(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0019】
≪実施の形態1≫
図1は、実施の形態1に係る操作器の要部を示す平面図である。
図2は、実施の形態1に係る操作器の要部を示す断面図である。
図1には、
図2におけるP方向から見たときの操作器100の要部の平面構造が図示され、
図2には、
図1における操作器100のA−A断面が図示されている。なお、
図1,2では、操作器100の動力伝達機構を構成する各歯車の位置関係を明確にするために、操作器100の構成要素の一部を省略して図示している。
【0020】
図1に示される実施の形態1に係る操作器100は、プラント等において、流量のプロセス制御に用いられる調節弁を操作する装置であり、外部に設けられたポジショナから供給された操作信号に応じて調節弁の弁軸を操作することにより、調節弁の弁開度を制御する。例えば、操作器100は、バタフライ弁等のロータリ式の調節弁を操作する電動式のアクチュエータである。
【0021】
実施の形態1に係る操作器100は、調節弁の弁軸を操作する動力伝達機構として、不思議遊星歯車機構を有しており、電動モータに対する電源供給がない場合であっても弁軸が動作しないセルフロック機能を備えている。また、操作器100は、電動モータに対する電源供給がない場合であっても、手動により弁軸を操作し、任意の弁開度において弁軸を固定することができる機能を備えている。
【0022】
更に、操作器100は、調節弁(弁軸)側から加えられた力を吸収して不思議遊星歯車機構の各歯車の破損を防ぐための構造を有している。
【0023】
以下、操作器100における上記の機能を実現するための具体的な構造について、詳細に説明する。
【0024】
図1,2に示されるように、操作器100は、筐体1、駆動モータ2、太陽歯車3、遊星歯車4_1〜4_3、固定内歯車5、可動内歯車6、出力軸7、ダイヤル8、および手動操作用歯車9を有している。
【0025】
なお、操作器100は、ポジショナから供給された操作信号に基づいて駆動モータ2の回転を制御する電子回路部や電源ユニット等も有しているが、
図1,2では、それらの図示を省略している。
【0026】
筐体1は、操作器100の構成部品を収容するための容器であり、例えば金属材料から構成されている。
【0027】
駆動モータ2は、上述した電子回路部(図示せず)によって制御される電動モータである。
【0028】
太陽歯車3は、駆動モータ2の回転軸に連結され、その回転軸の回転力を受けて回転(自転)する歯車である。
【0029】
固定内歯車5は、太陽歯車3を囲む形態で固定配置され、その内周面に歯を有する歯車である。具体的に、固定内歯車5は、駆動モータ2を支持するとともに遊星歯車4をP方向から回転可能に保持するプレート5aと、第1歯車部41の周囲と噛合う歯車部5bとから構成されている。
【0030】
ここで、プレート5aと歯車部5bとは別個の部品で構成しても良いが、一体形成することにより、部品点数を削減することができる。
【0031】
遊星歯車4_1〜4_3(総称する場合は、「遊星歯車4」と表記する。)は、太陽歯車3と固定内歯車5との間に配置され、太陽歯車と固定内歯車と噛合って太陽歯車の周囲を公転しながら自転する歯車である。具体的に、各遊星歯車4_1〜4_3は、第1歯車部41、第2歯車部42、および弾性変形部43とから構成されている。
【0032】
第1歯車部41は、太陽歯車3および固定内歯車5と噛合う歯車である。第2歯車部42は、第1歯車部41と同軸に配置され、手動操作用歯車9および可動内歯車6と噛合う歯車である。第1歯車部41と第2歯車部とは同一の歯数を有している。
【0033】
弾性変形部43は、第1歯車部41と第2歯車部42との間に、第1歯車部41および第2歯車部42と一体に形成され、第1歯車部41および第2歯車部42よりも小さな弾性係数を有している。なお、弾性変形部43の詳細については後述する。
【0034】
可動内歯車6は、固定内歯車5と同軸に配置され、その内周面に遊星歯車4(第2歯車部42)と噛合う歯を有し、回転可能に設けられた歯車である。
図1に示されるように、可動内歯車6は、第2歯車部42と噛合う歯車部6aと、遊星歯車4を回転可能に支持する底部6bとから構成されている。底部6bは、可動内歯車6の回転軸の方向に形成された貫通孔6cを有している。
【0035】
出力軸7は、可動内歯車6に連結され、調節弁の弁軸を回転させるための部品である。
図1に示されるように、出力軸7は、可動内歯車6と同一の回転軸を有し、可動内歯車6と一体に形成されている。
【0036】
ダイヤル8は、外部から加えられた力を太陽歯車3または遊星歯車4に対して回転力として加える手動操作手段としての部品である。手動操作用歯車9は、ダイヤル8と連結され、ダイヤル8を介して加えられた力を遊星歯車4に伝達するための歯車である。なお、手動操作用歯車9およびダイヤル8の詳細については後述する。
【0037】
ここで、太陽歯車3、遊星歯車4、固定内歯車5、および可動内歯車6は、例えば、プラスチック等の樹脂材料(例えば、ポリアセタール樹脂)によって構成されている。また、太陽歯車3、遊星歯車4、固定内歯車5、および可動内歯車6は一つの不思議遊星歯車機構を構成している。以下、この不思議遊星歯車機構について詳細に説明する。
【0038】
図3は、太陽歯車3、遊星歯車4、固定内歯車5、および可動内歯車6から成る不思議遊星歯車機構の構造を示す斜視図である。
図3に示されるように、不思議遊星歯車機構の中心部分に配置された太陽歯車3と噛合って遊星歯車4_1〜4_3が配置される。更に、遊星歯車4_1〜4_3の周囲には、遊星歯車4の一部の領域と噛合い、遊星歯車4_1〜4_3の回転をガイドする固定内歯車5が固定されて配置されるとともに、遊星歯車4のその他の領域と噛合い、回転可能にされた可動内歯車6が配置されている。
【0039】
上記の不思議遊星歯車機構において、駆動モータ2の回転軸から回転力を受けて太陽歯車3が回転し、その回転力により遊星歯車4_1〜4_3が自転しながら固定内歯車5に沿って回転(公転)する。そして、遊星歯車4_1〜4_3の回転力を受けて、可動内歯車6が回転する。この可動内歯車6に出力軸7(弁軸)を連結することにより、駆動モータ2の回転力を大きく減速させた回転力によって出力軸7を回転させることができる。
【0040】
上記不思議遊星歯車機構によれば、セルフロック機能を有しているので、可動内歯車6に連結された出力軸7(弁軸)に外部から力を加えたとしても、出力軸7は回転させることはできないか、または回転させるために非常に大きな力が必要となる。したがって、停電等が原因で駆動モータ2への電力供給が遮断された場合であっても、調節弁の弁開度を実質的に固定することができ、調節弁のセルフロック機能を実現することができる。
【0041】
上述したように、太陽歯車3、遊星歯車4、固定内歯車5、および可動内歯車6から成る不思議遊星歯車機構により、調節弁のセルフロック機能を実現することができる。
その一方で、上記不思議遊星歯車機構は、駆動モータ2によらず、手動により可動内歯車6を回転させる構造を有している。以下、この構造について詳細に説明する。
【0042】
図1に示されるように、手動操作用歯車9は、歯車部9aと支持部9bとから構成されている。
【0043】
歯車部9aは、例えば太陽歯車3と同一の径および歯数を有し、遊星歯車4_1〜4_3の第2歯車部42の夫々と噛合うように、太陽歯車3と同一軸上に配置されている。
【0044】
支持部9bは、歯車部9aを支持し、可動内歯車6の貫通孔6c内に挿入されている。支持部9bは、例えば歯車9aと一体形成されている。具体的に、支持部9bは、可動内歯車6の貫通孔6cに収容され、一部が可動内歯車6とともに筐体1の外部に突出している。また、支持部9bは一端が開口し、他端が有低の筒状に形成されている。具体的には、支持部9bの筐体1から突出した側の端部には、歯車部9aの回転軸の方向に開けられた孔9cが形成されている。
【0045】
孔9cにはダイヤル8の突起部8aが挿入され、ダイヤル8の突起部8aが孔9cに嵌合している。これにより、手動操作用歯車9とダイヤル8とが連結される。
【0046】
ここで、孔9cとダイヤル8の突起部8aとは、例えば、平面視多角形状(例えば六角形状)に形成されている。
【0047】
上記のように手動操作用歯車9とダイヤル8とが連結されているので、例えば手動によりダイヤル8を回転させることにより、駆動モータ2および太陽歯車3によらず、遊星歯車に対して直接回転力を加えることができる。これによれば、駆動モータ2が停止している状態であっても、ダイヤル8を手動で操作して手動操作用歯車9を回転させることにより、遊星歯車4を介して可動内歯車6を回転させることができるので、弁軸を所望の弁開度となる位置まで回転させることができる。一方で、上述のように、操作器100の動力伝達機構として不思議遊星歯車機構を採用しているので、ダイヤル8によって弁軸を所望の位置まで回転させた後は、不思議遊星歯車機構のセルフロック機能により、弁軸を上記の位置で固定することができる。
【0048】
次に、ダイヤル8が形成される位置について説明する。
図4は、実施の形態1に係る操作器100におけるダイヤル8の周辺部分を拡大した斜視図である。
【0049】
図5は、実施の形態1に係る操作器100を弁軸側から見たときの平面図である。
【0050】
図4,5に示されるように、出力軸7は、棒状(例えば円柱状)に形成され、出力軸7の外周部の一部をその回転軸の方向に切り取った切欠き部7bと、出力軸7の中心部分に、その回転軸の方向に形成された溝部7aとを有する。
【0051】
ダイヤル8は、出力軸7の溝部7aに配置される。具体的には、
図5に示されるようにダイヤル8は、平面視においてダイヤル8の中心が溝部7aの中心と一致し、且つ平面視において、ダイヤル8の外周部8bの一部が溝部7aから切欠き部7bに向かって突出して配置される。
【0052】
上記のように出力軸7を形成し、ダイヤル8を配置することにより、
図1〜5に示すようにダイヤル8を太陽歯車3と同軸に配置した場合であっても、出力軸7がダイヤル8の操作の邪魔にならないので、弁軸の手動操作が容易となる。
【0053】
次に、遊星歯車4の弾性変形部43について詳細に説明する。
上述したように、各遊星歯車4_1〜4_3は弾性変形部43を有している。
図6は、実施の形態1に係る操作器における遊星歯車4の弾性変形部43の構造を模式的に示す図である。
同図に示されるように、弾性変形部43は、例えば、遊星歯車4における第1歯車部41と第2歯車部42との間の外周部に、遊星歯車4の径方向(遊星歯車4の回転軸と垂直な方向)に形成された溝430によって実現されている。
【0054】
ここで、弾性変形部43を構成する溝430の形状に特に制限はないが、
図1および6に示されるように、溝430を円弧状に形成することにより、加工処理が容易となる。
【0055】
また、弾性変形部43は、第1歯車部41と第2歯車部42との間の外周部に形成されていればよいが、好ましくは、遊星歯車4の回転軸方向における第1歯車部41の長さと第2歯車部42の長さとが等しくなる位置に形成することが望ましい。
【0056】
上記のように、遊星歯車4における第1歯車部41と第2歯車部42との間の外周部に弾性変形部43(溝430)を形成することにより、遊星歯車4は、第1歯車部41および第2歯車部42よりも弾性変形部43において、ねじれに対して弾性変形し易くなる。
【0057】
例えば、調節弁に接続された配管内の流体の脈動などによる不規則な流れに起因して振動等が発生した場合を考える。この場合、上記振動により、調節弁の弁体(バルブプラグ)が急激に動かされ、弁軸に対して衝撃力が加わる。これにより、操作器100の固定内歯車5、可動内歯車6、および遊星歯車4には、不思議遊星歯車機構によるセルフロック機能の故に、弁軸から出力軸7を介して衝撃力が加わってしまう。このとき、
図6に示すように、遊星歯車4における固定内歯車側と噛み合っている第1歯車部41と可動内歯車6と噛み合っている第2歯車部42には、互いに逆方向の力が加わる。すなわち、遊星歯車4には、ねじるような力が加わる。
【0058】
そこで、上記のように、第1歯車部41と第2歯車部42との間に弾性変形部43(溝)を設けることにより、その部分で意図的に遊星歯車4を弾性変形させ、衝撃力を吸収することができる。これにより、操作器100の固定内歯車5、可動内歯車6、および遊星歯車4に加わる衝撃力を緩和することができ、各歯車の歯の破損を防ぐことが可能となる。
【0059】
また、同様に、例えば調節弁の駆動中に調節弁への異物の噛み込み等により過大なトルク上昇が急激に発生した場合であっても、遊星歯車4の弾性変形部43によってそのトルク上昇による衝撃量を吸収することができ、歯車の破損を防ぐことが可能となる。
なお、遊星歯車4において、弾性変形部43を第1歯車部41、第2歯車部42とは別に形成する場合を例示して本発明を説明したが、これに限らず、遊星歯車4全体として弾性変形をするように構成してもよい。
【0060】
以上、実施の形態1に係る操作器100によれば、動力伝達機構として不思議遊星歯車機構を採用し、且つ外部から加えられた力を不思議遊星歯車機構の太陽歯車3に対して回転力として加える手動操作手段を備えているので、例えば停電等の理由により駆動モータ2が停止している状態であっても、ダイヤル8を手動で操作して可動内歯車6を回転させることができる。また、上述の従来技術のように不思議遊星歯車機構のセルフロック機能を解除する構造ではないので、ダイヤル8を操作した後で弁軸を固定することができる。すなわち、実施の形態1に係る操作器100によれば、調節弁のセルフロック機能を実現しつつ、弁軸の手動操作を可能にすることができる。
【0061】
また、実施の形態1に係る操作器100によれば、遊星歯車4に弾性変形部43を設けることにより、調節弁の弁軸側から衝撃力が加わった場合であっても、不思議遊星歯車機構を構成する遊星歯車4の第1歯車部41と第2歯車部42との間に形成された弾性変形部43によってその衝撃力を吸収することができるので、不思議遊星歯車機構を構成する各歯車の破損を防ぐことが可能となる。
【0062】
また、実施の形態1に係る操作器100によれば、上述した特許文献2に開示された技術のように、弾性体と、その弾性体で回転固定された固定内歯車を用いて衝撃力を吸収する構造ではないので、固定内歯車をケースやプレートなどと共通化でき、さらに弾性体も配置する必要がないため部品点数の増加を防止することができる。
【0063】
すなわち、実施の形態1に係る操作器100によれば、部品点数の増加を抑えつつ、歯車が破損し難い操作器を実現することができる。
【0064】
また、弾性変形部43は遊星歯車4の外周部に形成した溝から成るので、例えば、従来の遊星歯車4に対して簡単な加工処理を施すことにより、弾性変形部43を容易に形成することができ、弾性変形部43を追加することによる製造コストの増大を抑えることが可能となる。更に、上述したように、固定内歯車5としてプレート5aと歯車部5bを一体形成すれば、製造コストの更なる削減が可能となる。
【0065】
≪実施の形態2≫
次に、遊星歯車の弾性変形部の別の実施形態を示す。
図7は、実施の形態2に係る操作器における遊星歯車の構造を模式的に示す斜視図である。
図8は、実施の形態2に係る操作器における遊星歯車の歯の構造を模式的に示す斜視図である。
図8には、
図7における遊星歯車4の参照符号4Rで囲まれた一つの歯を拡大した図が示されている。
【0066】
実施の形態2に係る操作器における遊星歯車4の弾性変形部44は、遊星歯車4における第1歯車部41および第2歯車部42よりも薄い歯厚を有する。具体的には、
図8に示すように、弾性変形部44は、遊星歯車4を構成する各歯における一部の領域の歯厚(歯の円周方向の厚さ)をその他の領域の歯厚よりも薄く形成することによって実現される。
【0067】
図9は、実施の形態2に係る操作器における遊星歯車の歯の構造を模式的に示す平面図である。同図には、遊星歯車4を構成する一つの歯を
図8のC方向から見たときの平面構成が示されている。
【0068】
図9に示すように、歯の円周方向の表面4Aとその裏側の表面4Bにおいて、夫々対向する位置に溝440A,440Bを形成することにより、第1歯車部41および第2歯車部42よりも薄い歯厚を有する弾性変形部44が形成される。
【0069】
これによれば、調節弁の弁軸側から衝撃力が加わった場合であっても、遊星歯車4は、第1歯車部41および第2歯車部42よりも弾性変形部44において、ねじれに対して弾性変形し易くなるので、上記衝撃力を吸収することができる。
【0070】
以上、実施の形態2に係る操作器によれば、実施の形態1に係る操作器と同様に、第1歯車部41と第2歯車部42との間に形成された弾性変形部44によって、操作器の固定内歯車5、可動内歯車6、および遊星歯車4に加わる衝撃力を緩和することができ、各歯車の歯の破損を防ぐことが可能となる。
【0071】
≪実施の形態3≫
実施の形態1、2では、遊星歯車4の形状を変えることによって第1歯車部41および第2歯車部42との間に弾性変形部43,44を形成する場合を示したが、歯車の形状を変えずに、弾性変形部を構成することも可能である。
【0072】
図10は、実施の形態3に係る操作器における遊星歯車の歯の構造を模式的に示す平面図である。
図10に示されるように、遊星歯車4を構成する歯における第1歯車部41と第2歯車部42との間の領域を、第1歯車部41および第2歯車部を構成する材料よりも弾性係数が小さい材料によって形成する。例えば、上記領域を、第1歯車部41および第2歯車部よりも弾性率の低い(例えば、ヤング率の低い)材料によって形成する。
【0073】
例えば、遊星歯車4を樹脂によって成形する場合には、第1歯車部41および第2歯車部42をガラス入りのポリアセタール樹脂によって構成し、弾性変形部45をポリアセタール樹脂で構成する。これにより、第1歯車部41および第2歯車部42と弾性変形部45との間に弾性率の差を生じさせることができる。
【0074】
これによれば、調節弁の弁軸側から衝撃力が加わった場合であっても、遊星歯車4は、第1歯車部41および第2歯車部42よりも弾性変形部45において、ねじれに対して弾性変形し易くなるので、上記衝撃力を吸収することができる。
【0075】
以上、実施の形態3に係る操作器によれば、第1歯車部41および第2歯車部42と弾性変形部45の材質を相違させて弾性率の差を設けることにより、上記実施の形態と同様に、弾性変形部45において操作器の固定内歯車5、可動内歯車6、および遊星歯車4に加わる衝撃力を緩和することができ、各歯車の歯の破損を防ぐことが可能となる。
【0076】
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0077】
例えば、上記実施の形態において、不思議遊星歯車機構を手動で操作する手法として、太陽歯車3と同軸に手動操作用歯車9を配置する場合を例示したが、これに限られない。
【0078】
例えば、
図11に示す操作器100Aのように、遊星歯車4_1〜4_3をキャリア13に載置し、そのキャリア13に連結されたダイヤル8を手動で操作することにより、遊星歯車4を介して可動内歯車6を回転させてもよい。
【0079】
より具体的には、
図11に示すように、可動内歯車6上に載置され、遊星歯車4を支持して可動内歯車6上を回転する台座13aと、台座13aを支持し、可動内歯車6の貫通孔6c内に回転可能に挿入された支持部13bとから構成されたキャリア13を手動操作用歯車8の代わりに設ける。ここで、キャリア13の台座13aの表面には、突起部が形成され、その突起部が各遊星歯車4_1〜4_3の中心部分(回転軸)に形成された貫通孔に挿入されることにより、各遊星歯車4_1〜4_3が回転可能に支持される。また、キャリア13の支持部13bの筐体1から突出した側の端部には、太陽歯車3の回転軸の方向に開けられた、平面視多角形状(例えば六角形状)の孔13cが形成されており、その孔13cにダイヤル8の突起部8aが嵌合している。
【0080】
これによれば、実施の形態1で示した手動操作用歯車9を用いる場合と同様に、駆動モータ2が停止している状態であっても、ダイヤル8を手動で操作して可動内歯車6を回転させることができるので、弁軸を所望の弁開度となる位置まで回転させることができる。
【0081】
また、上記実施の形態において、手動操作手段の一つであるダイヤル8を、手動操作用歯車9またはキャリア13と別個の部品によって連結する場合を例示したが、これに限られず、例えばダイヤル8を手動操作用歯車9またはキャリア13と一体形成してもよい。
【0082】
また、上記実施の形態おいて、可動内歯車6と出力軸7とが一体形成されている場合を例示したが、これに限られず、夫々を別個の部品によって形成し、それらを同一の回転軸となるように連結させてもよい。