(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
焼成した棒状多孔質体に、液状エステル系可塑剤を含浸した鉛筆芯であって、前記液状エステル系可塑剤が、下記B〜Eからなる群の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする鉛筆芯。
B.ジプロピレングリコールと安息香酸とのジエステル
C.アルキルスルホン酸フェニルエステル
D.エポキシ化菜種脂肪酸イソブチルエステルまたはエポキシ化菜種脂肪酸2−エチルヘキシルエステル
E.アジピン酸系ポリエステルまたはエステル構造を含む液状アクリルポリマー
【背景技術】
【0002】
従来の焼成鉛筆芯は、粘土、各種合成樹脂等の結合剤と黒鉛等の体質材とを主材として、これに必要に応じて可塑剤、ワックス、溶剤等を添加し、これらをヘンシェルミキサー、ニーダー、ロール等で均一に分散させたものを、棒状に押出成形し、800℃〜1,300℃の高温で焼成して棒状多孔質体とした後、焼成により得られた棒状多孔質体の微細な気孔中に、目的に応じて各種含浸油を含浸させることにより製造している。
【0003】
含浸油としては、例えば、鯨油、ラード、菜種油、大豆油等の動植物油、またはスピンドル油、流動パラフィン等の鉱油、ワックス類が知られており、筆跡濃度を高めると同時に書き味を滑らかにするために、これらが単独または組み合わせて使用されている。従来は、特に濃度向上等を目的として検討がなされてきた。
【0004】
例えば、トリメチロールプロパンやペンタエリスリトールと言ったネオペンタン骨格を有する多価アルコールと、炭素数10〜18の脂肪酸とのジ、トリエステルを含浸した焼成芯(特許文献1)、グリセリンとヤシ油脂肪酸とのモノ、ジエステルを含浸した焼成芯(特許文献2)、炭素数4〜14の脂肪酸と炭素数3〜18のアルコールとのモノエステルを含浸した焼成芯(特許文献3)、及び、ポリグリセリンのイソステアリン酸エステル、プロピレングリコールのモノカプリル酸エステル(特許文献4)等が知られている。これらの化合物は、3価以上の多価アルコールと脂肪酸とのエステル、あるいは脂肪酸モノエステルである。
【0005】
一方、鉛筆芯筆記線の消去性を改良する場合、これまではプラスチック字消しを改良して消去性を向上させる検討のみであり(例えば、特許文献5)、字消しで消し易い鉛筆芯の検討はなされて来なかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、プラスチック字消しは非常に消去性の高い字消しではあるが、鉛筆芯の筆記線を消去した場合に、筆跡が若干残り、確実に消去できないという課題がある。この筆記線が残る現象は、特に高荷重で筆記した場合に顕著に現れる。そのため、高荷重で筆記する人にとっては、消え残りがあることが不満として挙げられていた。
【0008】
本発明は、一般的なプラスチック字消しで消去した場合に、高荷重で筆記した筆記線でも消え残りが少なく、十分な消去性能が得られる鉛筆芯を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明者は、プラスチック字消しの主材である塩化ビニル系樹脂の可塑剤として使用されている化合物に着目し、鋭意検討した結果、液状エステル系可塑剤を、鉛筆芯の前駆体である焼成棒状多孔質体に含浸することにより、高筆記荷重でも消え残りが少ない鉛筆芯が得られ、しかもプラスチック字消しを選ばずに所望の効果が得られることを見出し、本発明に至った。
【0010】
即ち、本発明は、焼成した棒状多孔質体に、液状エステル系可塑剤を含浸した鉛筆芯であって、前記液状エステル系可塑剤が、下記B〜Eからなる群の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする鉛筆芯を提供する。
B.ジプロピレングリコールと安息香酸とのジエステル
C.
アルキルスルホン酸フェニルエステル
D.
エポキシ化菜種脂肪酸イソブチルエステルまたはエポキシ化菜種脂肪酸2−エチルヘキシルエステル
E.
アジピン酸系ポリエステルまたはエステル構造を含む液状アクリルポリマー
以下、本願明細書では、「エステル構造を含む液状アクリルポリマー」を「液状アクリルポリマー」と略称する。
【0011】
上記鉛筆芯においては、前記液状エステル系可塑剤の溶解性パラメータ(SP値)が8.0〜11.0であることが好ましい。SP値が8.0以上であれば、消字率を向上させることが可能となり、SP値が11.0以下であれば、棒状多孔質体から滲出して紙や手を汚す恐れがない。より好ましいSP値は、8.3〜10.0である。
【0012】
また、上記鉛筆芯においては、黒鉛等を主な色材とする鉛筆芯において優れた効果が発揮されるが、窒化ホウ素、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、二硫化モリブデン等を主材として各種色材を加えた焼成色筆芯でも優れた効果が発揮される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の液状エステル系可塑剤を含浸した鉛筆芯は、高荷重で筆記した筆記線に対してもプラスチック字消しによる消え残りが少ない。
本発明による効果が発揮される理由は、以下のように推察される。本発明の液状エステル系可塑剤は、分子内にエステル基、エポキシ基、スルホン酸基、リン酸基等の極性基を持ち、当該極性基が分子内で分極することにより、プラスチック字消しの主材である塩化ビニル系樹脂の分極部分へ電気的に吸着するため、塩化ビニル系樹脂への吸着性が高い。また、SP値が塩化ビニル系樹脂のSP値(9.4〜10.8)に近い液状エステル系可塑剤は、塩化ビニル系樹脂との相溶性が良好である。そのため、液状エステル系可塑剤を含浸することによって、紙の上に乗った鉛筆粉体のプラスチック字消しへの吸着性が向上し、高筆記荷重でも十分な消去性を得ることができるものと推察される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の鉛筆芯において、液状エステル系可塑剤を含浸させる焼成棒状多孔質体は、特に限定されるものではなく、従来より公知の構成材料を用いて、公知の方法で製造されるものを、大きさや種類に関係なく使用することができる。本発明の鉛筆芯には、木軸鉛筆用芯およびシャープペンシル用芯の双方が含まれる。
本発明において、液状エステル系可塑剤は、25℃で液状のエステル系可塑剤を言う。
【0015】
具体的には、黒鉛粉末、カーボンブラック粉末等の体質材(通常、鉛筆芯全体の10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%)と、結合材(通常、鉛筆芯全体の10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%)を主材とし、これに必要に応じて溶剤および/または可塑剤および/またはワックス等を添加し、これらをヘンシェルミキサー、ニーダー、ロール等で混合分散し、3本ロール等で混練したものを、通常の押出成形機にて所望の太さの棒状に押出成形し、800〜1,300℃の高温で熱処理、非酸化性雰囲気で焼成することによって得られる棒状多孔質体を、用途に応じて適宜選択して用いることができる。さらに、必要に応じて着色材が添加されていても良い。こうして得られる棒状多孔質体の気孔率は、通常、5〜50%であり、本発明ではこれらの棒状多孔質体を特に気孔率を選ばすに使用することができる。
【0016】
最も汎用性が高いという観点からは、黒鉛等の体質材を色材とする棒状多孔質体が好ましく、当該体質材としては、天然黒鉛、人造黒鉛、キッシュ黒鉛、カーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、コークス粉末等から選択した少なくとも1種を用いるのが良い。
結合材としては、カオリナイト、ハロイサイト、ベントナイト、モンモリロナイト等の粘土鉱物、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニル共重合体、アクリル酸エステル重合体等の熱可塑性樹脂、カルボキシメチルセルロース、リグニン、トラガントガム等の天然高分子、ポリエチレングリコール等の合成高分子、コールタールピッチ、ナフサ分解ピッチ、石油アスファルト、合成樹脂の乾留ピッチ等のピッチ類から選択される少なくとも1種を用いるのが良い。可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジアリルイソフタレート、プロピレンカーボネート等が挙げられ、溶剤としては、水、アルコール類、ケトン類、エステル類等が挙げられる。
【0017】
焼成後、得られた棒状多孔質体の気孔中に、本発明の液状エステル系可塑剤から選択される少なくとも1種を含浸させる。含浸操作は、棒状多孔質体を液状エステル系可塑剤中に投入し、一定時間保持して取り出した後に、遠心分離機等を用いて芯表面に付着した液状エステル系可塑剤を排除することで、鉛筆芯が得られる。この時、80〜150℃に加熱することで保持時間を短縮することができる。
【0018】
本発明において用いられる液状エステル系可塑剤は、下記
B〜Eからなる群の中から選ばれる少なくとも1種
である。2種以上用いる場合、同じ群から選んでも良いし、異なる群から選んでも良い。
B.脂肪族2価アルコール
と芳香族または脂環族モノカルボン酸とのジエステル
C.芳香族リン酸エステルまたは芳香族スルホン酸エステル
D.分子内にエポキシ基またはアセチル基とエステル基とを含む脂肪酸または油脂誘導体
E.液状ポリエステル樹脂
または液状アクリルポリマー
【0019】
B.脂肪族2価アルコールと芳香族または脂環族モノカルボン酸とのジエステル
本発明のジエステルを構成するモノカルボン酸としては、安息香酸、シクロヘキシルカルボン酸等が挙げられる。一方、上記ジエステルを構成する脂肪族2価アルコールとしては、炭素数2〜10の化合物が好ましく、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコールエーテル類が挙げられる。グリコールエーテル類の炭素数が2以上10以下であれば塩化ビニル系樹脂への十分な吸着性能がある。
【0020】
安息香酸ジエステルの具体例としては、例えば、ジエチレングリコールジ安息香酸エステル、トリエチレングリコールジ安息香酸エステル、ポリエチレングリコール(n=4〜10)ジ安息香酸エステル、プロピレングリコールジ安息香酸エステル、ジプロピレングリコールジ安息香酸エステル、トリプロピレングリコールジ安息香酸エステル、1,3−ブタンジオールジ安息香酸エステル、1,4−ブタンジオールジ安息香酸エステル、1,6−ヘキサンジオールジ安息香酸エステル、3−メチル−1,5ペンタンジオールジ安息香酸エステル、1,8−オクタンジオールジ安息香酸エステル等が挙げられる。
【0021】
これらのジエステルは
、多価エステルと比べて消去性能に遜色はない。
【0022】
C.芳香族リン酸エステル、芳香族スルホン酸エステル
芳香族リン酸エステルの具体例としては、例えば
、リン酸トリクレシル(TCP)等が挙げられる。
芳香族スルホン酸エステルであるアルキルスルホン酸フェニルエステルの具体例としては、メザモール、メザモールII(以上いずれも商品名、バイエル社)等が挙げられる(特許第4492925号公報参照)。
これらのエステルは
、B群のエステルと比べて消去性能に遜色はない。
【0023】
D.分子内にエポキシ基またはアセチル基とエステル基を含む脂肪酸または油脂誘導体
上記エステルとしては、エポキシ系可塑剤である、エポキシ化脂肪酸エステル、エポキシ化油脂等が挙げられる。
エポキシ化脂肪酸エステルとしては、エポキシ化トリグリセリド、エポキシ化脂肪酸モノアルキルエステル(例えば、エポキシ化脂肪酸メチル、ブチル、オクチル)等が挙げられ、具体的には、例えば、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル(E−PS)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−n−オクチル(nE−PS)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジエポキシステアリル(E−PO)、エポキシヘキサヒドロフタル酸−2−エチルヘキシルエステル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ノルマルオクチルエステル等が挙げられる。
エポキシ化植物油としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等が挙げられる。
これらのエステルは、
B群〜C群のエステルと比べて消去性能に遜色はない。
【0024】
また、アセチル化モノグリセライドは、モノグリセライドをアセチル化した2価エステルであり、例えばモノグリセライドのアセチル化により得られる、2価エステルである。具体例としては、リケマールPL−004、PL−012、PL−019、ポエムG−002(以上いずれも商品名、理研ビタミン(株))等が挙げられる。
【0025】
また、
アセチル化リシノール
酸エステルは、例えばヒドロキシカルボン酸エステルのアセチル化により得られる、エステルである。具体例としては、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル等が挙げられる。
【0026】
E.液状ポリエステル樹脂、液状アクリルポリマー
液状ポリエステル樹脂としては、脂肪族または芳香族多価カルボン酸とグリコール類の重縮合体(ポリエステル系可塑剤)が挙げられ、例えば、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸等の2価カルボン酸とグリコール類の重縮合体が挙げられる。
液状ポリエステルの具体例としては、アデカサイザーPN−150、PN−170、PN−220、PN−230、PN−250、PN−260、PN−280、PN−310、PN−350、PN−400、PN−446、PN−650、PN−850、PN−1010、PN−1020、PN−1030、PN−1430、PN−3030、PN−7160、PN−7230、PN−7310、PN−7550、PN−7650、PN−9302、P−200、P−300、P−5040、HPN−3130(以上いずれも商品名、(株)ADEKA)、ポリサイザーW−230−H、W−305−ESL、W−320、W−360−ESL、W−365、W−1020−EL、W−1410−EL、W−1641−S、W−2050、W−2060、W−2070、W−2145、W−2300−EL、W−2310、W−2340−S、W−2350、W−2370、W−2388、W−2610、W−2630、W−2640−S、W−2650−S、W−4010、P−103、モノサイザーW−260、W262、PB−10(以上いずれも商品名、DIC(株))等が挙げられる。
【0027】
液状アクリルポリマーは、プラスチック字消しの可塑剤として知られている(特許第4570174号参照)。液状アクリルポリマーとしては、ガラス転移点(Tg)0℃以下、重量平均分子量(Mw)1,000〜6,000、粘度300〜11,000(mPa・s/25℃)のポリマーを好ましく使用することができる。
液状アクリルポリマーの具体例としては、ARUFON UP−1000、UP−1010、UP−1020、UP−1021、UP−1061、UP−1080、UP−1190(以上いずれも商品名、東亞合成(株))等が挙げられる。
【0028】
これらの液状ポリマーは、
B群〜D群の化合物と比べて消去性能が低い傾向にある。その理由は分子量が大きいので嵩高い分子構造となり、立体障害が起こるためと推定される。
【0029】
本発明の鉛筆芯は、上記
B〜Eからなる群から選ばれる少なくとも1種の液状エステル系可塑剤を、焼成した棒状多孔質体の気孔中に含浸させることにより得られる。含浸方法としては、例えば、常温もしくは加温して減粘させた液状エステル系可塑剤の中に、棒状多孔質体を浸漬させた後、取り出し、遠心分離機等を用いて棒状多孔質体の表面に付着した可塑剤を排除する方法等が挙げられる。本発明の液状エステル系可塑剤は、本発明による効果を阻害しない範囲で、他の液状エステル系可塑剤あるいは他の非液状可塑剤と併用しても良い。
【0030】
また、液状エステル系可塑剤には、上記
B群〜E群の化合物による効果を妨げない範囲内で、ワックス成分を、含浸油全量に対し、好ましくは5〜40
質量%の範囲内で添加することができる。ワックス成分としては、常温固体の極性基を有する有機物、例えば高級脂肪酸や高級アルコール、脂肪酸エステルなどが好ましい。これらの上記常温固体の極性基を持つ有機物としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、パルミチン酸セチル等が挙げられる。
これらの有機物は極性基を持つため、塩化ビニル系樹脂への吸着性を阻害しない、または補助する働きを持つ。また、常温固体であるため、筆記時にクッションの役割を果たし、筆記感を向上することができるが、添加量が多すぎると筆記線の濃度低下を招く恐れがある。
【実施例】
【0031】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例1〜3は参考例である。
【0032】
(実施例1)
<芯体配合部>
ドイツ粘土 30質量部
黒鉛 70質量部
カルボキシメチルセルロース(CMC)1.6質量部
ポリエチレングリコール(PEG)2.5質量部
【0033】
上記配合組成物をヘンシェルミキサーへ投入して15分間高速攪拌した。次に、分散剤0.3質量部、湿潤剤0.9質量部及び水30質量部を投入し、温度調節を行いながら30分間攪拌後、3本ロールにて混練を行った。続いて孔径2.16mmの口金をセットした押出し成型機で細棒状に成形し、110℃で6時間乾燥した後、不活性雰囲気下1,200℃で1時間焼成して、直径2mmの焼成芯(棒状多孔質体)を得た。
得られた焼成芯を、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP、(株)ジェイプラス製)中、常圧100℃で4時間浸漬後、遠心分離機で表面の余剰分を除去して鉛筆芯を得た。
【0034】
(実施例2)
実施例1において、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)90質量部に、カルコール6098(セチルアルコール、花王(株)製)10質量部を加えた以外は、実施例1と同様にして鉛筆芯を得た。
【0035】
(実施例3)
実施例1において、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)の代わりに、コスモール222(リンゴ酸ジイソステアリル、(株)日清オイリオグループ(株)製)を使用した以外は、実施例1と同様にして鉛筆芯を得た。
【0036】
(実施例4)
実施例1において、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)の代わりに、アデカサイザーPN6120(ジプロピレングリコールジベンゾエート、(株)ADEKA製)を使用した以外は、実施例1と同様にして鉛筆芯を得た。
【0037】
(実施例5)
実施例1において、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)の代わりに、アデカサイザーPN6120(ジプロピレングリコールジベンゾエート、(株)ADEKA製)90質量部、カルコール6098(セチルアルコール、花王(株)製)10質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして鉛筆芯を得た。
【0038】
(実施例6)
実施例1においてフタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)の代わりに、アデカサイザーPN6120(ジプロピレングリコールジベンゾエート、(株)ADEKA製)90質量部、ステアリン酸POFAC1865L(ステアリン酸とパルミチン酸の混合物、MARUBENI CORPORATION製)10質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして鉛筆芯を得た。
【0039】
(実施例7)
実施例1において、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)の代わりに、メザモール(アルキルスルホン酸フェニルエステル、バイエル社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして鉛筆芯を得た。
【0040】
(実施例8)
実施例1において、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)の代わりに、アデカサイザーD55(エポキシ化菜種脂肪酸イソブチルエステル、(株)ADEKA製)を使用した以外は、実施例1と同様にして鉛筆芯を得た。
【0041】
(実施例9)
実施例1において、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)の代わりに、アデカサイザーD32(エポキシ化菜種脂肪酸2−エチルヘキシル、(株)ADEKA製)を使用した以外は、実施例1と同様にして鉛筆芯を得た。
【0042】
(実施例10)
実施例1において、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)の代わりに、アデカサイザーPN7160(アジピン酸系ポリエステル、(株)ADEKA製)を使用した以外は、実施例1と同様にして鉛筆芯を得た。
【0043】
(実施例11)
実施例1において、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)の代わりに、ARUFON UP−1000(液状アクリルポリマー、東亞合成(株))を使用した以外は、実施例1と同様にして鉛筆芯を得た。
【0044】
(実施例12)
実施例1において、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)の代わりに、アデカサイザーPN6120(ジプロピレングリコールジベンゾエート、(株)ADEKA製)90質量部と、ARUFON UP−1000(液状アクリルポリマー、東亞合成(株))10質量部と、カルコール6098(セチルアルコール、花王(株)製)10質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして鉛筆芯を得た。
【0045】
(比較例1)
実施例1において、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)の代わりに、ひまわり油(カネダ(株)製)を使用した以外は、実施例1と同様にして鉛筆芯を得た。
【0046】
(比較例2)
実施例1において、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)の代わりに、ひまわり油(カネダ(株)製)80質量部と、牛脂(ADEKA食品販売(株)製))20質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして鉛筆芯を得た。
【0047】
(比較例3)
実施例1において、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)の代わりに、精製ヒマシ油(小堺製薬(株)製)を使用した以外は、実施例1と同様にして鉛筆芯を得た。
【0048】
(比較例4)
実施例1において、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)の代わりに、カルコール200GD(2−オクチルドデカノール(融点:−20℃以下)、花王(株)製)を使用した以外は、実施例1と同様にして鉛筆芯を得た。
【0049】
(比較例5)
実施例1において、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)の代わりに、エキセパールOD−M(ミリスチン酸オクチルドデシル(凝固点:7℃以下)、花王(株)製)を使用した以外は、実施例1と同様にして鉛筆芯を得た。
【0050】
(比較例6)
実施例1において、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)の代わりにエキストラオレイン(オレイン酸、日油(株)製)を使用した以外は、実施例1と同様にして鉛筆芯を得た。
【0051】
(比較例7)
実施例1において、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)の代わりに、TSF−451−50(ジメチコン、モメンティブ社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして鉛筆芯を得た。
【0052】
上記実施例及び比較例により得られた鉛筆芯について、筆記濃度及び消去後濃度を測定した。筆記濃度の測定は、筆記荷重を500gとした以外は、JIS S6006に準拠した。消去濃度は、消去荷重を600gとして、上記筆記条件の筆記線を用いた以外は、JIS S6050に準拠し、E(消字率)=(1−M/C)×100[M:消去後濃度、C:筆記濃度]の式を用いて算出した。
なお、上記試験において、字消しは(イ)モノPE04((株)トンボ鉛筆製)(ロ)濃いえんぴつ用消しゴム((株)トンボ鉛筆製)(ハ)まとまるくん(ヒノデワシ(株)製)を使用した。
【0053】
SP値はSmallの式に基づいて算出した。
【0054】
これらの結果を下記表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
表1より明らかなように、本発明の液状エステル系可塑剤を含浸させた鉛筆芯は、液状の油脂、高級アルコール、脂肪酸モノエステル、脂肪酸またはシリコーンを含浸させた鉛筆芯に比べて、消字率が向上することが認められた。