(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照し、本発明にかかる紙葉類識別装置、紙葉類取扱装置の実施の形態を詳細に説明する。以下では、一例として、紙葉類識別装置が、金融機関の支店や営業所等の店舗で窓口担当者が使用する紙葉類取扱装置に備えられている場合について示しているが、これに限らず、ATM(Automated Teller Machine)などの自動取引装置、さらには、小切手や商品券等、取引可能な様々な紙葉類を取り扱う装置に適用することができる。
【0013】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明にかかる紙葉類識別装置、紙葉類取扱装置を適用した紙葉類処理システム1の構成を示す図である。以下の説明では、紙葉類処理システム1が、紙葉類として紙幣を処理する場合について説明しているが、上記の通り、他の様々な紙葉類についても同様に考えることができる。
【0014】
図1に示すように、紙葉類処理システム1は、窓口端末装置2と、紙葉類処理装置3とが、通信ネットワーク5を介して接続されている。
【0015】
窓口端末装置2は、金融機関(例えば、銀行)の窓口担当者が使用する端末である。窓口端末装置2は、ハードウェアとしては一般的なコンピュータから構成され、ディスプレイ装置等の表示装置から構成される表示部21、キーボード等の入力装置から構成される操作部22のほか、指紋センサ7、およびカードリーダ8を有している。指紋センサ7は、窓口担当者の認証時に指紋を読み取らせるためのセンサである。カードリーダ8は、指紋センサ7により窓口担当者の指紋を読み取らせる際に、あらかじめ登録された照合用の認証情報が記憶されたカードを読み取る装置である。
【0016】
紙葉類処理装置3は、窓口担当者が紙葉類の入金、出金及び整理を行うために使用するための装置である。
【0017】
なお、
図1には、1台の紙葉類処理装置3に対して1台の窓口端末装置2を設けた構成を示しているが、1台の紙葉類処理装置3に対して複数台の窓口端末装置2を設けるようにしても良い。
【0018】
紙葉類処理装置3は、その装置本体前面側に、入金口11、出金口12、及び返却口13が設けられている。
【0019】
入金口11は、窓口担当者が紙幣受け入れや整理をする際に、紙葉類処理装置3内に紙幣を投入する入金口である。出金口12は、出金紙幣を窓口担当者に放出するための出金口である。返却口13は、リジェクト紙幣を窓口担当者に放出するための返却口である。
【0020】
次に、紙幣を搬送する搬送路と搬送先(搬送系統)について説明する。
図2は、紙葉類処理装置3の搬送系統を示す構成図である。紙葉類処理装置3は、紙幣を入出金したり収納したりするために、入金口11、出金口12、返却口13、一次保留部14、収納部17a〜17d、及び回収部18を備えている。また、これらの各部は搬送路16により接続されている。また、これら各部は搬送路16の途中には、識別部15が設けられている。また、搬送路16には、紙幣の通過を検出する通過センサ、紙幣の搬送方向を切り替えるゲート19、紙幣を搬送する搬送ローラ、及び各搬送ローラを駆動するモータがそれぞれ複数個設けられている。また、入金口11、出金口12、及び返却口13には、紙幣が搬送されてきたことを検出するための紙幣検出センサ20が設けられている。なお、紙葉類処理装置3において、上記の搬送路16、搬送ローラ、及びモータを含む構成を搬送部32と称する。
【0021】
一時保留部14は、識別部15により識別され、計数された紙幣を一時的に集積する。識別部15は、窓口担当者により入金口15に投入された紙幣の真偽を判定した後、真券の面積を算出し、算出された紙幣を計数、搬送して一時保留部14に保留する。識別される紙幣には、欠損券および欠損券を用いた偽券や変造券が含まれる。
【0022】
収納部17a〜17dは、識別部15によって真券と判定された紙幣を金種別(種類別)に集積する収納庫である。回収部18は、識別部15によって真券でないと判定された紙幣や、欠損券および欠損券を用いた偽券や変造券と判定された紙幣など、再利用不能な紙幣を回収する回収庫である。
【0023】
次に、紙葉類処理システム1を構成する各装置の機能的な構成について説明する。
図3は、紙葉類処理システム1の各装置の制御ブロック図である。
【0024】
窓口端末装置2は、表示部21、操作部22、記憶部23、通信部24が、それぞれ制御部20に接続されており、制御部20が各部を制御する。記憶部23は、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置から構成され、制御部20は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置から構成される。通信部24は、NIC(Network Interface Card)やモデム等の通信機器から構成される。また、窓口端末2には、指紋センサ7とカードリーダ8が接続されている。なお、窓口端末装置2の表示部21、操作部22、記憶部23などを、紙葉類処理装置3に設けてもよい。
【0025】
表示部21は、窓口担当者が操作する画面を表示する。すなわち、表示部21は、制御部20の指示により、窓口担当者が取引を選択するための取引選択画面等、本システムで使用する各種画面のほか、本システムで行われた処理結果を表示する。
【0026】
操作部22は、表示部21で表示された画面や処理結果に対する窓口担当者から入力操作を受け付ける。
【0027】
記憶部23は、窓口端末装置2の各種設定を記憶する部位である。
【0028】
紙葉類処理装置3は、通信部31、搬送部32、記憶部33、識別部15を備えており、制御部30が各部を制御する。通信部31は、NICやモデム等の通信機器から構成され、記憶部33は、HDD等の記憶装置から構成される。また、制御部20は、CPU等の演算装置から構成される。搬送部32は、上記の搬送路16、搬送ローラ、及びモータを含む搬送機構である。識別部15の物理的な構成については後述する。
【0029】
通信部31は、窓口端末装置2の通信部24と通信ネットワーク5を介して通信する。記憶部33は、紙葉類処理装置3の設定情報(例えば、処理対象とする紙幣の金種、紙幣換金条件)や紙幣の識別結果を記憶する。
【0030】
制御部30は、通信部31を介して窓口端末装置2から受信した動作モード(入金、出金、紙幣換金の各動作モード)に対して、紙葉類処理装置3の動作を決定し、通信部31、搬送部32、記憶部33、識別部15を制御する。
【0031】
識別部15は、紙葉類処理装置3に紙幣の入金、出金、換金などを行うために、搬送された紙葉類の金種、真偽、真券面積を判定する装置である。識別部15は、その結果を制御部30に通知し、制御部30は、その結果を元に、搬送された紙幣の取り扱いを決める。
【0032】
図4は、識別部15の概略構成図を示す図である。
図4に示すように、識別部15は、搬送路41と、搬送路41に沿って搬送方向の上流から下流に向かって順に配置されている搬送駆動部43と、光学ラインセンサ部44と、真偽センサ部45と、エンコーダ部42と、制御部46と、を備える。
図4では、x方向が紙幣の搬送方向である。また、y方向が紙幣の幅方向であり、z方向が紙幣の上下方向をあらわしている。
【0033】
搬送駆動部43は、搬送路41の幅方向に沿って架設された上下方向(z方向)に対向する搬送ローラ43a、43bを備える。搬送ローラ43a、43bは、搬送モータ(不図示)からの回転力が伝達されることにより駆動されて回転する。上側の搬送ローラ43aは、搬送モータによって駆動される駆動側搬送ローラであり、下側の搬送ローラ43bは、上側の搬送ローラ43aの回転に従動される従動側搬送ローラである。搬送駆動部43は、搬送路41に順に導かれてくる紙幣Sを、一対の搬送ローラ43a、43bで挟持して、搬送路41に沿って後端へと搬送する。なお、紙幣Sは、搬送方向に短く幅方向に長い横長の状態で搬送路41を搬送される。
【0034】
エンコーダ部42は、クロックに基づいて、搬送駆動部43、光学ラインセンサ部44、および真偽センサ部45の動作を制御する。制御部46は、光学ラインセンサ部44で読み取られた紙幣Sの光学模様などのパターン情報、および磁気ラインセンサである真偽ラインセンサ45で判別された紙幣Sの真偽情報に基づいて、紙幣Sの金種の真偽、正券に対する真券部分の面積の割合を求め、その割合に応じた紙幣価値を算出する。
【0035】
図5は、第1の実施の形態に関する換金取引動作を示すフローチャートである。
図6は、第1の実施形態に関する顧客操作表示画面の表示例を示す説明図である。
図7は、紙葉類取扱装置3に投入される欠損紙幣の例を示す図である。
図7の(a)は、紙幣Sの残存率が80%の欠損紙幣である。
図7の(b)は、紙幣Sの残存率が48%の欠損紙幣である。
図7の(c)は、紙幣Sの残存率が30%の欠損紙幣である。
【0036】
S501:制御部20は、表示部21に顧客操作表示画面として取引選択画面を表示する。例えば、制御部20は、指紋センサ7が出力した情報とカード読取部6が読み取った情報により窓口担当者が正しく認証できたことをトリガとして、取引選択画面を表示部21に表示する。
【0037】
図6の(a)は、取引選択画面60の例を示す図である。
図6の(a)に示すように、取引選択画面60には、入金ボタン601、出金ボタン602、紙幣交換ボタン603等、窓口担当者が取引を選択するための各種ボタンが動作モードごとに表示される。
【0038】
S502:顧客が紙幣の正券への交換取引を希望し、窓口担当者により紙幣交換ボタン603が押下されると、制御部20は、表示部21に表示された紙幣交換ボタン63の選択を受けつける。このとき、制御部20は、受け付けられたボタンが紙幣交換ボタン63であるか否かを判定する。制御部20は、受け付けられたボタンが紙幣交換ボタン63でないと判定した場合(ステップS502;No)、入金ボタン601、出金ボタン602が選択されたと判定し、これらの他の動作モードS504(不図示)へ移行する。なお、以下では、紙幣交換モードの場合について説明しているが、入金モード、出金モードの場合にも同様に考えることができる。すなわち、識別部15を通過して紙幣を識別する様々な処理に適用することができる。入金モード、出金モードの場合には、以下の処理で換金を入金または出金に読み替えればよい。
【0039】
S503:制御部20は、受け付けられたボタンが紙幣交換ボタン63であると判定した場合(ステップS502;Yes)、表示部21に顧客操作表示画面として交換紙幣の金額選択画面61を表示する。
【0040】
図6の(b)は、金額選択画面61の例を示す図である。
図6の(b)に示すように、金額選択画面61には、交換紙幣の金種を選択するためのボタンが表示されている。
図6の(b)では、インドで流通する紙幣を例として、1000ルピーボタン611、500ルピーボタン612、100ルピーボタン613、50ルピーボタン614、20ルピーボタン615が表示される。また、
図6の(b)では交換取引をキャンセルするための取消ボタン616が表示される。窓口担当者により、顧客が交換取引を希望している金種のボタンが押下されると、制御部20は、表示部21に顧客操作表示画面として押下された紙幣交換ボタンの選択を受けつける。
【0041】
なお、後述するS506の判断に基づき紙葉類の金種を判断する場合、交換紙幣の金種を選択しない構成であってもよい。また、逆にS503を実施することにより、S506の金種判定を実施しない構成であってもよい。また、紙葉類処理装置3が取り扱う金種を一種類にする場合、S503及びS506での金種の選択又は判定しなくともよい。
【0042】
S505:入金口11は、窓口担当者から投入された紙幣を受け入れる。なお、投入された紙幣が、
図7の(b)や(c)に示すような残存率の低い欠損紙幣である場合、搬送途中でジャム等の搬送不良を生じる可能性が高い。したがって、このような場合には、投入された欠損紙幣、その欠損紙幣の金種の正券紙幣と同じサイズの透明シートに挟んで投入してもよい。この場合、紙葉類取扱装置3は、欠損紙幣を挟んだ透明シートを識別部15に搬送させ、後述する方法により金種および真偽を判定した後、一時保留部14までその欠損紙幣を挟んだ透明シートを搬送し、保留させる。
【0043】
なお、透明シートは、例えば、一般的なクリアファイルのように、ポリプロピレンなど材質により構成される透明なシートを2枚重ね、その間に紙幣をはさめるようにしたシート状の搬送媒体である。透明シートの四辺のうち隣接する二辺が綴じ辺となり、他の隣接する二辺が開口し、この部分から欠損紙幣を挿入し、シートとシートの間に挟み込むことができる。欠損紙幣を挟み込んだ透明シートを入金口11に投入する際には、上記綴じ辺のうちの紙幣の幅方向となる一辺が搬送方向の上流側である入金口11の手前側となるようにセットすればよい。このような方法で透明シートをセットすることにより、入金口11から搬送された透明シートに挟まれた欠損紙幣が搬送途中で透明シートから離脱し、欠損紙幣が搬送漏れとなる不具合(例えば、ジャム)を生じさせることがなくなる。本例では、上記のような透明シートを、欠損紙幣を搬送するための搬送媒体として用いているが、後述するように、欠損紙幣の金種および真偽が判定できるような材質であれば、特に透明でなくてもよい。また、透明シートの四辺のうち三辺を綴じ辺としてもよいし、対向する二辺を綴じ辺としてもよいし、三辺を綴じ辺としてもよい。
【0044】
S506:制御部46は、識別部15の光ラインセンサ44にて検出された紙幣の外形から紙幣の外形面積を算出し、光ラインセンサ44にて検出されたその紙幣の光学模様パターンを読み取ることにより、その紙幣の金種を判定する。例えば、制御部46は、光ラインセンサ44が紙幣からの反射光を検出した領域を外形とし、その外形の面積と、あらかじめ金種ごとに記憶部33に記憶されている正券紙幣の面積とを比較し、両者の一致度を判定する。また、制御部46は、その紙幣の光学模様パターンと、あらかじめ金種ごとに記憶部33に記憶されている登録光学模様パターンとを比較し、両者の一致度を判定する。制御部46は、上記外形面積又は上記光学模様パターンの一致度があらかじめ定められた閾値以上であれば、搬送された紙幣はその金種の紙幣であると判定する。
【0045】
S507:制御部46は、識別部15の真偽ラインセンサ45にて、搬送された紙幣の真券部分の面積を算出する。例えば、制御部46は、後述するブロックごとに、搬送された紙幣の真偽判定情報である材質成分が、あらかじめ金種ごとに記憶部33に記憶されている登録真偽判定情報を示す材質成分であるか否かを判定する。制御部46は、搬送された紙幣の材質成分が記憶部33に記憶されている材質成分と一致する材質成分である場合、搬送された紙幣はその金種の紙幣と判定し、上記材質成分の面積を算出する。具体的な判定方法、算出方法については、
図8を用いて後述する。
【0046】
S508:制御部46は、搬送された紙幣の金種、真偽、および真券部分の面積を制御部30に通知する。
【0047】
S509:制御部30は、S508で識別部15から受け取った紙幣の金種、真偽、および真券部分の面積と、S503で選択された金種とを参照して正券に対する真券部分の面積の割合を求め、その割合に応じた紙幣価値を算出して引換交換可能な紙幣を判定し、表示部21に換金結果画面63を表示する。本例では、制御部30は、真券部分の面積の割合が、あらかじめ定められた閾値である65%よりも大きいか否かを判定することにより、交換可能な金種の紙幣を判定している。たとえば、
図7の(a)のように、欠損紙幣の真券部分の面積の割合が正券に対して65%より大きい場合(S509;Yes)、搬送された紙幣が同額の正券紙幣と交換可能と判断し、表示部21に換金結果画面63を表示する。
【0048】
図6の(c)は、換金結果画面63の例を示す図である。
図6の(c)に示すように、換金結果画面63には、S503で選択された交換前の金種の紙幣631と、真券部分の面積の割合を示す真券面積632と、交換可能な価値のある金種の紙幣633とが換金結果画面63に表示されている。
図6の(c)では、交換元の紙幣として1,000ルピーが選択され、真券部分の面積の割合が80%であり、この数値はあらかじめ定められた閾値である65%より大きいため、交換可能な金種の紙幣は、交換元の金種と同額の金種の1,000ルピーであることを示している。
【0049】
S510:制御部30は、欠損紙幣の真券部分の面積の割合が正券に対して65%より大きい場合(S509;Yes)、さらに、換金結果画面63に表示された換金額で出金するか否かを判定する。例えば、制御部30は、
図6の(c)で示した換金結果画面63に表示された交換の意思を示す確認ボタンが押下されると、換金結果画面63に表示された換金額で出金すると判定する(S510;Yes)。確認ボタンが押下されることにより交換の意思を確認することができ、顧客操作の間違い防止につなげることができる。
【0050】
S511:制御部30は、制御部30は、欠損紙幣の真券部分の面積の割合が正券に対して65%より大きくない場合(S509;No)、さらに、正券に対する欠損紙幣の真券部分の面積の割合が、あらかじめ定められた閾値である40%より大きいか否かを判定する(S511)。たとえば、
図7の(b)のように、欠損紙幣の真券部分の面積の割合が正券に対して40%より大きい場合(S511;Yes)、搬送された紙幣が半額の正券紙幣と交換可能と判断し、表示部21に換金結果画面64を表示する。
【0051】
図6の(d)は、換金結果画面64の例を示す図である。
図6の(d)に示すように、換金結果画面64には、S503で選択された交換前の金種の紙幣641と、真券部分の面積の割合を示す真券面積642と、交換可能な価値のある金種の紙幣643とが換金結果画面64に表示されている。
図6の(d)では、交換元の紙幣として1,000ルピーが選択され、真券部分の面積の割合が48%であり、この数値はあらかじめ定められた閾値である40%より大きいため、交換可能な金種の紙幣は、交換元の金種の半額となる金種の500ルピーであることを示している。
【0052】
S512:制御部30は、欠損紙幣の真券部分の面積の割合が正券に対して40%より大きい場合(S511;Yes)、さらに、換金結果画面64に表示された換金額で出金するか否かを判定する。例えば、制御部30は、
図6の(d)で示した換金結果画面64の交換の意思を示す確認ボタンが押下されると、換金結果画面64に表示された換金額で出金すると判定する(S512;Yes)。
【0053】
S513:S510またはS512において確認ボタンが押下されると、制御部30は、投入された紙幣を回収するとともに、収納部17から正券紙幣を繰り出して出金口12まで搬送し、出金する。例えば、制御部30は、同額の金種の正券紙幣と交換することが確認された場合(S510;Yes)、その金種の正券紙幣が収納されている収納部17a〜dのいずれかの収納部から正券紙幣を繰出して出金口12まで搬送し、出金するとともに、一時収納部14に収納されている交換元の欠損紙幣を回収部18まで搬送し、回収する。また、制御部30は、半額の金種の正券紙幣と交換することが確認された場合(S512;Yes)、その金種の半額の正券紙幣が収納されている収納部17a〜dのいずれかの収納部から正券紙幣を繰出して出金口12まで搬送し、出金するとともに、一時収納部14に収納されている交換元の欠損紙幣を回収部18まで搬送し、回収する。
【0054】
S514:制御部30は、換金結果画面63に表示された換金額で出金しない判定した場合(S510;No)、または換金結果画面64に表示された換金額で出金しないと判定した場合(S512;No)、紙幣の交換意思がないと判断し、投入された交換元の紙幣を出金口12まで搬送し、返却する。また、制御部30は、
図7の(c)のように、欠損紙幣の真券部分の面積の割合が正券に対して40%より大きくない場合(S511;No)、紙幣の価値がないため交換不可と判断し、表示部21に換金結果画面65を表示する。
【0055】
図6の(e)は、換金結果画面65の例を示す図である。
図6の(e)に示すように、換金結果画面65には、S503で選択された交換前の金種の紙幣651と、真券部分の面積の割合を示す真券面積652と、交換不可能な旨のメッセージ653とが換金結果画面65に表示されている。
図6の(e)では、交換元の紙幣として1,000ルピーが選択され、真券部分の面積の割合が30%であり、この数値はあらかじめ定められた閾値である40%より大きくないため、交換可能な金種の紙幣がないことを示している。
【0056】
なお、制御部30は、搬送された紙幣が同額の正券紙幣と交換可能と判断した場合(S509;Yes)に表示する換金結果画面63、あるいは搬送された紙幣が半額の正券紙幣と交換可能と判断した場合(S511;Yes)に表示する換金結果画面64にかえて、例えば、S506で算出された欠損紙幣の外形の画像データとその欠損紙幣の真偽を含む換金結果画面66を表示してもよい。
【0057】
図6の(f)は、換金結果画面66の例を示す図である。
図6の(f)に示すように、換金結果画面66には、S503で選択された交換前の金種の紙幣661と、真券部分の面積の割合を示す真券面積662と、交換可能な価値のある金種の紙幣663と、欠損紙幣の外形の画像データ664とが換金結果画面66に表示されている。
図6の(f)では、
図6(c)と同様に、交換元の紙幣、真券部分の面積の割合、交換可能な金種の紙幣が表示され、さらに真券部分の面積の割合が80%である画像データが表示されていることを示している。このように、欠損紙幣の画像を表示することにより、窓口担当者や顧客も分かりやすく引換結果を判断することができる。
【0058】
また、上記では、欠損紙幣の真券部分の割合があらかじめ定められた閾値より大きいか否かを判定することにより、交換可能な金種の紙幣を判定した。しかし、投入される欠損紙幣の傷みや消失の程度は、国や地域によって異なるため、閾値を適宜変更できることが望ましい場合もある。そこで、例えば、制御部30は、紙幣換金条件設定画面67を表示し、窓口担当者から閾値の変更を受け付けてもよい。
【0059】
図7(g)は、紙幣換金条件設定画面67の例を示す図である。
図7(g)に示すように、紙幣換金条件設定画面67には、欠損紙幣の真券部分の割合を示す閾値の設定や変更を受け付ける入力欄が設けられている。
図7(g)では、一例として、1,000ルピーへの換金条件の入力欄671と、500ルピーへの換金条件の入力欄672が表示されていることがわかる。このように、閾値の設定や変更を可能とすることにより、欠損紙幣の傷みや消失の程度に応じて交換する正券紙幣の金種を定めることができる。
【0060】
このように、上記処理では、交換する紙幣の価値に応じて定められた条件と、真券部分の面積とに基づいて交換する紙幣の金種を決定するので、紙幣価値に相応しい正券紙幣への交換が可能となる。
【0061】
また、上記交換の基準としては、交換する紙幣が一定以上の価値の高額紙幣の場合(例えば、1000ルピー)には、例えば、正券に対する真券部分の面積の割合が65%より大きい場合には交換する紙幣と同額の紙幣を出金し、正券に対する真券部分の面積の割合が40%より大きく、65%以下の場合には交換する紙幣と半額の紙幣を出金し、正券に対する真券部分の面積の割合が40%以下の場合には紙幣を出金しないように制御する。また、交換する紙幣が一定未満の価値の低額紙幣の場合(例えば、500ルピー)には、正券に対する真券部分の面積の割合が50%以上の場合には交換する紙幣と同額の紙幣を出金し、正券に対する真券部分の面積の割合が50%未満の場合には紙幣を出金しないように制御する。このように、紙幣の価値に応じて交換する条件を定めることができる。
【0062】
また、
図6の(c)〜(f)に示したように、窓口端末装置2の表示部21に、正券に対する真券部分の面積の割合と、制御部46が決定した交換する紙幣とを表示し、窓口端末装置2の入力部22から交換する紙幣に交換することの意思を示す操作を受け付けて、紙幣を出金するので、交換される紙幣を把握したうえで紙幣を交換することができる。
【0063】
なお、外形ラインセンサ44は、紙幣の反射光量を検出するラインセンサから構成され、外形ラインセンサ44が検出した反射画像を窓口端末装置2の表示部21に表示し、正券に対する真券部分と真券部分以外の偽券または変造券部分とを異なる色(例えば、
図6の(f)で示した画像データ664のうちの点線部分で囲まれた領域を赤色、それ以外の実勢で囲まれた領域を緑色)として上記表示部21にしてもよい。また、外形ラインセンサ44は、紙幣の透過光量を検出するラインセンサから構成され、外形ラインセンサ44が検出した透過画像を窓口端末装置2の表示部21に表示し、紙幣の反射光量を検出する場合と同様、正券に対する真券部分と真券部分以外の偽券または変造券部分とを異なる色として上記表示部21にしてもよい。このような表示方法とすることにより、一見して真券部分の割合を把握することができる。
【0064】
次に、
図5のS507における真券部分の面積の判定方法を示す。まず、識別部15に設けられた光ラインセンサ44、真偽ラインセンサ45は、紙幣が一定距離を搬送される都度、エンコーダ部12から出力されるクロックの周期(「搬送周期」とも呼ばれる)ごとに制御されている。実際には、光ラインセンサ44は、エンコーダ部12から出力されるクロック周期に制御されて、一定の搬送距離単位で区分されたライン状の画像領域(ブロック)ごとに順に読み取られる。
【0065】
図8の(a)は、光ラインセンサ44が、識別部15に搬送された欠損紙幣を挟んだ透明シートを検出した二次元画像である。領域81aは、例えば、
図7の(a)内で透明シートが光ラインセンサ44を通過した部分を示している。
図8では、向かって上方から下方(x方向)に透明シートが搬送されている。
【0066】
なお、
図8の(a)の縦方向(x方向)の分解能は、搬送周期における紙幣Sの搬送距離となる。また、
図8の(a)の横方向(y方向)の分解能は、光ラインセンサ44の受光部の主走査方向の配列数に対応する。主走査方向の受光部の配列数が多く、搬送距離単位が短いほどほど、検出される紙幣の面積を詳細に算出できる。
【0067】
図8の(b)は、真偽ラインセンサ45が、識別部15に搬送された欠損紙幣の真券部分を検出した二次元画像である。領域81bは、
図8の(a)の領域81aのうち、欠損紙幣がない透明シートだけが真偽ラインセンサ45を通過した部分を示している。領域82は、欠損紙幣が実際に真偽ラインセンサ45を通過して検出された真券部分を示している。
図8の(a)では、外形ラインセンサ44が、紙幣と同じサイズの透明シートからの反射光を検出するが、透明シートだけの部分からの反射光と透明シートに欠損紙幣を挟んだ部分からの反射光とでは値が異なる。したがって、外形ラインセンサ44が、少なくとも一定値以上の領域で反射光を検出していれば、その領域を透明シートの外形と判定すればよい。
【0068】
そして、制御部46は、光ラインセンサ44によって検出された領域の透明シートのうち、真偽ラインセンサ45が検出した、あらかじめ記憶部33に記憶されている材質成分と一致する材質成分の面積を算出し、真券部分の面積とする。制御部46は、その真券部分の面積である領域82と、領域81aの面積とを比較し、真券部分の面積の割合を算出することができる。
【0069】
なお、
図8では、欠損紙幣を透明シートに挟んで搬送し、その搬送中に欠損紙幣の真偽を判定することとしたが、制御部46が、あらかじめ記憶部33に金種ごとに記憶された正券紙幣のサイズを示す正券紙幣の面積を読み出し、その正券紙幣の面積と、上記領域82とを比較し、真券部分の面積の割合を算出してもよい。
【0070】
図8では、主走査方向(y方向)に、外形ラインセンサ44および真偽ラインセンサ45が18個の素子から構成され、その素子に1つのブロック83が対応付けられている。したがって、制御部46は、ブロック83の数および1つのブロック83の中で占める領域81aの割合を求めることで、真券部分全体の面積を求めることができる。
なお、
図8の(b)の縦方向(x方向)の分解能は、搬送周期における紙幣Sの搬送距離となる。また、
図8の(b)の横方向の分解能は、真偽ラインセンサ45の受光部の主走査方向の配列数に対応する。主走査方向の受光部の配列数が多く、搬送距離単位が短いほどほど、検出される紙幣の真偽センサ判定を高精細に算出できる。
【0071】
また、
図8の(a)に示す領域81aと、(b)に示す領域81bは、縦方向についてエンコーダ部12により、搬送距離単位で区分されており、横方向については各ラインセンサの既知の配列数、位置にて区分されているので、一対一で対応することができる。
【0072】
本実施例では、欠損紙幣を例に説明したが、紙幣が偽券の場合にも適用することができる。すなわち、紙幣が偽券や変造券である場合には、外形ラインセンサ44によって検出された領域が正券と同じ外形面積であっても、真偽ラインセンサ45では、正券を構成する材質とは異なる材質を検出するため、その紙幣は偽券であると判定され、真券部分の面積の割合は0%として算出されることとなる。さらに、紙幣の全てが偽券や変造券である場合だけでなく、その一部が偽造された一部偽造券や、その一部が変造された一部変造券の場合も上記と同様に考えることができる。
【0073】
以上のように、第1の実施の形態によれば、欠損紙幣だけでなく、偽券や変造券に対しても、金種及び真偽を正しく判定し、識別することができる。
【0074】
(第2の実施形態)
第1の実施の形態では、欠損紙幣を例に、偽券や変造券についても金種や真偽を判定し、識別する場合について説明した。しかし、偽券や変造券には、金種の異なる真券を張り合わせた偽券や変造券も存在する。そこで、以下では、金種の異なる真券を張り合わせた偽券や変造券に対する処理について説明する。
【0075】
図9は、第2の実施の形態に関する動作を示すフローチャートである。第1の実施の形態と異なる点は、フローチャートのステップS907〜S909であるため、第1の実施の形態と同一のステップについてはその説明を省略する。S907〜S909では、真偽ラインセンサ45による真券判定だけでなく、光学ラインセンサ44が検出した光学模様パターンを、金種の判定だけでなく、真偽の判定にも用いる。具体的な判定方法については、
図10を用いて後述する。
【0076】
図10の(a)は、光ラインセンサ44が、異なる金種、たとえば500ルピーの真券と1000ルピーの真券が貼り合わせた紙幣を識別部15に搬送されたときの二次元画像である。領域111は、
図10の(a)内で透明シートが光ラインセンサ44を通過した部分である。
図10では、向かって上方から下方(x方向)に透明シートが搬送されている。本例では透明シートを用いた場合について説明しているが、透明シートを用いない場合についても第1の実施の形態と同様に考えることができる。
【0077】
図10の(b)は、真偽ラインセンサ45が、識別部15に搬送された紙幣の真券部分を検出した二次元画像である。領域112aは、紙幣のうち1000ルピーに相当する部分の欠損紙幣が真偽ラインセンサ45を通過した部分である。領域113aは、紙幣のうち500ルピーに相当する部分の欠損紙幣が真偽ラインセンサ45を通過した部分である。
【0078】
図10の(c)は、
図10の(a)の領域111を基準方向に角度θだけ回転して正規化した画像である。図中、領域112bは1000ルピーに相当する部分であり、図中、領域113bは、500ルピーに相当する部分である。本例では、主走査方向(y方向)の軸まで紙幣を反時計回りに回転させたときの角度を上記角度θとしている。
【0079】
図9のS907では、制御部46は、識別部15の真偽ラインセンサ45にて、搬送された紙幣の真券部分の面積を算出する。例えば、制御部46は、搬送された紙幣の材質成分が、あらかじめ金種ごとに記憶部33に記憶されている材質成分であるか否かを判定する。制御部46は、搬送された紙幣の材質成分が記憶部33に記憶されている材質成分と一致する材質成分である場合、搬送された紙幣はその金種の紙幣と判定し、上記材質成分の面積を算出する。本例では、紙幣が2つの金種の真券から構成されているため、それぞれの金種について、真券部分の面積を算出する。その結果、
図10の(b)に示した領域112aの面積および領域113aの面積を、第1の実施の形態と同様の手法により算出することができる。この段階では、領域112aおよび領域113aのそれぞれの部分が真券部分となる。
【0080】
図9のS908、S909では、制御部46は、
図9のステップS903で設定された金種(例えば、1000ルピー)について、紙幣の4姿勢について、さらに真偽を判定する。具体的には、制御部46は、(1)
図10の(c)に示した姿勢のほか、(2)
図10の(c)に示した領域112bおよび領域113bを含む紙幣をθ方向に180度回転させて上下逆転した姿勢、(3)上記領域112bおよび領域113bを含む紙幣をθ方向と180度垂直な方向(z方向)に回転させて表裏逆転した姿勢、(4)さらに表裏逆転した姿勢の紙幣をθ方向に180度回転させて上下および表裏逆転した姿勢、の4姿勢の紙幣について、領域112bおよび領域113bの真偽を、さらに判定する。
【0081】
例えば、S903で設定された金種が1000ルピーであり、外形ラインセンサ44が、
図10の(a)に示した領域111について検出した光学模様パターンにより判定された金種が1000ルピーである場合、制御部46は、領域111を、上記(1)〜(4)の姿勢と同様の姿勢に回転して正規化する。そして、制御部46は、あらかじめ記憶部33に記憶されている1000ルピーの登録光学模様パターンを上記(1)〜(4)の姿勢に回転させて、(1)〜(4)の各姿勢における光学模様パターンの一致度を判定する。一致度の判定は、例えば、
図8のブロックと同様のブロック114ごとに、画素値のレベルの差が一定の範囲内であるか否かを判定し、画素値のレベルの差が一定の範囲内であると判定した場合、そのブロックは1000ルピーの画素であると判定する。
【0082】
制御部46は、
図10の(c)に示した領域112b、領域113bのすべてのブロックについて上記一致度を判定する。その結果、外形上は1000ルピーと同じであっても、光学模様パターンが1000ルピーと同じでない金種の異なる真券を張り合わせた領域が浮き彫りとなり、張り合わせた領域以外の領域(
図10の(c)では、領域112b)が1000ルピーの真券部分であると判定することができる。
【0083】
以上のように、第2の実施の形態によれば、異なる金種の真券紙幣を貼り合わせた偽券や変造券についても真券面積を算出することができ、金種及び真偽を正しく判定し、識別することができる
なお、第1の実施の形態、第2の実施の形態では、真偽ラインセンサが磁気ラインセンサであるとして示したが、蛍光ラインセンサや燐光ラインセンサなど、紙幣のセキュリティ情報を検出するセンサであれば良く、さらに、光ラインセンサの光学模様パターンを用いて真偽を判定してもよい。また、複数のセンサを組み合わせて真偽センサとして用いても良い。
【0084】
また、前記外形ラインセンサは、紙葉類の透過光量を検出するラインセンサや紙葉類の反射光量を検出するセンサ、さらに紙葉類の変位量を検出するセンサなど、紙幣の外形面積を算出できるものであれば従来から知られている様々なセンサを用いることができる。
【0085】
さらに、真偽ラインセンサは、上記の通り紙幣の蛍光成分を検出するセンサ、紙幣の燐光成分を検出するセンサ、紙幣の磁性成分を検出するセンサなど、紙幣の真偽を検出するできるものであれば従来から知られている様々なセンサを用いることができる。また、本真偽センサは単一のものと限ったものではなく、複数のセンサを組み合わせて用いても良い。
【0086】
また、紙葉類振分装置などの紙葉類処理装置では、複数の回収部を有し、第1の実施の形態、第2の実施の形態で算出した紙葉類の価値に基づき、異なる回収部に搬送する構成であってもよい。この場合、回収部毎又は複数の回収部に搬送された紙葉類の価値を合計した値を算出し外部に表示などの方法で出力してもよい。これにより、回収部に収納されている紙葉類の価値を係員などが認識することが可能となる。