面には、上記弁ボディの高さ方向に延びる第1突条と、該第1突条に平行に延びる第1凹溝とが設けられ、上記第2側面には、上記第1凹溝に対応する位置に設けられて上記弁ボディの高さ方向に延びる第2突条と、上記第1突条に対応する位置に設けられて上記第2突条に平行に延びる第2凹溝とが設けられ、上記第1凹溝は、上記第1側面側で隣接する他の電磁弁の第2突条を収容できるように形成され、上記第2凹溝は、上記第2側面側で隣接する他の電磁弁の第1突条を収容できるように形成され、上記弁ボディは、上記第1突条に沿って設けられて上記取付用ネジを挿通可能な第1挿通孔と、上記第2突条に沿って設けられて上記取付用ネジを挿通可能な第2挿通孔とを有し、該第1挿通孔の一部が上記第1突条を貫通すると共に、上記第2挿通孔の一部が上記第2突条を貫通し、上記第1及び第2挿通孔並びに上記第1及び第2凹溝は、上記第1側面及び第2側面と直角を成して上記スプール摺動孔の軸を含んだ平面上において、上記スプール摺動孔の軸から上記第1及び第2挿通孔の孔壁面までの最短距離と、上記スプール摺動孔の軸から上記第1及び第2凹溝の底壁面までの距離とが等しくなるように形成され
、また、上記平面上において、上記スプール摺動孔の半径は、供給用、出力用、排出用の連通孔が該スプール摺動孔に連通する位置で、該スプール摺動孔の軸から上記第1及び第2凹溝の底壁面までの距離より大きいことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る電磁弁は、取付用ネジを用いてマニホールドベースに複数個並列に取り付けるための電磁弁であって、該電磁弁は、長手方向、短手方向、及び高さ方向を有する弁ボディと、該弁ボディを長手方向に貫通するスプール摺動孔と、該スプール摺動孔に摺動自在に挿入されたスプールとを備え、上記弁ボディは、該弁ボディの長手方向に延びて互いに平行を成す第1側面及び第2側面を有し、上記第1側面には、上記弁ボディの高さ方向に延びる第1突条と、該第1突条に平行に延びる第1凹溝とが設けられ、上記第2側面には、上記第1凹溝に対応する位置に設けられて上記弁ボディの高さ方向に延びる第2突条と、上記第1突条に対応する位置に設けられ上記第2突条に平行に延びる第2凹溝とが設けられ、上記第1凹溝は、上記第1側面側で隣接する他の電磁弁の第2突条を収容できるように形成され、上記第2凹溝は、上記第2側面側で隣接する他の電磁弁の第1突条を収容できるように形成され、上記弁ボディは、上記第1突条に沿って設けられ上記取付用ネジを挿通可能な第1挿通孔と、上記第2突条に沿って設けられ上記取付用ネジを挿通可能な第2挿通孔とを有し、該第1挿通孔の一部が上記第1突条を貫通すると共に、上記第2挿通孔の一部が上記第2突条を貫通し、上記第1及び第2側面から上記第1及び第2突条の頂面までの距離を共にh1、上記第1及び第2側面からの上記第1及び第2凹溝の深さを共にh2、上記第1及び第2挿通孔の孔壁面と上記第1及び第2突条の頂面との間の最小壁厚を共にc、上記第1及び第2挿通孔の直径をdとしたとき、これらの寸法関係が、c+d−h1=h2となり、かつh1>h2とな
り、また、上記平面上において、上記スプール摺動孔の半径は、供給用、出力用、排出用の連通孔が該スプール摺動孔に連通する位置で、該スプール摺動孔の軸から上記第1及び第2凹溝の底壁面までの距離より大きいことを特徴とする。
【0008】
上記スプール摺動孔の軸と直交する方向の断面形状は、上記
弁ボディの高さ方向を向く長軸と短手方向を向く短軸とを有する細長形状であってもよい。
一例として、上記断面形状は、上記長軸方向に直線的に延び且つ互いに平行をなす左右の孔側壁と、該左右の孔側壁の一端同士を結ぶ上下の孔端壁とを有する形状、又は楕円形状である。
【0009】
また、本発明に係るマニホールド形電磁弁集合体は、長手方向、短手方向、及び高さ方向を有する弁ボディと、該弁ボディを長手方向に貫通するスプール摺動孔と、該スプール摺動孔に摺動自在に挿入されたスプールとを有する電磁弁と、上記電磁弁を取付用ネジを用いて複数個並列に取り付けるための複数の弁取付面を有するマニホールドベースとを備える、マニホールド形電磁弁集合体であって、上記弁ボディには、上記取付用ネジを挿通可能な第1挿通孔と第2挿通孔とが、対を成してそれぞれ上記弁ボディの高さ方向に設けられ、上記弁取付面には、上記第1挿通孔に対応し上記取付用ネジを螺合させることで上記電磁弁の取付を可能とする第1取付孔と、上記第2挿通孔に対応し上記取付用ネジを螺合させることで上記電磁弁の取付を可能とする第2取付孔とが、対を成してそれぞれ複数個設けられ、上記弁ボディは、該弁ボディの長手方向に延びて互いに平行を成す第1側面及び第2側面を有し、上記第1側面には、上記第1挿通孔に沿って延びる第1突条と、該第1突条に対して平行に延びる第1凹溝とが設けられ、上記第2側面には、上記第1凹溝に対応する位置に設けられ上記第2挿通孔に沿って延びる第2突条と、上記第1突条に対応する位置に設けられ該第2突条に対して平行に延びる第2凹溝とが設けられ、上記第1凹溝は、上記第1側面側で隣接する他の電磁弁の第2突条を収容するように形成され、上記第2凹溝は、上記第2側面側で隣接する他の電磁弁の第1突条を収容するように形成され、該第1挿通孔の一部が上記第1突条を貫通すると共に、上記第2挿通孔の一部が上記第2突条を貫通し、上記第1及び第2挿通孔並びに上記第1及び第2凹溝は、上記第1側面及び第2側面と直角を成して上記スプール摺動孔の軸を含んだ平面上において、上記スプール摺動孔の軸から上記第1及び第2挿通孔の孔壁面までの最短距離と、上記スプール摺動孔の軸から上記第1及び第2凹溝の底壁面までの距離とが等しくなるように設けられ
、また、上記平面上において、上記スプール摺動孔の半径は、供給用、出力用、排出用の連通孔が該スプール摺動孔に連通する位置で、該スプール摺動孔の軸から上記第1及び第2凹溝の底壁面までの距離より大きいことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るマニホールド形電磁弁集合体は、長手方向、短手方向、及び高さ方向を有する弁ボディと、該弁ボディを長手方向に貫通するスプール摺動孔と、該スプール摺動孔に摺動自在に挿入されたスプールとを有する電磁弁と、上記電磁弁を取付用ネジを用いて複数個並列に取り付けるための複数の弁取付面を有するマニホールドベースとを備える、マニホールド形電磁弁集合体であって、上記弁ボディには、上記取付用ネジを挿通可能な第1挿通孔と第2挿通孔とが、対を成してそれぞれ上記弁ボディの高さ方向に設けられ、上記弁取付面には、上記第1挿通孔に対応し上記取付用ネジを螺合させることで上記電磁弁の取付を可能とする第1取付孔と、上記第2挿通孔に対応し上記取付用ネジを螺合させることで上記電磁弁の取付を可能とする第2取付孔とが、対を成してそれぞれ複数個設けられ、上記弁ボディは、該弁ボディの長手方向に延びて互いに平行を成す第1側面及び第2側面を有し、上記第1側面には、上記第1挿通孔に沿って延びる第1突条と、該第1突条に対して平行に延びる第1凹溝とが設けられ、上記第2側面には、上記第1凹溝に対応する位置に設けられ上記第2挿通孔に沿って延びる第2突条と、上記第1突条に対応する位置に設けられ該第2突条に対して平行に延びる第2凹溝とが設けられ、上記第1凹溝は、上記第1側面側で隣接する他の電磁弁の第2突条を収容するように形成され、上記第2凹溝は、上記第2側面側で隣接する他の電磁弁の第1突条を収容するように形成され、該第1挿通孔の一部が上記第1突条を貫通すると共に、上記第2挿通孔の一部が上記第2突条を貫通し、上記第1及び第2側面から上記第1及び第2突条の頂面までの距離を共にh1、上記第1及び第2側面からの上記第1及び第2凹溝の深さを共にh2、上記第1及び第2挿通孔の孔壁面と上記第1及び第2突条の頂面との間の最小壁厚を共にc、上記第1及び第2挿通孔の直径をdとしたとき、これらの寸法関係が、c+d−h1=h2となり、かつh1>h2とな
り、また、上記平面上において、上記スプール摺動孔の半径は、供給用、出力用、排出用の連通孔が該スプール摺動孔に連通する位置で、該スプール摺動孔の軸から上記第1及び第2凹溝の底壁面までの距離より大きいことを特徴とする。
【0011】
上記スプール摺動孔の軸と直交する方向の断面形状は、上記
弁ボディの高さ方向を向く長軸と短手方向を向く短軸とを有する細長形状であってもよい。
一例として、上記断面形状は、上記長軸方向に直線的に延び且つ互いに平行をなす左右の孔側壁と、該左右の孔側壁の一端同士を結ぶ上下の孔端壁とを有する形状、又は楕円形状である。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、第1側面及び第2側面と直角を成して
スプール摺動孔の軸を含んだ平面上において、スプール摺動孔の軸から第1及び第2挿通孔の孔壁面までの最短距離と、スプール摺動孔の軸から第1及び第2凹溝の底壁面までの距離とが等しくなるように形成されているため、弁ボディの幅に対してスプール摺動孔の孔径を効率よく拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る電磁弁を取り付けたマニホールド形電磁弁集合体の平面図である。
【
図3】
図1に記載されている電磁弁の一つを断面にしたマニホールド形電磁弁集合体の側面図である。
【
図4】電磁弁を取り外した状態でのマニホールド形電磁弁集合体の平面図である。
【
図5】隣接する電磁弁の断面図であり、一方の電磁弁についてスプールを省略した図である。
【
図6】第1及び第2突条を挿通する第1及び第2挿通孔の他の実施形態を説明する図である。
【
図7】細長形状に形成されたスプール摺動孔の断面形状を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る電磁弁及びマニホールド形電磁弁集合体の実施形態について詳細に説明する。
図1〜
図5に示すように、本発明の電磁弁2は、マニホールドベース1に並列に取り付けられるものであり、流路切換用のスプール16を内蔵する主弁部14と、該スプール16を操作する電磁操作式のパイロット弁15とからなる。
【0015】
マニホールドベース1は、矩形かそれに類似する断面形状を有する一方向に長いブロックからなるもので、その上面に複数設けられている平らな弁取付面3(
図4参照)に電磁弁2が取り付けられている。このマニホールドベース1の内部には、
図2に示すように、一括供給用及び一括排出用の流体流路6,7A,7Bが、該マニホールドベース1を一端側から他端側に向けて長手方向に貫通するように設けられ、これらの流体流路6,7A,7Bから分岐する複数の分岐通孔6a,7a,7bが、上記
弁取付面3にそれぞれ開口している。
図2では、中央の第1流体流路6が一括供給用、その両側の第2及び第3流体流路7A,7Bが一括排出用である。そして、上記第1流体流路6がマニホールドベース1の長手方向の中央部を電磁弁2の並列方向に対して平行方向に延び、上記第2及び第3流体流路7A,7Bがこの第1流体流路6の両側に位置し、該第1流体流路6と平行に延びている。
【0016】
また、
図4に示すように、上記弁取付面3には、電磁弁2を取り付けるための取付用ネジ47を螺合可能な一対の
第1及び第2取付孔9a,9bが、後述する第1及び第2挿通孔45,46に対応して形成されている。また、マニホールドベース1には、このマニホールドベース1をボルトやネジ等を用いて周辺機器に設置するための取付孔4が設けられている。
【0017】
一方で、
図1〜
図3から明らかなように、上記主弁部14の弁ボディ18は、長手方向、短手方向、及び高さ方向に側面を有する略直方体状に形成されている。また、この弁ボディ18の長手方向には、スプール16を摺動自在に組み込む筒状のスプール摺動孔19が貫設されている。さらに、このスプール摺動孔19における軸L1と直交する方向の断面形状は、円形に形成されている。
【0018】
また、スプール摺動孔19には、1つの流体供給用の連通孔20と、その両側に位置する2つの出力用の連通孔21a,21bと、更にその両側に位置する2つの排出用の連通孔22a,22bとが開口していて、これらの連通孔20〜22b間の流路が上記スプール16で切り換えられるようになっている。また、弁ボディ18の長手方向には、スプール16の摺動に用いるための流体を流通するパイロット通路23がスプール摺動孔19と平行に貫設されており、このパイロット通路23が連通孔20に連通されている。
【0019】
また、
図5を参照して、上記弁ボディ18は、スプール摺動孔19の軸L1に沿って延び且つ互いに平行を成す第1側面32と第2側面33と、底面34及び上面35を有している。
【0020】
上記底面34は上記マニホールドベース1の弁取付面3に取り付けるために略矩形で実質的に平らに形成されており、その中央に供給用の連通孔20が開口している。また、この連通孔20の両側には、排出用の連通孔22a,22bが連通孔20に対してほぼ対称に開口している。そして、これらの連通孔20,22a,22bの開口位置は、上記弁取付面3にこの電磁弁2を取り付けたときに、分岐通孔6a,7a,7bとそれぞれ連通する位置である。
【0021】
また、上記マニホールドベース1の短手方向の一側面1aには、上記電磁弁2に流入されている流体を出力するための第1及び第2出力ポートA,Bが、2個を1組として上記電磁弁2の数と同じ組数だけ設けられている。また、上記第1及び第2出力ポートA,Bには出力用連通孔8a,8bがそれぞれ通じており、この出力用連通孔8a,8bが、上記
弁取付面3の分岐通孔6aと7aとの間、及び分岐通孔6aと7bとの間に一つずつ開口している。そして、この出力用連通孔8a,8bは、上記
弁取付面3に上記電磁弁2を取り付けたときに、出力用の連通孔21a,21bとそれぞれ連通するようになっている。
【0022】
弁ボディ18の長手方向、すなわちスプール摺動孔19の軸L1方向の両端部には、それぞれ第1及び第2ピストンカバー28a,28bが取り付けられている。また、第1ピストンカバー28aとスプール16との間には、ピストン室29aが形成され、このピストン室29a内に、スプール16の第一端16aに当接するピストン29が設けられ、このピストン29の一側に圧力室30aが設けられている。また、上記第2ピストンカバー28bと上記スプール16との間には、スプール16を復帰させる流体が常時供給される圧力室30bが形成され、この圧力室30bは、パイロット通路23を介して上記連通孔20に連通している。なお、図中24は手動操作のための操作子であって、上記パイロット弁15に通電したときの状態を手動操作で再現するためのものである。
【0023】
次に、弁ボディ18に形成されている第1及び第2突条41,42と第1及び第2凹溝43,44について説明する。上記第1側面32には、高さ方向に延びる第1突条41と、該第1突条41に対して平行に延びる第1凹溝43とが設けられている。また、上記第2側面33には、上記第1凹溝43に対応する位置に設けられ高さ方向に延びる第2突条42と、第1突条41に対応する位置に設けられ該第2突条42に対して平行に延びる第2凹溝44とが設けられている。
【0024】
第1及び第2突条41,42と第1及び第2凹溝43,44の溝の横断面の形状は、共に、等脚台形の下底を除去されたような形をしていて、第1及び第2突条41,42の頂面41a,42aと、第1及び第2凹溝43,44の底壁面43a,44aとは、何れも平坦で第1及び第2側面32,33と平行を成している。そして、第1及び第2突条41,42の断面は、第1及び第2凹溝43,44の溝よりも僅かに大きい。従って、マニホールドベース1に複数の電磁弁2を並列に取り付ける際に、隣接する電磁弁2の間に僅かな隙間を有しながら、第1凹溝43及び第2凹溝44はそれぞれ隣接する電磁弁2の第2突条42及び第1突条41を収容するように形成されている。
【0025】
また、弁ボディ18には、第1及び第2突条41,42に沿って設けられ取付用ネジ47を挿通可能な第1及び第2挿通孔45,46が設けられている。そして、この第1及び第2挿通孔45,46は、第1挿通孔45の一部が第1突条41を貫通すると共に弁ボディ18の肉厚部18aを貫通し、第2挿通孔46の一部が第2突条42を貫通すると共に弁ボディ18の肉厚部18aを貫通するように配されている。
【0026】
次に、この電磁弁2の第1及び第2突条41,42、第1及び第2凹溝43,44、及び第1及び第2挿通孔45,46の位置関係について説明する。第1側面32及び第2側面33と直角を成してスプール摺動孔19の軸L1を含む平面P上における、第1及び第2挿通孔45,46の孔壁面45a、46aがスプール摺動孔19に最も近接する部分と軸L1との距離をD1、第1及び第2凹溝43,44の底壁面43a,44aと上記軸L1との距離をD2とすると、第1及び第2凹溝43,44、及び第1及び第2挿通孔45,46は、距離D1とD2とが等しくなるように弁ボディ18に設けられている。
【0027】
ところで、この弁ボディ18において上記の距離D1とD2とが異なる場合には、スプール摺動孔19は短い方の距離に対応させてその径を設定する必要がある。そのため、距離D1がD2よりも長い場合には、スプール摺動孔19の側壁19aと第1及び第2挿通孔45,46の孔壁面45a,46aとの間の肉厚が必要以上に大きくなる。また、距離D2がD1よりも長い場合には、スプール摺動孔19の側壁19aと第1及び第2凹溝43,44の底壁面43a,44aとの間の肉厚が必要以上に大きくなる。従って、上記距離D1とD2とを等しくすることにより、これらの肉厚が必要以上に厚くならないため、弁ボディ18の幅に対するスプール摺動孔19の孔径を効率よく拡大することができる。
【0028】
また、この平面P上において、スプール摺動孔19の側壁19aと第1及び第2凹溝43,44の底壁面43a,44aとの距離、及び、該側壁19aと第1及び第2挿通孔45,46の孔壁面45a,46aとの距離をc2とすると、スプール摺動孔19の直径h3は以下の数式で表される。
h3=2×(D1−c2)=2×(D2−c2) (1)
【0029】
なお、
図5に示す第1及び第2挿通孔45,46は、第1
及び第2突条41,42の頂面41a,42aから離隔して形成されているが、これに限られない。例えば、
図6に示すように、第1及び第2挿通孔45,46は、上記頂面41a,42aに孔壁面45a,46aの一部が開口する位置に形成されていてもよい。このとき、第1及び第2挿通孔45,46は、その軸方向の断面が優弧状に形成されることが望ましい。
【0030】
また、この平面P上において、第1及び第2側面32,33と第1
及び第2突条41,42の頂面41a,42aとの距離をh1、第1及び第2側面32,33からの第1及び第2凹溝43,44の溝の深さをh2、この頂面41a,42aと第1及び第2挿通孔45,46の孔壁面45a,46aとの距離をc、第1及び第2挿通孔45,46の直径をdとすると、これらを以下の関係で表すことができる。
c+d−h1=h2 (2)
ここで、第1及び第2凹溝43,44の溝の深さh2は第1
及び第2突条41,42の高さh1よりも所定の値αだけ短いため、h2=h1−αを数式(2)に代入することで、以下の関係が成り立つ。
h1=(α+c+d)/2 (3)
【0031】
以上説明したように、本実施形態の電磁弁2は、上記(1)式が成り立つように構成し、或いは上記(2)及び(3)式が成り立つように構成されているため、弁ボディ18の幅に対するスプール摺動孔19の大径化を達成することができる。
【0032】
次に、本発明に係るマニホールド形電磁弁集合体50について説明する。本発明に係るマニホールド形電磁弁集合体50は、上述した電磁弁2とマニホールドベース1とを備えるものであり、取付用ネジ47を用いて、マニホールドベース1の弁取付面3に電磁弁2を取り付けるものである。マニホールド形電磁弁集合体50を構成する電磁弁2とマニホールドベース1の構成は、上述した電磁弁2及びマニホールド
ベース1の構成と同一であるため、各構成についての説明は省略する。
【0033】
また、上述した電磁弁2及びマニホールド形電磁弁集合体50では、スプール摺動孔19の軸L1と直交する方向の断面形状は円形であるが、この断面形状は、
図7に示すような上記弁ボディ18の高さ方向を向く長軸と短手方向を向く短軸とを有する細長形状であってもよい。この細長形状の一例としては、電磁弁2Aに示すような長方形状や、電磁弁2Bに示すような楕円形状や、電磁弁2Cに示すような、長軸方向に直線的に延び且つ互いに平行をなす左右側壁19b、該左右側壁19bの一端同士を結ぶ上側壁19c、及び該左右側壁19bの他端同士を結ぶ下側壁19dとを有するトラック形状がある。また、このとき、スプール16に設けられているランド部は、スプール摺動孔19における上記断面形状と同一の形状となる。
そして、このように軸L1方向に対して垂直方向の断面を細長形状とするスプール摺動孔19であっても、上記(1)式、或いは(2),(3)式を満たすような電磁弁2A〜2Cを形成することにより、当該断面を円形とするスプール摺動孔19と同様に、ボディの幅に対してスプール摺動孔の孔径を効率よく拡大することができる。
【0034】
以上、本発明に係る電磁弁及びマニホールド形電磁弁集合体の実施形態について詳細に説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な設計変更が可能である。例えば、上述の実施形態では、第1及び第2突条41,42の短手方向の断面と第1及び第2凹溝43,44の溝の形状は共に台形状に形成されているが、この形状は、マニホールドベース1に取り付けられる電磁弁2の位置決めができるように互いに類似する形状になっていればよく、例えば長方形状や三角形状であってもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 マニホールドベース
2 電磁弁
3 弁取付面
16 スプール
18
弁ボディ
19 スプール摺動孔
32 第1側面
33 第2側面
41 第1突条
42 第2突条
43 第1凹溝
44 第2凹溝
45 第1挿通孔
46 第2挿通孔
50 マニホールド形電磁弁集合体
L1 (スプール摺動孔の)軸