(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記点灯制御手段は、前記第2点灯状態において、前記操作判断手段によって前記画像形成装置が操作されないと判断される状態が所定時間継続した場合に、前記第1点灯状態に設定し、当該第1点灯状態において、前記存在判断手段によって前記範囲に人が存在しないと判断された場合に、前記非表示状態に設定する、請求項1記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この背景技術の画像形成装置では、画像形成装置に人(ユーザ)が接近しても、ユーザが表示手段を表示状態にすることを指示するまでは、表示手段は非表示状態のままである。このように画像形成装置にユーザが接近しても表示手段が非表示状態にされていると、ユーザが、画像形成装置が起動していない(電源が入っていない)または故障していると認識してしまう可能性がある。つまり、画像形成装置が起動していることをユーザに適切に認識させることができないという問題がある。
【0005】
この問題を解決するために、たとえば、画像形成装置の前方または近傍に人が存在する場合に、表示手段を表示状態にすることも考えられる。しかしながら、画像形成装置を利用しない人が画像形成装置の前方または近傍を通るだけの場合にも表示手段を表示状態にされてしまう。これでは、画像形成装置が使用されない場合でも表示手段が頻繁に表示状態にされてしまい、通行人に不快感または違和感を与えるという問題がある。また、この場合、画像形成装置10の電源制御も適切に行われていない。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【0007】
この発明の他の目的は、画像形成装置が起動していることをユーザに適切に認識させることができる、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、表示部
と画像形成部とを備える画像形成装置であって、存在判断手段、操作判断手段および点灯制御手段を備える。存在判断手段は
、画像形成装置の周囲
の前方または近傍に設定された範囲に人が存在するかどうかを判断する。存在判断手段としては、たとえば、赤外線センサ、超音波センサおよびレーザ距離センサ等が用いられる。操作判断手段は、画像形成装置が操作されたかどうかを判断する。たとえば、操作判断手段は、画像形成装置に操作ボタンが設けられる場合には、当該操作ボタンが操作されたかどうかを判断し、表示部にタッチパネルが設けられる場合には、当該タッチパネルが操作されたかどうかを判断する。点灯制御手段は、表示部が
非表示にされる
非表示状態において、存在判断手段によって範囲に人が存在すると判断された場合に、表示部の輝度が
、ユーザに画像形成装置が起動していることを知らせることができる程度の輝度であり、かつ、所定値以下に制御される第1点灯状態に設定し、当該第1点灯状態において、操作判断手段によって画像形成装置が操作されたと判断される場合に、表示部の輝度が
、ユーザが画像形成装置の操作を確実に行える程度の輝度であり、かつ、当該第1点灯状態よりも高い第2点灯状態に設定する。
【0009】
第1の発明によれば、表示部が
非表示状態である場合に、画像形成装置を使用するユーザが、画像形成装置に近づいてきて、範囲外から範囲内に入った場合に、表示部が第1点灯状態に設定される。
このとき、第1点灯状態は、ユーザに画像形成装置が起動していることを知らせることができる程度の輝度であり、また、ユーザは、表示部を注目するので、表示部の輝度が低くても、画像形成装置が起動していることを認識することができる。したがって、ユーザに、画像形成装置が起動していることをユーザに適切に認識させることができる。また、第1の発明によれば、画像形成装置の前を通るだけの通行人は、表示部を注目しないので、表示部の輝度が低い場合、表示部が点灯していることについて気にならない、または気になり難い。
【0010】
第2の発明は、第1の発明に従属する画像形成装置であって、点灯制御手段は、第2点灯状態において、操作判断手段によって画像形成装置が操作されないと判断される状態が所定時間継続した場合に、第1点灯状態に設定し、当該第1点灯状態において、存在判断手段によって範囲に人が存在しないと判断された場合に、
非表示状態に設定する。
【0011】
第2の発明によれば、画像形成装置が所定時間以上継続して操作されない場合でも、ユーザが画像形成装置の近くに居る場合には、表示部が
非表示状態にされない。このため、ユーザは、画像形成装置が起動していることを認識することができる。
【0012】
第3の発明は、第1または第2の発明に従属する画像形成装置であって、表示部を照明する発光部をさらに備え、点灯制御手段は、
非表示状態において、発光部を消灯し、第1点灯状態において、当該発光部の発光量を所定値以下に制限し、第2点灯状態において、当該発光部の発光量を当該第1点灯状態における発光量よりも多くする。
【0013】
第3の発明によれば、通行人が画像形成装置の前を通る場合は、表示部は、第2点灯状態に遷移されることなく、
非表示状態に戻るので、無駄な電力を消費するのを防止することができる。
【0014】
第4の発明は、第1ないし第3の発明のいずれかに従属する画像形成装置であって、画像形成装置が、消費電力が所定値以下に制限される省電力状態および消費電力が制限されない通常状態を有し、点灯制御手段によって
非表示状態
が設定された場合に省電力状態を設定し、第2点灯状態が設定された場合に通常状態を設定し、第1点灯状態が設定された場合に省電力状態および通常状態のいずれか一方を選択的に設定する電源制御手段をさらに備える。
【0015】
第4の発明によれば、点灯制御手段によって
非表示状態、第1点灯状態および第2点灯状態のいずれが設定されたかに応じて、省電力状態または通常状態が設定されるので、画像形成装置が起動していることをユーザに適切に認識させることができるとともに、適切な電源制御を行うことができ、無駄な電力を消費するのを防止することができる。
【0016】
第5の発明は、表示部
と画像形成部とを備える画像形成装置の制御プログラムであって、画像形成装置のコンピュータを
、画像形成装置の周囲
の前方または近傍に設定された範囲に人が存在するかどうか判断する存在判断手段、画像形成装置が操作されたかどうかを判断する操作判断手段、および表示部が
非表示にされる
非表示状態において、存在判断手段によって範囲に人が存在すると判断された場合に、表示部の輝度が
、ユーザに画像形成装置が起動していることを知らせることができる程度の輝度であり、かつ、所定値以下に制御される第1点灯状態に設定し、当該第1点灯状態において、操作判断手段によって画像形成装置が操作されたと判断される場合に、表示部の輝度が
、ユーザが画像形成装置の操作を確実に行える程度の輝度であり、かつ、当該第1点灯状態よりも高い第2点灯状態に設定する点灯制御手段として機能させる。
【0017】
第6の発明は、表示部
と画像形成部とを備える画像形成装置の制御方法であって、画像形成装置のコンピュータは、(a
)画像形成装置の周囲
の前方または近傍に設定された範囲に人が存在するかどうかを判断し、(b)画像形成装置が操作されたかどうかを判断し、そして(c)表示部が
非表示にされる
非表示状態において、ステップ(a)において範囲に人が存在すると判断された場合に、表示部の輝度が
、ユーザに画像形成装置が起動していることを知らせることができる程度の輝度であり、かつ、所定値以下に制御される第1点灯状態に設定し、当該第1点灯状態において、ステップ(b)において画像形成装置が操作されたと判断される場合に、表示部の輝度が
、ユーザが画像形成装置の操作を確実に行える程度の輝度であり、かつ、当該第1点灯状態よりも高い第2点灯状態に設定する。
【0018】
第5および第6の各発明においても、第1の発明と同様に、画像形成装置が起動していることをユーザに適切に認識させることができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、画像形成装置が起動していることをユーザに適切に認識させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施例]
図1はこの発明の一実施例である画像形成装置10の外観構成を示す正面図である。
図1を参照して、第1実施例では、画像形成装置10は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)である。なお、この発明は複合機だけでなく、複写機(コピー機)、印刷装置(プリンタ)およびファクシミリのような他の画像形成装置に適用可能である。
【0022】
画像形成装置10は、画像読取部30、画像形成部32、手差し給紙部34、給紙装置38および排紙トレイ40を含む装置本体36を備える。
【0023】
画像読取部30は、透明材によって形成される原稿載置台を備え、装置本体36に内蔵される。原稿載置台の上方には、ヒンジ等を介して原稿押えカバー30aが開閉自在に取り付けられる。この原稿押えカバー30aには、手差し給紙部34が設けられる。また、原稿押えカバー30aには、手差し給紙部34に載置された原稿を自動的に給紙するADF(自動原稿送り装置)が設けられる。
【0024】
また、画像読取部30は、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える。この画像読取部30は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度または色度が検出され、原稿表面の画像に基づく読取画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)またはCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
【0025】
画像形成部32は、装置本体36に内蔵され、画像読取部30の下方に設けられる。この画像形成部32は、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置および定着装置などを備える。画像形成部32は、手差し給紙部34または給紙装置38等から搬送される記録媒体(用紙)上に電子写真方式によって画像を形成し、画像形成済みの用紙を排紙トレイ40に排出する。ただし、用紙上に画像を形成するための画像データとしては、画像読取部30で読み取った画像データ、または外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。また、記録媒体としては、紙からなる用紙に限定されず、OHPフィルムなどの紙以外のシートも用いられる。
【0026】
排紙トレイ40は、画像読取部30および画像形成部32の間に設けられる。排紙トレイ40の底面は、画像形成部32によって区画される。また、排紙トレイ40の天面は、画像読取部30によって区画される。さらに、排紙トレイ40の左側面(正面から見た左側面)は、連結筐体42の右側面で規定される。つまり、排紙トレイ40の前面側、背面側および右側面側は、開口する。排紙トレイ40の底面は、連結筐体42側に向かって下り勾配となる傾斜面を有する。
【0027】
また、画像読取部30の前面側には、操作パネル26が設けられる。操作パネル26は、タッチパネル20付きのディスプレイ(表示部)22および複数の操作ボタン26aを含む。
【0028】
タッチパネル20付きのディスプレイ22には、各種設定または印刷指示などをユーザから受け付けるためのソフトウェアキーおよびメッセージ等が表示される。一例として、ディスプレイ22には、画像形成装置10が実行可能な各種のジョブから所望のジョブを選択するための画面であるホーム画面が表示される。ただし、この第1実施例では、ジョブは、コピー(原稿のスキャンを含む)、印刷およびファックスの送信などを意味する。
【0029】
操作ボタン26aは、ハードウェアキーであって、たとえば、ホームキー、省電力キーおよび主電源キーなどが含まれる。ホームキーは、ホーム画面をディスプレイ22に表示させるためのキーである。省電力キーは、消費電力が制限される省電力状態(省電力モード)と、消費電力が制限されない通常状態(通常モード)とを切り替えるためのキーである。
【0030】
省電力モードでは、たとえば、タッチパネル20、操作ボタン26a、人検出センサ28、手差し給紙部34などに電源が供給される。また、省電力モードでは、後述するCPU12、RAM14、タッチパネル制御回路16、操作ボタン検出回路24および通信回路(
図2参照)などにも電源が供給される。ただし、省電力モードでは、画像形成装置10の消費電力が予め設定される所定値(たとえば、最大消費電力量の数パーセント)以下になるように制御される。したがって、省電力モードにおいて電源が供給されるコンポーネントの種類および数は、所定値の大きさおよび各コンポーネントの消費電力の大きさを考慮して決定される。
【0031】
省電力キーが選択された場合には、通常モードから省電力モードに切り替わり、または省電力モードから通常モードに切り替わる。主電源キーは、画像形成装置10の主電源をオン/オフするためのキーである。
【0032】
なお、ソフトウェアキーとは、たとえばタッチパネル20付きのディスプレイ22の表示面上にソフトウェア的に再現されたキーのことを言う。これに対して、ハードウェアキーとは、物理的な装置として設けられたキー(ボタン)のことを言う。
【0033】
また、操作パネル26の前面中央には、装置本体36の前方または近傍に存在する人を検出するための人検出センサ28が設けられる。
【0034】
図2は
図1に示す画像形成装置10の電気的な構成を示すブロック図である。
図2を参照して、画像形成装置10はCPU12を含む。CPU12には、バス60を介してRAM14、タッチパネル制御回路16、表示制御回路18、操作ボタン検出回路24、人検出センサ28、画像読取部30、画像形成部32および通信回路44が接続される。また、タッチパネル制御回路16にはタッチパネル20が接続され、表示制御回路18にはディスプレイ22が接続され、操作ボタン検出回路24には操作ボタン26aが接続される。
【0035】
CPU12は、画像形成装置10の全体的な制御を司る。RAM14は、CPU12のワーク領域およびバッファ領域として用いられる。
【0036】
タッチパネル制御回路16は、タッチパネル20に必要な電圧などを付与するとともに、タッチパネル20のタッチ有効範囲内でのタッチ操作(タッチ入力)を検出して、そのタッチ入力の位置を示すタッチ座標データをCPU12に出力する。
【0037】
タッチパネル20は、汎用のタッチパネルであり、静電容量方式、電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式など、任意の方式のものを用いることができる。この第1実施例では、タッチパネル20としては、静電容量方式のタッチパネルが用いられ、ディスプレイ22の表示面上にタッチパネル20が設けられる。ただし、タッチパネル20とディスプレイ22とが一体的に形成されたタッチパネルディスプレイが用いられてもよい。
【0038】
表示制御回路18は、表示制御部18aおよび点灯制御部18bを含む。表示制御部18aは、GPUおよびVRAMなどを含んでおり、CPU12の指示の下、GPUは、RAM14に記憶された画像生成データを用いてディスプレイ22に種々の画面を表示するための表示画像データをVRAMに生成し、生成した表示画像データをディスプレイ22に出力する。また、点灯制御部18bは、CPU12の指示の下、後述するディスプレイ22のバックライト(発光部に相当)22bを点灯させたり消灯させたりする。つまり、CPU12は、ディスプレイ22の表示面を点灯させたり消灯させたりするように点灯制御部18bを制御する。また、詳細は後述するが、表示制御回路18は、ディスプレイ22の表示面の輝度(明るさ)を制御する。
【0039】
ディスプレイ22は、たとえばLCDまたはEL(Electro-Luminescence)ディスプレイである。この第1実施例では、ディスプレイ22は、液晶ディスプレイであり、液晶パネル(表示部)22aおよびバックライト22bを含む。
【0040】
液晶パネル22aは、ディスプレイ22の前面側に設けられる。この液晶パネル22aは、二枚の透明基板の間に液晶が封入され、電圧が印加されることによって液晶分子の向きが変えられ光透過率を変化させることが可能である。
【0041】
バックライト(発光部)22bは、LEDまたは蛍光管などの光源を含み、液晶パネル22aを背面側から照明する。なお、ディスプレイ22として、ELディスプレイを用いる場合には、ELディスプレイの発光層が液晶パネル22aおよびバックライト22bに相当する。
【0042】
操作ボタン検出回路24は、上述した操作ボタン26aの操作に応じた操作信号ないし操作データをCPU12に出力する。
【0043】
人検出センサ28は、画像形成装置10の周囲に設定される範囲A(
図3参照)に人(ユーザ)が存在するかどうかを検出するためのセンサであり、たとえば距離センサである。たとえば、距離センサとしては、赤外線センサ、超音波センサおよびレーザ距離センサ等が用いられる。この距離センサは、距離データをCPU12に出力する。CPU12は、人検出センサ28から出力された距離データが示す距離が範囲Aを規定する所定距離以内であるかどうかに応じて、画像形成装置10の前(前方)に人(ユーザ)が存在するかどうかを判断する。したがって、範囲Aは、画像形成装置10の前に人が存在するかどうかを判断するために設定された範囲ということができる。
【0044】
なお、人検出センサ28としては、距離センサに代えて、焦電センサまたは床センサ(圧力センサ)などを用いることもできる。焦電センサを用いる場合には、焦電センサが範囲Aにおける温度変化を検出し、CPU12は、焦電センサの出力に応じて、範囲Aに人が存在するかどうかを判断する。また、床センサを用いる場合には、画像形成装置10の範囲Aに対応する床面の範囲に床センサが設けられ、CPU12は、床センサの出力に応じて、範囲Aに人が存在するかどうかを判断する。
【0045】
図3は、画像形成装置10の周囲に設定される範囲Aを説明するための平面図である。
図4は範囲Aに人が存在する場合を示す平面図である。
【0046】
図3に示すように、範囲Aは、画像形成装置10を使用(操作)する可能性がある人が存在すると考えられる範囲であり、一例として、半径が第1距離L1の半円で定義される。ただし、第1距離L1は、画像形成装置10の装置本体36の前面の中央からの水平方向における距離であり、この第1実施例では、装置本体36の前面の中央から左右方向の両端部までの長さ以上に設定される。すなわち、第1実施例では、範囲Aは、画像形成装置10(装置本体36)の前面側(前方)であり、当該画像形成装置10を操作可能な位置(たとえば、操作パネル26に手が届く位置)に存在する人を検出可能な範囲に設定される。
【0047】
ただし、範囲Aの大きさおよび形状は、上記のように、画像形成装置10の前面側であり、当該画像形成装置10を操作可能な位置に存在する人を検出可能な範囲であれば、適宜変更可能である。また、詳細な説明は省略するが、人検出センサ28の個数は1つに限定される必要はなく、設定した範囲Aに存在する人を検出できれば2つ以上でもよい。
【0048】
なお、人検出センサ28の検出可能範囲は、範囲Aを含んでいればよく、範囲Aと一致する必要はない。また、範囲Aに固定的な障害物が存在する場合は、当該障害物を検出結果から予め除外するようにしてもよい。
【0049】
図4に示すように、範囲Aに人が存在する場合には、人検出センサ28は、第1距離L1よりも短い距離に対応する距離データをCPU12に出力する。CPU12は、第1距離L1よりも短い距離の距離データを受信(取得)すると、範囲Aに人が存在すると判断する。また、範囲Aに人が存在しない場合には、人検出センサ28は、第1距離L1よりも長い距離に対応する距離データをCPU12に出力する。CPU12は、第1距離L1よりも長い距離の距離データを受信すると、範囲Aに人が存在しないと判断する。
【0050】
なお、詳細な説明は省略するが、第1実施例では、第1距離L1と等しい距離の距離データを受信した場合には、CPU12は、範囲Aに人が存在すると判断するようにしてある。ただし、この場合、CPU12は、範囲Aに人が存在しないと判断するようにしてもよい。
【0051】
また、詳細な説明は省略するが、CPU12は、第1距離L1よりも長い距離に対応する距離データを受信した後に、第1距離L1よりも短い距離に対応する距離データを受信すると、人が範囲A外から範囲A内に入ったと判断する。また、CPU12は、第1距離L1よりも短い距離に対応する距離データを受信した後に、第1距離L1よりも長い距離に対応する距離データを受信すると、人が範囲A内から範囲A外に出たと判断する。
【0052】
通信回路44は、インターネットなどのネットワークに接続するための通信回路である。この通信回路44は、有線通信回路または無線通信回路であり、CPU12からの指示に従って、ネットワークを介して、外部コンピュータと通信する。
【0053】
なお、
図2に示す画像形成装置10の電気的な構成は単なる一例であり、これに限定される必要はない。
【0054】
このような構成の画像形成装置10では、画像形成装置10の操作状況などに応じて、ディスプレイ22の表示状態が切り替えられる。たとえば、画像形成装置10が第1所定時間(たとえば30秒〜60秒)以上継続して操作されない場合などに、ディスプレイ22は、バックライト22bが消灯(オフ)され、消灯状態(非表示状態)となる。ディスプレイ22が消灯状態となった場合、各種の画面またはソフトウェアキーなどもディスプレイ22の表示面に表示されない状態となる。
【0055】
たとえば、このような画像形成装置10では、消灯状態において画像形成装置10を利用する人(以下、「ユーザ」という。)によって操作ボタン26aが押下される、あるいはタッチパネル20がタッチされるなどの操作が行われた場合に、バックライト22bが点灯される。バックライト22bが点灯されると、ディスプレイ22が点灯状態に遷移され、各種の画面またはソフトウェアキーなどがディスプレイ22の表示面に表示される。
【0056】
しかしながら、このような画像形成装置10では、ユーザによって操作が行われるまでは、ディスプレイ22が消灯状態であるので、ユーザが、画像形成装置10が起動していない(主電源が入っていない)または故障していると認識してしまう可能性がある。つまり、画像形成装置10が起動していることをユーザに適切に認識させることができない。この問題を解決するために、たとえば、範囲Aに人が存在すると判断された場合に、ディスプレイ22を点灯状態にすることも考えられる。しかしながら、画像形成装置10を利用しない人(以下、「通行人」という。)が画像形成装置10の前を通るだけの場合にもディスプレイ22が点灯状態にされてしまう。これでは、画像形成装置10が使用されない場合でもディスプレイ22が頻繁に点灯状態にされてしまい、通行人に不快感または違和感を与えるという問題がある。また、この場合、画像形成装置10の電源制御も適切に行われていない。
【0057】
そこで、この第1実施例では、通行人に不快感または違和感を与えずに、画像形成装置10が起動していることをユーザに適切に認識させることができるように、画像形成装置10の前面側におけるユーザの存在および画像形成装置10の操作状況に応じて、ディスプレイ22の表示面の輝度(明るさ)が段階的に変更されるようにした。具体的には、第1実施例の画像形成装置10では、ディスプレイ22が、上述した消灯状態、ディスプレイ22(液晶パネル22a)の表示面の輝度が所定値(第1輝度)以下に制限される第1点灯状態およびディスプレイ22の表示面の輝度が第1点灯状態よりも高い第2点灯状態を有する。
【0058】
ただし、第1実施例では、ディスプレイ22の表示面の輝度は、バックライト22bの発光量が変更されることによって制御(変更)される。また、バックライト22bの発光量は、CPU12の指示の下、点灯制御部18bによって制御(変更)される。
【0059】
バックライト22bの発光量を変更する方法としては、たとえば、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)調光方式、面積調光方式および電流値制御調光方式などを用いることができる。
【0060】
PWM調光方式では、バックライト22bに含まれる光源を周期的に点滅させ、その点灯期間と消灯期間との時間比率(デューティ比)を変化させることによってバックライト22bの発光量を変更する。このPWM調光方式を用いる場合には、点灯制御部18bは、CPU12の指示の下、光源の点灯期間と消灯期間との時間比率を変更する。この場合、光源の消灯期間に対する点灯期間の比率が大きくされることに応じてバックライト22bの発光量が多くなる。また、光源の消灯期間に対する点灯期間の比率が小さくされることに応じてバックライト22bの発光量が少なくなる。
【0061】
面積調光方式では、バックライト22bに含まれる複数の単位光源(たとえば一つのLED)を、予め定められた領域ごとに複数個ずつにグループ分けし、各領域に含まれる複数個の単位光源のうち、点灯される単位光源の個数を制御することによってバックライト22bの発光量を変更する。この面積調光方式を用いる場合には、点灯制御部18bは、CPU12の指示の下、各領域において点灯される単位光源の個数を変更する。この場合、各領域において点灯される単位光源の個数が多くなることに応じてバックライト22bの発光量が多くなる。また、各領域において点灯される単位光源の個数が少なくなることに応じてバックライト22bの発光量が少なくなる。
【0062】
電流値制御調光方式では、バックライト22bに含まれる複数のLEDの各々に供給される駆動電流の電流値を変化させることによってバックライト22bの発光量を変更する。この電流値制御調光方式を用いる場合には、点灯制御部18bは、CPU12の指示の下、バックライト22bの光源を流れる駆動電流の電流値を変更する。この場合、バックライト22bの光源を流れる駆動電流の電流値が大きくなることに応じてバックライト22bの発光量が多くなる。また、バックライト22bの光源を流れる駆動電流の電流値が小さくなることに応じてバックライト22bの発光量が少なくなる。
【0063】
ただし、ディスプレイ22の表示面の輝度は、バックライト22bの発光量だけでなく、液晶パネル22aの光透過率によっても変化する。たとえば、バックライト22bの発光量が同じ場合でも、液晶パネル22aの光透過率が高ければ、ディスプレイ22の表示面の輝度が高くなり、液晶パネル22aの光透過率が低ければ、ディスプレイ22の表示面の輝度が低くなる。このことを利用して、ディスプレイ22の表示面の輝度を変更するために、バックライト22bの発光量が変更されることに代えて、またはこれに加えて、液晶パネル22aの光透過率が制御されるようにしても良い。この場合、点灯制御部18bは、CPU12の指示の下、表示制御部18aを制御して、液晶パネル22aの光透過率を変更する。
【0064】
また、ディスプレイ22の表示面の輝度は、表示面に表示される画像(画面)の内容によっても変化する。たとえば、バックライト22bの発光量および液晶パネル22aの光透過率が同じ場合でも、全面白色画像と、全面グレー画像と、全面黒色画像とでは、ディスプレイ22の表示面の輝度が異なる。ただし、表示面に明るい色が多く含まれる画像(たとえば全面白色画像)を表示させる場合に、ディスプレイ22の表示面の輝度が高くなり、表示面に暗い色が多く含まれる画像(たとえば全面黒色画像)を表示させる場合に、最もディスプレイ22の表示面の輝度が低くなる。このことを利用して、ディスプレイ22の表示面の輝度を変更するために、バックライト22bの発光量が変更されることに代えて、またはこれに加えて、表示面に表示される画像の内容が変更されるようにしても良い。この場合、画面に含まれるソフトウェアキーまたはメッセージなどの内容は同じであるが、背景の色が異なる複数のホーム画面が用意される。たとえば、背景の色に暗い色が用いられた暗いホーム画面と、背景の色に明るい色が用いられた明るいホーム画面とが用意される。点灯制御部18bは、CPU12の指示の下、表示制御部18aを制御して、暗いホーム画面または明るいホーム画面を設定する。
【0065】
上述したように、第1実施例における第1点灯状態では、ディスプレイ22の表示面の輝度が、第1輝度以下に制限される。このとき、バックライト22bの発光量は、ディスプレイ22の表示面の輝度が、第1輝度以下になるように制御される。たとえば、第1点灯状態では、バックライト22bの発光量が、最大値(100%)の半分以下(50%以下)に設定される。このため、第1点灯状態では、ディスプレイ22の表示面の輝度は、最も高い状態(100%)の半分以下(50%以下)となる。ただし、第1輝度は、ユーザに画像形成装置10が起動していることを知らせることができる程度の輝度に設定されれば良い。このため、第1点灯状態におけるディスプレイ22の表示面の輝度は、50%以下に限定される必要は無く、50%より高くても良い。
【0066】
また、第2点灯状態では、ディスプレイ22の表示面の輝度が、バックライト22bの発光量が、第1輝度よりも大きい値(第2輝度)に設定される。このとき、バックライト22bの発光量は、ディスプレイ22の表示面の輝度が、第2輝度になるように制御される。たとえば、第2点灯状態では、バックライト22bの発光量が、最大値(100%)に設定される。このため、ディスプレイ22の表示面の輝度は、最も高い状態(100%)となる。なお、第2点灯状態におけるディスプレイ22の表示面の輝度は、100%に限定される必要は無く、100%より低くても良い。また、第2輝度は、ユーザが画像形成装置10を操作する場合に、各種設定または印刷指示などを確実に行える程度の輝度に設定されれば良い。この第2点灯状態は、従来の画像形成装置10におけるディスプレイ22の通常の点灯状態に相当する。
【0067】
そして、第1実施例では、ディスプレイ22は、消灯状態において範囲Aに人が存在すると判断された場合に、第1点灯状態に設定(遷移)される。また、ディスプレイ22は、第1点灯状態において、ユーザによって画像形成装置10が操作されたと判断される場合に、第2点灯状態に設定(遷移)される。具体的には、CPU12は、ディスプレイ22が消灯状態である場合であって、範囲Aに人が存在すると判断された場合に、ディスプレイ22を第1点灯状態に遷移させるように点灯制御部18bを制御する。この場合、バックライト22bが点灯され、ディスプレイ22の表示面の輝度が、第1輝度以下になるように制御される。また、CPU12は、ディスプレイ22が第1点灯状態である場合であって、ユーザによって画像形成装置10が操作された場合に、ディスプレイ22を第2点灯状態に遷移させるように点灯制御部18bを制御する。この場合、バックライト22bは、ディスプレイ22の表示面の輝度が、第2輝度になるように制御される。さらに、CPU12は、ディスプレイ22が第1点灯状態である場合であって、画像形成装置10が第1所定時間以上継続して操作されない場合に、ディスプレイ22を消灯状態に遷移させるように点灯制御部18bを制御する。この場合、バックライト22bは、消灯される。
【0068】
ただし、ユーザによって画像形成装置10が操作されるとは、たとえば、ユーザによってタッチパネル20もしくは操作ボタン26aが操作されることを意味する。また、ユーザによる操作(ユーザ操作)には、ユーザが原稿載置台またはADFに原稿をセットする操作、ユーザが原稿押えカバー30aを開ける操作およびユーザが排紙トレイ40から用紙を取り出す操作なども含まれる。
【0069】
また、画像形成装置10に接続される課金装置が設けられる場合、ユーザ操作には、ユーザが課金装置にお金を投入する操作およびユーザが課金装置にプリペイドカードを挿入する操作などが含まれる。
【0070】
さらに、画像形成装置10が、記録媒体を装着可能な接続部を備える場合、ユーザ操作には、ユーザが記録媒体を接続部に装着する操作が含まれる。
【0071】
画像形成装置10の上記のような動作は、CPU12がRAM14に記憶された制御プログラムを実行することによって実現される。具体的な処理については、後でフロー図を用いて説明する。
【0072】
図5は
図2に示すRAM14のメモリマップ70の一例を示す図解図である。
図5に示すように、RAM14は、プログラム記憶領域72およびデータ記憶領域74を含む。RAM14のプログラム記憶領域72には、上述したように、制御プログラムが記憶される。制御プログラムは、表示プログラム72a、操作検出プログラム72b、存在判断プログラム72c、点灯制御プログラム72dおよび印刷プログラム72eを含む。
【0073】
表示プログラム72aは、操作画面などの各種の画面をディスプレイ22に表示するためのプログラムである。
【0074】
操作検出プログラム72bは、画像形成装置10の各部への操作を検出するためのプログラムである。たとえば、操作検出プログラム72bは、タッチパネル20から出力されたタッチ座標データを取得して、ディスプレイ22に表示される各種の画面に含まれるソフトウェアキーが操作されたことを検出するためのプログラムである。また、操作検出プログラム72bは、操作ボタン26aからの操作入力を検出するためのプログラムでもある。
【0075】
存在判断プログラム72cは、人検出センサ28によって出力される距離データを取得して、当該距離データが示す距離が所定距離(第1実施例では、第1距離L1)以内であるかどうかに応じて、範囲Aに人が存在するかどうかを判断するためのプログラムである。
【0076】
点灯制御プログラム72dは、ディスプレイ22を消灯状態、第1点灯状態および第2点灯状態に遷移させるためのプログラムである。ただし、CPU12は、点灯制御プログラム72dに従って点灯制御部18bを制御する。
【0077】
印刷プログラム72eは、後述する画像データ74cなどに応じて多色または単色の画像を記録媒体(用紙)に形成するためのプログラムである。
【0078】
なお、図示は省略するが、プログラム記憶領域72には、各種の機能を選択および実行するためのプログラムなども記憶される。
【0079】
RAM14のデータ記憶領域74には、操作入力データ74a、操作画面データ74b、および画像データ74cなどが記憶される。
【0080】
操作入力データ74aは、たとえば操作検出プログラム72bに従って検出(取得)されたタッチ座標データまたは/および操作データである。検出されたタッチ座標データまたは/および操作データは、時系列に従って記憶される。
【0081】
操作画面データ74bは、ディスプレイ22に表示されるホーム画面などの各種の操作画面についての画像データである。
【0082】
画像データ74cは、上述したように、画像読取部30によって原稿から読み取られた画像データまたは外部から入力される画像データなどである。
【0083】
なお、図示は省略するが、データ記憶領域74には、制御プログラムの実行に必要な他のデータが記憶されたり、制御プログラムの実行に必要なタイマ(カウンタ)およびレジスタが設けられたりする。
【0084】
図6は
図1に示す画像形成装置10の点灯制御処理の一例を示すフロー図である。この点灯制御処理は、ディスプレイ22が消灯状態である場合に実行される。
【0085】
図6に示すように、CPU12は、点灯制御処理を開始すると、ステップS1で、範囲Aに人が存在するかどうかを判断する。ステップS1で“NO”であれば、つまり、範囲Aに人が存在しないと判断した場合は、ステップS1に戻る。また、ステップS1で“YES”であれば、つまり、範囲Aに人が存在すると判断した場合は、ステップS3で、ディスプレイ22を第1点灯状態に遷移させ、ステップS5に進む。
【0086】
ステップS5では、画像形成装置10が操作されたかどうかを判断する。ステップS5で“NO”であれば、つまり、画像形成装置10が操作されていないと判断した場合は、ステップS7で、範囲Aに人が存在するかどうかを判断する。ステップS7で“YES”であれば、つまり、範囲Aに人が存在すると判断した場合は、ステップS5に戻る。一方、ステップS7で“NO”であれば、つまり、範囲Aに人が存在しないと判断した場合は、ステップS9で、ディスプレイ22を消灯状態に遷移させ、ステップS1に戻る。
【0087】
また、ステップS5で“YES”であれば、つまり、CPU12は、画像形成装置10が操作されたと判断した場合は、ステップS11で、ディスプレイ22を第2点灯状態に遷移させ、点灯制御処理を終了する。
【0088】
この第1実施例によれば、ディスプレイ22が消灯状態である場合に、ユーザが、画像形成装置10に近づき、範囲A外から範囲A内に入った場合に、ディスプレイ22が第1点灯状態に遷移される。このとき、ユーザは、ディスプレイ22を注目するので、ディスプレイ22の表示面の輝度が低くても、画像形成装置10が起動していることを認識することができる。したがって、画像形成装置10が起動していることをユーザに適切に認識させることができる。
【0089】
また、第1実施例によれば、画像形成装置10の前を通るだけの通行人は、ディスプレイ22を注目しないので、ディスプレイ22の表示面の輝度が低い場合、ディスプレイ22が点灯していることについて気にならない、または気になり難い。また、通行人は、画像形成装置10の前を通るだけなので、画像形成装置10を操作せずに、範囲A内にとどまることは無い。このため、通行人が画像形成装置10の前を通る場合は、ディスプレイ22は、第1点灯状態に遷移されるものの、第2点灯状態に遷移されることなく、消灯状態に戻るので、無駄な電力を消費するのを防止することができる。
【0090】
なお、画像形成装置10に、画像形成装置10の周囲の明るさを検出する照度センサを設け、画像形成装置10の周囲の明るさに応じて第1点灯状態および第2点灯状態におけるディスプレイ22の表示面の輝度を調節するようにしても良い。たとえば、画像形成装置10の周囲が所定の明るさよりも明るい場合は、第1点灯状態および第2点灯状態におけるディスプレイ22の表示面の輝度を数%高くする。一方、画像形成装置10の周囲が所定の明るさよりも暗い場合は、第1点灯状態および第2点灯状態におけるディスプレイ22の表示面の輝度を数%低くする。このようにすれば、画像形成装置10の周囲の明るさも考慮して、ディスプレイ22の表示面の輝度を適切に制御することができる。
[第2実施例]
第2実施例の画像形成装置10では、画像形成装置10が第1所定時間以上継続して操作されない場合であって、範囲Aに人が存在する場合には、ディスプレイ22が第2点灯状態から消灯状態に遷移されないようにした以外は第1実施例の画像形成装置10と同じであるため、異なる内容について詳細に説明し、重複する内容については説明を省略する、または、簡単に説明することにする。
【0091】
第2実施例の画像形成装置10では、画像形成装置10が第1所定時間以上継続して操作されない場合であって、範囲Aに人が存在する場合には、ディスプレイ22は、第2点灯状態から第1点灯状態に遷移される。第1点灯状態に遷移された後に、範囲Aに人が存在しなくなった場合、つまり、人が範囲Aから出た場合には、ディスプレイ22は、消灯状態に遷移される。
【0092】
ただし、第1点灯状態に遷移される前から範囲Aに人が存在しない場合には、画像形成装置10が第1所定時間以上継続して操作されない場合に、ディスプレイ22は、第2点灯状態から直接消灯状態に遷移されても良い。
【0093】
図7は第2実施例における点灯制御処理の一例を示すフロー図である。以下、
図7に示すフロー図を用いて、第2実施例におけるCPU12の点灯制御処理について説明するが、第2実施例の点灯制御処理は、ディスプレイ22が第2点灯状態に遷移された場合に実行される。
【0094】
図7に示すように、CPU12は、点灯制御処理を開始すると、ステップS31で、タイマをリセットおよびスタートし、ステップS33で、画像形成装置10が操作されたかどうかを判断する。ただし、タイマは、ディスプレイ22が第2点灯状態に遷移された時からの継続時間をカウントするためのタイマであり、図示は省略するが、画像形成装置10の内部(CPU12またはRAM14)に設けられる。
【0095】
ステップS33で“YES”であれば、つまり、画像形成装置10が操作されたと判断した場合は、ステップS35で、操作に応じて各種設定または印刷指示などの処理を実行し、ステップS31に戻る。一方、ステップS33で“NO”であれば、つまり、画像形成装置10が操作されていないと判断した場合は、ステップS37で、ステップS31でタイマがスタートされてから第1所定時間が経過したかどうかを判断する。
【0096】
ステップS37で“NO”であれば、つまり、ステップS31でタイマがスタートされてから第1所定時間が経過していない場合は、ステップS33に戻る。一方、ステップS37で“YES”であれば、つまり、ステップS31でタイマがスタートされてから第1所定時間が経過した場合は、ステップS39で、ディスプレイ22を第1点灯状態に遷移させて、ステップS41に進む。続くステップS41で、範囲Aに人が存在するかどうかを判断する。
【0097】
ステップS41で“YES”であれば、つまり、範囲Aに人が存在すると判断した場合は、ステップS43で、画像形成装置10が操作されたかどうかを判断する。ステップS43で“NO”であれば、ステップS41に戻る。また、ステップS43で“YES”であれば、ステップS45で、ディスプレイ22を第2点灯状態に遷移させて、ステップS31に戻る。
【0098】
また、ステップS41で“NO”であれば、つまり、範囲Aに人が存在しないと判断した場合は、ステップS47で、ディスプレイ22を消灯状態に遷移させ、点灯制御処理を終了する。
【0099】
この第2実施例によれば、画像形成装置10が第1所定時間以上継続して操作されない場合でも、ユーザが画像形成装置10の近くに居る場合には、ディスプレイ22が消灯状態にされない。このため、ユーザは、画像形成装置10が起動していることを認識することができる。
[第3実施例]
第3実施例では、ディスプレイ22の表示状態が、消灯状態、第1点灯状態および第2点灯状態のいずれに設定されたかに応じて、画像形成装置10において省電力モードまたは通常モードが設定されるようにした以外は、第1実施例と同じであるため、異なる内容について説明し、重複した説明については省略する、または簡単に説明することにする。
【0100】
第1実施例では説明を省略したが、CPU12には、バス60を介して電源制御回路が接続される。電源制御回路は、CPU12の指示に従って、画像形成装置10の各コンポーネントに電源(電力)を供給するための制御回路である。この電源制御回路は、CPU12の指示に従って、商用電源を降圧および整流し、各コンポーネントに応じた所定の直流電圧を供給および停止する。
【0101】
そして、CPU12は、電源制御回路を制御して、画像形成装置10の電力供給状態(動作状態)を制御する。たとえば、CPU12は、通常モードでは、電源制御回路を制御して、画像形成装置10の全コンポーネントに電源を供給する。
【0102】
たとえば、画像形成装置10では、通常モードから省電力モードに切り替えるための第2所定時間(たとえば、20〜30秒)が予め設定されている。このため、通常モードにおいて、操作ボタン26aまたはタッチパネル20への入力操作が無い状態が継続している時間が第2所定時間を超えた場合には、画像形成装置10は、自動的に通常モードから省電力モードに切り替わる。
【0103】
また、省電力モードにおいては、ユーザによって画像形成装置10が操作された場合に、自動的に省電力モードから通常モードに切り替わる。
【0104】
さらに、省電力モードに、消費電力の大きさが異なる二種類の省電力モードが含まれるようにしても良い。この場合、省電力モードには、第1省電力モード(第1省電力状態)と、第1省電力モードよりも消費電力が大きい第2省電力モード(第2省電力状態)とが含まれる。つまり、画像形成装置10は、通常モード、第1省電力モードおよび第2省電力モードの三種類の動作状態を有する。
【0105】
画像形成装置10が三種類の動作状態を有する場合には、たとえば、第1省電力モードでは、画像形成装置10の消費電力が上述した第1電力値以下になるように制御される。また、第2省電力モードでは、画像形成装置10の消費電力が第1電力値よりも大きい第2電力値以下になるように制御される。ただし、第2電力値は、通常モードにおける画像形成装置10の消費電力よりも小さい。たとえば、第2省電力モードでは、第1省電力モードにおいては電源が供給されない一部のコンポーネントにも電源が供給される。つまり、画像形成装置10が三種類の動作状態を有する場合には、CPU12は、電源制御回路52を制御して、当該CPU12、省電力キー、操作ボタン検出回路24および必要なセンサに電源を供給するとともに、画像形成部32の定着装置および省電力キーを含む操作パネル26の全体などにも電源を供給する。
【0106】
この第3実施例の画像形成装置10では、ディスプレイ22の表示状態が、消灯状態、第1点灯状態および第2点灯状態のいずれに設定されたかに応じて、省電力モードまたは通常モードが設定される。つまり、第3実施例の画像形成装置10では、ディスプレイ22の表示状態に連動して、画像形成装置10の動作状態が設定される。
【0107】
図8は第3実施例におけるディスプレイ22の表示状態と画像形成装置10の動作状態との関係を示すテーブルである。ただし、
図8には、画像形成装置10が二種類の動作状態を有する場合(動作モード1および動作モード2)および画像形成装置10が三種類の動作状態を有する場合(動作モード3)のテーブルを示す。
【0108】
たとえば、
図8に示すように、画像形成装置10が二種類の動作状態を有する場合(動作モード1および動作モード2)には、ディスプレイ22が消灯状態であれば、画像形成装置10は、省電力モードに設定される。また、画像形成装置10が三種類の動作状態を有する場合(動作モード3)には、ディスプレイ22が消灯状態であれば、画像形成装置10は、最も消費電力が小さい第1省電力モードに設定される。
【0109】
また、画像形成装置10が二種類の動作状態を有する場合には、ディスプレイ22が第1点灯状態であれば、画像形成装置10は、省電力モードに設定されても良い(動作モード1)し、通常モードに設定されても良い(動作モード2)。また、画像形成装置10が三種類の動作状態を有する場合には、ディスプレイ22が第1点灯状態であれば、画像形成装置10は、第2省電力モードに設定される。
【0110】
ただし、ディスプレイ22が第2点灯状態であれば、全ての動作モードにおいて、画像形成装置10が通常モードに設定される。
【0111】
この第3実施例によれば、ディスプレイ22の表示状態が、消灯状態、第1点灯状態および第2点灯状態のいずれに設定されたかに応じて、省電力モードまたは通常モードが設定されるので、画像形成装置10が起動していることをユーザに適切に認識させることができるとともに、適切な電源制御を行うことができ、無駄な電力を消費するのを防止することができる。
【0112】
なお、第3実施例に示した態様は、第2実施例にも組み合わせて採用することが可能である。
【0113】
また、上述の実施例で挙げた具体的な数値、画面構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。
【0114】
さらに、上述の実施例で示したフロー図の各ステップは、同じ結果が得られるのであれば、処理される順番は適宜変更することが可能である。